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マタイの福音書 1:1 ¶ アブラハムの子であるダビデの子、イエス・キリストの系図。 (J)

マタイの福音書 1:2 アブラハムはイサクの父であり、イサクはヤコブの父、ヤコブはユダとその兄弟たちとの父、 (J)

マタイの福音書 1:3 ユダはタマルによるパレスとザラとの父、パレスはエスロンの父、エスロンはアラムの父、 (J)

マタイの福音書 1:4 アラムはアミナダブの父、アミナダブはナアソンの父、ナアソンはサルモンの父、 (J)

マタイの福音書 1:5 サルモンはラハブによるボアズの父、ボアズはルツによるオベデの父、オベデはエッサイの父、 (J)

マタイの福音書 1:6 エッサイはダビデ王の父であった。 ダビデはウリヤの妻によるソロモンの父であり、 (J)

マタイの福音書 1:7 ソロモンはレハベアムの父、レハベアムはアビヤの父、アビヤはアサの父、 (J)

マタイの福音書 1:8 アサはヨサパテの父、ヨサパテはヨラムの父、ヨラムはウジヤの父、 (J)

マタイの福音書 1:9 ウジヤはヨタムの父、ヨタムはアハズの父、アハズはヒゼキヤの父、 (J)

マタイの福音書 1:10 ヒゼキヤはマナセの父、マナセはアモンの父、アモンはヨシヤの父、 (J)

マタイの福音書 1:11 ヨシヤはバビロンへ移されたころ、エコニヤとその兄弟たちとの父となった。 (J)

マタイの福音書 1:12 バビロンへ移されたのち、エコニヤはサラテルの父となった。サラテルはゾロバベルの父、 (J)

マタイの福音書 1:13 ゾロバベルはアビウデの父、アビウデはエリヤキムの父、エリヤキムはアゾルの父、 (J)

マタイの福音書 1:14 アゾルはサドクの父、サドクはアキムの父、アキムはエリウデの父、 (J)

マタイの福音書 1:15 エリウデはエレアザルの父、エレアザルはマタンの父、マタンはヤコブの父、 (J)

マタイの福音書 1:16 ヤコブはマリヤの夫ヨセフの父であった。このマリヤからキリストといわれるイエスがお生れになった。 (J)

マタイの福音書 1:17 だから、アブラハムからダビデまでの代は合わせて十四代、ダビデからバビロンへ移されるまでは十四代、そして、バビロンへ移されてからキリストまでは十四代である。 (J)

マタイの福音書 1:18 イエス・キリストの誕生の次第はこうであった。母マリヤはヨセフと婚約していたが、まだ一緒にならない前に、聖霊によって身重になった。 (J)

マタイの福音書 1:19 夫ヨセフは正しい人であったので、彼女のことが公けになることを好まず、ひそかに離縁しようと決心した。 (J)

マタイの福音書 1:20 彼がこのことを思いめぐらしていたとき、主の使が夢に現れて言った、「ダビデの子ヨセフよ、心配しないでマリヤを妻として迎えるがよい。その胎内に宿っているものは聖霊によるのである。 (J)

マタイの福音書 1:21 彼女は男の子を産むであろう。その名をイエスと名づけなさい。彼は、おのれの民をそのもろもろの罪から救う者となるからである」。 (J)

マタイの福音書 1:22 すべてこれらのことが起ったのは、主が預言者によって言われたことの成就するためである。すなわち、 (J)

マタイの福音書 1:23 「見よ、おとめがみごもって男の子を産むであろう。 その名はインマヌエルと呼ばれるであろう」。 これは、「神われらと共にいます」という意味である。 (J)

マタイの福音書 1:24 ヨセフは眠りからさめた後に、主の使が命じたとおりに、マリヤを妻に迎えた。 (J)

マタイの福音書 1:25 しかし、子が生れるまでは、彼女を知ることはなかった。そして、その子をイエスと名づけた。 (J)

マタイの福音書 2:1 イエスがヘロデ王の代に、ユダヤのベツレヘムでお生れになったとき、見よ、東からきた博士たちがエルサレムに着いて言った、 (J)

マタイの福音書 2:2 「ユダヤ人の王としてお生れになったかたは、どこにおられますか。わたしたちは東の方でその星を見たので、そのかたを拝みにきました」。 (J)

マタイの福音書 2:3 ヘロデ王はこのことを聞いて不安を感じた。エルサレムの人々もみな、同様であった。 (J)

マタイの福音書 2:4 そこで王は祭司長たちと民の律法学者たちとを全部集めて、キリストはどこに生れるのかと、彼らに問いただした。 (J)

マタイの福音書 2:5 彼らは王に言った、「それはユダヤのベツレヘムです。預言者がこうしるしています、 (J)

マタイの福音書 2:6 『ユダの地、ベツレヘムよ、 おまえはユダの君たちの中で、 決して最も小さいものではない。 おまえの中からひとりの君が出て、 わが民イスラエルの牧者となるであろう』」。 (J)

マタイの福音書 2:7 そこで、ヘロデはひそかに博士たちを呼んで、星の現れた時について詳しく聞き、 (J)

マタイの福音書 2:8 彼らをベツレヘムにつかわして言った、「行って、その幼な子のことを詳しく調べ、見つかったらわたしに知らせてくれ。わたしも拝みに行くから」。 (J)

マタイの福音書 2:9 彼らは王の言うことを聞いて出かけると、見よ、彼らが東方で見た星が、彼らより先に進んで、幼な子のいる所まで行き、その上にとどまった。 (J)

マタイの福音書 2:10 彼らはその星を見て、非常な喜びにあふれた。 (J)

マタイの福音書 2:11 そして、家にはいって、母マリヤのそばにいる幼な子に会い、ひれ伏して拝み、また、宝の箱をあけて、黄金・乳香・没薬などの贈り物をささげた。 (J)

マタイの福音書 2:12 そして、夢でヘロデのところに帰るなとのみ告げを受けたので、他の道をとおって自分の国へ帰って行った。 (J)

マタイの福音書 2:13 彼らが帰って行ったのち、見よ、主の使が夢でヨセフに現れて言った、「立って、幼な子とその母を連れて、エジプトに逃げなさい。そして、あなたに知らせるまで、そこにとどまっていなさい。ヘロデが幼な子を捜し出して、殺そうとしている」。 (J)

マタイの福音書 2:14 そこで、ヨセフは立って、夜の間に幼な子とその母とを連れてエジプトへ行き、 (J)

マタイの福音書 2:15 ヘロデが死ぬまでそこにとどまっていた。それは、主が預言者によって「エジプトからわが子を呼び出した」と言われたことが、成就するためである。 (J)

マタイの福音書 2:16 さて、ヘロデは博士たちにだまされたと知って、非常に立腹した。そして人々をつかわし、博士たちから確かめた時に基いて、ベツレヘムとその附近の地方とにいる二歳以下の男の子を、ことごとく殺した。 (J)

マタイの福音書 2:17 こうして、預言者エレミヤによって言われたことが、成就したのである。 (J)

マタイの福音書 2:18 「叫び泣く大いなる悲しみの声が ラマで聞えた。 ラケルはその子らのためになげいた。 子らがもはやいないので、 慰められることさえ願わなかった」。 (J)

マタイの福音書 2:19 さて、ヘロデが死んだのち、見よ、主の使がエジプトにいるヨセフに夢で現れて言った、 (J)

マタイの福音書 2:20 「立って、幼な子とその母を連れて、イスラエルの地に行け。幼な子の命をねらっていた人々は、死んでしまった」。 (J)

マタイの福音書 2:21 そこでヨセフは立って、幼な子とその母とを連れて、イスラエルの地に帰った。 (J)

マタイの福音書 2:22 しかし、アケラオがその父ヘロデに代ってユダヤを治めていると聞いたので、そこへ行くことを恐れた。そして夢でみ告げを受けたので、ガリラヤの地方に退き、 (J)

マタイの福音書 2:23 ナザレという町に行って住んだ。これは預言者たちによって、「彼はナザレ人と呼ばれるであろう」と言われたことが、成就するためである。 (J)

マタイの福音書 3:1 そのころ、バプテスマのヨハネが現れ、ユダヤの荒野で教を宣べて言った、 (J)

マタイの福音書 3:2 「悔い改めよ、天国は近づいた」。 (J)

マタイの福音書 3:3 預言者イザヤによって、 「荒野で呼ばわる者の声がする、 『主の道を備えよ、 その道筋をまっすぐにせよ』」 と言われたのは、この人のことである。 (J)

マタイの福音書 3:4 このヨハネは、らくだの毛ごろもを着物にし、腰に皮の帯をしめ、いなごと野蜜とを食物としていた。 (J)

マタイの福音書 3:5 すると、エルサレムとユダヤ全土とヨルダン附近一帯の人々が、ぞくぞくとヨハネのところに出てきて、 (J)

マタイの福音書 3:6 自分の罪を告白し、ヨルダン川でヨハネからバプテスマを受けた。 (J)

マタイの福音書 3:7 ヨハネは、パリサイ人やサドカイ人が大ぜいバプテスマを受けようとしてきたのを見て、彼らに言った、「まむしの子らよ、迫ってきている神の怒りから、おまえたちはのがれられると、だれが教えたのか。 (J)

マタイの福音書 3:8 だから、悔改めにふさわしい実を結べ。 (J)

マタイの福音書 3:9 自分たちの父にはアブラハムがあるなどと、心の中で思ってもみるな。おまえたちに言っておく、神はこれらの石ころからでも、アブラハムの子を起すことができるのだ。 (J)

マタイの福音書 3:10 斧がすでに木の根もとに置かれている。だから、良い実を結ばない木はことごとく切られて、火の中に投げ込まれるのだ。 (J)

マタイの福音書 3:11 わたしは悔改めのために、水でおまえたちにバプテスマを授けている。しかし、わたしのあとから来る人はわたしよりも力のあるかたで、わたしはそのくつをぬがせてあげる値うちもない。このかたは、聖霊と火とによっておまえたちにバプテスマをお授けになるであろう。 (J)

マタイの福音書 3:12 また、箕を手に持って、打ち場の麦をふるい分け、麦は倉に納め、からは消えない火で焼き捨てるであろう」。 (J)

マタイの福音書 3:13 そのときイエスは、ガリラヤを出てヨルダン川に現れ、ヨハネのところにきて、バプテスマを受けようとされた。 (J)

マタイの福音書 3:14 ところがヨハネは、それを思いとどまらせようとして言った、「わたしこそあなたからバプテスマを受けるはずですのに、あなたがわたしのところにおいでになるのですか」。 (J)

マタイの福音書 3:15 しかし、イエスは答えて言われた、「今は受けさせてもらいたい。このように、すべての正しいことを成就するのは、われわれにふさわしいことである」。そこでヨハネはイエスの言われるとおりにした。 (J)

マタイの福音書 3:16 イエスはバプテスマを受けるとすぐ、水から上がられた。すると、見よ、天が開け、神の御霊がはとのように自分の上に下ってくるのを、ごらんになった。 (J)

マタイの福音書 3:17 また天から声があって言った、「これはわたしの愛する子、わたしの心にかなう者である」。 (J)

マタイの福音書 4:1 さて、イエスは御霊によって荒野に導かれた。悪魔に試みられるためである。 (J)

マタイの福音書 4:2 そして、四十日四十夜、断食をし、そののち空腹になられた。 (J)

マタイの福音書 4:3 すると試みる者がきて言った、「もしあなたが神の子であるなら、これらの石がパンになるように命じてごらんなさい」。 (J)

マタイの福音書 4:4 イエスは答えて言われた、「『人はパンだけで生きるものではなく、神の口から出る一つ一つの言で生きるものである』と書いてある」。 (J)

マタイの福音書 4:5 それから悪魔は、イエスを聖なる都に連れて行き、宮の頂上に立たせて (J)

マタイの福音書 4:6 言った、「もしあなたが神の子であるなら、下へ飛びおりてごらんなさい。 『神はあなたのために御使たちにお命じになると、 あなたの足が石に打ちつけられないように、 彼らはあなたを手でささえるであろう』 と書いてありますから」。 (J)

マタイの福音書 4:7 イエスは彼に言われた、「『主なるあなたの神を試みてはならない』とまた書いてある」。 (J)

マタイの福音書 4:8 次に悪魔は、イエスを非常に高い山に連れて行き、この世のすべての国々とその栄華とを見せて (J)

マタイの福音書 4:9 言った、「もしあなたが、ひれ伏してわたしを拝むなら、これらのものを皆あなたにあげましょう」。 (J)

マタイの福音書 4:10 するとイエスは彼に言われた、「サタンよ、退け。『主なるあなたの神を拝し、ただ神にのみ仕えよ』と書いてある」。 (J)

マタイの福音書 4:11 そこで、悪魔はイエスを離れ去り、そして、御使たちがみもとにきて仕えた。 (J)

マタイの福音書 4:12 さて、イエスはヨハネが捕えられたと聞いて、ガリラヤへ退かれた。 (J)

マタイの福音書 4:13 そしてナザレを去り、ゼブルンとナフタリとの地方にある海べの町カペナウムに行って住まわれた。 (J)

マタイの福音書 4:14 これは預言者イザヤによって言われた言が、成就するためである。 (J)

マタイの福音書 4:15 「ゼブルンの地、ナフタリの地、 海に沿う地方、ヨルダンの向こうの地、 異邦人のガリラヤ、 (J)

マタイの福音書 4:16 暗黒の中に住んでいる民は大いなる光を見、 死の地、死の陰に住んでいる人々に、光がのぼった」。 (J)

マタイの福音書 4:17 この時からイエスは教を宣べはじめて言われた、「悔い改めよ、天国は近づいた」。 (J)

マタイの福音書 4:18 さて、イエスがガリラヤの海べを歩いておられると、ふたりの兄弟、すなわち、ペテロと呼ばれたシモンとその兄弟アンデレとが、海に網を打っているのをごらんになった。彼らは漁師であった。 (J)

マタイの福音書 4:19 イエスは彼らに言われた、「わたしについてきなさい。あなたがたを、人間をとる漁師にしてあげよう」。 (J)

マタイの福音書 4:20 すると、彼らはすぐに網を捨てて、イエスに従った。 (J)

マタイの福音書 4:21 そこから進んで行かれると、ほかのふたりの兄弟、すなわち、ゼベダイの子ヤコブとその兄弟ヨハネとが、父ゼベダイと一緒に、舟の中で網を繕っているのをごらんになった。そこで彼らをお招きになると、 (J)

マタイの福音書 4:22 すぐ舟と父とをおいて、イエスに従って行った。 (J)

マタイの福音書 4:23 イエスはガリラヤの全地を巡り歩いて、諸会堂で教え、御国の福音を宣べ伝え、民の中のあらゆる病気、あらゆるわずらいをおいやしになった。 (J)

マタイの福音書 4:24 そこで、その評判はシリヤ全地にひろまり、人々があらゆる病にかかっている者、すなわち、いろいろの病気と苦しみとに悩んでいる者、悪霊につかれている者、てんかん、中風の者などをイエスのところに連れてきたので、これらの人々をおいやしになった。 (J)

マタイの福音書 4:25 こうして、ガリラヤ、デカポリス、エルサレム、ユダヤ及びヨルダンの向こうから、おびただしい群衆がきてイエスに従った。 (J)

マタイの福音書 5:1 イエスはこの群衆を見て、山に登り、座につかれると、弟子たちがみもとに近寄ってきた。 (J)

マタイの福音書 5:2 そこで、イエスは口を開き、彼らに教えて言われた。 (J)

マタイの福音書 5:3 「こころの貧しい人たちは、さいわいである、 天国は彼らのものである。 (J)

マタイの福音書 5:4 悲しんでいる人たちは、さいわいである、 彼らは慰められるであろう。 (J)

マタイの福音書 5:5 柔和な人たちは、さいわいである、 彼らは地を受けつぐであろう。 (J)

マタイの福音書 5:6 義に飢えかわいている人たちは、さいわいである、 彼らは飽き足りるようになるであろう。 (J)

マタイの福音書 5:7 あわれみ深い人たちは、さいわいである、 彼らはあわれみを受けるであろう。 (J)

マタイの福音書 5:8 心の清い人たちは、さいわいである、 彼らは神を見るであろう。 (J)

マタイの福音書 5:9 平和をつくり出す人たちは、さいわいである、 彼らは神の子と呼ばれるであろう。 (J)

マタイの福音書 5:10 義のために迫害されてきた人たちは、 さいわいである、 天国は彼らのものである。 (J)

マタイの福音書 5:11 わたしのために人々があなたがたをののしり、また迫害し、あなたがたに対し偽って様々の悪口を言う時には、あなたがたは、さいわいである。 (J)

マタイの福音書 5:12 喜び、よろこべ、天においてあなたがたの受ける報いは大きい。あなたがたより前の預言者たちも、同じように迫害されたのである。 (J)

マタイの福音書 5:13 あなたがたは、地の塩である。もし塩のききめがなくなったら、何によってその味が取りもどされようか。もはや、なんの役にも立たず、ただ外に捨てられて、人々にふみつけられるだけである。 (J)

マタイの福音書 5:14 あなたがたは、世の光である。山の上にある町は隠れることができない。 (J)

マタイの福音書 5:15 また、あかりをつけて、それを枡の下におく者はいない。むしろ燭台の上において、家の中のすべてのものを照させるのである。 (J)

マタイの福音書 5:16 そのように、あなたがたの光を人々の前に輝かし、そして、人々があなたがたのよいおこないを見て、天にいますあなたがたの父をあがめるようにしなさい。 (J)

マタイの福音書 5:17 わたしが律法や預言者を廃するためにきた、と思ってはならない。廃するためではなく、成就するためにきたのである。 (J)

マタイの福音書 5:18 よく言っておく。天地が滅び行くまでは、律法の一点、一画もすたることはなく、ことごとく全うされるのである。 (J)

マタイの福音書 5:19 それだから、これらの最も小さいいましめの一つでも破り、またそうするように人に教えたりする者は、天国で最も小さい者と呼ばれるであろう。しかし、これをおこないまたそう教える者は、天国で大いなる者と呼ばれるであろう。 (J)

マタイの福音書 5:20 わたしは言っておく。あなたがたの義が律法学者やパリサイ人の義にまさっていなければ、決して天国に、はいることはできない。 (J)

マタイの福音書 5:21 昔の人々に『殺すな。殺す者は裁判を受けねばならない』と言われていたことは、あなたがたの聞いているところである。 (J)

マタイの福音書 5:22 しかし、わたしはあなたがたに言う。兄弟に対して怒る者は、だれでも裁判を受けねばならない。兄弟にむかって愚か者と言う者は、議会に引きわたされるであろう。また、ばか者と言う者は、地獄の火に投げ込まれるであろう。 (J)

マタイの福音書 5:23 だから、祭壇に供え物をささげようとする場合、兄弟が自分に対して何かうらみをいだいていることを、そこで思い出したなら、 (J)

マタイの福音書 5:24 その供え物を祭壇の前に残しておき、まず行ってその兄弟と和解し、それから帰ってきて、供え物をささげることにしなさい。 (J)

マタイの福音書 5:25 あなたを訴える者と一緒に道を行く時には、その途中で早く仲直りをしなさい。そうしないと、その訴える者はあなたを裁判官にわたし、裁判官は下役にわたし、そして、あなたは獄に入れられるであろう。 (J)

マタイの福音書 5:26 よくあなたに言っておく。最後の一コドラントを支払ってしまうまでは、決してそこから出てくることはできない。 (J)

マタイの福音書 5:27 『姦淫するな』と言われていたことは、あなたがたの聞いているところである。 (J)

マタイの福音書 5:28 しかし、わたしはあなたがたに言う。だれでも、情欲をいだいて女を見る者は、心の中ですでに姦淫をしたのである。 (J)

マタイの福音書 5:29 もしあなたの右の目が罪を犯させるなら、それを抜き出して捨てなさい。五体の一部を失っても、全身が地獄に投げ入れられない方が、あなたにとって益である。 (J)

マタイの福音書 5:30 もしあなたの右の手が罪を犯させるなら、それを切って捨てなさい。五体の一部を失っても、全身が地獄に落ち込まない方が、あなたにとって益である。 (J)

マタイの福音書 5:31 また『妻を出す者は離縁状を渡せ』と言われている。 (J)

マタイの福音書 5:32 しかし、わたしはあなたがたに言う。だれでも、不品行以外の理由で自分の妻を出す者は、姦淫を行わせるのである。また出された女をめとる者も、姦淫を行うのである。 (J)

マタイの福音書 5:33 また昔の人々に『いつわり誓うな、誓ったことは、すべて主に対して果せ』と言われていたことは、あなたがたの聞いているところである。 (J)

マタイの福音書 5:34 しかし、わたしはあなたがたに言う。いっさい誓ってはならない。天をさして誓うな。そこは神の御座であるから。 (J)

マタイの福音書 5:35 また地をさして誓うな。そこは神の足台であるから。またエルサレムをさして誓うな。それは『大王の都』であるから。 (J)

マタイの福音書 5:36 また、自分の頭をさして誓うな。あなたは髪の毛一すじさえ、白くも黒くもすることができない。 (J)

マタイの福音書 5:37 あなたがたの言葉は、ただ、しかり、しかり、否、否、であるべきだ。それ以上に出ることは、悪から来るのである。 (J)

マタイの福音書 5:38 『目には目を、歯には歯を』と言われていたことは、あなたがたの聞いているところである。 (J)

マタイの福音書 5:39 しかし、わたしはあなたがたに言う。悪人に手向かうな。もし、だれかがあなたの右の頬を打つなら、ほかの頬をも向けてやりなさい。 (J)

マタイの福音書 5:40 あなたを訴えて、下着を取ろうとする者には、上着をも与えなさい。 (J)

マタイの福音書 5:41 もし、だれかが、あなたをしいて一マイル行かせようとするなら、その人と共に二マイル行きなさい。 (J)

マタイの福音書 5:42 求める者には与え、借りようとする者を断るな。 (J)

マタイの福音書 5:43 『隣り人を愛し、敵を憎め』と言われていたことは、あなたがたの聞いているところである。 (J)

マタイの福音書 5:44 しかし、わたしはあなたがたに言う。敵を愛し、迫害する者のために祈れ。 (J)

マタイの福音書 5:45 こうして、天にいますあなたがたの父の子となるためである。天の父は、悪い者の上にも良い者の上にも、太陽をのぼらせ、正しい者にも正しくない者にも、雨を降らして下さるからである。 (J)

マタイの福音書 5:46 あなたがたが自分を愛する者を愛したからとて、なんの報いがあろうか。そのようなことは取税人でもするではないか。 (J)

マタイの福音書 5:47 兄弟だけにあいさつをしたからとて、なんのすぐれた事をしているだろうか。そのようなことは異邦人でもしているではないか。 (J)

マタイの福音書 5:48 それだから、あなたがたの天の父が完全であられるように、あなたがたも完全な者となりなさい。 (J)

マタイの福音書 6:1 自分の義を、見られるために人の前で行わないように、注意しなさい。もし、そうしないと、天にいますあなたがたの父から報いを受けることがないであろう。 (J)

マタイの福音書 6:2 だから、施しをする時には、偽善者たちが人にほめられるため会堂や町の中でするように、自分の前でラッパを吹きならすな。よく言っておくが、彼らはその報いを受けてしまっている。 (J)

マタイの福音書 6:3 あなたは施しをする場合、右の手のしていることを左の手に知らせるな。 (J)

マタイの福音書 6:4 それは、あなたのする施しが隠れているためである。すると、隠れた事を見ておられるあなたの父は、報いてくださるであろう。 (J)

マタイの福音書 6:5 また祈る時には、偽善者たちのようにするな。彼らは人に見せようとして、会堂や大通りのつじに立って祈ることを好む。よく言っておくが、彼らはその報いを受けてしまっている。 (J)

マタイの福音書 6:6 あなたは祈る時、自分のへやにはいり、戸を閉じて、隠れた所においでになるあなたの父に祈りなさい。すると、隠れた事を見ておられるあなたの父は、報いてくださるであろう。 (J)

マタイの福音書 6:7 また、祈る場合、異邦人のように、くどくどと祈るな。彼らは言葉かずが多ければ、聞きいれられるものと思っている。 (J)

マタイの福音書 6:8 だから、彼らのまねをするな。あなたがたの父なる神は、求めない先から、あなたがたに必要なものはご存じなのである。 (J)

マタイの福音書 6:9 だから、あなたがたはこう祈りなさい、 天にいますわれらの父よ、 御名があがめられますように。 (J)

マタイの福音書 6:10 御国がきますように。 みこころが天に行われるとおり、 地にも行われますように。 (J)

マタイの福音書 6:11 わたしたちの日ごとの食物を、 きょうもお与えください。 (J)

マタイの福音書 6:12 わたしたちに負債のある者をゆるしましたように、 わたしたちの負債をもおゆるしください。 (J)

マタイの福音書 6:13 わたしたちを試みに会わせないで、 悪しき者からお救いください。 (J)

マタイの福音書 6:14 もしも、あなたがたが、人々のあやまちをゆるすならば、あなたがたの天の父も、あなたがたをゆるして下さるであろう。 (J)

マタイの福音書 6:15 もし人をゆるさないならば、あなたがたの父も、あなたがたのあやまちをゆるして下さらないであろう。 (J)

マタイの福音書 6:16 また断食をする時には、偽善者がするように、陰気な顔つきをするな。彼らは断食をしていることを人に見せようとして、自分の顔を見苦しくするのである。よく言っておくが、彼らはその報いを受けてしまっている。 (J)

マタイの福音書 6:17 あなたがたは断食をする時には、自分の頭に油を塗り、顔を洗いなさい。 (J)

マタイの福音書 6:18 それは断食をしていることが人に知れないで、隠れた所においでになるあなたの父に知られるためである。すると、隠れた事を見ておられるあなたの父は、報いて下さるであろう。 (J)

マタイの福音書 6:19 あなたがたは自分のために、虫が食い、さびがつき、また、盗人らが押し入って盗み出すような地上に、宝をたくわえてはならない。 (J)

マタイの福音書 6:20 むしろ自分のため、虫も食わず、さびもつかず、また、盗人らが押し入って盗み出すこともない天に、宝をたくわえなさい。 (J)

マタイの福音書 6:21 あなたの宝のある所には、心もあるからである。 (J)

マタイの福音書 6:22 目はからだのあかりである。だから、あなたの目が澄んでおれば、全身も明るいだろう。 (J)

マタイの福音書 6:23 しかし、あなたの目が悪ければ、全身も暗いだろう。だから、もしあなたの内なる光が暗ければ、その暗さは、どんなであろう。 (J)

マタイの福音書 6:24 だれも、ふたりの主人に兼ね仕えることはできない。一方を憎んで他方を愛し、あるいは、一方に親しんで他方をうとんじるからである。あなたがたは、神と富とに兼ね仕えることはできない。 (J)

マタイの福音書 6:25 それだから、あなたがたに言っておく。何を食べようか、何を飲もうかと、自分の命のことで思いわずらい、何を着ようかと自分のからだのことで思いわずらうな。命は食物にまさり、からだは着物にまさるではないか。 (J)

マタイの福音書 6:26 空の鳥を見るがよい。まくことも、刈ることもせず、倉に取りいれることもしない。それだのに、あなたがたの天の父は彼らを養っていて下さる。あなたがたは彼らよりも、はるかにすぐれた者ではないか。 (J)

マタイの福音書 6:27 あなたがたのうち、だれが思いわずらったからとて、自分の寿命をわずかでも延ばすことができようか。 (J)

マタイの福音書 6:28 また、なぜ、着物のことで思いわずらうのか。野の花がどうして育っているか、考えて見るがよい。働きもせず、紡ぎもしない。 (J)

マタイの福音書 6:29 しかし、あなたがたに言うが、栄華をきわめた時のソロモンでさえ、この花の一つほどにも着飾ってはいなかった。 (J)

マタイの福音書 6:30 きょうは生えていて、あすは炉に投げ入れられる野の草でさえ、神はこのように装って下さるのなら、あなたがたに、それ以上よくしてくださらないはずがあろうか。ああ、信仰の薄い者たちよ。 (J)

マタイの福音書 6:31 だから、何を食べようか、何を飲もうか、あるいは何を着ようかと言って思いわずらうな。 (J)

マタイの福音書 6:32 これらのものはみな、異邦人が切に求めているものである。あなたがたの天の父は、これらのものが、ことごとくあなたがたに必要であることをご存じである。 (J)

マタイの福音書 6:33 まず神の国と神の義とを求めなさい。そうすれば、これらのものは、すべて添えて与えられるであろう。 (J)

マタイの福音書 6:34 だから、あすのことを思いわずらうな。あすのことは、あす自身が思いわずらうであろう。一日の苦労は、その日一日だけで十分である。 (J)

マタイの福音書 7:1 人をさばくな。自分がさばかれないためである。 (J)

マタイの福音書 7:2 あなたがたがさばくそのさばきで、自分もさばかれ、あなたがたの量るそのはかりで、自分にも量り与えられるであろう。 (J)

マタイの福音書 7:3 なぜ、兄弟の目にあるちりを見ながら、自分の目にある梁を認めないのか。 (J)

マタイの福音書 7:4 自分の目には梁があるのに、どうして兄弟にむかって、あなたの目からちりを取らせてください、と言えようか。 (J)

マタイの福音書 7:5 偽善者よ、まず自分の目から梁を取りのけるがよい。そうすれば、はっきり見えるようになって、兄弟の目からちりを取りのけることができるだろう。 (J)

マタイの福音書 7:6 聖なるものを犬にやるな。また真珠を豚に投げてやるな。恐らく彼らはそれらを足で踏みつけ、向きなおってあなたがたにかみついてくるであろう。 (J)

マタイの福音書 7:7 求めよ、そうすれば、与えられるであろう。捜せ、そうすれば、見いだすであろう。門をたたけ、そうすれば、あけてもらえるであろう。 (J)

マタイの福音書 7:8 すべて求める者は得、捜す者は見いだし、門をたたく者はあけてもらえるからである。 (J)

マタイの福音書 7:9 あなたがたのうちで、自分の子がパンを求めるのに、石を与える者があろうか。 (J)

マタイの福音書 7:10 魚を求めるのに、へびを与える者があろうか。 (J)

マタイの福音書 7:11 このように、あなたがたは悪い者であっても、自分の子供には、良い贈り物をすることを知っているとすれば、天にいますあなたがたの父はなおさら、求めてくる者に良いものを下さらないことがあろうか。 (J)

マタイの福音書 7:12 だから、何事でも人々からしてほしいと望むことは、人々にもそのとおりにせよ。これが律法であり預言者である。 (J)

マタイの福音書 7:13 狭い門からはいれ。滅びにいたる門は大きく、その道は広い。そして、そこからはいって行く者が多い。 (J)

マタイの福音書 7:14 命にいたる門は狭く、その道は細い。そして、それを見いだす者が少ない。 (J)

マタイの福音書 7:15 にせ預言者を警戒せよ。彼らは、羊の衣を着てあなたがたのところに来るが、その内側は強欲なおおかみである。 (J)

マタイの福音書 7:16 あなたがたは、その実によって彼らを見わけるであろう。茨からぶどうを、あざみからいちじくを集める者があろうか。 (J)

マタイの福音書 7:17 そのように、すべて良い木は良い実を結び、悪い木は悪い実を結ぶ。 (J)

マタイの福音書 7:18 良い木が悪い実をならせることはないし、悪い木が良い実をならせることはできない。 (J)

マタイの福音書 7:19 良い実を結ばない木はことごとく切られて、火の中に投げ込まれる。 (J)

マタイの福音書 7:20 このように、あなたがたはその実によって彼らを見わけるのである。 (J)

マタイの福音書 7:21 わたしにむかって『主よ、主よ』と言う者が、みな天国にはいるのではなく、ただ、天にいますわが父の御旨を行う者だけが、はいるのである。 (J)

マタイの福音書 7:22 その日には、多くの者が、わたしにむかって『主よ、主よ、わたしたちはあなたの名によって預言したではありませんか。また、あなたの名によって悪霊を追い出し、あなたの名によって多くの力あるわざを行ったではありませんか』と言うであろう。 (J)

マタイの福音書 7:23 そのとき、わたしは彼らにはっきり、こう言おう、『あなたがたを全く知らない。不法を働く者どもよ、行ってしまえ』。 (J)

マタイの福音書 7:24 それで、わたしのこれらの言葉を聞いて行うものを、岩の上に自分の家を建てた賢い人に比べることができよう。 (J)

マタイの福音書 7:25 雨が降り、洪水が押し寄せ、風が吹いてその家に打ちつけても、倒れることはない。岩を土台としているからである。 (J)

マタイの福音書 7:26 また、わたしのこれらの言葉を聞いても行わない者を、砂の上に自分の家を建てた愚かな人に比べることができよう。 (J)

マタイの福音書 7:27 雨が降り、洪水が押し寄せ、風が吹いてその家に打ちつけると、倒れてしまう。そしてその倒れ方はひどいのである」。 (J)

マタイの福音書 7:28 イエスがこれらの言を語り終えられると、群衆はその教にひどく驚いた。 (J)

マタイの福音書 7:29 それは律法学者たちのようにではなく、権威ある者のように、教えられたからである。 (J)

マタイの福音書 8:1 イエスが山をお降りになると、おびただしい群衆がついてきた。 (J)

マタイの福音書 8:2 すると、そのとき、ひとりのらい病人がイエスのところにきて、ひれ伏して言った、「主よ、みこころでしたら、きよめていただけるのですが」。 (J)

マタイの福音書 8:3 イエスは手を伸ばして、彼にさわり、「そうしてあげよう、きよくなれ」と言われた。すると、らい病は直ちにきよめられた。 (J)

マタイの福音書 8:4 イエスは彼に言われた、「だれにも話さないように、注意しなさい。ただ行って、自分のからだを祭司に見せ、それから、モーセが命じた供え物をささげて、人々に証明しなさい」。 (J)

マタイの福音書 8:5 さて、イエスがカペナウムに帰ってこられたとき、ある百卒長がみもとにきて訴えて言った、 (J)

マタイの福音書 8:6 「主よ、わたしの僕が中風でひどく苦しんで、家に寝ています」。 (J)

マタイの福音書 8:7 イエスは彼に、「わたしが行ってなおしてあげよう」と言われた。 (J)

マタイの福音書 8:8 そこで百卒長は答えて言った、「主よ、わたしの屋根の下にあなたをお入れする資格は、わたしにはございません。ただ、お言葉を下さい。そうすれば僕はなおります。 (J)

マタイの福音書 8:9 わたしも権威の下にある者ですが、わたしの下にも兵卒がいまして、ひとりの者に『行け』と言えば行き、ほかの者に『こい』と言えばきますし、また、僕に『これをせよ』と言えば、してくれるのです」。 (J)

マタイの福音書 8:10 イエスはこれを聞いて非常に感心され、ついてきた人々に言われた、「よく聞きなさい。イスラエル人の中にも、これほどの信仰を見たことがない。 (J)

マタイの福音書 8:11 なお、あなたがたに言うが、多くの人が東から西からきて、天国で、アブラハム、イサク、ヤコブと共に宴会の席につくが、 (J)

マタイの福音書 8:12 この国の子らは外のやみに追い出され、そこで泣き叫んだり、歯がみをしたりするであろう」。 (J)

マタイの福音書 8:13 それからイエスは百卒長に「行け、あなたの信じたとおりになるように」と言われた。すると、ちょうどその時に、僕はいやされた。 (J)

マタイの福音書 8:14 それから、イエスはペテロの家にはいって行かれ、そのしゅうとめが熱病で、床についているのをごらんになった。 (J)

マタイの福音書 8:15 そこで、その手にさわられると、熱が引いた。そして女は起きあがってイエスをもてなした。 (J)

マタイの福音書 8:16 夕暮になると、人々は悪霊につかれた者を大ぜい、みもとに連れてきたので、イエスはみ言葉をもって霊どもを追い出し、病人をことごとくおいやしになった。 (J)

マタイの福音書 8:17 これは、預言者イザヤによって「彼は、わたしたちのわずらいを身に受け、わたしたちの病を負うた」と言われた言葉が成就するためである。 (J)

マタイの福音書 8:18 イエスは、群衆が自分のまわりに群がっているのを見て、向こう岸に行くようにと弟子たちにお命じになった。 (J)

マタイの福音書 8:19 するとひとりの律法学者が近づいてきて言った、「先生、あなたがおいでになる所なら、どこへでも従ってまいります」。 (J)

マタイの福音書 8:20 イエスはその人に言われた、「きつねには穴があり、空の鳥には巣がある。しかし、人の子にはまくらする所がない」。 (J)

マタイの福音書 8:21 また弟子のひとりが言った、「主よ、まず、父を葬りに行かせて下さい」。 (J)

マタイの福音書 8:22 イエスは彼に言われた、「わたしに従ってきなさい。そして、その死人を葬ることは、死人に任せておくがよい」。 (J)

マタイの福音書 8:23 それから、イエスが舟に乗り込まれると、弟子たちも従った。 (J)

マタイの福音書 8:24 すると突然、海上に激しい暴風が起って、舟は波にのまれそうになった。ところが、イエスは眠っておられた。 (J)

マタイの福音書 8:25 そこで弟子たちはみそばに寄ってきてイエスを起し、「主よ、お助けください、わたしたちは死にそうです」と言った。 (J)

マタイの福音書 8:26 するとイエスは彼らに言われた、「なぜこわがるのか、信仰の薄い者たちよ」。それから起きあがって、風と海とをおしかりになると、大なぎになった。 (J)

マタイの福音書 8:27 彼らは驚いて言った、「このかたはどういう人なのだろう。風も海も従わせるとは」。 (J)

マタイの福音書 8:28 それから、向こう岸、ガダラ人の地に着かれると、悪霊につかれたふたりの者が、墓場から出てきてイエスに出会った。彼らは手に負えない乱暴者で、だれもその辺の道を通ることができないほどであった。 (J)

マタイの福音書 8:29 すると突然、彼らは叫んで言った、「神の子よ、あなたはわたしどもとなんの係わりがあるのです。まだその時ではないのに、ここにきて、わたしどもを苦しめるのですか」。 (J)

マタイの福音書 8:30 さて、そこからはるか離れた所に、おびただしい豚の群れが飼ってあった。 (J)

マタイの福音書 8:31 悪霊どもはイエスに願って言った、「もしわたしどもを追い出されるのなら、あの豚の群れの中につかわして下さい」。 (J)

マタイの福音書 8:32 そこで、イエスが「行け」と言われると、彼らは出て行って、豚の中へはいり込んだ。すると、その群れ全体が、がけから海へなだれを打って駆け下り、水の中で死んでしまった。 (J)

マタイの福音書 8:33 飼う者たちは逃げて町に行き、悪霊につかれた者たちのことなど、いっさいを知らせた。 (J)

マタイの福音書 8:34 すると、町中の者がイエスに会いに出てきた。そして、イエスに会うと、この地方から去ってくださるようにと頼んだ。 (J)

マタイの福音書 9:1 さて、イエスは舟に乗って海を渡り、自分の町に帰られた。 (J)

マタイの福音書 9:2 すると、人々が中風の者を床の上に寝かせたままでみもとに運んできた。イエスは彼らの信仰を見て、中風の者に、「子よ、しっかりしなさい。あなたの罪はゆるされたのだ」と言われた。 (J)

マタイの福音書 9:3 すると、ある律法学者たちが心の中で言った、「この人は神を汚している」。 (J)

マタイの福音書 9:4 イエスは彼らの考えを見抜いて、「なぜ、あなたがたは心の中で悪いことを考えているのか。 (J)

マタイの福音書 9:5 あなたの罪はゆるされた、と言うのと、起きて歩け、と言うのと、どちらがたやすいか。 (J)

マタイの福音書 9:6 しかし、人の子は地上で罪をゆるす権威をもっていることが、あなたがたにわかるために」と言い、中風の者にむかって、「起きよ、床を取りあげて家に帰れ」と言われた。 (J)

マタイの福音書 9:7 すると彼は起きあがり、家に帰って行った。 (J)

マタイの福音書 9:8 群衆はそれを見て恐れ、こんな大きな権威を人にお与えになった神をあがめた。 (J)

マタイの福音書 9:9 さてイエスはそこから進んで行かれ、マタイという人が収税所にすわっているのを見て、「わたしに従ってきなさい」と言われた。すると彼は立ちあがって、イエスに従った。 (J)

マタイの福音書 9:10 それから、イエスが家で食事の席についておられた時のことである。多くの取税人や罪人たちがきて、イエスや弟子たちと共にその席に着いていた。 (J)

マタイの福音書 9:11 パリサイ人たちはこれを見て、弟子たちに言った、「なぜ、あなたがたの先生は、取税人や罪人などと食事を共にするのか」。 (J)

マタイの福音書 9:12 イエスはこれを聞いて言われた、「丈夫な人には医者はいらない。いるのは病人である。 (J)

マタイの福音書 9:13 『わたしが好むのは、あわれみであって、いけにえではない』とはどういう意味か、学んできなさい。わたしがきたのは、義人を招くためではなく、罪人を招くためである」。 (J)

マタイの福音書 9:14 そのとき、ヨハネの弟子たちがイエスのところにきて言った、「わたしたちとパリサイ人たちとが断食をしているのに、あなたの弟子たちは、なぜ断食をしないのですか」。 (J)

マタイの福音書 9:15 するとイエスは言われた、「婚礼の客は、花婿が一緒にいる間は、悲しんでおられようか。しかし、花婿が奪い去られる日が来る。その時には断食をするであろう。 (J)

マタイの福音書 9:16 だれも、真新しい布ぎれで、古い着物につぎを当てはしない。そのつぎきれは着物を引き破り、そして、破れがもっとひどくなるから。 (J)

マタイの福音書 9:17 だれも、新しいぶどう酒を古い皮袋に入れはしない。もしそんなことをしたら、その皮袋は張り裂け、酒は流れ出るし、皮袋もむだになる。だから、新しいぶどう酒は新しい皮袋に入れるべきである。そうすれば両方とも長もちがするであろう」。 (J)

マタイの福音書 9:18 これらのことを彼らに話しておられると、そこにひとりの会堂司がきて、イエスを拝して言った、「わたしの娘がただ今死にました。しかしおいでになって手をその上においてやって下さい。そうしたら、娘は生き返るでしょう」。 (J)

マタイの福音書 9:19 そこで、イエスが立って彼について行かれると、弟子たちも一緒に行った。 (J)

マタイの福音書 9:20 するとそのとき、十二年間も長血をわずらっている女が近寄ってきて、イエスのうしろからみ衣のふさにさわった。 (J)

マタイの福音書 9:21 み衣にさわりさえすれば、なおしていただけるだろう、と心の中で思っていたからである。 (J)

マタイの福音書 9:22 イエスは振り向いて、この女を見て言われた、「娘よ、しっかりしなさい。あなたの信仰があなたを救ったのです」。するとこの女はその時に、いやされた。 (J)

マタイの福音書 9:23 それからイエスは司の家に着き、笛吹きどもや騒いでいる群衆を見て言われた。 (J)

マタイの福音書 9:24 「あちらへ行っていなさい。少女は死んだのではない。眠っているだけである」。すると人々はイエスをあざ笑った。 (J)

マタイの福音書 9:25 しかし、群衆を外へ出したのち、イエスは内へはいって、少女の手をお取りになると、少女は起きあがった。 (J)

マタイの福音書 9:26 そして、そのうわさがこの地方全体にひろまった。 (J)

マタイの福音書 9:27 そこから進んで行かれると、ふたりの盲人が、「ダビデの子よ、わたしたちをあわれんで下さい」と叫びながら、イエスについてきた。 (J)

マタイの福音書 9:28 そしてイエスが家にはいられると、盲人たちがみもとにきたので、彼らに「わたしにそれができると信じるか」と言われた。彼らは言った、「主よ、信じます」。 (J)

マタイの福音書 9:29 そこで、イエスは彼らの目にさわって言われた、「あなたがたの信仰どおり、あなたがたの身になるように」。 (J)

マタイの福音書 9:30 すると彼らの目が開かれた。イエスは彼らをきびしく戒めて言われた、「だれにも知れないように気をつけなさい」。 (J)

マタイの福音書 9:31 しかし、彼らは出て行って、その地方全体にイエスのことを言いひろめた。 (J)

マタイの福音書 9:32 彼らが出て行くと、人々は悪霊につかれたおしをイエスのところに連れてきた。 (J)

マタイの福音書 9:33 すると、悪霊は追い出されて、おしが物を言うようになった。群衆は驚いて、「このようなことがイスラエルの中で見られたことは、これまで一度もなかった」と言った。 (J)

マタイの福音書 9:34 しかし、パリサイ人たちは言った、「彼は、悪霊どものかしらによって悪霊どもを追い出しているのだ」。 (J)

マタイの福音書 9:35 イエスは、すべての町々村々を巡り歩いて、諸会堂で教え、御国の福音を宣べ伝え、あらゆる病気、あらゆるわずらいをおいやしになった。 (J)

マタイの福音書 9:36 また群衆が飼う者のない羊のように弱り果てて、倒れているのをごらんになって、彼らを深くあわれまれた。 (J)

マタイの福音書 9:37 そして弟子たちに言われた、「収穫は多いが、働き人が少ない。 (J)

マタイの福音書 9:38 だから、収穫の主に願って、その収穫のために働き人を送り出すようにしてもらいなさい」。 (J)

マタイの福音書 10:1 そこで、イエスは十二弟子を呼び寄せて、汚れた霊を追い出し、あらゆる病気、あらゆるわずらいをいやす権威をお授けになった。 (J)

マタイの福音書 10:2 十二使徒の名は、次のとおりである。まずペテロと呼ばれたシモンとその兄弟アンデレ、それからゼベダイの子ヤコブとその兄弟ヨハネ、 (J)

マタイの福音書 10:3 ピリポとバルトロマイ、トマスと取税人マタイ、アルパヨの子ヤコブとタダイ、 (J)

マタイの福音書 10:4 熱心党のシモンとイスカリオテのユダ。このユダはイエスを裏切った者である。 (J)

マタイの福音書 10:5 イエスはこの十二人をつかわすに当り、彼らに命じて言われた、「異邦人の道に行くな。またサマリヤ人の町にはいるな。 (J)

マタイの福音書 10:6 むしろ、イスラエルの家の失われた羊のところに行け。 (J)

マタイの福音書 10:7 行って、『天国が近づいた』と宣べ伝えよ。 (J)

マタイの福音書 10:8 病人をいやし、死人をよみがえらせ、らい病人をきよめ、悪霊を追い出せ。ただで受けたのだから、ただで与えるがよい。 (J)

マタイの福音書 10:9 財布の中に金、銀または銭を入れて行くな。 (J)

マタイの福音書 10:10 旅行のための袋も、二枚の下着も、くつも、つえも持って行くな。働き人がその食物を得るのは当然である。 (J)

マタイの福音書 10:11 どの町、どの村にはいっても、その中でだれがふさわしい人か、たずね出して、立ち去るまではその人のところにとどまっておれ。 (J)

マタイの福音書 10:12 その家にはいったなら、平安を祈ってあげなさい。 (J)

マタイの福音書 10:13 もし平安を受けるにふさわしい家であれば、あなたがたの祈る平安はその家に来るであろう。もしふさわしくなければ、その平安はあなたがたに帰って来るであろう。 (J)

マタイの福音書 10:14 もしあなたがたを迎えもせず、またあなたがたの言葉を聞きもしない人があれば、その家や町を立ち去る時に、足のちりを払い落しなさい。 (J)

マタイの福音書 10:15 あなたがたによく言っておく。さばきの日には、ソドム、ゴモラの地の方が、その町よりは耐えやすいであろう。 (J)

マタイの福音書 10:16 わたしがあなたがたをつかわすのは、羊をおおかみの中に送るようなものである。だから、へびのように賢く、はとのように素直であれ。 (J)

マタイの福音書 10:17 人々に注意しなさい。彼らはあなたがたを衆議所に引き渡し、会堂でむち打つであろう。 (J)

マタイの福音書 10:18 またあなたがたは、わたしのために長官たちや王たちの前に引き出されるであろう。それは、彼らと異邦人とに対してあかしをするためである。 (J)

マタイの福音書 10:19 彼らがあなたがたを引き渡したとき、何をどう言おうかと心配しないがよい。言うべきことは、その時に授けられるからである。 (J)

マタイの福音書 10:20 語る者は、あなたがたではなく、あなたがたの中にあって語る父の霊である。 (J)

マタイの福音書 10:21 兄弟は兄弟を、父は子を殺すために渡し、また子は親に逆らって立ち、彼らを殺させるであろう。 (J)

マタイの福音書 10:22 またあなたがたは、わたしの名のゆえにすべての人に憎まれるであろう。しかし、最後まで耐え忍ぶ者は救われる。 (J)

マタイの福音書 10:23 一つの町で迫害されたなら、他の町へ逃げなさい。よく言っておく。あなたがたがイスラエルの町々を回り終らないうちに、人の子は来るであろう。 (J)

マタイの福音書 10:24 弟子はその師以上のものではなく、僕はその主人以上の者ではない。 (J)

マタイの福音書 10:25 弟子がその師のようであり、僕がその主人のようであれば、それで十分である。もし家の主人がベルゼブルと言われるならば、その家の者どもはなおさら、どんなにか悪く言われることであろう。 (J)

マタイの福音書 10:26 だから彼らを恐れるな。おおわれたもので、現れてこないものはなく、隠れているもので、知られてこないものはない。 (J)

マタイの福音書 10:27 わたしが暗やみであなたがたに話すことを、明るみで言え。耳にささやかれたことを、屋根の上で言いひろめよ。 (J)

マタイの福音書 10:28 また、からだを殺しても、魂を殺すことのできない者どもを恐れるな。むしろ、からだも魂も地獄で滅ぼす力のあるかたを恐れなさい。 (J)

マタイの福音書 10:29 二羽のすずめは一アサリオンで売られているではないか。しかもあなたがたの父の許しがなければ、その一羽も地に落ちることはない。 (J)

マタイの福音書 10:30 またあなたがたの頭の毛までも、みな数えられている。 (J)

マタイの福音書 10:31 それだから、恐れることはない。あなたがたは多くのすずめよりも、まさった者である。 (J)

マタイの福音書 10:32 だから人の前でわたしを受けいれる者を、わたしもまた、天にいますわたしの父の前で受けいれるであろう。 (J)

マタイの福音書 10:33 しかし、人の前でわたしを拒む者を、わたしも天にいますわたしの父の前で拒むであろう。 (J)

マタイの福音書 10:34 地上に平和をもたらすために、わたしがきたと思うな。平和ではなく、つるぎを投げ込むためにきたのである。 (J)

マタイの福音書 10:35 わたしがきたのは、人をその父と、娘をその母と、嫁をそのしゅうとめと仲たがいさせるためである。 (J)

マタイの福音書 10:36 そして家の者が、その人の敵となるであろう。 (J)

マタイの福音書 10:37 わたしよりも父または母を愛する者は、わたしにふさわしくない。わたしよりもむすこや娘を愛する者は、わたしにふさわしくない。 (J)

マタイの福音書 10:38 また自分の十字架をとってわたしに従ってこない者はわたしにふさわしくない。 (J)

マタイの福音書 10:39 自分の命を得ている者はそれを失い、わたしのために自分の命を失っている者は、それを得るであろう。 (J)

マタイの福音書 10:40 あなたがたを受けいれる者は、わたしを受けいれるのである。わたしを受けいれる者は、わたしをおつかわしになったかたを受けいれるのである。 (J)

マタイの福音書 10:41 預言者の名のゆえに預言者を受けいれる者は、預言者の報いを受け、義人の名のゆえに義人を受けいれる者は、義人の報いを受けるであろう。 (J)

マタイの福音書 10:42 わたしの弟子であるという名のゆえに、この小さい者のひとりに冷たい水一杯でも飲ませてくれる者は、よく言っておくが、決してその報いからもれることはない」。 (J)

マタイの福音書 11:1 イエスは十二弟子にこのように命じ終えてから、町々で教えまた宣べ伝えるために、そこを立ち去られた。 (J)

マタイの福音書 11:2 さて、ヨハネは獄中でキリストのみわざについて伝え聞き、自分の弟子たちをつかわして、 (J)

マタイの福音書 11:3 イエスに言わせた、「『きたるべきかた』はあなたなのですか。それとも、ほかにだれかを待つべきでしょうか」。 (J)

マタイの福音書 11:4 イエスは答えて言われた、「行って、あなたがたが見聞きしていることをヨハネに報告しなさい。 (J)

マタイの福音書 11:5 盲人は見え、足なえは歩き、らい病人はきよまり、耳しいは聞え、死人は生きかえり、貧しい人々は福音を聞かされている。 (J)

マタイの福音書 11:6 わたしにつまずかない者は、さいわいである」。 (J)

マタイの福音書 11:7 彼らが帰ってしまうと、イエスはヨハネのことを群衆に語りはじめられた、「あなたがたは、何を見に荒野に出てきたのか。風に揺らぐ葦であるか。 (J)

マタイの福音書 11:8 では、何を見に出てきたのか。柔らかい着物をまとった人か。柔らかい着物をまとった人々なら、王の家にいる。 (J)

マタイの福音書 11:9 では、なんのために出てきたのか。預言者を見るためか。そうだ、あなたがたに言うが、預言者以上の者である。 (J)

マタイの福音書 11:10 『見よ、わたしは使をあなたの先につかわし、 あなたの前に、道を整えさせるであろう』 と書いてあるのは、この人のことである。 (J)

マタイの福音書 11:11 あなたがたによく言っておく。女の産んだ者の中で、バプテスマのヨハネより大きい人物は起らなかった。しかし、天国で最も小さい者も、彼よりは大きい。 (J)

マタイの福音書 11:12 バプテスマのヨハネの時から今に至るまで、天国は激しく襲われている。そして激しく襲う者たちがそれを奪い取っている。 (J)

マタイの福音書 11:13 すべての預言者と律法とが預言したのは、ヨハネの時までである。 (J)

マタイの福音書 11:14 そして、もしあなたがたが受けいれることを望めば、この人こそは、きたるべきエリヤなのである。 (J)

マタイの福音書 11:15 耳のある者は聞くがよい。 (J)

マタイの福音書 11:16 今の時代を何に比べようか。それは子供たちが広場にすわって、ほかの子供たちに呼びかけ、 (J)

マタイの福音書 11:17 『わたしたちが笛を吹いたのに、 あなたたちは踊ってくれなかった。 弔いの歌を歌ったのに、 胸を打ってくれなかった』 と言うのに似ている。 (J)

マタイの福音書 11:18 なぜなら、ヨハネがきて、食べることも、飲むこともしないと、あれは悪霊につかれているのだ、と言い、 (J)

マタイの福音書 11:19 また人の子がきて、食べたり飲んだりしていると、見よ、あれは食をむさぼる者、大酒を飲む者、また取税人、罪人の仲間だ、と言う。しかし、知恵の正しいことは、その働きが証明する」。 (J)

マタイの福音書 11:20 それからイエスは、数々の力あるわざがなされたのに、悔い改めることをしなかった町々を、責めはじめられた。 (J)

マタイの福音書 11:21 「わざわいだ、コラジンよ。わざわいだ、ベツサイダよ。おまえたちのうちでなされた力あるわざが、もしツロとシドンでなされたなら、彼らはとうの昔に、荒布をまとい灰をかぶって、悔い改めたであろう。 (J)

マタイの福音書 11:22 しかし、おまえたちに言っておく。さばきの日には、ツロとシドンの方がおまえたちよりも、耐えやすいであろう。 (J)

マタイの福音書 11:23 ああ、カペナウムよ、おまえは天にまで上げられようとでもいうのか。黄泉にまで落されるであろう。おまえの中でなされた力あるわざが、もしソドムでなされたなら、その町は今日までも残っていたであろう。 (J)

マタイの福音書 11:24 しかし、あなたがたに言う。さばきの日には、ソドムの地の方がおまえよりは耐えやすいであろう」。 (J)

マタイの福音書 11:25 そのときイエスは声をあげて言われた、「天地の主なる父よ。あなたをほめたたえます。これらの事を知恵のある者や賢い者に隠して、幼な子にあらわしてくださいました。 (J)

マタイの福音書 11:26 父よ、これはまことにみこころにかなった事でした。 (J)

マタイの福音書 11:27 すべての事は父からわたしに任せられています。そして、子を知る者は父のほかにはなく、父を知る者は、子と、父をあらわそうとして子が選んだ者とのほかに、だれもありません。 (J)

マタイの福音書 11:28 すべて重荷を負うて苦労している者は、わたしのもとにきなさい。あなたがたを休ませてあげよう。 (J)

マタイの福音書 11:29 わたしは柔和で心のへりくだった者であるから、わたしのくびきを負うて、わたしに学びなさい。そうすれば、あなたがたの魂に休みが与えられるであろう。 (J)

マタイの福音書 11:30 わたしのくびきは負いやすく、わたしの荷は軽いからである」。 (J)

マタイの福音書 12:1 そのころ、ある安息日に、イエスは麦畑の中を通られた。すると弟子たちは、空腹であったので、穂を摘んで食べはじめた。 (J)

マタイの福音書 12:2 パリサイ人たちがこれを見て、イエスに言った、「ごらんなさい、あなたの弟子たちが、安息日にしてはならないことをしています」。 (J)

マタイの福音書 12:3 そこでイエスは彼らに言われた、「あなたがたは、ダビデとその供の者たちとが飢えたとき、ダビデが何をしたか読んだことがないのか。 (J)

マタイの福音書 12:4 すなわち、神の家にはいって、祭司たちのほか、自分も供の者たちも食べてはならぬ供えのパンを食べたのである。 (J)

マタイの福音書 12:5 また、安息日に宮仕えをしている祭司たちは安息日を破っても罪にはならないことを、律法で読んだことがないのか。 (J)

マタイの福音書 12:6 あなたがたに言っておく。宮よりも大いなる者がここにいる。 (J)

マタイの福音書 12:7 『わたしが好むのは、あわれみであって、いけにえではない』とはどういう意味か知っていたなら、あなたがたは罪のない者をとがめなかったであろう。 (J)

マタイの福音書 12:8 人の子は安息日の主である」。 (J)

マタイの福音書 12:9 イエスはそこを去って、彼らの会堂にはいられた。 (J)

マタイの福音書 12:10 すると、そのとき、片手のなえた人がいた。人々はイエスを訴えようと思って、「安息日に人をいやしても、さしつかえないか」と尋ねた。 (J)

マタイの福音書 12:11 イエスは彼らに言われた、「あなたがたのうちに、一匹の羊を持っている人があるとして、もしそれが安息日に穴に落ちこんだなら、手をかけて引き上げてやらないだろうか。 (J)

マタイの福音書 12:12 人は羊よりも、はるかにすぐれているではないか。だから、安息日に良いことをするのは、正しいことである」。 (J)

マタイの福音書 12:13 そしてイエスはその人に、「手を伸ばしなさい」と言われた。そこで手を伸ばすと、ほかの手のように良くなった。 (J)

マタイの福音書 12:14 パリサイ人たちは出て行って、なんとかしてイエスを殺そうと相談した。 (J)

マタイの福音書 12:15 イエスはこれを知って、そこを去って行かれた。ところが多くの人々がついてきたので、彼らを皆いやし、 (J)

マタイの福音書 12:16 そして自分のことを人々にあらわさないようにと、彼らを戒められた。 (J)

マタイの福音書 12:17 これは預言者イザヤの言った言葉が、成就するためである、 (J)

マタイの福音書 12:18 「見よ、わたしが選んだ僕、 わたしの心にかなう、愛する者。 わたしは彼にわたしの霊を授け、 そして彼は正義を異邦人に宣べ伝えるであろう。 (J)

マタイの福音書 12:19 彼は争わず、叫ばず、 またその声を大路で聞く者はない。 (J)

マタイの福音書 12:20 彼が正義に勝ちを得させる時まで、 いためられた葦を折ることがなく、 煙っている燈心を消すこともない。 (J)

マタイの福音書 12:21 異邦人は彼の名に望みを置くであろう」。 (J)

マタイの福音書 12:22 そのとき、人々が悪霊につかれた盲人のおしを連れてきたので、イエスは彼をいやして、物を言い、また目が見えるようにされた。 (J)

マタイの福音書 12:23 すると群衆はみな驚いて言った、「この人が、あるいはダビデの子ではあるまいか」。 (J)

マタイの福音書 12:24 しかし、パリサイ人たちは、これを聞いて言った、「この人が悪霊を追い出しているのは、まったく悪霊のかしらベルゼブルによるのだ」。 (J)

マタイの福音書 12:25 イエスは彼らの思いを見抜いて言われた、「おおよそ、内部で分れ争う国は自滅し、内わで分れ争う町や家は立ち行かない。 (J)

マタイの福音書 12:26 もしサタンがサタンを追い出すならば、それは内わで分れ争うことになる。それでは、その国はどうして立ち行けよう。 (J)

マタイの福音書 12:27 もしわたしがベルゼブルによって悪霊を追い出すとすれば、あなたがたの仲間はだれによって追い出すのであろうか。だから、彼らがあなたがたをさばく者となるであろう。 (J)

マタイの福音書 12:28 しかし、わたしが神の霊によって悪霊を追い出しているのなら、神の国はすでにあなたがたのところにきたのである。 (J)

マタイの福音書 12:29 まただれでも、まず強い人を縛りあげなければ、どうして、その人の家に押し入って家財を奪い取ることができようか。縛ってから、はじめてその家を掠奪することができる。 (J)

マタイの福音書 12:30 わたしの味方でない者は、わたしに反対するものであり、わたしと共に集めない者は、散らすものである。 (J)

マタイの福音書 12:31 だから、あなたがたに言っておく。人には、その犯すすべての罪も神を汚す言葉も、ゆるされる。しかし、聖霊を汚す言葉は、ゆるされることはない。 (J)

マタイの福音書 12:32 また人の子に対して言い逆らう者は、ゆるされるであろう。しかし、聖霊に対して言い逆らう者は、この世でも、きたるべき世でも、ゆるされることはない。 (J)

マタイの福音書 12:33 木が良ければ、その実も良いとし、木が悪ければ、その実も悪いとせよ。木はその実でわかるからである。 (J)

マタイの福音書 12:34 まむしの子らよ。あなたがたは悪い者であるのに、どうして良いことを語ることができようか。おおよそ、心からあふれることを、口が語るものである。 (J)

マタイの福音書 12:35 善人はよい倉から良い物を取り出し、悪人は悪い倉から悪い物を取り出す。 (J)

マタイの福音書 12:36 あなたがたに言うが、審判の日には、人はその語る無益な言葉に対して、言い開きをしなければならないであろう。 (J)

マタイの福音書 12:37 あなたは、自分の言葉によって正しいとされ、また自分の言葉によって罪ありとされるからである」。 (J)

マタイの福音書 12:38 そのとき、律法学者、パリサイ人のうちのある人々がイエスにむかって言った、「先生、わたしたちはあなたから、しるしを見せていただきとうございます」。 (J)

マタイの福音書 12:39 すると、彼らに答えて言われた、「邪悪で不義な時代は、しるしを求める。しかし、預言者ヨナのしるしのほかには、なんのしるしも与えられないであろう。 (J)

マタイの福音書 12:40 すなわち、ヨナが三日三晩、大魚の腹の中にいたように、人の子も三日三晩、地の中にいるであろう。 (J)

マタイの福音書 12:41 ニネベの人々が、今の時代の人々と共にさばきの場に立って、彼らを罪に定めるであろう。なぜなら、ニネベの人々はヨナの宣教によって悔い改めたからである。しかし見よ、ヨナにまさる者がここにいる。 (J)

マタイの福音書 12:42 南の女王が、今の時代の人々と共にさばきの場に立って、彼らを罪に定めるであろう。なぜなら、彼女はソロモンの知恵を聞くために地の果から、はるばるきたからである。しかし見よ、ソロモンにまさる者がここにいる。 (J)

マタイの福音書 12:43 汚れた霊が人から出ると、休み場を求めて水の無い所を歩きまわるが、見つからない。 (J)

マタイの福音書 12:44 そこで、出てきた元の家に帰ろうと言って帰って見ると、その家はあいていて、そうじがしてある上、飾りつけがしてあった。 (J)

マタイの福音書 12:45 そこでまた出て行って、自分以上に悪い他の七つの霊を一緒に引き連れてきて中にはいり、そこに住み込む。そうすると、その人ののちの状態は初めよりももっと悪くなるのである。よこしまな今の時代も、このようになるであろう」。 (J)

マタイの福音書 12:46 イエスがまだ群衆に話しておられるとき、その母と兄弟たちとが、イエスに話そうと思って外に立っていた。 (J)

マタイの福音書 12:47 それで、ある人がイエスに言った、「ごらんなさい。あなたの母上と兄弟がたが、あなたに話そうと思って、外に立っておられます」。 (J)

マタイの福音書 12:48 イエスは知らせてくれた者に答えて言われた、「わたしの母とは、だれのことか。わたしの兄弟とは、だれのことか」。 (J)

マタイの福音書 12:49 そして、弟子たちの方に手をさし伸べて言われた、「ごらんなさい。ここにわたしの母、わたしの兄弟がいる。 (J)

マタイの福音書 12:50 天にいますわたしの父のみこころを行う者はだれでも、わたしの兄弟、また姉妹、また母なのである」。 (J)

マタイの福音書 13:1 その日、イエスは家を出て、海べにすわっておられた。 (J)

マタイの福音書 13:2 ところが、大ぜいの群衆がみもとに集まったので、イエスは舟に乗ってすわられ、群衆はみな岸に立っていた。 (J)

マタイの福音書 13:3 イエスは譬で多くの事を語り、こう言われた、「見よ、種まきが種をまきに出て行った。 (J)

マタイの福音書 13:4 まいているうちに、道ばたに落ちた種があった。すると、鳥がきて食べてしまった。 (J)

マタイの福音書 13:5 ほかの種は土の薄い石地に落ちた。そこは土が深くないので、すぐ芽を出したが、 (J)

マタイの福音書 13:6 日が上ると焼けて、根がないために枯れてしまった。 (J)

マタイの福音書 13:7 ほかの種はいばらの地に落ちた。すると、いばらが伸びて、ふさいでしまった。 (J)

マタイの福音書 13:8 ほかの種は良い地に落ちて実を結び、あるものは百倍、あるものは六十倍、あるものは三十倍にもなった。 (J)

マタイの福音書 13:9 耳のある者は聞くがよい」。 (J)

マタイの福音書 13:10 それから、弟子たちがイエスに近寄ってきて言った、「なぜ、彼らに譬でお話しになるのですか」。 (J)

マタイの福音書 13:11 そこでイエスは答えて言われた、「あなたがたには、天国の奥義を知ることが許されているが、彼らには許されていない。 (J)

マタイの福音書 13:12 おおよそ、持っている人は与えられて、いよいよ豊かになるが、持っていない人は、持っているものまでも取り上げられるであろう。 (J)

マタイの福音書 13:13 だから、彼らには譬で語るのである。それは彼らが、見ても見ず、聞いても聞かず、また悟らないからである。 (J)

マタイの福音書 13:14 こうしてイザヤの言った預言が、彼らの上に成就したのである。 『あなたがたは聞くには聞くが、決して悟らない。 見るには見るが、決して認めない。 (J)

マタイの福音書 13:15 この民の心は鈍くなり、 その耳は聞えにくく、 その目は閉じている。 それは、彼らが目で見ず、耳で聞かず、心で悟らず、 悔い改めていやされることがないためである』。 (J)

マタイの福音書 13:16 しかし、あなたがたの目は見ており、耳は聞いているから、さいわいである。 (J)

マタイの福音書 13:17 あなたがたによく言っておく。多くの預言者や義人は、あなたがたの見ていることを見ようと熱心に願ったが、見ることができず、またあなたがたの聞いていることを聞こうとしたが、聞けなかったのである。 (J)

マタイの福音書 13:18 そこで、種まきの譬を聞きなさい。 (J)

マタイの福音書 13:19 だれでも御国の言を聞いて悟らないならば、悪い者がきて、その人の心にまかれたものを奪いとって行く。道ばたにまかれたものというのは、そういう人のことである。 (J)

マタイの福音書 13:20 石地にまかれたものというのは、御言を聞くと、すぐに喜んで受ける人のことである。 (J)

マタイの福音書 13:21 その中に根がないので、しばらく続くだけであって、御言のために困難や迫害が起ってくると、すぐつまずいてしまう。 (J)

マタイの福音書 13:22 また、いばらの中にまかれたものとは、御言を聞くが、世の心づかいと富の惑わしとが御言をふさぐので、実を結ばなくなる人のことである。 (J)

マタイの福音書 13:23 また、良い地にまかれたものとは、御言を聞いて悟る人のことであって、そういう人が実を結び、百倍、あるいは六十倍、あるいは三十倍にもなるのである」。 (J)

マタイの福音書 13:24 また、ほかの譬を彼らに示して言われた、「天国は、良い種を自分の畑にまいておいた人のようなものである。 (J)

マタイの福音書 13:25 人々が眠っている間に敵がきて、麦の中に毒麦をまいて立ち去った。 (J)

マタイの福音書 13:26 芽がはえ出て実を結ぶと、同時に毒麦もあらわれてきた。 (J)

マタイの福音書 13:27 僕たちがきて、家の主人に言った、『ご主人様、畑におまきになったのは、良い種ではありませんでしたか。どうして毒麦がはえてきたのですか』。 (J)

マタイの福音書 13:28 主人は言った、『それは敵のしわざだ』。すると僕たちが言った『では行って、それを抜き集めましょうか』。 (J)

マタイの福音書 13:29 彼は言った、『いや、毒麦を集めようとして、麦も一緒に抜くかも知れない。 (J)

マタイの福音書 13:30 収穫まで、両方とも育つままにしておけ。収穫の時になったら、刈る者に、まず毒麦を集めて束にして焼き、麦の方は集めて倉に入れてくれ、と言いつけよう』」。 (J)

マタイの福音書 13:31 また、ほかの譬を彼らに示して言われた、「天国は、一粒のからし種のようなものである。ある人がそれをとって畑にまくと、 (J)

マタイの福音書 13:32 それはどんな種よりも小さいが、成長すると、野菜の中でいちばん大きくなり、空の鳥がきて、その枝に宿るほどの木になる」。 (J)

マタイの福音書 13:33 またほかの譬を彼らに語られた、「天国は、パン種のようなものである。女がそれを取って三斗の粉の中に混ぜると、全体がふくらんでくる」。 (J)

マタイの福音書 13:34 イエスはこれらのことをすべて、譬で群衆に語られた。譬によらないでは何事も彼らに語られなかった。 (J)

マタイの福音書 13:35 これは預言者によって言われたことが、成就するためである、 「わたしは口を開いて譬を語り、 世の初めから隠されていることを語り出そう」。 (J)

マタイの福音書 13:36 それからイエスは、群衆をあとに残して家にはいられた。すると弟子たちは、みもとにきて言った、「畑の毒麦の譬を説明してください」。 (J)

マタイの福音書 13:37 イエスは答えて言われた、「良い種をまく者は、人の子である。 (J)

マタイの福音書 13:38 畑は世界である。良い種と言うのは御国の子たちで、毒麦は悪い者の子たちである。 (J)

マタイの福音書 13:39 それをまいた敵は悪魔である。収穫とは世の終りのことで、刈る者は御使たちである。 (J)

マタイの福音書 13:40 だから、毒麦が集められて火で焼かれるように、世の終りにもそのとおりになるであろう。 (J)

マタイの福音書 13:41 人の子はその使たちをつかわし、つまずきとなるものと不法を行う者とを、ことごとく御国からとり集めて、 (J)

マタイの福音書 13:42 炉の火に投げ入れさせるであろう。そこでは泣き叫んだり、歯がみをしたりするであろう。 (J)

マタイの福音書 13:43 そのとき、義人たちは彼らの父の御国で、太陽のように輝きわたるであろう。耳のある者は聞くがよい。 (J)

マタイの福音書 13:44 天国は、畑に隠してある宝のようなものである。人がそれを見つけると隠しておき、喜びのあまり、行って持ち物をみな売りはらい、そしてその畑を買うのである。 (J)

マタイの福音書 13:45 また天国は、良い真珠を捜している商人のようなものである。 (J)

マタイの福音書 13:46 高価な真珠一個を見いだすと、行って持ち物をみな売りはらい、そしてこれを買うのである。 (J)

マタイの福音書 13:47 また天国は、海におろして、あらゆる種類の魚を囲みいれる網のようなものである。 (J)

マタイの福音書 13:48 それがいっぱいになると岸に引き上げ、そしてすわって、良いのを器に入れ、悪いのを外へ捨てるのである。 (J)

マタイの福音書 13:49 世の終りにも、そのとおりになるであろう。すなわち、御使たちがきて、義人のうちから悪人をえり分け、 (J)

マタイの福音書 13:50 そして炉の火に投げこむであろう。そこでは泣き叫んだり、歯がみをしたりするであろう。 (J)

マタイの福音書 13:51 あなたがたは、これらのことが皆わかったか」。彼らは「わかりました」と答えた。 (J)

マタイの福音書 13:52 そこで、イエスは彼らに言われた、「それだから、天国のことを学んだ学者は、新しいものと古いものとを、その倉から取り出す一家の主人のようなものである」。 (J)

マタイの福音書 13:53 イエスはこれらの譬を語り終えてから、そこを立ち去られた。 (J)

マタイの福音書 13:54 そして郷里に行き、会堂で人々を教えられたところ、彼らは驚いて言った、「この人は、この知恵とこれらの力あるわざとを、どこで習ってきたのか。 (J)

マタイの福音書 13:55 この人は大工の子ではないか。母はマリヤといい、兄弟たちは、ヤコブ、ヨセフ、シモン、ユダではないか。 (J)

マタイの福音書 13:56 またその姉妹たちもみな、わたしたちと一緒にいるではないか。こんな数々のことを、いったい、どこで習ってきたのか」。 (J)

マタイの福音書 13:57 こうして人々はイエスにつまずいた。しかし、イエスは言われた、「預言者は、自分の郷里や自分の家以外では、どこででも敬われないことはない」。 (J)

マタイの福音書 13:58 そして彼らの不信仰のゆえに、そこでは力あるわざを、あまりなさらなかった。 (J)

マタイの福音書 14:1 そのころ、領主ヘロデはイエスのうわさを聞いて、 (J)

マタイの福音書 14:2 家来に言った、「あれはバプテスマのヨハネだ。死人の中からよみがえったのだ。それで、あのような力が彼のうちに働いているのだ」。 (J)

マタイの福音書 14:3 というのは、ヘロデは先に、自分の兄弟ピリポの妻ヘロデヤのことで、ヨハネを捕えて縛り、獄に入れていた。 (J)

マタイの福音書 14:4 すなわち、ヨハネはヘロデに、「その女をめとるのは、よろしくない」と言ったからである。 (J)

マタイの福音書 14:5 そこでヘロデはヨハネを殺そうと思ったが、群衆を恐れた。彼らがヨハネを預言者と認めていたからである。 (J)

マタイの福音書 14:6 さてヘロデの誕生日の祝に、ヘロデヤの娘がその席上で舞をまい、ヘロデを喜ばせたので、 (J)

マタイの福音書 14:7 彼女の願うものは、なんでも与えようと、彼は誓って約束までした。 (J)

マタイの福音書 14:8 すると彼女は母にそそのかされて、「バプテスマのヨハネの首を盆に載せて、ここに持ってきていただきとうございます」と言った。 (J)

マタイの福音書 14:9 王は困ったが、いったん誓ったのと、また列座の人たちの手前、それを与えるように命じ、 (J)

マタイの福音書 14:10 人をつかわして、獄中でヨハネの首を切らせた。 (J)

マタイの福音書 14:11 その首は盆に載せて運ばれ、少女にわたされ、少女はそれを母のところに持って行った。 (J)

マタイの福音書 14:12 それから、ヨハネの弟子たちがきて、死体を引き取って葬った。そして、イエスのところに行って報告した。 (J)

マタイの福音書 14:13 イエスはこのことを聞くと、舟に乗ってそこを去り、自分ひとりで寂しい所へ行かれた。しかし、群衆はそれと聞いて、町々から徒歩であとを追ってきた。 (J)

マタイの福音書 14:14 イエスは舟から上がって、大ぜいの群衆をごらんになり、彼らを深くあわれんで、そのうちの病人たちをおいやしになった。 (J)

マタイの福音書 14:15 夕方になったので、弟子たちがイエスのもとにきて言った、「ここは寂しい所でもあり、もう時もおそくなりました。群衆を解散させ、めいめいで食物を買いに、村々へ行かせてください」。 (J)

マタイの福音書 14:16 するとイエスは言われた、「彼らが出かけて行くには及ばない。あなたがたの手で食物をやりなさい」。 (J)

マタイの福音書 14:17 弟子たちは言った、「わたしたちはここに、パン五つと魚二ひきしか持っていません」。 (J)

マタイの福音書 14:18 イエスは言われた、「それをここに持ってきなさい」。 (J)

マタイの福音書 14:19 そして群衆に命じて、草の上にすわらせ、五つのパンと二ひきの魚とを手に取り、天を仰いでそれを祝福し、パンをさいて弟子たちに渡された。弟子たちはそれを群衆に与えた。 (J)

マタイの福音書 14:20 みんなの者は食べて満腹した。パンくずの残りを集めると、十二のかごにいっぱいになった。 (J)

マタイの福音書 14:21 食べた者は、女と子供とを除いて、おおよそ五千人であった。 (J)

マタイの福音書 14:22 それからすぐ、イエスは群衆を解散させておられる間に、しいて弟子たちを舟に乗り込ませ、向こう岸へ先におやりになった。 (J)

マタイの福音書 14:23 そして群衆を解散させてから、祈るためひそかに山へ登られた。夕方になっても、ただひとりそこにおられた。 (J)

マタイの福音書 14:24 ところが舟は、もうすでに陸から数丁も離れており、逆風が吹いていたために、波に悩まされていた。 (J)

マタイの福音書 14:25 イエスは夜明けの四時ごろ、海の上を歩いて彼らの方へ行かれた。 (J)

マタイの福音書 14:26 弟子たちは、イエスが海の上を歩いておられるのを見て、幽霊だと言っておじ惑い、恐怖のあまり叫び声をあげた。 (J)

マタイの福音書 14:27 しかし、イエスはすぐに彼らに声をかけて、「しっかりするのだ、わたしである。恐れることはない」と言われた。 (J)

マタイの福音書 14:28 するとペテロが答えて言った、「主よ、あなたでしたか。では、わたしに命じて、水の上を渡ってみもとに行かせてください」。 (J)

マタイの福音書 14:29 イエスは、「おいでなさい」と言われたので、ペテロは舟からおり、水の上を歩いてイエスのところへ行った。 (J)

マタイの福音書 14:30 しかし、風を見て恐ろしくなり、そしておぼれかけたので、彼は叫んで、「主よ、お助けください」と言った。 (J)

マタイの福音書 14:31 イエスはすぐに手を伸ばし、彼をつかまえて言われた、「信仰の薄い者よ、なぜ疑ったのか」。 (J)

マタイの福音書 14:32 ふたりが舟に乗り込むと、風はやんでしまった。 (J)

マタイの福音書 14:33 舟の中にいた者たちはイエスを拝して、「ほんとうに、あなたは神の子です」と言った。 (J)

マタイの福音書 14:34 それから、彼らは海を渡ってゲネサレの地に着いた。 (J)

マタイの福音書 14:35 するとその土地の人々はイエスと知って、その附近全体に人をつかわし、イエスのところに病人をみな連れてこさせた。 (J)

マタイの福音書 14:36 そして彼らにイエスの上着のふさにでも、さわらせてやっていただきたいとお願いした。そしてさわった者は皆いやされた。 (J)

マタイの福音書 15:1 ときに、パリサイ人と律法学者たちとが、エルサレムからイエスのもとにきて言った、 (J)

マタイの福音書 15:2 「あなたの弟子たちは、なぜ昔の人々の言伝えを破るのですか。彼らは食事の時に手を洗っていません」。 (J)

マタイの福音書 15:3 イエスは答えて言われた、「なぜ、あなたがたも自分たちの言伝えによって、神のいましめを破っているのか。 (J)

マタイの福音書 15:4 神は言われた、『父と母とを敬え』、また『父または母をののしる者は、必ず死に定められる』と。 (J)

マタイの福音書 15:5 それだのに、あなたがたは『だれでも父または母にむかって、あなたにさしあげるはずのこのものは供え物です、と言えば、 (J)

マタイの福音書 15:6 父または母を敬わなくてもよろしい』と言っている。こうしてあなたがたは自分たちの言伝えによって、神の言を無にしている。 (J)

マタイの福音書 15:7 偽善者たちよ、イザヤがあなたがたについて、こういう適切な預言をしている、 (J)

マタイの福音書 15:8 『この民は、口さきではわたしを敬うが、 その心はわたしから遠く離れている。 (J)

マタイの福音書 15:9 人間のいましめを教として教え、 無意味にわたしを拝んでいる』」。 (J)

マタイの福音書 15:10 それからイエスは群衆を呼び寄せて言われた、「聞いて悟るがよい。 (J)

マタイの福音書 15:11 口にはいるものは人を汚すことはない。かえって、口から出るものが人を汚すのである」。 (J)

マタイの福音書 15:12 そのとき、弟子たちが近寄ってきてイエスに言った、「パリサイ人たちが御言を聞いてつまずいたことを、ご存じですか」。 (J)

マタイの福音書 15:13 イエスは答えて言われた、「わたしの天の父がお植えにならなかったものは、みな抜き取られるであろう。 (J)

マタイの福音書 15:14 彼らをそのままにしておけ。彼らは盲人を手引きする盲人である。もし盲人が盲人を手引きするなら、ふたりとも穴に落ち込むであろう」。 (J)

マタイの福音書 15:15 ペテロが答えて言った、「その譬を説明してください」。 (J)

マタイの福音書 15:16 イエスは言われた、「あなたがたも、まだわからないのか。 (J)

マタイの福音書 15:17 口にはいってくるものは、みな腹の中にはいり、そして、外に出て行くことを知らないのか。 (J)

マタイの福音書 15:18 しかし、口から出て行くものは、心の中から出てくるのであって、それが人を汚すのである。 (J)

マタイの福音書 15:19 というのは、悪い思い、すなわち、殺人、姦淫、不品行、盗み、偽証、誹りは、心の中から出てくるのであって、 (J)

マタイの福音書 15:20 これらのものが人を汚すのである。しかし、洗わない手で食事することは、人を汚すのではない」。 (J)

マタイの福音書 15:21 さて、イエスはそこを出て、ツロとシドンとの地方へ行かれた。 (J)

マタイの福音書 15:22 すると、そこへ、その地方出のカナンの女が出てきて、「主よ、ダビデの子よ、わたしをあわれんでください。娘が悪霊にとりつかれて苦しんでいます」と言って叫びつづけた。 (J)

マタイの福音書 15:23 しかし、イエスはひと言もお答えにならなかった。そこで弟子たちがみもとにきて願って言った、「この女を追い払ってください。叫びながらついてきていますから」。 (J)

マタイの福音書 15:24 するとイエスは答えて言われた、「わたしは、イスラエルの家の失われた羊以外の者には、つかわされていない」。 (J)

マタイの福音書 15:25 しかし、女は近寄りイエスを拝して言った、「主よ、わたしをお助けください」。 (J)

マタイの福音書 15:26 イエスは答えて言われた、「子供たちのパンを取って小犬に投げてやるのは、よろしくない」。 (J)

マタイの福音書 15:27 すると女は言った、「主よ、お言葉どおりです。でも、小犬もその主人の食卓から落ちるパンくずは、いただきます」。 (J)

マタイの福音書 15:28 そこでイエスは答えて言われた、「女よ、あなたの信仰は見あげたものである。あなたの願いどおりになるように」。その時に、娘はいやされた。 (J)

マタイの福音書 15:29 イエスはそこを去って、ガリラヤの海べに行き、それから山に登ってそこにすわられた。 (J)

マタイの福音書 15:30 すると大ぜいの群衆が、足なえ、不具者、盲人、おし、そのほか多くの人々を連れてきて、イエスの足もとに置いたので、彼らをおいやしになった。 (J)

マタイの福音書 15:31 群衆は、おしが物を言い、不具者が直り、足なえが歩き、盲人が見えるようになったのを見て驚き、そしてイスラエルの神をほめたたえた。 (J)

マタイの福音書 15:32 イエスは弟子たちを呼び寄せて言われた、「この群衆がかわいそうである。もう三日間もわたしと一緒にいるのに、何も食べるものがない。しかし、彼らを空腹のままで帰らせたくはない。恐らく途中で弱り切ってしまうであろう」。 (J)

マタイの福音書 15:33 弟子たちは言った、「荒野の中で、こんなに大ぜいの群衆にじゅうぶん食べさせるほどたくさんのパンを、どこで手に入れましょうか」。 (J)

マタイの福音書 15:34 イエスは弟子たちに「パンはいくつあるか」と尋ねられると、「七つあります。また小さい魚が少しあります」と答えた。 (J)

マタイの福音書 15:35 そこでイエスは群衆に、地にすわるようにと命じ、 (J)

マタイの福音書 15:36 七つのパンと魚とを取り、感謝してこれをさき、弟子たちにわたされ、弟子たちはこれを群衆にわけた。 (J)

マタイの福音書 15:37 一同の者は食べて満腹した。そして残ったパンくずを集めると、七つのかごにいっぱいになった。 (J)

マタイの福音書 15:38 食べた者は、女と子供とを除いて四千人であった。 (J)

マタイの福音書 15:39 そこでイエスは群衆を解散させ、舟に乗ってマガダンの地方へ行かれた。 (J)

マタイの福音書 16:1 パリサイ人とサドカイ人とが近寄ってきて、イエスを試み、天からのしるしを見せてもらいたいと言った。 (J)

マタイの福音書 16:2 イエスは彼らに言われた、「あなたがたは夕方になると、『空がまっかだから、晴だ』と言い、 (J)

マタイの福音書 16:3 また明け方には『空が曇ってまっかだから、きょうは荒れだ』と言う。あなたがたは空の模様を見分けることを知りながら、時のしるしを見分けることができないのか。 (J)

マタイの福音書 16:4 邪悪で不義な時代は、しるしを求める。しかし、ヨナのしるしのほかには、なんのしるしも与えられないであろう」。そして、イエスは彼らをあとに残して立ち去られた。 (J)

マタイの福音書 16:5 弟子たちは向こう岸に行ったが、パンを持って来るのを忘れていた。 (J)

マタイの福音書 16:6 そこでイエスは言われた、「パリサイ人とサドカイ人とのパン種を、よくよく警戒せよ」。 (J)

マタイの福音書 16:7 弟子たちは、これは自分たちがパンを持ってこなかったためであろうと言って、互に論じ合った。 (J)

マタイの福音書 16:8 イエスはそれと知って言われた、「信仰の薄い者たちよ、なぜパンがないからだと互に論じ合っているのか。 (J)

マタイの福音書 16:9 まだわからないのか。覚えていないのか。五つのパンを五千人に分けたとき、幾かご拾ったか。 (J)

マタイの福音書 16:10 また、七つのパンを四千人に分けたとき、幾かご拾ったか。 (J)

マタイの福音書 16:11 わたしが言ったのは、パンについてではないことを、どうして悟らないのか。ただ、パリサイ人とサドカイ人とのパン種を警戒しなさい」。 (J)

マタイの福音書 16:12 そのとき彼らは、イエスが警戒せよと言われたのは、パン種のことではなく、パリサイ人とサドカイ人との教のことであると悟った。 (J)

マタイの福音書 16:13 イエスがピリポ・カイザリヤの地方に行かれたとき、弟子たちに尋ねて言われた、「人々は人の子をだれと言っているか」。 (J)

マタイの福音書 16:14 彼らは言った、「ある人々はバプテスマのヨハネだと言っています。しかし、ほかの人たちは、エリヤだと言い、また、エレミヤあるいは預言者のひとりだ、と言っている者もあります」。 (J)

マタイの福音書 16:15 そこでイエスは彼らに言われた、「それでは、あなたがたはわたしをだれと言うか」。 (J)

マタイの福音書 16:16 シモン・ペテロが答えて言った、「あなたこそ、生ける神の子キリストです」。 (J)

マタイの福音書 16:17 すると、イエスは彼にむかって言われた、「バルヨナ・シモン、あなたはさいわいである。あなたにこの事をあらわしたのは、血肉ではなく、天にいますわたしの父である。 (J)

マタイの福音書 16:18 そこで、わたしもあなたに言う。あなたはペテロである。そして、わたしはこの岩の上にわたしの教会を建てよう。黄泉の力もそれに打ち勝つことはない。 (J)

マタイの福音書 16:19 わたしは、あなたに天国のかぎを授けよう。そして、あなたが地上でつなぐことは、天でもつながれ、あなたが地上で解くことは天でも解かれるであろう」。 (J)

マタイの福音書 16:20 そのとき、イエスは、自分がキリストであることをだれにも言ってはいけないと、弟子たちを戒められた。 (J)

マタイの福音書 16:21 この時から、イエス・キリストは、自分が必ずエルサレムに行き、長老、祭司長、律法学者たちから多くの苦しみを受け、殺され、そして三日目によみがえるべきことを、弟子たちに示しはじめられた。 (J)

マタイの福音書 16:22 すると、ペテロはイエスをわきへ引き寄せて、いさめはじめ、「主よ、とんでもないことです。そんなことがあるはずはございません」と言った。 (J)

マタイの福音書 16:23 イエスは振り向いて、ペテロに言われた、「サタンよ、引きさがれ。わたしの邪魔をする者だ。あなたは神のことを思わないで、人のことを思っている」。 (J)

マタイの福音書 16:24 それからイエスは弟子たちに言われた、「だれでもわたしについてきたいと思うなら、自分を捨て、自分の十字架を負うて、わたしに従ってきなさい。 (J)

マタイの福音書 16:25 自分の命を救おうと思う者はそれを失い、わたしのために自分の命を失う者は、それを見いだすであろう。 (J)

マタイの福音書 16:26 たとい人が全世界をもうけても、自分の命を損したら、なんの得になろうか。また、人はどんな代価を払って、その命を買いもどすことができようか。 (J)

マタイの福音書 16:27 人の子は父の栄光のうちに、御使たちを従えて来るが、その時には、実際のおこないに応じて、それぞれに報いるであろう。 (J)

マタイの福音書 16:28 よく聞いておくがよい、人の子が御国の力をもって来るのを見るまでは、死を味わわない者が、ここに立っている者の中にいる」。 (J)

マタイの福音書 17:1 六日ののち、イエスはペテロ、ヤコブ、ヤコブの兄弟ヨハネだけを連れて、高い山に登られた。 (J)

マタイの福音書 17:2 ところが、彼らの目の前でイエスの姿が変り、その顔は日のように輝き、その衣は光のように白くなった。 (J)

マタイの福音書 17:3 すると、見よ、モーセとエリヤが彼らに現れて、イエスと語り合っていた。 (J)

マタイの福音書 17:4 ペテロはイエスにむかって言った、「主よ、わたしたちがここにいるのは、すばらしいことです。もし、おさしつかえなければ、わたしはここに小屋を三つ建てましょう。一つはあなたのために、一つはモーセのために、一つはエリヤのために」。 (J)

マタイの福音書 17:5 彼がまだ話し終えないうちに、たちまち、輝く雲が彼らをおおい、そして雲の中から声がした、「これはわたしの愛する子、わたしの心にかなう者である。これに聞け」。 (J)

マタイの福音書 17:6 弟子たちはこれを聞いて非常に恐れ、顔を地に伏せた。 (J)

マタイの福音書 17:7 イエスは近づいてきて、手を彼らにおいて言われた、「起きなさい、恐れることはない」。 (J)

マタイの福音書 17:8 彼らが目をあげると、イエスのほかには、だれも見えなかった。 (J)

マタイの福音書 17:9 一同が山を下って来るとき、イエスは「人の子が死人の中からよみがえるまでは、いま見たことをだれにも話してはならない」と、彼らに命じられた。 (J)

マタイの福音書 17:10 弟子たちはイエスにお尋ねして言った、「いったい、律法学者たちは、なぜ、エリヤが先に来るはずだと言っているのですか」。 (J)

マタイの福音書 17:11 答えて言われた、「確かに、エリヤがきて、万事を元どおりに改めるであろう。 (J)

マタイの福音書 17:12 しかし、あなたがたに言っておく。エリヤはすでにきたのだ。しかし人々は彼を認めず、自分かってに彼をあしらった。人の子もまた、そのように彼らから苦しみを受けることになろう」。 (J)

マタイの福音書 17:13 そのとき、弟子たちは、イエスがバプテスマのヨハネのことを言われたのだと悟った。 (J)

マタイの福音書 17:14 さて彼らが群衆のところに帰ると、ひとりの人がイエスに近寄ってきて、ひざまずいて、言った、 (J)

マタイの福音書 17:15 「主よ、わたしの子をあわれんでください。てんかんで苦しんでおります。何度も何度も火の中や水の中に倒れるのです。 (J)

マタイの福音書 17:16 それで、その子をお弟子たちのところに連れてきましたが、なおしていただけませんでした」。 (J)

マタイの福音書 17:17 イエスは答えて言われた、「ああ、なんという不信仰な、曲った時代であろう。いつまで、わたしはあなたがたと一緒におられようか。いつまであなたがたに我慢ができようか。その子をここに、わたしのところに連れてきなさい」。 (J)

マタイの福音書 17:18 イエスがおしかりになると、悪霊はその子から出て行った。そして子はその時いやされた。 (J)

マタイの福音書 17:19 それから、弟子たちがひそかにイエスのもとにきて言った、「わたしたちは、どうして霊を追い出せなかったのですか」。 (J)

マタイの福音書 17:20 するとイエスは言われた、「あなたがたの信仰が足りないからである。よく言い聞かせておくが、もし、からし種一粒ほどの信仰があるなら、この山にむかって『ここからあそこに移れ』と言えば、移るであろう。このように、あなたがたにできない事は、何もないであろう。〔 (J)

マタイの福音書 17:21 しかし、このたぐいは、祈と断食とによらなければ、追い出すことはできない〕」。 (J)

マタイの福音書 17:22 彼らがガリラヤで集まっていた時、イエスは言われた、「人の子は人々の手にわたされ、 (J)

マタイの福音書 17:23 彼らに殺され、そして三日目によみがえるであろう」。弟子たちは非常に心をいためた。 (J)

マタイの福音書 17:24 彼らがカペナウムにきたとき、宮の納入金を集める人たちがペテロのところにきて言った、「あなたがたの先生は宮の納入金を納めないのか」。 (J)

マタイの福音書 17:25 ペテロは「納めておられます」と言った。そして彼が家にはいると、イエスから先に話しかけて言われた、「シモン、あなたはどう思うか。この世の王たちは税や貢をだれから取るのか。自分の子からか、それとも、ほかの人たちからか」。 (J)

マタイの福音書 17:26 ペテロが「ほかの人たちからです」と答えると、イエスは言われた、「それでは、子は納めなくてもよいわけである。 (J)

マタイの福音書 17:27 しかし、彼らをつまずかせないために、海に行って、つり針をたれなさい。そして最初につれた魚をとって、その口をあけると、銀貨一枚が見つかるであろう。それをとり出して、わたしとあなたのために納めなさい」。 (J)

マタイの福音書 18:1 そのとき、弟子たちがイエスのもとにきて言った、「いったい、天国ではだれがいちばん偉いのですか」。 (J)

マタイの福音書 18:2 すると、イエスは幼な子を呼び寄せ、彼らのまん中に立たせて言われた、 (J)

マタイの福音書 18:3 「よく聞きなさい。心をいれかえて幼な子のようにならなければ、天国にはいることはできないであろう。 (J)

マタイの福音書 18:4 この幼な子のように自分を低くする者が、天国でいちばん偉いのである。 (J)

マタイの福音書 18:5 また、だれでも、このようなひとりの幼な子を、わたしの名のゆえに受けいれる者は、わたしを受けいれるのである。 (J)

マタイの福音書 18:6 しかし、わたしを信ずるこれらの小さい者のひとりをつまずかせる者は、大きなひきうすを首にかけられて海の深みに沈められる方が、その人の益になる。 (J)

マタイの福音書 18:7 この世は、罪の誘惑があるから、わざわいである。罪の誘惑は必ず来る。しかし、それをきたらせる人は、わざわいである。 (J)

マタイの福音書 18:8 もしあなたの片手または片足が、罪を犯させるなら、それを切って捨てなさい。両手、両足がそろったままで、永遠の火に投げ込まれるよりは、片手、片足になって命に入る方がよい。 (J)

マタイの福音書 18:9 もしあなたの片目が罪を犯させるなら、それを抜き出して捨てなさい。両眼がそろったままで地獄の火に投げ入れられるよりは、片目になって命に入る方がよい。 (J)

マタイの福音書 18:10 あなたがたは、これらの小さい者のひとりをも軽んじないように、気をつけなさい。あなたがたに言うが、彼らの御使たちは天にあって、天にいますわたしの父のみ顔をいつも仰いでいるのである。〔 (J)

マタイの福音書 18:11 人の子は、滅びる者を救うためにきたのである。〕 (J)

マタイの福音書 18:12 あなたがたはどう思うか。ある人に百匹の羊があり、その中の一匹が迷い出たとすれば、九十九匹を山に残しておいて、その迷い出ている羊を捜しに出かけないであろうか。 (J)

マタイの福音書 18:13 もしそれを見つけたなら、よく聞きなさい、迷わないでいる九十九匹のためよりも、むしろその一匹のために喜ぶであろう。 (J)

マタイの福音書 18:14 そのように、これらの小さい者のひとりが滅びることは、天にいますあなたがたの父のみこころではない。 (J)

マタイの福音書 18:15 もしあなたの兄弟が罪を犯すなら、行って、彼とふたりだけの所で忠告しなさい。もし聞いてくれたら、あなたの兄弟を得たことになる。 (J)

マタイの福音書 18:16 もし聞いてくれないなら、ほかにひとりふたりを、一緒に連れて行きなさい。それは、ふたりまたは三人の証人の口によって、すべてのことがらが確かめられるためである。 (J)

マタイの福音書 18:17 もし彼らの言うことを聞かないなら、教会に申し出なさい。もし教会の言うことも聞かないなら、その人を異邦人または取税人同様に扱いなさい。 (J)

マタイの福音書 18:18 よく言っておく。あなたがたが地上でつなぐことは、天でも皆つながれ、あなたがたが地上で解くことは、天でもみな解かれるであろう。 (J)

マタイの福音書 18:19 また、よく言っておく。もしあなたがたのうちのふたりが、どんな願い事についても地上で心を合わせるなら、天にいますわたしの父はそれをかなえて下さるであろう。 (J)

マタイの福音書 18:20 ふたりまたは三人が、わたしの名によって集まっている所には、わたしもその中にいるのである」。 (J)

マタイの福音書 18:21 そのとき、ペテロがイエスのもとにきて言った、「主よ、兄弟がわたしに対して罪を犯した場合、幾たびゆるさねばなりませんか。七たびまでですか」。 (J)

マタイの福音書 18:22 イエスは彼に言われた、「わたしは七たびまでとは言わない。七たびを七十倍するまでにしなさい。 (J)

マタイの福音書 18:23 それだから、天国は王が僕たちと決算をするようなものだ。 (J)

マタイの福音書 18:24 決算が始まると、一万タラントの負債のある者が、王のところに連れられてきた。 (J)

マタイの福音書 18:25 しかし、返せなかったので、主人は、その人自身とその妻子と持ち物全部とを売って返すように命じた。 (J)

マタイの福音書 18:26 そこで、この僕はひれ伏して哀願した、『どうぞお待ちください。全部お返しいたしますから』。 (J)

マタイの福音書 18:27 僕の主人はあわれに思って、彼をゆるし、その負債を免じてやった。 (J)

マタイの福音書 18:28 その僕が出て行くと、百デナリを貸しているひとりの仲間に出会い、彼をつかまえ、首をしめて『借金を返せ』と言った。 (J)

マタイの福音書 18:29 そこでこの仲間はひれ伏し、『どうか待ってくれ。返すから』と言って頼んだ。 (J)

マタイの福音書 18:30 しかし承知せずに、その人をひっぱって行って、借金を返すまで獄に入れた。 (J)

マタイの福音書 18:31 その人の仲間たちは、この様子を見て、非常に心をいため、行ってそのことをのこらず主人に話した。 (J)

マタイの福音書 18:32 そこでこの主人は彼を呼びつけて言った、『悪い僕、わたしに願ったからこそ、あの負債を全部ゆるしてやったのだ。 (J)

マタイの福音書 18:33 わたしがあわれんでやったように、あの仲間をあわれんでやるべきではなかったか』。 (J)

マタイの福音書 18:34 そして主人は立腹して、負債全部を返してしまうまで、彼を獄吏に引きわたした。 (J)

マタイの福音書 18:35 あなたがためいめいも、もし心から兄弟をゆるさないならば、わたしの天の父もまたあなたがたに対して、そのようになさるであろう」。 (J)

マタイの福音書 19:1 イエスはこれらのことを語り終えられてから、ガリラヤを去ってヨルダンの向こうのユダヤの地方へ行かれた。 (J)

マタイの福音書 19:2 すると大ぜいの群衆がついてきたので、彼らをそこでおいやしになった。 (J)

マタイの福音書 19:3 さてパリサイ人たちが近づいてきて、イエスを試みようとして言った、「何かの理由で、夫がその妻を出すのは、さしつかえないでしょうか」。 (J)

マタイの福音書 19:4 イエスは答えて言われた、「あなたがたはまだ読んだことがないのか。『創造者は初めから人を男と女とに造られ、 (J)

マタイの福音書 19:5 そして言われた、それゆえに、人は父母を離れ、その妻と結ばれ、ふたりの者は一体となるべきである』。 (J)

マタイの福音書 19:6 彼らはもはや、ふたりではなく一体である。だから、神が合わせられたものを、人は離してはならない」。 (J)

マタイの福音書 19:7 彼らはイエスに言った、「それでは、なぜモーセは、妻を出す場合には離縁状を渡せ、と定めたのですか」。 (J)

マタイの福音書 19:8 イエスが言われた、「モーセはあなたがたの心が、かたくななので、妻を出すことを許したのだが、初めからそうではなかった。 (J)

マタイの福音書 19:9 そこでわたしはあなたがたに言う。不品行のゆえでなくて、自分の妻を出して他の女をめとる者は、姦淫を行うのである」。 (J)

マタイの福音書 19:10 弟子たちは言った、「もし妻に対する夫の立場がそうだとすれば、結婚しない方がましです」。 (J)

マタイの福音書 19:11 するとイエスは彼らに言われた、「その言葉を受けいれることができるのはすべての人ではなく、ただそれを授けられている人々だけである。 (J)

マタイの福音書 19:12 というのは、母の胎内から独身者に生れついているものがあり、また他から独身者にされたものもあり、また天国のために、みずから進んで独身者となったものもある。この言葉を受けられる者は、受けいれるがよい」。 (J)

マタイの福音書 19:13 そのとき、イエスに手をおいて祈っていただくために、人々が幼な子らをみもとに連れてきた。ところが、弟子たちは彼らをたしなめた。 (J)

マタイの福音書 19:14 するとイエスは言われた、「幼な子らをそのままにしておきなさい。わたしのところに来るのをとめてはならない。天国はこのような者の国である」。 (J)

マタイの福音書 19:15 そして手を彼らの上においてから、そこを去って行かれた。 (J)

マタイの福音書 19:16 すると、ひとりの人がイエスに近寄ってきて言った、「先生、永遠の生命を得るためには、どんなよいことをしたらいいでしょうか」。 (J)

マタイの福音書 19:17 イエスは言われた、「なぜよい事についてわたしに尋ねるのか。よいかたはただひとりだけである。もし命に入りたいと思うなら、いましめを守りなさい」。 (J)

マタイの福音書 19:18 彼は言った、「どのいましめですか」。イエスは言われた、「『殺すな、姦淫するな、盗むな、偽証を立てるな。 (J)

マタイの福音書 19:19 父と母とを敬え』。また『自分を愛するように、あなたの隣り人を愛せよ』」。 (J)

マタイの福音書 19:20 この青年はイエスに言った、「それはみな守ってきました。ほかに何が足りないのでしょう」。 (J)

マタイの福音書 19:21 イエスは彼に言われた、「もしあなたが完全になりたいと思うなら、帰ってあなたの持ち物を売り払い、貧しい人々に施しなさい。そうすれば、天に宝を持つようになろう。そして、わたしに従ってきなさい」。 (J)

マタイの福音書 19:22 この言葉を聞いて、青年は悲しみながら立ち去った。たくさんの資産を持っていたからである。 (J)

マタイの福音書 19:23 それからイエスは弟子たちに言われた、「よく聞きなさい。富んでいる者が天国にはいるのは、むずかしいものである。 (J)

マタイの福音書 19:24 また、あなたがたに言うが、富んでいる者が神の国にはいるよりは、らくだが針の穴を通る方が、もっとやさしい」。 (J)

マタイの福音書 19:25 弟子たちはこれを聞いて非常に驚いて言った、「では、だれが救われることができるのだろう」。 (J)

マタイの福音書 19:26 イエスは彼らを見つめて言われた、「人にはそれはできないが、神にはなんでもできない事はない」。 (J)

マタイの福音書 19:27 そのとき、ペテロがイエスに答えて言った、「ごらんなさい、わたしたちはいっさいを捨てて、あなたに従いました。ついては、何がいただけるでしょうか」。 (J)

マタイの福音書 19:28 イエスは彼らに言われた、「よく聞いておくがよい。世が改まって、人の子がその栄光の座につく時には、わたしに従ってきたあなたがたもまた、十二の位に座してイスラエルの十二の部族をさばくであろう。 (J)

マタイの福音書 19:29 おおよそ、わたしの名のために、家、兄弟、姉妹、父、母、子、もしくは畑を捨てた者は、その幾倍もを受け、また永遠の生命を受けつぐであろう。 (J)

マタイの福音書 19:30 しかし、多くの先の者はあとになり、あとの者は先になるであろう。 (J)

マタイの福音書 20:1 天国は、ある家の主人が、自分のぶどう園に労働者を雇うために、夜が明けると同時に、出かけて行くようなものである。 (J)

マタイの福音書 20:2 彼は労働者たちと、一日一デナリの約束をして、彼らをぶどう園に送った。 (J)

マタイの福音書 20:3 それから九時ごろに出て行って、他の人々が市場で何もせずに立っているのを見た。 (J)

マタイの福音書 20:4 そして、その人たちに言った、『あなたがたも、ぶどう園に行きなさい。相当な賃銀を払うから』。 (J)

マタイの福音書 20:5 そこで、彼らは出かけて行った。主人はまた、十二時ごろと三時ごろとに出て行って、同じようにした。 (J)

マタイの福音書 20:6 五時ごろまた出て行くと、まだ立っている人々を見たので、彼らに言った、『なぜ、何もしないで、一日中ここに立っていたのか』。 (J)

マタイの福音書 20:7 彼らが『だれもわたしたちを雇ってくれませんから』と答えたので、その人々に言った、『あなたがたも、ぶどう園に行きなさい』。 (J)

マタイの福音書 20:8 さて、夕方になって、ぶどう園の主人は管理人に言った、『労働者たちを呼びなさい。そして、最後にきた人々からはじめて順々に最初にきた人々にわたるように、賃銀を払ってやりなさい』。 (J)

マタイの福音書 20:9 そこで、五時ごろに雇われた人々がきて、それぞれ一デナリずつもらった。 (J)

マタイの福音書 20:10 ところが、最初の人々がきて、もっと多くもらえるだろうと思っていたのに、彼らも一デナリずつもらっただけであった。 (J)

マタイの福音書 20:11 もらったとき、家の主人にむかって不平をもらして (J)

マタイの福音書 20:12 言った、『この最後の者たちは一時間しか働かなかったのに、あなたは一日じゅう、労苦と暑さを辛抱したわたしたちと同じ扱いをなさいました』。 (J)

マタイの福音書 20:13 そこで彼はそのひとりに答えて言った、『友よ、わたしはあなたに対して不正をしてはいない。あなたはわたしと一デナリの約束をしたではないか。 (J)

マタイの福音書 20:14 自分の賃銀をもらって行きなさい。わたしは、この最後の者にもあなたと同様に払ってやりたいのだ。 (J)

マタイの福音書 20:15 自分の物を自分がしたいようにするのは、当りまえではないか。それともわたしが気前よくしているので、ねたましく思うのか』。 (J)

マタイの福音書 20:16 このように、あとの者は先になり、先の者はあとになるであろう」。 (J)

マタイの福音書 20:17 さて、イエスはエルサレムへ上るとき、十二弟子をひそかに呼びよせ、その途中で彼らに言われた、 (J)

マタイの福音書 20:18 「見よ、わたしたちはエルサレムへ上って行くが、人の子は祭司長、律法学者たちの手に渡されるであろう。彼らは彼に死刑を宣告し、 (J)

マタイの福音書 20:19 そして彼をあざけり、むち打ち、十字架につけさせるために、異邦人に引きわたすであろう。そして彼は三日目によみがえるであろう」。 (J)

マタイの福音書 20:20 そのとき、ゼベダイの子らの母が、その子らと一緒にイエスのもとにきてひざまずき、何事かをお願いした。 (J)

マタイの福音書 20:21 そこでイエスは彼女に言われた、「何をしてほしいのか」。彼女は言った、「わたしのこのふたりのむすこが、あなたの御国で、ひとりはあなたの右に、ひとりは左にすわれるように、お言葉をください」。 (J)

マタイの福音書 20:22 イエスは答えて言われた、「あなたがたは、自分が何を求めているのか、わかっていない。わたしの飲もうとしている杯を飲むことができるか」。彼らは「できます」と答えた。 (J)

マタイの福音書 20:23 イエスは彼らに言われた、「確かに、あなたがたはわたしの杯を飲むことになろう。しかし、わたしの右、左にすわらせることは、わたしのすることではなく、わたしの父によって備えられている人々だけに許されることである」。 (J)

マタイの福音書 20:24 十人の者はこれを聞いて、このふたりの兄弟たちのことで憤慨した。 (J)

マタイの福音書 20:25 そこで、イエスは彼らを呼び寄せて言われた、「あなたがたの知っているとおり、異邦人の支配者たちはその民を治め、また偉い人たちは、その民の上に権力をふるっている。 (J)

マタイの福音書 20:26 あなたがたの間ではそうであってはならない。かえって、あなたがたの間で偉くなりたいと思う者は、仕える人となり、 (J)

マタイの福音書 20:27 あなたがたの間でかしらになりたいと思う者は、僕とならねばならない。 (J)

マタイの福音書 20:28 それは、人の子がきたのも、仕えられるためではなく、仕えるためであり、また多くの人のあがないとして、自分の命を与えるためであるのと、ちょうど同じである」。 (J)

マタイの福音書 20:29 それから、彼らがエリコを出て行ったとき、大ぜいの群衆がイエスに従ってきた。 (J)

マタイの福音書 20:30 すると、ふたりの盲人が道ばたにすわっていたが、イエスがとおって行かれると聞いて、叫んで言った、「主よ、ダビデの子よ、わたしたちをあわれんで下さい」。 (J)

マタイの福音書 20:31 群衆は彼らをしかって黙らせようとしたが、彼らはますます叫びつづけて言った、「主よ、ダビデの子よ、わたしたちをあわれんで下さい」。 (J)

マタイの福音書 20:32 イエスは立ちどまり、彼らを呼んで言われた、「わたしに何をしてほしいのか」。 (J)

マタイの福音書 20:33 彼らは言った、「主よ、目をあけていただくことです」。 (J)

マタイの福音書 20:34 イエスは深くあわれんで、彼らの目にさわられた。すると彼らは、たちまち見えるようになり、イエスに従って行った。 (J)

マタイの福音書 21:1 さて、彼らがエルサレムに近づき、オリブ山沿いのベテパゲに着いたとき、イエスはふたりの弟子をつかわして言われた、 (J)

マタイの福音書 21:2 「向こうの村へ行きなさい。するとすぐ、ろばがつながれていて、子ろばがそばにいるのを見るであろう。それを解いてわたしのところに引いてきなさい。 (J)

マタイの福音書 21:3 もしだれかが、あなたがたに何か言ったなら、主がお入り用なのです、と言いなさい。そう言えば、すぐ渡してくれるであろう」。 (J)

マタイの福音書 21:4 こうしたのは、預言者によって言われたことが、成就するためである。 (J)

マタイの福音書 21:5 すなわち、 「シオンの娘に告げよ、 見よ、あなたの王がおいでになる、 柔和なおかたで、ろばに乗って、 くびきを負うろばの子に乗って」。 (J)

マタイの福音書 21:6 弟子たちは出て行って、イエスがお命じになったとおりにし、 (J)

マタイの福音書 21:7 ろばと子ろばとを引いてきた。そしてその上に自分たちの上着をかけると、イエスはそれにお乗りになった。 (J)

マタイの福音書 21:8 群衆のうち多くの者は自分たちの上着を道に敷き、また、ほかの者たちは木の枝を切ってきて道に敷いた。 (J)

マタイの福音書 21:9 そして群衆は、前に行く者も、あとに従う者も、共に叫びつづけた、 「ダビデの子に、ホサナ。 主の御名によってきたる者に、祝福あれ。 いと高き所に、ホサナ」。 (J)

マタイの福音書 21:10 イエスがエルサレムにはいって行かれたとき、町中がこぞって騒ぎ立ち、「これは、いったい、どなただろう」と言った。 (J)

マタイの福音書 21:11 そこで群衆は、「この人はガリラヤのナザレから出た預言者イエスである」と言った。 (J)

マタイの福音書 21:12 それから、イエスは宮にはいられた。そして、宮の庭で売り買いしていた人々をみな追い出し、また両替人の台や、はとを売る者の腰掛をくつがえされた。 (J)

マタイの福音書 21:13 そして彼らに言われた、「『わたしの家は、祈の家ととなえらるべきである』と書いてある。それだのに、あなたがたはそれを強盗の巣にしている」。 (J)

マタイの福音書 21:14 そのとき宮の庭で、盲人や足なえがみもとにきたので、彼らをおいやしになった。 (J)

マタイの福音書 21:15 しかし、祭司長、律法学者たちは、イエスがなされた不思議なわざを見、また宮の庭で「ダビデの子に、ホサナ」と叫んでいる子供たちを見て立腹し、 (J)

マタイの福音書 21:16 イエスに言った、「あの子たちが何を言っているのか、お聞きですか」。イエスは彼らに言われた、「そうだ、聞いている。あなたがたは『幼な子、乳のみ子たちの口にさんびを備えられた』とあるのを読んだことがないのか」。 (J)

マタイの福音書 21:17 それから、イエスは彼らをあとに残し、都を出てベタニヤに行き、そこで夜を過ごされた。 (J)

マタイの福音書 21:18 朝はやく都に帰るとき、イエスは空腹をおぼえられた。 (J)

マタイの福音書 21:19 そして、道のかたわらに一本のいちじくの木があるのを見て、そこに行かれたが、ただ葉のほかは何も見当らなかった。そこでその木にむかって、「今から後いつまでも、おまえには実がならないように」と言われた。すると、いちじくの木はたちまち枯れた。 (J)

マタイの福音書 21:20 弟子たちはこれを見て、驚いて言った、「いちじくがどうして、こうすぐに枯れたのでしょう」。 (J)

マタイの福音書 21:21 イエスは答えて言われた、「よく聞いておくがよい。もしあなたがたが信じて疑わないならば、このいちじくにあったようなことが、できるばかりでなく、この山にむかって、動き出して海の中にはいれと言っても、そのとおりになるであろう。 (J)

マタイの福音書 21:22 また、祈のとき、信じて求めるものは、みな与えられるであろう」。 (J)

マタイの福音書 21:23 イエスが宮にはいられたとき、祭司長たちや民の長老たちが、その教えておられる所にきて言った、「何の権威によって、これらの事をするのですか。だれが、そうする権威を授けたのですか」。 (J)

マタイの福音書 21:24 そこでイエスは彼らに言われた、「わたしも一つだけ尋ねよう。あなたがたがそれに答えてくれたなら、わたしも、何の権威によってこれらの事をするのか、あなたがたに言おう。 (J)

マタイの福音書 21:25 ヨハネのバプテスマはどこからきたのであったか。天からであったか、人からであったか」。すると、彼らは互に論じて言った、「もし天からだと言えば、では、なぜ彼を信じなかったのか、とイエスは言うだろう。 (J)

マタイの福音書 21:26 しかし、もし人からだと言えば、群衆が恐ろしい。人々がみなヨハネを預言者と思っているのだから」。 (J)

マタイの福音書 21:27 そこで彼らは、「わたしたちにはわかりません」と答えた。すると、イエスが言われた、「わたしも何の権威によってこれらの事をするのか、あなたがたに言うまい。 (J)

マタイの福音書 21:28 あなたがたはどう思うか。ある人にふたりの子があったが、兄のところに行って言った、『子よ、きょう、ぶどう園へ行って働いてくれ』。 (J)

マタイの福音書 21:29 すると彼は『おとうさん、参ります』と答えたが、行かなかった。 (J)

マタイの福音書 21:30 また弟のところにきて同じように言った。彼は『いやです』と答えたが、あとから心を変えて、出かけた。 (J)

マタイの福音書 21:31 このふたりのうち、どちらが父の望みどおりにしたのか」。彼らは言った、「あとの者です」。イエスは言われた、「よく聞きなさい。取税人や遊女は、あなたがたより先に神の国にはいる。 (J)

マタイの福音書 21:32 というのは、ヨハネがあなたがたのところにきて、義の道を説いたのに、あなたがたは彼を信じなかった。ところが、取税人や遊女は彼を信じた。あなたがたはそれを見たのに、あとになっても、心をいれ変えて彼を信じようとしなかった。 (J)

マタイの福音書 21:33 もう一つの譬を聞きなさい。ある所に、ひとりの家の主人がいたが、ぶどう園を造り、かきをめぐらし、その中に酒ぶねの穴を掘り、やぐらを立て、それを農夫たちに貸して、旅に出かけた。 (J)

マタイの福音書 21:34 収穫の季節がきたので、その分け前を受け取ろうとして、僕たちを農夫のところへ送った。 (J)

マタイの福音書 21:35 すると、農夫たちは、その僕たちをつかまえて、ひとりを袋だたきにし、ひとりを殺し、もうひとりを石で打ち殺した。 (J)

マタイの福音書 21:36 また別に、前よりも多くの僕たちを送ったが、彼らをも同じようにあしらった。 (J)

マタイの福音書 21:37 しかし、最後に、わたしの子は敬ってくれるだろうと思って、主人はその子を彼らの所につかわした。 (J)

マタイの福音書 21:38 すると農夫たちは、その子を見て互に言った、『あれはあと取りだ。さあ、これを殺して、その財産を手に入れよう』。 (J)

マタイの福音書 21:39 そして彼をつかまえて、ぶどう園の外に引き出して殺した。 (J)

マタイの福音書 21:40 このぶどう園の主人が帰ってきたら、この農夫たちをどうするだろうか」。 (J)

マタイの福音書 21:41 彼らはイエスに言った、「悪人どもを、皆殺しにして、季節ごとに収穫を納めるほかの農夫たちに、そのぶどう園を貸し与えるでしょう」。 (J)

マタイの福音書 21:42 イエスは彼らに言われた、「あなたがたは、聖書でまだ読んだことがないのか、 『家造りらの捨てた石が 隅のかしら石になった。 これは主がなされたことで、 わたしたちの目には不思議に見える』。 (J)

マタイの福音書 21:43 それだから、あなたがたに言うが、神の国はあなたがたから取り上げられて、御国にふさわしい実を結ぶような異邦人に与えられるであろう。 (J)

マタイの福音書 21:44 またその石の上に落ちる者は打ち砕かれ、それがだれかの上に落ちかかるなら、その人はこなみじんにされるであろう」。 (J)

マタイの福音書 21:45 祭司長たちやパリサイ人たちがこの譬を聞いたとき、自分たちのことをさして言っておられることを悟ったので、 (J)

マタイの福音書 21:46 イエスを捕えようとしたが、群衆を恐れた。群衆はイエスを預言者だと思っていたからである。 (J)

マタイの福音書 22:1 イエスはまた、譬で彼らに語って言われた、 (J)

マタイの福音書 22:2 「天国は、ひとりの王がその王子のために、婚宴を催すようなものである。 (J)

マタイの福音書 22:3 王はその僕たちをつかわして、この婚宴に招かれていた人たちを呼ばせたが、その人たちはこようとはしなかった。 (J)

マタイの福音書 22:4 そこでまた、ほかの僕たちをつかわして言った、『招かれた人たちに言いなさい。食事の用意ができました。牛も肥えた獣もほふられて、すべての用意ができました。さあ、婚宴においでください』。 (J)

マタイの福音書 22:5 しかし、彼らは知らぬ顔をして、ひとりは自分の畑に、ひとりは自分の商売に出て行き、 (J)

マタイの福音書 22:6 またほかの人々は、この僕たちをつかまえて侮辱を加えた上、殺してしまった。 (J)

マタイの福音書 22:7 そこで王は立腹し、軍隊を送ってそれらの人殺しどもを滅ぼし、その町を焼き払った。 (J)

マタイの福音書 22:8 それから僕たちに言った、『婚宴の用意はできているが、招かれていたのは、ふさわしくない人々であった。 (J)

マタイの福音書 22:9 だから、町の大通りに出て行って、出会った人はだれでも婚宴に連れてきなさい』。 (J)

マタイの福音書 22:10 そこで、僕たちは道に出て行って、出会う人は、悪人でも善人でもみな集めてきたので、婚宴の席は客でいっぱいになった。 (J)

マタイの福音書 22:11 王は客を迎えようとしてはいってきたが、そこに礼服をつけていないひとりの人を見て、 (J)

マタイの福音書 22:12 彼に言った、『友よ、どうしてあなたは礼服をつけないで、ここにはいってきたのですか』。しかし、彼は黙っていた。 (J)

マタイの福音書 22:13 そこで、王はそばの者たちに言った、『この者の手足をしばって、外の暗やみにほうり出せ。そこで泣き叫んだり、歯がみをしたりするであろう』。 (J)

マタイの福音書 22:14 招かれる者は多いが、選ばれる者は少ない」。 (J)

マタイの福音書 22:15 そのときパリサイ人たちがきて、どうかしてイエスを言葉のわなにかけようと、相談をした。 (J)

マタイの福音書 22:16 そして、彼らの弟子を、ヘロデ党の者たちと共に、イエスのもとにつかわして言わせた、「先生、わたしたちはあなたが真実なかたであって、真理に基いて神の道を教え、また、人に分け隔てをしないで、だれをもはばかられないことを知っています。 (J)

マタイの福音書 22:17 それで、あなたはどう思われますか、答えてください。カイザルに税金を納めてよいでしょうか、いけないでしょうか」。 (J)

マタイの福音書 22:18 イエスは彼らの悪意を知って言われた、「偽善者たちよ、なぜわたしをためそうとするのか。 (J)

マタイの福音書 22:19 税に納める貨幣を見せなさい」。彼らはデナリ一つを持ってきた。 (J)

マタイの福音書 22:20 そこでイエスは言われた、「これは、だれの肖像、だれの記号か」。 (J)

マタイの福音書 22:21 彼らは「カイザルのです」と答えた。するとイエスは言われた、「それでは、カイザルのものはカイザルに、神のものは神に返しなさい」。 (J)

マタイの福音書 22:22 彼らはこれを聞いて驚嘆し、イエスを残して立ち去った。 (J)

マタイの福音書 22:23 復活ということはないと主張していたサドカイ人たちが、その日、イエスのもとにきて質問した、 (J)

マタイの福音書 22:24 「先生、モーセはこう言っています、『もし、ある人が子がなくて死んだなら、その弟は兄の妻をめとって、兄のために子をもうけねばならない』。 (J)

マタイの福音書 22:25 さて、わたしたちのところに七人の兄弟がありました。長男は妻をめとったが死んでしまい、そして子がなかったので、その妻を弟に残しました。 (J)

マタイの福音書 22:26 次男も三男も、ついに七人とも同じことになりました。 (J)

マタイの福音書 22:27 最後に、その女も死にました。 (J)

マタイの福音書 22:28 すると復活の時には、この女は、七人のうちだれの妻なのでしょうか。みんながこの女を妻にしたのですが」。 (J)

マタイの福音書 22:29 イエスは答えて言われた、「あなたがたは聖書も神の力も知らないから、思い違いをしている。 (J)

マタイの福音書 22:30 復活の時には、彼らはめとったり、とついだりすることはない。彼らは天にいる御使のようなものである。 (J)

マタイの福音書 22:31 また、死人の復活については、神があなたがたに言われた言葉を読んだことがないのか。 (J)

マタイの福音書 22:32 『わたしはアブラハムの神、イサクの神、ヤコブの神である』と書いてある。神は死んだ者の神ではなく、生きている者の神である」。 (J)

マタイの福音書 22:33 群衆はこれを聞いて、イエスの教に驚いた。 (J)

マタイの福音書 22:34 さて、パリサイ人たちは、イエスがサドカイ人たちを言いこめられたと聞いて、一緒に集まった。 (J)

マタイの福音書 22:35 そして彼らの中のひとりの律法学者が、イエスをためそうとして質問した、 (J)

マタイの福音書 22:36 「先生、律法の中で、どのいましめがいちばん大切なのですか」。 (J)

マタイの福音書 22:37 イエスは言われた、「『心をつくし、精神をつくし、思いをつくして、主なるあなたの神を愛せよ』。 (J)

マタイの福音書 22:38 これがいちばん大切な、第一のいましめである。 (J)

マタイの福音書 22:39 第二もこれと同様である、『自分を愛するようにあなたの隣り人を愛せよ』。 (J)

マタイの福音書 22:40 これらの二つのいましめに、律法全体と預言者とが、かかっている」。 (J)

マタイの福音書 22:41 パリサイ人たちが集まっていたとき、イエスは彼らにお尋ねになった、 (J)

マタイの福音書 22:42 「あなたがたはキリストをどう思うか。だれの子なのか」。彼らは「ダビデの子です」と答えた。 (J)

マタイの福音書 22:43 イエスは言われた、「それではどうして、ダビデが御霊に感じてキリストを主と呼んでいるのか。 (J)

マタイの福音書 22:44 すなわち 『主はわが主に仰せになった、 あなたの敵をあなたの足もとに置くときまでは、 わたしの右に座していなさい』。 (J)

マタイの福音書 22:45 このように、ダビデ自身がキリストを主と呼んでいるなら、キリストはどうしてダビデの子であろうか」。 (J)

マタイの福音書 22:46 イエスにひと言でも答えうる者は、なかったし、その日からもはや、進んでイエスに質問する者も、いなくなった。 (J)

マタイの福音書 23:1 そのときイエスは、群衆と弟子たちとに語って言われた、 (J)

マタイの福音書 23:2 「律法学者とパリサイ人とは、モーセの座にすわっている。 (J)

マタイの福音書 23:3 だから、彼らがあなたがたに言うことは、みな守って実行しなさい。しかし、彼らのすることには、ならうな。彼らは言うだけで、実行しないから。 (J)

マタイの福音書 23:4 また、重い荷物をくくって人々の肩にのせるが、それを動かすために、自分では指一本も貸そうとはしない。 (J)

マタイの福音書 23:5 そのすることは、すべて人に見せるためである。すなわち、彼らは経札を幅広くつくり、その衣のふさを大きくし、 (J)

マタイの福音書 23:6 また、宴会の上座、会堂の上席を好み、 (J)

マタイの福音書 23:7 広場であいさつされることや、人々から先生と呼ばれることを好んでいる。 (J)

マタイの福音書 23:8 しかし、あなたがたは先生と呼ばれてはならない。あなたがたの先生は、ただひとりであって、あなたがたはみな兄弟なのだから。 (J)

マタイの福音書 23:9 また、地上のだれをも、父と呼んではならない。あなたがたの父はただひとり、すなわち、天にいます父である。 (J)

マタイの福音書 23:10 また、あなたがたは教師と呼ばれてはならない。あなたがたの教師はただひとり、すなわち、キリストである。 (J)

マタイの福音書 23:11 そこで、あなたがたのうちでいちばん偉い者は、仕える人でなければならない。 (J)

マタイの福音書 23:12 だれでも自分を高くする者は低くされ、自分を低くする者は高くされるであろう。 (J)

マタイの福音書 23:13 偽善な律法学者、パリサイ人たちよ。あなたがたは、わざわいである。あなたがたは、天国を閉ざして人々をはいらせない。自分もはいらないし、はいろうとする人をはいらせもしない。〔 (J)

マタイの福音書 23:14 偽善な律法学者、パリサイ人たちよ。あなたがたは、わざわいである。あなたがたは、やもめたちの家を食い倒し、見えのために長い祈をする。だから、もっときびしいさばきを受けるに違いない。〕 (J)

マタイの福音書 23:15 偽善な律法学者、パリサイ人たちよ。あなたがたは、わざわいである。あなたがたはひとりの改宗者をつくるために、海と陸とを巡り歩く。そして、つくったなら、彼を自分より倍もひどい地獄の子にする。 (J)

マタイの福音書 23:16 盲目な案内者たちよ。あなたがたは、わざわいである。あなたがたは言う、『神殿をさして誓うなら、そのままでよいが、神殿の黄金をさして誓うなら、果す責任がある』と。 (J)

マタイの福音書 23:17 愚かな盲目な人たちよ。黄金と、黄金を神聖にする神殿と、どちらが大事なのか。 (J)

マタイの福音書 23:18 また、あなたがたは言う、『祭壇をさして誓うなら、そのままでよいが、その上の供え物をさして誓うなら、果す責任がある』と。 (J)

マタイの福音書 23:19 盲目な人たちよ。供え物と供え物を神聖にする祭壇とどちらが大事なのか。 (J)

マタイの福音書 23:20 祭壇をさして誓う者は、祭壇と、その上にあるすべての物とをさして誓うのである。 (J)

マタイの福音書 23:21 神殿をさして誓う者は、神殿とその中に住んでおられるかたとをさして誓うのである。 (J)

マタイの福音書 23:22 また、天をさして誓う者は、神の御座とその上にすわっておられるかたとをさして誓うのである。 (J)

マタイの福音書 23:23 偽善な律法学者、パリサイ人たちよ。あなたがたは、わざわいである。はっか、いのんど、クミンなどの薬味の十分の一を宮に納めておりながら、律法の中でもっと重要な、公平とあわれみと忠実とを見のがしている。それもしなければならないが、これも見のがしてはならない。 (J)

マタイの福音書 23:24 盲目な案内者たちよ。あなたがたは、ぶよはこしているが、らくだはのみこんでいる。 (J)

マタイの福音書 23:25 偽善な律法学者、パリサイ人たちよ。あなたがたは、わざわいである。杯と皿との外側はきよめるが、内側は貪欲と放縦とで満ちている。 (J)

マタイの福音書 23:26 盲目なパリサイ人よ。まず、杯の内側をきよめるがよい。そうすれば、外側も清くなるであろう。 (J)

マタイの福音書 23:27 偽善な律法学者、パリサイ人たちよ。あなたがたは、わざわいである。あなたがたは白く塗った墓に似ている。外側は美しく見えるが、内側は死人の骨や、あらゆる不潔なものでいっぱいである。 (J)

マタイの福音書 23:28 このようにあなたがたも、外側は人に正しく見えるが、内側は偽善と不法とでいっぱいである。 (J)

マタイの福音書 23:29 偽善な律法学者、パリサイ人たちよ。あなたがたは、わざわいである。あなたがたは預言者の墓を建て、義人の碑を飾り立てて、こう言っている、 (J)

マタイの福音書 23:30 『もしわたしたちが先祖の時代に生きていたなら、預言者の血を流すことに加わってはいなかっただろう』と。 (J)

マタイの福音書 23:31 このようにして、あなたがたは預言者を殺した者の子孫であることを、自分で証明している。 (J)

マタイの福音書 23:32 あなたがたもまた先祖たちがした悪の枡目を満たすがよい。 (J)

マタイの福音書 23:33 へびよ、まむしの子らよ、どうして地獄の刑罰をのがれることができようか。 (J)

マタイの福音書 23:34 それだから、わたしは、預言者、知者、律法学者たちをあなたがたにつかわすが、そのうちのある者を殺し、また十字架につけ、そのある者を会堂でむち打ち、また町から町へと迫害して行くであろう。 (J)

マタイの福音書 23:35 こうして義人アベルの血から、聖所と祭壇との間であなたがたが殺したバラキヤの子ザカリヤの血に至るまで、地上に流された義人の血の報いが、ことごとくあなたがたに及ぶであろう。 (J)

マタイの福音書 23:36 よく言っておく。これらのことの報いは、みな今の時代に及ぶであろう。 (J)

マタイの福音書 23:37 ああ、エルサレム、エルサレム、預言者たちを殺し、おまえにつかわされた人たちを石で打ち殺す者よ。ちょうど、めんどりが翼の下にそのひなを集めるように、わたしはおまえの子らを幾たび集めようとしたことであろう。それだのに、おまえたちは応じようとしなかった。 (J)

マタイの福音書 23:38 見よ、おまえたちの家は見捨てられてしまう。 (J)

マタイの福音書 23:39 わたしは言っておく、 『主の御名によってきたる者に、祝福あれ』 とおまえたちが言う時までは、今後ふたたび、わたしに会うことはないであろう」。 (J)

マタイの福音書 24:1 イエスが宮から出て行こうとしておられると、弟子たちは近寄ってきて、宮の建物にイエスの注意を促した。 (J)

マタイの福音書 24:2 そこでイエスは彼らにむかって言われた、「あなたがたは、これらすべてのものを見ないか。よく言っておく。その石一つでもくずされずに、そこに他の石の上に残ることもなくなるであろう」。 (J)

マタイの福音書 24:3 またオリブ山ですわっておられると、弟子たちが、ひそかにみもとにきて言った、「どうぞお話しください。いつ、そんなことが起るのでしょうか。あなたがまたおいでになる時や、世の終りには、どんな前兆がありますか」。 (J)

マタイの福音書 24:4 そこでイエスは答えて言われた、「人に惑わされないように気をつけなさい。 (J)

マタイの福音書 24:5 多くの者がわたしの名を名のって現れ、自分がキリストだと言って、多くの人を惑わすであろう。 (J)

マタイの福音書 24:6 また、戦争と戦争のうわさとを聞くであろう。注意していなさい、あわててはいけない。それは起らねばならないが、まだ終りではない。 (J)

マタイの福音書 24:7 民は民に、国は国に敵対して立ち上がるであろう。またあちこちに、ききんが起り、また地震があるであろう。 (J)

マタイの福音書 24:8 しかし、すべてこれらは産みの苦しみの初めである。 (J)

マタイの福音書 24:9 そのとき人々は、あなたがたを苦しみにあわせ、また殺すであろう。またあなたがたは、わたしの名のゆえにすべての民に憎まれるであろう。 (J)

マタイの福音書 24:10 そのとき、多くの人がつまずき、また互に裏切り、憎み合うであろう。 (J)

マタイの福音書 24:11 また多くのにせ預言者が起って、多くの人を惑わすであろう。 (J)

マタイの福音書 24:12 また不法がはびこるので、多くの人の愛が冷えるであろう。 (J)

マタイの福音書 24:13 しかし、最後まで耐え忍ぶ者は救われる。 (J)

マタイの福音書 24:14 そしてこの御国の福音は、すべての民に対してあかしをするために、全世界に宣べ伝えられるであろう。そしてそれから最後が来るのである。 (J)

マタイの福音書 24:15 預言者ダニエルによって言われた荒らす憎むべき者が、聖なる場所に立つのを見たならば(読者よ、悟れ)、 (J)

マタイの福音書 24:16 そのとき、ユダヤにいる人々は山へ逃げよ。 (J)

マタイの福音書 24:17 屋上にいる者は、家からものを取り出そうとして下におりるな。 (J)

マタイの福音書 24:18 畑にいる者は、上着を取りにあとへもどるな。 (J)

マタイの福音書 24:19 その日には、身重の女と乳飲み子をもつ女とは、不幸である。 (J)

マタイの福音書 24:20 あなたがたの逃げるのが、冬または安息日にならないように祈れ。 (J)

マタイの福音書 24:21 その時には、世の初めから現在に至るまで、かつてなく今後もないような大きな患難が起るからである。 (J)

マタイの福音書 24:22 もしその期間が縮められないなら、救われる者はひとりもないであろう。しかし、選民のためには、その期間が縮められるであろう。 (J)

マタイの福音書 24:23 そのとき、だれかがあなたがたに『見よ、ここにキリストがいる』、また、『あそこにいる』と言っても、それを信じるな。 (J)

マタイの福音書 24:24 にせキリストたちや、にせ預言者たちが起って、大いなるしるしと奇跡とを行い、できれば、選民をも惑わそうとするであろう。 (J)

マタイの福音書 24:25 見よ、あなたがたに前もって言っておく。 (J)

マタイの福音書 24:26 だから、人々が『見よ、彼は荒野にいる』と言っても、出て行くな。また『見よ、へやの中にいる』と言っても、信じるな。 (J)

マタイの福音書 24:27 ちょうど、いなずまが東から西にひらめき渡るように、人の子も現れるであろう。 (J)

マタイの福音書 24:28 死体のあるところには、はげたかが集まるものである。 (J)

マタイの福音書 24:29 しかし、その時に起る患難の後、たちまち日は暗くなり、月はその光を放つことをやめ、星は空から落ち、天体は揺り動かされるであろう。 (J)

マタイの福音書 24:30 そのとき、人の子のしるしが天に現れるであろう。またそのとき、地のすべての民族は嘆き、そして力と大いなる栄光とをもって、人の子が天の雲に乗って来るのを、人々は見るであろう。 (J)

マタイの福音書 24:31 また、彼は大いなるラッパの音と共に御使たちをつかわして、天のはてからはてに至るまで、四方からその選民を呼び集めるであろう。 (J)

マタイの福音書 24:32 いちじくの木からこの譬を学びなさい。その枝が柔らかになり、葉が出るようになると、夏の近いことがわかる。 (J)

マタイの福音書 24:33 そのように、すべてこれらのことを見たならば、人の子が戸口まで近づいていると知りなさい。 (J)

マタイの福音書 24:34 よく聞いておきなさい。これらの事が、ことごとく起るまでは、この時代は滅びることがない。 (J)

マタイの福音書 24:35 天地は滅びるであろう。しかしわたしの言葉は滅びることがない。 (J)

マタイの福音書 24:36 その日、その時は、だれも知らない。天の御使たちも、また子も知らない、ただ父だけが知っておられる。 (J)

マタイの福音書 24:37 人の子の現れるのも、ちょうどノアの時のようであろう。 (J)

マタイの福音書 24:38 すなわち、洪水の出る前、ノアが箱舟にはいる日まで、人々は食い、飲み、めとり、とつぎなどしていた。 (J)

マタイの福音書 24:39 そして洪水が襲ってきて、いっさいのものをさらって行くまで、彼らは気がつかなかった。人の子の現れるのも、そのようであろう。 (J)

マタイの福音書 24:40 そのとき、ふたりの者が畑にいると、ひとりは取り去られ、ひとりは取り残されるであろう。 (J)

マタイの福音書 24:41 ふたりの女がうすをひいていると、ひとりは取り去られ、ひとりは残されるであろう。 (J)

マタイの福音書 24:42 だから、目をさましていなさい。いつの日にあなたがたの主がこられるのか、あなたがたには、わからないからである。 (J)

マタイの福音書 24:43 このことをわきまえているがよい。家の主人は、盗賊がいつごろ来るかわかっているなら、目をさましていて、自分の家に押し入ることを許さないであろう。 (J)

マタイの福音書 24:44 だから、あなたがたも用意をしていなさい。思いがけない時に人の子が来るからである。 (J)

マタイの福音書 24:45 主人がその家の僕たちの上に立てて、時に応じて食物をそなえさせる忠実な思慮深い僕は、いったい、だれであろう。 (J)

マタイの福音書 24:46 主人が帰ってきたとき、そのようにつとめているのを見られる僕は、さいわいである。 (J)

マタイの福音書 24:47 よく言っておくが、主人は彼を立てて自分の全財産を管理させるであろう。 (J)

マタイの福音書 24:48 もしそれが悪い僕であって、自分の主人は帰りがおそいと心の中で思い、 (J)

マタイの福音書 24:49 その僕仲間をたたきはじめ、また酒飲み仲間と一緒に食べたり飲んだりしているなら、 (J)

マタイの福音書 24:50 その僕の主人は思いがけない日、気がつかない時に帰ってきて、 (J)

マタイの福音書 24:51 彼を厳罰に処し、偽善者たちと同じ目にあわせるであろう。彼はそこで泣き叫んだり、歯がみをしたりするであろう。 (J)

マタイの福音書 25:1 そこで天国は、十人のおとめがそれぞれあかりを手にして、花婿を迎えに出て行くのに似ている。 (J)

マタイの福音書 25:2 その中の五人は思慮が浅く、五人は思慮深い者であった。 (J)

マタイの福音書 25:3 思慮の浅い者たちは、あかりは持っていたが、油を用意していなかった。 (J)

マタイの福音書 25:4 しかし、思慮深い者たちは、自分たちのあかりと一緒に、入れものの中に油を用意していた。 (J)

マタイの福音書 25:5 花婿の来るのがおくれたので、彼らはみな居眠りをして、寝てしまった。 (J)

マタイの福音書 25:6 夜中に、『さあ、花婿だ、迎えに出なさい』と呼ぶ声がした。 (J)

マタイの福音書 25:7 そのとき、おとめたちはみな起きて、それぞれあかりを整えた。 (J)

マタイの福音書 25:8 ところが、思慮の浅い女たちが、思慮深い女たちに言った、『あなたがたの油をわたしたちにわけてください。わたしたちのあかりが消えかかっていますから』。 (J)

マタイの福音書 25:9 すると、思慮深い女たちは答えて言った、『わたしたちとあなたがたとに足りるだけは、多分ないでしょう。店に行って、あなたがたの分をお買いになる方がよいでしょう』。 (J)

マタイの福音書 25:10 彼らが買いに出ているうちに、花婿が着いた。そこで、用意のできていた女たちは、花婿と一緒に婚宴のへやにはいり、そして戸がしめられた。 (J)

マタイの福音書 25:11 そのあとで、ほかのおとめたちもきて、『ご主人様、ご主人様、どうぞ、あけてください』と言った。 (J)

マタイの福音書 25:12 しかし彼は答えて、『はっきり言うが、わたしはあなたがたを知らない』と言った。 (J)

マタイの福音書 25:13 だから、目をさましていなさい。その日その時が、あなたがたにはわからないからである。 (J)

マタイの福音書 25:14 また天国は、ある人が旅に出るとき、その僕どもを呼んで、自分の財産を預けるようなものである。 (J)

マタイの福音書 25:15 すなわち、それぞれの能力に応じて、ある者には五タラント、ある者には二タラント、ある者には一タラントを与えて、旅に出た。 (J)

マタイの福音書 25:16 五タラントを渡された者は、すぐに行って、それで商売をして、ほかに五タラントをもうけた。 (J)

マタイの福音書 25:17 二タラントの者も同様にして、ほかに二タラントをもうけた。 (J)

マタイの福音書 25:18 しかし、一タラントを渡された者は、行って地を掘り、主人の金を隠しておいた。 (J)

マタイの福音書 25:19 だいぶ時がたってから、これらの僕の主人が帰ってきて、彼らと計算をしはじめた。 (J)

マタイの福音書 25:20 すると五タラントを渡された者が進み出て、ほかの五タラントをさし出して言った、『ご主人様、あなたはわたしに五タラントをお預けになりましたが、ごらんのとおり、ほかに五タラントをもうけました』。 (J)

マタイの福音書 25:21 主人は彼に言った、『良い忠実な僕よ、よくやった。あなたはわずかなものに忠実であったから、多くのものを管理させよう。主人と一緒に喜んでくれ』。 (J)

マタイの福音書 25:22 二タラントの者も進み出て言った、『ご主人様、あなたはわたしに二タラントをお預けになりましたが、ごらんのとおり、ほかに二タラントをもうけました』。 (J)

マタイの福音書 25:23 主人は彼に言った、『良い忠実な僕よ、よくやった。あなたはわずかなものに忠実であったから、多くのものを管理させよう。主人と一緒に喜んでくれ』。 (J)

マタイの福音書 25:24 一タラントを渡された者も進み出て言った、『ご主人様、わたしはあなたが、まかない所から刈り、散らさない所から集める酷な人であることを承知していました。 (J)

マタイの福音書 25:25 そこで恐ろしさのあまり、行って、あなたのタラントを地の中に隠しておきました。ごらんください。ここにあなたのお金がございます』。 (J)

マタイの福音書 25:26 すると、主人は彼に答えて言った、『悪い怠惰な僕よ、あなたはわたしが、まかない所から刈り、散らさない所から集めることを知っているのか。 (J)

マタイの福音書 25:27 それなら、わたしの金を銀行に預けておくべきであった。そうしたら、わたしは帰ってきて、利子と一緒にわたしの金を返してもらえたであろうに。 (J)

マタイの福音書 25:28 さあ、そのタラントをこの者から取りあげて、十タラントを持っている者にやりなさい。 (J)

マタイの福音書 25:29 おおよそ、持っている人は与えられて、いよいよ豊かになるが、持っていない人は、持っているものまでも取り上げられるであろう。 (J)

マタイの福音書 25:30 この役に立たない僕を外の暗い所に追い出すがよい。彼は、そこで泣き叫んだり、歯がみをしたりするであろう』。 (J)

マタイの福音書 25:31 人の子が栄光の中にすべての御使たちを従えて来るとき、彼はその栄光の座につくであろう。 (J)

マタイの福音書 25:32 そして、すべての国民をその前に集めて、羊飼が羊とやぎとを分けるように、彼らをより分け、 (J)

マタイの福音書 25:33 羊を右に、やぎを左におくであろう。 (J)

マタイの福音書 25:34 そのとき、王は右にいる人々に言うであろう、『わたしの父に祝福された人たちよ、さあ、世の初めからあなたがたのために用意されている御国を受けつぎなさい。 (J)

マタイの福音書 25:35 あなたがたは、わたしが空腹のときに食べさせ、かわいていたときに飲ませ、旅人であったときに宿を貸し、 (J)

マタイの福音書 25:36 裸であったときに着せ、病気のときに見舞い、獄にいたときに尋ねてくれたからである』。 (J)

マタイの福音書 25:37 そのとき、正しい者たちは答えて言うであろう、『主よ、いつ、わたしたちは、あなたが空腹であるのを見て食物をめぐみ、かわいているのを見て飲ませましたか。 (J)

マタイの福音書 25:38 いつあなたが旅人であるのを見て宿を貸し、裸なのを見て着せましたか。 (J)

マタイの福音書 25:39 また、いつあなたが病気をし、獄にいるのを見て、あなたの所に参りましたか』。 (J)

マタイの福音書 25:40 すると、王は答えて言うであろう、『あなたがたによく言っておく。わたしの兄弟であるこれらの最も小さい者のひとりにしたのは、すなわち、わたしにしたのである』。 (J)

マタイの福音書 25:41 それから、左にいる人々にも言うであろう、『のろわれた者どもよ、わたしを離れて、悪魔とその使たちとのために用意されている永遠の火にはいってしまえ。 (J)

マタイの福音書 25:42 あなたがたは、わたしが空腹のときに食べさせず、かわいていたときに飲ませず、 (J)

マタイの福音書 25:43 旅人であったときに宿を貸さず、裸であったときに着せず、また病気のときや、獄にいたときに、わたしを尋ねてくれなかったからである』。 (J)

マタイの福音書 25:44 そのとき、彼らもまた答えて言うであろう、『主よ、いつ、あなたが空腹であり、かわいておられ、旅人であり、裸であり、病気であり、獄におられたのを見て、わたしたちはお世話をしませんでしたか』。 (J)

マタイの福音書 25:45 そのとき、彼は答えて言うであろう、『あなたがたによく言っておく。これらの最も小さい者のひとりにしなかったのは、すなわち、わたしにしなかったのである』。 (J)

マタイの福音書 25:46 そして彼らは永遠の刑罰を受け、正しい者は永遠の生命に入るであろう」。 (J)

マタイの福音書 26:1 イエスはこれらの言葉をすべて語り終えてから、弟子たちに言われた。 (J)

マタイの福音書 26:2 「あなたがたが知っているとおり、ふつかの後には過越の祭になるが、人の子は十字架につけられるために引き渡される」。 (J)

マタイの福音書 26:3 そのとき、祭司長たちや民の長老たちが、カヤパという大祭司の中庭に集まり、 (J)

マタイの福音書 26:4 策略をもってイエスを捕えて殺そうと相談した。 (J)

マタイの福音書 26:5 しかし彼らは言った、「祭の間はいけない。民衆の中に騒ぎが起るかも知れない」。 (J)

マタイの福音書 26:6 さて、イエスがベタニヤで、らい病人シモンの家におられたとき、 (J)

マタイの福音書 26:7 ひとりの女が、高価な香油が入れてある石膏のつぼを持ってきて、イエスに近寄り、食事の席についておられたイエスの頭に香油を注ぎかけた。 (J)

マタイの福音書 26:8 すると、弟子たちはこれを見て憤って言った、「なんのためにこんなむだ使をするのか。 (J)

マタイの福音書 26:9 それを高く売って、貧しい人たちに施すことができたのに」。 (J)

マタイの福音書 26:10 イエスはそれを聞いて彼らに言われた、「なぜ、女を困らせるのか。わたしによい事をしてくれたのだ。 (J)

マタイの福音書 26:11 貧しい人たちはいつもあなたがたと一緒にいるが、わたしはいつも一緒にいるわけではない。 (J)

マタイの福音書 26:12 この女がわたしのからだにこの香油を注いだのは、わたしの葬りの用意をするためである。 (J)

マタイの福音書 26:13 よく聞きなさい。全世界のどこででも、この福音が宣べ伝えられる所では、この女のした事も記念として語られるであろう」。 (J)

マタイの福音書 26:14 時に、十二弟子のひとりイスカリオテのユダという者が、祭司長たちのところに行って (J)

マタイの福音書 26:15 言った、「彼をあなたがたに引き渡せば、いくらくださいますか」。すると、彼らは銀貨三十枚を彼に支払った。 (J)

マタイの福音書 26:16 その時から、ユダはイエスを引きわたそうと、機会をねらっていた。 (J)

マタイの福音書 26:17 さて、除酵祭の第一日に、弟子たちはイエスのもとにきて言った、「過越の食事をなさるために、わたしたちはどこに用意をしたらよいでしょうか」。 (J)

マタイの福音書 26:18 イエスは言われた、「市内にはいり、かねて話してある人の所に行って言いなさい、『先生が、わたしの時が近づいた、あなたの家で弟子たちと一緒に過越を守ろうと、言っておられます』」。 (J)

マタイの福音書 26:19 弟子たちはイエスが命じられたとおりにして、過越の用意をした。 (J)

マタイの福音書 26:20 夕方になって、イエスは十二弟子と一緒に食事の席につかれた。 (J)

マタイの福音書 26:21 そして、一同が食事をしているとき言われた、「特にあなたがたに言っておくが、あなたがたのうちのひとりが、わたしを裏切ろうとしている」。 (J)

マタイの福音書 26:22 弟子たちは非常に心配して、つぎつぎに「主よ、まさか、わたしではないでしょう」と言い出した。 (J)

マタイの福音書 26:23 イエスは答えて言われた、「わたしと一緒に同じ鉢に手を入れている者が、わたしを裏切ろうとしている。 (J)

マタイの福音書 26:24 たしかに人の子は、自分について書いてあるとおりに去って行く。しかし、人の子を裏切るその人は、わざわいである。その人は生れなかった方が、彼のためによかったであろう」。 (J)

マタイの福音書 26:25 イエスを裏切ったユダが答えて言った、「先生、まさか、わたしではないでしょう」。イエスは言われた、「いや、あなただ」。 (J)

マタイの福音書 26:26 一同が食事をしているとき、イエスはパンを取り、祝福してこれをさき、弟子たちに与えて言われた、「取って食べよ、これはわたしのからだである」。 (J)

マタイの福音書 26:27 また杯を取り、感謝して彼らに与えて言われた、「みな、この杯から飲め。 (J)

マタイの福音書 26:28 これは、罪のゆるしを得させるようにと、多くの人のために流すわたしの契約の血である。 (J)

マタイの福音書 26:29 あなたがたに言っておく。わたしの父の国であなたがたと共に、新しく飲むその日までは、わたしは今後決して、ぶどうの実から造ったものを飲むことをしない」。 (J)

マタイの福音書 26:30 彼らは、さんびを歌った後、オリブ山へ出かけて行った。 (J)

マタイの福音書 26:31 そのとき、イエスは弟子たちに言われた、「今夜、あなたがたは皆わたしにつまずくであろう。『わたしは羊飼を打つ。そして、羊の群れは散らされるであろう』と、書いてあるからである。 (J)

マタイの福音書 26:32 しかしわたしは、よみがえってから、あなたがたより先にガリラヤへ行くであろう」。 (J)

マタイの福音書 26:33 するとペテロはイエスに答えて言った、「たとい、みんなの者があなたにつまずいても、わたしは決してつまずきません」。 (J)

マタイの福音書 26:34 イエスは言われた、「よくあなたに言っておく。今夜、鶏が鳴く前に、あなたは三度わたしを知らないと言うだろう」。 (J)

マタイの福音書 26:35 ペテロは言った、「たといあなたと一緒に死なねばならなくなっても、あなたを知らないなどとは、決して申しません」。弟子たちもみな同じように言った。 (J)

マタイの福音書 26:36 それから、イエスは彼らと一緒に、ゲツセマネという所へ行かれた。そして弟子たちに言われた、「わたしが向こうへ行って祈っている間、ここにすわっていなさい」。 (J)

マタイの福音書 26:37 そしてペテロとゼベダイの子ふたりとを連れて行かれたが、悲しみを催しまた悩みはじめられた。 (J)

マタイの福音書 26:38 そのとき、彼らに言われた、「わたしは悲しみのあまり死ぬほどである。ここに待っていて、わたしと一緒に目をさましていなさい」。 (J)

マタイの福音書 26:39 そして少し進んで行き、うつぶしになり、祈って言われた、「わが父よ、もしできることでしたらどうか、この杯をわたしから過ぎ去らせてください。しかし、わたしの思いのままにではなく、みこころのままになさって下さい」。 (J)

マタイの福音書 26:40 それから、弟子たちの所にきてごらんになると、彼らが眠っていたので、ペテロに言われた、「あなたがたはそんなに、ひと時もわたしと一緒に目をさましていることが、できなかったのか。 (J)

マタイの福音書 26:41 誘惑に陥らないように、目をさまして祈っていなさい。心は熱しているが、肉体が弱いのである」。 (J)

マタイの福音書 26:42 また二度目に行って、祈って言われた、「わが父よ、この杯を飲むほかに道がないのでしたら、どうか、みこころが行われますように」。 (J)

マタイの福音書 26:43 またきてごらんになると、彼らはまた眠っていた。その目が重くなっていたのである。 (J)

マタイの福音書 26:44 それで彼らをそのままにして、また行って、三度目に同じ言葉で祈られた。 (J)

マタイの福音書 26:45 それから弟子たちの所に帰ってきて、言われた、「まだ眠っているのか、休んでいるのか。見よ、時が迫った。人の子は罪人らの手に渡されるのだ。 (J)

マタイの福音書 26:46 立て、さあ行こう。見よ、わたしを裏切る者が近づいてきた」。 (J)

マタイの福音書 26:47 そして、イエスがまだ話しておられるうちに、そこに、十二弟子のひとりのユダがきた。また祭司長、民の長老たちから送られた大ぜいの群衆も、剣と棒とを持って彼についてきた。 (J)

マタイの福音書 26:48 イエスを裏切った者が、あらかじめ彼らに、「わたしの接吻する者が、その人だ。その人をつかまえろ」と合図をしておいた。 (J)

マタイの福音書 26:49 彼はすぐイエスに近寄り、「先生、いかがですか」と言って、イエスに接吻した。 (J)

マタイの福音書 26:50 しかし、イエスは彼に言われた、「友よ、なんのためにきたのか」。このとき、人々が進み寄って、イエスに手をかけてつかまえた。 (J)

マタイの福音書 26:51 すると、イエスと一緒にいた者のひとりが、手を伸ばして剣を抜き、そして大祭司の僕に切りかかって、その片耳を切り落した。 (J)

マタイの福音書 26:52 そこで、イエスは彼に言われた、「あなたの剣をもとの所におさめなさい。剣をとる者はみな、剣で滅びる。 (J)

マタイの福音書 26:53 それとも、わたしが父に願って、天の使たちを十二軍団以上も、今つかわしていただくことができないと、あなたは思うのか。 (J)

マタイの福音書 26:54 しかし、それでは、こうならねばならないと書いてある聖書の言葉は、どうして成就されようか」。 (J)

マタイの福音書 26:55 そのとき、イエスは群衆に言われた、「あなたがたは強盗にむかうように、剣や棒を持ってわたしを捕えにきたのか。わたしは毎日、宮ですわって教えていたのに、わたしをつかまえはしなかった。 (J)

マタイの福音書 26:56 しかし、すべてこうなったのは、預言者たちの書いたことが、成就するためである」。そのとき、弟子たちは皆イエスを見捨てて逃げ去った。 (J)

マタイの福音書 26:57 さて、イエスをつかまえた人たちは、大祭司カヤパのところにイエスを連れて行った。そこには律法学者、長老たちが集まっていた。 (J)

マタイの福音書 26:58 ペテロは遠くからイエスについて、大祭司の中庭まで行き、そのなりゆきを見とどけるために、中にはいって下役どもと一緒にすわっていた。 (J)

マタイの福音書 26:59 さて、祭司長たちと全議会とは、イエスを死刑にするため、イエスに不利な偽証を求めようとしていた。 (J)

マタイの福音書 26:60 そこで多くの偽証者が出てきたが、証拠があがらなかった。しかし、最後にふたりの者が出てきて (J)

マタイの福音書 26:61 言った、「この人は、わたしは神の宮を打ちこわし、三日の後に建てることができる、と言いました」。 (J)

マタイの福音書 26:62 すると、大祭司が立ち上がってイエスに言った、「何も答えないのか。これらの人々があなたに対して不利な証言を申し立てているが、どうなのか」。 (J)

マタイの福音書 26:63 しかし、イエスは黙っておられた。そこで大祭司は言った、「あなたは神の子キリストなのかどうか、生ける神に誓ってわれわれに答えよ」。 (J)

マタイの福音書 26:64 イエスは彼に言われた、「あなたの言うとおりである。しかし、わたしは言っておく。あなたがたは、間もなく、人の子が力ある者の右に座し、天の雲に乗って来るのを見るであろう」。 (J)

マタイの福音書 26:65 すると、大祭司はその衣を引き裂いて言った、「彼は神を汚した。どうしてこれ以上、証人の必要があろう。あなたがたは今このけがし言を聞いた。 (J)

マタイの福音書 26:66 あなたがたの意見はどうか」。すると、彼らは答えて言った、「彼は死に当るものだ」。 (J)

マタイの福音書 26:67 それから、彼らはイエスの顔につばきをかけて、こぶしで打ち、またある人は手のひらでたたいて言った、 (J)

マタイの福音書 26:68 「キリストよ、言いあててみよ、打ったのはだれか」。 (J)

マタイの福音書 26:69 ペテロは外で中庭にすわっていた。するとひとりの女中が彼のところにきて、「あなたもあのガリラヤ人イエスと一緒だった」と言った。 (J)

マタイの福音書 26:70 するとペテロは、みんなの前でそれを打ち消して言った、「あなたが何を言っているのか、わからない」。 (J)

マタイの福音書 26:71 そう言って入口の方に出て行くと、ほかの女中が彼を見て、そこにいる人々にむかって、「この人はナザレ人イエスと一緒だった」と言った。 (J)

マタイの福音書 26:72 そこで彼は再びそれを打ち消して、「そんな人は知らない」と誓って言った。 (J)

マタイの福音書 26:73 しばらくして、そこに立っていた人々が近寄ってきて、ペテロに言った、「確かにあなたも彼らの仲間だ。言葉づかいであなたのことがわかる」。 (J)

マタイの福音書 26:74 彼は「その人のことは何も知らない」と言って、激しく誓いはじめた。するとすぐ鶏が鳴いた。 (J)

マタイの福音書 26:75 ペテロは「鶏が鳴く前に、三度わたしを知らないと言うであろう」と言われたイエスの言葉を思い出し、外に出て激しく泣いた。 (J)

マタイの福音書 27:1 夜が明けると、祭司長たち、民の長老たち一同は、イエスを殺そうとして協議をこらした上、 (J)

マタイの福音書 27:2 イエスを縛って引き出し、総督ピラトに渡した。 (J)

マタイの福音書 27:3 そのとき、イエスを裏切ったユダは、イエスが罪に定められたのを見て後悔し、銀貨三十枚を祭司長、長老たちに返して (J)

マタイの福音書 27:4 言った、「わたしは罪のない人の血を売るようなことをして、罪を犯しました」。しかし彼らは言った、「それは、われわれの知ったことか。自分で始末するがよい」。 (J)

マタイの福音書 27:5 そこで、彼は銀貨を聖所に投げ込んで出て行き、首をつって死んだ。 (J)

マタイの福音書 27:6 祭司長たちは、その銀貨を拾いあげて言った、「これは血の代価だから、宮の金庫に入れるのはよくない」。 (J)

マタイの福音書 27:7 そこで彼らは協議の上、外国人の墓地にするために、その金で陶器師の畑を買った。 (J)

マタイの福音書 27:8 そのために、この畑は今日まで血の畑と呼ばれている。 (J)

マタイの福音書 27:9 こうして預言者エレミヤによって言われた言葉が、成就したのである。すなわち、「彼らは、値をつけられたもの、すなわち、イスラエルの子らが値をつけたものの代価、銀貨三十を取って、 (J)

マタイの福音書 27:10 主がお命じになったように、陶器師の畑の代価として、その金を与えた」。 (J)

マタイの福音書 27:11 さて、イエスは総督の前に立たれた。すると総督はイエスに尋ねて言った、「あなたがユダヤ人の王であるか」。イエスは「そのとおりである」と言われた。 (J)

マタイの福音書 27:12 しかし、祭司長、長老たちが訴えている間、イエスはひと言もお答えにならなかった。 (J)

マタイの福音書 27:13 するとピラトは言った、「あんなにまで次々に、あなたに不利な証言を立てているのが、あなたには聞えないのか」。 (J)

マタイの福音書 27:14 しかし、総督が非常に不思議に思ったほどに、イエスは何を言われても、ひと言もお答えにならなかった。 (J)

マタイの福音書 27:15 さて、祭のたびごとに、総督は群衆が願い出る囚人ひとりを、ゆるしてやる慣例になっていた。 (J)

マタイの福音書 27:16 ときに、バラバという評判の囚人がいた。 (J)

マタイの福音書 27:17 それで、彼らが集まったとき、ピラトは言った、「おまえたちは、だれをゆるしてほしいのか。バラバか、それとも、キリストといわれるイエスか」。 (J)

マタイの福音書 27:18 彼らがイエスを引きわたしたのは、ねたみのためであることが、ピラトにはよくわかっていたからである。 (J)

マタイの福音書 27:19 また、ピラトが裁判の席についていたとき、その妻が人を彼のもとにつかわして、「あの義人には関係しないでください。わたしはきょう夢で、あの人のためにさんざん苦しみましたから」と言わせた。 (J)

マタイの福音書 27:20 しかし、祭司長、長老たちは、バラバをゆるして、イエスを殺してもらうようにと、群衆を説き伏せた。 (J)

マタイの福音書 27:21 総督は彼らにむかって言った、「ふたりのうち、どちらをゆるしてほしいのか」。彼らは「バラバの方を」と言った。 (J)

マタイの福音書 27:22 ピラトは言った、「それではキリストといわれるイエスは、どうしたらよいか」。彼らはいっせいに「十字架につけよ」と言った。 (J)

マタイの福音書 27:23 しかし、ピラトは言った、「あの人は、いったい、どんな悪事をしたのか」。すると彼らはいっそう激しく叫んで、「十字架につけよ」と言った。 (J)

マタイの福音書 27:24 ピラトは手のつけようがなく、かえって暴動になりそうなのを見て、水を取り、群衆の前で手を洗って言った、「この人の血について、わたしには責任がない。おまえたちが自分で始末をするがよい」。 (J)

マタイの福音書 27:25 すると、民衆全体が答えて言った、「その血の責任は、われわれとわれわれの子孫の上にかかってもよい」。 (J)

マタイの福音書 27:26 そこで、ピラトはバラバをゆるしてやり、イエスをむち打ったのち、十字架につけるために引きわたした。 (J)

マタイの福音書 27:27 それから総督の兵士たちは、イエスを官邸に連れて行って、全部隊をイエスのまわりに集めた。 (J)

マタイの福音書 27:28 そしてその上着をぬがせて、赤い外套を着せ、 (J)

マタイの福音書 27:29 また、いばらで冠を編んでその頭にかぶらせ、右の手には葦の棒を持たせ、それからその前にひざまずき、嘲弄して、「ユダヤ人の王、ばんざい」と言った。 (J)

マタイの福音書 27:30 また、イエスにつばきをかけ、葦の棒を取りあげてその頭をたたいた。 (J)

マタイの福音書 27:31 こうしてイエスを嘲弄したあげく、外套をはぎ取って元の上着を着せ、それから十字架につけるために引き出した。 (J)

マタイの福音書 27:32 彼らが出て行くと、シモンという名のクレネ人に出会ったので、イエスの十字架を無理に負わせた。 (J)

マタイの福音書 27:33 そして、ゴルゴタ、すなわち、されこうべの場、という所にきたとき、 (J)

マタイの福音書 27:34 彼らはにがみをまぜたぶどう酒を飲ませようとしたが、イエスはそれをなめただけで、飲もうとされなかった。 (J)

マタイの福音書 27:35 彼らはイエスを十字架につけてから、くじを引いて、その着物を分け、 (J)

マタイの福音書 27:36 そこにすわってイエスの番をしていた。 (J)

マタイの福音書 27:37 そしてその頭の上の方に、「これはユダヤ人の王イエス」と書いた罪状書きをかかげた。 (J)

マタイの福音書 27:38 同時に、ふたりの強盗がイエスと一緒に、ひとりは右に、ひとりは左に、十字架につけられた。 (J)

マタイの福音書 27:39 そこを通りかかった者たちは、頭を振りながら、イエスをののしって (J)

マタイの福音書 27:40 言った、「神殿を打ちこわして三日のうちに建てる者よ。もし神の子なら、自分を救え。そして十字架からおりてこい」。 (J)

マタイの福音書 27:41 祭司長たちも同じように、律法学者、長老たちと一緒になって、嘲弄して言った、 (J)

マタイの福音書 27:42 「他人を救ったが、自分自身を救うことができない。あれがイスラエルの王なのだ。いま十字架からおりてみよ。そうしたら信じよう。 (J)

マタイの福音書 27:43 彼は神にたよっているが、神のおぼしめしがあれば、今、救ってもらうがよい。自分は神の子だと言っていたのだから」。 (J)

マタイの福音書 27:44 一緒に十字架につけられた強盗どもまでも、同じようにイエスをののしった。 (J)

マタイの福音書 27:45 さて、昼の十二時から地上の全面が暗くなって、三時に及んだ。 (J)

マタイの福音書 27:46 そして三時ごろに、イエスは大声で叫んで、「エリ、エリ、レマ、サバクタニ」と言われた。それは「わが神、わが神、どうしてわたしをお見捨てになったのですか」という意味である。 (J)

マタイの福音書 27:47 すると、そこに立っていたある人々が、これを聞いて言った、「あれはエリヤを呼んでいるのだ」。 (J)

マタイの福音書 27:48 するとすぐ、彼らのうちのひとりが走り寄って、海綿を取り、それに酢いぶどう酒を含ませて葦の棒につけ、イエスに飲ませようとした。 (J)

マタイの福音書 27:49 ほかの人々は言った、「待て、エリヤが彼を救いに来るかどうか、見ていよう」。 (J)

マタイの福音書 27:50 イエスはもう一度大声で叫んで、ついに息をひきとられた。 (J)

マタイの福音書 27:51 すると見よ、神殿の幕が上から下まで真二つに裂けた。また地震があり、岩が裂け、 (J)

マタイの福音書 27:52 また墓が開け、眠っている多くの聖徒たちの死体が生き返った。 (J)

マタイの福音書 27:53 そしてイエスの復活ののち、墓から出てきて、聖なる都にはいり、多くの人に現れた。 (J)

マタイの福音書 27:54 百卒長、および彼と一緒にイエスの番をしていた人々は、地震や、いろいろのできごとを見て非常に恐れ、「まことに、この人は神の子であった」と言った。 (J)

マタイの福音書 27:55 また、そこには遠くの方から見ている女たちも多くいた。彼らはイエスに仕えて、ガリラヤから従ってきた人たちであった。 (J)

マタイの福音書 27:56 その中には、マグダラのマリヤ、ヤコブとヨセフとの母マリヤ、またゼベダイの子たちの母がいた。 (J)

マタイの福音書 27:57 夕方になってから、アリマタヤの金持で、ヨセフという名の人がきた。彼もまたイエスの弟子であった。 (J)

マタイの福音書 27:58 この人がピラトの所へ行って、イエスのからだの引取りかたを願った。そこで、ピラトはそれを渡すように命じた。 (J)

マタイの福音書 27:59 ヨセフは死体を受け取って、きれいな亜麻布に包み、 (J)

マタイの福音書 27:60 岩を掘って造った彼の新しい墓に納め、そして墓の入口に大きい石をころがしておいて、帰った。 (J)

マタイの福音書 27:61 マグダラのマリヤとほかのマリヤとが、墓にむかってそこにすわっていた。 (J)

マタイの福音書 27:62 あくる日は準備の日の翌日であったが、その日に、祭司長、パリサイ人たちは、ピラトのもとに集まって言った、 (J)

マタイの福音書 27:63 「長官、あの偽り者がまだ生きていたとき、『三日の後に自分はよみがえる』と言ったのを、思い出しました。 (J)

マタイの福音書 27:64 ですから、三日目まで墓の番をするように、さしずをして下さい。そうしないと、弟子たちがきて彼を盗み出し、『イエスは死人の中から、よみがえった』と、民衆に言いふらすかも知れません。そうなると、みんなが前よりも、もっとひどくだまされることになりましょう」。 (J)

マタイの福音書 27:65 ピラトは彼らに言った、「番人がいるから、行ってできる限り、番をさせるがよい」。 (J)

マタイの福音書 27:66 そこで、彼らは行って石に封印をし、番人を置いて墓の番をさせた。 (J)

マタイの福音書 28:1 さて、安息日が終って、週の初めの日の明け方に、マグダラのマリヤとほかのマリヤとが、墓を見にきた。 (J)

マタイの福音書 28:2 すると、大きな地震が起った。それは主の使が天から下って、そこにきて石をわきへころがし、その上にすわったからである。 (J)

マタイの福音書 28:3 その姿はいなずまのように輝き、その衣は雪のように真白であった。 (J)

マタイの福音書 28:4 見張りをしていた人たちは、恐ろしさの余り震えあがって、死人のようになった。 (J)

マタイの福音書 28:5 この御使は女たちにむかって言った、「恐れることはない。あなたがたが十字架におかかりになったイエスを捜していることは、わたしにわかっているが、 (J)

マタイの福音書 28:6 もうここにはおられない。かねて言われたとおりに、よみがえられたのである。さあ、イエスが納められていた場所をごらんなさい。 (J)

マタイの福音書 28:7 そして、急いで行って、弟子たちにこう伝えなさい、『イエスは死人の中からよみがえられた。見よ、あなたがたより先にガリラヤへ行かれる。そこでお会いできるであろう』。あなたがたに、これだけ言っておく」。 (J)

マタイの福音書 28:8 そこで女たちは恐れながらも大喜びで、急いで墓を立ち去り、弟子たちに知らせるために走って行った。 (J)

マタイの福音書 28:9 すると、イエスは彼らに出会って、「平安あれ」と言われたので、彼らは近寄りイエスのみ足をいだいて拝した。 (J)

マタイの福音書 28:10 そのとき、イエスは彼らに言われた、「恐れることはない。行って兄弟たちに、ガリラヤに行け、そこでわたしに会えるであろう、と告げなさい」。 (J)

マタイの福音書 28:11 女たちが行っている間に、番人のうちのある人々が都に帰って、いっさいの出来事を祭司長たちに話した。 (J)

マタイの福音書 28:12 祭司長たちは長老たちと集まって協議をこらし、兵卒たちにたくさんの金を与えて言った、 (J)

マタイの福音書 28:13 「『弟子たちが夜中にきて、われわれの寝ている間に彼を盗んだ』と言え。 (J)

マタイの福音書 28:14 万一このことが総督の耳にはいっても、われわれが総督に説いて、あなたがたに迷惑が掛からないようにしよう」。 (J)

マタイの福音書 28:15 そこで、彼らは金を受け取って、教えられたとおりにした。そしてこの話は、今日に至るまでユダヤ人の間にひろまっている。 (J)

マタイの福音書 28:16 さて、十一人の弟子たちはガリラヤに行って、イエスが彼らに行くように命じられた山に登った。 (J)

マタイの福音書 28:17 そして、イエスに会って拝した。しかし、疑う者もいた。 (J)

マタイの福音書 28:18 イエスは彼らに近づいてきて言われた、「わたしは、天においても地においても、いっさいの権威を授けられた。 (J)

マタイの福音書 28:19 それゆえに、あなたがたは行って、すべての国民を弟子として、父と子と聖霊との名によって、彼らにバプテスマを施し、 (J)

マタイの福音書 28:20 あなたがたに命じておいたいっさいのことを守るように教えよ。見よ、わたしは世の終りまで、いつもあなたがたと共にいるのである」。 (J)

マルコの福音書 1:1 ¶ 神の子イエス・キリストの福音のはじめ。 (J)

マルコの福音書 1:2 預言者イザヤの書に、 「見よ、わたしは使をあなたの先につかわし、 あなたの道を整えさせるであろう。 (J)

マルコの福音書 1:3 荒野で呼ばわる者の声がする、 『主の道を備えよ、 その道筋をまっすぐにせよ』」 と書いてあるように、 (J)

マルコの福音書 1:4 バプテスマのヨハネが荒野に現れて、罪のゆるしを得させる悔改めのバプテスマを宣べ伝えていた。 (J)

マルコの福音書 1:5 そこで、ユダヤ全土とエルサレムの全住民とが、彼のもとにぞくぞくと出て行って、自分の罪を告白し、ヨルダン川でヨハネからバプテスマを受けた。 (J)

マルコの福音書 1:6 このヨハネは、らくだの毛ごろもを身にまとい、腰に皮の帯をしめ、いなごと野蜜とを食物としていた。 (J)

マルコの福音書 1:7 彼は宣べ伝えて言った、「わたしよりも力のあるかたが、あとからおいでになる。わたしはかがんで、そのくつのひもを解く値うちもない。 (J)

マルコの福音書 1:8 わたしは水でバプテスマを授けたが、このかたは、聖霊によってバプテスマをお授けになるであろう」。 (J)

マルコの福音書 1:9 そのころ、イエスはガリラヤのナザレから出てきて、ヨルダン川で、ヨハネからバプテスマをお受けになった。 (J)

マルコの福音書 1:10 そして、水の中から上がられるとすぐ、天が裂けて、聖霊がはとのように自分に下って来るのを、ごらんになった。 (J)

マルコの福音書 1:11 すると天から声があった、「あなたはわたしの愛する子、わたしの心にかなう者である」。 (J)

マルコの福音書 1:12 それからすぐに、御霊がイエスを荒野に追いやった。 (J)

マルコの福音書 1:13 イエスは四十日のあいだ荒野にいて、サタンの試みにあわれた。そして獣もそこにいたが、御使たちはイエスに仕えていた。 (J)

マルコの福音書 1:14 ヨハネが捕えられた後、イエスはガリラヤに行き、神の福音を宣べ伝えて言われた、 (J)

マルコの福音書 1:15 「時は満ちた、神の国は近づいた。悔い改めて福音を信ぜよ」。 (J)

マルコの福音書 1:16 さて、イエスはガリラヤの海べを歩いて行かれ、シモンとシモンの兄弟アンデレとが、海で網を打っているのをごらんになった。彼らは漁師であった。 (J)

マルコの福音書 1:17 イエスは彼らに言われた、「わたしについてきなさい。あなたがたを、人間をとる漁師にしてあげよう」。 (J)

マルコの福音書 1:18 すると、彼らはすぐに網を捨てて、イエスに従った。 (J)

マルコの福音書 1:19 また少し進んで行かれると、ゼベダイの子ヤコブとその兄弟ヨハネとが、舟の中で網を繕っているのをごらんになった。 (J)

マルコの福音書 1:20 そこで、すぐ彼らをお招きになると、父ゼベダイを雇人たちと一緒に舟において、イエスのあとについて行った。 (J)

マルコの福音書 1:21 それから、彼らはカペナウムに行った。そして安息日にすぐ、イエスは会堂にはいって教えられた。 (J)

マルコの福音書 1:22 人々は、その教に驚いた。律法学者たちのようにではなく、権威ある者のように、教えられたからである。 (J)

マルコの福音書 1:23 ちょうどその時、けがれた霊につかれた者が会堂にいて、叫んで言った、 (J)

マルコの福音書 1:24 「ナザレのイエスよ、あなたはわたしたちとなんの係わりがあるのです。わたしたちを滅ぼしにこられたのですか。あなたがどなたであるか、わかっています。神の聖者です」。 (J)

マルコの福音書 1:25 イエスはこれをしかって、「黙れ、この人から出て行け」と言われた。 (J)

マルコの福音書 1:26 すると、けがれた霊は彼をひきつけさせ、大声をあげて、その人から出て行った。 (J)

マルコの福音書 1:27 人々はみな驚きのあまり、互に論じて言った、「これは、いったい何事か。権威ある新しい教だ。けがれた霊にさえ命じられると、彼らは従うのだ」。 (J)

マルコの福音書 1:28 こうしてイエスのうわさは、たちまちガリラヤの全地方、いたる所にひろまった。 (J)

マルコの福音書 1:29 それから会堂を出るとすぐ、ヤコブとヨハネとを連れて、シモンとアンデレとの家にはいって行かれた。 (J)

マルコの福音書 1:30 ところが、シモンのしゅうとめが熱病で床についていたので、人々はさっそく、そのことをイエスに知らせた。 (J)

マルコの福音書 1:31 イエスは近寄り、その手をとって起されると、熱が引き、女は彼らをもてなした。 (J)

マルコの福音書 1:32 夕暮になり日が沈むと、人々は病人や悪霊につかれた者をみな、イエスのところに連れてきた。 (J)

マルコの福音書 1:33 こうして、町中の者が戸口に集まった。 (J)

マルコの福音書 1:34 イエスは、さまざまの病をわずらっている多くの人々をいやし、また多くの悪霊を追い出された。また、悪霊どもに、物言うことをお許しにならなかった。彼らがイエスを知っていたからである。 (J)

マルコの福音書 1:35 朝はやく、夜の明けるよほど前に、イエスは起きて寂しい所へ出て行き、そこで祈っておられた。 (J)

マルコの福音書 1:36 すると、シモンとその仲間とが、あとを追ってきた。 (J)

マルコの福音書 1:37 そしてイエスを見つけて、「みんなが、あなたを捜しています」と言った。 (J)

マルコの福音書 1:38 イエスは彼らに言われた、「ほかの、附近の町々にみんなで行って、そこでも教を宣べ伝えよう。わたしはこのために出てきたのだから」。 (J)

マルコの福音書 1:39 そして、ガリラヤ全地を巡りあるいて、諸会堂で教を宣べ伝え、また悪霊を追い出された。 (J)

マルコの福音書 1:40 ひとりのらい病人が、イエスのところに願いにきて、ひざまずいて言った、「みこころでしたら、きよめていただけるのですが」。 (J)

マルコの福音書 1:41 イエスは深くあわれみ、手を伸ばして彼にさわり、「そうしてあげよう、きよくなれ」と言われた。 (J)

マルコの福音書 1:42 すると、らい病が直ちに去って、その人はきよくなった。 (J)

マルコの福音書 1:43 イエスは彼をきびしく戒めて、すぐにそこを去らせ、こう言い聞かせられた、 (J)

マルコの福音書 1:44 「何も人に話さないように、注意しなさい。ただ行って、自分のからだを祭司に見せ、それから、モーセが命じた物をあなたのきよめのためにささげて、人々に証明しなさい」。 (J)

マルコの福音書 1:45 しかし、彼は出て行って、自分の身に起ったことを盛んに語り、また言いひろめはじめたので、イエスはもはや表立っては町に、はいることができなくなり、外の寂しい所にとどまっておられた。しかし、人々は方々から、イエスのところにぞくぞくと集まってきた。 (J)

マルコの福音書 2:1 幾日かたって、イエスがまたカペナウムにお帰りになったとき、家におられるといううわさが立ったので、 (J)

マルコの福音書 2:2 多くの人々が集まってきて、もはや戸口のあたりまでも、すきまが無いほどになった。そして、イエスは御言を彼らに語っておられた。 (J)

マルコの福音書 2:3 すると、人々がひとりの中風の者を四人の人に運ばせて、イエスのところに連れてきた。 (J)

マルコの福音書 2:4 ところが、群衆のために近寄ることができないので、イエスのおられるあたりの屋根をはぎ、穴をあけて、中風の者を寝かせたまま、床をつりおろした。 (J)

マルコの福音書 2:5 イエスは彼らの信仰を見て、中風の者に、「子よ、あなたの罪はゆるされた」と言われた。 (J)

マルコの福音書 2:6 ところが、そこに幾人かの律法学者がすわっていて、心の中で論じた、 (J)

マルコの福音書 2:7 「この人は、なぜあんなことを言うのか。それは神をけがすことだ。神ひとりのほかに、だれが罪をゆるすことができるか」。 (J)

マルコの福音書 2:8 イエスは、彼らが内心このように論じているのを、自分の心ですぐ見ぬいて、「なぜ、あなたがたは心の中でそんなことを論じているのか。 (J)

マルコの福音書 2:9 中風の者に、あなたの罪はゆるされた、と言うのと、起きよ、床を取りあげて歩け、と言うのと、どちらがたやすいか。 (J)

マルコの福音書 2:10 しかし、人の子は地上で罪をゆるす権威をもっていることが、あなたがたにわかるために」と彼らに言い、中風の者にむかって、 (J)

マルコの福音書 2:11 「あなたに命じる。起きよ、床を取りあげて家に帰れ」と言われた。 (J)

マルコの福音書 2:12 すると彼は起きあがり、すぐに床を取りあげて、みんなの前を出て行ったので、一同は大いに驚き、神をあがめて、「こんな事は、まだ一度も見たことがない」と言った。 (J)

マルコの福音書 2:13 イエスはまた海べに出て行かれると、多くの人々がみもとに集まってきたので、彼らを教えられた。 (J)

マルコの福音書 2:14 また途中で、アルパヨの子レビが収税所にすわっているのをごらんになって、「わたしに従ってきなさい」と言われた。すると彼は立ちあがって、イエスに従った。 (J)

マルコの福音書 2:15 それから彼の家で、食事の席についておられたときのことである。多くの取税人や罪人たちも、イエスや弟子たちと共にその席に着いていた。こんな人たちが大ぜいいて、イエスに従ってきたのである。 (J)

マルコの福音書 2:16 パリサイ派の律法学者たちは、イエスが罪人や取税人たちと食事を共にしておられるのを見て、弟子たちに言った、「なぜ、彼は取税人や罪人などと食事を共にするのか」。 (J)

マルコの福音書 2:17 イエスはこれを聞いて言われた、「丈夫な人には医者はいらない。いるのは病人である。わたしがきたのは、義人を招くためではなく、罪人を招くためである」。 (J)

マルコの福音書 2:18 ヨハネの弟子とパリサイ人とは、断食をしていた。そこで人々がきて、イエスに言った、「ヨハネの弟子たちとパリサイ人の弟子たちとが断食をしているのに、あなたの弟子たちは、なぜ断食をしないのですか」。 (J)

マルコの福音書 2:19 するとイエスは言われた、「婚礼の客は、花婿が一緒にいるのに、断食ができるであろうか。花婿と一緒にいる間は、断食はできない。 (J)

マルコの福音書 2:20 しかし、花婿が奪い去られる日が来る。その日には断食をするであろう。 (J)

マルコの福音書 2:21 だれも、真新しい布ぎれを、古い着物に縫いつけはしない。もしそうすれば、新しいつぎは古い着物を引き破り、そして、破れがもっとひどくなる。 (J)

マルコの福音書 2:22 まただれも、新しいぶどう酒を古い皮袋に入れはしない。もしそうすれば、ぶどう酒は皮袋をはり裂き、そして、ぶどう酒も皮袋もむだになってしまう。〔だから、新しいぶどう酒は新しい皮袋に入れるべきである〕」。 (J)

マルコの福音書 2:23 ある安息日に、イエスは麦畑の中をとおって行かれた。そのとき弟子たちが、歩きながら穂をつみはじめた。 (J)

マルコの福音書 2:24 すると、パリサイ人たちがイエスに言った、「いったい、彼らはなぜ、安息日にしてはならぬことをするのですか」。 (J)

マルコの福音書 2:25 そこで彼らに言われた、「あなたがたは、ダビデとその供の者たちとが食物がなくて飢えたとき、ダビデが何をしたか、まだ読んだことがないのか。 (J)

マルコの福音書 2:26 すなわち、大祭司アビアタルの時、神の家にはいって、祭司たちのほか食べてはならぬ供えのパンを、自分も食べ、また供の者たちにも与えたではないか」。 (J)

マルコの福音書 2:27 また彼らに言われた、「安息日は人のためにあるもので、人が安息日のためにあるのではない。 (J)

マルコの福音書 2:28 それだから、人の子は、安息日にもまた主なのである」。 (J)

マルコの福音書 3:1 イエスがまた会堂にはいられると、そこに片手のなえた人がいた。 (J)

マルコの福音書 3:2 人々はイエスを訴えようと思って、安息日にその人をいやされるかどうかをうかがっていた。 (J)

マルコの福音書 3:3 すると、イエスは片手のなえたその人に、「立って、中へ出てきなさい」と言い、 (J)

マルコの福音書 3:4 人々にむかって、「安息日に善を行うのと悪を行うのと、命を救うのと殺すのと、どちらがよいか」と言われた。彼らは黙っていた。 (J)

マルコの福音書 3:5 イエスは怒りを含んで彼らを見まわし、その心のかたくななのを嘆いて、その人に「手を伸ばしなさい」と言われた。そこで手を伸ばすと、その手は元どおりになった。 (J)

マルコの福音書 3:6 パリサイ人たちは出て行って、すぐにヘロデ党の者たちと、なんとかしてイエスを殺そうと相談しはじめた。 (J)

マルコの福音書 3:7 それから、イエスは弟子たちと共に海べに退かれたが、ガリラヤからきたおびただしい群衆がついて行った。またユダヤから、 (J)

マルコの福音書 3:8 エルサレムから、イドマヤから、更にヨルダンの向こうから、ツロ、シドンのあたりからも、おびただしい群衆が、そのなさっていることを聞いて、みもとにきた。 (J)

マルコの福音書 3:9 イエスは群衆が自分に押し迫るのを避けるために、小舟を用意しておけと、弟子たちに命じられた。 (J)

マルコの福音書 3:10 それは、多くの人をいやされたので、病苦に悩む者は皆イエスにさわろうとして、押し寄せてきたからである。 (J)

マルコの福音書 3:11 また、けがれた霊どもはイエスを見るごとに、みまえにひれ伏し、叫んで、「あなたこそ神の子です」と言った。 (J)

マルコの福音書 3:12 イエスは御自身のことを人にあらわさないようにと、彼らをきびしく戒められた。 (J)

マルコの福音書 3:13 さてイエスは山に登り、みこころにかなった者たちを呼び寄せられたので、彼らはみもとにきた。 (J)

マルコの福音書 3:14 そこで十二人をお立てになった。彼らを自分のそばに置くためであり、さらに宣教につかわし、 (J)

マルコの福音書 3:15 また悪霊を追い出す権威を持たせるためであった。 (J)

マルコの福音書 3:16 こうして、この十二人をお立てになった。そしてシモンにペテロという名をつけ、 (J)

マルコの福音書 3:17 またゼベダイの子ヤコブと、ヤコブの兄弟ヨハネ、彼らにはボアネルゲ、すなわち、雷の子という名をつけられた。 (J)

マルコの福音書 3:18 つぎにアンデレ、ピリポ、バルトロマイ、マタイ、トマス、アルパヨの子ヤコブ、タダイ、熱心党のシモン、 (J)

マルコの福音書 3:19 それからイスカリオテのユダ。このユダがイエスを裏切ったのである。 イエスが家にはいられると、 (J)

マルコの福音書 3:20 群衆がまた集まってきたので、一同は食事をする暇もないほどであった。 (J)

マルコの福音書 3:21 身内の者たちはこの事を聞いて、イエスを取押えに出てきた。気が狂ったと思ったからである。 (J)

マルコの福音書 3:22 また、エルサレムから下ってきた律法学者たちも、「彼はベルゼブルにとりつかれている」と言い、「悪霊どものかしらによって、悪霊どもを追い出しているのだ」とも言った。 (J)

マルコの福音書 3:23 そこでイエスは彼らを呼び寄せ、譬をもって言われた、「どうして、サタンがサタンを追い出すことができようか。 (J)

マルコの福音書 3:24 もし国が内部で分れ争うなら、その国は立ち行かない。 (J)

マルコの福音書 3:25 また、もし家が内わで分れ争うなら、その家は立ち行かないであろう。 (J)

マルコの福音書 3:26 もしサタンが内部で対立し分争するなら、彼は立ち行けず、滅んでしまう。 (J)

マルコの福音書 3:27 だれでも、まず強い人を縛りあげなければ、その人の家に押し入って家財を奪い取ることはできない。縛ってからはじめて、その家を略奪することができる。 (J)

マルコの福音書 3:28 よく言い聞かせておくが、人の子らには、その犯すすべての罪も神をけがす言葉も、ゆるされる。 (J)

マルコの福音書 3:29 しかし、聖霊をけがす者は、いつまでもゆるされず、永遠の罪に定められる」。 (J)

マルコの福音書 3:30 そう言われたのは、彼らが「イエスはけがれた霊につかれている」と言っていたからである。 (J)

マルコの福音書 3:31 さて、イエスの母と兄弟たちとがきて、外に立ち、人をやってイエスを呼ばせた。 (J)

マルコの福音書 3:32 ときに、群衆はイエスを囲んですわっていたが、「ごらんなさい。あなたの母上と兄弟、姉妹たちが、外であなたを尋ねておられます」と言った。 (J)

マルコの福音書 3:33 すると、イエスは彼らに答えて言われた、「わたしの母、わたしの兄弟とは、だれのことか」。 (J)

マルコの福音書 3:34 そして、自分をとりかこんで、すわっている人々を見まわして、言われた、「ごらんなさい、ここにわたしの母、わたしの兄弟がいる。 (J)

マルコの福音書 3:35 神のみこころを行う者はだれでも、わたしの兄弟、また姉妹、また母なのである」。 (J)

マルコの福音書 4:1 イエスはまたも、海べで教えはじめられた。おびただしい群衆がみもとに集まったので、イエスは舟に乗ってすわったまま、海上におられ、群衆はみな海に沿って陸地にいた。 (J)

マルコの福音書 4:2 イエスは譬で多くの事を教えられたが、その教の中で彼らにこう言われた、 (J)

マルコの福音書 4:3 「聞きなさい、種まきが種をまきに出て行った。 (J)

マルコの福音書 4:4 まいているうちに、道ばたに落ちた種があった。すると、鳥がきて食べてしまった。 (J)

マルコの福音書 4:5 ほかの種は土の薄い石地に落ちた。そこは土が深くないので、すぐ芽を出したが、 (J)

マルコの福音書 4:6 日が上ると焼けて、根がないために枯れてしまった。 (J)

マルコの福音書 4:7 ほかの種はいばらの中に落ちた。すると、いばらが伸びて、ふさいでしまったので、実を結ばなかった。 (J)

マルコの福音書 4:8 ほかの種は良い地に落ちた。そしてはえて、育って、ますます実を結び、三十倍、六十倍、百倍にもなった」。 (J)

マルコの福音書 4:9 そして言われた、「聞く耳のある者は聞くがよい」。 (J)

マルコの福音書 4:10 イエスがひとりになられた時、そばにいた者たちが、十二弟子と共に、これらの譬について尋ねた。 (J)

マルコの福音書 4:11 そこでイエスは言われた、「あなたがたには神の国の奥義が授けられているが、ほかの者たちには、すべてが譬で語られる。 (J)

マルコの福音書 4:12 それは 『彼らは見るには見るが、認めず、 聞くには聞くが、悟らず、 悔い改めてゆるされることがない』ためである」。 (J)

マルコの福音書 4:13 また彼らに言われた、「あなたがたはこの譬がわからないのか。それでは、どうしてすべての譬がわかるだろうか。 (J)

マルコの福音書 4:14 種まきは御言をまくのである。 (J)

マルコの福音書 4:15 道ばたに御言がまかれたとは、こういう人たちのことである。すなわち、御言を聞くと、すぐにサタンがきて、彼らの中にまかれた御言を、奪って行くのである。 (J)

マルコの福音書 4:16 同じように、石地にまかれたものとは、こういう人たちのことである。御言を聞くと、すぐに喜んで受けるが、 (J)

マルコの福音書 4:17 自分の中に根がないので、しばらく続くだけである。そののち、御言のために困難や迫害が起ってくると、すぐつまずいてしまう。 (J)

マルコの福音書 4:18 また、いばらの中にまかれたものとは、こういう人たちのことである。御言を聞くが、 (J)

マルコの福音書 4:19 世の心づかいと、富の惑わしと、その他いろいろな欲とがはいってきて、御言をふさぐので、実を結ばなくなる。 (J)

マルコの福音書 4:20 また、良い地にまかれたものとは、こういう人たちのことである。御言を聞いて受けいれ、三十倍、六十倍、百倍の実を結ぶのである」。 (J)

マルコの福音書 4:21 また彼らに言われた、「ますの下や寝台の下に置くために、あかりを持ってくることがあろうか。燭台の上に置くためではないか。 (J)

マルコの福音書 4:22 なんでも、隠されているもので、現れないものはなく、秘密にされているもので、明るみに出ないものはない。 (J)

マルコの福音書 4:23 聞く耳のある者は聞くがよい」。 (J)

マルコの福音書 4:24 また彼らに言われた、「聞くことがらに注意しなさい。あなたがたの量るそのはかりで、自分にも量り与えられ、その上になお増し加えられるであろう。 (J)

マルコの福音書 4:25 だれでも、持っている人は更に与えられ、持っていない人は、持っているものまでも取り上げられるであろう」。 (J)

マルコの福音書 4:26 また言われた、「神の国は、ある人が地に種をまくようなものである。 (J)

マルコの福音書 4:27 夜昼、寝起きしている間に、種は芽を出して育って行くが、どうしてそうなるのか、その人は知らない。 (J)

マルコの福音書 4:28 地はおのずから実を結ばせるもので、初めに芽、つぎに穂、つぎに穂の中に豊かな実ができる。 (J)

マルコの福音書 4:29 実がいると、すぐにかまを入れる。刈入れ時がきたからである」。 (J)

マルコの福音書 4:30 また言われた、「神の国を何に比べようか。また、どんな譬で言いあらわそうか。 (J)

マルコの福音書 4:31 それは一粒のからし種のようなものである。地にまかれる時には、地上のどんな種よりも小さいが、 (J)

マルコの福音書 4:32 まかれると、成長してどんな野菜よりも大きくなり、大きな枝を張り、その陰に空の鳥が宿るほどになる」。 (J)

マルコの福音書 4:33 イエスはこのような多くの譬で、人々の聞く力にしたがって、御言を語られた。 (J)

マルコの福音書 4:34 譬によらないでは語られなかったが、自分の弟子たちには、ひそかにすべてのことを解き明かされた。 (J)

マルコの福音書 4:35 さてその日、夕方になると、イエスは弟子たちに、「向こう岸へ渡ろう」と言われた。 (J)

マルコの福音書 4:36 そこで、彼らは群衆をあとに残し、イエスが舟に乗っておられるまま、乗り出した。ほかの舟も一緒に行った。 (J)

マルコの福音書 4:37 すると、激しい突風が起り、波が舟の中に打ち込んできて、舟に満ちそうになった。 (J)

マルコの福音書 4:38 ところがイエス自身は、舳の方でまくらをして、眠っておられた。そこで、弟子たちはイエスをおこして、「先生、わたしどもがおぼれ死んでも、おかまいにならないのですか」と言った。 (J)

マルコの福音書 4:39 イエスは起きあがって風をしかり、海にむかって、「静まれ、黙れ」と言われると、風はやんで、大なぎになった。 (J)

マルコの福音書 4:40 イエスは彼らに言われた、「なぜ、そんなにこわがるのか。どうして信仰がないのか」。 (J)

マルコの福音書 4:41 彼らは恐れおののいて、互に言った、「いったい、この方はだれだろう。風も海も従わせるとは」。 (J)

マルコの福音書 5:1 こうして彼らは海の向こう岸、ゲラサ人の地に着いた。 (J)

マルコの福音書 5:2 それから、イエスが舟からあがられるとすぐに、けがれた霊につかれた人が墓場から出てきて、イエスに出会った。 (J)

マルコの福音書 5:3 この人は墓場をすみかとしており、もはやだれも、鎖でさえも彼をつなぎとめて置けなかった。 (J)

マルコの福音書 5:4 彼はたびたび足かせや鎖でつながれたが、鎖を引きちぎり、足かせを砕くので、だれも彼を押えつけることができなかったからである。 (J)

マルコの福音書 5:5 そして、夜昼たえまなく墓場や山で叫びつづけて、石で自分のからだを傷つけていた。 (J)

マルコの福音書 5:6 ところが、この人がイエスを遠くから見て、走り寄って拝し、 (J)

マルコの福音書 5:7 大声で叫んで言った、「いと高き神の子イエスよ、あなたはわたしとなんの係わりがあるのです。神に誓ってお願いします。どうぞ、わたしを苦しめないでください」。 (J)

マルコの福音書 5:8 それは、イエスが、「けがれた霊よ、この人から出て行け」と言われたからである。 (J)

マルコの福音書 5:9 また彼に、「なんという名前か」と尋ねられると、「レギオンと言います。大ぜいなのですから」と答えた。 (J)

マルコの福音書 5:10 そして、自分たちをこの土地から追い出さないようにと、しきりに願いつづけた。 (J)

マルコの福音書 5:11 さて、そこの山の中腹に、豚の大群が飼ってあった。 (J)

マルコの福音書 5:12 霊はイエスに願って言った、「わたしどもを、豚にはいらせてください。その中へ送ってください」。 (J)

マルコの福音書 5:13 イエスがお許しになったので、けがれた霊どもは出て行って、豚の中へはいり込んだ。すると、その群れは二千匹ばかりであったが、がけから海へなだれを打って駆け下り、海の中でおぼれ死んでしまった。 (J)

マルコの福音書 5:14 豚を飼う者たちが逃げ出して、町や村にふれまわったので、人々は何事が起ったのかと見にきた。 (J)

マルコの福音書 5:15 そして、イエスのところにきて、悪霊につかれた人が着物を着て、正気になってすわっており、それがレギオンを宿していた者であるのを見て、恐れた。 (J)

マルコの福音書 5:16 また、それを見た人たちは、悪霊につかれた人の身に起った事と豚のこととを、彼らに話して聞かせた。 (J)

マルコの福音書 5:17 そこで、人々はイエスに、この地方から出て行っていただきたいと、頼みはじめた。 (J)

マルコの福音書 5:18 イエスが舟に乗ろうとされると、悪霊につかれていた人がお供をしたいと願い出た。 (J)

マルコの福音書 5:19 しかし、イエスはお許しにならないで、彼に言われた、「あなたの家族のもとに帰って、主がどんなに大きなことをしてくださったか、またどんなにあわれんでくださったか、それを知らせなさい」。 (J)

マルコの福音書 5:20 そこで、彼は立ち去り、そして自分にイエスがしてくださったことを、ことごとくデカポリスの地方に言いひろめ出したので、人々はみな驚き怪しんだ。 (J)

マルコの福音書 5:21 イエスがまた舟で向こう岸へ渡られると、大ぜいの群衆がみもとに集まってきた。イエスは海べにおられた。 (J)

マルコの福音書 5:22 そこへ、会堂司のひとりであるヤイロという者がきて、イエスを見かけるとその足もとにひれ伏し、 (J)

マルコの福音書 5:23 しきりに願って言った、「わたしの幼い娘が死にかかっています。どうぞ、その子がなおって助かりますように、おいでになって、手をおいてやってください」。 (J)

マルコの福音書 5:24 そこで、イエスは彼と一緒に出かけられた。大ぜいの群衆もイエスに押し迫りながら、ついて行った。 (J)

マルコの福音書 5:25 さてここに、十二年間も長血をわずらっている女がいた。 (J)

マルコの福音書 5:26 多くの医者にかかって、さんざん苦しめられ、その持ち物をみな費してしまったが、なんのかいもないばかりか、かえってますます悪くなる一方であった。 (J)

マルコの福音書 5:27 この女がイエスのことを聞いて、群衆の中にまぎれ込み、うしろから、み衣にさわった。 (J)

マルコの福音書 5:28 それは、せめて、み衣にでもさわれば、なおしていただけるだろうと、思っていたからである。 (J)

マルコの福音書 5:29 すると、血の元がすぐにかわき、女は病気がなおったことを、その身に感じた。 (J)

マルコの福音書 5:30 イエスはすぐ、自分の内から力が出て行ったことに気づかれて、群衆の中で振り向き、「わたしの着物にさわったのはだれか」と言われた。 (J)

マルコの福音書 5:31 そこで弟子たちが言った、「ごらんのとおり、群衆があなたに押し迫っていますのに、だれがさわったかと、おっしゃるのですか」。 (J)

マルコの福音書 5:32 しかし、イエスはさわった者を見つけようとして、見まわしておられた。 (J)

マルコの福音書 5:33 その女は自分の身に起ったことを知って、恐れおののきながら進み出て、みまえにひれ伏して、すべてありのままを申し上げた。 (J)

マルコの福音書 5:34 イエスはその女に言われた、「娘よ、あなたの信仰があなたを救ったのです。安心して行きなさい。すっかりなおって、達者でいなさい」。 (J)

マルコの福音書 5:35 イエスが、まだ話しておられるうちに、会堂司の家から人々がきて言った、「あなたの娘はなくなりました。このうえ、先生を煩わすには及びますまい」。 (J)

マルコの福音書 5:36 イエスはその話している言葉を聞き流して、会堂司に言われた、「恐れることはない。ただ信じなさい」。 (J)

マルコの福音書 5:37 そしてペテロ、ヤコブ、ヤコブの兄弟ヨハネのほかは、ついて来ることを、だれにもお許しにならなかった。 (J)

マルコの福音書 5:38 彼らが会堂司の家に着くと、イエスは人々が大声で泣いたり、叫んだりして、騒いでいるのをごらんになり、 (J)

マルコの福音書 5:39 内にはいって、彼らに言われた、「なぜ泣き騒いでいるのか。子供は死んだのではない。眠っているだけである」。 (J)

マルコの福音書 5:40 人々はイエスをあざ笑った。しかし、イエスはみんなの者を外に出し、子供の父母と供の者たちだけを連れて、子供のいる所にはいって行かれた。 (J)

マルコの福音書 5:41 そして子供の手を取って、「タリタ、クミ」と言われた。それは、「少女よ、さあ、起きなさい」という意味である。 (J)

マルコの福音書 5:42 すると、少女はすぐに起き上がって、歩き出した。十二歳にもなっていたからである。彼らはたちまち非常な驚きに打たれた。 (J)

マルコの福音書 5:43 イエスは、だれにもこの事を知らすなと、きびしく彼らに命じ、また、少女に食物を与えるようにと言われた。 (J)

マルコの福音書 6:1 イエスはそこを去って、郷里に行かれたが、弟子たちも従って行った。 (J)

マルコの福音書 6:2 そして、安息日になったので、会堂で教えはじめられた。それを聞いた多くの人々は、驚いて言った、「この人は、これらのことをどこで習ってきたのか。また、この人の授かった知恵はどうだろう。このような力あるわざがその手で行われているのは、どうしてか。 (J)

マルコの福音書 6:3 この人は大工ではないか。マリヤのむすこで、ヤコブ、ヨセ、ユダ、シモンの兄弟ではないか。またその姉妹たちも、ここにわたしたちと一緒にいるではないか」。こうして彼らはイエスにつまずいた。 (J)

マルコの福音書 6:4 イエスは言われた、「預言者は、自分の郷里、親族、家以外では、どこででも敬われないことはない」。 (J)

マルコの福音書 6:5 そして、そこでは力あるわざを一つもすることができず、ただ少数の病人に手をおいていやされただけであった。 (J)

マルコの福音書 6:6 そして、彼らの不信仰を驚き怪しまれた。 それからイエスは、附近の村々を巡りあるいて教えられた。 (J)

マルコの福音書 6:7 また十二弟子を呼び寄せ、ふたりずつつかわすことにして、彼らにけがれた霊を制する権威を与え、 (J)

マルコの福音書 6:8 また旅のために、つえ一本のほかには何も持たないように、パンも、袋も、帯の中に銭も持たず、 (J)

マルコの福音書 6:9 ただわらじをはくだけで、下着も二枚は着ないように命じられた。 (J)

マルコの福音書 6:10 そして彼らに言われた、「どこへ行っても、家にはいったなら、その土地を去るまでは、そこにとどまっていなさい。 (J)

マルコの福音書 6:11 また、あなたがたを迎えず、あなたがたの話を聞きもしない所があったなら、そこから出て行くとき、彼らに対する抗議のしるしに、足の裏のちりを払い落しなさい」。 (J)

マルコの福音書 6:12 そこで、彼らは出て行って、悔改めを宣べ伝え、 (J)

マルコの福音書 6:13 多くの悪霊を追い出し、大ぜいの病人に油をぬっていやした。 (J)

マルコの福音書 6:14 さて、イエスの名が知れわたって、ヘロデ王の耳にはいった。ある人々は「バプテスマのヨハネが、死人の中からよみがえってきたのだ。それで、あのような力が彼のうちに働いているのだ」と言い、 (J)

マルコの福音書 6:15 他の人々は「彼はエリヤだ」と言い、また他の人々は「昔の預言者のような預言者だ」と言った。 (J)

マルコの福音書 6:16 ところが、ヘロデはこれを聞いて、「わたしが首を切ったあのヨハネがよみがえったのだ」と言った。 (J)

マルコの福音書 6:17 このヘロデは、自分の兄弟ピリポの妻ヘロデヤをめとったが、そのことで、人をつかわし、ヨハネを捕えて獄につないだ。 (J)

マルコの福音書 6:18 それは、ヨハネがヘロデに、「兄弟の妻をめとるのは、よろしくない」と言ったからである。 (J)

マルコの福音書 6:19 そこで、ヘロデヤはヨハネを恨み、彼を殺そうと思っていたが、できないでいた。 (J)

マルコの福音書 6:20 それはヘロデが、ヨハネは正しくて聖なる人であることを知って、彼を恐れ、彼に保護を加え、またその教を聞いて非常に悩みながらも、なお喜んで聞いていたからである。 (J)

マルコの福音書 6:21 ところが、よい機会がきた。ヘロデは自分の誕生日の祝に、高官や将校やガリラヤの重立った人たちを招いて宴会を催したが、 (J)

マルコの福音書 6:22 そこへ、このヘロデヤの娘がはいってきて舞をまい、ヘロデをはじめ列座の人たちを喜ばせた。そこで王はこの少女に「ほしいものはなんでも言いなさい。あなたにあげるから」と言い、 (J)

マルコの福音書 6:23 さらに「ほしければ、この国の半分でもあげよう」と誓って言った。 (J)

マルコの福音書 6:24 そこで少女は座をはずして、母に「何をお願いしましょうか」と尋ねると、母は「バプテスマのヨハネの首を」と答えた。 (J)

マルコの福音書 6:25 するとすぐ、少女は急いで王のところに行って願った、「今すぐに、バプテスマのヨハネの首を盆にのせて、それをいただきとうございます」。 (J)

マルコの福音書 6:26 王は非常に困ったが、いったん誓ったのと、また列座の人たちの手前、少女の願いを退けることを好まなかった。 (J)

マルコの福音書 6:27 そこで、王はすぐに衛兵をつかわし、ヨハネの首を持って来るように命じた。衛兵は出て行き、獄中でヨハネの首を切り、 (J)

マルコの福音書 6:28 盆にのせて持ってきて少女に与え、少女はそれを母にわたした。 (J)

マルコの福音書 6:29 ヨハネの弟子たちはこのことを聞き、その死体を引き取りにきて、墓に納めた。 (J)

マルコの福音書 6:30 さて、使徒たちはイエスのもとに集まってきて、自分たちがしたことや教えたことを、みな報告した。 (J)

マルコの福音書 6:31 するとイエスは彼らに言われた、「さあ、あなたがたは、人を避けて寂しい所へ行って、しばらく休むがよい」。それは、出入りする人が多くて、食事をする暇もなかったからである。 (J)

マルコの福音書 6:32 そこで彼らは人を避け、舟に乗って寂しい所へ行った。 (J)

マルコの福音書 6:33 ところが、多くの人々は彼らが出かけて行くのを見、それと気づいて、方々の町々からそこへ、一せいに駆けつけ、彼らより先に着いた。 (J)

マルコの福音書 6:34 イエスは舟から上がって大ぜいの群衆をごらんになり、飼う者のない羊のようなその有様を深くあわれんで、いろいろと教えはじめられた。 (J)

マルコの福音書 6:35 ところが、はや時もおそくなったので、弟子たちはイエスのもとにきて言った、「ここは寂しい所でもあり、もう時もおそくなりました。 (J)

マルコの福音書 6:36 みんなを解散させ、めいめいで何か食べる物を買いに、まわりの部落や村々へ行かせてください」。 (J)

マルコの福音書 6:37 イエスは答えて言われた、「あなたがたの手で食物をやりなさい」。弟子たちは言った、「わたしたちが二百デナリものパンを買ってきて、みんなに食べさせるのですか」。 (J)

マルコの福音書 6:38 するとイエスは言われた、「パンは幾つあるか。見てきなさい」。彼らは確かめてきて、「五つあります。それに魚が二ひき」と言った。 (J)

マルコの福音書 6:39 そこでイエスは、みんなを組々に分けて、青草の上にすわらせるように命じられた。 (J)

マルコの福音書 6:40 人々は、あるいは百人ずつ、あるいは五十人ずつ、列をつくってすわった。 (J)

マルコの福音書 6:41 それから、イエスは五つのパンと二ひきの魚とを手に取り、天を仰いでそれを祝福し、パンをさき、弟子たちにわたして配らせ、また、二ひきの魚もみんなにお分けになった。 (J)

マルコの福音書 6:42 みんなの者は食べて満腹した。 (J)

マルコの福音書 6:43 そこで、パンくずや魚の残りを集めると、十二のかごにいっぱいになった。 (J)

マルコの福音書 6:44 パンを食べた者は男五千人であった。 (J)

マルコの福音書 6:45 それからすぐ、イエスは自分で群衆を解散させておられる間に、しいて弟子たちを舟に乗り込ませ、向こう岸のベツサイダへ先におやりになった。 (J)

マルコの福音書 6:46 そして群衆に別れてから、祈るために山へ退かれた。 (J)

マルコの福音書 6:47 夕方になったとき、舟は海のまん中に出ており、イエスだけが陸地におられた。 (J)

マルコの福音書 6:48 ところが逆風が吹いていたために、弟子たちがこぎ悩んでいるのをごらんになって、夜明けの四時ごろ、海の上を歩いて彼らに近づき、そのそばを通り過ぎようとされた。 (J)

マルコの福音書 6:49 彼らはイエスが海の上を歩いておられるのを見て、幽霊だと思い、大声で叫んだ。 (J)

マルコの福音書 6:50 みんなの者がそれを見て、おじ恐れたからである。しかし、イエスはすぐ彼らに声をかけ、「しっかりするのだ。わたしである。恐れることはない」と言われた。 (J)

マルコの福音書 6:51 そして、彼らの舟に乗り込まれると、風はやんだ。彼らは心の中で、非常に驚いた。 (J)

マルコの福音書 6:52 先のパンのことを悟らず、その心が鈍くなっていたからである。 (J)

マルコの福音書 6:53 彼らは海を渡り、ゲネサレの地に着いて舟をつないだ。 (J)

マルコの福音書 6:54 そして舟からあがると、人々はすぐイエスと知って、 (J)

マルコの福音書 6:55 その地方をあまねく駆けめぐり、イエスがおられると聞けば、どこへでも病人を床にのせて運びはじめた。 (J)

マルコの福音書 6:56 そして、村でも町でも部落でも、イエスがはいって行かれる所では、病人たちをその広場におき、せめてその上着のふさにでも、さわらせてやっていただきたいと、お願いした。そしてさわった者は皆いやされた。 (J)

マルコの福音書 7:1 さて、パリサイ人と、ある律法学者たちとが、エルサレムからきて、イエスのもとに集まった。 (J)

マルコの福音書 7:2 そして弟子たちのうちに、不浄な手、すなわち洗わない手で、パンを食べている者があるのを見た。 (J)

マルコの福音書 7:3 もともと、パリサイ人をはじめユダヤ人はみな、昔の人の言伝えをかたく守って、念入りに手を洗ってからでないと、食事をしない。 (J)

マルコの福音書 7:4 また市場から帰ったときには、身を清めてからでないと、食事をせず、なおそのほかにも、杯、鉢、銅器を洗うことなど、昔から受けついでかたく守っている事が、たくさんあった。 (J)

マルコの福音書 7:5 そこで、パリサイ人と律法学者たちとは、イエスに尋ねた、「なぜ、あなたの弟子たちは、昔の人の言伝えに従って歩まないで、不浄な手でパンを食べるのですか」。 (J)

マルコの福音書 7:6 イエスは言われた、「イザヤは、あなたがた偽善者について、こう書いているが、それは適切な預言である、 『この民は、口さきではわたしを敬うが、 その心はわたしから遠く離れている。 (J)

マルコの福音書 7:7 人間のいましめを教として教え、 無意味にわたしを拝んでいる』。 (J)

マルコの福音書 7:8 あなたがたは、神のいましめをさしおいて、人間の言伝えを固執している」。 (J)

マルコの福音書 7:9 また、言われた、「あなたがたは、自分たちの言伝えを守るために、よくも神のいましめを捨てたものだ。 (J)

マルコの福音書 7:10 モーセは言ったではないか、『父と母とを敬え』、また『父または母をののしる者は、必ず死に定められる』と。 (J)

マルコの福音書 7:11 それだのに、あなたがたは、もし人が父または母にむかって、あなたに差上げるはずのこのものはコルバン、すなわち、供え物ですと言えば、それでよいとして、 (J)

マルコの福音書 7:12 その人は父母に対して、もう何もしないで済むのだと言っている。 (J)

マルコの福音書 7:13 こうしてあなたがたは、自分たちが受けついだ言伝えによって、神の言を無にしている。また、このような事をしばしばおこなっている」。 (J)

マルコの福音書 7:14 それから、イエスは再び群衆を呼び寄せて言われた、「あなたがたはみんな、わたしの言うことを聞いて悟るがよい。 (J)

マルコの福音書 7:15 すべて外から人の中にはいって、人をけがしうるものはない。かえって、人の中から出てくるものが、人をけがすのである。〔 (J)

マルコの福音書 7:16 聞く耳のある者は聞くがよい〕」。 (J)

マルコの福音書 7:17 イエスが群衆を離れて家にはいられると、弟子たちはこの譬について尋ねた。 (J)

マルコの福音書 7:18 すると、言われた、「あなたがたも、そんなに鈍いのか。すべて、外から人の中にはいって来るものは、人を汚し得ないことが、わからないのか。 (J)

マルコの福音書 7:19 それは人の心の中にはいるのではなく、腹の中にはいり、そして、外に出て行くだけである」。イエスはこのように、どんな食物でもきよいものとされた。 (J)

マルコの福音書 7:20 さらに言われた、「人から出て来るもの、それが人をけがすのである。 (J)

マルコの福音書 7:21 すなわち内部から、人の心の中から、悪い思いが出て来る。不品行、盗み、殺人、 (J)

マルコの福音書 7:22 姦淫、貪欲、邪悪、欺き、好色、妬み、誹り、高慢、愚痴。 (J)

マルコの福音書 7:23 これらの悪はすべて内部から出てきて、人をけがすのである」。 (J)

マルコの福音書 7:24 さて、イエスは、そこを立ち去って、ツロの地方に行かれた。そして、だれにも知れないように、家の中にはいられたが、隠れていることができなかった。 (J)

マルコの福音書 7:25 そして、けがれた霊につかれた幼い娘をもつ女が、イエスのことをすぐ聞きつけてきて、その足もとにひれ伏した。 (J)

マルコの福音書 7:26 この女はギリシヤ人で、スロ・フェニキヤの生れであった。そして、娘から悪霊を追い出してくださいとお願いした。 (J)

マルコの福音書 7:27 イエスは女に言われた、「まず子供たちに十分食べさすべきである。子供たちのパンを取って小犬に投げてやるのは、よろしくない」。 (J)

マルコの福音書 7:28 すると、女は答えて言った、「主よ、お言葉どおりです。でも、食卓の下にいる小犬も、子供たちのパンくずは、いただきます」。 (J)

マルコの福音書 7:29 そこでイエスは言われた、「その言葉で、じゅうぶんである。お帰りなさい。悪霊は娘から出てしまった」。 (J)

マルコの福音書 7:30 そこで、女が家に帰ってみると、その子は床の上に寝ており、悪霊は出てしまっていた。 (J)

マルコの福音書 7:31 それから、イエスはまたツロの地方を去り、シドンを経てデカポリス地方を通りぬけ、ガリラヤの海べにこられた。 (J)

マルコの福音書 7:32 すると人々は、耳が聞えず口のきけない人を、みもとに連れてきて、手を置いてやっていただきたいとお願いした。 (J)

マルコの福音書 7:33 そこで、イエスは彼ひとりを群衆の中から連れ出し、その両耳に指をさし入れ、それから、つばきでその舌を潤し、 (J)

マルコの福音書 7:34 天を仰いでため息をつき、その人に「エパタ」と言われた。これは「開けよ」という意味である。 (J)

マルコの福音書 7:35 すると彼の耳が開け、その舌のもつれもすぐ解けて、はっきりと話すようになった。 (J)

マルコの福音書 7:36 イエスは、この事をだれにも言ってはならぬと、人々に口止めをされたが、口止めをすればするほど、かえって、ますます言いひろめた。 (J)

マルコの福音書 7:37 彼らは、ひとかたならず驚いて言った、「このかたのなさった事は、何もかも、すばらしい。耳の聞えない者を聞えるようにしてやり、口のきけない者をきけるようにしておやりになった」。 (J)

マルコの福音書 8:1 そのころ、また大ぜいの群衆が集まっていたが、何も食べるものがなかったので、イエスは弟子たちを呼び寄せて言われた、 (J)

マルコの福音書 8:2 「この群衆がかわいそうである。もう三日間もわたしと一緒にいるのに、何も食べるものがない。 (J)

マルコの福音書 8:3 もし、彼らを空腹のまま家に帰らせるなら、途中で弱り切ってしまうであろう。それに、なかには遠くからきている者もある」。 (J)

マルコの福音書 8:4 弟子たちは答えた、「こんな荒野で、どこからパンを手に入れて、これらの人々にじゅうぶん食べさせることができましょうか」。 (J)

マルコの福音書 8:5 イエスが弟子たちに、「パンはいくつあるか」と尋ねられると、「七つあります」と答えた。 (J)

マルコの福音書 8:6 そこでイエスは群衆に地にすわるように命じられた。そして七つのパンを取り、感謝してこれをさき、人々に配るように弟子たちに渡されると、弟子たちはそれを群衆に配った。 (J)

マルコの福音書 8:7 また小さい魚が少しばかりあったので、祝福して、それをも人々に配るようにと言われた。 (J)

マルコの福音書 8:8 彼らは食べて満腹した。そして残ったパンくずを集めると、七かごになった。 (J)

マルコの福音書 8:9 人々の数はおよそ四千人であった。それからイエスは彼らを解散させ、 (J)

マルコの福音書 8:10 すぐ弟子たちと共に舟に乗って、ダルマヌタの地方へ行かれた。 (J)

マルコの福音書 8:11 パリサイ人たちが出てきて、イエスを試みようとして議論をしかけ、天からのしるしを求めた。 (J)

マルコの福音書 8:12 イエスは、心の中で深く嘆息して言われた、「なぜ、今の時代はしるしを求めるのだろう。よく言い聞かせておくが、しるしは今の時代には決して与えられない」。 (J)

マルコの福音書 8:13 そして、イエスは彼らをあとに残し、また舟に乗って向こう岸へ行かれた。 (J)

マルコの福音書 8:14 弟子たちはパンを持って来るのを忘れていたので、舟の中にはパン一つしか持ち合わせがなかった。 (J)

マルコの福音書 8:15 そのとき、イエスは彼らを戒めて、「パリサイ人のパン種とヘロデのパン種とを、よくよく警戒せよ」と言われた。 (J)

マルコの福音書 8:16 弟子たちは、これは自分たちがパンを持っていないためであろうと、互に論じ合った。 (J)

マルコの福音書 8:17 イエスはそれと知って、彼らに言われた、「なぜ、パンがないからだと論じ合っているのか。まだわからないのか、悟らないのか。あなたがたの心は鈍くなっているのか。 (J)

マルコの福音書 8:18 目があっても見えないのか。耳があっても聞えないのか。まだ思い出さないのか。 (J)

マルコの福音書 8:19 五つのパンをさいて五千人に分けたとき、拾い集めたパンくずは、幾つのかごになったか」。弟子たちは答えた、「十二かごです」。 (J)

マルコの福音書 8:20 「七つのパンを四千人に分けたときには、パンくずを幾つのかごに拾い集めたか」。「七かごです」と答えた。 (J)

マルコの福音書 8:21 そこでイエスは彼らに言われた、「まだ悟らないのか」。 (J)

マルコの福音書 8:22 そのうちに、彼らはベツサイダに着いた。すると人々が、ひとりの盲人を連れてきて、さわってやっていただきたいとお願いした。 (J)

マルコの福音書 8:23 イエスはこの盲人の手をとって、村の外に連れ出し、その両方の目につばきをつけ、両手を彼に当てて、「何か見えるか」と尋ねられた。 (J)

マルコの福音書 8:24 すると彼は顔を上げて言った、「人が見えます。木のように見えます。歩いているようです」。 (J)

マルコの福音書 8:25 それから、イエスが再び目の上に両手を当てられると、盲人は見つめているうちに、なおってきて、すべてのものがはっきりと見えだした。 (J)

マルコの福音書 8:26 そこでイエスは、「村にはいってはいけない」と言って、彼を家に帰された。 (J)

マルコの福音書 8:27 さて、イエスは弟子たちとピリポ・カイザリヤの村々へ出かけられたが、その途中で、弟子たちに尋ねて言われた、「人々は、わたしをだれと言っているか」。 (J)

マルコの福音書 8:28 彼らは答えて言った、「バプテスマのヨハネだと、言っています。また、エリヤだと言い、また、預言者のひとりだと言っている者もあります」。 (J)

マルコの福音書 8:29 そこでイエスは彼らに尋ねられた、「それでは、あなたがたはわたしをだれと言うか」。ペテロが答えて言った、「あなたこそキリストです」。 (J)

マルコの福音書 8:30 するとイエスは、自分のことをだれにも言ってはいけないと、彼らを戒められた。 (J)

マルコの福音書 8:31 それから、人の子は必ず多くの苦しみを受け、長老、祭司長、律法学者たちに捨てられ、また殺され、そして三日の後によみがえるべきことを、彼らに教えはじめ、 (J)

マルコの福音書 8:32 しかもあからさまに、この事を話された。すると、ペテロはイエスをわきへ引き寄せて、いさめはじめたので、 (J)

マルコの福音書 8:33 イエスは振り返って、弟子たちを見ながら、ペテロをしかって言われた、「サタンよ、引きさがれ。あなたは神のことを思わないで、人のことを思っている」。 (J)

マルコの福音書 8:34 それから群衆を弟子たちと一緒に呼び寄せて、彼らに言われた、「だれでもわたしについてきたいと思うなら、自分を捨て、自分の十字架を負うて、わたしに従ってきなさい。 (J)

マルコの福音書 8:35 自分の命を救おうと思う者はそれを失い、わたしのため、また福音のために、自分の命を失う者は、それを救うであろう。 (J)

マルコの福音書 8:36 人が全世界をもうけても、自分の命を損したら、なんの得になろうか。 (J)

マルコの福音書 8:37 また、人はどんな代価を払って、その命を買いもどすことができようか。 (J)

マルコの福音書 8:38 邪悪で罪深いこの時代にあって、わたしとわたしの言葉とを恥じる者に対しては、人の子もまた、父の栄光のうちに聖なる御使たちと共に来るときに、その者を恥じるであろう」。 (J)

マルコの福音書 9:1 また、彼らに言われた、「よく聞いておくがよい。神の国が力をもって来るのを見るまでは、決して死を味わわない者が、ここに立っている者の中にいる」。 (J)

マルコの福音書 9:2 六日の後、イエスは、ただペテロ、ヤコブ、ヨハネだけを連れて、高い山に登られた。ところが、彼らの目の前でイエスの姿が変り、 (J)

マルコの福音書 9:3 その衣は真白く輝き、どんな布さらしでも、それほどに白くすることはできないくらいになった。 (J)

マルコの福音書 9:4 すると、エリヤがモーセと共に彼らに現れて、イエスと語り合っていた。 (J)

マルコの福音書 9:5 ペテロはイエスにむかって言った、「先生、わたしたちがここにいるのは、すばらしいことです。それで、わたしたちは小屋を三つ建てましょう。一つはあなたのために、一つはモーセのために、一つはエリヤのために」。 (J)

マルコの福音書 9:6 そう言ったのは、みんなの者が非常に恐れていたので、ペテロは何を言ってよいか、わからなかったからである。 (J)

マルコの福音書 9:7 すると、雲がわき起って彼らをおおった。そして、その雲の中から声があった、「これはわたしの愛する子である。これに聞け」。 (J)

マルコの福音書 9:8 彼らは急いで見まわしたが、もはやだれも見えず、ただイエスだけが、自分たちと一緒におられた。 (J)

マルコの福音書 9:9 一同が山を下って来るとき、イエスは「人の子が死人の中からよみがえるまでは、いま見たことをだれにも話してはならない」と、彼らに命じられた。 (J)

マルコの福音書 9:10 彼らはこの言葉を心にとめ、死人の中からよみがえるとはどういうことかと、互に論じ合った。 (J)

マルコの福音書 9:11 そしてイエスに尋ねた、「なぜ、律法学者たちは、エリヤが先に来るはずだと言っているのですか」。 (J)

マルコの福音書 9:12 イエスは言われた、「確かに、エリヤが先にきて、万事を元どおりに改める。しかし、人の子について、彼が多くの苦しみを受け、かつ恥ずかしめられると、書いてあるのはなぜか。 (J)

マルコの福音書 9:13 しかしあなたがたに言っておく、エリヤはすでにきたのだ。そして彼について書いてあるように、人々は自分かってに彼をあしらった」。 (J)

マルコの福音書 9:14 さて、彼らがほかの弟子たちの所にきて見ると、大ぜいの群衆が弟子たちを取り囲み、そして律法学者たちが彼らと論じ合っていた。 (J)

マルコの福音書 9:15 群衆はみな、すぐイエスを見つけて、非常に驚き、駆け寄ってきて、あいさつをした。 (J)

マルコの福音書 9:16 イエスが彼らに、「あなたがたは彼らと何を論じているのか」と尋ねられると、 (J)

マルコの福音書 9:17 群衆のひとりが答えた、「先生、おしの霊につかれているわたしのむすこを、こちらに連れて参りました。 (J)

マルコの福音書 9:18 霊がこのむすこにとりつきますと、どこででも彼を引き倒し、それから彼はあわを吹き、歯をくいしばり、からだをこわばらせてしまいます。それでお弟子たちに、この霊を追い出してくださるように願いましたが、できませんでした」。 (J)

マルコの福音書 9:19 イエスは答えて言われた、「ああ、なんという不信仰な時代であろう。いつまで、わたしはあなたがたと一緒におられようか。いつまで、あなたがたに我慢ができようか。その子をわたしの所に連れてきなさい」。 (J)

マルコの福音書 9:20 そこで人々は、その子をみもとに連れてきた。霊がイエスを見るや否や、その子をひきつけさせたので、子は地に倒れ、あわを吹きながらころげまわった。 (J)

マルコの福音書 9:21 そこで、イエスが父親に「いつごろから、こんなになったのか」と尋ねられると、父親は答えた、「幼い時からです。 (J)

マルコの福音書 9:22 霊はたびたび、この子を火の中、水の中に投げ入れて、殺そうとしました。しかしできますれば、わたしどもをあわれんでお助けください」。 (J)

マルコの福音書 9:23 イエスは彼に言われた、「もしできれば、と言うのか。信ずる者には、どんな事でもできる」。 (J)

マルコの福音書 9:24 その子の父親はすぐ叫んで言った、「信じます。不信仰なわたしを、お助けください」。 (J)

マルコの福音書 9:25 イエスは群衆が駆け寄って来るのをごらんになって、けがれた霊をしかって言われた、「おしとつんぼの霊よ、わたしがおまえに命じる。この子から出て行け。二度と、はいって来るな」。 (J)

マルコの福音書 9:26 すると霊は叫び声をあげ、激しく引きつけさせて出て行った。その子は死人のようになったので、多くの人は、死んだのだと言った。 (J)

マルコの福音書 9:27 しかし、イエスが手を取って起されると、その子は立ち上がった。 (J)

マルコの福音書 9:28 家にはいられたとき、弟子たちはひそかにお尋ねした、「わたしたちは、どうして霊を追い出せなかったのですか」。 (J)

マルコの福音書 9:29 すると、イエスは言われた、「このたぐいは、祈によらなければ、どうしても追い出すことはできない」。 (J)

マルコの福音書 9:30 それから彼らはそこを立ち去り、ガリラヤをとおって行ったが、イエスは人に気づかれるのを好まれなかった。 (J)

マルコの福音書 9:31 それは、イエスが弟子たちに教えて、「人の子は人々の手にわたされ、彼らに殺され、殺されてから三日の後によみがえるであろう」と言っておられたからである。 (J)

マルコの福音書 9:32 しかし、彼らはイエスの言われたことを悟らず、また尋ねるのを恐れていた。 (J)

マルコの福音書 9:33 それから彼らはカペナウムにきた。そして家におられるとき、イエスは弟子たちに尋ねられた、「あなたがたは途中で何を論じていたのか」。 (J)

マルコの福音書 9:34 彼らは黙っていた。それは途中で、だれが一ばん偉いかと、互に論じ合っていたからである。 (J)

マルコの福音書 9:35 そこで、イエスはすわって十二弟子を呼び、そして言われた、「だれでも一ばん先になろうと思うならば、一ばんあとになり、みんなに仕える者とならねばならない」。 (J)

マルコの福音書 9:36 そして、ひとりの幼な子をとりあげて、彼らのまん中に立たせ、それを抱いて言われた。 (J)

マルコの福音書 9:37 「だれでも、このような幼な子のひとりを、わたしの名のゆえに受けいれる者は、わたしを受けいれるのである。そして、わたしを受けいれる者は、わたしを受けいれるのではなく、わたしをおつかわしになったかたを受けいれるのである」。 (J)

マルコの福音書 9:38 ヨハネがイエスに言った、「先生、わたしたちについてこない者が、あなたの名を使って悪霊を追い出しているのを見ましたが、その人はわたしたちについてこなかったので、やめさせました」。 (J)

マルコの福音書 9:39 イエスは言われた、「やめさせないがよい。だれでもわたしの名で力あるわざを行いながら、すぐそのあとで、わたしをそしることはできない。 (J)

マルコの福音書 9:40 わたしたちに反対しない者は、わたしたちの味方である。 (J)

マルコの福音書 9:41 だれでも、キリストについている者だというので、あなたがたに水一杯でも飲ませてくれるものは、よく言っておくが、決してその報いからもれることはないであろう。 (J)

マルコの福音書 9:42 また、わたしを信じるこれらの小さい者のひとりをつまずかせる者は、大きなひきうすを首にかけられて海に投げ込まれた方が、はるかによい。 (J)

マルコの福音書 9:43 もし、あなたの片手が罪を犯させるなら、それを切り捨てなさい。両手がそろったままで地獄の消えない火の中に落ち込むよりは、かたわになって命に入る方がよい。〔 (J)

マルコの福音書 9:44 地獄では、うじがつきず、火も消えることがない。〕 (J)

マルコの福音書 9:45 もし、あなたの片足が罪を犯させるなら、それを切り捨てなさい。両足がそろったままで地獄に投げ入れられるよりは、片足で命に入る方がよい。〔 (J)

マルコの福音書 9:46 地獄では、うじがつきず、火も消えることがない。〕 (J)

マルコの福音書 9:47 もし、あなたの片目が罪を犯させるなら、それを抜き出しなさい。両眼がそろったままで地獄に投げ入れられるよりは、片目になって神の国に入る方がよい。 (J)

マルコの福音書 9:48 地獄では、うじがつきず、火も消えることがない。 (J)

マルコの福音書 9:49 人はすべて火で塩づけられねばならない。 (J)

マルコの福音書 9:50 塩はよいものである。しかし、もしその塩の味がぬけたら、何によってその味が取りもどされようか。あなたがた自身の内に塩を持ちなさい。そして、互に和らぎなさい」。 (J)

マルコの福音書 10:1 それから、イエスはそこを去って、ユダヤの地方とヨルダンの向こう側へ行かれたが、群衆がまた寄り集まったので、いつものように、また教えておられた。 (J)

マルコの福音書 10:2 そのとき、パリサイ人たちが近づいてきて、イエスを試みようとして質問した、「夫はその妻を出しても差しつかえないでしょうか」。 (J)

マルコの福音書 10:3 イエスは答えて言われた、「モーセはあなたがたになんと命じたか」。 (J)

マルコの福音書 10:4 彼らは言った、「モーセは、離縁状を書いて妻を出すことを許しました」。 (J)

マルコの福音書 10:5 そこでイエスは言われた、「モーセはあなたがたの心が、かたくななので、あなたがたのためにこの定めを書いたのである。 (J)

マルコの福音書 10:6 しかし、天地創造の初めから、『神は人を男と女とに造られた。 (J)

マルコの福音書 10:7 それゆえに、人はその父母を離れ、 (J)

マルコの福音書 10:8 ふたりの者は一体となるべきである』。彼らはもはや、ふたりではなく一体である。 (J)

マルコの福音書 10:9 だから、神が合わせられたものを、人は離してはならない」。 (J)

マルコの福音書 10:10 家にはいってから、弟子たちはまたこのことについて尋ねた。 (J)

マルコの福音書 10:11 そこで、イエスは言われた、「だれでも、自分の妻を出して他の女をめとる者は、その妻に対して姦淫を行うのである。 (J)

マルコの福音書 10:12 また妻が、その夫と別れて他の男にとつぐならば、姦淫を行うのである」。 (J)

マルコの福音書 10:13 イエスにさわっていただくために、人々が幼な子らをみもとに連れてきた。ところが、弟子たちは彼らをたしなめた。 (J)

マルコの福音書 10:14 それを見てイエスは憤り、彼らに言われた、「幼な子らをわたしの所に来るままにしておきなさい。止めてはならない。神の国はこのような者の国である。 (J)

マルコの福音書 10:15 よく聞いておくがよい。だれでも幼な子のように神の国を受けいれる者でなければ、そこにはいることは決してできない」。 (J)

マルコの福音書 10:16 そして彼らを抱き、手をその上において祝福された。 (J)

マルコの福音書 10:17 イエスが道に出て行かれると、ひとりの人が走り寄り、みまえにひざまずいて尋ねた、「よき師よ、永遠の生命を受けるために、何をしたらよいでしょうか」。 (J)

マルコの福音書 10:18 イエスは言われた、「なぜわたしをよき者と言うのか。神ひとりのほかによい者はいない。 (J)

マルコの福音書 10:19 いましめはあなたの知っているとおりである。『殺すな、姦淫するな、盗むな、偽証を立てるな。欺き取るな。父と母とを敬え』」。 (J)

マルコの福音書 10:20 すると、彼は言った、「先生、それらの事はみな、小さい時から守っております」。 (J)

マルコの福音書 10:21 イエスは彼に目をとめ、いつくしんで言われた、「あなたに足りないことが一つある。帰って、持っているものをみな売り払って、貧しい人々に施しなさい。そうすれば、天に宝を持つようになろう。そして、わたしに従ってきなさい」。 (J)

マルコの福音書 10:22 すると、彼はこの言葉を聞いて、顔を曇らせ、悲しみながら立ち去った。たくさんの資産を持っていたからである。 (J)

マルコの福音書 10:23 それから、イエスは見まわして、弟子たちに言われた、「財産のある者が神の国にはいるのは、なんとむずかしいことであろう」。 (J)

マルコの福音書 10:24 弟子たちはこの言葉に驚き怪しんだ。イエスは更に言われた、「子たちよ、神の国にはいるのは、なんとむずかしいことであろう。 (J)

マルコの福音書 10:25 富んでいる者が神の国にはいるよりは、らくだが針の穴を通る方が、もっとやさしい」。 (J)

マルコの福音書 10:26 すると彼らはますます驚いて、互に言った、「それでは、だれが救われることができるのだろう」。 (J)

マルコの福音書 10:27 イエスは彼らを見つめて言われた、「人にはできないが、神にはできる。神はなんでもできるからである」。 (J)

マルコの福音書 10:28 ペテロがイエスに言い出した、「ごらんなさい、わたしたちはいっさいを捨てて、あなたに従って参りました」。 (J)

マルコの福音書 10:29 イエスは言われた、「よく聞いておくがよい。だれでもわたしのために、また福音のために、家、兄弟、姉妹、母、父、子、もしくは畑を捨てた者は、 (J)

マルコの福音書 10:30 必ずその百倍を受ける。すなわち、今この時代では家、兄弟、姉妹、母、子および畑を迫害と共に受け、また、きたるべき世では永遠の生命を受ける。 (J)

マルコの福音書 10:31 しかし、多くの先の者はあとになり、あとの者は先になるであろう」。 (J)

マルコの福音書 10:32 さて、一同はエルサレムへ上る途上にあったが、イエスが先頭に立って行かれたので、彼らは驚き怪しみ、従う者たちは恐れた。するとイエスはまた十二弟子を呼び寄せて、自分の身に起ろうとすることについて語りはじめられた、 (J)

マルコの福音書 10:33 「見よ、わたしたちはエルサレムへ上って行くが、人の子は祭司長、律法学者たちの手に引きわたされる。そして彼らは死刑を宣告した上、彼を異邦人に引きわたすであろう。 (J)

マルコの福音書 10:34 また彼をあざけり、つばきをかけ、むち打ち、ついに殺してしまう。そして彼は三日の後によみがえるであろう」。 (J)

マルコの福音書 10:35 さて、ゼベダイの子のヤコブとヨハネとがイエスのもとにきて言った、「先生、わたしたちがお頼みすることは、なんでもかなえてくださるようにお願いします」。 (J)

マルコの福音書 10:36 イエスは彼らに「何をしてほしいと、願うのか」と言われた。 (J)

マルコの福音書 10:37 すると彼らは言った、「栄光をお受けになるとき、ひとりをあなたの右に、ひとりを左にすわるようにしてください」。 (J)

マルコの福音書 10:38 イエスは言われた、「あなたがたは自分が何を求めているのか、わかっていない。あなたがたは、わたしが飲む杯を飲み、わたしが受けるバプテスマを受けることができるか」。 (J)

マルコの福音書 10:39 彼らは「できます」と答えた。するとイエスは言われた、「あなたがたは、わたしが飲む杯を飲み、わたしが受けるバプテスマを受けるであろう。 (J)

マルコの福音書 10:40 しかし、わたしの右、左にすわらせることは、わたしのすることではなく、ただ備えられている人々だけに許されることである」。 (J)

マルコの福音書 10:41 十人の者はこれを聞いて、ヤコブとヨハネとのことで憤慨し出した。 (J)

マルコの福音書 10:42 そこで、イエスは彼らを呼び寄せて言われた、「あなたがたの知っているとおり、異邦人の支配者と見られている人々は、その民を治め、また偉い人たちは、その民の上に権力をふるっている。 (J)

マルコの福音書 10:43 しかし、あなたがたの間では、そうであってはならない。かえって、あなたがたの間で偉くなりたいと思う者は、仕える人となり、 (J)

マルコの福音書 10:44 あなたがたの間でかしらになりたいと思う者は、すべての人の僕とならねばならない。 (J)

マルコの福音書 10:45 人の子がきたのも、仕えられるためではなく、仕えるためであり、また多くの人のあがないとして、自分の命を与えるためである」。 (J)

マルコの福音書 10:46 それから、彼らはエリコにきた。そして、イエスが弟子たちや大ぜいの群衆と共にエリコから出かけられたとき、テマイの子、バルテマイという盲人のこじきが、道ばたにすわっていた。 (J)

マルコの福音書 10:47 ところが、ナザレのイエスだと聞いて、彼は「ダビデの子イエスよ、わたしをあわれんでください」と叫び出した。 (J)

マルコの福音書 10:48 多くの人々は彼をしかって黙らせようとしたが、彼はますます激しく叫びつづけた、「ダビデの子イエスよ、わたしをあわれんでください」。 (J)

マルコの福音書 10:49 イエスは立ちどまって「彼を呼べ」と命じられた。そこで、人々はその盲人を呼んで言った、「喜べ、立て、おまえを呼んでおられる」。 (J)

マルコの福音書 10:50 そこで彼は上着を脱ぎ捨て、踊りあがってイエスのもとにきた。 (J)

マルコの福音書 10:51 イエスは彼にむかって言われた、「わたしに何をしてほしいのか」。その盲人は言った、「先生、見えるようになることです」。 (J)

マルコの福音書 10:52 そこでイエスは言われた、「行け、あなたの信仰があなたを救った」。すると彼は、たちまち見えるようになり、イエスに従って行った。 (J)

マルコの福音書 11:1 さて、彼らがエルサレムに近づき、オリブの山に沿ったベテパゲ、ベタニヤの附近にきた時、イエスはふたりの弟子をつかわして言われた、 (J)

マルコの福音書 11:2 「むこうの村へ行きなさい。そこにはいるとすぐ、まだだれも乗ったことのないろばの子が、つないであるのを見るであろう。それを解いて引いてきなさい。 (J)

マルコの福音書 11:3 もし、だれかがあなたがたに、なぜそんな事をするのかと言ったなら、主がお入り用なのです。またすぐ、ここへ返してくださいますと、言いなさい」。 (J)

マルコの福音書 11:4 そこで、彼らは出かけて行き、そして表通りの戸口に、ろばの子がつないであるのを見たので、それを解いた。 (J)

マルコの福音書 11:5 すると、そこに立っていた人々が言った、「そのろばの子を解いて、どうするのか」。 (J)

マルコの福音書 11:6 弟子たちは、イエスが言われたとおり彼らに話したので、ゆるしてくれた。 (J)

マルコの福音書 11:7 そこで、弟子たちは、そのろばの子をイエスのところに引いてきて、自分たちの上着をそれに投げかけると、イエスはその上にお乗りになった。 (J)

マルコの福音書 11:8 すると多くの人々は自分たちの上着を道に敷き、また他の人々は葉のついた枝を野原から切ってきて敷いた。 (J)

マルコの福音書 11:9 そして、前に行く者も、あとに従う者も共に叫びつづけた、 「ホサナ、 主の御名によってきたる者に、祝福あれ。 (J)

マルコの福音書 11:10 今きたる、われらの父ダビデの国に、祝福あれ。 いと高き所に、ホサナ」。 (J)

マルコの福音書 11:11 こうしてイエスはエルサレムに着き、宮にはいられた。そして、すべてのものを見まわった後、もはや時もおそくなっていたので、十二弟子と共にベタニヤに出て行かれた。 (J)

マルコの福音書 11:12 翌日、彼らがベタニヤから出かけてきたとき、イエスは空腹をおぼえられた。 (J)

マルコの福音書 11:13 そして、葉の茂ったいちじくの木を遠くからごらんになって、その木に何かありはしないかと近寄られたが、葉のほかは何も見当らなかった。いちじくの季節でなかったからである。 (J)

マルコの福音書 11:14 そこで、イエスはその木にむかって、「今から後いつまでも、おまえの実を食べる者がないように」と言われた。弟子たちはこれを聞いていた。 (J)

マルコの福音書 11:15 それから、彼らはエルサレムにきた。イエスは宮に入り、宮の庭で売り買いしていた人々を追い出しはじめ、両替人の台や、はとを売る者の腰掛をくつがえし、 (J)

マルコの福音書 11:16 また器ものを持って宮の庭を通り抜けるのをお許しにならなかった。 (J)

マルコの福音書 11:17 そして、彼らに教えて言われた、「『わたしの家は、すべての国民の祈の家ととなえらるべきである』と書いてあるではないか。それだのに、あなたがたはそれを強盗の巣にしてしまった」。 (J)

マルコの福音書 11:18 祭司長、律法学者たちはこれを聞いて、どうかしてイエスを殺そうと計った。彼らは、群衆がみなその教に感動していたので、イエスを恐れていたからである。 (J)

マルコの福音書 11:19 夕方になると、イエスと弟子たちとは、いつものように都の外に出て行った。 (J)

マルコの福音書 11:20 朝はやく道をとおっていると、彼らは先のいちじくが根元から枯れているのを見た。 (J)

マルコの福音書 11:21 そこで、ペテロは思い出してイエスに言った、「先生、ごらんなさい。あなたがのろわれたいちじくが、枯れています」。 (J)

マルコの福音書 11:22 イエスは答えて言われた、「神を信じなさい。 (J)

マルコの福音書 11:23 よく聞いておくがよい。だれでもこの山に、動き出して、海の中にはいれと言い、その言ったことは必ず成ると、心に疑わないで信じるなら、そのとおりに成るであろう。 (J)

マルコの福音書 11:24 そこで、あなたがたに言うが、なんでも祈り求めることは、すでにかなえられたと信じなさい。そうすれば、そのとおりになるであろう。 (J)

マルコの福音書 11:25 また立って祈るとき、だれかに対して、何か恨み事があるならば、ゆるしてやりなさい。そうすれば、天にいますあなたがたの父も、あなたがたのあやまちを、ゆるしてくださるであろう。〔 (J)

マルコの福音書 11:26 もしゆるさないならば、天にいますあなたがたの父も、あなたがたのあやまちを、ゆるしてくださらないであろう〕」。 (J)

マルコの福音書 11:27 彼らはまたエルサレムにきた。そして、イエスが宮の内を歩いておられると、祭司長、律法学者、長老たちが、みもとにきて言った、 (J)

マルコの福音書 11:28 「何の権威によってこれらの事をするのですか。だれが、そうする権威を授けたのですか」。 (J)

マルコの福音書 11:29 そこで、イエスは彼らに言われた、「一つだけ尋ねよう。それに答えてほしい。そうしたら、何の権威によって、わたしがこれらの事をするのか、あなたがたに言おう。 (J)

マルコの福音書 11:30 ヨハネのバプテスマは天からであったか、人からであったか、答えなさい」。 (J)

マルコの福音書 11:31 すると、彼らは互に論じて言った、「もし天からだと言えば、では、なぜ彼を信じなかったのか、とイエスは言うだろう。 (J)

マルコの福音書 11:32 しかし、人からだと言えば……」。彼らは群衆を恐れていた。人々が皆、ヨハネを預言者だとほんとうに思っていたからである。 (J)

マルコの福音書 11:33 それで彼らは「わたしたちにはわかりません」と答えた。するとイエスは言われた、「わたしも何の権威によってこれらの事をするのか、あなたがたに言うまい」。 (J)

マルコの福音書 12:1 そこでイエスは譬で彼らに語り出された、「ある人がぶどう園を造り、垣をめぐらし、また酒ぶねの穴を掘り、やぐらを立て、それを農夫たちに貸して、旅に出かけた。 (J)

マルコの福音書 12:2 季節になったので、農夫たちのところへ、ひとりの僕を送って、ぶどう園の収穫の分け前を取り立てさせようとした。 (J)

マルコの福音書 12:3 すると、彼らはその僕をつかまえて、袋だたきにし、から手で帰らせた。 (J)

マルコの福音書 12:4 また他の僕を送ったが、その頭をなぐって侮辱した。 (J)

マルコの福音書 12:5 そこでまた他の者を送ったが、今度はそれを殺してしまった。そのほか、なお大ぜいの者を送ったが、彼らを打ったり、殺したりした。 (J)

マルコの福音書 12:6 ここに、もうひとりの者がいた。それは彼の愛子であった。自分の子は敬ってくれるだろうと思って、最後に彼をつかわした。 (J)

マルコの福音書 12:7 すると、農夫たちは『あれはあと取りだ。さあ、これを殺してしまおう。そうしたら、その財産はわれわれのものになるのだ』と話し合い、 (J)

マルコの福音書 12:8 彼をつかまえて殺し、ぶどう園の外に投げ捨てた。 (J)

マルコの福音書 12:9 このぶどう園の主人は、どうするだろうか。彼は出てきて、農夫たちを殺し、ぶどう園を他の人々に与えるであろう。 (J)

マルコの福音書 12:10 あなたがたは、この聖書の句を読んだことがないのか。 『家造りらの捨てた石が 隅のかしら石になった。 (J)

マルコの福音書 12:11 これは主がなされたことで、 わたしたちの目には不思議に見える』」。 (J)

マルコの福音書 12:12 彼らはいまの譬が、自分たちに当てて語られたことを悟ったので、イエスを捕えようとしたが、群衆を恐れた。そしてイエスをそこに残して立ち去った。 (J)

マルコの福音書 12:13 さて、人々はパリサイ人やヘロデ党の者を数人、イエスのもとにつかわして、その言葉じりを捕えようとした。 (J)

マルコの福音書 12:14 彼らはきてイエスに言った、「先生、わたしたちはあなたが真実なかたで、だれをも、はばかられないことを知っています。あなたは人に分け隔てをなさらないで、真理に基いて神の道を教えてくださいます。ところで、カイザルに税金を納めてよいでしょうか、いけないでしょうか。納めるべきでしょうか、納めてはならないのでしょうか」。 (J)

マルコの福音書 12:15 イエスは彼らの偽善を見抜いて言われた、「なぜわたしをためそうとするのか。デナリを持ってきて見せなさい」。 (J)

マルコの福音書 12:16 彼らはそれを持ってきた。そこでイエスは言われた、「これは、だれの肖像、だれの記号か」。彼らは「カイザルのです」と答えた。 (J)

マルコの福音書 12:17 するとイエスは言われた、「カイザルのものはカイザルに、神のものは神に返しなさい」。彼らはイエスに驚嘆した。 (J)

マルコの福音書 12:18 復活ということはないと主張していたサドカイ人たちが、イエスのもとにきて質問した、 (J)

マルコの福音書 12:19 「先生、モーセは、わたしたちのためにこう書いています、『もし、ある人の兄が死んで、その残された妻に、子がない場合には、弟はこの女をめとって、兄のために子をもうけねばならない』。 (J)

マルコの福音書 12:20 ここに、七人の兄弟がいました。長男は妻をめとりましたが、子がなくて死に、 (J)

マルコの福音書 12:21 次男がその女をめとって、また子をもうけずに死に、三男も同様でした。 (J)

マルコの福音書 12:22 こうして、七人ともみな子孫を残しませんでした。最後にその女も死にました。 (J)

マルコの福音書 12:23 復活のとき、彼らが皆よみがえった場合、この女はだれの妻なのでしょうか。七人とも彼女を妻にしたのですが」。 (J)

マルコの福音書 12:24 イエスは言われた、「あなたがたがそんな思い違いをしているのは、聖書も神の力も知らないからではないか。 (J)

マルコの福音書 12:25 彼らが死人の中からよみがえるときには、めとったり、とついだりすることはない。彼らは天にいる御使のようなものである。 (J)

マルコの福音書 12:26 死人がよみがえることについては、モーセの書の柴の篇で、神がモーセに仰せられた言葉を読んだことがないのか。『わたしはアブラハムの神、イサクの神、ヤコブの神である』とあるではないか。 (J)

マルコの福音書 12:27 神は死んだ者の神ではなく、生きている者の神である。あなたがたは非常な思い違いをしている」。 (J)

マルコの福音書 12:28 ひとりの律法学者がきて、彼らが互に論じ合っているのを聞き、またイエスが巧みに答えられたのを認めて、イエスに質問した、「すべてのいましめの中で、どれが第一のものですか」。 (J)

マルコの福音書 12:29 イエスは答えられた、「第一のいましめはこれである、『イスラエルよ、聞け。主なるわたしたちの神は、ただひとりの主である。 (J)

マルコの福音書 12:30 心をつくし、精神をつくし、思いをつくし、力をつくして、主なるあなたの神を愛せよ』。 (J)

マルコの福音書 12:31 第二はこれである、『自分を愛するようにあなたの隣り人を愛せよ』。これより大事ないましめは、ほかにない」。 (J)

マルコの福音書 12:32 そこで、この律法学者はイエスに言った、「先生、仰せのとおりです、『神はひとりであって、そのほかに神はない』と言われたのは、ほんとうです。 (J)

マルコの福音書 12:33 また『心をつくし、知恵をつくし、力をつくして神を愛し、また自分を愛するように隣り人を愛する』ということは、すべての燔祭や犠牲よりも、はるかに大事なことです」。 (J)

マルコの福音書 12:34 イエスは、彼が適切な答をしたのを見て言われた、「あなたは神の国から遠くない」。それから後は、イエスにあえて問う者はなかった。 (J)

マルコの福音書 12:35 イエスが宮で教えておられたとき、こう言われた、「律法学者たちは、どうしてキリストをダビデの子だと言うのか。 (J)

マルコの福音書 12:36 ダビデ自身が聖霊に感じて言った、 『主はわが主に仰せになった、 あなたの敵をあなたの足もとに置くときまでは、 わたしの右に座していなさい』。 (J)

マルコの福音書 12:37 このように、ダビデ自身がキリストを主と呼んでいる。それなら、どうしてキリストはダビデの子であろうか」。 大ぜいの群衆は、喜んでイエスに耳を傾けていた。 (J)

マルコの福音書 12:38 イエスはその教の中で言われた、「律法学者に気をつけなさい。彼らは長い衣を着て歩くことや、広場であいさつされることや、 (J)

マルコの福音書 12:39 また会堂の上席、宴会の上座を好んでいる。 (J)

マルコの福音書 12:40 また、やもめたちの家を食い倒し、見えのために長い祈をする。彼らはもっときびしいさばきを受けるであろう」。 (J)

マルコの福音書 12:41 イエスは、さいせん箱にむかってすわり、群衆がその箱に金を投げ入れる様子を見ておられた。多くの金持は、たくさんの金を投げ入れていた。 (J)

マルコの福音書 12:42 ところが、ひとりの貧しいやもめがきて、レプタ二つを入れた。それは一コドラントに当る。 (J)

マルコの福音書 12:43 そこで、イエスは弟子たちを呼び寄せて言われた、「よく聞きなさい。あの貧しいやもめは、さいせん箱に投げ入れている人たちの中で、だれよりもたくさん入れたのだ。 (J)

マルコの福音書 12:44 みんなの者はありあまる中から投げ入れたが、あの婦人はその乏しい中から、あらゆる持ち物、その生活費全部を入れたからである」。 (J)

マルコの福音書 13:1 イエスが宮から出て行かれるとき、弟子のひとりが言った、「先生、ごらんなさい。なんという見事な石、なんという立派な建物でしょう」。 (J)

マルコの福音書 13:2 イエスは言われた、「あなたは、これらの大きな建物をながめているのか。その石一つでもくずされないままで、他の石の上に残ることもなくなるであろう」。 (J)

マルコの福音書 13:3 またオリブ山で、宮にむかってすわっておられると、ペテロ、ヤコブ、ヨハネ、アンデレが、ひそかにお尋ねした。 (J)

マルコの福音書 13:4 「わたしたちにお話しください。いつ、そんなことが起るのでしょうか。またそんなことがことごとく成就するような場合には、どんな前兆がありますか」。 (J)

マルコの福音書 13:5 そこで、イエスは話しはじめられた、「人に惑わされないように気をつけなさい。 (J)

マルコの福音書 13:6 多くの者がわたしの名を名のって現れ、自分がそれだと言って、多くの人を惑わすであろう。 (J)

マルコの福音書 13:7 また、戦争と戦争のうわさとを聞くときにも、あわてるな。それは起らねばならないが、まだ終りではない。 (J)

マルコの福音書 13:8 民は民に、国は国に敵対して立ち上がるであろう。またあちこちに地震があり、またききんが起るであろう。これらは産みの苦しみの初めである。 (J)

マルコの福音書 13:9 あなたがたは自分で気をつけていなさい。あなたがたは、わたしのために、衆議所に引きわたされ、会堂で打たれ、長官たちや王たちの前に立たされ、彼らに対してあかしをさせられるであろう。 (J)

マルコの福音書 13:10 こうして、福音はまずすべての民に宣べ伝えられねばならない。 (J)

マルコの福音書 13:11 そして、人々があなたがたを連れて行って引きわたすとき、何を言おうかと、前もって心配するな。その場合、自分に示されることを語るがよい。語る者はあなたがた自身ではなくて、聖霊である。 (J)

マルコの福音書 13:12 また兄弟は兄弟を、父は子を殺すために渡し、子は両親に逆らって立ち、彼らを殺させるであろう。 (J)

マルコの福音書 13:13 また、あなたがたはわたしの名のゆえに、すべての人に憎まれるであろう。しかし、最後まで耐え忍ぶ者は救われる。 (J)

マルコの福音書 13:14 荒らす憎むべきものが、立ってはならぬ所に立つのを見たならば(読者よ、悟れ)、そのとき、ユダヤにいる人々は山へ逃げよ。 (J)

マルコの福音書 13:15 屋上にいる者は、下におりるな。また家から物を取り出そうとして内にはいるな。 (J)

マルコの福音書 13:16 畑にいる者は、上着を取りにあとへもどるな。 (J)

マルコの福音書 13:17 その日には、身重の女と乳飲み子をもつ女とは、不幸である。 (J)

マルコの福音書 13:18 この事が冬おこらぬように祈れ。 (J)

マルコの福音書 13:19 その日には、神が万物を造られた創造の初めから現在に至るまで、かつてなく今後もないような患難が起るからである。 (J)

マルコの福音書 13:20 もし主がその期間を縮めてくださらないなら、救われる者はひとりもないであろう。しかし、選ばれた選民のために、その期間を縮めてくださったのである。 (J)

マルコの福音書 13:21 そのとき、だれかがあなたがたに『見よ、ここにキリストがいる』、『見よ、あそこにいる』と言っても、それを信じるな。 (J)

マルコの福音書 13:22 にせキリストたちや、にせ預言者たちが起って、しるしと奇跡とを行い、できれば、選民をも惑わそうとするであろう。 (J)

マルコの福音書 13:23 だから、気をつけていなさい。いっさいの事を、あなたがたに前もって言っておく。 (J)

マルコの福音書 13:24 その日には、この患難の後、日は暗くなり、月はその光を放つことをやめ、 (J)

マルコの福音書 13:25 星は空から落ち、天体は揺り動かされるであろう。 (J)

マルコの福音書 13:26 そのとき、大いなる力と栄光とをもって、人の子が雲に乗って来るのを、人々は見るであろう。 (J)

マルコの福音書 13:27 そのとき、彼は御使たちをつかわして、地のはてから天のはてまで、四方からその選民を呼び集めるであろう。 (J)

マルコの福音書 13:28 いちじくの木からこの譬を学びなさい。その枝が柔らかになり、葉が出るようになると、夏の近いことがわかる。 (J)

マルコの福音書 13:29 そのように、これらの事が起るのを見たならば、人の子が戸口まで近づいていると知りなさい。 (J)

マルコの福音書 13:30 よく聞いておきなさい。これらの事が、ことごとく起るまでは、この時代は滅びることがない。 (J)

マルコの福音書 13:31 天地は滅びるであろう。しかしわたしの言葉は滅びることがない。 (J)

マルコの福音書 13:32 その日、その時は、だれも知らない。天にいる御使たちも、また子も知らない、ただ父だけが知っておられる。 (J)

マルコの福音書 13:33 気をつけて、目をさましていなさい。その時がいつであるか、あなたがたにはわからないからである。 (J)

マルコの福音書 13:34 それはちょうど、旅に立つ人が家を出るに当り、その僕たちに、それぞれ仕事を割り当てて責任をもたせ、門番には目をさましておれと、命じるようなものである。 (J)

マルコの福音書 13:35 だから、目をさましていなさい。いつ、家の主人が帰って来るのか、夕方か、夜中か、にわとりの鳴くころか、明け方か、わからないからである。 (J)

マルコの福音書 13:36 あるいは急に帰ってきて、あなたがたの眠っているところを見つけるかも知れない。 (J)

マルコの福音書 13:37 目をさましていなさい。わたしがあなたがたに言うこの言葉は、すべての人々に言うのである」。 (J)

マルコの福音書 14:1 さて、過越と除酵との祭の二日前になった。祭司長たちや律法学者たちは、策略をもってイエスを捕えたうえ、なんとかして殺そうと計っていた。 (J)

マルコの福音書 14:2 彼らは、「祭の間はいけない。民衆が騒ぎを起すかも知れない」と言っていた。 (J)

マルコの福音書 14:3 イエスがベタニヤで、らい病人シモンの家にいて、食卓についておられたとき、ひとりの女が、非常に高価で純粋なナルドの香油が入れてある石膏のつぼを持ってきて、それをこわし、香油をイエスの頭に注ぎかけた。 (J)

マルコの福音書 14:4 すると、ある人々が憤って互に言った、「なんのために香油をこんなにむだにするのか。 (J)

マルコの福音書 14:5 この香油を三百デナリ以上にでも売って、貧しい人たちに施すことができたのに」。そして女をきびしくとがめた。 (J)

マルコの福音書 14:6 するとイエスは言われた、「するままにさせておきなさい。なぜ女を困らせるのか。わたしによい事をしてくれたのだ。 (J)

マルコの福音書 14:7 貧しい人たちはいつもあなたがたと一緒にいるから、したいときにはいつでも、よい事をしてやれる。しかし、わたしはあなたがたといつも一緒にいるわけではない。 (J)

マルコの福音書 14:8 この女はできる限りの事をしたのだ。すなわち、わたしのからだに油を注いで、あらかじめ葬りの用意をしてくれたのである。 (J)

マルコの福音書 14:9 よく聞きなさい。全世界のどこででも、福音が宣べ伝えられる所では、この女のした事も記念として語られるであろう」。 (J)

マルコの福音書 14:10 ときに、十二弟子のひとりイスカリオテのユダは、イエスを祭司長たちに引きわたそうとして、彼らの所へ行った。 (J)

マルコの福音書 14:11 彼らはこれを聞いて喜び、金を与えることを約束した。そこでユダは、どうかしてイエスを引きわたそうと、機会をねらっていた。 (J)

マルコの福音書 14:12 除酵祭の第一日、すなわち過越の小羊をほふる日に、弟子たちがイエスに尋ねた、「わたしたちは、過越の食事をなさる用意を、どこへ行ってしたらよいでしょうか」。 (J)

マルコの福音書 14:13 そこで、イエスはふたりの弟子を使いに出して言われた、「市内に行くと、水がめを持っている男に出会うであろう。その人について行きなさい。 (J)

マルコの福音書 14:14 そして、その人がはいって行く家の主人に言いなさい、『弟子たちと一緒に過越の食事をする座敷はどこか、と先生が言っておられます』。 (J)

マルコの福音書 14:15 するとその主人は、席を整えて用意された二階の広間を見せてくれるから、そこにわたしたちのために用意をしなさい」。 (J)

マルコの福音書 14:16 弟子たちは出かけて市内に行って見ると、イエスが言われたとおりであったので、過越の食事の用意をした。 (J)

マルコの福音書 14:17 夕方になって、イエスは十二弟子と一緒にそこに行かれた。 (J)

マルコの福音書 14:18 そして、一同が席について食事をしているとき言われた、「特にあなたがたに言っておくが、あなたがたの中のひとりで、わたしと一緒に食事をしている者が、わたしを裏切ろうとしている」。 (J)

マルコの福音書 14:19 弟子たちは心配して、ひとりびとり「まさか、わたしではないでしょう」と言い出した。 (J)

マルコの福音書 14:20 イエスは言われた、「十二人の中のひとりで、わたしと一緒に同じ鉢にパンをひたしている者が、それである。 (J)

マルコの福音書 14:21 たしかに人の子は、自分について書いてあるとおりに去って行く。しかし、人の子を裏切るその人は、わざわいである。その人は生れなかった方が、彼のためによかったであろう」。 (J)

マルコの福音書 14:22 一同が食事をしているとき、イエスはパンを取り、祝福してこれをさき、弟子たちに与えて言われた、「取れ、これはわたしのからだである」。 (J)

マルコの福音書 14:23 また杯を取り、感謝して彼らに与えられると、一同はその杯から飲んだ。 (J)

マルコの福音書 14:24 イエスはまた言われた、「これは、多くの人のために流すわたしの契約の血である。 (J)

マルコの福音書 14:25 あなたがたによく言っておく。神の国で新しく飲むその日までは、わたしは決して二度と、ぶどうの実から造ったものを飲むことをしない」。 (J)

マルコの福音書 14:26 彼らは、さんびを歌った後、オリブ山へ出かけて行った。 (J)

マルコの福音書 14:27 そのとき、イエスは弟子たちに言われた、「あなたがたは皆、わたしにつまずくであろう。『わたしは羊飼を打つ。そして、羊は散らされるであろう』と書いてあるからである。 (J)

マルコの福音書 14:28 しかしわたしは、よみがえってから、あなたがたより先にガリラヤへ行くであろう」。 (J)

マルコの福音書 14:29 するとペテロはイエスに言った、「たとい、みんなの者がつまずいても、わたしはつまずきません」。 (J)

マルコの福音書 14:30 イエスは言われた、「あなたによく言っておく。きょう、今夜、にわとりが二度鳴く前に、そう言うあなたが、三度わたしを知らないと言うだろう」。 (J)

マルコの福音書 14:31 ペテロは力をこめて言った、「たといあなたと一緒に死なねばならなくなっても、あなたを知らないなどとは、決して申しません」。みんなの者もまた、同じようなことを言った。 (J)

マルコの福音書 14:32 さて、一同はゲツセマネという所にきた。そしてイエスは弟子たちに言われた、「わたしが祈っている間、ここにすわっていなさい」。 (J)

マルコの福音書 14:33 そしてペテロ、ヤコブ、ヨハネを一緒に連れて行かれたが、恐れおののき、また悩みはじめて、彼らに言われた、 (J)

マルコの福音書 14:34 「わたしは悲しみのあまり死ぬほどである。ここに待っていて、目をさましていなさい」。 (J)

マルコの福音書 14:35 そして少し進んで行き、地にひれ伏し、もしできることなら、この時を過ぎ去らせてくださるようにと祈りつづけ、そして言われた、 (J)

マルコの福音書 14:36 「アバ、父よ、あなたには、できないことはありません。どうか、この杯をわたしから取りのけてください。しかし、わたしの思いではなく、みこころのままになさってください」。 (J)

マルコの福音書 14:37 それから、きてごらんになると、弟子たちが眠っていたので、ペテロに言われた、「シモンよ、眠っているのか、ひと時も目をさましていることができなかったのか。 (J)

マルコの福音書 14:38 誘惑に陥らないように、目をさまして祈っていなさい。心は熱しているが、肉体が弱いのである」。 (J)

マルコの福音書 14:39 また離れて行って同じ言葉で祈られた。 (J)

マルコの福音書 14:40 またきてごらんになると、彼らはまだ眠っていた。その目が重くなっていたのである。そして、彼らはどうお答えしてよいか、わからなかった。 (J)

マルコの福音書 14:41 三度目にきて言われた、「まだ眠っているのか、休んでいるのか。もうそれでよかろう。時がきた。見よ、人の子は罪人らの手に渡されるのだ。 (J)

マルコの福音書 14:42 立て、さあ行こう。見よ、わたしを裏切る者が近づいてきた」。 (J)

マルコの福音書 14:43 そしてすぐ、イエスがまだ話しておられるうちに、十二弟子のひとりのユダが進みよってきた。また祭司長、律法学者、長老たちから送られた群衆も、剣と棒とを持って彼についてきた。 (J)

マルコの福音書 14:44 イエスを裏切る者は、あらかじめ彼らに合図をしておいた、「わたしの接吻する者が、その人だ。その人をつかまえて、まちがいなく引ひっぱって行け」。 (J)

マルコの福音書 14:45 彼は来るとすぐ、イエスに近寄り、「先生」と言って接吻した。 (J)

マルコの福音書 14:46 人々はイエスに手をかけてつかまえた。 (J)

マルコの福音書 14:47 すると、イエスのそばに立っていた者のひとりが、剣を抜いて大祭司の僕に切りかかり、その片耳を切り落した。 (J)

マルコの福音書 14:48 イエスは彼らにむかって言われた、「あなたがたは強盗にむかうように、剣や棒を持ってわたしを捕えにきたのか。 (J)

マルコの福音書 14:49 わたしは毎日あなたがたと一緒に宮にいて教えていたのに、わたしをつかまえはしなかった。しかし聖書の言葉は成就されねばならない」。 (J)

マルコの福音書 14:50 弟子たちは皆イエスを見捨てて逃げ去った。 (J)

マルコの福音書 14:51 ときに、ある若者が身に亜麻布をまとって、イエスのあとについて行ったが、人々が彼をつかまえようとしたので、 (J)

マルコの福音書 14:52 その亜麻布を捨てて、裸で逃げて行った。 (J)

マルコの福音書 14:53 それから、イエスを大祭司のところに連れて行くと、祭司長、長老、律法学者たちがみな集まってきた。 (J)

マルコの福音書 14:54 ペテロは遠くからイエスについて行って、大祭司の中庭まではいり込み、その下役どもにまじってすわり、火にあたっていた。 (J)

マルコの福音書 14:55 さて、祭司長たちと全議会とは、イエスを死刑にするために、イエスに不利な証拠を見つけようとしたが、得られなかった。 (J)

マルコの福音書 14:56 多くの者がイエスに対して偽証を立てたが、その証言が合わなかったからである。 (J)

マルコの福音書 14:57 ついに、ある人々が立ちあがり、イエスに対して偽証を立てて言った、 (J)

マルコの福音書 14:58 「わたしたちはこの人が『わたしは手で造ったこの神殿を打ちこわし、三日の後に手で造られない別の神殿を建てるのだ』と言うのを聞きました」。 (J)

マルコの福音書 14:59 しかし、このような証言も互に合わなかった。 (J)

マルコの福音書 14:60 そこで大祭司が立ちあがって、まん中に進み、イエスに聞きただして言った、「何も答えないのか。これらの人々があなたに対して不利な証言を申し立てているが、どうなのか」。 (J)

マルコの福音書 14:61 しかし、イエスは黙っていて、何もお答えにならなかった。大祭司は再び聞きただして言った、「あなたは、ほむべき者の子、キリストであるか」。 (J)

マルコの福音書 14:62 イエスは言われた、「わたしがそれである。あなたがたは人の子が力ある者の右に座し、天の雲に乗って来るのを見るであろう」。 (J)

マルコの福音書 14:63 すると、大祭司はその衣を引き裂いて言った、「どうして、これ以上、証人の必要があろう。 (J)

マルコの福音書 14:64 あなたがたはこのけがし言を聞いた。あなたがたの意見はどうか」。すると、彼らは皆、イエスを死に当るものと断定した。 (J)

マルコの福音書 14:65 そして、ある者はイエスにつばきをかけ、目隠しをし、こぶしでたたいて、「言いあててみよ」と言いはじめた。また下役どもはイエスを引きとって、手のひらでたたいた。 (J)

マルコの福音書 14:66 ペテロは下で中庭にいたが、大祭司の女中のひとりがきて、 (J)

マルコの福音書 14:67 ペテロが火にあたっているのを見ると、彼を見つめて、「あなたもあのナザレ人イエスと一緒だった」と言った。 (J)

マルコの福音書 14:68 するとペテロはそれを打ち消して、「わたしは知らない。あなたの言うことがなんの事か、わからない」と言って、庭口の方に出て行った。 (J)

マルコの福音書 14:69 ところが、先の女中が彼を見て、そばに立っていた人々に、またもや「この人はあの仲間のひとりです」と言いだした。 (J)

マルコの福音書 14:70 ペテロは再びそれを打ち消した。しばらくして、そばに立っていた人たちがまたペテロに言った、「確かにあなたは彼らの仲間だ。あなたもガリラヤ人だから」。 (J)

マルコの福音書 14:71 しかし、彼は、「あなたがたの話しているその人のことは何も知らない」と言い張って、激しく誓いはじめた。 (J)

マルコの福音書 14:72 するとすぐ、にわとりが二度目に鳴いた。ペテロは、「にわとりが二度鳴く前に、三度わたしを知らないと言うであろう」と言われたイエスの言葉を思い出し、そして思いかえして泣きつづけた。 (J)

マルコの福音書 15:1 夜が明けるとすぐ、祭司長たちは長老、律法学者たち、および全議会と協議をこらした末、イエスを縛って引き出し、ピラトに渡した。 (J)

マルコの福音書 15:2 ピラトはイエスに尋ねた、「あなたがユダヤ人の王であるか」。イエスは、「そのとおりである」とお答えになった。 (J)

マルコの福音書 15:3 そこで祭司長たちは、イエスのことをいろいろと訴えた。 (J)

マルコの福音書 15:4 ピラトはもう一度イエスに尋ねた、「何も答えないのか。見よ、あなたに対してあんなにまで次々に訴えているではないか」。 (J)

マルコの福音書 15:5 しかし、イエスはピラトが不思議に思うほどに、もう何もお答えにならなかった。 (J)

マルコの福音書 15:6 さて、祭のたびごとに、ピラトは人々が願い出る囚人ひとりを、ゆるしてやることにしていた。 (J)

マルコの福音書 15:7 ここに、暴動を起し人殺しをしてつながれていた暴徒の中に、バラバという者がいた。 (J)

マルコの福音書 15:8 群衆が押しかけてきて、いつものとおりにしてほしいと要求しはじめたので、 (J)

マルコの福音書 15:9 ピラトは彼らにむかって、「おまえたちはユダヤ人の王をゆるしてもらいたいのか」と言った。 (J)

マルコの福音書 15:10 それは、祭司長たちがイエスを引きわたしたのは、ねたみのためであることが、ピラトにわかっていたからである。 (J)

マルコの福音書 15:11 しかし祭司長たちは、バラバの方をゆるしてもらうように、群衆を煽動した。 (J)

マルコの福音書 15:12 そこでピラトはまた彼らに言った、「それでは、おまえたちがユダヤ人の王と呼んでいるあの人は、どうしたらよいか」。 (J)

マルコの福音書 15:13 彼らは、また叫んだ、「十字架につけよ」。 (J)

マルコの福音書 15:14 ピラトは言った、「あの人は、いったい、どんな悪事をしたのか」。すると、彼らは一そう激しく叫んで、「十字架につけよ」と言った。 (J)

マルコの福音書 15:15 それで、ピラトは群衆を満足させようと思って、バラバをゆるしてやり、イエスをむち打ったのち、十字架につけるために引きわたした。 (J)

マルコの福音書 15:16 兵士たちはイエスを、邸宅、すなわち総督官邸の内に連れて行き、全部隊を呼び集めた。 (J)

マルコの福音書 15:17 そしてイエスに紫の衣を着せ、いばらの冠を編んでかぶらせ、 (J)

マルコの福音書 15:18 「ユダヤ人の王、ばんざい」と言って敬礼をしはじめた。 (J)

マルコの福音書 15:19 また、葦の棒でその頭をたたき、つばきをかけ、ひざまずいて拝んだりした。 (J)

マルコの福音書 15:20 こうして、イエスを嘲弄したあげく、紫の衣をはぎとり、元の上着を着せた。それから、彼らはイエスを十字架につけるために引き出した。 (J)

マルコの福音書 15:21 そこへ、アレキサンデルとルポスとの父シモンというクレネ人が、郊外からきて通りかかったので、人々はイエスの十字架を無理に負わせた。 (J)

マルコの福音書 15:22 そしてイエスをゴルゴタ、その意味は、されこうべ、という所に連れて行った。 (J)

マルコの福音書 15:23 そしてイエスに、没薬をまぜたぶどう酒をさし出したが、お受けにならなかった。 (J)

マルコの福音書 15:24 それから、イエスを十字架につけた。そしてくじを引いて、だれが何を取るかを定めたうえ、イエスの着物を分けた。 (J)

マルコの福音書 15:25 イエスを十字架につけたのは、朝の九時ごろであった。 (J)

マルコの福音書 15:26 イエスの罪状書きには「ユダヤ人の王」と、しるしてあった。 (J)

マルコの福音書 15:27 また、イエスと共にふたりの強盗を、ひとりを右に、ひとりを左に、十字架につけた。〔 (J)

マルコの福音書 15:28 こうして「彼は罪人たちのひとりに数えられた」と書いてある言葉が成就したのである。〕 (J)

マルコの福音書 15:29 そこを通りかかった者たちは、頭を振りながら、イエスをののしって言った、「ああ、神殿を打ちこわして三日のうちに建てる者よ、 (J)

マルコの福音書 15:30 十字架からおりてきて自分を救え」。 (J)

マルコの福音書 15:31 祭司長たちも同じように、律法学者たちと一緒になって、かわるがわる嘲弄して言った、「他人を救ったが、自分自身を救うことができない。 (J)

マルコの福音書 15:32 イスラエルの王キリスト、いま十字架からおりてみるがよい。それを見たら信じよう」。また、一緒に十字架につけられた者たちも、イエスをののしった。 (J)

マルコの福音書 15:33 昼の十二時になると、全地は暗くなって、三時に及んだ。 (J)

マルコの福音書 15:34 そして三時に、イエスは大声で、「エロイ、エロイ、ラマ、サバクタニ」と叫ばれた。それは「わが神、わが神、どうしてわたしをお見捨てになったのですか」という意味である。 (J)

マルコの福音書 15:35 すると、そばに立っていたある人々が、これを聞いて言った、「そら、エリヤを呼んでいる」。 (J)

マルコの福音書 15:36 ひとりの人が走って行き、海綿に酢いぶどう酒を含ませて葦の棒につけ、イエスに飲ませようとして言った、「待て、エリヤが彼をおろしに来るかどうか、見ていよう」。 (J)

マルコの福音書 15:37 イエスは声高く叫んで、ついに息をひきとられた。 (J)

マルコの福音書 15:38 そのとき、神殿の幕が上から下まで真二つに裂けた。 (J)

マルコの福音書 15:39 イエスにむかって立っていた百卒長は、このようにして息をひきとられたのを見て言った、「まことに、この人は神の子であった」。 (J)

マルコの福音書 15:40 また、遠くの方から見ている女たちもいた。その中には、マグダラのマリヤ、小ヤコブとヨセとの母マリヤ、またサロメがいた。 (J)

マルコの福音書 15:41 彼らはイエスがガリラヤにおられたとき、そのあとに従って仕えた女たちであった。なおそのほか、イエスと共にエルサレムに上ってきた多くの女たちもいた。 (J)

マルコの福音書 15:42 さて、すでに夕がたになったが、その日は準備の日、すなわち安息日の前日であったので、 (J)

マルコの福音書 15:43 アリマタヤのヨセフが大胆にもピラトの所へ行き、イエスのからだの引取りかたを願った。彼は地位の高い議員であって、彼自身、神の国を待ち望んでいる人であった。 (J)

マルコの福音書 15:44 ピラトは、イエスがもはや死んでしまったのかと不審に思い、百卒長を呼んで、もう死んだのかと尋ねた。 (J)

マルコの福音書 15:45 そして、百卒長から確かめた上、死体をヨセフに渡した。 (J)

マルコの福音書 15:46 そこで、ヨセフは亜麻布を買い求め、イエスをとりおろして、その亜麻布に包み、岩を掘って造った墓に納め、墓の入口に石をころがしておいた。 (J)

マルコの福音書 15:47 マグダラのマリヤとヨセの母マリヤとは、イエスが納められた場所を見とどけた。 (J)

マルコの福音書 16:1 さて、安息日が終ったので、マグダラのマリヤとヤコブの母マリヤとサロメとが、行ってイエスに塗るために、香料を買い求めた。 (J)

マルコの福音書 16:2 そして週の初めの日に、早朝、日の出のころ墓に行った。 (J)

マルコの福音書 16:3 そして、彼らは「だれが、わたしたちのために、墓の入口から石をころがしてくれるのでしょうか」と話し合っていた。 (J)

マルコの福音書 16:4 ところが、目をあげて見ると、石はすでにころがしてあった。この石は非常に大きかった。 (J)

マルコの福音書 16:5 墓の中にはいると、右手に真白な長い衣を着た若者がすわっているのを見て、非常に驚いた。 (J)

マルコの福音書 16:6 するとこの若者は言った、「驚くことはない。あなたがたは十字架につけられたナザレ人イエスを捜しているのであろうが、イエスはよみがえって、ここにはおられない。ごらんなさい、ここがお納めした場所である。 (J)

マルコの福音書 16:7 今から弟子たちとペテロとの所へ行って、こう伝えなさい。イエスはあなたがたより先にガリラヤへ行かれる。かねて、あなたがたに言われたとおり、そこでお会いできるであろう、と」。 (J)

マルコの福音書 16:8 女たちはおののき恐れながら、墓から出て逃げ去った。そして、人には何も言わなかった。恐ろしかったからである。 〔 (J)

マルコの福音書 16:9 週の初めの日の朝早く、イエスはよみがえって、まずマグダラのマリヤに御自身をあらわされた。イエスは以前に、この女から七つの悪霊を追い出されたことがある。 (J)

マルコの福音書 16:10 マリヤは、イエスと一緒にいた人々が泣き悲しんでいる所に行って、それを知らせた。 (J)

マルコの福音書 16:11 彼らは、イエスが生きておられる事と、彼女に御自身をあらわされた事とを聞いたが、信じなかった。 (J)

マルコの福音書 16:12 この後、そのうちのふたりが、いなかの方へ歩いていると、イエスはちがった姿で御自身をあらわされた。 (J)

マルコの福音書 16:13 このふたりも、ほかの人々の所に行って話したが、彼らはその話を信じなかった。 (J)

マルコの福音書 16:14 その後、イエスは十一弟子が食卓についているところに現れ、彼らの不信仰と、心のかたくななことをお責めになった。彼らは、よみがえられたイエスを見た人々の言うことを、信じなかったからである。 (J)

マルコの福音書 16:15 そして彼らに言われた、「全世界に出て行って、すべての造られたものに福音を宣べ伝えよ。 (J)

マルコの福音書 16:16 信じてバプテスマを受ける者は救われる。しかし、不信仰の者は罪に定められる。 (J)

マルコの福音書 16:17 信じる者には、このようなしるしが伴う。すなわち、彼らはわたしの名で悪霊を追い出し、新しい言葉を語り、 (J)

マルコの福音書 16:18 へびをつかむであろう。また、毒を飲んでも、決して害を受けない。病人に手をおけば、いやされる」。 (J)

マルコの福音書 16:19 主イエスは彼らに語り終ってから、天にあげられ、神の右にすわられた。 (J)

マルコの福音書 16:20 弟子たちは出て行って、至る所で福音を宣べ伝えた。主も彼らと共に働き、御言に伴うしるしをもって、その確かなことをお示しになった。〕 (J)

ルカの福音書 1:1 ¶ わたしたちの間に成就された出来事を、最初から親しく見た人々であって、 (J)

ルカの福音書 1:2 御言に仕えた人々が伝えたとおり物語に書き連ねようと、多くの人が手を着けましたが、 (J)

ルカの福音書 1:3 テオピロ閣下よ、わたしもすべての事を初めから詳しく調べていますので、ここに、それを順序正しく書きつづって、閣下に献じることにしました。 (J)

ルカの福音書 1:4 すでにお聞きになっている事が確実であることを、これによって十分に知っていただきたいためであります。 (J)

ルカの福音書 1:5 ユダヤの王ヘロデの世に、アビヤの組の祭司で名をザカリヤという者がいた。その妻はアロン家の娘のひとりで、名をエリサベツといった。 (J)

ルカの福音書 1:6 ふたりとも神のみまえに正しい人であって、主の戒めと定めとを、みな落度なく行っていた。 (J)

ルカの福音書 1:7 ところが、エリサベツは不妊の女であったため、彼らには子がなく、そしてふたりともすでに年老いていた。 (J)

ルカの福音書 1:8 さてザカリヤは、その組が当番になり神のみまえに祭司の務をしていたとき、 (J)

ルカの福音書 1:9 祭司職の慣例に従ってくじを引いたところ、主の聖所にはいって香をたくことになった。 (J)

ルカの福音書 1:10 香をたいている間、多くの民衆はみな外で祈っていた。 (J)

ルカの福音書 1:11 すると主の御使が現れて、香壇の右に立った。 (J)

ルカの福音書 1:12 ザカリヤはこれを見て、おじ惑い、恐怖の念に襲われた。 (J)

ルカの福音書 1:13 そこで御使が彼に言った、「恐れるな、ザカリヤよ、あなたの祈が聞きいれられたのだ。あなたの妻エリサベツは男の子を産むであろう。その子をヨハネと名づけなさい。 (J)

ルカの福音書 1:14 彼はあなたに喜びと楽しみとをもたらし、多くの人々もその誕生を喜ぶであろう。 (J)

ルカの福音書 1:15 彼は主のみまえに大いなる者となり、ぶどう酒や強い酒をいっさい飲まず、母の胎内にいる時からすでに聖霊に満たされており、 (J)

ルカの福音書 1:16 そして、イスラエルの多くの子らを、主なる彼らの神に立ち帰らせるであろう。 (J)

ルカの福音書 1:17 彼はエリヤの霊と力とをもって、みまえに先立って行き、父の心を子に向けさせ、逆らう者に義人の思いを持たせて、整えられた民を主に備えるであろう」。 (J)

ルカの福音書 1:18 するとザカリヤは御使に言った、「どうしてそんな事が、わたしにわかるでしょうか。わたしは老人ですし、妻も年をとっています」。 (J)

ルカの福音書 1:19 御使が答えて言った、「わたしは神のみまえに立つガブリエルであって、この喜ばしい知らせをあなたに語り伝えるために、つかわされたものである。 (J)

ルカの福音書 1:20 時が来れば成就するわたしの言葉を信じなかったから、あなたはおしになり、この事の起る日まで、ものが言えなくなる」。 (J)

ルカの福音書 1:21 民衆はザカリヤを待っていたので、彼が聖所内で暇どっているのを不思議に思っていた。 (J)

ルカの福音書 1:22 ついに彼は出てきたが、物が言えなかったので、人々は彼が聖所内でまぼろしを見たのだと悟った。彼は彼らに合図をするだけで、引きつづき、おしのままでいた。 (J)

ルカの福音書 1:23 それから務の期日が終ったので、家に帰った。 (J)

ルカの福音書 1:24 そののち、妻エリサベツはみごもり、五か月のあいだ引きこもっていたが、 (J)

ルカの福音書 1:25 「主は、今わたしを心にかけてくださって、人々の間からわたしの恥を取り除くために、こうしてくださいました」と言った。 (J)

ルカの福音書 1:26 六か月目に、御使ガブリエルが、神からつかわされて、ナザレというガリラヤの町の一処女のもとにきた。 (J)

ルカの福音書 1:27 この処女はダビデ家の出であるヨセフという人のいいなづけになっていて、名をマリヤといった。 (J)

ルカの福音書 1:28 御使がマリヤのところにきて言った、「恵まれた女よ、おめでとう、主があなたと共におられます」。 (J)

ルカの福音書 1:29 この言葉にマリヤはひどく胸騒ぎがして、このあいさつはなんの事であろうかと、思いめぐらしていた。 (J)

ルカの福音書 1:30 すると御使が言った、「恐れるな、マリヤよ、あなたは神から恵みをいただいているのです。 (J)

ルカの福音書 1:31 見よ、あなたはみごもって男の子を産むでしょう。その子をイエスと名づけなさい。 (J)

ルカの福音書 1:32 彼は大いなる者となり、いと高き者の子と、となえられるでしょう。そして、主なる神は彼に父ダビデの王座をお与えになり、 (J)

ルカの福音書 1:33 彼はとこしえにヤコブの家を支配し、その支配は限りなく続くでしょう」。 (J)

ルカの福音書 1:34 そこでマリヤは御使に言った、「どうして、そんな事があり得ましょうか。わたしにはまだ夫がありませんのに」。 (J)

ルカの福音書 1:35 御使が答えて言った、「聖霊があなたに臨み、いと高き者の力があなたをおおうでしょう。それゆえに、生れ出る子は聖なるものであり、神の子と、となえられるでしょう。 (J)

ルカの福音書 1:36 あなたの親族エリサベツも老年ながら子を宿しています。不妊の女といわれていたのに、はや六か月になっています。 (J)

ルカの福音書 1:37 神には、なんでもできないことはありません」。 (J)

ルカの福音書 1:38 そこでマリヤが言った、「わたしは主のはしためです。お言葉どおりこの身に成りますように」。そして御使は彼女から離れて行った。 (J)

ルカの福音書 1:39 そのころ、マリヤは立って、大急ぎで山里へむかいユダの町に行き、 (J)

ルカの福音書 1:40 ザカリヤの家にはいってエリサベツにあいさつした。 (J)

ルカの福音書 1:41 エリサベツがマリヤのあいさつを聞いたとき、その子が胎内でおどった。エリサベツは聖霊に満たされ、 (J)

ルカの福音書 1:42 声高く叫んで言った、「あなたは女の中で祝福されたかた、あなたの胎の実も祝福されています。 (J)

ルカの福音書 1:43 主の母上がわたしのところにきてくださるとは、なんという光栄でしょう。 (J)

ルカの福音書 1:44 ごらんなさい。あなたのあいさつの声がわたしの耳にはいったとき、子供が胎内で喜びおどりました。 (J)

ルカの福音書 1:45 主のお語りになったことが必ず成就すると信じた女は、なんとさいわいなことでしょう」。 (J)

ルカの福音書 1:46 するとマリヤは言った、 「わたしの魂は主をあがめ、 (J)

ルカの福音書 1:47 わたしの霊は救主なる神をたたえます。 (J)

ルカの福音書 1:48 この卑しい女をさえ、心にかけてくださいました。 今からのち代々の人々は、わたしをさいわいな女と言うでしょう、 (J)

ルカの福音書 1:49 力あるかたが、わたしに大きな事をしてくださったからです。 そのみ名はきよく、 (J)

ルカの福音書 1:50 そのあわれみは、代々限りなく 主をかしこみ恐れる者に及びます。 (J)

ルカの福音書 1:51 主はみ腕をもって力をふるい、 心の思いのおごり高ぶる者を追い散らし、 (J)

ルカの福音書 1:52 権力ある者を王座から引きおろし、 卑しい者を引き上げ、 (J)

ルカの福音書 1:53 飢えている者を良いもので飽かせ、 富んでいる者を空腹のまま帰らせなさいます。 (J)

ルカの福音書 1:54 主は、あわれみをお忘れにならず、 その僕イスラエルを助けてくださいました、 (J)

ルカの福音書 1:55 わたしたちの父祖アブラハムとその子孫とを とこしえにあわれむと約束なさったとおりに」。 (J)

ルカの福音書 1:56 マリヤは、エリサベツのところに三か月ほど滞在してから、家に帰った。 (J)

ルカの福音書 1:57 さてエリサベツは月が満ちて、男の子を産んだ。 (J)

ルカの福音書 1:58 近所の人々や親族は、主が大きなあわれみを彼女におかけになったことを聞いて、共どもに喜んだ。 (J)

ルカの福音書 1:59 八日目になったので、幼な子に割礼をするために人々がきて、父の名にちなんでザカリヤという名にしようとした。 (J)

ルカの福音書 1:60 ところが、母親は、「いいえ、ヨハネという名にしなくてはいけません」と言った。 (J)

ルカの福音書 1:61 人々は、「あなたの親族の中には、そういう名のついた者は、ひとりもいません」と彼女に言った。 (J)

ルカの福音書 1:62 そして父親に、どんな名にしたいのですかと、合図で尋ねた。 (J)

ルカの福音書 1:63 ザカリヤは書板を持ってこさせて、それに「その名はヨハネ」と書いたので、みんなの者は不思議に思った。 (J)

ルカの福音書 1:64 すると、立ちどころにザカリヤの口が開けて舌がゆるみ、語り出して神をほめたたえた。 (J)

ルカの福音書 1:65 近所の人々はみな恐れをいだき、またユダヤの山里の至るところに、これらの事がことごとく語り伝えられたので、 (J)

ルカの福音書 1:66 聞く者たちは皆それを心に留めて、「この子は、いったい、どんな者になるだろう」と語り合った。主のみ手が彼と共にあった。 (J)

ルカの福音書 1:67 父ザカリヤは聖霊に満たされ、預言して言った、 (J)

ルカの福音書 1:68 「主なるイスラエルの神は、ほむべきかな。 神はその民を顧みてこれをあがない、 (J)

ルカの福音書 1:69 わたしたちのために救の角を 僕ダビデの家にお立てになった。 (J)

ルカの福音書 1:70 古くから、聖なる預言者たちの口によってお語りになったように、 (J)

ルカの福音書 1:71 わたしたちを敵から、またすべてわたしたちを憎む者の手から、救い出すためである。 (J)

ルカの福音書 1:72 こうして、神はわたしたちの父祖たちにあわれみをかけ、その聖なる契約、 (J)

ルカの福音書 1:73 すなわち、父祖アブラハムにお立てになった誓いをおぼえて、 (J)

ルカの福音書 1:74 わたしたちを敵の手から救い出し、 (J)

ルカの福音書 1:75 生きている限り、きよく正しく、 みまえに恐れなく仕えさせてくださるのである。 (J)

ルカの福音書 1:76 幼な子よ、あなたは、いと高き者の預言者と呼ばれるであろう。 主のみまえに先立って行き、その道を備え、 (J)

ルカの福音書 1:77 罪のゆるしによる救を その民に知らせるのであるから。 (J)

ルカの福音書 1:78 これはわたしたちの神のあわれみ深いみこころによる。 また、そのあわれみによって、日の光が上からわたしたちに臨み、 (J)

ルカの福音書 1:79 暗黒と死の陰とに住む者を照し、 わたしたちの足を平和の道へ導くであろう」。 (J)

ルカの福音書 1:80 幼な子は成長し、その霊も強くなり、そしてイスラエルに現れる日まで、荒野にいた。 (J)

ルカの福音書 2:1 そのころ、全世界の人口調査をせよとの勅令が、皇帝アウグストから出た。 (J)

ルカの福音書 2:2 これは、クレニオがシリヤの総督であった時に行われた最初の人口調査であった。 (J)

ルカの福音書 2:3 人々はみな登録をするために、それぞれ自分の町へ帰って行った。 (J)

ルカの福音書 2:4 ヨセフもダビデの家系であり、またその血統であったので、ガリラヤの町ナザレを出て、ユダヤのベツレヘムというダビデの町へ上って行った。 (J)

ルカの福音書 2:5 それは、すでに身重になっていたいいなづけの妻マリヤと共に、登録をするためであった。 (J)

ルカの福音書 2:6 ところが、彼らがベツレヘムに滞在している間に、マリヤは月が満ちて、 (J)

ルカの福音書 2:7 初子を産み、布にくるんで、飼葉おけの中に寝かせた。客間には彼らのいる余地がなかったからである。 (J)

ルカの福音書 2:8 さて、この地方で羊飼たちが夜、野宿しながら羊の群れの番をしていた。 (J)

ルカの福音書 2:9 すると主の御使が現れ、主の栄光が彼らをめぐり照したので、彼らは非常に恐れた。 (J)

ルカの福音書 2:10 御使は言った、「恐れるな。見よ、すべての民に与えられる大きな喜びを、あなたがたに伝える。 (J)

ルカの福音書 2:11 きょうダビデの町に、あなたがたのために救主がお生れになった。このかたこそ主なるキリストである。 (J)

ルカの福音書 2:12 あなたがたは、幼な子が布にくるまって飼葉おけの中に寝かしてあるのを見るであろう。それが、あなたがたに与えられるしるしである」。 (J)

ルカの福音書 2:13 するとたちまち、おびただしい天の軍勢が現れ、御使と一緒になって神をさんびして言った、 (J)

ルカの福音書 2:14 「いと高きところでは、神に栄光があるように、 地の上では、み心にかなう人々に平和があるように」。 (J)

ルカの福音書 2:15 御使たちが彼らを離れて天に帰ったとき、羊飼たちは「さあ、ベツレヘムへ行って、主がお知らせ下さったその出来事を見てこようではないか」と、互に語り合った。 (J)

ルカの福音書 2:16 そして急いで行って、マリヤとヨセフ、また飼葉おけに寝かしてある幼な子を捜しあてた。 (J)

ルカの福音書 2:17 彼らに会った上で、この子について自分たちに告げ知らされた事を、人々に伝えた。 (J)

ルカの福音書 2:18 人々はみな、羊飼たちが話してくれたことを聞いて、不思議に思った。 (J)

ルカの福音書 2:19 しかし、マリヤはこれらの事をことごとく心に留めて、思いめぐらしていた。 (J)

ルカの福音書 2:20 羊飼たちは、見聞きしたことが何もかも自分たちに語られたとおりであったので、神をあがめ、またさんびしながら帰って行った。 (J)

ルカの福音書 2:21 八日が過ぎ、割礼をほどこす時となったので、受胎のまえに御使が告げたとおり、幼な子をイエスと名づけた。 (J)

ルカの福音書 2:22 それから、モーセの律法による彼らのきよめの期間が過ぎたとき、両親は幼な子を連れてエルサレムへ上った。 (J)

ルカの福音書 2:23 それは主の律法に「母の胎を初めて開く男の子はみな、主に聖別された者と、となえられねばならない」と書いてあるとおり、幼な子を主にささげるためであり、 (J)

ルカの福音書 2:24 また同じ主の律法に、「山ばと一つがい、または、家ばとのひな二羽」と定めてあるのに従って、犠牲をささげるためであった。 (J)

ルカの福音書 2:25 その時、エルサレムにシメオンという名の人がいた。この人は正しい信仰深い人で、イスラエルの慰められるのを待ち望んでいた。また聖霊が彼に宿っていた。 (J)

ルカの福音書 2:26 そして主のつかわす救主に会うまでは死ぬことはないと、聖霊の示しを受けていた。 (J)

ルカの福音書 2:27 この人が御霊に感じて宮にはいった。すると律法に定めてあることを行うため、両親もその子イエスを連れてはいってきたので、 (J)

ルカの福音書 2:28 シメオンは幼な子を腕に抱き、神をほめたたえて言った、 (J)

ルカの福音書 2:29 「主よ、今こそ、あなたはみ言葉のとおりに この僕を安らかに去らせてくださいます、 (J)

ルカの福音書 2:30 わたしの目が今あなたの救を見たのですから。 (J)

ルカの福音書 2:31 この救はあなたが万民のまえにお備えになったもので、 (J)

ルカの福音書 2:32 異邦人を照す啓示の光、 み民イスラエルの栄光であります」。 (J)

ルカの福音書 2:33 父と母とは幼な子についてこのように語られたことを、不思議に思った。 (J)

ルカの福音書 2:34 するとシメオンは彼らを祝し、そして母マリヤに言った、「ごらんなさい、この幼な子は、イスラエルの多くの人を倒れさせたり立ちあがらせたりするために、また反対を受けるしるしとして、定められています。―― (J)

ルカの福音書 2:35 そして、あなた自身もつるぎで胸を刺し貫かれるでしょう。――それは多くの人の心にある思いが、現れるようになるためです」。 (J)

ルカの福音書 2:36 また、アセル族のパヌエルの娘で、アンナという女預言者がいた。彼女は非常に年をとっていた。むすめ時代にとついで、七年間だけ夫と共に住み、 (J)

ルカの福音書 2:37 その後やもめぐらしをし、八十四歳になっていた。そして宮を離れずに夜も昼も断食と祈とをもって神に仕えていた。 (J)

ルカの福音書 2:38 この老女も、ちょうどそのとき近寄ってきて、神に感謝をささげ、そしてこの幼な子のことを、エルサレムの救を待ち望んでいるすべての人々に語りきかせた。 (J)

ルカの福音書 2:39 両親は主の律法どおりすべての事をすませたので、ガリラヤへむかい、自分の町ナザレに帰った。 (J)

ルカの福音書 2:40 幼な子は、ますます成長して強くなり、知恵に満ち、そして神の恵みがその上にあった。 (J)

ルカの福音書 2:41 さて、イエスの両親は、過越の祭には毎年エルサレムへ上っていた。 (J)

ルカの福音書 2:42 イエスが十二歳になった時も、慣例に従って祭のために上京した。 (J)

ルカの福音書 2:43 ところが、祭が終って帰るとき、少年イエスはエルサレムに居残っておられたが、両親はそれに気づかなかった。 (J)

ルカの福音書 2:44 そして道連れの中にいることと思いこんで、一日路を行ってしまい、それから、親族や知人の中を捜しはじめたが、 (J)

ルカの福音書 2:45 見つからないので、捜しまわりながらエルサレムへ引返した。 (J)

ルカの福音書 2:46 そして三日の後に、イエスが宮の中で教師たちのまん中にすわって、彼らの話を聞いたり質問したりしておられるのを見つけた。 (J)

ルカの福音書 2:47 聞く人々はみな、イエスの賢さやその答に驚嘆していた。 (J)

ルカの福音書 2:48 両親はこれを見て驚き、そして母が彼に言った、「どうしてこんな事をしてくれたのです。ごらんなさい、おとう様もわたしも心配して、あなたを捜していたのです」。 (J)

ルカの福音書 2:49 するとイエスは言われた、「どうしてお捜しになったのですか。わたしが自分の父の家にいるはずのことを、ご存じなかったのですか」。 (J)

ルカの福音書 2:50 しかし、両親はその語られた言葉を悟ることができなかった。 (J)

ルカの福音書 2:51 それからイエスは両親と一緒にナザレに下って行き、彼らにお仕えになった。母はこれらの事をみな心に留めていた。 (J)

ルカの福音書 2:52 イエスはますます知恵が加わり、背たけも伸び、そして神と人から愛された。 (J)

ルカの福音書 3:1 皇帝テベリオ在位の第十五年、ポンテオ・ピラトがユダヤの総督、ヘロデがガリラヤの領主、その兄弟ピリポがイツリヤ・テラコニテ地方の領主、ルサニヤがアビレネの領主、 (J)

ルカの福音書 3:2 アンナスとカヤパとが大祭司であったとき、神の言が荒野でザカリヤの子ヨハネに臨んだ。 (J)

ルカの福音書 3:3 彼はヨルダンのほとりの全地方に行って、罪のゆるしを得させる悔改めのバプテスマを宣べ伝えた。 (J)

ルカの福音書 3:4 それは、預言者イザヤの言葉の書に書いてあるとおりである。すなわち 「荒野で呼ばわる者の声がする、 『主の道を備えよ、 その道筋をまっすぐにせよ』。 (J)

ルカの福音書 3:5 すべての谷は埋められ、 すべての山と丘とは、平らにされ、 曲ったところはまっすぐに、 わるい道はならされ、 (J)

ルカの福音書 3:6 人はみな神の救を見るであろう」。 (J)

ルカの福音書 3:7 さて、ヨハネは、彼からバプテスマを受けようとして出てきた群衆にむかって言った、「まむしの子らよ、迫ってきている神の怒りから、のがれられると、おまえたちにだれが教えたのか。 (J)

ルカの福音書 3:8 だから、悔改めにふさわしい実を結べ。自分たちの父にはアブラハムがあるなどと、心の中で思ってもみるな。おまえたちに言っておく。神はこれらの石ころからでも、アブラハムの子を起すことができるのだ。 (J)

ルカの福音書 3:9 斧がすでに木の根もとに置かれている。だから、良い実を結ばない木はことごとく切られて、火の中に投げ込まれるのだ」。 (J)

ルカの福音書 3:10 そこで群衆が彼に、「それでは、わたしたちは何をすればよいのですか」と尋ねた。 (J)

ルカの福音書 3:11 彼は答えて言った、「下着を二枚もっている者は、持たない者に分けてやりなさい。食物を持っている者も同様にしなさい」。 (J)

ルカの福音書 3:12 取税人もバプテスマを受けにきて、彼に言った、「先生、わたしたちは何をすればよいのですか」。 (J)

ルカの福音書 3:13 彼らに言った、「きまっているもの以上に取り立ててはいけない」。 (J)

ルカの福音書 3:14 兵卒たちもたずねて言った、「では、わたしたちは何をすればよいのですか」。彼は言った、「人をおどかしたり、だまし取ったりしてはいけない。自分の給与で満足していなさい」。 (J)

ルカの福音書 3:15 民衆は救主を待ち望んでいたので、みな心の中でヨハネのことを、もしかしたらこの人がそれではなかろうかと考えていた。 (J)

ルカの福音書 3:16 そこでヨハネはみんなの者にむかって言った、「わたしは水でおまえたちにバプテスマを授けるが、わたしよりも力のあるかたが、おいでになる。わたしには、そのくつのひもを解く値うちもない。このかたは、聖霊と火とによっておまえたちにバプテスマをお授けになるであろう。 (J)

ルカの福音書 3:17 また、箕を手に持って、打ち場の麦をふるい分け、麦は倉に納め、からは消えない火で焼き捨てるであろう」。 (J)

ルカの福音書 3:18 こうしてヨハネはほかにもなお、さまざまの勧めをして、民衆に教を説いた。 (J)

ルカの福音書 3:19 ところが領主ヘロデは、兄弟の妻ヘロデヤのことで、また自分がしたあらゆる悪事について、ヨハネから非難されていたので、 (J)

ルカの福音書 3:20 彼を獄に閉じ込めて、いろいろな悪事の上に、もう一つこの悪事を重ねた。 (J)

ルカの福音書 3:21 さて、民衆がみなバプテスマを受けたとき、イエスもバプテスマを受けて祈っておられると、天が開けて、 (J)

ルカの福音書 3:22 聖霊がはとのような姿をとってイエスの上に下り、そして天から声がした、「あなたはわたしの愛する子、わたしの心にかなう者である」。 (J)

ルカの福音書 3:23 イエスが宣教をはじめられたのは、年およそ三十歳の時であって、人々の考えによれば、ヨセフの子であった。ヨセフはヘリの子、 (J)

ルカの福音書 3:24 それから、さかのぼって、マタテ、レビ、メルキ、ヤンナイ、ヨセフ、 (J)

ルカの福音書 3:25 マタテヤ、アモス、ナホム、エスリ、ナンガイ、 (J)

ルカの福音書 3:26 マハテ、マタテヤ、シメイ、ヨセク、ヨダ、 (J)

ルカの福音書 3:27 ヨハナン、レサ、ゾロバベル、サラテル、ネリ、 (J)

ルカの福音書 3:28 メルキ、アデイ、コサム、エルマダム、エル、 (J)

ルカの福音書 3:29 ヨシュア、エリエゼル、ヨリム、マタテ、レビ、 (J)

ルカの福音書 3:30 シメオン、ユダ、ヨセフ、ヨナム、エリヤキム、 (J)

ルカの福音書 3:31 メレヤ、メナ、マタタ、ナタン、ダビデ、 (J)

ルカの福音書 3:32 エッサイ、オベデ、ボアズ、サラ、ナアソン、 (J)

ルカの福音書 3:33 アミナダブ、アデミン、アルニ、エスロン、パレス、ユダ、 (J)

ルカの福音書 3:34 ヤコブ、イサク、アブラハム、テラ、ナホル、 (J)

ルカの福音書 3:35 セルグ、レウ、ペレグ、エベル、サラ、 (J)

ルカの福音書 3:36 カイナン、アルパクサデ、セム、ノア、ラメク、 (J)

ルカの福音書 3:37 メトセラ、エノク、ヤレデ、マハラレル、カイナン、 (J)

ルカの福音書 3:38 エノス、セツ、アダム、そして神にいたる。 (J)

ルカの福音書 4:1 さて、イエスは聖霊に満ちてヨルダン川から帰り、 (J)

ルカの福音書 4:2 荒野を四十日のあいだ御霊にひきまわされて、悪魔の試みにあわれた。そのあいだ何も食べず、その日数がつきると、空腹になられた。 (J)

ルカの福音書 4:3 そこで悪魔が言った、「もしあなたが神の子であるなら、この石に、パンになれと命じてごらんなさい」。 (J)

ルカの福音書 4:4 イエスは答えて言われた、「『人はパンだけで生きるものではない』と書いてある」。 (J)

ルカの福音書 4:5 それから、悪魔はイエスを高い所へ連れて行き、またたくまに世界のすべての国々を見せて (J)

ルカの福音書 4:6 言った、「これらの国々の権威と栄華とをみんな、あなたにあげましょう。それらはわたしに任せられていて、だれでも好きな人にあげてよいのですから。 (J)

ルカの福音書 4:7 それで、もしあなたがわたしの前にひざまずくなら、これを全部あなたのものにしてあげましょう」。 (J)

ルカの福音書 4:8 イエスは答えて言われた、「『主なるあなたの神を拝し、ただ神にのみ仕えよ』と書いてある」。 (J)

ルカの福音書 4:9 それから悪魔はイエスをエルサレムに連れて行き、宮の頂上に立たせて言った、「もしあなたが神の子であるなら、ここから下へ飛びおりてごらんなさい。 (J)

ルカの福音書 4:10 『神はあなたのために、御使たちに命じてあなたを守らせるであろう』とあり、 (J)

ルカの福音書 4:11 また、『あなたの足が石に打ちつけられないように、彼らはあなたを手でささえるであろう』とも書いてあります」。 (J)

ルカの福音書 4:12 イエスは答えて言われた、「『主なるあなたの神を試みてはならない』と言われている」。 (J)

ルカの福音書 4:13 悪魔はあらゆる試みをしつくして、一時イエスを離れた。 (J)

ルカの福音書 4:14 それからイエスは御霊の力に満ちあふれてガリラヤへ帰られると、そのうわさがその地方全体にひろまった。 (J)

ルカの福音書 4:15 イエスは諸会堂で教え、みんなの者から尊敬をお受けになった。 (J)

ルカの福音書 4:16 それからお育ちになったナザレに行き、安息日にいつものように会堂にはいり、聖書を朗読しようとして立たれた。 (J)

ルカの福音書 4:17 すると預言者イザヤの書が手渡されたので、その書を開いて、こう書いてある所を出された、 (J)

ルカの福音書 4:18 「主の御霊がわたしに宿っている。 貧しい人々に福音を宣べ伝えさせるために、 わたしを聖別してくださったからである。 主はわたしをつかわして、 囚人が解放され、盲人の目が開かれることを告げ知らせ、 打ちひしがれている者に自由を得させ、 (J)

ルカの福音書 4:19 主のめぐみの年を告げ知らせるのである」。 (J)

ルカの福音書 4:20 イエスは聖書を巻いて係りの者に返し、席に着かれると、会堂にいるみんなの者の目がイエスに注がれた。 (J)

ルカの福音書 4:21 そこでイエスは、「この聖句は、あなたがたが耳にしたこの日に成就した」と説きはじめられた。 (J)

ルカの福音書 4:22 すると、彼らはみなイエスをほめ、またその口から出て来るめぐみの言葉に感嘆して言った、「この人はヨセフの子ではないか」。 (J)

ルカの福音書 4:23 そこで彼らに言われた、「あなたがたは、きっと『医者よ、自分自身をいやせ』ということわざを引いて、カペナウムで行われたと聞いていた事を、あなたの郷里のこの地でもしてくれ、と言うであろう」。 (J)

ルカの福音書 4:24 それから言われた、「よく言っておく。預言者は、自分の郷里では歓迎されないものである。 (J)

ルカの福音書 4:25 よく聞いておきなさい。エリヤの時代に、三年六か月にわたって天が閉じ、イスラエル全土に大ききんがあった際、そこには多くのやもめがいたのに、 (J)

ルカの福音書 4:26 エリヤはそのうちのだれにもつかわされないで、ただシドンのサレプタにいるひとりのやもめにだけつかわされた。 (J)

ルカの福音書 4:27 また預言者エリシャの時代に、イスラエルには多くのらい病人がいたのに、そのうちのひとりもきよめられないで、ただシリヤのナアマンだけがきよめられた」。 (J)

ルカの福音書 4:28 会堂にいた者たちはこれを聞いて、みな憤りに満ち、 (J)

ルカの福音書 4:29 立ち上がってイエスを町の外へ追い出し、その町が建っている丘のがけまでひっぱって行って、突き落そうとした。 (J)

ルカの福音書 4:30 しかし、イエスは彼らのまん中を通り抜けて、去って行かれた。 (J)

ルカの福音書 4:31 それから、イエスはガリラヤの町カペナウムに下って行かれた。そして安息日になると、人々をお教えになったが、 (J)

ルカの福音書 4:32 その言葉に権威があったので、彼らはその教に驚いた。 (J)

ルカの福音書 4:33 すると、汚れた悪霊につかれた人が会堂にいて、大声で叫び出した、 (J)

ルカの福音書 4:34 「ああ、ナザレのイエスよ、あなたはわたしたちとなんの係わりがあるのです。わたしたちを滅ぼしにこられたのですか。あなたがどなたであるか、わかっています。神の聖者です」。 (J)

ルカの福音書 4:35 イエスはこれをしかって、「黙れ、この人から出て行け」と言われた。すると悪霊は彼を人なかに投げ倒し、傷は負わせずに、その人から出て行った。 (J)

ルカの福音書 4:36 みんなの者は驚いて、互に語り合って言った、「これは、いったい、なんという言葉だろう。権威と力とをもって汚れた霊に命じられると、彼らは出て行くのだ」。 (J)

ルカの福音書 4:37 こうしてイエスの評判が、その地方のいたる所にひろまっていった。 (J)

ルカの福音書 4:38 イエスは会堂を出てシモンの家におはいりになった。ところがシモンのしゅうとめが高い熱を病んでいたので、人々は彼女のためにイエスにお願いした。 (J)

ルカの福音書 4:39 そこで、イエスはそのまくらもとに立って、熱が引くように命じられると、熱は引き、女はすぐに起き上がって、彼らをもてなした。 (J)

ルカの福音書 4:40 日が暮れると、いろいろな病気になやむ者をかかえている人々が、皆それをイエスのところに連れてきたので、そのひとりびとりに手を置いて、おいやしになった。 (J)

ルカの福音書 4:41 悪霊も「あなたこそ神の子です」と叫びながら多くの人々から出ていった。しかし、イエスは彼らを戒めて、物を言うことをお許しにならなかった。彼らがイエスはキリストだと知っていたからである。 (J)

ルカの福音書 4:42 夜が明けると、イエスは寂しい所へ出て行かれたが、群衆が捜しまわって、みもとに集まり、自分たちから離れて行かれないようにと、引き止めた。 (J)

ルカの福音書 4:43 しかしイエスは、「わたしは、ほかの町々にも神の国の福音を宣べ伝えねばならない。自分はそのためにつかわされたのである」と言われた。 (J)

ルカの福音書 4:44 そして、ユダヤの諸会堂で教を説かれた。 (J)

ルカの福音書 5:1 さて、群衆が神の言を聞こうとして押し寄せてきたとき、イエスはゲネサレ湖畔に立っておられたが、 (J)

ルカの福音書 5:2 そこに二そうの小舟が寄せてあるのをごらんになった。漁師たちは、舟からおりて網を洗っていた。 (J)

ルカの福音書 5:3 その一そうはシモンの舟であったが、イエスはそれに乗り込み、シモンに頼んで岸から少しこぎ出させ、そしてすわって、舟の中から群衆にお教えになった。 (J)

ルカの福音書 5:4 話がすむと、シモンに「沖へこぎ出し、網をおろして漁をしてみなさい」と言われた。 (J)

ルカの福音書 5:5 シモンは答えて言った、「先生、わたしたちは夜通し働きましたが、何も取れませんでした。しかし、お言葉ですから、網をおろしてみましょう」。 (J)

ルカの福音書 5:6 そしてそのとおりにしたところ、おびただしい魚の群れがはいって、網が破れそうになった。 (J)

ルカの福音書 5:7 そこで、もう一そうの舟にいた仲間に、加勢に来るよう合図をしたので、彼らがきて魚を両方の舟いっぱいに入れた。そのために、舟が沈みそうになった。 (J)

ルカの福音書 5:8 これを見てシモン・ペテロは、イエスのひざもとにひれ伏して言った、「主よ、わたしから離れてください。わたしは罪深い者です」。 (J)

ルカの福音書 5:9 彼も一緒にいた者たちもみな、取れた魚がおびただしいのに驚いたからである。 (J)

ルカの福音書 5:10 シモンの仲間であったゼベダイの子ヤコブとヨハネも、同様であった。すると、イエスがシモンに言われた、「恐れることはない。今からあなたは人間をとる漁師になるのだ」。 (J)

ルカの福音書 5:11 そこで彼らは舟を陸に引き上げ、いっさいを捨ててイエスに従った。 (J)

ルカの福音書 5:12 イエスがある町におられた時、全身らい病になっている人がそこにいた。イエスを見ると、顔を地に伏せて願って言った、「主よ、みこころでしたら、きよめていただけるのですが」。 (J)

ルカの福音書 5:13 イエスは手を伸ばして彼にさわり、「そうしてあげよう、きよくなれ」と言われた。すると、らい病がただちに去ってしまった。 (J)

ルカの福音書 5:14 イエスは、だれにも話さないようにと彼に言い聞かせ、「ただ行って自分のからだを祭司に見せ、それからあなたのきよめのため、モーセが命じたとおりのささげ物をして、人々に証明しなさい」とお命じになった。 (J)

ルカの福音書 5:15 しかし、イエスの評判はますますひろまって行き、おびただしい群衆が、教を聞いたり、病気をなおしてもらったりするために、集まってきた。 (J)

ルカの福音書 5:16 しかしイエスは、寂しい所に退いて祈っておられた。 (J)

ルカの福音書 5:17 ある日のこと、イエスが教えておられると、ガリラヤやユダヤの方々の村から、またエルサレムからきたパリサイ人や律法学者たちが、そこにすわっていた。主の力が働いて、イエスは人々をいやされた。 (J)

ルカの福音書 5:18 その時、ある人々が、ひとりの中風をわずらっている人を床にのせたまま連れてきて、家の中に運び入れ、イエスの前に置こうとした。 (J)

ルカの福音書 5:19 ところが、群衆のためにどうしても運び入れる方法がなかったので、屋根にのぼり、瓦をはいで、病人を床ごと群衆のまん中につりおろして、イエスの前においた。 (J)

ルカの福音書 5:20 イエスは彼らの信仰を見て、「人よ、あなたの罪はゆるされた」と言われた。 (J)

ルカの福音書 5:21 すると律法学者とパリサイ人たちとは、「神を汚すことを言うこの人は、いったい、何者だ。神おひとりのほかに、だれが罪をゆるすことができるか」と言って論じはじめた。 (J)

ルカの福音書 5:22 イエスは彼らの論議を見ぬいて、「あなたがたは心の中で何を論じているのか。 (J)

ルカの福音書 5:23 あなたの罪はゆるされたと言うのと、起きて歩けと言うのと、どちらがたやすいか。 (J)

ルカの福音書 5:24 しかし、人の子は地上で罪をゆるす権威を持っていることが、あなたがたにわかるために」と彼らに対して言い、中風の者にむかって、「あなたに命じる。起きよ、床を取り上げて家に帰れ」と言われた。 (J)

ルカの福音書 5:25 すると病人は即座にみんなの前で起きあがり、寝ていた床を取りあげて、神をあがめながら家に帰って行った。 (J)

ルカの福音書 5:26 みんなの者は驚嘆してしまった。そして神をあがめ、おそれに満たされて、「きょうは驚くべきことを見た」と言った。 (J)

ルカの福音書 5:27 そののち、イエスが出て行かれると、レビという名の取税人が収税所にすわっているのを見て、「わたしに従ってきなさい」と言われた。 (J)

ルカの福音書 5:28 すると、彼はいっさいを捨てて立ちあがり、イエスに従ってきた。 (J)

ルカの福音書 5:29 それから、レビは自分の家で、イエスのために盛大な宴会を催したが、取税人やそのほか大ぜいの人々が、共に食卓に着いていた。 (J)

ルカの福音書 5:30 ところが、パリサイ人やその律法学者たちが、イエスの弟子たちに対してつぶやいて言った、「どうしてあなたがたは、取税人や罪人などと飲食を共にするのか」。 (J)

ルカの福音書 5:31 イエスは答えて言われた、「健康な人には医者はいらない。いるのは病人である。 (J)

ルカの福音書 5:32 わたしがきたのは、義人を招くためではなく、罪人を招いて悔い改めさせるためである」。 (J)

ルカの福音書 5:33 また彼らはイエスに言った、「ヨハネの弟子たちは、しばしば断食をし、また祈をしており、パリサイ人の弟子たちもそうしているのに、あなたの弟子たちは食べたり飲んだりしています」。 (J)

ルカの福音書 5:34 するとイエスは言われた、「あなたがたは、花婿が一緒にいるのに、婚礼の客に断食をさせることができるであろうか。 (J)

ルカの福音書 5:35 しかし、花婿が奪い去られる日が来る。その日には断食をするであろう」。 (J)

ルカの福音書 5:36 それからイエスはまた一つの譬を語られた、「だれも、新しい着物から布ぎれを切り取って、古い着物につぎを当てるものはない。もしそんなことをしたら、新しい着物を裂くことになるし、新しいのから取った布ぎれも古いのに合わないであろう。 (J)

ルカの福音書 5:37 まただれも、新しいぶどう酒を古い皮袋に入れはしない。もしそんなことをしたら、新しいぶどう酒は皮袋をはり裂き、そしてぶどう酒は流れ出るし、皮袋もむだになるであろう。 (J)

ルカの福音書 5:38 新しいぶどう酒は新しい皮袋に入れるべきである。 (J)

ルカの福音書 5:39 まただれも、古い酒を飲んでから、新しいのをほしがりはしない。『古いのが良い』と考えているからである」。 (J)

ルカの福音書 6:1 ある安息日にイエスが麦畑の中をとおって行かれたとき、弟子たちが穂をつみ、手でもみながら食べていた。 (J)

ルカの福音書 6:2 すると、あるパリサイ人たちが言った、「あなたがたはなぜ、安息日にしてはならぬことをするのか」。 (J)

ルカの福音書 6:3 そこでイエスが答えて言われた、「あなたがたは、ダビデとその供の者たちとが飢えていたとき、ダビデのしたことについて、読んだことがないのか。 (J)

ルカの福音書 6:4 すなわち、神の家にはいって、祭司たちのほかだれも食べてはならぬ供えのパンを取って食べ、また供の者たちにも与えたではないか」。 (J)

ルカの福音書 6:5 また彼らに言われた、「人の子は安息日の主である」。 (J)

ルカの福音書 6:6 また、ほかの安息日に会堂にはいって教えておられたところ、そこに右手のなえた人がいた。 (J)

ルカの福音書 6:7 律法学者やパリサイ人たちは、イエスを訴える口実を見付けようと思って、安息日にいやされるかどうかをうかがっていた。 (J)

ルカの福音書 6:8 イエスは彼らの思っていることを知って、その手のなえた人に、「起きて、まん中に立ちなさい」と言われると、起き上がって立った。 (J)

ルカの福音書 6:9 そこでイエスは彼らにむかって言われた、「あなたがたに聞くが、安息日に善を行うのと悪を行うのと、命を救うのと殺すのと、どちらがよいか」。 (J)

ルカの福音書 6:10 そして彼ら一同を見まわして、その人に「手を伸ばしなさい」と言われた。そのとおりにすると、その手は元どおりになった。 (J)

ルカの福音書 6:11 そこで彼らは激しく怒って、イエスをどうかしてやろうと、互に話合いをはじめた。 (J)

ルカの福音書 6:12 このころ、イエスは祈るために山へ行き、夜を徹して神に祈られた。 (J)

ルカの福音書 6:13 夜が明けると、弟子たちを呼び寄せ、その中から十二人を選び出し、これに使徒という名をお与えになった。 (J)

ルカの福音書 6:14 すなわち、ペテロとも呼ばれたシモンとその兄弟アンデレ、ヤコブとヨハネ、ピリポとバルトロマイ、 (J)

ルカの福音書 6:15 マタイとトマス、アルパヨの子ヤコブと、熱心党と呼ばれたシモン、 (J)

ルカの福音書 6:16 ヤコブの子ユダ、それからイスカリオテのユダ。このユダが裏切者となったのである。 (J)

ルカの福音書 6:17 そして、イエスは彼らと一緒に山を下って平地に立たれたが、大ぜいの弟子たちや、ユダヤ全土、エルサレム、ツロとシドンの海岸地方などからの大群衆が、 (J)

ルカの福音書 6:18 教を聞こうとし、また病気をなおしてもらおうとして、そこにきていた。そして汚れた霊に悩まされている者たちも、いやされた。 (J)

ルカの福音書 6:19 また群衆はイエスにさわろうと努めた。それは力がイエスの内から出て、みんなの者を次々にいやしたからである。 (J)

ルカの福音書 6:20 そのとき、イエスは目をあげ、弟子たちを見て言われた、 「あなたがた貧しい人たちは、さいわいだ。 神の国はあなたがたのものである。 (J)

ルカの福音書 6:21 あなたがたいま飢えている人たちは、さいわいだ。 飽き足りるようになるからである。 あなたがたいま泣いている人たちは、さいわいだ。 笑うようになるからである。 (J)

ルカの福音書 6:22 人々があなたがたを憎むとき、また人の子のためにあなたがたを排斥し、ののしり、汚名を着せるときは、あなたがたはさいわいだ。 (J)

ルカの福音書 6:23 その日には喜びおどれ。見よ、天においてあなたがたの受ける報いは大きいのだから。彼らの祖先も、預言者たちに対して同じことをしたのである。 (J)

ルカの福音書 6:24 しかしあなたがた富んでいる人たちは、わざわいだ。 慰めを受けてしまっているからである。 (J)

ルカの福音書 6:25 あなたがた今満腹している人たちは、わざわいだ。 飢えるようになるからである。 あなたがた今笑っている人たちは、わざわいだ。悲しみ泣くようになるからである。 (J)

ルカの福音書 6:26 人が皆あなたがたをほめるときは、あなたがたはわざわいだ。彼らの祖先も、にせ預言者たちに対して同じことをしたのである。 (J)

ルカの福音書 6:27 しかし、聞いているあなたがたに言う。敵を愛し、憎む者に親切にせよ。 (J)

ルカの福音書 6:28 のろう者を祝福し、はずかしめる者のために祈れ。 (J)

ルカの福音書 6:29 あなたの頬を打つ者にはほかの頬をも向けてやり、あなたの上着を奪い取る者には下着をも拒むな。 (J)

ルカの福音書 6:30 あなたに求める者には与えてやり、あなたの持ち物を奪う者からは取りもどそうとするな。 (J)

ルカの福音書 6:31 人々にしてほしいと、あなたがたの望むことを、人々にもそのとおりにせよ。 (J)

ルカの福音書 6:32 自分を愛してくれる者を愛したからとて、どれほどの手柄になろうか。罪人でさえ、自分を愛してくれる者を愛している。 (J)

ルカの福音書 6:33 自分によくしてくれる者によくしたとて、どれほどの手柄になろうか。罪人でさえ、それくらいの事はしている。 (J)

ルカの福音書 6:34 また返してもらうつもりで貸したとて、どれほどの手柄になろうか。罪人でも、同じだけのものを返してもらおうとして、仲間に貸すのである。 (J)

ルカの福音書 6:35 しかし、あなたがたは、敵を愛し、人によくしてやり、また何も当てにしないで貸してやれ。そうすれば受ける報いは大きく、あなたがたはいと高き者の子となるであろう。いと高き者は、恩を知らぬ者にも悪人にも、なさけ深いからである。 (J)

ルカの福音書 6:36 あなたがたの父なる神が慈悲深いように、あなたがたも慈悲深い者となれ。 (J)

ルカの福音書 6:37 人をさばくな。そうすれば、自分もさばかれることがないであろう。また人を罪に定めるな。そうすれば、自分も罪に定められることがないであろう。ゆるしてやれ。そうすれば、自分もゆるされるであろう。 (J)

ルカの福音書 6:38 与えよ。そうすれば、自分にも与えられるであろう。人々はおし入れ、ゆすり入れ、あふれ出るまでに量をよくして、あなたがたのふところに入れてくれるであろう。あなたがたの量るその量りで、自分にも量りかえされるであろうから」。 (J)

ルカの福音書 6:39 イエスはまた一つの譬を語られた、「盲人は盲人の手引ができようか。ふたりとも穴に落ち込まないだろうか。 (J)

ルカの福音書 6:40 弟子はその師以上のものではないが、修業をつめば、みなその師のようになろう。 (J)

ルカの福音書 6:41 なぜ、兄弟の目にあるちりを見ながら、自分の目にある梁を認めないのか。 (J)

ルカの福音書 6:42 自分の目にある梁は見ないでいて、どうして兄弟にむかって、兄弟よ、あなたの目にあるちりを取らせてください、と言えようか。偽善者よ、まず自分の目から梁を取りのけるがよい、そうすれば、はっきり見えるようになって、兄弟の目にあるちりを取りのけることができるだろう。 (J)

ルカの福音書 6:43 悪い実のなる良い木はないし、また良い実のなる悪い木もない。 (J)

ルカの福音書 6:44 木はそれぞれ、その実でわかる。いばらからいちじくを取ることはないし、野ばらからぶどうを摘むこともない。 (J)

ルカの福音書 6:45 善人は良い心の倉から良い物を取り出し、悪人は悪い倉から悪い物を取り出す。心からあふれ出ることを、口が語るものである。 (J)

ルカの福音書 6:46 わたしを主よ、主よ、と呼びながら、なぜわたしの言うことを行わないのか。 (J)

ルカの福音書 6:47 わたしのもとにきて、わたしの言葉を聞いて行う者が、何に似ているか、あなたがたに教えよう。 (J)

ルカの福音書 6:48 それは、地を深く掘り、岩の上に土台をすえて家を建てる人に似ている。洪水が出て激流がその家に押し寄せてきても、それを揺り動かすことはできない。よく建ててあるからである。 (J)

ルカの福音書 6:49 しかし聞いても行わない人は、土台なしで、土の上に家を建てた人に似ている。激流がその家に押し寄せてきたら、たちまち倒れてしまい、その被害は大きいのである」。 (J)

ルカの福音書 7:1 イエスはこれらの言葉をことごとく人々に聞かせてしまったのち、カペナウムに帰ってこられた。 (J)

ルカの福音書 7:2 ところが、ある百卒長の頼みにしていた僕が、病気になって死にかかっていた。 (J)

ルカの福音書 7:3 この百卒長はイエスのことを聞いて、ユダヤ人の長老たちをイエスのところにつかわし、自分の僕を助けにきてくださるようにと、お願いした。 (J)

ルカの福音書 7:4 彼らはイエスのところにきて、熱心に願って言った、「あの人はそうしていただくねうちがございます。 (J)

ルカの福音書 7:5 わたしたちの国民を愛し、わたしたちのために会堂を建ててくれたのです」。 (J)

ルカの福音書 7:6 そこで、イエスは彼らと連れだってお出かけになった。ところが、その家からほど遠くないあたりまでこられたとき、百卒長は友だちを送ってイエスに言わせた、「主よ、どうぞ、ご足労くださいませんように。わたしの屋根の下にあなたをお入れする資格は、わたしにはございません。 (J)

ルカの福音書 7:7 それですから、自分でお迎えにあがるねうちさえないと思っていたのです。ただ、お言葉を下さい。そして、わたしの僕をなおしてください。 (J)

ルカの福音書 7:8 わたしも権威の下に服している者ですが、わたしの下にも兵卒がいまして、ひとりの者に『行け』と言えば行き、ほかの者に『こい』と言えばきますし、また、僕に『これをせよ』と言えば、してくれるのです」。 (J)

ルカの福音書 7:9 イエスはこれを聞いて非常に感心され、ついてきた群衆の方に振り向いて言われた、「あなたがたに言っておくが、これほどの信仰は、イスラエルの中でも見たことがない」。 (J)

ルカの福音書 7:10 使にきた者たちが家に帰ってみると、僕は元気になっていた。 (J)

ルカの福音書 7:11 そののち、間もなく、ナインという町へおいでになったが、弟子たちや大ぜいの群衆も一緒に行った。 (J)

ルカの福音書 7:12 町の門に近づかれると、ちょうど、あるやもめにとってひとりむすこであった者が死んだので、葬りに出すところであった。大ぜいの町の人たちが、その母につきそっていた。 (J)

ルカの福音書 7:13 主はこの婦人を見て深い同情を寄せられ、「泣かないでいなさい」と言われた。 (J)

ルカの福音書 7:14 そして近寄って棺に手をかけられると、かついでいる者たちが立ち止まったので、「若者よ、さあ、起きなさい」と言われた。 (J)

ルカの福音書 7:15 すると、死人が起き上がって物を言い出した。イエスは彼をその母にお渡しになった。 (J)

ルカの福音書 7:16 人々はみな恐れをいだき、「大預言者がわたしたちの間に現れた」、また、「神はその民を顧みてくださった」と言って、神をほめたたえた。 (J)

ルカの福音書 7:17 イエスについてのこの話は、ユダヤ全土およびその附近のいたる所にひろまった。 (J)

ルカの福音書 7:18 ヨハネの弟子たちは、これらのことを全部彼に報告した。するとヨハネは弟子の中からふたりの者を呼んで、 (J)

ルカの福音書 7:19 主のもとに送り、「『きたるべきかた』はあなたなのですか。それとも、ほかにだれかを待つべきでしょうか」と尋ねさせた。 (J)

ルカの福音書 7:20 そこで、この人たちがイエスのもとにきて言った、「わたしたちはバプテスマのヨハネからの使ですが、『きたるべきかた』はあなたなのですか、それとも、ほかにだれかを待つべきでしょうか、とヨハネが尋ねています」。 (J)

ルカの福音書 7:21 そのとき、イエスはさまざまの病苦と悪霊とに悩む人々をいやし、また多くの盲人を見えるようにしておられたが、 (J)

ルカの福音書 7:22 答えて言われた、「行って、あなたがたが見聞きしたことを、ヨハネに報告しなさい。盲人は見え、足なえは歩き、らい病人はきよまり、耳しいは聞え、死人は生きかえり、貧しい人々は福音を聞かされている。 (J)

ルカの福音書 7:23 わたしにつまずかない者は、さいわいである」。 (J)

ルカの福音書 7:24 ヨハネの使が行ってしまうと、イエスはヨハネのことを群衆に語りはじめられた、「あなたがたは、何を見に荒野に出てきたのか。風に揺らぐ葦であるか。 (J)

ルカの福音書 7:25 では、何を見に出てきたのか。柔らかい着物をまとった人か。きらびやかに着かざって、ぜいたくに暮している人々なら、宮殿にいる。 (J)

ルカの福音書 7:26 では、何を見に出てきたのか。預言者か。そうだ、あなたがたに言うが、預言者以上の者である。 (J)

ルカの福音書 7:27 『見よ、わたしは使をあなたの先につかわし、 あなたの前に、道を整えさせるであろう』 と書いてあるのは、この人のことである。 (J)

ルカの福音書 7:28 あなたがたに言っておく。女の産んだ者の中で、ヨハネより大きい人物はいない。しかし、神の国で最も小さい者も、彼よりは大きい。 (J)

ルカの福音書 7:29 (これを聞いた民衆は皆、また取税人たちも、ヨハネのバプテスマを受けて神の正しいことを認めた。 (J)

ルカの福音書 7:30 しかし、パリサイ人と律法学者たちとは彼からバプテスマを受けないで、自分たちに対する神のみこころを無にした。) (J)

ルカの福音書 7:31 だから今の時代の人々を何に比べようか。彼らは何に似ているか。 (J)

ルカの福音書 7:32 それは子供たちが広場にすわって、互に呼びかけ、 『わたしたちが笛を吹いたのに、 あなたたちは踊ってくれなかった。 弔いの歌を歌ったのに、 泣いてくれなかった』 と言うのに似ている。 (J)

ルカの福音書 7:33 なぜなら、バプテスマのヨハネがきて、パンを食べることも、ぶどう酒を飲むこともしないと、あなたがたは、あれは悪霊につかれているのだ、と言い、 (J)

ルカの福音書 7:34 また人の子がきて食べたり飲んだりしていると、見よ、あれは食をむさぼる者、大酒を飲む者、また取税人、罪人の仲間だ、と言う。 (J)

ルカの福音書 7:35 しかし、知恵の正しいことは、そのすべての子が証明する」。 (J)

ルカの福音書 7:36 あるパリサイ人がイエスに、食事を共にしたいと申し出たので、そのパリサイ人の家にはいって食卓に着かれた。 (J)

ルカの福音書 7:37 するとそのとき、その町で罪の女であったものが、パリサイ人の家で食卓に着いておられることを聞いて、香油が入れてある石膏のつぼを持ってきて、 (J)

ルカの福音書 7:38 泣きながら、イエスのうしろでその足もとに寄り、まず涙でイエスの足をぬらし、自分の髪の毛でぬぐい、そして、その足に接吻して、香油を塗った。 (J)

ルカの福音書 7:39 イエスを招いたパリサイ人がそれを見て、心の中で言った、「もしこの人が預言者であるなら、自分にさわっている女がだれだか、どんな女かわかるはずだ。それは罪の女なのだから」。 (J)

ルカの福音書 7:40 そこでイエスは彼にむかって言われた、「シモン、あなたに言うことがある」。彼は「先生、おっしゃってください」と言った。 (J)

ルカの福音書 7:41 イエスが言われた、「ある金貸しに金をかりた人がふたりいたが、ひとりは五百デナリ、もうひとりは五十デナリを借りていた。 (J)

ルカの福音書 7:42 ところが、返すことができなかったので、彼はふたり共ゆるしてやった。このふたりのうちで、どちらが彼を多く愛するだろうか」。 (J)

ルカの福音書 7:43 シモンが答えて言った、「多くゆるしてもらったほうだと思います」。イエスが言われた、「あなたの判断は正しい」。 (J)

ルカの福音書 7:44 それから女の方に振り向いて、シモンに言われた、「この女を見ないか。わたしがあなたの家にはいってきた時に、あなたは足を洗う水をくれなかった。ところが、この女は涙でわたしの足をぬらし、髪の毛でふいてくれた。 (J)

ルカの福音書 7:45 あなたはわたしに接吻をしてくれなかったが、彼女はわたしが家にはいった時から、わたしの足に接吻をしてやまなかった。 (J)

ルカの福音書 7:46 あなたはわたしの頭に油を塗ってくれなかったが、彼女はわたしの足に香油を塗ってくれた。 (J)

ルカの福音書 7:47 それであなたに言うが、この女は多く愛したから、その多くの罪はゆるされているのである。少しだけゆるされた者は、少しだけしか愛さない」。 (J)

ルカの福音書 7:48 そして女に、「あなたの罪はゆるされた」と言われた。 (J)

ルカの福音書 7:49 すると同席の者たちが心の中で言いはじめた、「罪をゆるすことさえするこの人は、いったい、何者だろう」。 (J)

ルカの福音書 7:50 しかし、イエスは女にむかって言われた、「あなたの信仰があなたを救ったのです。安心して行きなさい」。 (J)

ルカの福音書 8:1 そののちイエスは、神の国の福音を説きまた伝えながら、町々村々を巡回し続けられたが、十二弟子もお供をした。 (J)

ルカの福音書 8:2 また悪霊を追い出され病気をいやされた数名の婦人たち、すなわち、七つの悪霊を追い出してもらったマグダラと呼ばれるマリヤ、 (J)

ルカの福音書 8:3 ヘロデの家令クーザの妻ヨハンナ、スザンナ、そのほか多くの婦人たちも一緒にいて、自分たちの持ち物をもって一行に奉仕した。 (J)

ルカの福音書 8:4 さて、大ぜいの群衆が集まり、その上、町々からの人たちがイエスのところに、ぞくぞくと押し寄せてきたので、一つの譬で話をされた、 (J)

ルカの福音書 8:5 「種まきが種をまきに出て行った。まいているうちに、ある種は道ばたに落ち、踏みつけられ、そして空の鳥に食べられてしまった。 (J)

ルカの福音書 8:6 ほかの種は岩の上に落ち、はえはしたが水気がないので枯れてしまった。 (J)

ルカの福音書 8:7 ほかの種は、いばらの間に落ちたので、いばらも一緒に茂ってきて、それをふさいでしまった。 (J)

ルカの福音書 8:8 ところが、ほかの種は良い地に落ちたので、はえ育って百倍もの実を結んだ」。こう語られたのち、声をあげて「聞く耳のある者は聞くがよい」と言われた。 (J)

ルカの福音書 8:9 弟子たちは、この譬はどういう意味でしょうか、とイエスに質問した。 (J)

ルカの福音書 8:10 そこで言われた、「あなたがたには、神の国の奥義を知ることが許されているが、ほかの人たちには、見ても見えず、聞いても悟られないために、譬で話すのである。 (J)

ルカの福音書 8:11 この譬はこういう意味である。種は神の言である。 (J)

ルカの福音書 8:12 道ばたに落ちたのは、聞いたのち、信じることも救われることもないように、悪魔によってその心から御言が奪い取られる人たちのことである。 (J)

ルカの福音書 8:13 岩の上に落ちたのは、御言を聞いた時には喜んで受けいれるが、根が無いので、しばらくは信じていても、試錬の時が来ると、信仰を捨てる人たちのことである。 (J)

ルカの福音書 8:14 いばらの中に落ちたのは、聞いてから日を過ごすうちに、生活の心づかいや富や快楽にふさがれて、実の熟するまでにならない人たちのことである。 (J)

ルカの福音書 8:15 良い地に落ちたのは、御言を聞いたのち、これを正しい良い心でしっかりと守り、耐え忍んで実を結ぶに至る人たちのことである。 (J)

ルカの福音書 8:16 だれもあかりをともして、それを何かの器でおおいかぶせたり、寝台の下に置いたりはしない。燭台の上に置いて、はいって来る人たちに光が見えるようにするのである。 (J)

ルカの福音書 8:17 隠されているもので、あらわにならないものはなく、秘密にされているもので、ついには知られ、明るみに出されないものはない。 (J)

ルカの福音書 8:18 だから、どう聞くかに注意するがよい。持っている人は更に与えられ、持っていない人は、持っていると思っているものまでも、取り上げられるであろう」。 (J)

ルカの福音書 8:19 さて、イエスの母と兄弟たちとがイエスのところにきたが、群衆のためそば近くに行くことができなかった。 (J)

ルカの福音書 8:20 それで、だれかが「あなたの母上と兄弟がたが、お目にかかろうと思って、外に立っておられます」と取次いだ。 (J)

ルカの福音書 8:21 するとイエスは人々にむかって言われた、「神の御言を聞いて行う者こそ、わたしの母、わたしの兄弟なのである」。 (J)

ルカの福音書 8:22 ある日のこと、イエスは弟子たちと舟に乗り込み、「湖の向こう岸へ渡ろう」と言われたので、一同が船出した。 (J)

ルカの福音書 8:23 渡って行く間に、イエスは眠ってしまわれた。すると突風が湖に吹きおろしてきたので、彼らは水をかぶって危険になった。 (J)

ルカの福音書 8:24 そこで、みそばに寄ってきてイエスを起し、「先生、先生、わたしたちは死にそうです」と言った。イエスは起き上がって、風と荒浪とをおしかりになると、止んでなぎになった。 (J)

ルカの福音書 8:25 イエスは彼らに言われた、「あなたがたの信仰は、どこにあるのか」。彼らは恐れ驚いて互に言い合った、「いったい、このかたはだれだろう。お命じになると、風も水も従うとは」。 (J)

ルカの福音書 8:26 それから、彼らはガリラヤの対岸、ゲラサ人の地に渡った。 (J)

ルカの福音書 8:27 陸にあがられると、その町の人で、悪霊につかれて長いあいだ着物も着ず、家に居つかないで墓場にばかりいた人に、出会われた。 (J)

ルカの福音書 8:28 この人がイエスを見て叫び出し、みまえにひれ伏して大声で言った、「いと高き神の子イエスよ、あなたはわたしとなんの係わりがあるのです。お願いです、わたしを苦しめないでください」。 (J)

ルカの福音書 8:29 それは、イエスが汚れた霊に、その人から出て行け、とお命じになったからである。というのは、悪霊が何度も彼をひき捕えたので、彼は鎖と足かせとでつながれて看視されていたが、それを断ち切っては悪霊によって荒野へ追いやられていたのである。 (J)

ルカの福音書 8:30 イエスは彼に「なんという名前か」とお尋ねになると、「レギオンと言います」と答えた。彼の中にたくさんの悪霊がはいり込んでいたからである。 (J)

ルカの福音書 8:31 悪霊どもは、底知れぬ所に落ちて行くことを自分たちにお命じにならぬようにと、イエスに願いつづけた。 (J)

ルカの福音書 8:32 ところが、そこの山べにおびただしい豚の群れが飼ってあったので、その豚の中へはいることを許していただきたいと、悪霊どもが願い出た。イエスはそれをお許しになった。 (J)

ルカの福音書 8:33 そこで悪霊どもは、その人から出て豚の中へはいり込んだ。するとその群れは、がけから湖へなだれを打って駆け下り、おぼれ死んでしまった。 (J)

ルカの福音書 8:34 飼う者たちは、この出来事を見て逃げ出して、町や村里にふれまわった。 (J)

ルカの福音書 8:35 人々はこの出来事を見に出てきた。そして、イエスのところにきて、悪霊を追い出してもらった人が着物を着て、正気になってイエスの足もとにすわっているのを見て、恐れた。 (J)

ルカの福音書 8:36 それを見た人たちは、この悪霊につかれていた者が救われた次第を、彼らに語り聞かせた。 (J)

ルカの福音書 8:37 それから、ゲラサの地方の民衆はこぞって、自分たちの所から立ち去ってくださるようにとイエスに頼んだ。彼らが非常な恐怖に襲われていたからである。そこで、イエスは舟に乗って帰りかけられた。 (J)

ルカの福音書 8:38 悪霊を追い出してもらった人は、お供をしたいと、しきりに願ったが、イエスはこう言って彼をお帰しになった。 (J)

ルカの福音書 8:39 「家へ帰って、神があなたにどんなに大きなことをしてくださったか、語り聞かせなさい」。そこで彼は立ち去って、自分にイエスがして下さったことを、ことごとく町中に言いひろめた。 (J)

ルカの福音書 8:40 イエスが帰ってこられると、群衆は喜び迎えた。みんながイエスを待ちうけていたのである。 (J)

ルカの福音書 8:41 するとそこに、ヤイロという名の人がきた。この人は会堂司であった。イエスの足もとにひれ伏して、自分の家においでくださるようにと、しきりに願った。 (J)

ルカの福音書 8:42 彼に十二歳ばかりになるひとり娘があったが、死にかけていた。ところが、イエスが出て行かれる途中、群衆が押し迫ってきた。 (J)

ルカの福音書 8:43 ここに、十二年間も長血をわずらっていて、医者のために自分の身代をみな使い果してしまったが、だれにもなおしてもらえなかった女がいた。 (J)

ルカの福音書 8:44 この女がうしろから近寄ってみ衣のふさにさわったところ、その長血がたちまち止まってしまった。 (J)

ルカの福音書 8:45 イエスは言われた、「わたしにさわったのは、だれか」。人々はみな自分ではないと言ったので、ペテロが「先生、群衆があなたを取り囲んで、ひしめき合っているのです」と答えた。 (J)

ルカの福音書 8:46 しかしイエスは言われた、「だれかがわたしにさわった。力がわたしから出て行ったのを感じたのだ」。 (J)

ルカの福音書 8:47 女は隠しきれないのを知って、震えながら進み出て、みまえにひれ伏し、イエスにさわった訳と、さわるとたちまちなおったこととを、みんなの前で話した。 (J)

ルカの福音書 8:48 そこでイエスが女に言われた、「娘よ、あなたの信仰があなたを救ったのです。安心して行きなさい」。 (J)

ルカの福音書 8:49 イエスがまだ話しておられるうちに、会堂司の家から人がきて、「お嬢さんはなくなられました。この上、先生を煩わすには及びません」と言った。 (J)

ルカの福音書 8:50 しかしイエスはこれを聞いて会堂司にむかって言われた、「恐れることはない。ただ信じなさい。娘は助かるのだ」。 (J)

ルカの福音書 8:51 それから家にはいられるとき、ペテロ、ヨハネ、ヤコブおよびその子の父母のほかは、だれも一緒にはいって来ることをお許しにならなかった。 (J)

ルカの福音書 8:52 人々はみな、娘のために泣き悲しんでいた。イエスは言われた、「泣くな、娘は死んだのではない。眠っているだけである」。 (J)

ルカの福音書 8:53 人々は娘が死んだことを知っていたので、イエスをあざ笑った。 (J)

ルカの福音書 8:54 イエスは娘の手を取って、呼びかけて言われた、「娘よ、起きなさい」。 (J)

ルカの福音書 8:55 するとその霊がもどってきて、娘は即座に立ち上がった。イエスは何か食べ物を与えるように、さしずをされた。 (J)

ルカの福音書 8:56 両親は驚いてしまった。イエスはこの出来事をだれにも話さないようにと、彼らに命じられた。 (J)

ルカの福音書 9:1 それからイエスは十二弟子を呼び集めて、彼らにすべての悪霊を制し、病気をいやす力と権威とをお授けになった。 (J)

ルカの福音書 9:2 また神の国を宣べ伝え、かつ病気をなおすためにつかわして (J)

ルカの福音書 9:3 言われた、「旅のために何も携えるな。つえも袋もパンも銭も持たず、また下着も二枚は持つな。 (J)

ルカの福音書 9:4 また、どこかの家にはいったら、そこに留まっておれ。そしてそこから出かけることにしなさい。 (J)

ルカの福音書 9:5 だれもあなたがたを迎えるものがいなかったら、その町を出て行くとき、彼らに対する抗議のしるしに、足からちりを払い落しなさい」。 (J)

ルカの福音書 9:6 弟子たちは出て行って、村々を巡り歩き、いたる所で福音を宣べ伝え、また病気をいやした。 (J)

ルカの福音書 9:7 さて、領主ヘロデはいろいろな出来事を耳にして、あわて惑っていた。それは、ある人たちは、ヨハネが死人の中からよみがえったと言い、 (J)

ルカの福音書 9:8 またある人たちは、エリヤが現れたと言い、またほかの人たちは、昔の預言者のひとりが復活したのだと言っていたからである。 (J)

ルカの福音書 9:9 そこでヘロデが言った、「ヨハネはわたしがすでに首を切ったのだが、こうしてうわさされているこの人は、いったい、だれなのだろう」。そしてイエスに会ってみようと思っていた。 (J)

ルカの福音書 9:10 使徒たちは帰ってきて、自分たちのしたことをすべてイエスに話した。それからイエスは彼らを連れて、ベツサイダという町へひそかに退かれた。 (J)

ルカの福音書 9:11 ところが群衆がそれと知って、ついてきたので、これを迎えて神の国のことを語り聞かせ、また治療を要する人たちをいやされた。 (J)

ルカの福音書 9:12 それから日が傾きかけたので、十二弟子がイエスのもとにきて言った、「群衆を解散して、まわりの村々や部落へ行って宿を取り、食物を手にいれるようにさせてください。わたしたちはこんな寂しい所にきているのですから」。 (J)

ルカの福音書 9:13 しかしイエスは言われた、「あなたがたの手で食物をやりなさい」。彼らは言った、「わたしたちにはパン五つと魚二ひきしかありません、この大ぜいの人のために食物を買いに行くかしなければ」。 (J)

ルカの福音書 9:14 というのは、男が五千人ばかりもいたからである。しかしイエスは弟子たちに言われた、「人々をおおよそ五十人ずつの組にして、すわらせなさい」。 (J)

ルカの福音書 9:15 彼らはそのとおりにして、みんなをすわらせた。 (J)

ルカの福音書 9:16 イエスは五つのパンと二ひきの魚とを手に取り、天を仰いでそれを祝福してさき、弟子たちにわたして群衆に配らせた。 (J)

ルカの福音書 9:17 みんなの者は食べて満腹した。そして、その余りくずを集めたら、十二かごあった。 (J)

ルカの福音書 9:18 イエスがひとりで祈っておられたとき、弟子たちが近くにいたので、彼らに尋ねて言われた、「群衆はわたしをだれと言っているか」。 (J)

ルカの福音書 9:19 彼らは答えて言った、「バプテスマのヨハネだと、言っています。しかしほかの人たちは、エリヤだと言い、また昔の預言者のひとりが復活したのだと、言っている者もあります」。 (J)

ルカの福音書 9:20 彼らに言われた、「それでは、あなたがたはわたしをだれと言うか」。ペテロが答えて言った、「神のキリストです」。 (J)

ルカの福音書 9:21 イエスは彼らを戒め、この事をだれにも言うなと命じ、そして言われた、 (J)

ルカの福音書 9:22 「人の子は必ず多くの苦しみを受け、長老、祭司長、律法学者たちに捨てられ、また殺され、そして三日目によみがえる」。 (J)

ルカの福音書 9:23 それから、みんなの者に言われた、「だれでもわたしについてきたいと思うなら、自分を捨て、日々自分の十字架を負うて、わたしに従ってきなさい。 (J)

ルカの福音書 9:24 自分の命を救おうと思う者はそれを失い、わたしのために自分の命を失う者は、それを救うであろう。 (J)

ルカの福音書 9:25 人が全世界をもうけても、自分自身を失いまたは損したら、なんの得になろうか。 (J)

ルカの福音書 9:26 わたしとわたしの言葉とを恥じる者に対しては、人の子もまた、自分の栄光と、父と聖なる御使との栄光のうちに現れて来るとき、その者を恥じるであろう。 (J)

ルカの福音書 9:27 よく聞いておくがよい、神の国を見るまでは、死を味わわない者が、ここに立っている者の中にいる」。 (J)

ルカの福音書 9:28 これらのことを話された後、八日ほどたってから、イエスはペテロ、ヨハネ、ヤコブを連れて、祈るために山に登られた。 (J)

ルカの福音書 9:29 祈っておられる間に、み顔の様が変り、み衣がまばゆいほどに白く輝いた。 (J)

ルカの福音書 9:30 すると見よ、ふたりの人がイエスと語り合っていた。それはモーセとエリヤであったが、 (J)

ルカの福音書 9:31 栄光の中に現れて、イエスがエルサレムで遂げようとする最後のことについて話していたのである。 (J)

ルカの福音書 9:32 ペテロとその仲間の者たちとは熟睡していたが、目をさますと、イエスの栄光の姿と、共に立っているふたりの人とを見た。 (J)

ルカの福音書 9:33 このふたりがイエスを離れ去ろうとしたとき、ペテロは自分が何を言っているのかわからないで、イエスに言った、「先生、わたしたちがここにいるのは、すばらしいことです。それで、わたしたちは小屋を三つ建てましょう。一つはあなたのために、一つはモーセのために、一つはエリヤのために」。 (J)

ルカの福音書 9:34 彼がこう言っている間に、雲がわき起って彼らをおおいはじめた。そしてその雲に囲まれたとき、彼らは恐れた。 (J)

ルカの福音書 9:35 すると雲の中から声があった、「これはわたしの子、わたしの選んだ者である。これに聞け」。 (J)

ルカの福音書 9:36 そして声が止んだとき、イエスがひとりだけになっておられた。弟子たちは沈黙を守って、自分たちが見たことについては、そのころだれにも話さなかった。 (J)

ルカの福音書 9:37 翌日、一同が山を降りて来ると、大ぜいの群衆がイエスを出迎えた。 (J)

ルカの福音書 9:38 すると突然、ある人が群衆の中から大声をあげて言った、「先生、お願いです。わたしのむすこを見てやってください。この子はわたしのひとりむすこですが、 (J)

ルカの福音書 9:39 霊が取りつきますと、彼は急に叫び出すのです。それから、霊は彼をひきつけさせて、あわを吹かせ、彼を弱り果てさせて、なかなか出て行かないのです。 (J)

ルカの福音書 9:40 それで、お弟子たちに、この霊を追い出してくださるように願いましたが、できませんでした」。 (J)

ルカの福音書 9:41 イエスは答えて言われた、「ああ、なんという不信仰な、曲った時代であろう。いつまで、わたしはあなたがたと一緒におられようか、またあなたがたに我慢ができようか。あなたの子をここに連れてきなさい」。 (J)

ルカの福音書 9:42 ところが、その子がイエスのところに来る時にも、悪霊が彼を引き倒して、引きつけさせた。イエスはこの汚れた霊をしかりつけ、その子供をいやして、父親にお渡しになった。 (J)

ルカの福音書 9:43 人々はみな、神の偉大な力に非常に驚いた。 みんなの者がイエスのしておられた数々の事を不思議に思っていると、弟子たちに言われた、 (J)

ルカの福音書 9:44 「あなたがたはこの言葉を耳におさめて置きなさい。人の子は人々の手に渡されようとしている」。 (J)

ルカの福音書 9:45 しかし、彼らはなんのことかわからなかった。それが彼らに隠されていて、悟ることができなかったのである。また彼らはそのことについて尋ねるのを恐れていた。 (J)

ルカの福音書 9:46 弟子たちの間に、彼らのうちでだれがいちばん偉いだろうかということで、議論がはじまった。 (J)

ルカの福音書 9:47 イエスは彼らの心の思いを見抜き、ひとりの幼な子を取りあげて自分のそばに立たせ、彼らに言われた、 (J)

ルカの福音書 9:48 「だれでもこの幼な子をわたしの名のゆえに受けいれる者は、わたしを受けいれるのである。そしてわたしを受けいれる者は、わたしをおつかわしになったかたを受けいれるのである。あなたがたみんなの中でいちばん小さい者こそ、大きいのである」。 (J)

ルカの福音書 9:49 するとヨハネが答えて言った、「先生、わたしたちはある人があなたの名を使って悪霊を追い出しているのを見ましたが、その人はわたしたちの仲間でないので、やめさせました」。 (J)

ルカの福音書 9:50 イエスは彼に言われた、「やめさせないがよい。あなたがたに反対しない者は、あなたがたの味方なのである」。 (J)

ルカの福音書 9:51 さて、イエスが天に上げられる日が近づいたので、エルサレムへ行こうと決意して、その方へ顔をむけられ、 (J)

ルカの福音書 9:52 自分に先立って使者たちをおつかわしになった。そして彼らがサマリヤ人の村へはいって行き、イエスのために準備をしようとしたところ、 (J)

ルカの福音書 9:53 村人は、エルサレムへむかって進んで行かれるというので、イエスを歓迎しようとはしなかった。 (J)

ルカの福音書 9:54 弟子のヤコブとヨハネとはそれを見て言った、「主よ、いかがでしょう。彼らを焼き払ってしまうように、天から火をよび求めましょうか」。 (J)

ルカの福音書 9:55 イエスは振りかえって、彼らをおしかりになった。 (J)

ルカの福音書 9:56 そして一同はほかの村へ行った。 (J)

ルカの福音書 9:57 道を進んで行くと、ある人がイエスに言った、「あなたがおいでになる所ならどこへでも従ってまいります」。 (J)

ルカの福音書 9:58 イエスはその人に言われた、「きつねには穴があり、空の鳥には巣がある。しかし、人の子にはまくらする所がない」。 (J)

ルカの福音書 9:59 またほかの人に、「わたしに従ってきなさい」と言われた。するとその人が言った、「まず、父を葬りに行かせてください」。 (J)

ルカの福音書 9:60 彼に言われた、「その死人を葬ることは、死人に任せておくがよい。あなたは、出て行って神の国を告げひろめなさい」。 (J)

ルカの福音書 9:61 またほかの人が言った、「主よ、従ってまいりますが、まず家の者に別れを言いに行かせてください」。 (J)

ルカの福音書 9:62 イエスは言われた、「手をすきにかけてから、うしろを見る者は、神の国にふさわしくないものである」。 (J)

ルカの福音書 10:1 その後、主は別に七十二人を選び、行こうとしておられたすべての町や村へ、ふたりずつ先におつかわしになった。 (J)

ルカの福音書 10:2 そのとき、彼らに言われた、「収穫は多いが、働き人が少ない。だから、収穫の主に願って、その収穫のために働き人を送り出すようにしてもらいなさい。 (J)

ルカの福音書 10:3 さあ、行きなさい。わたしがあなたがたをつかわすのは、小羊をおおかみの中に送るようなものである。 (J)

ルカの福音書 10:4 財布も袋もくつも持って行くな。だれにも道であいさつするな。 (J)

ルカの福音書 10:5 どこかの家にはいったら、まず『平安がこの家にあるように』と言いなさい。 (J)

ルカの福音書 10:6 もし平安の子がそこにおれば、あなたがたの祈る平安はその人の上にとどまるであろう。もしそうでなかったら、それはあなたがたの上に帰って来るであろう。 (J)

ルカの福音書 10:7 それで、その同じ家に留まっていて、家の人が出してくれるものを飲み食いしなさい。働き人がその報いを得るのは当然である。家から家へと渡り歩くな。 (J)

ルカの福音書 10:8 どの町へはいっても、人々があなたがたを迎えてくれるなら、前に出されるものを食べなさい。 (J)

ルカの福音書 10:9 そして、その町にいる病人をいやしてやり、『神の国はあなたがたに近づいた』と言いなさい。 (J)

ルカの福音書 10:10 しかし、どの町へはいっても、人々があなたがたを迎えない場合には、大通りに出て行って言いなさい、 (J)

ルカの福音書 10:11 『わたしたちの足についているこの町のちりも、ぬぐい捨てて行く。しかし、神の国が近づいたことは、承知しているがよい』。 (J)

ルカの福音書 10:12 あなたがたに言っておく。その日には、この町よりもソドムの方が耐えやすいであろう。 (J)

ルカの福音書 10:13 わざわいだ、コラジンよ。わざわいだ、ベツサイダよ。おまえたちの中でなされた力あるわざが、もしツロとシドンでなされたなら、彼らはとうの昔に、荒布をまとい灰の中にすわって、悔い改めたであろう。 (J)

ルカの福音書 10:14 しかし、さばきの日には、ツロとシドンの方がおまえたちよりも、耐えやすいであろう。 (J)

ルカの福音書 10:15 ああ、カペナウムよ、おまえは天にまで上げられようとでもいうのか。黄泉にまで落されるであろう。 (J)

ルカの福音書 10:16 あなたがたに聞き従う者は、わたしに聞き従うのであり、あなたがたを拒む者は、わたしを拒むのである。そしてわたしを拒む者は、わたしをおつかわしになったかたを拒むのである」。 (J)

ルカの福音書 10:17 七十二人が喜んで帰ってきて言った、「主よ、あなたの名によっていたしますと、悪霊までがわたしたちに服従します」。 (J)

ルカの福音書 10:18 彼らに言われた、「わたしはサタンが電光のように天から落ちるのを見た。 (J)

ルカの福音書 10:19 わたしはあなたがたに、へびやさそりを踏みつけ、敵のあらゆる力に打ち勝つ権威を授けた。だから、あなたがたに害をおよぼす者はまったく無いであろう。 (J)

ルカの福音書 10:20 しかし、霊があなたがたに服従することを喜ぶな。むしろ、あなたがたの名が天にしるされていることを喜びなさい」。 (J)

ルカの福音書 10:21 そのとき、イエスは聖霊によって喜びあふれて言われた、「天地の主なる父よ。あなたをほめたたえます。これらの事を知恵のある者や賢い者に隠して、幼な子にあらわしてくださいました。父よ、これはまことに、みこころにかなった事でした。 (J)

ルカの福音書 10:22 すべての事は父からわたしに任せられています。そして、子がだれであるかは、父のほか知っている者はありません。また父がだれであるかは、子と、父をあらわそうとして子が選んだ者とのほか、だれも知っている者はいません」。 (J)

ルカの福音書 10:23 それから弟子たちの方に振りむいて、ひそかに言われた、「あなたがたが見ていることを見る目は、さいわいである。 (J)

ルカの福音書 10:24 あなたがたに言っておく。多くの預言者や王たちも、あなたがたの見ていることを見ようとしたが、見ることができず、あなたがたの聞いていることを聞こうとしたが、聞けなかったのである」。 (J)

ルカの福音書 10:25 するとそこへ、ある律法学者が現れ、イエスを試みようとして言った、「先生、何をしたら永遠の生命が受けられましょうか」。 (J)

ルカの福音書 10:26 彼に言われた、「律法にはなんと書いてあるか。あなたはどう読むか」。 (J)

ルカの福音書 10:27 彼は答えて言った、「『心をつくし、精神をつくし、力をつくし、思いをつくして、主なるあなたの神を愛せよ』。また、『自分を愛するように、あなたの隣り人を愛せよ』とあります」。 (J)

ルカの福音書 10:28 彼に言われた、「あなたの答は正しい。そのとおり行いなさい。そうすれば、いのちが得られる」。 (J)

ルカの福音書 10:29 すると彼は自分の立場を弁護しようと思って、イエスに言った、「では、わたしの隣り人とはだれのことですか」。 (J)

ルカの福音書 10:30 イエスが答えて言われた、「ある人がエルサレムからエリコに下って行く途中、強盗どもが彼を襲い、その着物をはぎ取り、傷を負わせ、半殺しにしたまま、逃げ去った。 (J)

ルカの福音書 10:31 するとたまたま、ひとりの祭司がその道を下ってきたが、この人を見ると、向こう側を通って行った。 (J)

ルカの福音書 10:32 同様に、レビ人もこの場所にさしかかってきたが、彼を見ると向こう側を通って行った。 (J)

ルカの福音書 10:33 ところが、あるサマリヤ人が旅をしてこの人のところを通りかかり、彼を見て気の毒に思い、 (J)

ルカの福音書 10:34 近寄ってきてその傷にオリブ油とぶどう酒とを注いでほうたいをしてやり、自分の家畜に乗せ、宿屋に連れて行って介抱した。 (J)

ルカの福音書 10:35 翌日、デナリ二つを取り出して宿屋の主人に手渡し、『この人を見てやってください。費用がよけいにかかったら、帰りがけに、わたしが支払います』と言った。 (J)

ルカの福音書 10:36 この三人のうち、だれが強盗に襲われた人の隣り人になったと思うか」。 (J)

ルカの福音書 10:37 彼が言った、「その人に慈悲深い行いをした人です」。そこでイエスは言われた、「あなたも行って同じようにしなさい」。 (J)

ルカの福音書 10:38 一同が旅を続けているうちに、イエスがある村へはいられた。するとマルタという名の女がイエスを家に迎え入れた。 (J)

ルカの福音書 10:39 この女にマリヤという妹がいたが、主の足もとにすわって、御言に聞き入っていた。 (J)

ルカの福音書 10:40 ところが、マルタは接待のことで忙がしくて心をとりみだし、イエスのところにきて言った、「主よ、妹がわたしだけに接待をさせているのを、なんともお思いになりませんか。わたしの手伝いをするように妹におっしゃってください」。 (J)

ルカの福音書 10:41 主は答えて言われた、「マルタよ、マルタよ、あなたは多くのことに心を配って思いわずらっている。 (J)

ルカの福音書 10:42 しかし、無くてならぬものは多くはない。いや、一つだけである。マリヤはその良い方を選んだのだ。そしてそれは、彼女から取り去ってはならないものである」。 (J)

ルカの福音書 11:1 また、イエスはある所で祈っておられたが、それが終ったとき、弟子のひとりが言った、「主よ、ヨハネがその弟子たちに教えたように、わたしたちにも祈ることを教えてください」。 (J)

ルカの福音書 11:2 そこで彼らに言われた、「祈るときには、こう言いなさい、『父よ、御名があがめられますように。御国がきますように。 (J)

ルカの福音書 11:3 わたしたちの日ごとの食物を、日々お与えください。 (J)

ルカの福音書 11:4 わたしたちに負債のある者を皆ゆるしますから、わたしたちの罪をもおゆるしください。わたしたちを試みに会わせないでください』」。 (J)

ルカの福音書 11:5 そして彼らに言われた、「あなたがたのうちのだれかに、友人があるとして、その人のところへ真夜中に行き、『友よ、パンを三つ貸してください。 (J)

ルカの福音書 11:6 友だちが旅先からわたしのところに着いたのですが、何も出すものがありませんから』と言った場合、 (J)

ルカの福音書 11:7 彼は内から、『面倒をかけないでくれ。もう戸は締めてしまったし、子供たちもわたしと一緒に床にはいっているので、いま起きて何もあげるわけにはいかない』と言うであろう。 (J)

ルカの福音書 11:8 しかし、よく聞きなさい、友人だからというのでは起きて与えないが、しきりに願うので、起き上がって必要なものを出してくれるであろう。 (J)

ルカの福音書 11:9 そこでわたしはあなたがたに言う。求めよ、そうすれば、与えられるであろう。捜せ、そうすれば見いだすであろう。門をたたけ、そうすれば、あけてもらえるであろう。 (J)

ルカの福音書 11:10 すべて求める者は得、捜す者は見いだし、門をたたく者はあけてもらえるからである。 (J)

ルカの福音書 11:11 あなたがたのうちで、父であるものは、その子が魚を求めるのに、魚の代りにへびを与えるだろうか。 (J)

ルカの福音書 11:12 卵を求めるのに、さそりを与えるだろうか。 (J)

ルカの福音書 11:13 このように、あなたがたは悪い者であっても、自分の子供には、良い贈り物をすることを知っているとすれば、天の父はなおさら、求めて来る者に聖霊を下さらないことがあろうか」。 (J)

ルカの福音書 11:14 さて、イエスが悪霊を追い出しておられた。それは、おしの霊であった。悪霊が出て行くと、おしが物を言うようになったので、群衆は不思議に思った。 (J)

ルカの福音書 11:15 その中のある人々が、「彼は悪霊のかしらベルゼブルによって、悪霊どもを追い出しているのだ」と言い、 (J)

ルカの福音書 11:16 またほかの人々は、イエスを試みようとして、天からのしるしを求めた。 (J)

ルカの福音書 11:17 しかしイエスは、彼らの思いを見抜いて言われた、「おおよそ国が内部で分裂すれば自滅してしまい、また家が分れ争えば倒れてしまう。 (J)

ルカの福音書 11:18 そこでサタンも内部で分裂すれば、その国はどうして立ち行けよう。あなたがたはわたしがベルゼブルによって悪霊を追い出していると言うが、 (J)

ルカの福音書 11:19 もしわたしがベルゼブルによって悪霊を追い出すとすれば、あなたがたの仲間はだれによって追い出すのであろうか。だから、彼らがあなたがたをさばく者となるであろう。 (J)

ルカの福音書 11:20 しかし、わたしが神の指によって悪霊を追い出しているのなら、神の国はすでにあなたがたのところにきたのである。 (J)

ルカの福音書 11:21 強い人が十分に武装して自分の邸宅を守っている限り、その持ち物は安全である。 (J)

ルカの福音書 11:22 しかし、もっと強い者が襲ってきて彼に打ち勝てば、その頼みにしていた武具を奪って、その分捕品を分けるのである。 (J)

ルカの福音書 11:23 わたしの味方でない者は、わたしに反対するものであり、わたしと共に集めない者は、散らすものである。 (J)

ルカの福音書 11:24 汚れた霊が人から出ると、休み場を求めて水の無い所を歩きまわるが、見つからないので、出てきた元の家に帰ろうと言って、 (J)

ルカの福音書 11:25 帰って見ると、その家はそうじがしてある上、飾りつけがしてあった。 (J)

ルカの福音書 11:26 そこでまた出て行って、自分以上に悪い他の七つの霊を引き連れてきて中にはいり、そこに住み込む。そうすると、その人の後の状態は初めよりももっと悪くなるのである」。 (J)

ルカの福音書 11:27 イエスがこう話しておられるとき、群衆の中からひとりの女が声を張りあげて言った、「あなたを宿した胎、あなたが吸われた乳房は、なんとめぐまれていることでしょう」。 (J)

ルカの福音書 11:28 しかしイエスは言われた、「いや、めぐまれているのは、むしろ、神の言を聞いてそれを守る人たちである」。 (J)

ルカの福音書 11:29 さて群衆が群がり集まったので、イエスは語り出された、「この時代は邪悪な時代である。それはしるしを求めるが、ヨナのしるしのほかには、なんのしるしも与えられないであろう。 (J)

ルカの福音書 11:30 というのは、ニネベの人々に対してヨナがしるしとなったように、人の子もこの時代に対してしるしとなるであろう。 (J)

ルカの福音書 11:31 南の女王が、今の時代の人々と共にさばきの場に立って、彼らを罪に定めるであろう。なぜなら、彼女はソロモンの知恵を聞くために、地の果からはるばるきたからである。しかし見よ、ソロモンにまさる者がここにいる。 (J)

ルカの福音書 11:32 ニネベの人々が、今の時代の人々と共にさばきの場に立って、彼らを罪に定めるであろう。なぜなら、ニネベの人々はヨナの宣教によって悔い改めたからである。しかし見よ、ヨナにまさる者がここにいる。 (J)

ルカの福音書 11:33 だれもあかりをともして、それを穴倉の中や枡の下に置くことはしない。むしろはいって来る人たちに、そのあかりが見えるように、燭台の上におく。 (J)

ルカの福音書 11:34 あなたの目は、からだのあかりである。あなたの目が澄んでおれば、全身も明るいが、目がわるければ、からだも暗い。 (J)

ルカの福音書 11:35 だから、あなたの内なる光が暗くならないように注意しなさい。 (J)

ルカの福音書 11:36 もし、あなたのからだ全体が明るくて、暗い部分が少しもなければ、ちょうど、あかりが輝いてあなたを照す時のように、全身が明るくなるであろう」。 (J)

ルカの福音書 11:37 イエスが語っておられた時、あるパリサイ人が、自分の家で食事をしていただきたいと申し出たので、はいって食卓につかれた。 (J)

ルカの福音書 11:38 ところが、食前にまず洗うことをなさらなかったのを見て、そのパリサイ人が不思議に思った。 (J)

ルカの福音書 11:39 そこで主は彼に言われた、「いったい、あなたがたパリサイ人は、杯や盆の外側をきよめるが、あなたがたの内側は貪欲と邪悪とで満ちている。 (J)

ルカの福音書 11:40 愚かな者たちよ、外側を造ったかたは、また内側も造られたではないか。 (J)

ルカの福音書 11:41 ただ、内側にあるものをきよめなさい。そうすれば、いっさいがあなたがたにとって、清いものとなる。 (J)

ルカの福音書 11:42 しかし、あなた方パリサイ人は、わざわいである。はっか、うん香、あらゆる野菜などの十分の一を宮に納めておりながら、義と神に対する愛とをなおざりにしている。それもなおざりにはできないが、これは行わねばならない。 (J)

ルカの福音書 11:43 あなたがたパリサイ人は、わざわいである。会堂の上席や広場での敬礼を好んでいる。 (J)

ルカの福音書 11:44 あなたがたは、わざわいである。人目につかない墓のようなものである。その上を歩いても人々は気づかないでいる」。 (J)

ルカの福音書 11:45 ひとりの律法学者がイエスに答えて言った、「先生、そんなことを言われるのは、わたしたちまでも侮辱することです」。 (J)

ルカの福音書 11:46 そこで言われた、「あなたがた律法学者も、わざわいである。負い切れない重荷を人に負わせながら、自分ではその荷に指一本でも触れようとしない。 (J)

ルカの福音書 11:47 あなたがたは、わざわいである。預言者たちの碑を建てるが、しかし彼らを殺したのは、あなたがたの先祖であったのだ。 (J)

ルカの福音書 11:48 だから、あなたがたは、自分の先祖のしわざに同意する証人なのだ。先祖が彼らを殺し、あなたがたがその碑を建てるのだから。 (J)

ルカの福音書 11:49 それゆえに、『神の知恵』も言っている、『わたしは預言者と使徒とを彼らにつかわすが、彼らはそのうちのある者を殺したり、迫害したりするであろう』。 (J)

ルカの福音書 11:50 それで、アベルの血から祭壇と神殿との間で殺されたザカリヤの血に至るまで、世の初めから流されてきたすべての預言者の血について、この時代がその責任を問われる。 (J)

ルカの福音書 11:51 そうだ、あなたがたに言っておく、この時代がその責任を問われるであろう。 (J)

ルカの福音書 11:52 あなたがた律法学者は、わざわいである。知識のかぎを取りあげて、自分がはいらないばかりか、はいろうとする人たちを妨げてきた」。 (J)

ルカの福音書 11:53 イエスがそこを出て行かれると、律法学者やパリサイ人は、激しく詰め寄り、いろいろな事を問いかけて、 (J)

ルカの福音書 11:54 イエスの口から何か言いがかりを得ようと、ねらいはじめた。 (J)

ルカの福音書 12:1 その間に、おびただしい群衆が、互に踏み合うほどに群がってきたが、イエスはまず弟子たちに語りはじめられた、「パリサイ人のパン種、すなわち彼らの偽善に気をつけなさい。 (J)

ルカの福音書 12:2 おおいかぶされたもので、現れてこないものはなく、隠れているもので、知られてこないものはない。 (J)

ルカの福音書 12:3 だから、あなたがたが暗やみで言ったことは、なんでもみな明るみで聞かれ、密室で耳にささやいたことは、屋根の上で言いひろめられるであろう。 (J)

ルカの福音書 12:4 そこでわたしの友であるあなたがたに言うが、からだを殺しても、そのあとでそれ以上なにもできない者どもを恐れるな。 (J)

ルカの福音書 12:5 恐るべき者がだれであるか、教えてあげよう。殺したあとで、更に地獄に投げ込む権威のあるかたを恐れなさい。そうだ、あなたがたに言っておくが、そのかたを恐れなさい。 (J)

ルカの福音書 12:6 五羽のすずめは二アサリオンで売られているではないか。しかも、その一羽も神のみまえで忘れられてはいない。 (J)

ルカの福音書 12:7 その上、あなたがたの頭の毛までも、みな数えられている。恐れることはない。あなたがたは多くのすずめよりも、まさった者である。 (J)

ルカの福音書 12:8 そこで、あなたがたに言う。だれでも人の前でわたしを受けいれる者を、人の子も神の使たちの前で受けいれるであろう。 (J)

ルカの福音書 12:9 しかし、人の前でわたしを拒む者は、神の使たちの前で拒まれるであろう。 (J)

ルカの福音書 12:10 また、人の子に言い逆らう者はゆるされるであろうが、聖霊をけがす者は、ゆるされることはない。 (J)

ルカの福音書 12:11 あなたがたが会堂や役人や高官の前へひっぱられて行った場合には、何をどう弁明しようか、何を言おうかと心配しないがよい。 (J)

ルカの福音書 12:12 言うべきことは、聖霊がその時に教えてくださるからである」。 (J)

ルカの福音書 12:13 群衆の中のひとりがイエスに言った、「先生、わたしの兄弟に、遺産を分けてくれるようにおっしゃってください」。 (J)

ルカの福音書 12:14 彼に言われた、「人よ、だれがわたしをあなたがたの裁判人または分配人に立てたのか」。 (J)

ルカの福音書 12:15 それから人々にむかって言われた、「あらゆる貪欲に対してよくよく警戒しなさい。たといたくさんの物を持っていても、人のいのちは、持ち物にはよらないのである」。 (J)

ルカの福音書 12:16 そこで一つの譬を語られた、「ある金持の畑が豊作であった。 (J)

ルカの福音書 12:17 そこで彼は心の中で、『どうしようか、わたしの作物をしまっておく所がないのだが』と思いめぐらして (J)

ルカの福音書 12:18 言った、『こうしよう。わたしの倉を取りこわし、もっと大きいのを建てて、そこに穀物や食糧を全部しまい込もう。 (J)

ルカの福音書 12:19 そして自分の魂に言おう。たましいよ、おまえには長年分の食糧がたくさんたくわえてある。さあ安心せよ、食え、飲め、楽しめ』。 (J)

ルカの福音書 12:20 すると神が彼に言われた、『愚かな者よ、あなたの魂は今夜のうちにも取り去られるであろう。そしたら、あなたが用意した物は、だれのものになるのか』。 (J)

ルカの福音書 12:21 自分のために宝を積んで神に対して富まない者は、これと同じである」。 (J)

ルカの福音書 12:22 それから弟子たちに言われた、「それだから、あなたがたに言っておく。何を食べようかと、命のことで思いわずらい、何を着ようかとからだのことで思いわずらうな。 (J)

ルカの福音書 12:23 命は食物にまさり、からだは着物にまさっている。 (J)

ルカの福音書 12:24 からすのことを考えて見よ。まくことも、刈ることもせず、また、納屋もなく倉もない。それだのに、神は彼らを養っていて下さる。あなたがたは鳥よりも、はるかにすぐれているではないか。 (J)

ルカの福音書 12:25 あなたがたのうち、だれが思いわずらったからとて、自分の寿命をわずかでも延ばすことができようか。 (J)

ルカの福音書 12:26 そんな小さな事さえできないのに、どうしてほかのことを思いわずらうのか。 (J)

ルカの福音書 12:27 野の花のことを考えて見るがよい。紡ぎもせず、織りもしない。しかし、あなたがたに言うが、栄華をきわめた時のソロモンでさえ、この花の一つほどにも着飾ってはいなかった。 (J)

ルカの福音書 12:28 きょうは野にあって、あすは炉に投げ入れられる草でさえ、神はこのように装って下さるのなら、あなたがたに、それ以上よくしてくださらないはずがあろうか。ああ、信仰の薄い者たちよ。 (J)

ルカの福音書 12:29 あなたがたも、何を食べ、何を飲もうかと、あくせくするな、また気を使うな。 (J)

ルカの福音書 12:30 これらのものは皆、この世の異邦人が切に求めているものである。あなたがたの父は、これらのものがあなたがたに必要であることを、ご存じである。 (J)

ルカの福音書 12:31 ただ、御国を求めなさい。そうすれば、これらのものは添えて与えられるであろう。 (J)

ルカの福音書 12:32 恐れるな、小さい群れよ。御国を下さることは、あなたがたの父のみこころなのである。 (J)

ルカの福音書 12:33 自分の持ち物を売って、施しなさい。自分のために古びることのない財布をつくり、盗人も近寄らず、虫も食い破らない天に、尽きることのない宝をたくわえなさい。 (J)

ルカの福音書 12:34 あなたがたの宝のある所には、心もあるからである。 (J)

ルカの福音書 12:35 腰に帯をしめ、あかりをともしていなさい。 (J)

ルカの福音書 12:36 主人が婚宴から帰ってきて戸をたたくとき、すぐあけてあげようと待っている人のようにしていなさい。 (J)

ルカの福音書 12:37 主人が帰ってきたとき、目を覚しているのを見られる僕たちは、さいわいである。よく言っておく。主人が帯をしめて僕たちを食卓につかせ、進み寄って給仕をしてくれるであろう。 (J)

ルカの福音書 12:38 主人が夜中ごろ、あるいは夜明けごろに帰ってきても、そうしているのを見られるなら、その人たちはさいわいである。 (J)

ルカの福音書 12:39 このことを、わきまえているがよい。家の主人は、盗賊がいつごろ来るかわかっているなら、自分の家に押し入らせはしないであろう。 (J)

ルカの福音書 12:40 あなたがたも用意していなさい。思いがけない時に人の子が来るからである」。 (J)

ルカの福音書 12:41 するとペテロが言った、「主よ、この譬を話しておられるのはわたしたちのためなのですか。それとも、みんなの者のためなのですか」。 (J)

ルカの福音書 12:42 そこで主が言われた、「主人が、召使たちの上に立てて、時に応じて定めの食事をそなえさせる忠実な思慮深い家令は、いったいだれであろう。 (J)

ルカの福音書 12:43 主人が帰ってきたとき、そのようにつとめているのを見られる僕は、さいわいである。 (J)

ルカの福音書 12:44 よく言っておくが、主人はその僕を立てて自分の全財産を管理させるであろう。 (J)

ルカの福音書 12:45 しかし、もしその僕が、主人の帰りがおそいと心の中で思い、男女の召使たちを打ちたたき、そして食べたり、飲んだりして酔いはじめるならば、 (J)

ルカの福音書 12:46 その僕の主人は思いがけない日、気がつかない時に帰って来るであろう。そして、彼を厳罰に処して、不忠実なものたちと同じ目にあわせるであろう。 (J)

ルカの福音書 12:47 主人のこころを知っていながら、それに従って用意もせず勤めもしなかった僕は、多くむち打たれるであろう。 (J)

ルカの福音書 12:48 しかし、知らずに打たれるようなことをした者は、打たれ方が少ないだろう。多く与えられた者からは多く求められ、多く任せられた者からは更に多く要求されるのである。 (J)

ルカの福音書 12:49 わたしは、火を地上に投じるためにきたのだ。火がすでに燃えていたならと、わたしはどんなに願っていることか。 (J)

ルカの福音書 12:50 しかし、わたしには受けねばならないバプテスマがある。そして、それを受けてしまうまでは、わたしはどんなにか苦しい思いをすることであろう。 (J)

ルカの福音書 12:51 あなたがたは、わたしが平和をこの地上にもたらすためにきたと思っているのか。あなたがたに言っておく。そうではない。むしろ分裂である。 (J)

ルカの福音書 12:52 というのは、今から後は、一家の内で五人が相分れて、三人はふたりに、ふたりは三人に対立し、 (J)

ルカの福音書 12:53 また父は子に、子は父に、母は娘に、娘は母に、しゅうとめは嫁に、嫁はしゅうとめに、対立するであろう」。 (J)

ルカの福音書 12:54 イエスはまた群衆に対しても言われた、「あなたがたは、雲が西に起るのを見るとすぐ、にわか雨がやって来る、と言う。果してそのとおりになる。 (J)

ルカの福音書 12:55 それから南風が吹くと、暑つくなるだろう、と言う。果してそのとおりになる。 (J)

ルカの福音書 12:56 偽善者よ、あなたがたは天地の模様を見分けることを知りながら、どうして今の時代を見分けることができないのか。 (J)

ルカの福音書 12:57 また、あなたがたは、なぜ正しいことを自分で判断しないのか。 (J)

ルカの福音書 12:58 たとえば、あなたを訴える人と一緒に役人のところへ行くときには、途中でその人と和解するように努めるがよい。そうしないと、その人はあなたを裁判官のところへひっぱって行き、裁判官はあなたを獄吏に引き渡し、獄吏はあなたを獄に投げ込むであろう。 (J)

ルカの福音書 12:59 わたしは言って置く、最後の一レプタまでも支払ってしまうまでは、決してそこから出て来ることはできない」。 (J)

ルカの福音書 13:1 ちょうどその時、ある人々がきて、ピラトがガリラヤ人たちの血を流し、それを彼らの犠牲の血に混ぜたことを、イエスに知らせた。 (J)

ルカの福音書 13:2 そこでイエスは答えて言われた、「それらのガリラヤ人が、そのような災難にあったからといって、他のすべてのガリラヤ人以上に罪が深かったと思うのか。 (J)

ルカの福音書 13:3 あなたがたに言うが、そうではない。あなたがたも悔い改めなければ、みな同じように滅びるであろう。 (J)

ルカの福音書 13:4 また、シロアムの塔が倒れたためにおし殺されたあの十八人は、エルサレムの他の全住民以上に罪の負債があったと思うか。 (J)

ルカの福音書 13:5 あなたがたに言うが、そうではない。あなたがたも悔い改めなければ、みな同じように滅びるであろう」。 (J)

ルカの福音書 13:6 それから、この譬を語られた、「ある人が自分のぶどう園にいちじくの木を植えて置いたので、実を捜しにきたが見つからなかった。 (J)

ルカの福音書 13:7 そこで園丁に言った、『わたしは三年間も実を求めて、このいちじくの木のところにきたのだが、いまだに見あたらない。その木を切り倒してしまえ。なんのために、土地をむだにふさがせて置くのか』。 (J)

ルカの福音書 13:8 すると園丁は答えて言った、『ご主人様、ことしも、そのままにして置いてください。そのまわりを掘って肥料をやって見ますから。 (J)

ルカの福音書 13:9 それで来年実がなりましたら結構です。もしそれでもだめでしたら、切り倒してください』」。 (J)

ルカの福音書 13:10 安息日に、ある会堂で教えておられると、 (J)

ルカの福音書 13:11 そこに十八年間も病気の霊につかれ、かがんだままで、からだを伸ばすことの全くできない女がいた。 (J)

ルカの福音書 13:12 イエスはこの女を見て、呼びよせ、「女よ、あなたの病気はなおった」と言って、 (J)

ルカの福音書 13:13 手をその上に置かれた。すると立ちどころに、そのからだがまっすぐになり、そして神をたたえはじめた。 (J)

ルカの福音書 13:14 ところが会堂司は、イエスが安息日に病気をいやされたことを憤り、群衆にむかって言った、「働くべき日は六日ある。その間に、なおしてもらいにきなさい。安息日にはいけない」。 (J)

ルカの福音書 13:15 主はこれに答えて言われた、「偽善者たちよ、あなたがたはだれでも、安息日であっても、自分の牛やろばを家畜小屋から解いて、水を飲ませに引き出してやるではないか。 (J)

ルカの福音書 13:16 それなら、十八年間もサタンに縛られていた、アブラハムの娘であるこの女を、安息日であっても、その束縛から解いてやるべきではなかったか」。 (J)

ルカの福音書 13:17 こう言われたので、イエスに反対していた人たちはみな恥じ入った。そして群衆はこぞって、イエスがなされたすべてのすばらしいみわざを見て喜んだ。 (J)

ルカの福音書 13:18 そこで言われた、「神の国は何に似ているか。またそれを何にたとえようか。 (J)

ルカの福音書 13:19 一粒のからし種のようなものである。ある人がそれを取って庭にまくと、育って木となり、空の鳥もその枝に宿るようになる」。 (J)

ルカの福音書 13:20 また言われた、「神の国を何にたとえようか。 (J)

ルカの福音書 13:21 パン種のようなものである。女がそれを取って三斗の粉の中に混ぜると、全体がふくらんでくる」。 (J)

ルカの福音書 13:22 さてイエスは教えながら町々村々を通り過ぎ、エルサレムへと旅を続けられた。 (J)

ルカの福音書 13:23 すると、ある人がイエスに、「主よ、救われる人は少ないのですか」と尋ねた。 (J)

ルカの福音書 13:24 そこでイエスは人々にむかって言われた、「狭い戸口からはいるように努めなさい。事実、はいろうとしても、はいれない人が多いのだから。 (J)

ルカの福音書 13:25 家の主人が立って戸を閉じてしまってから、あなたがたが外に立ち戸をたたき始めて、『ご主人様、どうぞあけてください』と言っても、主人はそれに答えて、『あなたがたがどこからきた人なのか、わたしは知らない』と言うであろう。 (J)

ルカの福音書 13:26 そのとき、『わたしたちはあなたとご一緒に飲み食いしました。また、あなたはわたしたちの大通りで教えてくださいました』と言い出しても、 (J)

ルカの福音書 13:27 彼は、『あなたがたがどこからきた人なのか、わたしは知らない。悪事を働く者どもよ、みんな行ってしまえ』と言うであろう。 (J)

ルカの福音書 13:28 あなたがたは、アブラハム、イサク、ヤコブやすべての預言者たちが、神の国にはいっているのに、自分たちは外に投げ出されることになれば、そこで泣き叫んだり、歯がみをしたりするであろう。 (J)

ルカの福音書 13:29 それから人々が、東から西から、また南から北からきて、神の国で宴会の席につくであろう。 (J)

ルカの福音書 13:30 こうしてあとのもので先になるものがあり、また、先のものであとになるものもある」。 (J)

ルカの福音書 13:31 ちょうどその時、あるパリサイ人たちが、イエスに近寄ってきて言った、「ここから出て行きなさい。ヘロデがあなたを殺そうとしています」。 (J)

ルカの福音書 13:32 そこで彼らに言われた、「あのきつねのところへ行ってこう言え、『見よ、わたしはきょうもあすも悪霊を追い出し、また、病気をいやし、そして三日目にわざを終えるであろう。 (J)

ルカの福音書 13:33 しかし、きょうもあすも、またその次の日も、わたしは進んで行かねばならない。預言者がエルサレム以外の地で死ぬことは、あり得ないからである』。 (J)

ルカの福音書 13:34 ああ、エルサレム、エルサレム、預言者たちを殺し、おまえにつかわされた人々を石で打ち殺す者よ。ちょうどめんどりが翼の下にひなを集めるように、わたしはおまえの子らを幾たび集めようとしたことであろう。それだのに、おまえたちは応じようとしなかった。 (J)

ルカの福音書 13:35 見よ、おまえたちの家は見捨てられてしまう。わたしは言って置く、 『主の名によってきたるものに、祝福あれ』 とおまえたちが言う時の来るまでは、再びわたしに会うことはないであろう」。 (J)

ルカの福音書 14:1 ある安息日のこと、食事をするために、あるパリサイ派のかしらの家にはいって行かれたが、人々はイエスの様子をうかがっていた。 (J)

ルカの福音書 14:2 するとそこに、水腫をわずらっている人が、みまえにいた。 (J)

ルカの福音書 14:3 イエスは律法学者やパリサイ人たちにむかって言われた、「安息日に人をいやすのは、正しいことかどうか」。 (J)

ルカの福音書 14:4 彼らは黙っていた。そこでイエスはその人に手を置いていやしてやり、そしてお帰しになった。 (J)

ルカの福音書 14:5 それから彼らに言われた、「あなたがたのうちで、自分のむすこか牛が井戸に落ち込んだなら、安息日だからといって、すぐに引き上げてやらない者がいるだろうか」。 (J)

ルカの福音書 14:6 彼らはこれに対して返す言葉がなかった。 (J)

ルカの福音書 14:7 客に招かれた者たちが上座を選んでいる様子をごらんになって、彼らに一つの譬を語られた。 (J)

ルカの福音書 14:8 「婚宴に招かれたときには、上座につくな。あるいは、あなたよりも身分の高い人が招かれているかも知れない。 (J)

ルカの福音書 14:9 その場合、あなたとその人とを招いた者がきて、『このかたに座を譲ってください』と言うであろう。そのとき、あなたは恥じ入って末座につくことになるであろう。 (J)

ルカの福音書 14:10 むしろ、招かれた場合には、末座に行ってすわりなさい。そうすれば、招いてくれた人がきて、『友よ、上座の方へお進みください』と言うであろう。そのとき、あなたは席を共にするみんなの前で、面目をほどこすことになるであろう。 (J)

ルカの福音書 14:11 おおよそ、自分を高くする者は低くされ、自分を低くする者は高くされるであろう」。 (J)

ルカの福音書 14:12 また、イエスは自分を招いた人に言われた、「午餐または晩餐の席を設ける場合には、友人、兄弟、親族、金持の隣り人などは呼ばぬがよい。恐らく彼らもあなたを招きかえし、それであなたは返礼を受けることになるから。 (J)

ルカの福音書 14:13 むしろ、宴会を催す場合には、貧乏人、不具者、足なえ、盲人などを招くがよい。 (J)

ルカの福音書 14:14 そうすれば、彼らは返礼ができないから、あなたはさいわいになるであろう。正しい人々の復活の際には、あなたは報いられるであろう」。 (J)

ルカの福音書 14:15 列席者のひとりがこれを聞いてイエスに「神の国で食事をする人は、さいわいです」と言った。 (J)

ルカの福音書 14:16 そこでイエスが言われた、「ある人が盛大な晩餐会を催して、大ぜいの人を招いた。 (J)

ルカの福音書 14:17 晩餐の時刻になったので、招いておいた人たちのもとに僕を送って、『さあ、おいでください。もう準備ができましたから』と言わせた。 (J)

ルカの福音書 14:18 ところが、みんな一様に断りはじめた。最初の人は、『わたしは土地を買いましたので、行って見なければなりません。どうぞ、おゆるしください』と言った。 (J)

ルカの福音書 14:19 ほかの人は、『わたしは五対の牛を買いましたので、それをしらべに行くところです。どうぞ、おゆるしください』、 (J)

ルカの福音書 14:20 もうひとりの人は、『わたしは妻をめとりましたので、参ることができません』と言った。 (J)

ルカの福音書 14:21 僕は帰ってきて、以上の事を主人に報告した。すると家の主人はおこって僕に言った、『いますぐに、町の大通りや小道へ行って、貧乏人、不具者、盲人、足なえなどを、ここへ連れてきなさい』。 (J)

ルカの福音書 14:22 僕は言った、『ご主人様、仰せのとおりにいたしましたが、まだ席がございます』。 (J)

ルカの福音書 14:23 主人が僕に言った、『道やかきねのあたりに出て行って、この家がいっぱいになるように、人々を無理やりにひっぱってきなさい。 (J)

ルカの福音書 14:24 あなたがたに言って置くが、招かれた人で、わたしの晩餐にあずかる者はひとりもないであろう』」。 (J)

ルカの福音書 14:25 大ぜいの群衆がついてきたので、イエスは彼らの方に向いて言われた、 (J)

ルカの福音書 14:26 「だれでも、父、母、妻、子、兄弟、姉妹、さらに自分の命までも捨てて、わたしのもとに来るのでなければ、わたしの弟子となることはできない。 (J)

ルカの福音書 14:27 自分の十字架を負うてわたしについて来るものでなければ、わたしの弟子となることはできない。 (J)

ルカの福音書 14:28 あなたがたのうちで、だれかが邸宅を建てようと思うなら、それを仕上げるのに足りるだけの金を持っているかどうかを見るため、まず、すわってその費用を計算しないだろうか。 (J)

ルカの福音書 14:29 そうしないと、土台をすえただけで完成することができず、見ているみんなの人が、 (J)

ルカの福音書 14:30 『あの人は建てかけたが、仕上げができなかった』と言ってあざ笑うようになろう。 (J)

ルカの福音書 14:31 また、どんな王でも、ほかの王と戦いを交えるために出て行く場合には、まず座して、こちらの一万人をもって、二万人を率いて向かって来る敵に対抗できるかどうか、考えて見ないだろうか。 (J)

ルカの福音書 14:32 もし自分の力にあまれば、敵がまだ遠くにいるうちに、使者を送って、和を求めるであろう。 (J)

ルカの福音書 14:33 それと同じように、あなたがたのうちで、自分の財産をことごとく捨て切るものでなくては、わたしの弟子となることはできない。 (J)

ルカの福音書 14:34 塩は良いものだ。しかし、塩もききめがなくなったら、何によって塩味が取りもどされようか。 (J)

ルカの福音書 14:35 土にも肥料にも役立たず、外に投げ捨てられてしまう。聞く耳のあるものは聞くがよい」。 (J)

ルカの福音書 15:1 さて、取税人や罪人たちが皆、イエスの話を聞こうとして近寄ってきた。 (J)

ルカの福音書 15:2 するとパリサイ人や律法学者たちがつぶやいて、「この人は罪人たちを迎えて一緒に食事をしている」と言った。 (J)

ルカの福音書 15:3 そこでイエスは彼らに、この譬をお話しになった、 (J)

ルカの福音書 15:4 「あなたがたのうちに、百匹の羊を持っている者がいたとする。その一匹がいなくなったら、九十九匹を野原に残しておいて、いなくなった一匹を見つけるまでは捜し歩かないであろうか。 (J)

ルカの福音書 15:5 そして見つけたら、喜んでそれを自分の肩に乗せ、 (J)

ルカの福音書 15:6 家に帰ってきて友人や隣り人を呼び集め、『わたしと一緒に喜んでください。いなくなった羊を見つけましたから』と言うであろう。 (J)

ルカの福音書 15:7 よく聞きなさい。それと同じように、罪人がひとりでも悔い改めるなら、悔改めを必要としない九十九人の正しい人のためにもまさる大きいよろこびが、天にあるであろう。 (J)

ルカの福音書 15:8 また、ある女が銀貨十枚を持っていて、もしその一枚をなくしたとすれば、彼女はあかりをつけて家中を掃き、それを見つけるまでは注意深く捜さないであろうか。 (J)

ルカの福音書 15:9 そして、見つけたなら、女友だちや近所の女たちを呼び集めて、『わたしと一緒に喜んでください。なくした銀貨が見つかりましたから』と言うであろう。 (J)

ルカの福音書 15:10 よく聞きなさい。それと同じように、罪人がひとりでも悔い改めるなら、神の御使たちの前でよろこびがあるであろう」。 (J)

ルカの福音書 15:11 また言われた、「ある人に、ふたりのむすこがあった。 (J)

ルカの福音書 15:12 ところが、弟が父親に言った、『父よ、あなたの財産のうちでわたしがいただく分をください』。そこで、父はその身代をふたりに分けてやった。 (J)

ルカの福音書 15:13 それから幾日もたたないうちに、弟は自分のものを全部とりまとめて遠い所へ行き、そこで放蕩に身を持ちくずして財産を使い果した。 (J)

ルカの福音書 15:14 何もかも浪費してしまったのち、その地方にひどいききんがあったので、彼は食べることにも窮しはじめた。 (J)

ルカの福音書 15:15 そこで、その地方のある住民のところに行って身を寄せたところが、その人は彼を畑にやって豚を飼わせた。 (J)

ルカの福音書 15:16 彼は、豚の食べるいなご豆で腹を満たしたいと思うほどであったが、何もくれる人はなかった。 (J)

ルカの福音書 15:17 そこで彼は本心に立ちかえって言った、『父のところには食物のあり余っている雇人が大ぜいいるのに、わたしはここで飢えて死のうとしている。 (J)

ルカの福音書 15:18 立って、父のところへ帰って、こう言おう、父よ、わたしは天に対しても、あなたにむかっても、罪を犯しました。 (J)

ルカの福音書 15:19 もう、あなたのむすこと呼ばれる資格はありません。どうぞ、雇人のひとり同様にしてください』。 (J)

ルカの福音書 15:20 そこで立って、父のところへ出かけた。まだ遠く離れていたのに、父は彼をみとめ、哀れに思って走り寄り、その首をだいて接吻した。 (J)

ルカの福音書 15:21 むすこは父に言った、『父よ、わたしは天に対しても、あなたにむかっても、罪を犯しました。もうあなたのむすこと呼ばれる資格はありません』。 (J)

ルカの福音書 15:22 しかし父は僕たちに言いつけた、『さあ、早く、最上の着物を出してきてこの子に着せ、指輪を手にはめ、はきものを足にはかせなさい。 (J)

ルカの福音書 15:23 また、肥えた子牛を引いてきてほふりなさい。食べて楽しもうではないか。 (J)

ルカの福音書 15:24 このむすこが死んでいたのに生き返り、いなくなっていたのに見つかったのだから』。それから祝宴がはじまった。 (J)

ルカの福音書 15:25 ところが、兄は畑にいたが、帰ってきて家に近づくと、音楽や踊りの音が聞えたので、 (J)

ルカの福音書 15:26 ひとりの僕を呼んで、『いったい、これは何事なのか』と尋ねた。 (J)

ルカの福音書 15:27 僕は答えた、『あなたのご兄弟がお帰りになりました。無事に迎えたというので、父上が肥えた子牛をほふらせなさったのです』。 (J)

ルカの福音書 15:28 兄はおこって家にはいろうとしなかったので、父が出てきてなだめると、 (J)

ルカの福音書 15:29 兄は父にむかって言った、『わたしは何か年もあなたに仕えて、一度でもあなたの言いつけにそむいたことはなかったのに、友だちと楽しむために子やぎ一匹も下さったことはありません。 (J)

ルカの福音書 15:30 それだのに、遊女どもと一緒になって、あなたの身代を食いつぶしたこのあなたの子が帰ってくると、そのために肥えた子牛をほふりなさいました』。 (J)

ルカの福音書 15:31 すると父は言った、『子よ、あなたはいつもわたしと一緒にいるし、またわたしのものは全部あなたのものだ。 (J)

ルカの福音書 15:32 しかし、このあなたの弟は、死んでいたのに生き返り、いなくなっていたのに見つかったのだから、喜び祝うのはあたりまえである』」。 (J)

ルカの福音書 16:1 イエスはまた、弟子たちに言われた、「ある金持のところにひとりの家令がいたが、彼は主人の財産を浪費していると、告げ口をする者があった。 (J)

ルカの福音書 16:2 そこで主人は彼を呼んで言った、『あなたについて聞いていることがあるが、あれはどうなのか。あなたの会計報告を出しなさい。もう家令をさせて置くわけにはいかないから』。 (J)

ルカの福音書 16:3 この家令は心の中で思った、『どうしようか。主人がわたしの職を取り上げようとしている。土を掘るには力がないし、物ごいするのは恥ずかしい。 (J)

ルカの福音書 16:4 そうだ、わかった。こうしておけば、職をやめさせられる場合、人々がわたしをその家に迎えてくれるだろう』。 (J)

ルカの福音書 16:5 それから彼は、主人の負債者をひとりびとり呼び出して、初めの人に、『あなたは、わたしの主人にどれだけ負債がありますか』と尋ねた。 (J)

ルカの福音書 16:6 『油百樽です』と答えた。そこで家令が言った、『ここにあなたの証書がある。すぐそこにすわって、五十樽と書き変えなさい』。 (J)

ルカの福音書 16:7 次に、もうひとりに、『あなたの負債はどれだけですか』と尋ねると、『麦百石です』と答えた。これに対して、『ここに、あなたの証書があるが、八十石と書き変えなさい』と言った。 (J)

ルカの福音書 16:8 ところが主人は、この不正な家令の利口なやり方をほめた。この世の子らはその時代に対しては、光の子らよりも利口である。 (J)

ルカの福音書 16:9 またあなたがたに言うが、不正の富を用いてでも、自分のために友だちをつくるがよい。そうすれば、富が無くなった場合、あなたがたを永遠のすまいに迎えてくれるであろう。 (J)

ルカの福音書 16:10 小事に忠実な人は、大事にも忠実である。そして、小事に不忠実な人は大事にも不忠実である。 (J)

ルカの福音書 16:11 だから、もしあなたがたが不正の富について忠実でなかったら、だれが真の富を任せるだろうか。 (J)

ルカの福音書 16:12 また、もしほかの人のものについて忠実でなかったら、だれがあなたがたのものを与えてくれようか。 (J)

ルカの福音書 16:13 どの僕でも、ふたりの主人に兼ね仕えることはできない。一方を憎んで他方を愛し、あるいは、一方に親しんで他方をうとんじるからである。あなたがたは、神と富とに兼ね仕えることはできない」。 (J)

ルカの福音書 16:14 欲の深いパリサイ人たちが、すべてこれらの言葉を聞いて、イエスをあざ笑った。 (J)

ルカの福音書 16:15 そこで彼らにむかって言われた、「あなたがたは、人々の前で自分を正しいとする人たちである。しかし、神はあなたがたの心をご存じである。人々の間で尊ばれるものは、神のみまえでは忌みきらわれる。 (J)

ルカの福音書 16:16 律法と預言者とはヨハネの時までのものである。それ以来、神の国が宣べ伝えられ、人々は皆これに突入している。 (J)

ルカの福音書 16:17 しかし、律法の一画が落ちるよりは、天地の滅びる方が、もっとたやすい。 (J)

ルカの福音書 16:18 すべて自分の妻を出して他の女をめとる者は、姦淫を行うものであり、また、夫から出された女をめとる者も、姦淫を行うものである。 (J)

ルカの福音書 16:19 ある金持がいた。彼は紫の衣や細布を着て、毎日ぜいたくに遊び暮していた。 (J)

ルカの福音書 16:20 ところが、ラザロという貧乏人が全身でき物でおおわれて、この金持の玄関の前にすわり、 (J)

ルカの福音書 16:21 その食卓から落ちるもので飢えをしのごうと望んでいた。その上、犬がきて彼のでき物をなめていた。 (J)

ルカの福音書 16:22 この貧乏人がついに死に、御使たちに連れられてアブラハムのふところに送られた。金持も死んで葬られた。 (J)

ルカの福音書 16:23 そして黄泉にいて苦しみながら、目をあげると、アブラハムとそのふところにいるラザロとが、はるかに見えた。 (J)

ルカの福音書 16:24 そこで声をあげて言った、『父、アブラハムよ、わたしをあわれんでください。ラザロをおつかわしになって、その指先を水でぬらし、わたしの舌を冷やさせてください。わたしはこの火炎の中で苦しみもだえています』。 (J)

ルカの福音書 16:25 アブラハムが言った、『子よ、思い出すがよい。あなたは生前よいものを受け、ラザロの方は悪いものを受けた。しかし今ここでは、彼は慰められ、あなたは苦しみもだえている。 (J)

ルカの福音書 16:26 そればかりか、わたしたちとあなたがたとの間には大きな淵がおいてあって、こちらからあなたがたの方へ渡ろうと思ってもできないし、そちらからわたしたちの方へ越えて来ることもできない』。 (J)

ルカの福音書 16:27 そこで金持が言った、『父よ、ではお願いします。わたしの父の家へラザロをつかわしてください。 (J)

ルカの福音書 16:28 わたしに五人の兄弟がいますので、こんな苦しい所へ来ることがないように、彼らに警告していただきたいのです』。 (J)

ルカの福音書 16:29 アブラハムは言った、『彼らにはモーセと預言者とがある。それに聞くがよかろう』。 (J)

ルカの福音書 16:30 金持が言った、『いえいえ、父アブラハムよ、もし死人の中からだれかが兄弟たちのところへ行ってくれましたら、彼らは悔い改めるでしょう』。 (J)

ルカの福音書 16:31 アブラハムは言った、『もし彼らがモーセと預言者とに耳を傾けないなら、死人の中からよみがえってくる者があっても、彼らはその勧めを聞き入れはしないであろう』」。 (J)

ルカの福音書 17:1 イエスは弟子たちに言われた、「罪の誘惑が来ることは避けられない。しかし、それをきたらせる者は、わざわいである。 (J)

ルカの福音書 17:2 これらの小さい者のひとりを罪に誘惑するよりは、むしろ、ひきうすを首にかけられて海に投げ入れられた方が、ましである。 (J)

ルカの福音書 17:3 あなたがたは、自分で注意していなさい。もしあなたの兄弟が罪を犯すなら、彼をいさめなさい。そして悔い改めたら、ゆるしてやりなさい。 (J)

ルカの福音書 17:4 もしあなたに対して一日に七度罪を犯し、そして七度『悔い改めます』と言ってあなたのところへ帰ってくれば、ゆるしてやるがよい」。 (J)

ルカの福音書 17:5 使徒たちは主に「わたしたちの信仰を増してください」と言った。 (J)

ルカの福音書 17:6 そこで主が言われた、「もし、からし種一粒ほどの信仰があるなら、この桑の木に、『抜け出して海に植われ』と言ったとしても、その言葉どおりになるであろう。 (J)

ルカの福音書 17:7 あなたがたのうちのだれかに、耕作か牧畜かをする僕があるとする。その僕が畑から帰って来たとき、彼に『すぐきて、食卓につきなさい』と言うだろうか。 (J)

ルカの福音書 17:8 かえって、『夕食の用意をしてくれ。そしてわたしが飲み食いをするあいだ、帯をしめて給仕をしなさい。そのあとで、飲み食いをするがよい』と、言うではないか。 (J)

ルカの福音書 17:9 僕が命じられたことをしたからといって、主人は彼に感謝するだろうか。 (J)

ルカの福音書 17:10 同様にあなたがたも、命じられたことを皆してしまったとき、『わたしたちはふつつかな僕です。すべき事をしたに過ぎません』と言いなさい」。 (J)

ルカの福音書 17:11 イエスはエルサレムへ行かれるとき、サマリヤとガリラヤとの間を通られた。 (J)

ルカの福音書 17:12 そして、ある村にはいられると、十人のらい病人に出会われたが、彼らは遠くの方で立ちとどまり、 (J)

ルカの福音書 17:13 声を張りあげて、「イエスさま、わたしたちをあわれんでください」と言った。 (J)

ルカの福音書 17:14 イエスは彼らをごらんになって、「祭司たちのところに行って、からだを見せなさい」と言われた。そして、行く途中で彼らはきよめられた。 (J)

ルカの福音書 17:15 そのうちのひとりは、自分がいやされたことを知り、大声で神をほめたたえながら帰ってきて、 (J)

ルカの福音書 17:16 イエスの足もとにひれ伏して感謝した。これはサマリヤ人であった。 (J)

ルカの福音書 17:17 イエスは彼にむかって言われた、「きよめられたのは、十人ではなかったか。ほかの九人は、どこにいるのか。 (J)

ルカの福音書 17:18 神をほめたたえるために帰ってきたものは、この他国人のほかにはいないのか」。 (J)

ルカの福音書 17:19 それから、その人に言われた、「立って行きなさい。あなたの信仰があなたを救ったのだ」。 (J)

ルカの福音書 17:20 神の国はいつ来るのかと、パリサイ人が尋ねたので、イエスは答えて言われた、「神の国は、見られるかたちで来るものではない。 (J)

ルカの福音書 17:21 また『見よ、ここにある』『あそこにある』などとも言えない。神の国は、実にあなたがたのただ中にあるのだ」。 (J)

ルカの福音書 17:22 それから弟子たちに言われた、「あなたがたは、人の子の日を一日でも見たいと願っても見ることができない時が来るであろう。 (J)

ルカの福音書 17:23 人々はあなたがたに、『見よ、あそこに』『見よ、ここに』と言うだろう。しかし、そちらへ行くな、彼らのあとを追うな。 (J)

ルカの福音書 17:24 いなずまが天の端からひかり出て天の端へとひらめき渡るように、人の子もその日には同じようであるだろう。 (J)

ルカの福音書 17:25 しかし、彼はまず多くの苦しみを受け、またこの時代の人々に捨てられねばならない。 (J)

ルカの福音書 17:26 そして、ノアの時にあったように、人の子の時にも同様なことが起るであろう。 (J)

ルカの福音書 17:27 ノアが箱舟にはいる日まで、人々は食い、飲み、めとり、とつぎなどしていたが、そこへ洪水が襲ってきて、彼らをことごとく滅ぼした。 (J)

ルカの福音書 17:28 ロトの時にも同じようなことが起った。人々は食い、飲み、買い、売り、植え、建てなどしていたが、 (J)

ルカの福音書 17:29 ロトがソドムから出て行った日に、天から火と硫黄とが降ってきて、彼らをことごとく滅ぼした。 (J)

ルカの福音書 17:30 人の子が現れる日も、ちょうどそれと同様であろう。 (J)

ルカの福音書 17:31 その日には、屋上にいる者は、自分の持ち物が家の中にあっても、取りにおりるな。畑にいる者も同じように、あとへもどるな。 (J)

ルカの福音書 17:32 ロトの妻のことを思い出しなさい。 (J)

ルカの福音書 17:33 自分の命を救おうとするものは、それを失い、それを失うものは、保つのである。 (J)

ルカの福音書 17:34 あなたがたに言っておく。その夜、ふたりの男が一つ寝床にいるならば、ひとりは取り去られ、他のひとりは残されるであろう。 (J)

ルカの福音書 17:35 ふたりの女が一緒にうすをひいているならば、ひとりは取り去られ、他のひとりは残されるであろう。〔 (J)

ルカの福音書 17:36 ふたりの男が畑におれば、ひとりは取り去られ、他のひとりは残されるであろう〕」。 (J)

ルカの福音書 17:37 弟子たちは「主よ、それはどこであるのですか」と尋ねた。するとイエスは言われた、「死体のある所には、またはげたかが集まるものである」。 (J)

ルカの福音書 18:1 また、イエスは失望せずに常に祈るべきことを、人々に譬で教えられた。 (J)

ルカの福音書 18:2 「ある町に、神を恐れず、人を人とも思わぬ裁判官がいた。 (J)

ルカの福音書 18:3 ところが、その同じ町にひとりのやもめがいて、彼のもとにたびたびきて、『どうぞ、わたしを訴える者をさばいて、わたしを守ってください』と願いつづけた。 (J)

ルカの福音書 18:4 彼はしばらくの間きき入れないでいたが、そののち、心のうちで考えた、『わたしは神をも恐れず、人を人とも思わないが、 (J)

ルカの福音書 18:5 このやもめがわたしに面倒をかけるから、彼女のためになる裁判をしてやろう。そうしたら、絶えずやってきてわたしを悩ますことがなくなるだろう』」。 (J)

ルカの福音書 18:6 そこで主は言われた、「この不義な裁判官の言っていることを聞いたか。 (J)

ルカの福音書 18:7 まして神は、日夜叫び求める選民のために、正しいさばきをしてくださらずに長い間そのままにしておかれることがあろうか。 (J)

ルカの福音書 18:8 あなたがたに言っておくが、神はすみやかにさばいてくださるであろう。しかし、人の子が来るとき、地上に信仰が見られるであろうか」。 (J)

ルカの福音書 18:9 自分を義人だと自任して他人を見下げている人たちに対して、イエスはまたこの譬をお話しになった。 (J)

ルカの福音書 18:10 「ふたりの人が祈るために宮に上った。そのひとりはパリサイ人であり、もうひとりは取税人であった。 (J)

ルカの福音書 18:11 パリサイ人は立って、ひとりでこう祈った、『神よ、わたしはほかの人たちのような貪欲な者、不正な者、姦淫をする者ではなく、また、この取税人のような人間でもないことを感謝します。 (J)

ルカの福音書 18:12 わたしは一週に二度断食しており、全収入の十分の一をささげています』。 (J)

ルカの福音書 18:13 ところが、取税人は遠く離れて立ち、目を天にむけようともしないで、胸を打ちながら言った、『神様、罪人のわたしをおゆるしください』と。 (J)

ルカの福音書 18:14 あなたがたに言っておく。神に義とされて自分の家に帰ったのは、この取税人であって、あのパリサイ人ではなかった。おおよそ、自分を高くする者は低くされ、自分を低くする者は高くされるであろう」。 (J)

ルカの福音書 18:15 イエスにさわっていただくために、人々が幼な子らをみもとに連れてきた。ところが、弟子たちはそれを見て、彼らをたしなめた。 (J)

ルカの福音書 18:16 するとイエスは幼な子らを呼び寄せて言われた、「幼な子らをわたしのところに来るままにしておきなさい、止めてはならない。神の国はこのような者の国である。 (J)

ルカの福音書 18:17 よく聞いておくがよい。だれでも幼な子のように神の国を受けいれる者でなければ、そこにはいることは決してできない」。 (J)

ルカの福音書 18:18 また、ある役人がイエスに尋ねた、「よき師よ、何をしたら永遠の生命が受けられましょうか」。 (J)

ルカの福音書 18:19 イエスは言われた、「なぜわたしをよき者と言うのか。神ひとりのほかによい者はいない。 (J)

ルカの福音書 18:20 いましめはあなたの知っているとおりである、『姦淫するな、殺すな、盗むな、偽証を立てるな、父と母とを敬え』」。 (J)

ルカの福音書 18:21 すると彼は言った、「それらのことはみな、小さい時から守っております」。 (J)

ルカの福音書 18:22 イエスはこれを聞いて言われた、「あなたのする事がまだ一つ残っている。持っているものをみな売り払って、貧しい人々に分けてやりなさい。そうすれば、天に宝を持つようになろう。そして、わたしに従ってきなさい」。 (J)

ルカの福音書 18:23 彼はこの言葉を聞いて非常に悲しんだ。大金持であったからである。 (J)

ルカの福音書 18:24 イエスは彼の様子を見て言われた、「財産のある者が神の国にはいるのはなんとむずかしいことであろう。 (J)

ルカの福音書 18:25 富んでいる者が神の国にはいるよりは、らくだが針の穴を通る方が、もっとやさしい」。 (J)

ルカの福音書 18:26 これを聞いた人々が、「それでは、だれが救われることができるのですか」と尋ねると、 (J)

ルカの福音書 18:27 イエスは言われた、「人にはできない事も、神にはできる」。 (J)

ルカの福音書 18:28 ペテロが言った、「ごらんなさい、わたしたちは自分のものを捨てて、あなたに従いました」。 (J)

ルカの福音書 18:29 イエスは言われた、「よく聞いておくがよい。だれでも神の国のために、家、妻、兄弟、両親、子を捨てた者は、 (J)

ルカの福音書 18:30 必ずこの時代ではその幾倍もを受け、また、きたるべき世では永遠の生命を受けるのである」。 (J)

ルカの福音書 18:31 イエスは十二弟子を呼び寄せて言われた、「見よ、わたしたちはエルサレムへ上って行くが、人の子について預言者たちがしるしたことは、すべて成就するであろう。 (J)

ルカの福音書 18:32 人の子は異邦人に引きわたされ、あざけられ、はずかしめを受け、つばきをかけられ、 (J)

ルカの福音書 18:33 また、むち打たれてから、ついに殺され、そして三日目によみがえるであろう」。 (J)

ルカの福音書 18:34 弟子たちには、これらのことが何一つわからなかった。この言葉が彼らに隠されていたので、イエスの言われた事が理解できなかった。 (J)

ルカの福音書 18:35 イエスがエリコに近づかれたとき、ある盲人が道ばたにすわって、物ごいをしていた。 (J)

ルカの福音書 18:36 群衆が通り過ぎる音を耳にして、彼は何事があるのかと尋ねた。 (J)

ルカの福音書 18:37 ところが、ナザレのイエスがお通りなのだと聞かされたので、 (J)

ルカの福音書 18:38 声をあげて、「ダビデの子イエスよ、わたしをあわれんで下さい」と言った。 (J)

ルカの福音書 18:39 先頭に立つ人々が彼をしかって黙らせようとしたが、彼はますます激しく叫びつづけた、「ダビデの子よ、わたしをあわれんで下さい」。 (J)

ルカの福音書 18:40 そこでイエスは立ちどまって、その者を連れて来るように、とお命じになった。彼が近づいたとき、 (J)

ルカの福音書 18:41 「わたしに何をしてほしいのか」とおたずねになると、「主よ、見えるようになることです」と答えた。 (J)

ルカの福音書 18:42 そこでイエスは言われた、「見えるようになれ。あなたの信仰があなたを救った」。 (J)

ルカの福音書 18:43 すると彼は、たちまち見えるようになった。そして神をあがめながらイエスに従って行った。これを見て、人々はみな神をさんびした。 (J)

ルカの福音書 19:1 さて、イエスはエリコにはいって、その町をお通りになった。 (J)

ルカの福音書 19:2 ところが、そこにザアカイという名の人がいた。この人は取税人のかしらで、金持であった。 (J)

ルカの福音書 19:3 彼は、イエスがどんな人か見たいと思っていたが、背が低かったので、群衆にさえぎられて見ることができなかった。 (J)

ルカの福音書 19:4 それでイエスを見るために、前の方に走って行って、いちじく桑の木に登った。そこを通られるところだったからである。 (J)

ルカの福音書 19:5 イエスは、その場所にこられたとき、上を見あげて言われた、「ザアカイよ、急いで下りてきなさい。きょう、あなたの家に泊まることにしているから」。 (J)

ルカの福音書 19:6 そこでザアカイは急いでおりてきて、よろこんでイエスを迎え入れた。 (J)

ルカの福音書 19:7 人々はみな、これを見てつぶやき、「彼は罪人の家にはいって客となった」と言った。 (J)

ルカの福音書 19:8 ザアカイは立って主に言った、「主よ、わたしは誓って自分の財産の半分を貧民に施します。また、もしだれかから不正な取立てをしていましたら、それを四倍にして返します」。 (J)

ルカの福音書 19:9 イエスは彼に言われた、「きょう、救がこの家にきた。この人もアブラハムの子なのだから。 (J)

ルカの福音書 19:10 人の子がきたのは、失われたものを尋ね出して救うためである」。 (J)

ルカの福音書 19:11 人々がこれらの言葉を聞いているときに、イエスはなお一つの譬をお話しになった。それはエルサレムに近づいてこられたし、また人々が神の国はたちまち現れると思っていたためである。 (J)

ルカの福音書 19:12 それで言われた、「ある身分の高い人が、王位を受けて帰ってくるために遠い所へ旅立つことになった。 (J)

ルカの福音書 19:13 そこで十人の僕を呼び十ミナを渡して言った、『わたしが帰って来るまで、これで商売をしなさい』。 (J)

ルカの福音書 19:14 ところが、本国の住民は彼を憎んでいたので、あとから使者をおくって、『この人が王になるのをわれわれは望んでいない』と言わせた。 (J)

ルカの福音書 19:15 さて、彼が王位を受けて帰ってきたとき、だれがどんなもうけをしたかを知ろうとして、金を渡しておいた僕たちを呼んでこさせた。 (J)

ルカの福音書 19:16 最初の者が進み出て言った、『ご主人様、あなたの一ミナで十ミナをもうけました』。 (J)

ルカの福音書 19:17 主人は言った、『よい僕よ、うまくやった。あなたは小さい事に忠実であったから、十の町を支配させる』。 (J)

ルカの福音書 19:18 次の者がきて言った、『ご主人様、あなたの一ミナで五ミナをつくりました』。 (J)

ルカの福音書 19:19 そこでこの者にも、『では、あなたは五つの町のかしらになれ』と言った。 (J)

ルカの福音書 19:20 それから、もうひとりの者がきて言った、『ご主人様、さあ、ここにあなたの一ミナがあります。わたしはそれをふくさに包んで、しまっておきました。 (J)

ルカの福音書 19:21 あなたはきびしい方で、おあずけにならなかったものを取りたて、おまきにならなかったものを刈る人なので、おそろしかったのです』。 (J)

ルカの福音書 19:22 彼に言った、『悪い僕よ、わたしはあなたの言ったその言葉であなたをさばこう。わたしがきびしくて、あずけなかったものを取りたて、まかなかったものを刈る人間だと、知っているのか。 (J)

ルカの福音書 19:23 では、なぜわたしの金を銀行に入れなかったのか。そうすれば、わたしが帰ってきたとき、その金を利子と一緒に引き出したであろうに』。 (J)

ルカの福音書 19:24 そして、そばに立っていた人々に、『その一ミナを彼から取り上げて、十ミナを持っている者に与えなさい』と言った。 (J)

ルカの福音書 19:25 彼らは言った、『ご主人様、あの人は既に十ミナを持っています』。 (J)

ルカの福音書 19:26 『あなたがたに言うが、おおよそ持っている人には、なお与えられ、持っていない人からは、持っているものまでも取り上げられるであろう。 (J)

ルカの福音書 19:27 しかしわたしが王になることを好まなかったあの敵どもを、ここにひっぱってきて、わたしの前で打ち殺せ』」。 (J)

ルカの福音書 19:28 イエスはこれらのことを言ったのち、先頭に立ち、エルサレムへ上って行かれた。 (J)

ルカの福音書 19:29 そしてオリブという山に沿ったベテパゲとベタニヤに近づかれたとき、ふたりの弟子をつかわして言われた、 (J)

ルカの福音書 19:30 「向こうの村へ行きなさい。そこにはいったら、まだだれも乗ったことのないろばの子がつないであるのを見るであろう。それを解いて、引いてきなさい。 (J)

ルカの福音書 19:31 もしだれかが『なぜ解くのか』と問うたら、『主がお入り用なのです』と、そう言いなさい」。 (J)

ルカの福音書 19:32 そこで、つかわされた者たちが行って見ると、果して、言われたとおりであった。 (J)

ルカの福音書 19:33 彼らが、そのろばの子を解いていると、その持ち主たちが、「なぜろばの子を解くのか」と言ったので、 (J)

ルカの福音書 19:34 「主がお入り用なのです」と答えた。 (J)

ルカの福音書 19:35 そしてそれをイエスのところに引いてきて、その子ろばの上に自分たちの上着をかけてイエスをお乗せした。 (J)

ルカの福音書 19:36 そして進んで行かれると、人々は自分たちの上着を道に敷いた。 (J)

ルカの福音書 19:37 いよいよオリブ山の下り道あたりに近づかれると、大ぜいの弟子たちはみな喜んで、彼らが見たすべての力あるみわざについて、声高らかに神をさんびして言いはじめた、 (J)

ルカの福音書 19:38 「主の御名によってきたる王に、 祝福あれ。 天には平和、 いと高きところには栄光あれ」。 (J)

ルカの福音書 19:39 ところが、群衆の中にいたあるパリサイ人たちがイエスに言った、「先生、あなたの弟子たちをおしかり下さい」。 (J)

ルカの福音書 19:40 答えて言われた、「あなたがたに言うが、もしこの人たちが黙れば、石が叫ぶであろう」。 (J)

ルカの福音書 19:41 いよいよ都の近くにきて、それが見えたとき、そのために泣いて言われた、 (J)

ルカの福音書 19:42 「もしおまえも、この日に、平和をもたらす道を知ってさえいたら……しかし、それは今おまえの目に隠されている。 (J)

ルカの福音書 19:43 いつかは、敵が周囲に塁を築き、おまえを取りかこんで、四方から押し迫り、 (J)

ルカの福音書 19:44 おまえとその内にいる子らとを地に打ち倒し、城内の一つの石も他の石の上に残して置かない日が来るであろう。それは、おまえが神のおとずれの時を知らないでいたからである」。 (J)

ルカの福音書 19:45 それから宮にはいり、商売人たちを追い出しはじめて、 (J)

ルカの福音書 19:46 彼らに言われた、「『わが家は祈の家であるべきだ』と書いてあるのに、あなたがたはそれを盗賊の巣にしてしまった」。 (J)

ルカの福音書 19:47 イエスは毎日、宮で教えておられた。祭司長、律法学者また民衆の重立った者たちはイエスを殺そうと思っていたが、 (J)

ルカの福音書 19:48 民衆がみな熱心にイエスに耳を傾けていたので、手のくだしようがなかった。 (J)

ルカの福音書 20:1 ある日、イエスが宮で人々に教え、福音を宣べておられると、祭司長や律法学者たちが、長老たちと共に近寄ってきて、 (J)

ルカの福音書 20:2 イエスに言った、「何の権威によってこれらの事をするのですか。そうする権威をあなたに与えたのはだれですか、わたしたちに言ってください」。 (J)

ルカの福音書 20:3 そこで、イエスは答えて言われた、「わたしも、ひと言たずねよう。それに答えてほしい。 (J)

ルカの福音書 20:4 ヨハネのバプテスマは、天からであったか、人からであったか」。 (J)

ルカの福音書 20:5 彼らは互に論じて言った、「もし天からだと言えば、では、なぜ彼を信じなかったのか、とイエスは言うだろう。 (J)

ルカの福音書 20:6 しかし、もし人からだと言えば、民衆はみな、ヨハネを預言者だと信じているから、わたしたちを石で打つだろう」。 (J)

ルカの福音書 20:7 それで彼らは「どこからか、知りません」と答えた。 (J)

ルカの福音書 20:8 イエスはこれに対して言われた、「わたしも何の権威によってこれらの事をするのか、あなたがたに言うまい」。 (J)

ルカの福音書 20:9 そこでイエスは次の譬を民衆に語り出された、「ある人がぶどう園を造って農夫たちに貸し、長い旅に出た。 (J)

ルカの福音書 20:10 季節になったので、農夫たちのところへ、ひとりの僕を送って、ぶどう園の収穫の分け前を出させようとした。ところが、農夫たちは、その僕を袋だたきにし、から手で帰らせた。 (J)

ルカの福音書 20:11 そこで彼はもうひとりの僕を送った。彼らはその僕も袋だたきにし、侮辱を加えて、から手で帰らせた。 (J)

ルカの福音書 20:12 そこで更に三人目の者を送ったが、彼らはこの者も、傷を負わせて追い出した。 (J)

ルカの福音書 20:13 ぶどう園の主人は言った、『どうしようか。そうだ、わたしの愛子をつかわそう。これなら、たぶん敬ってくれるだろう』。 (J)

ルカの福音書 20:14 ところが、農夫たちは彼を見ると、『あれはあと取りだ。あれを殺してしまおう。そうしたら、その財産はわれわれのものになるのだ』と互に話し合い、 (J)

ルカの福音書 20:15 彼をぶどう園の外に追い出して殺した。そのさい、ぶどう園の主人は、彼らをどうするだろうか。 (J)

ルカの福音書 20:16 彼は出てきて、この農夫たちを殺し、ぶどう園を他の人々に与えるであろう」。人々はこれを聞いて、「そんなことがあってはなりません」と言った。 (J)

ルカの福音書 20:17 そこで、イエスは彼らを見つめて言われた、「それでは、 『家造りらの捨てた石が 隅のかしら石になった』 と書いてあるのは、どういうことか。 (J)

ルカの福音書 20:18 すべてその石の上に落ちる者は打ち砕かれ、それがだれかの上に落ちかかるなら、その人はこなみじんにされるであろう」。 (J)

ルカの福音書 20:19 このとき、律法学者たちや祭司長たちはイエスに手をかけようと思ったが、民衆を恐れた。いまの譬が自分たちに当てて語られたのだと、悟ったからである。 (J)

ルカの福音書 20:20 そこで、彼らは機会をうかがい、義人を装うまわし者どもを送って、イエスを総督の支配と権威とに引き渡すため、その言葉じりを捕えさせようとした。 (J)

ルカの福音書 20:21 彼らは尋ねて言った、「先生、わたしたちは、あなたの語り教えられることが正しく、また、あなたは分け隔てをなさらず、真理に基いて神の道を教えておられることを、承知しています。 (J)

ルカの福音書 20:22 ところで、カイザルに貢を納めてよいでしょうか、いけないでしょうか」。 (J)

ルカの福音書 20:23 イエスは彼らの悪巧みを見破って言われた、 (J)

ルカの福音書 20:24 「デナリを見せなさい。それにあるのは、だれの肖像、だれの記号なのか」。「カイザルのです」と、彼らが答えた。 (J)

ルカの福音書 20:25 するとイエスは彼らに言われた、「それなら、カイザルのものはカイザルに、神のものは神に返しなさい」。 (J)

ルカの福音書 20:26 そこで彼らは、民衆の前でイエスの言葉じりを捕えることができず、その答に驚嘆して、黙ってしまった。 (J)

ルカの福音書 20:27 復活ということはないと言い張っていたサドカイ人のある者たちが、イエスに近寄ってきて質問した、 (J)

ルカの福音書 20:28 「先生、モーセは、わたしたちのためにこう書いています、『もしある人の兄が妻をめとり、子がなくて死んだなら、弟はこの女をめとって、兄のために子をもうけねばならない』。 (J)

ルカの福音書 20:29 ところで、ここに七人の兄弟がいました。長男は妻をめとりましたが、子がなくて死に、 (J)

ルカの福音書 20:30 そして次男、三男と、次々に、その女をめとり、 (J)

ルカの福音書 20:31 七人とも同様に、子をもうけずに死にました。 (J)

ルカの福音書 20:32 のちに、その女も死にました。 (J)

ルカの福音書 20:33 さて、復活の時には、この女は七人のうち、だれの妻になるのですか。七人とも彼女を妻にしたのですが」。 (J)

ルカの福音書 20:34 イエスは彼らに言われた、「この世の子らは、めとったり、とついだりするが、 (J)

ルカの福音書 20:35 かの世にはいって死人からの復活にあずかるにふさわしい者たちは、めとったり、とついだりすることはない。 (J)

ルカの福音書 20:36 彼らは天使に等しいものであり、また復活にあずかるゆえに、神の子でもあるので、もう死ぬことはあり得ないからである。 (J)

ルカの福音書 20:37 死人がよみがえることは、モーセも柴の篇で、主を『アブラハムの神、イサクの神、ヤコブの神』と呼んで、これを示した。 (J)

ルカの福音書 20:38 神は死んだ者の神ではなく、生きている者の神である。人はみな神に生きるものだからである」。 (J)

ルカの福音書 20:39 律法学者のうちのある人々が答えて言った、「先生、仰せのとおりです」。 (J)

ルカの福音書 20:40 彼らはそれ以上何もあえて問いかけようとしなかった。 (J)

ルカの福音書 20:41 イエスは彼らに言われた、「どうして人々はキリストをダビデの子だと言うのか。 (J)

ルカの福音書 20:42 ダビデ自身が詩篇の中で言っている、 『主はわが主に仰せになった、 (J)

ルカの福音書 20:43 あなたの敵をあなたの足台とする時までは、 わたしの右に座していなさい』。 (J)

ルカの福音書 20:44 このように、ダビデはキリストを主と呼んでいる。それなら、どうしてキリストはダビデの子であろうか」。 (J)

ルカの福音書 20:45 民衆がみな聞いているとき、イエスは弟子たちに言われた、 (J)

ルカの福音書 20:46 「律法学者に気をつけなさい。彼らは長い衣を着て歩くのを好み、広場での敬礼や会堂の上席や宴会の上座をよろこび、 (J)

ルカの福音書 20:47 やもめたちの家を食い倒し、見えのために長い祈をする。彼らはもっときびしいさばきを受けるであろう」。 (J)

ルカの福音書 21:1 イエスは目をあげて、金持たちがさいせん箱に献金を投げ入れるのを見られ、 (J)

ルカの福音書 21:2 また、ある貧しいやもめが、レプタ二つを入れるのを見て (J)

ルカの福音書 21:3 言われた、「よく聞きなさい。あの貧しいやもめはだれよりもたくさん入れたのだ。 (J)

ルカの福音書 21:4 これらの人たちはみな、ありあまる中から献金を投げ入れたが、あの婦人は、その乏しい中から、持っている生活費全部を入れたからである」。 (J)

ルカの福音書 21:5 ある人々が、見事な石と奉納物とで宮が飾られていることを話していたので、イエスは言われた、 (J)

ルカの福音書 21:6 「あなたがたはこれらのものをながめているが、その石一つでもくずされずに、他の石の上に残ることもなくなる日が、来るであろう」。 (J)

ルカの福音書 21:7 そこで彼らはたずねた、「先生、では、いつそんなことが起るのでしょうか。またそんなことが起るような場合には、どんな前兆がありますか」。 (J)

ルカの福音書 21:8 イエスが言われた、「あなたがたは、惑わされないように気をつけなさい。多くの者がわたしの名を名のって現れ、自分がそれだとか、時が近づいたとか、言うであろう。彼らについて行くな。 (J)

ルカの福音書 21:9 戦争と騒乱とのうわさを聞くときにも、おじ恐れるな。こうしたことはまず起らねばならないが、終りはすぐにはこない」。 (J)

ルカの福音書 21:10 それから彼らに言われた、「民は民に、国は国に敵対して立ち上がるであろう。 (J)

ルカの福音書 21:11 また大地震があり、あちこちに疫病やききんが起り、いろいろ恐ろしいことや天からの物すごい前兆があるであろう。 (J)

ルカの福音書 21:12 しかし、これらのあらゆる出来事のある前に、人々はあなたがたに手をかけて迫害をし、会堂や獄に引き渡し、わたしの名のゆえに王や総督の前にひっぱって行くであろう。 (J)

ルカの福音書 21:13 それは、あなたがたがあかしをする機会となるであろう。 (J)

ルカの福音書 21:14 だから、どう答弁しようかと、前もって考えておかないことに心を決めなさい。 (J)

ルカの福音書 21:15 あなたの反対者のだれもが抗弁も否定もできないような言葉と知恵とを、わたしが授けるから。 (J)

ルカの福音書 21:16 しかし、あなたがたは両親、兄弟、親族、友人にさえ裏切られるであろう。また、あなたがたの中で殺されるものもあろう。 (J)

ルカの福音書 21:17 また、わたしの名のゆえにすべての人に憎まれるであろう。 (J)

ルカの福音書 21:18 しかし、あなたがたの髪の毛一すじでも失われることはない。 (J)

ルカの福音書 21:19 あなたがたは耐え忍ぶことによって、自分の魂をかち取るであろう。 (J)

ルカの福音書 21:20 エルサレムが軍隊に包囲されるのを見たならば、そのときは、その滅亡が近づいたとさとりなさい。 (J)

ルカの福音書 21:21 そのとき、ユダヤにいる人々は山へ逃げよ。市中にいる者は、そこから出て行くがよい。また、いなかにいる者は市内にはいってはいけない。 (J)

ルカの福音書 21:22 それは、聖書にしるされたすべての事が実現する刑罰の日であるからだ。 (J)

ルカの福音書 21:23 その日には、身重の女と乳飲み子をもつ女とは、不幸である。地上には大きな苦難があり、この民にはみ怒りが臨み、 (J)

ルカの福音書 21:24 彼らはつるぎの刃に倒れ、また捕えられて諸国へ引きゆかれるであろう。そしてエルサレムは、異邦人の時期が満ちるまで、彼らに踏みにじられているであろう。 (J)

ルカの福音書 21:25 また日と月と星とに、しるしが現れるであろう。そして、地上では、諸国民が悩み、海と大波とのとどろきにおじ惑い、 (J)

ルカの福音書 21:26 人々は世界に起ろうとする事を思い、恐怖と不安で気絶するであろう。もろもろの天体が揺り動かされるからである。 (J)

ルカの福音書 21:27 そのとき、大いなる力と栄光とをもって、人の子が雲に乗って来るのを、人々は見るであろう。 (J)

ルカの福音書 21:28 これらの事が起りはじめたら、身を起し頭をもたげなさい。あなたがたの救が近づいているのだから」。 (J)

ルカの福音書 21:29 それから一つの譬を話された、「いちじくの木を、またすべての木を見なさい。 (J)

ルカの福音書 21:30 はや芽を出せば、あなたがたはそれを見て、夏がすでに近いと、自分で気づくのである。 (J)

ルカの福音書 21:31 このようにあなたがたも、これらの事が起るのを見たなら、神の国が近いのだとさとりなさい。 (J)

ルカの福音書 21:32 よく聞いておきなさい。これらの事が、ことごとく起るまでは、この時代は滅びることがない。 (J)

ルカの福音書 21:33 天地は滅びるであろう。しかしわたしの言葉は決して滅びることがない。 (J)

ルカの福音書 21:34 あなたがたが放縦や、泥酔や、世の煩いのために心が鈍っているうちに、思いがけないとき、その日がわなのようにあなたがたを捕えることがないように、よく注意していなさい。 (J)

ルカの福音書 21:35 その日は地の全面に住むすべての人に臨むのであるから。 (J)

ルカの福音書 21:36 これらの起ろうとしているすべての事からのがれて、人の子の前に立つことができるように、絶えず目をさまして祈っていなさい」。 (J)

ルカの福音書 21:37 イエスは昼のあいだは宮で教え、夜には出て行ってオリブという山で夜をすごしておられた。 (J)

ルカの福音書 21:38 民衆はみな、み教を聞こうとして、いつも朝早く宮に行き、イエスのもとに集まった。 (J)

ルカの福音書 22:1 さて、過越といわれている除酵祭が近づいた。 (J)

ルカの福音書 22:2 祭司長たちや律法学者たちは、どうかしてイエスを殺そうと計っていた。民衆を恐れていたからである。 (J)

ルカの福音書 22:3 そのとき、十二弟子のひとりで、イスカリオテと呼ばれていたユダに、サタンがはいった。 (J)

ルカの福音書 22:4 すなわち、彼は祭司長たちや宮守がしらたちのところへ行って、どうしてイエスを彼らに渡そうかと、その方法について協議した。 (J)

ルカの福音書 22:5 彼らは喜んで、ユダに金を与える取決めをした。 (J)

ルカの福音書 22:6 ユダはそれを承諾した。そして、群衆のいないときにイエスを引き渡そうと、機会をねらっていた。 (J)

ルカの福音書 22:7 さて、過越の小羊をほふるべき除酵祭の日がきたので、 (J)

ルカの福音書 22:8 イエスはペテロとヨハネとを使いに出して言われた、「行って、過越の食事ができるように準備をしなさい」。 (J)

ルカの福音書 22:9 彼らは言った、「どこに準備をしたらよいのですか」。 (J)

ルカの福音書 22:10 イエスは言われた、「市内にはいったら、水がめを持っている男に出会うであろう。その人がはいる家までついて行って、 (J)

ルカの福音書 22:11 その家の主人に言いなさい、『弟子たちと一緒に過越の食事をする座敷はどこか、と先生が言っておられます』。 (J)

ルカの福音書 22:12 すると、その主人は席の整えられた二階の広間を見せてくれるから、そこに用意をしなさい」。 (J)

ルカの福音書 22:13 弟子たちは出て行ってみると、イエスが言われたとおりであったので、過越の食事の用意をした。 (J)

ルカの福音書 22:14 時間になったので、イエスは食卓につかれ、使徒たちも共に席についた。 (J)

ルカの福音書 22:15 イエスは彼らに言われた、「わたしは苦しみを受ける前に、あなたがたとこの過越の食事をしようと、切に望んでいた。 (J)

ルカの福音書 22:16 あなたがたに言って置くが、神の国で過越が成就する時までは、わたしは二度と、この過越の食事をすることはない」。 (J)

ルカの福音書 22:17 そして杯を取り、感謝して言われた、「これを取って、互に分けて飲め。 (J)

ルカの福音書 22:18 あなたがたに言っておくが、今からのち神の国が来るまでは、わたしはぶどうの実から造ったものを、いっさい飲まない」。 (J)

ルカの福音書 22:19 またパンを取り、感謝してこれをさき、弟子たちに与えて言われた、「これは、あなたがたのために与えるわたしのからだである。わたしを記念するため、このように行いなさい」。 (J)

ルカの福音書 22:20 食事ののち、杯も同じ様にして言われた、「この杯は、あなたがたのために流すわたしの血で立てられる新しい契約である。 (J)

ルカの福音書 22:21 しかし、そこに、わたしを裏切る者が、わたしと一緒に食卓に手を置いている。 (J)

ルカの福音書 22:22 人の子は定められたとおりに、去って行く。しかし人の子を裏切るその人は、わざわいである」。 (J)

ルカの福音書 22:23 弟子たちは、自分たちのうちのだれが、そんな事をしようとしているのだろうと、互に論じはじめた。 (J)

ルカの福音書 22:24 それから、自分たちの中でだれがいちばん偉いだろうかと言って、争論が彼らの間に、起った。 (J)

ルカの福音書 22:25 そこでイエスが言われた、「異邦の王たちはその民の上に君臨し、また、権力をふるっている者たちは恩人と呼ばれる。 (J)

ルカの福音書 22:26 しかし、あなたがたは、そうであってはならない。かえって、あなたがたの中でいちばん偉い人はいちばん若い者のように、指導する人は仕える者のようになるべきである。 (J)

ルカの福音書 22:27 食卓につく人と給仕する者と、どちらが偉いのか。食卓につく人の方ではないか。しかし、わたしはあなたがたの中で、給仕をする者のようにしている。 (J)

ルカの福音書 22:28 あなたがたは、わたしの試錬のあいだ、わたしと一緒に最後まで忍んでくれた人たちである。 (J)

ルカの福音書 22:29 それで、わたしの父が国の支配をわたしにゆだねてくださったように、わたしもそれをあなたがたにゆだね、 (J)

ルカの福音書 22:30 わたしの国で食卓について飲み食いをさせ、また位に座してイスラエルの十二の部族をさばかせるであろう。 (J)

ルカの福音書 22:31 シモン、シモン、見よ、サタンはあなたがたを麦のようにふるいにかけることを願って許された。 (J)

ルカの福音書 22:32 しかし、わたしはあなたの信仰がなくならないように、あなたのために祈った。それで、あなたが立ち直ったときには、兄弟たちを力づけてやりなさい」。 (J)

ルカの福音書 22:33 シモンが言った、「主よ、わたしは獄にでも、また死に至るまでも、あなたとご一緒に行く覚悟です」。 (J)

ルカの福音書 22:34 するとイエスが言われた、「ペテロよ、あなたに言っておく。きょう、鶏が鳴くまでに、あなたは三度わたしを知らないと言うだろう」。 (J)

ルカの福音書 22:35 そして彼らに言われた、「わたしが財布も袋もくつも持たせずにあなたがたをつかわしたとき、何かこまったことがあったか」。彼らは、「いいえ、何もありませんでした」と答えた。 (J)

ルカの福音書 22:36 そこで言われた、「しかし今は、財布のあるものは、それを持って行け。袋も同様に持って行け。また、つるぎのない者は、自分の上着を売って、それを買うがよい。 (J)

ルカの福音書 22:37 あなたがたに言うが、『彼は罪人のひとりに数えられた』としるしてあることは、わたしの身に成しとげられねばならない。そうだ、わたしに係わることは成就している」。 (J)

ルカの福音書 22:38 弟子たちが言った、「主よ、ごらんなさい、ここにつるぎが二振りございます」。イエスは言われた、「それでよい」。 (J)

ルカの福音書 22:39 イエスは出て、いつものようにオリブ山に行かれると、弟子たちも従って行った。 (J)

ルカの福音書 22:40 いつもの場所に着いてから、彼らに言われた、「誘惑に陥らないように祈りなさい」。 (J)

ルカの福音書 22:41 そしてご自分は、石を投げてとどくほど離れたところへ退き、ひざまずいて、祈って言われた、 (J)

ルカの福音書 22:42 「父よ、みこころならば、どうぞ、この杯をわたしから取りのけてください。しかし、わたしの思いではなく、みこころが成るようにしてください」。 (J)

ルカの福音書 22:43 そのとき、御使が天からあらわれてイエスを力づけた。 (J)

ルカの福音書 22:44 イエスは苦しみもだえて、ますます切に祈られた。そして、その汗が血のしたたりのように地に落ちた。 (J)

ルカの福音書 22:45 祈を終えて立ちあがり、弟子たちのところへ行かれると、彼らが悲しみのはて寝入っているのをごらんになって (J)

ルカの福音書 22:46 言われた、「なぜ眠っているのか。誘惑に陥らないように、起きて祈っていなさい」。 (J)

ルカの福音書 22:47 イエスがまだそう言っておられるうちに、そこに群衆が現れ、十二弟子のひとりでユダという者が先頭に立って、イエスに接吻しようとして近づいてきた。 (J)

ルカの福音書 22:48 そこでイエスは言われた、「ユダ、あなたは接吻をもって人の子を裏切るのか」。 (J)

ルカの福音書 22:49 イエスのそばにいた人たちは、事のなりゆきを見て、「主よ、つるぎで切りつけてやりましょうか」と言って、 (J)

ルカの福音書 22:50 そのうちのひとりが、祭司長の僕に切りつけ、その右の耳を切り落した。 (J)

ルカの福音書 22:51 イエスはこれに対して言われた、「それだけでやめなさい」。そして、その僕の耳に手を触て、おいやしになった。 (J)

ルカの福音書 22:52 それから、自分にむかって来る祭司長、宮守がしら、長老たちに対して言われた、「あなたがたは、強盗にむかうように剣や棒を持って出てきたのか。 (J)

ルカの福音書 22:53 毎日あなたがたと一緒に宮にいた時には、わたしに手をかけなかった。だが、今はあなたがたの時、また、やみの支配の時である」。 (J)

ルカの福音書 22:54 それから人々はイエスを捕え、ひっぱって大祭司の邸宅へつれて行った。ペテロは遠くからついて行った。 (J)

ルカの福音書 22:55 人々は中庭のまん中に火をたいて、一緒にすわっていたので、ペテロもその中にすわった。 (J)

ルカの福音書 22:56 すると、ある女中が、彼が火のそばにすわっているのを見、彼を見つめて、「この人もイエスと一緒にいました」と言った。 (J)

ルカの福音書 22:57 ペテロはそれを打ち消して、「わたしはその人を知らない」と言った。 (J)

ルカの福音書 22:58 しばらくして、ほかの人がペテロを見て言った、「あなたもあの仲間のひとりだ」。するとペテロは言った、「いや、それはちがう」。 (J)

ルカの福音書 22:59 約一時間たってから、またほかの者が言い張った、「たしかにこの人もイエスと一緒だった。この人もガリラヤ人なのだから」。 (J)

ルカの福音書 22:60 ペテロは言った、「あなたの言っていることは、わたしにわからない」。すると、彼がまだ言い終らぬうちに、たちまち、鶏が鳴いた。 (J)

ルカの福音書 22:61 主は振りむいてペテロを見つめられた。そのときペテロは、「きょう、鶏が鳴く前に、三度わたしを知らないと言うであろう」と言われた主のお言葉を思い出した。 (J)

ルカの福音書 22:62 そして外へ出て、激しく泣いた。 (J)

ルカの福音書 22:63 イエスを監視していた人たちは、イエスを嘲弄し、打ちたたき、 (J)

ルカの福音書 22:64 目かくしをして、「言いあててみよ。打ったのは、だれか」ときいたりした。 (J)

ルカの福音書 22:65 そのほか、いろいろな事を言って、イエスを愚弄した。 (J)

ルカの福音書 22:66 夜が明けたとき、人民の長老、祭司長たち、律法学者たちが集まり、イエスを議会に引き出して言った、 (J)

ルカの福音書 22:67 「あなたがキリストなら、そう言ってもらいたい」。イエスは言われた、「わたしが言っても、あなたがたは信じないだろう。 (J)

ルカの福音書 22:68 また、わたしがたずねても、答えないだろう。 (J)

ルカの福音書 22:69 しかし、人の子は今からのち、全能の神の右に座するであろう」。 (J)

ルカの福音書 22:70 彼らは言った、「では、あなたは神の子なのか」。イエスは言われた、「あなたがたの言うとおりである」。 (J)

ルカの福音書 22:71 すると彼らは言った、「これ以上、なんの証拠がいるか。われわれは直接彼の口から聞いたのだから」。 (J)

ルカの福音書 23:1 群衆はみな立ちあがって、イエスをピラトのところへ連れて行った。 (J)

ルカの福音書 23:2 そして訴え出て言った、「わたしたちは、この人が国民を惑わし、貢をカイザルに納めることを禁じ、また自分こそ王なるキリストだと、となえているところを目撃しました」。 (J)

ルカの福音書 23:3 ピラトはイエスに尋ねた、「あなたがユダヤ人の王であるか」。イエスは「そのとおりである」とお答えになった。 (J)

ルカの福音書 23:4 そこでピラトは祭司長たちと群衆とにむかって言った、「わたしはこの人になんの罪もみとめない」。 (J)

ルカの福音書 23:5 ところが彼らは、ますます言いつのってやまなかった、「彼は、ガリラヤからはじめてこの所まで、ユダヤ全国にわたって教え、民衆を煽動しているのです」。 (J)

ルカの福音書 23:6 ピラトはこれを聞いて、この人はガリラヤ人かと尋ね、 (J)

ルカの福音書 23:7 そしてヘロデの支配下のものであることを確かめたので、ちょうどこのころ、ヘロデがエルサレムにいたのをさいわい、そちらへイエスを送りとどけた。 (J)

ルカの福音書 23:8 ヘロデはイエスを見て非常に喜んだ。それは、かねてイエスのことを聞いていたので、会って見たいと長いあいだ思っていたし、またイエスが何か奇跡を行うのを見たいと望んでいたからである。 (J)

ルカの福音書 23:9 それで、いろいろと質問を試みたが、イエスは何もお答えにならなかった。 (J)

ルカの福音書 23:10 祭司長たちと律法学者たちとは立って、激しい語調でイエスを訴えた。 (J)

ルカの福音書 23:11 またヘロデはその兵卒どもと一緒になって、イエスを侮辱したり嘲弄したりしたあげく、はなやかな着物を着せてピラトへ送りかえした。 (J)

ルカの福音書 23:12 ヘロデとピラトとは以前は互に敵視していたが、この日に親しい仲になった。 (J)

ルカの福音書 23:13 ピラトは、祭司長たちと役人たちと民衆とを、呼び集めて言った、 (J)

ルカの福音書 23:14 「おまえたちは、この人を民衆を惑わすものとしてわたしのところに連れてきたので、おまえたちの面前でしらべたが、訴え出ているような罪は、この人に少しもみとめられなかった。 (J)

ルカの福音書 23:15 ヘロデもまたみとめなかった。現に彼はイエスをわれわれに送りかえしてきた。この人はなんら死に当るようなことはしていないのである。 (J)

ルカの福音書 23:16 だから、彼をむち打ってから、ゆるしてやることにしよう」。〔 (J)

ルカの福音書 23:17 祭ごとにピラトがひとりの囚人をゆるしてやることになっていた。〕 (J)

ルカの福音書 23:18 ところが、彼らはいっせいに叫んで言った、「その人を殺せ。バラバをゆるしてくれ」。 (J)

ルカの福音書 23:19 このバラバは、都で起った暴動と殺人とのかどで、獄に投ぜられていた者である。 (J)

ルカの福音書 23:20 ピラトはイエスをゆるしてやりたいと思って、もう一度かれらに呼びかけた。 (J)

ルカの福音書 23:21 しかし彼らは、わめきたてて「十字架につけよ、彼を十字架につけよ」と言いつづけた。 (J)

ルカの福音書 23:22 ピラトは三度目に彼らにむかって言った、「では、この人は、いったい、どんな悪事をしたのか。彼には死に当る罪は全くみとめられなかった。だから、むち打ってから彼をゆるしてやることにしよう」。 (J)

ルカの福音書 23:23 ところが、彼らは大声をあげて詰め寄り、イエスを十字架につけるように要求した。そして、その声が勝った。 (J)

ルカの福音書 23:24 ピラトはついに彼らの願いどおりにすることに決定した。 (J)

ルカの福音書 23:25 そして、暴動と殺人とのかどで獄に投ぜられた者の方を、彼らの要求に応じてゆるしてやり、イエスの方は彼らに引き渡して、その意のままにまかせた。 (J)

ルカの福音書 23:26 彼らがイエスをひいてゆく途中、シモンというクレネ人が郊外から出てきたのを捕えて十字架を負わせ、それをになってイエスのあとから行かせた。 (J)

ルカの福音書 23:27 大ぜいの民衆と、悲しみ嘆いてやまない女たちの群れとが、イエスに従って行った。 (J)

ルカの福音書 23:28 イエスは女たちの方に振りむいて言われた、「エルサレムの娘たちよ、わたしのために泣くな。むしろ、あなたがた自身のため、また自分の子供たちのために泣くがよい。 (J)

ルカの福音書 23:29 『不妊の女と子を産まなかった胎と、ふくませなかった乳房とは、さいわいだ』と言う日が、いまに来る。 (J)

ルカの福音書 23:30 そのとき、人々は山にむかって、われわれの上に倒れかかれと言い、また丘にむかって、われわれにおおいかぶされと言い出すであろう。 (J)

ルカの福音書 23:31 もし、生木でさえもそうされるなら、枯木はどうされることであろう」。 (J)

ルカの福音書 23:32 さて、イエスと共に刑を受けるために、ほかにふたりの犯罪人も引かれていった。 (J)

ルカの福音書 23:33 されこうべと呼ばれている所に着くと、人々はそこでイエスを十字架につけ、犯罪人たちも、ひとりは右に、ひとりは左に、十字架につけた。 (J)

ルカの福音書 23:34 そのとき、イエスは言われた、「父よ、彼らをおゆるしください。彼らは何をしているのか、わからずにいるのです」。人々はイエスの着物をくじ引きで分け合った。 (J)

ルカの福音書 23:35 民衆は立って見ていた。役人たちもあざ笑って言った、「彼は他人を救った。もし彼が神のキリスト、選ばれた者であるなら、自分自身を救うがよい」。 (J)

ルカの福音書 23:36 兵卒どももイエスをののしり、近寄ってきて酢いぶどう酒をさし出して言った、 (J)

ルカの福音書 23:37 「あなたがユダヤ人の王なら、自分を救いなさい」。 (J)

ルカの福音書 23:38 イエスの上には、「これはユダヤ人の王」と書いた札がかけてあった。 (J)

ルカの福音書 23:39 十字架にかけられた犯罪人のひとりが、「あなたはキリストではないか。それなら、自分を救い、またわれわれも救ってみよ」と、イエスに悪口を言いつづけた。 (J)

ルカの福音書 23:40 もうひとりは、それをたしなめて言った、「おまえは同じ刑を受けていながら、神を恐れないのか。 (J)

ルカの福音書 23:41 お互は自分のやった事のむくいを受けているのだから、こうなったのは当然だ。しかし、このかたは何も悪いことをしたのではない」。 (J)

ルカの福音書 23:42 そして言った、「イエスよ、あなたが御国の権威をもっておいでになる時には、わたしを思い出してください」。 (J)

ルカの福音書 23:43 イエスは言われた、「よく言っておくが、あなたはきょう、わたしと一緒にパラダイスにいるであろう」。 (J)

ルカの福音書 23:44 時はもう昼の十二時ごろであったが、太陽は光を失い、全地は暗くなって、三時に及んだ。 (J)

ルカの福音書 23:45 そして聖所の幕がまん中から裂けた。 (J)

ルカの福音書 23:46 そのとき、イエスは声高く叫んで言われた、「父よ、わたしの霊をみ手にゆだねます」。こう言ってついに息を引きとられた。 (J)

ルカの福音書 23:47 百卒長はこの有様を見て、神をあがめ、「ほんとうに、この人は正しい人であった」と言った。 (J)

ルカの福音書 23:48 この光景を見に集まってきた群衆も、これらの出来事を見て、みな胸を打ちながら帰って行った。 (J)

ルカの福音書 23:49 すべてイエスを知っていた者や、ガリラヤから従ってきた女たちも、遠い所に立って、これらのことを見ていた。 (J)

ルカの福音書 23:50 ここに、ヨセフという議員がいたが、善良で正しい人であった。 (J)

ルカの福音書 23:51 この人はユダヤの町アリマタヤの出身で、神の国を待ち望んでいた。彼は議会の議決や行動には賛成していなかった。 (J)

ルカの福音書 23:52 この人がピラトのところへ行って、イエスのからだの引取り方を願い出て、 (J)

ルカの福音書 23:53 それを取りおろして亜麻布に包み、まだだれも葬ったことのない、岩を掘って造った墓に納めた。 (J)

ルカの福音書 23:54 この日は準備の日であって、安息日が始まりかけていた。 (J)

ルカの福音書 23:55 イエスと一緒にガリラヤからきた女たちは、あとについてきて、その墓を見、またイエスのからだが納められる様子を見とどけた。 (J)

ルカの福音書 23:56 そして帰って、香料と香油とを用意した。 それからおきてに従って安息日を休んだ。 (J)

ルカの福音書 24:1 週の初めの日、夜明け前に、女たちは用意しておいた香料を携えて、墓に行った。 (J)

ルカの福音書 24:2 ところが、石が墓からころがしてあるので、 (J)

ルカの福音書 24:3 中にはいってみると、主イエスのからだが見当らなかった。 (J)

ルカの福音書 24:4 そのため途方にくれていると、見よ、輝いた衣を着たふたりの者が、彼らに現れた。 (J)

ルカの福音書 24:5 女たちは驚き恐れて、顔を地に伏せていると、このふたりの者が言った、「あなたがたは、なぜ生きた方を死人の中にたずねているのか。 (J)

ルカの福音書 24:6 そのかたは、ここにはおられない。よみがえられたのだ。まだガリラヤにおられたとき、あなたがたにお話しになったことを思い出しなさい。 (J)

ルカの福音書 24:7 すなわち、人の子は必ず罪人らの手に渡され、十字架につけられ、そして三日目によみがえる、と仰せられたではないか」。 (J)

ルカの福音書 24:8 そこで女たちはその言葉を思い出し、 (J)

ルカの福音書 24:9 墓から帰って、これらいっさいのことを、十一弟子や、その他みんなの人に報告した。 (J)

ルカの福音書 24:10 この女たちというのは、マグダラのマリヤ、ヨハンナ、およびヤコブの母マリヤであった。彼女たちと一緒にいたほかの女たちも、このことを使徒たちに話した。 (J)

ルカの福音書 24:11 ところが、使徒たちには、それが愚かな話のように思われて、それを信じなかった。〔 (J)

ルカの福音書 24:12 ペテロは立って墓へ走って行き、かがんで中を見ると、亜麻布だけがそこにあったので、事の次第を不思議に思いながら帰って行った。〕 (J)

ルカの福音書 24:13 この日、ふたりの弟子が、エルサレムから七マイルばかり離れたエマオという村へ行きながら、 (J)

ルカの福音書 24:14 このいっさいの出来事について互に語り合っていた。 (J)

ルカの福音書 24:15 語り合い論じ合っていると、イエスご自身が近づいてきて、彼らと一緒に歩いて行かれた。 (J)

ルカの福音書 24:16 しかし、彼らの目がさえぎられて、イエスを認めることができなかった。 (J)

ルカの福音書 24:17 イエスは彼らに言われた、「歩きながら互に語り合っているその話は、なんのことなのか」。彼らは悲しそうな顔をして立ちどまった。 (J)

ルカの福音書 24:18 そのひとりのクレオパという者が、答えて言った、「あなたはエルサレムに泊まっていながら、あなただけが、この都でこのごろ起ったことをご存じないのですか」。 (J)

ルカの福音書 24:19 「それは、どんなことか」と言われると、彼らは言った、「ナザレのイエスのことです。あのかたは、神とすべての民衆との前で、わざにも言葉にも力ある預言者でしたが、 (J)

ルカの福音書 24:20 祭司長たちや役人たちが、死刑に処するために引き渡し、十字架につけたのです。 (J)

ルカの福音書 24:21 わたしたちは、イスラエルを救うのはこの人であろうと、望みをかけていました。しかもその上に、この事が起ってから、きょうが三日目なのです。 (J)

ルカの福音書 24:22 ところが、わたしたちの仲間である数人の女が、わたしたちを驚かせました。というのは、彼らが朝早く墓に行きますと、 (J)

ルカの福音書 24:23 イエスのからだが見当らないので、帰ってきましたが、そのとき御使が現れて、『イエスは生きておられる』と告げたと申すのです。 (J)

ルカの福音書 24:24 それで、わたしたちの仲間が数人、墓に行って見ますと、果して女たちが言ったとおりで、イエスは見当りませんでした」。 (J)

ルカの福音書 24:25 そこでイエスが言われた、「ああ、愚かで心のにぶいため、預言者たちが説いたすべての事を信じられない者たちよ。 (J)

ルカの福音書 24:26 キリストは必ず、これらの苦難を受けて、その栄光に入るはずではなかったのか」。 (J)

ルカの福音書 24:27 こう言って、モーセやすべての預言者からはじめて、聖書全体にわたり、ご自身についてしるしてある事どもを、説きあかされた。 (J)

ルカの福音書 24:28 それから、彼らは行こうとしていた村に近づいたが、イエスがなお先へ進み行かれる様子であった。 (J)

ルカの福音書 24:29 そこで、しいて引き止めて言った、「わたしたちと一緒にお泊まり下さい。もう夕暮になっており、日もはや傾いています」。イエスは、彼らと共に泊まるために、家にはいられた。 (J)

ルカの福音書 24:30 一緒に食卓につかれたとき、パンを取り、祝福してさき、彼らに渡しておられるうちに、 (J)

ルカの福音書 24:31 彼らの目が開けて、それがイエスであることがわかった。すると、み姿が見えなくなった。 (J)

ルカの福音書 24:32 彼らは互に言った、「道々お話しになったとき、また聖書を説き明してくださったとき、お互の心が内に燃えたではないか」。 (J)

ルカの福音書 24:33 そして、すぐに立ってエルサレムに帰って見ると、十一弟子とその仲間が集まっていて、 (J)

ルカの福音書 24:34 「主は、ほんとうによみがえって、シモンに現れなさった」と言っていた。 (J)

ルカの福音書 24:35 そこでふたりの者は、途中であったことや、パンをおさきになる様子でイエスだとわかったことなどを話した。 (J)

ルカの福音書 24:36 こう話していると、イエスが彼らの中にお立ちになった。〔そして「やすかれ」と言われた。〕 (J)

ルカの福音書 24:37 彼らは恐れ驚いて、霊を見ているのだと思った。 (J)

ルカの福音書 24:38 そこでイエスが言われた、「なぜおじ惑っているのか。どうして心に疑いを起すのか。 (J)

ルカの福音書 24:39 わたしの手や足を見なさい。まさしくわたしなのだ。さわって見なさい。霊には肉や骨はないが、あなたがたが見るとおり、わたしにはあるのだ」。〔 (J)

ルカの福音書 24:40 こう言って、手と足とをお見せになった。〕 (J)

ルカの福音書 24:41 彼らは喜びのあまり、まだ信じられないで不思議に思っていると、イエスが「ここに何か食物があるか」と言われた。 (J)

ルカの福音書 24:42 彼らが焼いた魚の一きれをさしあげると、 (J)

ルカの福音書 24:43 イエスはそれを取って、みんなの前で食べられた。 (J)

ルカの福音書 24:44 それから彼らに対して言われた、「わたしが以前あなたがたと一緒にいた時分に話して聞かせた言葉は、こうであった。すなわち、モーセの律法と預言書と詩篇とに、わたしについて書いてあることは、必ずことごとく成就する」。 (J)

ルカの福音書 24:45 そこでイエスは、聖書を悟らせるために彼らの心を開いて (J)

ルカの福音書 24:46 言われた、「こう、しるしてある。キリストは苦しみを受けて、三日目に死人の中からよみがえる。 (J)

ルカの福音書 24:47 そして、その名によって罪のゆるしを得させる悔改めが、エルサレムからはじまって、もろもろの国民に宣べ伝えられる。 (J)

ルカの福音書 24:48 あなたがたは、これらの事の証人である。 (J)

ルカの福音書 24:49 見よ、わたしの父が約束されたものを、あなたがたに贈る。だから、上から力を授けられるまでは、あなたがたは都にとどまっていなさい」。 (J)

ルカの福音書 24:50 それから、イエスは彼らをベタニヤの近くまで連れて行き、手をあげて彼らを祝福された。 (J)

ルカの福音書 24:51 祝福しておられるうちに、彼らを離れて、〔天にあげられた。〕 (J)

ルカの福音書 24:52 彼らは〔イエスを拝し、〕非常な喜びをもってエルサレムに帰り、 (J)

ルカの福音書 24:53 絶えず宮にいて、神をほめたたえていた。 (J)

ヨハネの福音書 1:1 ¶ 初めに言があった。言は神と共にあった。言は神であった。 (J)

ヨハネの福音書 1:2 この言は初めに神と共にあった。 (J)

ヨハネの福音書 1:3 すべてのものは、これによってできた。できたもののうち、一つとしてこれによらないものはなかった。 (J)

ヨハネの福音書 1:4 この言に命があった。そしてこの命は人の光であった。 (J)

ヨハネの福音書 1:5 光はやみの中に輝いている。そして、やみはこれに勝たなかった。 (J)

ヨハネの福音書 1:6 ここにひとりの人があって、神からつかわされていた。その名をヨハネと言った。 (J)

ヨハネの福音書 1:7 この人はあかしのためにきた。光についてあかしをし、彼によってすべての人が信じるためである。 (J)

ヨハネの福音書 1:8 彼は光ではなく、ただ、光についてあかしをするためにきたのである。 (J)

ヨハネの福音書 1:9 すべての人を照すまことの光があって、世にきた。 (J)

ヨハネの福音書 1:10 彼は世にいた。そして、世は彼によってできたのであるが、世は彼を知らずにいた。 (J)

ヨハネの福音書 1:11 彼は自分のところにきたのに、自分の民は彼を受けいれなかった。 (J)

ヨハネの福音書 1:12 しかし、彼を受けいれた者、すなわち、その名を信じた人々には、彼は神の子となる力を与えたのである。 (J)

ヨハネの福音書 1:13 それらの人は、血すじによらず、肉の欲によらず、また、人の欲にもよらず、ただ神によって生れたのである。 (J)

ヨハネの福音書 1:14 そして言は肉体となり、わたしたちのうちに宿った。わたしたちはその栄光を見た。それは父のひとり子としての栄光であって、めぐみとまこととに満ちていた。 (J)

ヨハネの福音書 1:15 ヨハネは彼についてあかしをし、叫んで言った、「『わたしのあとに来るかたは、わたしよりもすぐれたかたである。わたしよりも先におられたからである』とわたしが言ったのは、この人のことである」。 (J)

ヨハネの福音書 1:16 わたしたちすべての者は、その満ち満ちているものの中から受けて、めぐみにめぐみを加えられた。 (J)

ヨハネの福音書 1:17 律法はモーセをとおして与えられ、めぐみとまこととは、イエス・キリストをとおしてきたのである。 (J)

ヨハネの福音書 1:18 神を見た者はまだひとりもいない。ただ父のふところにいるひとり子なる神だけが、神をあらわしたのである。 (J)

ヨハネの福音書 1:19 さて、ユダヤ人たちが、エルサレムから祭司たちやレビ人たちをヨハネのもとにつかわして、「あなたはどなたですか」と問わせたが、その時ヨハネが立てたあかしは、こうであった。 (J)

ヨハネの福音書 1:20 すなわち、彼は告白して否まず、「わたしはキリストではない」と告白した。 (J)

ヨハネの福音書 1:21 そこで、彼らは問うた、「それでは、どなたなのですか、あなたはエリヤですか」。彼は「いや、そうではない」と言った。「では、あの預言者ですか」。彼は「いいえ」と答えた。 (J)

ヨハネの福音書 1:22 そこで、彼らは言った、「あなたはどなたですか。わたしたちをつかわした人々に、答を持って行けるようにしていただきたい。あなた自身をだれだと考えるのですか」。 (J)

ヨハネの福音書 1:23 彼は言った、「わたしは、預言者イザヤが言ったように、『主の道をまっすぐにせよと荒野で呼ばわる者の声』である」。 (J)

ヨハネの福音書 1:24 つかわされた人たちは、パリサイ人であった。 (J)

ヨハネの福音書 1:25 彼らはヨハネに問うて言った、「では、あなたがキリストでもエリヤでもまたあの預言者でもないのなら、なぜバプテスマを授けるのですか」。 (J)

ヨハネの福音書 1:26 ヨハネは彼らに答えて言った、「わたしは水でバプテスマを授けるが、あなたがたの知らないかたが、あなたがたの中に立っておられる。 (J)

ヨハネの福音書 1:27 それがわたしのあとにあとにおいでになる方であって、わたしはその人のくつのひもを解く値うちもない」。 (J)

ヨハネの福音書 1:28 これらのことは、ヨハネがバプテスマを授けていたヨルダンの向こうのベタニヤであったのである。 (J)

ヨハネの福音書 1:29 その翌日、ヨハネはイエスが自分の方にこられるのを見て言った、「見よ、世の罪を取り除く神の小羊。 (J)

ヨハネの福音書 1:30 『わたしのあとに来るかたは、わたしよりもすぐれたかたである。わたしよりも先におられたからである』とわたしが言ったのは、この人のことである。 (J)

ヨハネの福音書 1:31 わたしはこのかたを知らなかった。しかし、このかたがイスラエルに現れてくださるそのことのために、わたしはきて、水でバプテスマを授けているのである」。 (J)

ヨハネの福音書 1:32 ヨハネはまたあかしをして言った、「わたしは、御霊がはとのように天から下って、彼の上にとどまるのを見た。 (J)

ヨハネの福音書 1:33 わたしはこの人を知らなかった。しかし、水でバプテスマを授けるようにと、わたしをおつかわしになったそのかたが、わたしに言われた、『ある人の上に、御霊が下ってとどまるのを見たら、その人こそは、御霊によってバプテスマを授けるかたである』。 (J)

ヨハネの福音書 1:34 わたしはそれを見たので、このかたこそ神の子であると、あかしをしたのである」。 (J)

ヨハネの福音書 1:35 その翌日、ヨハネはまたふたりの弟子たちと一緒に立っていたが、 (J)

ヨハネの福音書 1:36 イエスが歩いておられるのに目をとめて言った、「見よ、神の小羊」。 (J)

ヨハネの福音書 1:37 そのふたりの弟子は、ヨハネがそう言うのを聞いて、イエスについて行った。 (J)

ヨハネの福音書 1:38 イエスはふり向き、彼らがついてくるのを見て言われた、「何か願いがあるのか」。彼らは言った、「ラビ(訳して言えば、先生)どこにおとまりなのですか」。 (J)

ヨハネの福音書 1:39 イエスは彼らに言われた、「きてごらんなさい。そうしたらわかるだろう」。そこで彼らはついて行って、イエスの泊まっておられる所を見た。そして、その日はイエスのところに泊まった。時は午後四時ごろであった。 (J)

ヨハネの福音書 1:40 ヨハネから聞いて、イエスについて行ったふたりのうちのひとりは、シモン・ペテロの兄弟アンデレであった。 (J)

ヨハネの福音書 1:41 彼はまず自分の兄弟シモンに出会って言った、「わたしたちはメシヤ(訳せば、キリスト)にいま出会った」。 (J)

ヨハネの福音書 1:42 そしてシモンをイエスのもとにつれてきた。イエスは彼に目をとめて言われた、「あなたはヨハネの子シモンである。あなたをケパ(訳せば、ペテロ)と呼ぶことにする」。 (J)

ヨハネの福音書 1:43 その翌日、イエスはガリラヤに行こうとされたが、ピリポに出会って言われた、「わたしに従ってきなさい」。 (J)

ヨハネの福音書 1:44 ピリポは、アンデレとペテロとの町ベツサイダの人であった。 (J)

ヨハネの福音書 1:45 このピリポがナタナエルに出会って言った、「わたしたちは、モーセが律法の中にしるしており、預言者たちがしるしていた人、ヨセフの子、ナザレのイエスにいま出会った」。 (J)

ヨハネの福音書 1:46 ナタナエルは彼に言った、「ナザレから、なんのよいものが出ようか」。ピリポは彼に言った、「きて見なさい」。 (J)

ヨハネの福音書 1:47 イエスはナタナエルが自分の方に来るのを見て、彼について言われた、「見よ、あの人こそ、ほんとうのイスラエル人である。その心には偽りがない」。 (J)

ヨハネの福音書 1:48 ナタナエルは言った、「どうしてわたしをご存じなのですか」。イエスは答えて言われた、「ピリポがあなたを呼ぶ前に、わたしはあなたが、いちじくの木の下にいるのを見た」。 (J)

ヨハネの福音書 1:49 ナタナエルは答えた、「先生、あなたは神の子です。あなたはイスラエルの王です」。 (J)

ヨハネの福音書 1:50 イエスは答えて言われた、「あなたが、いちじくの木の下にいるのを見たと、わたしが言ったので信じるのか。これよりも、もっと大きなことを、あなたは見るであろう」。 (J)

ヨハネの福音書 1:51 また言われた、「よくよくあなたがたに言っておく。天が開けて、神の御使たちが人の子の上に上り下りするのを、あなたがたは見るであろう」。 (J)

ヨハネの福音書 2:1 三日目にガリラヤのカナに婚礼があって、イエスの母がそこにいた。 (J)

ヨハネの福音書 2:2 イエスも弟子たちも、その婚礼に招かれた。 (J)

ヨハネの福音書 2:3 ぶどう酒がなくなったので、母はイエスに言った、「ぶどう酒がなくなってしまいました」。 (J)

ヨハネの福音書 2:4 イエスは母に言われた、「婦人よ、あなたは、わたしと、なんの係わりがありますか。わたしの時は、まだきていません」。 (J)

ヨハネの福音書 2:5 母は僕たちに言った、「このかたが、あなたがたに言いつけることは、なんでもして下さい」。 (J)

ヨハネの福音書 2:6 そこには、ユダヤ人のきよめのならわしに従って、それぞれ四、五斗もはいる石の水がめが、六つ置いてあった。 (J)

ヨハネの福音書 2:7 イエスは彼らに「かめに水をいっぱい入れなさい」と言われたので、彼らは口のところまでいっぱいに入れた。 (J)

ヨハネの福音書 2:8 そこで彼らに言われた、「さあ、くんで、料理がしらのところに持って行きなさい」。すると、彼らは持って行った。 (J)

ヨハネの福音書 2:9 料理がしらは、ぶどう酒になった水をなめてみたが、それがどこからきたのか知らなかったので、(水をくんだ僕たちは知っていた)花婿を呼んで (J)

ヨハネの福音書 2:10 言った、「どんな人でも、初めによいぶどう酒を出して、酔いがまわったころにわるいのを出すものだ。それだのに、あなたはよいぶどう酒を今までとっておかれました」。 (J)

ヨハネの福音書 2:11 イエスは、この最初のしるしをガリラヤのカナで行い、その栄光を現された。そして弟子たちはイエスを信じた。 (J)

ヨハネの福音書 2:12 そののち、イエスは、その母、兄弟たち、弟子たちと一緒に、カペナウムに下って、幾日かそこにとどまられた。 (J)

ヨハネの福音書 2:13 さて、ユダヤ人の過越の祭が近づいたので、イエスはエルサレムに上られた。 (J)

ヨハネの福音書 2:14 そして牛、羊、はとを売る者や両替する者などが宮の庭にすわり込んでいるのをごらんになって、 (J)

ヨハネの福音書 2:15 なわでむちを造り、羊も牛もみな宮から追いだし、両替人の金を散らし、その台をひっくりかえし、 (J)

ヨハネの福音書 2:16 はとを売る人々には「これらのものを持って、ここから出て行け。わたしの父の家を商売の家とするな」と言われた。 (J)

ヨハネの福音書 2:17 弟子たちは、「あなたの家を思う熱心が、わたしを食いつくすであろう」と書いてあることを思い出した。 (J)

ヨハネの福音書 2:18 そこで、ユダヤ人はイエスに言った、「こんなことをするからには、どんなしるしをわたしたちに見せてくれますか」。 (J)

ヨハネの福音書 2:19 イエスは彼らに答えて言われた、「この神殿をこわしたら、わたしは三日のうちに、それを起すであろう」。 (J)

ヨハネの福音書 2:20 そこで、ユダヤ人たちは言った、「この神殿を建てるのには、四十六年もかかっています。それだのに、あなたは三日のうちに、それを建てるのですか」。 (J)

ヨハネの福音書 2:21 イエスは自分のからだである神殿のことを言われたのである。 (J)

ヨハネの福音書 2:22 それで、イエスが死人の中からよみがえったとき、弟子たちはイエスがこう言われたことを思い出して、聖書とイエスのこの言葉とを信じた。 (J)

ヨハネの福音書 2:23 過越の祭の間、イエスがエルサレムに滞在しておられたとき、多くの人々は、その行われたしるしを見て、イエスの名を信じた。 (J)

ヨハネの福音書 2:24 しかしイエスご自身は、彼らに自分をお任せにならなかった。それは、すべての人を知っておられ、 (J)

ヨハネの福音書 2:25 また人についてあかしする者を、必要とされなかったからである。それは、ご自身人の心の中にあることを知っておられたからである。 (J)

ヨハネの福音書 3:1 パリサイ人のひとりで、その名をニコデモというユダヤ人の指導者があった。 (J)

ヨハネの福音書 3:2 この人が夜イエスのもとにきて言った、「先生、わたしたちはあなたが神からこられた教師であることを知っています。神がご一緒でないなら、あなたがなさっておられるようなしるしは、だれにもできはしません」。 (J)

ヨハネの福音書 3:3 イエスは答えて言われた、「よくよくあなたに言っておく。だれでも新しく生れなければ、神の国を見ることはできない」。 (J)

ヨハネの福音書 3:4 ニコデモは言った、「人は年をとってから生れることが、どうしてできますか。もう一度、母の胎にはいって生れることができましょうか」。 (J)

ヨハネの福音書 3:5 イエスは答えられた、「よくよくあなたに言っておく。だれでも、水と霊とから生れなければ、神の国にはいることはできない。 (J)

ヨハネの福音書 3:6 肉から生れる者は肉であり、霊から生れる者は霊である。 (J)

ヨハネの福音書 3:7 あなたがたは新しく生れなければならないと、わたしが言ったからとて、不思議に思うには及ばない。 (J)

ヨハネの福音書 3:8 風は思いのままに吹く。あなたはその音を聞くが、それがどこからきて、どこへ行くかは知らない。霊から生れる者もみな、それと同じである」。 (J)

ヨハネの福音書 3:9 ニコデモはイエスに答えて言った、「どうして、そんなことがあり得ましょうか」。 (J)

ヨハネの福音書 3:10 イエスは彼に答えて言われた、「あなたはイスラエルの教師でありながら、これぐらいのことがわからないのか。 (J)

ヨハネの福音書 3:11 よくよく言っておく。わたしたちは自分の知っていることを語り、また自分の見たことをあかししているのに、あなたがたはわたしたちのあかしを受けいれない。 (J)

ヨハネの福音書 3:12 わたしが地上のことを語っているのに、あなたがたが信じないならば、天上のことを語った場合、どうしてそれを信じるだろうか。 (J)

ヨハネの福音書 3:13 天から下ってきた者、すなわち人の子のほかには、だれも天に上った者はない。 (J)

ヨハネの福音書 3:14 そして、ちょうどモーセが荒野でへびを上げたように、人の子もまた上げられなければならない。 (J)

ヨハネの福音書 3:15 それは彼を信じる者が、すべて永遠の命を得るためである」。 (J)

ヨハネの福音書 3:16 神はそのひとり子を賜わったほどに、この世を愛して下さった。それは御子を信じる者がひとりも滅びないで、永遠の命を得るためである。 (J)

ヨハネの福音書 3:17 神が御子を世につかわされたのは、世をさばくためではなく、御子によって、この世が救われるためである。 (J)

ヨハネの福音書 3:18 彼を信じる者は、さばかれない。信じない者は、すでにさばかれている。神のひとり子の名を信じることをしないからである。 (J)

ヨハネの福音書 3:19 そのさばきというのは、光がこの世にきたのに、人々はそのおこないが悪いために、光よりもやみの方を愛したことである。 (J)

ヨハネの福音書 3:20 悪を行っている者はみな光を憎む。そして、そのおこないが明るみに出されるのを恐れて、光にこようとはしない。 (J)

ヨハネの福音書 3:21 しかし、真理を行っている者は光に来る。その人のおこないの、神にあってなされたということが、明らかにされるためである。 (J)

ヨハネの福音書 3:22 こののち、イエスは弟子たちとユダヤの地に行き、彼らと一緒にそこに滞在して、バプテスマを授けておられた。 (J)

ヨハネの福音書 3:23 ヨハネもサリムに近いアイノンで、バプテスマを授けていた。そこには水がたくさんあったからである。人々がぞくぞくとやってきてバプテスマを受けていた。 (J)

ヨハネの福音書 3:24 そのとき、ヨハネはまだ獄に入れられてはいなかった。 (J)

ヨハネの福音書 3:25 ところが、ヨハネの弟子たちとひとりのユダヤ人との間に、きよめのことで争論が起った。 (J)

ヨハネの福音書 3:26 そこで彼らはヨハネのところにきて言った、「先生、ごらん下さい。ヨルダンの向こうであなたと一緒にいたことがあり、そして、あなたがあかしをしておられたあのかたが、バプテスマを授けており、皆の者が、そのかたのところへ出かけています」。 (J)

ヨハネの福音書 3:27 ヨハネは答えて言った、「人は天から与えられなければ、何ものも受けることはできない。 (J)

ヨハネの福音書 3:28 『わたしはキリストではなく、そのかたよりも先につかわされた者である』と言ったことをあかししてくれるのは、あなたがた自身である。 (J)

ヨハネの福音書 3:29 花嫁をもつ者は花婿である。花婿の友人は立って彼の声を聞き、その声を聞いて大いに喜ぶ。こうして、この喜びはわたしに満ち足りている。 (J)

ヨハネの福音書 3:30 彼は必ず栄え、わたしは衰える。 (J)

ヨハネの福音書 3:31 上から来る者は、すべてのものの上にある。地から出る者は、地に属する者であって、地のことを語る。天から来る者は、すべてのものの上にある。 (J)

ヨハネの福音書 3:32 彼はその見たところ、聞いたところをあかししているが、だれもそのあかしを受けいれない。 (J)

ヨハネの福音書 3:33 しかし、そのあかしを受けいれる者は、神がまことであることを、たしかに認めたのである。 (J)

ヨハネの福音書 3:34 神がおつかわしになったかたは、神の言葉を語る。神は聖霊を限りなく賜うからである。 (J)

ヨハネの福音書 3:35 父は御子を愛して、万物をその手にお与えになった。 (J)

ヨハネの福音書 3:36 御子を信じる者は永遠の命をもつ。御子に従わない者は、命にあずかることがないばかりか、神の怒りがその上にとどまるのである」。 (J)

ヨハネの福音書 4:1 イエスが、ヨハネよりも多く弟子をつくり、またバプテスマを授けておられるということを、パリサイ人たちが聞き、それを主が知られたとき、 (J)

ヨハネの福音書 4:2 (しかし、イエスみずからが、バプテスマをお授けになったのではなく、その弟子たちであった) (J)

ヨハネの福音書 4:3 ユダヤを去って、またガリラヤへ行かれた。 (J)

ヨハネの福音書 4:4 しかし、イエスはサマリヤを通過しなければならなかった。 (J)

ヨハネの福音書 4:5 そこで、イエスはサマリヤのスカルという町においでになった。この町は、ヤコブがその子ヨセフに与えた土地の近くにあったが、 (J)

ヨハネの福音書 4:6 そこにヤコブの井戸があった。イエスは旅の疲れを覚えて、そのまま、この井戸のそばにすわっておられた。時は昼の十二時ごろであった。 (J)

ヨハネの福音書 4:7 ひとりのサマリヤの女が水をくみにきたので、イエスはこの女に、「水を飲ませて下さい」と言われた。 (J)

ヨハネの福音書 4:8 弟子たちは食物を買いに町に行っていたのである。 (J)

ヨハネの福音書 4:9 すると、サマリヤの女はイエスに言った、「あなたはユダヤ人でありながら、どうしてサマリヤの女のわたしに、飲ませてくれとおっしゃるのですか」。これは、ユダヤ人はサマリヤ人と交際していなかったからである。 (J)

ヨハネの福音書 4:10 イエスは答えて言われた、「もしあなたが神の賜物のことを知り、また、『水を飲ませてくれ』と言った者が、だれであるか知っていたならば、あなたの方から願い出て、その人から生ける水をもらったことであろう」。 (J)

ヨハネの福音書 4:11 女はイエスに言った、「主よ、あなたは、くむ物をお持ちにならず、その上、井戸は深いのです。その生ける水を、どこから手に入れるのですか。 (J)

ヨハネの福音書 4:12 あなたは、この井戸を下さったわたしたちの父ヤコブよりも、偉いかたなのですか。ヤコブ自身も飲み、その子らも、その家畜も、この井戸から飲んだのですが」。 (J)

ヨハネの福音書 4:13 イエスは女に答えて言われた、「この水を飲む者はだれでも、またかわくであろう。 (J)

ヨハネの福音書 4:14 しかし、わたしが与える水を飲む者は、いつまでも、かわくことがないばかりか、わたしが与える水は、その人のうちで泉となり、永遠の命に至る水が、わきあがるであろう」。 (J)

ヨハネの福音書 4:15 女はイエスに言った、「主よ、わたしがかわくことがなく、また、ここにくみにこなくてもよいように、その水をわたしに下さい」。 (J)

ヨハネの福音書 4:16 イエスは女に言われた、「あなたの夫を呼びに行って、ここに連れてきなさい」。 (J)

ヨハネの福音書 4:17 女は答えて言った、「わたしには夫はありません」。イエスは女に言われた、「夫がないと言ったのは、もっともだ。 (J)

ヨハネの福音書 4:18 あなたには五人の夫があったが、今のはあなたの夫ではない。あなたの言葉のとおりである」。 (J)

ヨハネの福音書 4:19 女はイエスに言った、「主よ、わたしはあなたを預言者と見ます。 (J)

ヨハネの福音書 4:20 わたしたちの先祖は、この山で礼拝をしたのですが、あなたがたは礼拝すべき場所は、エルサレムにあると言っています」。 (J)

ヨハネの福音書 4:21 イエスは女に言われた、「女よ、わたしの言うことを信じなさい。あなたがたが、この山でも、またエルサレムでもない所で、父を礼拝する時が来る。 (J)

ヨハネの福音書 4:22 あなたがたは自分の知らないものを拝んでいるが、わたしたちは知っているかたを礼拝している。救はユダヤ人から来るからである。 (J)

ヨハネの福音書 4:23 しかし、まことの礼拝をする者たちが、霊とまこととをもって父を礼拝する時が来る。そうだ、今きている。父は、このような礼拝をする者たちを求めておられるからである。 (J)

ヨハネの福音書 4:24 神は霊であるから、礼拝をする者も、霊とまこととをもって礼拝すべきである」。 (J)

ヨハネの福音書 4:25 女はイエスに言った、「わたしは、キリストと呼ばれるメシヤがこられることを知っています。そのかたがこられたならば、わたしたちに、いっさいのことを知らせて下さるでしょう」。 (J)

ヨハネの福音書 4:26 イエスは女に言われた、「あなたと話をしているこのわたしが、それである」。 (J)

ヨハネの福音書 4:27 そのとき、弟子たちが帰って来て、イエスがひとりの女と話しておられるのを見て不思議に思ったが、しかし、「何を求めておられますか」とも、「何を彼女と話しておられるのですか」とも、尋ねる者はひとりもなかった。 (J)

ヨハネの福音書 4:28 この女は水がめをそのままそこに置いて町に行き、人々に言った、 (J)

ヨハネの福音書 4:29 「わたしのしたことを何もかも、言いあてた人がいます。さあ、見にきてごらんなさい。もしかしたら、この人がキリストかも知れません」。 (J)

ヨハネの福音書 4:30 人々は町を出て、ぞくぞくとイエスのところへ行った。 (J)

ヨハネの福音書 4:31 その間に弟子たちはイエスに、「先生、召しあがってください」とすすめた。 (J)

ヨハネの福音書 4:32 ところが、イエスは言われた、「わたしには、あなたがたの知らない食物がある」。 (J)

ヨハネの福音書 4:33 そこで、弟子たちが互に言った、「だれかが、何か食べるものを持ってきてさしあげたのであろうか」。 (J)

ヨハネの福音書 4:34 イエスは彼らに言われた、「わたしの食物というのは、わたしをつかわされたかたのみこころを行い、そのみわざをなし遂げることである。 (J)

ヨハネの福音書 4:35 あなたがたは、刈入れ時が来るまでには、まだ四か月あると、言っているではないか。しかし、わたしはあなたがたに言う。目をあげて畑を見なさい。はや色づいて刈入れを待っている。 (J)

ヨハネの福音書 4:36 刈る者は報酬を受けて、永遠の命に至る実を集めている。まく者も刈る者も、共々に喜ぶためである。 (J)

ヨハネの福音書 4:37 そこで、『ひとりがまき、ひとりが刈る』ということわざが、ほんとうのこととなる。 (J)

ヨハネの福音書 4:38 わたしは、あなたがたをつかわして、あなたがたがそのために労苦しなかったものを刈りとらせた。ほかの人々が労苦し、あなたがたは、彼らの労苦の実にあずかっているのである」。 (J)

ヨハネの福音書 4:39 さて、この町からきた多くのサマリヤ人は、「この人は、わたしのしたことを何もかも言いあてた」とあかしした女の言葉によって、イエスを信じた。 (J)

ヨハネの福音書 4:40 そこで、サマリヤ人たちはイエスのもとにきて、自分たちのところに滞在していただきたいと願ったので、イエスはそこにふつか滞在された。 (J)

ヨハネの福音書 4:41 そしてなお多くの人々が、イエスの言葉を聞いて信じた。 (J)

ヨハネの福音書 4:42 彼らは女に言った、「わたしたちが信じるのは、もうあなたが話してくれたからではない。自分自身で親しく聞いて、この人こそまことに世の救主であることが、わかったからである」。 (J)

ヨハネの福音書 4:43 ふつかの後に、イエスはここを去ってガリラヤへ行かれた。 (J)

ヨハネの福音書 4:44 イエスはみずからはっきり、「預言者は自分の故郷では敬われないものだ」と言われたのである。 (J)

ヨハネの福音書 4:45 ガリラヤに着かれると、ガリラヤの人たちはイエスを歓迎した。それは、彼らも祭に行っていたので、その祭の時、イエスがエルサレムでなされたことをことごとく見ていたからである。 (J)

ヨハネの福音書 4:46 イエスは、またガリラヤのカナに行かれた。そこは、かつて水をぶどう酒にかえられた所である。ところが、病気をしているむすこを持つある役人がカペナウムにいた。 (J)

ヨハネの福音書 4:47 この人が、ユダヤからガリラヤにイエスのきておられることを聞き、みもとにきて、カペナウムに下って、彼の子をなおしていただきたいと、願った。その子が死にかかっていたからである。 (J)

ヨハネの福音書 4:48 そこで、イエスは彼に言われた、「あなたがたは、しるしと奇跡とを見ない限り、決して信じないだろう」。 (J)

ヨハネの福音書 4:49 この役人はイエスに言った、「主よ、どうぞ、子供が死なないうちにきて下さい」。 (J)

ヨハネの福音書 4:50 イエスは彼に言われた、「お帰りなさい。あなたのむすこは助かるのだ」。彼は自分に言われたイエスの言葉を信じて帰って行った。 (J)

ヨハネの福音書 4:51 その下って行く途中、僕たちが彼に出会い、その子が助かったことを告げた。 (J)

ヨハネの福音書 4:52 そこで、彼は僕たちに、そのなおりはじめた時刻を尋ねてみたら、「きのうの午後一時に熱が引きました」と答えた。 (J)

ヨハネの福音書 4:53 それは、イエスが「あなたのむすこは助かるのだ」と言われたのと同じ時刻であったことを、この父は知って、彼自身もその家族一同も信じた。 (J)

ヨハネの福音書 4:54 これは、イエスがユダヤからガリラヤにきてなされた第二のしるしである。 (J)

ヨハネの福音書 5:1 こののち、ユダヤ人の祭があったので、イエスはエルサレムに上られた。 (J)

ヨハネの福音書 5:2 エルサレムにある羊の門のそばに、ヘブル語でベテスダと呼ばれる池があった。そこには五つの廊があった。 (J)

ヨハネの福音書 5:3 その廊の中には、病人、盲人、足なえ、やせ衰えた者などが、大ぜいからだを横たえていた。〔彼らは水の動くのを待っていたのである。 (J)

ヨハネの福音書 5:4 それは、時々、主の御使がこの池に降りてきて水を動かすことがあるが、水が動いた時まっ先にはいる者は、どんな病気にかかっていても、いやされたからである。〕 (J)

ヨハネの福音書 5:5 さて、そこに三十八年のあいだ、病気に悩んでいる人があった。 (J)

ヨハネの福音書 5:6 イエスはその人が横になっているのを見、また長い間わずらっていたのを知って、その人に「なおりたいのか」と言われた。 (J)

ヨハネの福音書 5:7 この病人はイエスに答えた、「主よ、水が動く時に、わたしを池の中に入れてくれる人がいません。わたしがはいりかけると、ほかの人が先に降りて行くのです」。 (J)

ヨハネの福音書 5:8 イエスは彼に言われた、「起きて、あなたの床を取りあげ、そして歩きなさい」。 (J)

ヨハネの福音書 5:9 すると、この人はすぐにいやされ、床をとりあげて歩いて行った。 その日は安息日であった。 (J)

ヨハネの福音書 5:10 そこでユダヤ人たちは、そのいやされた人に言った、「きょうは安息日だ。床を取りあげるのは、よろしくない」。 (J)

ヨハネの福音書 5:11 彼は答えた、「わたしをなおして下さったかたが、床を取りあげて歩けと、わたしに言われました」。 (J)

ヨハネの福音書 5:12 彼らは尋ねた、「取りあげて歩けと言った人は、だれか」。 (J)

ヨハネの福音書 5:13 しかし、このいやされた人は、それがだれであるか知らなかった。群衆がその場にいたので、イエスはそっと出て行かれたからである。 (J)

ヨハネの福音書 5:14 そののち、イエスは宮でその人に出会ったので、彼に言われた、「ごらん、あなたはよくなった。もう罪を犯してはいけない。何かもっと悪いことが、あなたの身に起るかも知れないから」。 (J)

ヨハネの福音書 5:15 彼は出て行って、自分をいやしたのはイエスであったと、ユダヤ人たちに告げた。 (J)

ヨハネの福音書 5:16 そのためユダヤ人たちは、安息日にこのようなことをしたと言って、イエスを責めた。 (J)

ヨハネの福音書 5:17 そこで、イエスは彼らに答えられた、「わたしの父は今に至るまで働いておられる。わたしも働くのである」。 (J)

ヨハネの福音書 5:18 このためにユダヤ人たちは、ますますイエスを殺そうと計るようになった。それは、イエスが安息日を破られたばかりではなく、神を自分の父と呼んで、自分を神と等しいものとされたからである。 (J)

ヨハネの福音書 5:19 さて、イエスは彼らに答えて言われた、「よくよくあなたがたに言っておく。子は父のなさることを見てする以外に、自分からは何事もすることができない。父のなさることであればすべて、子もそのとおりにするのである。 (J)

ヨハネの福音書 5:20 なぜなら、父は子を愛して、みずからなさることは、すべて子にお示しになるからである。そして、それよりもなお大きなわざを、お示しになるであろう。あなたがたが、それによって不思議に思うためである。 (J)

ヨハネの福音書 5:21 すなわち、父が死人を起して命をお与えになるように、子もまた、そのこころにかなう人々に命を与えるであろう。 (J)

ヨハネの福音書 5:22 父はだれをもさばかない。さばきのことはすべて、子にゆだねられたからである。 (J)

ヨハネの福音書 5:23 それは、すべての人が父を敬うと同様に、子を敬うためである。子を敬わない者は、子をつかわされた父をも敬わない。 (J)

ヨハネの福音書 5:24 よくよくあなたがたに言っておく。わたしの言葉を聞いて、わたしをつかわされたかたを信じる者は、永遠の命を受け、またさばかれることがなく、死から命に移っているのである。 (J)

ヨハネの福音書 5:25 よくよくあなたがたに言っておく。死んだ人たちが、神の子の声を聞く時が来る。今すでにきている。そして聞く人は生きるであろう。 (J)

ヨハネの福音書 5:26 それは、父がご自分のうちに生命をお持ちになっていると同様に、子にもまた、自分のうちに生命を持つことをお許しになったからである。 (J)

ヨハネの福音書 5:27 そして子は人の子であるから、子にさばきを行う権威をお与えになった。 (J)

ヨハネの福音書 5:28 このことを驚くには及ばない。墓の中にいる者たちがみな神の子の声を聞き、 (J)

ヨハネの福音書 5:29 善をおこなった人々は、生命を受けるためによみがえり、悪をおこなった人々は、さばきを受けるためによみがえって、それぞれ出てくる時が来るであろう。 (J)

ヨハネの福音書 5:30 わたしは、自分からは何事もすることができない。ただ聞くままにさばくのである。そして、わたしのこのさばきは正しい。それは、わたし自身の考えでするのではなく、わたしをつかわされたかたの、み旨を求めているからである。 (J)

ヨハネの福音書 5:31 もし、わたしが自分自身についてあかしをするならば、わたしのあかしはほんとうではない。 (J)

ヨハネの福音書 5:32 わたしについてあかしをするかたはほかにあり、そして、その人がするあかしがほんとうであることを、わたしは知っている。 (J)

ヨハネの福音書 5:33 あなたがたはヨハネのもとへ人をつかわしたが、そのとき彼は真理についてあかしをした。 (J)

ヨハネの福音書 5:34 わたしは人からあかしを受けないが、このことを言うのは、あなたがたが救われるためである。 (J)

ヨハネの福音書 5:35 ヨハネは燃えて輝くあかりであった。あなたがたは、しばらくの間その光を喜び楽しもうとした。 (J)

ヨハネの福音書 5:36 しかし、わたしには、ヨハネのあかしよりも、もっと力あるあかしがある。父がわたしに成就させようとしてお与えになったわざ、すなわち、今わたしがしているこのわざが、父のわたしをつかわされたことをあかししている。 (J)

ヨハネの福音書 5:37 また、わたしをつかわされた父も、ご自分でわたしについてあかしをされた。あなたがたは、まだそのみ声を聞いたこともなく、そのみ姿を見たこともない。 (J)

ヨハネの福音書 5:38 また、神がつかわされた者を信じないから、神の御言はあなたがたのうちにとどまっていない。 (J)

ヨハネの福音書 5:39 あなたがたは、聖書の中に永遠の命があると思って調べているが、この聖書は、わたしについてあかしをするものである。 (J)

ヨハネの福音書 5:40 しかも、あなたがたは、命を得るためにわたしのもとにこようともしない。 (J)

ヨハネの福音書 5:41 わたしは人からの誉を受けることはしない。 (J)

ヨハネの福音書 5:42 しかし、あなたがたのうちには神を愛する愛がないことを知っている。 (J)

ヨハネの福音書 5:43 わたしは父の名によってきたのに、あなたがたはわたしを受けいれない。もし、ほかの人が彼自身の名によって来るならば、その人を受けいれるのであろう。 (J)

ヨハネの福音書 5:44 互に誉を受けながら、ただひとりの神からの誉を求めようとしないあなたがたは、どうして信じることができようか。 (J)

ヨハネの福音書 5:45 わたしがあなたがたのことを父に訴えると、考えてはいけない。あなたがたを訴える者は、あなたがたが頼みとしているモーセその人である。 (J)

ヨハネの福音書 5:46 もし、あなたがたがモーセを信じたならば、わたしをも信じたであろう。モーセは、わたしについて書いたのである。 (J)

ヨハネの福音書 5:47 しかし、モーセの書いたものを信じないならば、どうしてわたしの言葉を信じるだろうか」。 (J)

ヨハネの福音書 6:1 そののち、イエスはガリラヤの海、すなわち、テベリヤ湖の向こう岸へ渡られた。 (J)

ヨハネの福音書 6:2 すると、大ぜいの群衆がイエスについてきた。病人たちになさっていたしるしを見たからである。 (J)

ヨハネの福音書 6:3 イエスは山に登って、弟子たちと一緒にそこで座につかれた。 (J)

ヨハネの福音書 6:4 時に、ユダヤ人の祭である過越が間近になっていた。 (J)

ヨハネの福音書 6:5 イエスは目をあげ、大ぜいの群衆が自分の方に集まって来るのを見て、ピリポに言われた、「どこからパンを買ってきて、この人々に食べさせようか」。 (J)

ヨハネの福音書 6:6 これはピリポをためそうとして言われたのであって、ご自分ではしようとすることを、よくご承知であった。 (J)

ヨハネの福音書 6:7 すると、ピリポはイエスに答えた、「二百デナリのパンがあっても、めいめいが少しずついただくにも足りますまい」。 (J)

ヨハネの福音書 6:8 弟子のひとり、シモン・ペテロの兄弟アンデレがイエスに言った、 (J)

ヨハネの福音書 6:9 「ここに、大麦のパン五つと、さかな二ひきとを持っている子供がいます。しかし、こんなに大ぜいの人では、それが何になりましょう」。 (J)

ヨハネの福音書 6:10 イエスは「人々をすわらせなさい」と言われた。その場所には草が多かった。そこにすわった男の数は五千人ほどであった。 (J)

ヨハネの福音書 6:11 そこで、イエスはパンを取り、感謝してから、すわっている人々に分け与え、また、さかなをも同様にして、彼らの望むだけ分け与えられた。 (J)

ヨハネの福音書 6:12 人々がじゅうぶんに食べたのち、イエスは弟子たちに言われた、「少しでもむだにならないように、パンくずのあまりを集めなさい」。 (J)

ヨハネの福音書 6:13 そこで彼らが集めると、五つの大麦のパンを食べて残ったパンくずは、十二のかごにいっぱいになった。 (J)

ヨハネの福音書 6:14 人々はイエスのなさったこのしるしを見て、「ほんとうに、この人こそ世にきたるべき預言者である」と言った。 (J)

ヨハネの福音書 6:15 イエスは人々がきて、自分をとらえて王にしようとしていると知って、ただひとり、また山に退かれた。 (J)

ヨハネの福音書 6:16 夕方になったとき、弟子たちは海べに下り、 (J)

ヨハネの福音書 6:17 舟に乗って海を渡り、向こう岸のカペナウムに行きかけた。すでに暗くなっていたのに、イエスはまだ彼らのところにおいでにならなかった。 (J)

ヨハネの福音書 6:18 その上、強い風が吹いてきて、海は荒れ出した。 (J)

ヨハネの福音書 6:19 四、五十丁こぎ出したとき、イエスが海の上を歩いて舟に近づいてこられるのを見て、彼らは恐れた。 (J)

ヨハネの福音書 6:20 すると、イエスは彼らに言われた、「わたしだ、恐れることはない」。 (J)

ヨハネの福音書 6:21 そこで、彼らは喜んでイエスを舟に迎えようとした。すると舟は、すぐ、彼らが行こうとしていた地に着いた。 (J)

ヨハネの福音書 6:22 その翌日、海の向こう岸に立っていた群衆は、そこに小舟が一そうしかなく、またイエスは弟子たちと一緒に小舟にお乗りにならず、ただ弟子たちだけが船出したのを見た。 (J)

ヨハネの福音書 6:23 しかし、数そうの小舟がテベリヤからきて、主が感謝されたのちパンを人々に食べさせた場所に近づいた。 (J)

ヨハネの福音書 6:24 群衆は、イエスも弟子たちもそこにいないと知って、それらの小舟に乗り、イエスをたずねてカペナウムに行った。 (J)

ヨハネの福音書 6:25 そして、海の向こう岸でイエスに出会ったので言った、「先生、いつ、ここにおいでになったのですか」。 (J)

ヨハネの福音書 6:26 イエスは答えて言われた、「よくよくあなたがたに言っておく。あなたがたがわたしを尋ねてきているのは、しるしを見たためではなく、パンを食べて満腹したからである。 (J)

ヨハネの福音書 6:27 朽ちる食物のためではなく、永遠の命に至る朽ちない食物のために働くがよい。これは人の子があなたがたに与えるものである。父なる神は、人の子にそれをゆだねられたのである」。 (J)

ヨハネの福音書 6:28 そこで、彼らはイエスに言った、「神のわざを行うために、わたしたちは何をしたらよいでしょうか」。 (J)

ヨハネの福音書 6:29 イエスは彼らに答えて言われた、「神がつかわされた者を信じることが、神のわざである」。 (J)

ヨハネの福音書 6:30 彼らはイエスに言った、「わたしたちが見てあなたを信じるために、どんなしるしを行って下さいますか。どんなことをして下さいますか。 (J)

ヨハネの福音書 6:31 わたしたちの先祖は荒野でマナを食べました。それは『天よりのパンを彼らに与えて食べさせた』と書いてあるとおりです」。 (J)

ヨハネの福音書 6:32 そこでイエスは彼らに言われた、「よくよく言っておく。天からのパンをあなたがたに与えたのは、モーセではない。天からのまことのパンをあなたがたに与えるのは、わたしの父なのである。 (J)

ヨハネの福音書 6:33 神のパンは、天から下ってきて、この世に命を与えるものである」。 (J)

ヨハネの福音書 6:34 彼らはイエスに言った、「主よ、そのパンをいつもわたしたちに下さい」。 (J)

ヨハネの福音書 6:35 イエスは彼らに言われた、「わたしが命のパンである。わたしに来る者は決して飢えることがなく、わたしを信じる者は決してかわくことがない。 (J)

ヨハネの福音書 6:36 しかし、あなたがたに言ったが、あなたがたはわたしを見たのに信じようとはしない。 (J)

ヨハネの福音書 6:37 父がわたしに与えて下さる者は皆、わたしに来るであろう。そして、わたしに来る者を決して拒みはしない。 (J)

ヨハネの福音書 6:38 わたしが天から下ってきたのは、自分のこころのままを行うためではなく、わたしをつかわされたかたのみこころを行うためである。 (J)

ヨハネの福音書 6:39 わたしをつかわされたかたのみこころは、わたしに与えて下さった者を、わたしがひとりも失わずに、終りの日によみがえらせることである。 (J)

ヨハネの福音書 6:40 わたしの父のみこころは、子を見て信じる者が、ことごとく永遠の命を得ることなのである。そして、わたしはその人々を終りの日によみがえらせるであろう」。 (J)

ヨハネの福音書 6:41 ユダヤ人らは、イエスが「わたしは天から下ってきたパンである」と言われたので、イエスについてつぶやき始めた。 (J)

ヨハネの福音書 6:42 そして言った、「これはヨセフの子イエスではないか。わたしたちはその父母を知っているではないか。わたしは天から下ってきたと、どうして今いうのか」。 (J)

ヨハネの福音書 6:43 イエスは彼らに答えて言われた、「互につぶやいてはいけない。 (J)

ヨハネの福音書 6:44 わたしをつかわされた父が引きよせて下さらなければ、だれもわたしに来ることはできない。わたしは、その人々を終りの日によみがえらせるであろう。 (J)

ヨハネの福音書 6:45 預言者の書に、『彼らはみな神に教えられるであろう』と書いてある。父から聞いて学んだ者は、みなわたしに来るのである。 (J)

ヨハネの福音書 6:46 神から出た者のほかに、だれかが父を見たのではない。その者だけが父を見たのである。 (J)

ヨハネの福音書 6:47 よくよくあなたがたに言っておく。信じる者には永遠の命がある。 (J)

ヨハネの福音書 6:48 わたしは命のパンである。 (J)

ヨハネの福音書 6:49 あなたがたの先祖は荒野でマナを食べたが、死んでしまった。 (J)

ヨハネの福音書 6:50 しかし、天から下ってきたパンを食べる人は、決して死ぬことはない。 (J)

ヨハネの福音書 6:51 わたしは天から下ってきた生きたパンである。それを食べる者は、いつまでも生きるであろう。わたしが与えるパンは、世の命のために与えるわたしの肉である」。 (J)

ヨハネの福音書 6:52 そこで、ユダヤ人らが互に論じて言った、「この人はどうして、自分の肉をわたしたちに与えて食べさせることができようか」。 (J)

ヨハネの福音書 6:53 イエスは彼らに言われた、「よくよく言っておく。人の子の肉を食べず、また、その血を飲まなければ、あなたがたの内に命はない。 (J)

ヨハネの福音書 6:54 わたしの肉を食べ、わたしの血を飲む者には、永遠の命があり、わたしはその人を終りの日によみがえらせるであろう。 (J)

ヨハネの福音書 6:55 わたしの肉はまことの食物、わたしの血はまことの飲み物である。 (J)

ヨハネの福音書 6:56 わたしの肉を食べ、わたしの血を飲む者はわたしにおり、わたしもまたその人におる。 (J)

ヨハネの福音書 6:57 生ける父がわたしをつかわされ、また、わたしが父によって生きているように、わたしを食べる者もわたしによって生きるであろう。 (J)

ヨハネの福音書 6:58 天から下ってきたパンは、先祖たちが食べたが死んでしまったようなものではない。このパンを食べる者は、いつまでも生きるであろう」。 (J)

ヨハネの福音書 6:59 これらのことは、イエスがカペナウムの会堂で教えておられたときに言われたものである。 (J)

ヨハネの福音書 6:60 弟子たちのうちの多くの者は、これを聞いて言った、「これは、ひどい言葉だ。だれがそんなことを聞いておられようか」。 (J)

ヨハネの福音書 6:61 しかしイエスは、弟子たちがそのことでつぶやいているのを見破って、彼らに言われた、「このことがあなたがたのつまずきになるのか。 (J)

ヨハネの福音書 6:62 それでは、もし人の子が前にいた所に上るのを見たら、どうなるのか。 (J)

ヨハネの福音書 6:63 人を生かすものは霊であって、肉はなんの役にも立たない。わたしがあなたがたに話した言葉は霊であり、また命である。 (J)

ヨハネの福音書 6:64 しかし、あなたがたの中には信じない者がいる」。イエスは、初めから、だれが信じないか、また、だれが彼を裏切るかを知っておられたのである。 (J)

ヨハネの福音書 6:65 そしてイエスは言われた、「それだから、父が与えて下さった者でなければ、わたしに来ることはできないと、言ったのである」。 (J)

ヨハネの福音書 6:66 それ以来、多くの弟子たちは去っていって、もはやイエスと行動を共にしなかった。 (J)

ヨハネの福音書 6:67 そこでイエスは十二弟子に言われた、「あなたがたも去ろうとするのか」。 (J)

ヨハネの福音書 6:68 シモン・ペテロが答えた、「主よ、わたしたちは、だれのところに行きましょう。永遠の命の言をもっているのはあなたです。 (J)

ヨハネの福音書 6:69 わたしたちは、あなたが神の聖者であることを信じ、また知っています」。 (J)

ヨハネの福音書 6:70 イエスは彼らに答えられた、「あなたがた十二人を選んだのは、わたしではなかったか。それだのに、あなたがたのうちのひとりは悪魔である」。 (J)

ヨハネの福音書 6:71 これは、イスカリオテのシモンの子ユダをさして言われたのである。このユダは、十二弟子のひとりでありながら、イエスを裏切ろうとしていた。 (J)

ヨハネの福音書 7:1 そののち、イエスはガリラヤを巡回しておられた。ユダヤ人たちが自分を殺そうとしていたので、ユダヤを巡回しようとはされなかった。 (J)

ヨハネの福音書 7:2 時に、ユダヤ人の仮庵の祭が近づいていた。 (J)

ヨハネの福音書 7:3 そこで、イエスの兄弟たちがイエスに言った、「あなたがしておられるわざを弟子たちにも見せるために、ここを去りユダヤに行ってはいかがです。 (J)

ヨハネの福音書 7:4 自分を公けにあらわそうと思っている人で、隠れて仕事をするものはありません。あなたがこれらのことをするからには、自分をはっきりと世にあらわしなさい」。 (J)

ヨハネの福音書 7:5 こう言ったのは、兄弟たちもイエスを信じていなかったからである。 (J)

ヨハネの福音書 7:6 そこでイエスは彼らに言われた、「わたしの時はまだきていない。しかし、あなたがたの時はいつも備わっている。 (J)

ヨハネの福音書 7:7 世はあなたがたを憎み得ないが、わたしを憎んでいる。わたしが世のおこないの悪いことを、あかししているからである。 (J)

ヨハネの福音書 7:8 あなたがたこそ祭に行きなさい。わたしはこの祭には行かない。わたしの時はまだ満ちていないから」。 (J)

ヨハネの福音書 7:9 彼らにこう言って、イエスはガリラヤにとどまっておられた。 (J)

ヨハネの福音書 7:10 しかし、兄弟たちが祭に行ったあとで、イエスも人目にたたぬように、ひそかに行かれた。 (J)

ヨハネの福音書 7:11 ユダヤ人らは祭の時に、「あの人はどこにいるのか」と言って、イエスを捜していた。 (J)

ヨハネの福音書 7:12 群衆の中に、イエスについていろいろとうわさが立った。ある人々は、「あれはよい人だ」と言い、他の人々は、「いや、あれは群衆を惑わしている」と言った。 (J)

ヨハネの福音書 7:13 しかし、ユダヤ人らを恐れて、イエスのことを公然と口にする者はいなかった。 (J)

ヨハネの福音書 7:14 祭も半ばになってから、イエスは宮に上って教え始められた。 (J)

ヨハネの福音書 7:15 すると、ユダヤ人たちは驚いて言った、「この人は学問をしたこともないのに、どうして律法の知識をもっているのだろう」。 (J)

ヨハネの福音書 7:16 そこでイエスは彼らに答えて言われた、「わたしの教はわたし自身の教ではなく、わたしをつかわされたかたの教である。 (J)

ヨハネの福音書 7:17 神のみこころを行おうと思う者であれば、だれでも、わたしの語っているこの教が神からのものか、それとも、わたし自身から出たものか、わかるであろう。 (J)

ヨハネの福音書 7:18 自分から出たことを語る者は、自分の栄光を求めるが、自分をつかわされたかたの栄光を求める者は真実であって、その人の内には偽りがない。 (J)

ヨハネの福音書 7:19 モーセはあなたがたに律法を与えたではないか。それだのに、あなたがたのうちには、その律法を行う者がひとりもない。あなたがたは、なぜわたしを殺そうと思っているのか」。 (J)

ヨハネの福音書 7:20 群衆は答えた、「あなたは悪霊に取りつかれている。だれがあなたを殺そうと思っているものか」。 (J)

ヨハネの福音書 7:21 イエスは彼らに答えて言われた、「わたしが一つのわざをしたところ、あなたがたは皆それを見て驚いている。 (J)

ヨハネの福音書 7:22 モーセはあなたがたに割礼を命じたので、(これは、実は、モーセから始まったのではなく、先祖たちから始まったものである)あなたがたは安息日にも人に割礼を施している。 (J)

ヨハネの福音書 7:23 もし、モーセの律法が破られないように、安息日であっても割礼を受けるのなら、安息日に人の全身を丈夫にしてやったからといって、どうして、そんなにおこるのか。 (J)

ヨハネの福音書 7:24 うわべで人をさばかないで、正しいさばきをするがよい」。 (J)

ヨハネの福音書 7:25 さて、エルサレムのある人たちが言った、「この人は人々が殺そうと思っている者ではないか。 (J)

ヨハネの福音書 7:26 見よ、彼は公然と語っているのに、人々はこれに対して何も言わない。役人たちは、この人がキリストであることを、ほんとうに知っているのではなかろうか。 (J)

ヨハネの福音書 7:27 わたしたちはこの人がどこからきたのか知っている。しかし、キリストが現れる時には、どこから来るのか知っている者は、ひとりもいない」。 (J)

ヨハネの福音書 7:28 イエスは宮の内で教えながら、叫んで言われた、「あなたがたは、わたしを知っており、また、わたしがどこからきたかも知っている。しかし、わたしは自分からきたのではない。わたしをつかわされたかたは真実であるが、あなたがたは、そのかたを知らない。 (J)

ヨハネの福音書 7:29 わたしは、そのかたを知っている。わたしはそのかたのもとからきた者で、そのかたがわたしをつかわされたのである」。 (J)

ヨハネの福音書 7:30 そこで人々はイエスを捕えようと計ったが、だれひとり手をかける者はなかった。イエスの時が、まだきていなかったからである。 (J)

ヨハネの福音書 7:31 しかし、群衆の中の多くの者が、イエスを信じて言った、「キリストがきても、この人が行ったよりも多くのしるしを行うだろうか」。 (J)

ヨハネの福音書 7:32 群衆がイエスについてこのようなうわさをしているのを、パリサイ人たちは耳にした。そこで、祭司長たちやパリサイ人たちは、イエスを捕えようとして、下役どもをつかわした。 (J)

ヨハネの福音書 7:33 イエスは言われた、「今しばらくの間、わたしはあなたがたと一緒にいて、それから、わたしをおつかわしになったかたのみもとに行く。 (J)

ヨハネの福音書 7:34 あなたがたはわたしを捜すであろうが、見つけることはできない。そしてわたしのいる所に、あなたがたは来ることができない」。 (J)

ヨハネの福音書 7:35 そこでユダヤ人たちは互に言った、「わたしたちが見つけることができないというのは、どこへ行こうとしているのだろう。ギリシヤ人の中に離散している人たちのところにでも行って、ギリシヤ人を教えようというのだろうか。 (J)

ヨハネの福音書 7:36 また、『わたしを捜すが、見つけることはできない。そしてわたしのいる所には来ることができないだろう』と言ったその言葉は、どういう意味だろう」。 (J)

ヨハネの福音書 7:37 祭の終りの大事な日に、イエスは立って、叫んで言われた、「だれでもかわく者は、わたしのところにきて飲むがよい。 (J)

ヨハネの福音書 7:38 わたしを信じる者は、聖書に書いてあるとおり、その腹から生ける水が川となって流れ出るであろう」。 (J)

ヨハネの福音書 7:39 これは、イエスを信じる人々が受けようとしている御霊をさして言われたのである。すなわち、イエスはまだ栄光を受けておられなかったので、御霊がまだ下っていなかったのである。 (J)

ヨハネの福音書 7:40 群衆のある者がこれらの言葉を聞いて、「このかたは、ほんとうに、あの預言者である」と言い、 (J)

ヨハネの福音書 7:41 ほかの人たちは「このかたはキリストである」と言い、また、ある人々は、「キリストはまさか、ガリラヤからは出てこないだろう。 (J)

ヨハネの福音書 7:42 キリストは、ダビデの子孫から、またダビデのいたベツレヘムの村から出ると、聖書に書いてあるではないか」と言った。 (J)

ヨハネの福音書 7:43 こうして、群衆の間にイエスのことで分争が生じた。 (J)

ヨハネの福音書 7:44 彼らのうちのある人々は、イエスを捕えようと思ったが、だれひとり手をかける者はなかった。 (J)

ヨハネの福音書 7:45 さて、下役どもが祭司長たちやパリサイ人たちのところに帰ってきたので、彼らはその下役どもに言った、「なぜ、あの人を連れてこなかったのか」。 (J)

ヨハネの福音書 7:46 下役どもは答えた、「この人の語るように語った者は、これまでにありませんでした」。 (J)

ヨハネの福音書 7:47 パリサイ人たちが彼らに答えた、「あなたがたまでが、だまされているのではないか。 (J)

ヨハネの福音書 7:48 役人たちやパリサイ人たちの中で、ひとりでも彼を信じた者があっただろうか。 (J)

ヨハネの福音書 7:49 律法をわきまえないこの群衆は、のろわれている」。 (J)

ヨハネの福音書 7:50 彼らの中のひとりで、以前にイエスに会いにきたことのあるニコデモが、彼らに言った、 (J)

ヨハネの福音書 7:51 「わたしたちの律法によれば、まずその人の言い分を聞き、その人のしたことを知った上でなければ、さばくことをしないのではないか」。 (J)

ヨハネの福音書 7:52 彼らは答えて言った、「あなたもガリラヤ出なのか。よく調べてみなさい、ガリラヤからは預言者が出るものではないことが、わかるだろう」。 〔 (J)

ヨハネの福音書 7:53 そして、人々はおのおの家に帰って行った。 (J)

ヨハネの福音書 8:1 イエスはオリブ山に行かれた。 (J)

ヨハネの福音書 8:2 朝早くまた宮にはいられると、人々が皆みもとに集まってきたので、イエスはすわって彼らを教えておられた。 (J)

ヨハネの福音書 8:3 すると、律法学者たちやパリサイ人たちが、姦淫をしている時につかまえられた女をひっぱってきて、中に立たせた上、イエスに言った、 (J)

ヨハネの福音書 8:4 「先生、この女は姦淫の場でつかまえられました。 (J)

ヨハネの福音書 8:5 モーセは律法の中で、こういう女を石で打ち殺せと命じましたが、あなたはどう思いますか」。 (J)

ヨハネの福音書 8:6 彼らがそう言ったのは、イエスをためして、訴える口実を得るためであった。しかし、イエスは身をかがめて、指で地面に何か書いておられた。 (J)

ヨハネの福音書 8:7 彼らが問い続けるので、イエスは身を起して彼らに言われた、「あなたがたの中で罪のない者が、まずこの女に石を投げつけるがよい」。 (J)

ヨハネの福音書 8:8 そしてまた身をかがめて、地面に物を書きつづけられた。 (J)

ヨハネの福音書 8:9 これを聞くと、彼らは年寄から始めて、ひとりびとり出て行き、ついに、イエスだけになり、女は中にいたまま残された。 (J)

ヨハネの福音書 8:10 そこでイエスは身を起して女に言われた、「女よ、みんなはどこにいるか。あなたを罰する者はなかったのか」。 (J)

ヨハネの福音書 8:11 女は言った、「主よ、だれもございません」。イエスは言われた、「わたしもあなたを罰しない。お帰りなさい。今後はもう罪を犯さないように」。〕 (J)

ヨハネの福音書 8:12 イエスは、また人々に語ってこう言われた、「わたしは世の光である。わたしに従って来る者は、やみのうちを歩くことがなく、命の光をもつであろう」。 (J)

ヨハネの福音書 8:13 するとパリサイ人たちがイエスに言った、「あなたは、自分のことをあかししている。あなたのあかしは真実ではない」。 (J)

ヨハネの福音書 8:14 イエスは彼らに答えて言われた、「たとい、わたしが自分のことをあかししても、わたしのあかしは真実である。それは、わたしがどこからきたのか、また、どこへ行くのかを知っているからである。しかし、あなたがたは、わたしがどこからきて、どこへ行くのかを知らない。 (J)

ヨハネの福音書 8:15 あなたがたは肉によって人をさばくが、わたしはだれもさばかない。 (J)

ヨハネの福音書 8:16 しかし、もしわたしがさばくとすれば、わたしのさばきは正しい。なぜなら、わたしはひとりではなく、わたしをつかわされたかたが、わたしと一緒だからである。 (J)

ヨハネの福音書 8:17 あなたがたの律法には、ふたりによる証言は真実だと、書いてある。 (J)

ヨハネの福音書 8:18 わたし自身のことをあかしするのは、わたしであるし、わたしをつかわされた父も、わたしのことをあかしして下さるのである」。 (J)

ヨハネの福音書 8:19 すると、彼らはイエスに言った、「あなたの父はどこにいるのか」。イエスは答えられた、「あなたがたは、わたしをもわたしの父をも知っていない。もし、あなたがたがわたしを知っていたなら、わたしの父をも知っていたであろう」。 (J)

ヨハネの福音書 8:20 イエスが宮の内で教えていた時、これらの言葉をさいせん箱のそばで語られたのであるが、イエスの時がまだきていなかったので、だれも捕える者がなかった。 (J)

ヨハネの福音書 8:21 さて、また彼らに言われた、「わたしは去って行く。あなたがたはわたしを捜し求めるであろう。そして自分の罪のうちに死ぬであろう。わたしの行く所には、あなたがたは来ることができない」。 (J)

ヨハネの福音書 8:22 そこでユダヤ人たちは言った、「わたしの行く所に、あなたがたは来ることができないと、言ったのは、あるいは自殺でもしようとするつもりか」。 (J)

ヨハネの福音書 8:23 イエスは彼らに言われた、「あなたがたは下から出た者だが、わたしは上からきた者である。あなたがたはこの世の者であるが、わたしはこの世の者ではない。 (J)

ヨハネの福音書 8:24 だからわたしは、あなたがたは自分の罪のうちに死ぬであろうと、言ったのである。もしわたしがそういう者であることをあなたがたが信じなければ、罪のうちに死ぬことになるからである」。 (J)

ヨハネの福音書 8:25 そこで彼らはイエスに言った、「あなたは、いったい、どういうかたですか」。イエスは彼らに言われた、「わたしがどういう者であるかは、初めからあなたがたに言っているではないか。 (J)

ヨハネの福音書 8:26 あなたがたについて、わたしの言うべきこと、さばくべきことが、たくさんある。しかし、わたしをつかわされたかたは真実なかたである。わたしは、そのかたから聞いたままを世にむかって語るのである」。 (J)

ヨハネの福音書 8:27 彼らは、イエスが父について話しておられたことを悟らなかった。 (J)

ヨハネの福音書 8:28 そこでイエスは言われた、「あなたがたが人の子を上げてしまった後はじめて、わたしがそういう者であること、また、わたしは自分からは何もせず、ただ父が教えて下さったままを話していたことが、わかってくるであろう。 (J)

ヨハネの福音書 8:29 わたしをつかわされたかたは、わたしと一緒におられる。わたしは、いつも神のみこころにかなうことをしているから、わたしをひとり置きざりになさることはない」。 (J)

ヨハネの福音書 8:30 これらのことを語られたところ、多くの人々がイエスを信じた。 (J)

ヨハネの福音書 8:31 イエスは自分を信じたユダヤ人たちに言われた、「もしわたしの言葉のうちにとどまっておるなら、あなたがたは、ほんとうにわたしの弟子なのである。 (J)

ヨハネの福音書 8:32 また真理を知るであろう。そして真理は、あなたがたに自由を得させるであろう」。 (J)

ヨハネの福音書 8:33 そこで、彼らはイエスに言った、「わたしたちはアブラハムの子孫であって、人の奴隷になったことなどは、一度もない。どうして、あなたがたに自由を得させるであろうと、言われるのか」。 (J)

ヨハネの福音書 8:34 イエスは彼らに答えられた、「よくよくあなたがたに言っておく。すべて罪を犯す者は罪の奴隷である。 (J)

ヨハネの福音書 8:35 そして、奴隷はいつまでも家にいる者ではない。しかし、子はいつまでもいる。 (J)

ヨハネの福音書 8:36 だから、もし子があなたがたに自由を得させるならば、あなたがたは、ほんとうに自由な者となるのである。 (J)

ヨハネの福音書 8:37 わたしは、あなたがたがアブラハムの子孫であることを知っている。それだのに、あなたがたはわたしを殺そうとしている。わたしの言葉が、あなたがたのうちに根をおろしていないからである。 (J)

ヨハネの福音書 8:38 わたしはわたしの父のもとで見たことを語っているが、あなたがたは自分の父から聞いたことを行っている」。 (J)

ヨハネの福音書 8:39 彼らはイエスに答えて言った、「わたしたちの父はアブラハムである」。イエスは彼らに言われた、「もしアブラハムの子であるなら、アブラハムのわざをするがよい。 (J)

ヨハネの福音書 8:40 ところが今、神から聞いた真理をあなたがたに語ってきたこのわたしを、殺そうとしている。そんなことをアブラハムはしなかった。 (J)

ヨハネの福音書 8:41 あなたがたは、あなたがたの父のわざを行っているのである」。彼らは言った、「わたしたちは、不品行の結果うまれた者ではない。わたしたちにはひとりの父がある。それは神である」。 (J)

ヨハネの福音書 8:42 イエスは彼らに言われた、「神があなたがたの父であるならば、あなたがたはわたしを愛するはずである。わたしは神から出た者、また神からきている者であるからだ。わたしは自分からきたのではなく、神からつかわされたのである。 (J)

ヨハネの福音書 8:43 どうしてあなたがたは、わたしの話すことがわからないのか。あなたがたが、わたしの言葉を悟ることができないからである。 (J)

ヨハネの福音書 8:44 あなたがたは自分の父、すなわち、悪魔から出てきた者であって、その父の欲望どおりを行おうと思っている。彼は初めから、人殺しであって、真理に立つ者ではない。彼のうちには真理がないからである。彼が偽りを言うとき、いつも自分の本音をはいているのである。彼は偽り者であり、偽りの父であるからだ。 (J)

ヨハネの福音書 8:45 しかし、わたしが真理を語っているので、あなたがたはわたしを信じようとしない。 (J)

ヨハネの福音書 8:46 あなたがたのうち、だれがわたしに罪があると責めうるのか。わたしは真理を語っているのに、なぜあなたがたは、わたしを信じないのか。 (J)

ヨハネの福音書 8:47 神からきた者は神の言葉に聞き従うが、あなたがたが聞き従わないのは、神からきた者でないからである」。 (J)

ヨハネの福音書 8:48 ユダヤ人たちはイエスに答えて言った、「あなたはサマリヤ人で、悪霊に取りつかれていると、わたしたちが言うのは、当然ではないか」。 (J)

ヨハネの福音書 8:49 イエスは答えられた、「わたしは、悪霊に取りつかれているのではなくて、わたしの父を重んじているのだが、あなたがたはわたしを軽んじている。 (J)

ヨハネの福音書 8:50 わたしは自分の栄光を求めてはいない。それを求めるかたが別にある。そのかたは、またさばくかたである。 (J)

ヨハネの福音書 8:51 よくよく言っておく。もし人がわたしの言葉を守るならば、その人はいつまでも死を見ることがないであろう」。 (J)

ヨハネの福音書 8:52 ユダヤ人たちが言った、「あなたが悪霊に取りつかれていることが、今わかった。アブラハムは死に、預言者たちも死んでいる。それだのに、あなたは、わたしの言葉を守る者はいつまでも死を味わうことがないであろうと、言われる。 (J)

ヨハネの福音書 8:53 あなたは、わたしたちの父アブラハムより偉いのだろうか。彼も死に、預言者たちも死んだではないか。あなたは、いったい、自分をだれと思っているのか」。 (J)

ヨハネの福音書 8:54 イエスは答えられた、「わたしがもし自分に栄光を帰するなら、わたしの栄光は、むなしいものである。わたしに栄光を与えるかたは、わたしの父であって、あなたがたが自分の神だと言っているのは、そのかたのことである。 (J)

ヨハネの福音書 8:55 あなたがたはその神を知っていないが、わたしは知っている。もしわたしが神を知らないと言うならば、あなたがたと同じような偽り者であろう。しかし、わたしはそのかたを知り、その御言を守っている。 (J)

ヨハネの福音書 8:56 あなたがたの父アブラハムは、わたしのこの日を見ようとして楽しんでいた。そしてそれを見て喜んだ」。 (J)

ヨハネの福音書 8:57 そこでユダヤ人たちはイエスに言った、「あなたはまだ五十にもならないのに、アブラハムを見たのか」。 (J)

ヨハネの福音書 8:58 イエスは彼らに言われた、「よくよくあなたがたに言っておく。アブラハムの生れる前からわたしは、いるのである」。 (J)

ヨハネの福音書 8:59 そこで彼らは石をとって、イエスに投げつけようとした。しかし、イエスは身を隠して、宮から出て行かれた。 (J)

ヨハネの福音書 9:1 イエスが道をとおっておられるとき、生れつきの盲人を見られた。 (J)

ヨハネの福音書 9:2 弟子たちはイエスに尋ねて言った、「先生、この人が生れつき盲人なのは、だれが罪を犯したためですか。本人ですか、それともその両親ですか」。 (J)

ヨハネの福音書 9:3 イエスは答えられた、「本人が罪を犯したのでもなく、また、その両親が犯したのでもない。ただ神のみわざが、彼の上に現れるためである。 (J)

ヨハネの福音書 9:4 わたしたちは、わたしをつかわされたかたのわざを、昼の間にしなければならない。夜が来る。すると、だれも働けなくなる。 (J)

ヨハネの福音書 9:5 わたしは、この世にいる間は、世の光である」。 (J)

ヨハネの福音書 9:6 イエスはそう言って、地につばきをし、そのつばきで、どろをつくり、そのどろを盲人の目に塗って言われた、 (J)

ヨハネの福音書 9:7 「シロアム(つかわされた者、の意)の池に行って洗いなさい」。そこで彼は行って洗った。そして見えるようになって、帰って行った。 (J)

ヨハネの福音書 9:8 近所の人々や、彼がもと、こじきであったのを見知っていた人々が言った、「この人は、すわってこじきをしていた者ではないか」。 (J)

ヨハネの福音書 9:9 ある人々は「その人だ」と言い、他の人々は「いや、ただあの人に似ているだけだ」と言った。しかし、本人は「わたしがそれだ」と言った。 (J)

ヨハネの福音書 9:10 そこで人々は彼に言った、「では、おまえの目はどうしてあいたのか」。 (J)

ヨハネの福音書 9:11 彼は答えた、「イエスというかたが、どろをつくって、わたしの目に塗り、『シロアムに行って洗え』と言われました。それで、行って洗うと、見えるようになりました」。 (J)

ヨハネの福音書 9:12 人々は彼に言った、「その人はどこにいるのか」。彼は「知りません」と答えた。 (J)

ヨハネの福音書 9:13 人々は、もと盲人であったこの人を、パリサイ人たちのところにつれて行った。 (J)

ヨハネの福音書 9:14 イエスがどろをつくって彼の目をあけたのは、安息日であった。 (J)

ヨハネの福音書 9:15 パリサイ人たちもまた、「どうして見えるようになったのか」、と彼に尋ねた。彼は答えた、「あのかたがわたしの目にどろを塗り、わたしがそれを洗い、そして見えるようになりました」。 (J)

ヨハネの福音書 9:16 そこで、あるパリサイ人たちが言った、「その人は神からきた人ではない。安息日を守っていないのだから」。しかし、ほかの人々は言った、「罪のある人が、どうしてそのようなしるしを行うことができようか」。そして彼らの間に分争が生じた。 (J)

ヨハネの福音書 9:17 そこで彼らは、もう一度この盲人に聞いた、「おまえの目をあけてくれたその人を、どう思うか」。「預言者だと思います」と彼は言った。 (J)

ヨハネの福音書 9:18 ユダヤ人たちは、彼がもと盲人であったが見えるようになったことを、まだ信じなかった。ついに彼らは、目が見えるようになったこの人の両親を呼んで、 (J)

ヨハネの福音書 9:19 尋ねて言った、「これが、生れつき盲人であったと、おまえたちの言っているむすこか。それではどうして、いま目が見えるのか」。 (J)

ヨハネの福音書 9:20 両親は答えて言った、「これがわたしどものむすこであること、また生れつき盲人であったことは存じています。 (J)

ヨハネの福音書 9:21 しかし、どうしていま見えるようになったのか、それは知りません。また、だれがその目をあけて下さったのかも知りません。あれに聞いて下さい。あれはもうおとなですから、自分のことは自分で話せるでしょう」。 (J)

ヨハネの福音書 9:22 両親はユダヤ人たちを恐れていたので、こう答えたのである。それは、もしイエスをキリストと告白する者があれば、会堂から追い出すことに、ユダヤ人たちが既に決めていたからである。 (J)

ヨハネの福音書 9:23 彼の両親が「おとなですから、あれに聞いて下さい」と言ったのは、そのためであった。 (J)

ヨハネの福音書 9:24 そこで彼らは、盲人であった人をもう一度呼んで言った、「神に栄光を帰するがよい。あの人が罪人であることは、わたしたちにはわかっている」。 (J)

ヨハネの福音書 9:25 すると彼は言った、「あのかたが罪人であるかどうか、わたしは知りません。ただ一つのことだけ知っています。わたしは盲であったが、今は見えるということです」。 (J)

ヨハネの福音書 9:26 そこで彼らは言った、「その人はおまえに何をしたのか。どんなにしておまえの目をあけたのか」。 (J)

ヨハネの福音書 9:27 彼は答えた、「そのことはもう話してあげたのに、聞いてくれませんでした。なぜまた聞こうとするのですか。あなたがたも、あの人の弟子になりたいのですか」。 (J)

ヨハネの福音書 9:28 そこで彼らは彼をののしって言った、「おまえはあれの弟子だが、わたしたちはモーセの弟子だ。 (J)

ヨハネの福音書 9:29 モーセに神が語られたということは知っている。だが、あの人がどこからきた者か、わたしたちは知らぬ」。 (J)

ヨハネの福音書 9:30 そこで彼が答えて言った、「わたしの目をあけて下さったのに、そのかたがどこからきたか、ご存じないとは、不思議千万です。 (J)

ヨハネの福音書 9:31 わたしたちはこのことを知っています。神は罪人の言うことはお聞きいれになりませんが、神を敬い、そのみこころを行う人の言うことは、聞きいれて下さいます。 (J)

ヨハネの福音書 9:32 生れつき盲であった者の目をあけた人があるということは、世界が始まって以来、聞いたことがありません。 (J)

ヨハネの福音書 9:33 もしあのかたが神からきた人でなかったら、何一つできなかったはずです」。 (J)

ヨハネの福音書 9:34 これを聞いて彼らは言った、「おまえは全く罪の中に生れていながら、わたしたちを教えようとするのか」。そして彼を外へ追い出した。 (J)

ヨハネの福音書 9:35 イエスは、その人が外へ追い出されたことを聞かれた。そして彼に会って言われた、「あなたは人の子を信じるか」。 (J)

ヨハネの福音書 9:36 彼は答えて言った、「主よ、それはどなたですか。そのかたを信じたいのですが」。 (J)

ヨハネの福音書 9:37 イエスは彼に言われた、「あなたは、もうその人に会っている。今あなたと話しているのが、その人である」。 (J)

ヨハネの福音書 9:38 すると彼は、「主よ、信じます」と言って、イエスを拝した。 (J)

ヨハネの福音書 9:39 そこでイエスは言われた、「わたしがこの世にきたのは、さばくためである。すなわち、見えない人たちが見えるようになり、見える人たちが見えないようになるためである」。 (J)

ヨハネの福音書 9:40 そこにイエスと一緒にいたあるパリサイ人たちが、それを聞いてイエスに言った、「それでは、わたしたちも盲なのでしょうか」。 (J)

ヨハネの福音書 9:41 イエスは彼らに言われた、「もしあなたがたが盲人であったなら、罪はなかったであろう。しかし、今あなたがたが『見える』と言い張るところに、あなたがたの罪がある。 (J)

ヨハネの福音書 10:1 よくよくあなたがたに言っておく。羊の囲いにはいるのに、門からでなく、ほかの所からのりこえて来る者は、盗人であり、強盗である。 (J)

ヨハネの福音書 10:2 門からはいる者は、羊の羊飼である。 (J)

ヨハネの福音書 10:3 門番は彼のために門を開き、羊は彼の声を聞く。そして彼は自分の羊の名をよんで連れ出す。 (J)

ヨハネの福音書 10:4 自分の羊をみな出してしまうと、彼は羊の先頭に立って行く。羊はその声を知っているので、彼について行くのである。 (J)

ヨハネの福音書 10:5 ほかの人には、ついて行かないで逃げ去る。その人の声を知らないからである」。 (J)

ヨハネの福音書 10:6 イエスは彼らにこの比喩を話されたが、彼らは自分たちにお話しになっているのが何のことだか、わからなかった。 (J)

ヨハネの福音書 10:7 そこで、イエスはまた言われた、「よくよくあなたがたに言っておく。わたしは羊の門である。 (J)

ヨハネの福音書 10:8 わたしよりも前にきた人は、みな盗人であり、強盗である。羊は彼らに聞き従わなかった。 (J)

ヨハネの福音書 10:9 わたしは門である。わたしをとおってはいる者は救われ、また出入りし、牧草にありつくであろう。 (J)

ヨハネの福音書 10:10 盗人が来るのは、盗んだり、殺したり、滅ぼしたりするためにほかならない。わたしがきたのは、羊に命を得させ、豊かに得させるためである。 (J)

ヨハネの福音書 10:11 わたしはよい羊飼である。よい羊飼は、羊のために命を捨てる。 (J)

ヨハネの福音書 10:12 羊飼ではなく、羊が自分のものでもない雇人は、おおかみが来るのを見ると、羊をすてて逃げ去る。そして、おおかみは羊を奪い、また追い散らす。 (J)

ヨハネの福音書 10:13 彼は雇人であって、羊のことを心にかけていないからである。 (J)

ヨハネの福音書 10:14 わたしはよい羊飼であって、わたしの羊を知り、わたしの羊はまた、わたしを知っている。 (J)

ヨハネの福音書 10:15 それはちょうど、父がわたしを知っておられ、わたしが父を知っているのと同じである。そして、わたしは羊のために命を捨てるのである。 (J)

ヨハネの福音書 10:16 わたしにはまた、この囲いにいない他の羊がある。わたしは彼らをも導かねばならない。彼らも、わたしの声に聞き従うであろう。そして、ついに一つの群れ、ひとりの羊飼となるであろう。 (J)

ヨハネの福音書 10:17 父は、わたしが自分の命を捨てるから、わたしを愛して下さるのである。命を捨てるのは、それを再び得るためである。 (J)

ヨハネの福音書 10:18 だれかが、わたしからそれを取り去るのではない。わたしが、自分からそれを捨てるのである。わたしには、それを捨てる力があり、またそれを受ける力もある。これはわたしの父から授かった定めである」。 (J)

ヨハネの福音書 10:19 これらの言葉を語られたため、ユダヤ人の間にまたも分争が生じた。 (J)

ヨハネの福音書 10:20 そのうちの多くの者が言った、「彼は悪霊に取りつかれて、気が狂っている。どうして、あなたがたはその言うことを聞くのか」。 (J)

ヨハネの福音書 10:21 他の人々は言った、「それは悪霊に取りつかれた者の言葉ではない。悪霊は盲人の目をあけることができようか」。 (J)

ヨハネの福音書 10:22 そのころ、エルサレムで宮きよめの祭が行われた。時は冬であった。 (J)

ヨハネの福音書 10:23 イエスは、宮の中にあるソロモンの廊を歩いておられた。 (J)

ヨハネの福音書 10:24 するとユダヤ人たちが、イエスを取り囲んで言った、「いつまでわたしたちを不安のままにしておくのか。あなたがキリストであるなら、そうとはっきり言っていただきたい」。 (J)

ヨハネの福音書 10:25 イエスは彼らに答えられた、「わたしは話したのだが、あなたがたは信じようとしない。わたしの父の名によってしているすべてのわざが、わたしのことをあかししている。 (J)

ヨハネの福音書 10:26 あなたがたが信じないのは、わたしの羊でないからである。 (J)

ヨハネの福音書 10:27 わたしの羊はわたしの声に聞き従う。わたしは彼らを知っており、彼らはわたしについて来る。 (J)

ヨハネの福音書 10:28 わたしは、彼らに永遠の命を与える。だから、彼らはいつまでも滅びることがなく、また、彼らをわたしの手から奪い去る者はない。 (J)

ヨハネの福音書 10:29 わたしの父がわたしに下さったものは、すべてにまさるものである。そしてだれも父のみ手から、それを奪い取ることはできない。 (J)

ヨハネの福音書 10:30 わたしと父とは一つである」。 (J)

ヨハネの福音書 10:31 そこでユダヤ人たちは、イエスを打ち殺そうとして、また石を取りあげた。 (J)

ヨハネの福音書 10:32 するとイエスは彼らに答えられた、「わたしは、父による多くのよいわざを、あなたがたに示した。その中のどのわざのために、わたしを石で打ち殺そうとするのか」。 (J)

ヨハネの福音書 10:33 ユダヤ人たちは答えた、「あなたを石で殺そうとするのは、よいわざをしたからではなく、神を汚したからである。また、あなたは人間であるのに、自分を神としているからである」。 (J)

ヨハネの福音書 10:34 イエスは彼らに答えられた、「あなたがたの律法に、『わたしは言う、あなたがたは神々である』と書いてあるではないか。 (J)

ヨハネの福音書 10:35 神の言を託された人々が、神々といわれておるとすれば、(そして聖書の言は、すたることがあり得ない) (J)

ヨハネの福音書 10:36 父が聖別して、世につかわされた者が、『わたしは神の子である』と言ったからとて、どうして『あなたは神を汚す者だ』と言うのか。 (J)

ヨハネの福音書 10:37 もしわたしが父のわざを行わないとすれば、わたしを信じなくてもよい。 (J)

ヨハネの福音書 10:38 しかし、もし行っているなら、たといわたしを信じなくても、わたしのわざを信じるがよい。そうすれば、父がわたしにおり、また、わたしが父におることを知って悟るであろう」。 (J)

ヨハネの福音書 10:39 そこで、彼らはまたイエスを捕えようとしたが、イエスは彼らの手をのがれて、去って行かれた。 (J)

ヨハネの福音書 10:40 さて、イエスはまたヨルダンの向こう岸、すなわち、ヨハネが初めにバプテスマを授けていた所に行き、そこに滞在しておられた。 (J)

ヨハネの福音書 10:41 多くの人々がイエスのところにきて、互に言った、「ヨハネはなんのしるしも行わなかったが、ヨハネがこのかたについて言ったことは、皆ほんとうであった」。 (J)

ヨハネの福音書 10:42 そして、そこで多くの者がイエスを信じた。 (J)

ヨハネの福音書 11:1 さて、ひとりの病人がいた。ラザロといい、マリヤとその姉妹マルタの村ベタニヤの人であった。 (J)

ヨハネの福音書 11:2 このマリヤは主に香油をぬり、自分の髪の毛で、主の足をふいた女であって、病気であったのは、彼女の兄弟ラザロであった。 (J)

ヨハネの福音書 11:3 姉妹たちは人をイエスのもとにつかわして、「主よ、ただ今、あなたが愛しておられる者が病気をしています」と言わせた。 (J)

ヨハネの福音書 11:4 イエスはそれを聞いて言われた、「この病気は死ぬほどのものではない。それは神の栄光のため、また、神の子がそれによって栄光を受けるためのものである」。 (J)

ヨハネの福音書 11:5 イエスは、マルタとその姉妹とラザロとを愛しておられた。 (J)

ヨハネの福音書 11:6 ラザロが病気であることを聞いてから、なおふつか、そのおられた所に滞在された。 (J)

ヨハネの福音書 11:7 それから弟子たちに、「もう一度ユダヤに行こう」と言われた。 (J)

ヨハネの福音書 11:8 弟子たちは言った、「先生、ユダヤ人らが、さきほどもあなたを石で殺そうとしていましたのに、またそこに行かれるのですか」。 (J)

ヨハネの福音書 11:9 イエスは答えられた、「一日には十二時間あるではないか。昼間あるけば、人はつまずくことはない。この世の光を見ているからである。 (J)

ヨハネの福音書 11:10 しかし、夜あるけば、つまずく。その人のうちに、光がないからである」。 (J)

ヨハネの福音書 11:11 そう言われたが、それからまた、彼らに言われた、「わたしたちの友ラザロが眠っている。わたしは彼を起しに行く」。 (J)

ヨハネの福音書 11:12 すると弟子たちは言った、「主よ、眠っているのでしたら、助かるでしょう」。 (J)

ヨハネの福音書 11:13 イエスはラザロが死んだことを言われたのであるが、弟子たちは、眠って休んでいることをさして言われたのだと思った。 (J)

ヨハネの福音書 11:14 するとイエスは、あからさまに彼らに言われた、「ラザロは死んだのだ。 (J)

ヨハネの福音書 11:15 そして、わたしがそこにいあわせなかったことを、あなたがたのために喜ぶ。それは、あなたがたが信じるようになるためである。では、彼のところに行こう」。 (J)

ヨハネの福音書 11:16 するとデドモと呼ばれているトマスが、仲間の弟子たちに言った、「わたしたちも行って、先生と一緒に死のうではないか」。 (J)

ヨハネの福音書 11:17 さて、イエスが行ってごらんになると、ラザロはすでに四日間も墓の中に置かれていた。 (J)

ヨハネの福音書 11:18 ベタニヤはエルサレムに近く、二十五丁ばかり離れたところにあった。 (J)

ヨハネの福音書 11:19 大ぜいのユダヤ人が、その兄弟のことで、マルタとマリヤとを慰めようとしてきていた。 (J)

ヨハネの福音書 11:20 マルタはイエスがこられたと聞いて、出迎えに行ったが、マリヤは家ですわっていた。 (J)

ヨハネの福音書 11:21 マルタはイエスに言った、「主よ、もしあなたがここにいて下さったなら、わたしの兄弟は死ななかったでしょう。 (J)

ヨハネの福音書 11:22 しかし、あなたがどんなことをお願いになっても、神はかなえて下さることを、わたしは今でも存じています」。 (J)

ヨハネの福音書 11:23 イエスはマルタに言われた、「あなたの兄弟はよみがえるであろう」。 (J)

ヨハネの福音書 11:24 マルタは言った、「終りの日のよみがえりの時よみがえることは、存じています」。 (J)

ヨハネの福音書 11:25 イエスは彼女に言われた、「わたしはよみがえりであり、命である。わたしを信じる者は、たとい死んでも生きる。 (J)

ヨハネの福音書 11:26 また、生きていて、わたしを信じる者は、いつまでも死なない。あなたはこれを信じるか」。 (J)

ヨハネの福音書 11:27 マルタはイエスに言った、「主よ、信じます。あなたがこの世にきたるべきキリスト、神の御子であると信じております」。 (J)

ヨハネの福音書 11:28 マルタはこう言ってから、帰って姉妹のマリヤを呼び、「先生がおいでになって、あなたを呼んでおられます」と小声で言った。 (J)

ヨハネの福音書 11:29 これを聞いたマリヤはすぐ立ち上がって、イエスのもとに行った。 (J)

ヨハネの福音書 11:30 イエスはまだ村に、はいってこられず、マルタがお迎えしたその場所におられた。 (J)

ヨハネの福音書 11:31 マリヤと一緒に家にいて彼女を慰めていたユダヤ人たちは、マリヤが急いで立ち上がって出て行くのを見て、彼女は墓に泣きに行くのであろうと思い、そのあとからついて行った。 (J)

ヨハネの福音書 11:32 マリヤは、イエスのおられる所に行ってお目にかかり、その足もとにひれ伏して言った、「主よ、もしあなたがここにいて下さったなら、わたしの兄弟は死ななかったでしょう」。 (J)

ヨハネの福音書 11:33 イエスは、彼女が泣き、また、彼女と一緒にきたユダヤ人たちも泣いているのをごらんになり、激しく感動し、また心を騒がせ、そして言われた、 (J)

ヨハネの福音書 11:34 「彼をどこに置いたのか」。彼らはイエスに言った、「主よ、きて、ごらん下さい」。 (J)

ヨハネの福音書 11:35 イエスは涙を流された。 (J)

ヨハネの福音書 11:36 するとユダヤ人たちは言った、「ああ、なんと彼を愛しておられたことか」。 (J)

ヨハネの福音書 11:37 しかし、彼らのある人たちは言った、「あの盲人の目をあけたこの人でも、ラザロを死なせないようには、できなかったのか」。 (J)

ヨハネの福音書 11:38 イエスはまた激しく感動して、墓にはいられた。それは洞穴であって、そこに石がはめてあった。 (J)

ヨハネの福音書 11:39 イエスは言われた、「石を取りのけなさい」。死んだラザロの姉妹マルタが言った、「主よ、もう臭くなっております。四日もたっていますから」。 (J)

ヨハネの福音書 11:40 イエスは彼女に言われた、「もし信じるなら神の栄光を見るであろうと、あなたに言ったではないか」。 (J)

ヨハネの福音書 11:41 人々は石を取りのけた。すると、イエスは目を天にむけて言われた、「父よ、わたしの願いをお聞き下さったことを感謝します。 (J)

ヨハネの福音書 11:42 あなたがいつでもわたしの願いを聞きいれて下さることを、よく知っています。しかし、こう申しますのは、そばに立っている人々に、あなたがわたしをつかわされたことを、信じさせるためであります」。 (J)

ヨハネの福音書 11:43 こう言いながら、大声で「ラザロよ、出てきなさい」と呼ばわれた。 (J)

ヨハネの福音書 11:44 すると、死人は手足を布でまかれ、顔も顔おおいで包まれたまま、出てきた。イエスは人々に言われた、「彼をほどいてやって、帰らせなさい」。 (J)

ヨハネの福音書 11:45 マリヤのところにきて、イエスのなさったことを見た多くのユダヤ人たちは、イエスを信じた。 (J)

ヨハネの福音書 11:46 しかし、そのうちの数人がパリサイ人たちのところに行って、イエスのされたことを告げた。 (J)

ヨハネの福音書 11:47 そこで、祭司長たちとパリサイ人たちとは、議会を召集して言った、「この人が多くのしるしを行っているのに、お互は何をしているのだ。 (J)

ヨハネの福音書 11:48 もしこのままにしておけば、みんなが彼を信じるようになるだろう。そのうえ、ローマ人がやってきて、わたしたちの土地も人民も奪ってしまうであろう」。 (J)

ヨハネの福音書 11:49 彼らのうちのひとりで、その年の大祭司であったカヤパが、彼らに言った、「あなたがたは、何もわかっていないし、 (J)

ヨハネの福音書 11:50 ひとりの人が人民に代って死んで、全国民が滅びないようになるのがわたしたちにとって得だということを、考えてもいない」。 (J)

ヨハネの福音書 11:51 このことは彼が自分から言ったのではない。彼はこの年の大祭司であったので、預言をして、イエスが国民のために、 (J)

ヨハネの福音書 11:52 ただ国民のためだけではなく、また散在している神の子らを一つに集めるために、死ぬことになっていると、言ったのである。 (J)

ヨハネの福音書 11:53 彼らはこの日からイエスを殺そうと相談した。 (J)

ヨハネの福音書 11:54 そのためイエスは、もはや公然とユダヤ人の間を歩かないで、そこを出て、荒野に近い地方のエフライムという町に行かれ、そこに弟子たちと一緒に滞在しておられた。 (J)

ヨハネの福音書 11:55 さて、ユダヤ人の過越の祭が近づいたので、多くの人々は身をきよめるために、祭の前に、地方からエルサレムへ上った。 (J)

ヨハネの福音書 11:56 人々はイエスを捜し求め、宮の庭に立って互に言った、「あなたがたはどう思うか。イエスはこの祭にこないのだろうか」。 (J)

ヨハネの福音書 11:57 祭司長たちとパリサイ人たちとは、イエスを捕えようとして、そのいどころを知っている者があれば申し出よ、という指令を出していた。 (J)

ヨハネの福音書 12:1 過越の祭の六日まえに、イエスはベタニヤに行かれた。そこは、イエスが死人の中からよみがえらせたラザロのいた所である。 (J)

ヨハネの福音書 12:2 イエスのためにそこで夕食の用意がされ、マルタは給仕をしていた。イエスと一緒に食卓についていた者のうちに、ラザロも加わっていた。 (J)

ヨハネの福音書 12:3 その時、マリヤは高価で純粋なナルドの香油一斤を持ってきて、イエスの足にぬり、自分の髪の毛でそれをふいた。すると、香油のかおりが家にいっぱいになった。 (J)

ヨハネの福音書 12:4 弟子のひとりで、イエスを裏切ろうとしていたイスカリオテのユダが言った、 (J)

ヨハネの福音書 12:5 「なぜこの香油を三百デナリに売って、貧しい人たちに、施さなかったのか」。 (J)

ヨハネの福音書 12:6 彼がこう言ったのは、貧しい人たちに対する思いやりがあったからではなく、自分が盗人であり、財布を預かっていて、その中身をごまかしていたからであった。 (J)

ヨハネの福音書 12:7 イエスは言われた、「この女のするままにさせておきなさい。わたしの葬りの日のために、それをとっておいたのだから。 (J)

ヨハネの福音書 12:8 貧しい人たちはいつもあなたがたと共にいるが、わたしはいつも共にいるわけではない」。 (J)

ヨハネの福音書 12:9 大ぜいのユダヤ人たちが、そこにイエスのおられるのを知って、押しよせてきた。それはイエスに会うためだけではなく、イエスが死人のなかから、よみがえらせたラザロを見るためでもあった。 (J)

ヨハネの福音書 12:10 そこで祭司長たちは、ラザロも殺そうと相談した。 (J)

ヨハネの福音書 12:11 それは、ラザロのことで、多くのユダヤ人が彼らを離れ去って、イエスを信じるに至ったからである。 (J)

ヨハネの福音書 12:12 その翌日、祭にきていた大ぜいの群衆は、イエスがエルサレムにこられると聞いて、 (J)

ヨハネの福音書 12:13 しゅろの枝を手にとり、迎えに出て行った。そして叫んだ、 「ホサナ、 主の御名によってきたる者に祝福あれ、 イスラエルの王に」。 (J)

ヨハネの福音書 12:14 イエスは、ろばの子を見つけて、その上に乗られた。それは (J)

ヨハネの福音書 12:15 「シオンの娘よ、恐れるな。 見よ、あなたの王が ろばの子に乗っておいでになる」 と書いてあるとおりであった。 (J)

ヨハネの福音書 12:16 弟子たちは初めにはこのことを悟らなかったが、イエスが栄光を受けられた時に、このことがイエスについて書かれてあり、またそのとおりに、人々がイエスに対してしたのだということを、思い起した。 (J)

ヨハネの福音書 12:17 また、イエスがラザロを墓から呼び出して、死人の中からよみがえらせたとき、イエスと一緒にいた群衆が、そのあかしをした。 (J)

ヨハネの福音書 12:18 群衆がイエスを迎えに出たのは、イエスがこのようなしるしを行われたことを、聞いていたからである。 (J)

ヨハネの福音書 12:19 そこで、パリサイ人たちは互に言った、「何をしてもむだだった。世をあげて彼のあとを追って行ったではないか」。 (J)

ヨハネの福音書 12:20 祭で礼拝するために上ってきた人々のうちに、数人のギリシヤ人がいた。 (J)

ヨハネの福音書 12:21 彼らはガリラヤのベツサイダ出であるピリポのところにきて、「君よ、イエスにお目にかかりたいのですが」と言って頼んだ。 (J)

ヨハネの福音書 12:22 ピリポはアンデレのところに行ってそのことを話し、アンデレとピリポは、イエスのもとに行って伝えた。 (J)

ヨハネの福音書 12:23 すると、イエスは答えて言われた、「人の子が栄光を受ける時がきた。 (J)

ヨハネの福音書 12:24 よくよくあなたがたに言っておく。一粒の麦が地に落ちて死ななければ、それはただ一粒のままである。しかし、もし死んだなら、豊かに実を結ぶようになる。 (J)

ヨハネの福音書 12:25 自分の命を愛する者はそれを失い、この世で自分の命を憎む者は、それを保って永遠の命に至るであろう。 (J)

ヨハネの福音書 12:26 もしわたしに仕えようとする人があれば、その人はわたしに従って来るがよい。そうすれば、わたしのおる所に、わたしに仕える者もまた、おるであろう。もしわたしに仕えようとする人があれば、その人を父は重んじて下さるであろう。 (J)

ヨハネの福音書 12:27 今わたしは心が騒いでいる。わたしはなんと言おうか。父よ、この時からわたしをお救い下さい。しかし、わたしはこのために、この時に至ったのです。 (J)

ヨハネの福音書 12:28 父よ、み名があがめられますように」。すると天から声があった、「わたしはすでに栄光をあらわした。そして、更にそれをあらわすであろう」。 (J)

ヨハネの福音書 12:29 すると、そこに立っていた群衆がこれを聞いて、「雷がなったのだ」と言い、ほかの人たちは、「御使が彼に話しかけたのだ」と言った。 (J)

ヨハネの福音書 12:30 イエスは答えて言われた、「この声があったのは、わたしのためではなく、あなたがたのためである。 (J)

ヨハネの福音書 12:31 今はこの世がさばかれる時である。今こそこの世の君は追い出されるであろう。 (J)

ヨハネの福音書 12:32 そして、わたしがこの地から上げられる時には、すべての人をわたしのところに引きよせるであろう」。 (J)

ヨハネの福音書 12:33 イエスはこう言って、自分がどんな死に方で死のうとしていたかを、お示しになったのである。 (J)

ヨハネの福音書 12:34 すると群衆はイエスにむかって言った、「わたしたちは律法によって、キリストはいつまでも生きておいでになるのだ、と聞いていました。それだのに、どうして人の子は上げられねばならないと、言われるのですか。その人の子とは、だれのことですか」。 (J)

ヨハネの福音書 12:35 そこでイエスは彼らに言われた、「もうしばらくの間、光はあなたがたと一緒にここにある。光がある間に歩いて、やみに追いつかれないようにしなさい。やみの中を歩く者は、自分がどこへ行くのかわかっていない。 (J)

ヨハネの福音書 12:36 光のある間に、光の子となるために、光を信じなさい」。 イエスはこれらのことを話してから、そこを立ち去って、彼らから身をお隠しになった。 (J)

ヨハネの福音書 12:37 このように多くのしるしを彼らの前でなさったが、彼らはイエスを信じなかった。 (J)

ヨハネの福音書 12:38 それは、預言者イザヤの次の言葉が成就するためである、「主よ、わたしたちの説くところを、だれが信じたでしょうか。また、主のみ腕はだれに示されたでしょうか」。 (J)

ヨハネの福音書 12:39 こういうわけで、彼らは信じることができなかった。イザヤはまた、こうも言った、 (J)

ヨハネの福音書 12:40 「神は彼らの目をくらまし、心をかたくなになさった。それは、彼らが目で見ず、心で悟らず、悔い改めていやされることがないためである」。 (J)

ヨハネの福音書 12:41 イザヤがこう言ったのは、イエスの栄光を見たからであって、イエスのことを語ったのである。 (J)

ヨハネの福音書 12:42 しかし、役人たちの中にも、イエスを信じた者が多かったが、パリサイ人をはばかって、告白はしなかった。会堂から追い出されるのを恐れていたのである。 (J)

ヨハネの福音書 12:43 彼らは神のほまれよりも、人のほまれを好んだからである。 (J)

ヨハネの福音書 12:44 イエスは大声で言われた、「わたしを信じる者は、わたしを信じるのではなく、わたしをつかわされたかたを信じるのであり、 (J)

ヨハネの福音書 12:45 また、わたしを見る者は、わたしをつかわされたかたを見るのである。 (J)

ヨハネの福音書 12:46 わたしは光としてこの世にきた。それは、わたしを信じる者が、やみのうちにとどまらないようになるためである。 (J)

ヨハネの福音書 12:47 たとい、わたしの言うことを聞いてそれを守らない人があっても、わたしはその人をさばかない。わたしがきたのは、この世をさばくためではなく、この世を救うためである。 (J)

ヨハネの福音書 12:48 わたしを捨てて、わたしの言葉を受けいれない人には、その人をさばくものがある。わたしの語ったその言葉が、終りの日にその人をさばくであろう。 (J)

ヨハネの福音書 12:49 わたしは自分から語ったのではなく、わたしをつかわされた父ご自身が、わたしの言うべきこと、語るべきことをお命じになったのである。 (J)

ヨハネの福音書 12:50 わたしは、この命令が永遠の命であることを知っている。それゆえに、わたしが語っていることは、わたしの父がわたしに仰せになったことを、そのまま語っているのである」。 (J)

ヨハネの福音書 13:1 過越の祭の前に、イエスは、この世を去って父のみもとに行くべき自分の時がきたことを知り、世にいる自分の者たちを愛して、彼らを最後まで愛し通された。 (J)

ヨハネの福音書 13:2 夕食のとき、悪魔はすでにシモンの子イスカリオテのユダの心に、イエスを裏切ろうとする思いを入れていたが、 (J)

ヨハネの福音書 13:3 イエスは、父がすべてのものを自分の手にお与えになったこと、また、自分は神から出てきて、神にかえろうとしていることを思い、 (J)

ヨハネの福音書 13:4 夕食の席から立ち上がって、上着を脱ぎ、手ぬぐいをとって腰に巻き、 (J)

ヨハネの福音書 13:5 それから水をたらいに入れて、弟子たちの足を洗い、腰に巻いた手ぬぐいでふき始められた。 (J)

ヨハネの福音書 13:6 こうして、シモン・ペテロの番になった。すると彼はイエスに、「主よ、あなたがわたしの足をお洗いになるのですか」と言った。 (J)

ヨハネの福音書 13:7 イエスは彼に答えて言われた、「わたしのしていることは今あなたにはわからないが、あとでわかるようになるだろう」。 (J)

ヨハネの福音書 13:8 ペテロはイエスに言った、「わたしの足を決して洗わないで下さい」。イエスは彼に答えられた、「もしわたしがあなたの足を洗わないなら、あなたはわたしとなんの係わりもなくなる」。 (J)

ヨハネの福音書 13:9 シモン・ペテロはイエスに言った、「主よ、では、足だけではなく、どうぞ、手も頭も」。 (J)

ヨハネの福音書 13:10 イエスは彼に言われた、「すでにからだを洗った者は、足のほかは洗う必要がない。全身がきれいなのだから。あなたがたはきれいなのだ。しかし、みんながそうなのではない」。 (J)

ヨハネの福音書 13:11 イエスは自分を裏切る者を知っておられた。それで、「みんながきれいなのではない」と言われたのである。 (J)

ヨハネの福音書 13:12 こうして彼らの足を洗ってから、上着をつけ、ふたたび席にもどって、彼らに言われた、「わたしがあなたがたにしたことがわかるか。 (J)

ヨハネの福音書 13:13 あなたがたはわたしを教師、また主と呼んでいる。そう言うのは正しい。わたしはそのとおりである。 (J)

ヨハネの福音書 13:14 しかし、主であり、また教師であるわたしが、あなたがたの足を洗ったからには、あなたがたもまた、互に足を洗い合うべきである。 (J)

ヨハネの福音書 13:15 わたしがあなたがたにしたとおりに、あなたがたもするように、わたしは手本を示したのだ。 (J)

ヨハネの福音書 13:16 よくよくあなたがたに言っておく。僕はその主人にまさるものではなく、つかわされた者はつかわした者にまさるものではない。 (J)

ヨハネの福音書 13:17 もしこれらのことがわかっていて、それを行うなら、あなたがたはさいわいである。 (J)

ヨハネの福音書 13:18 あなたがた全部の者について、こう言っているのではない。わたしは自分が選んだ人たちを知っている。しかし、『わたしのパンを食べている者が、わたしにむかってそのかかとをあげた』とある聖書は成就されなければならない。 (J)

ヨハネの福音書 13:19 そのことがまだ起らない今のうちに、あなたがたに言っておく。いよいよ事が起ったとき、わたしがそれであることを、あなたがたが信じるためである。 (J)

ヨハネの福音書 13:20 よくよくあなたがたに言っておく。わたしがつかわす者を受けいれる者は、わたしを受けいれるのである。わたしを受けいれる者は、わたしをつかわされたかたを、受けいれるのである」。 (J)

ヨハネの福音書 13:21 イエスがこれらのことを言われた後、その心が騒ぎ、おごそかに言われた、「よくよくあなたがたに言っておく。あなたがたのうちのひとりが、わたしを裏切ろうとしている」。 (J)

ヨハネの福音書 13:22 弟子たちはだれのことを言われたのか察しかねて、互に顔を見合わせた。 (J)

ヨハネの福音書 13:23 弟子たちのひとりで、イエスの愛しておられた者が、み胸に近く席についていた。 (J)

ヨハネの福音書 13:24 そこで、シモン・ペテロは彼に合図をして言った、「だれのことをおっしゃったのか、知らせてくれ」。 (J)

ヨハネの福音書 13:25 その弟子はそのままイエスの胸によりかかって、「主よ、だれのことですか」と尋ねると、 (J)

ヨハネの福音書 13:26 イエスは答えられた、「わたしが一きれの食物をひたして与える者が、それである」。そして、一きれの食物をひたしてとり上げ、シモンの子イスカリオテのユダにお与えになった。 (J)

ヨハネの福音書 13:27 この一きれの食物を受けるやいなや、サタンがユダにはいった。そこでイエスは彼に言われた、「しようとしていることを、今すぐするがよい」。 (J)

ヨハネの福音書 13:28 席を共にしていた者のうち、なぜユダにこう言われたのか、わかっていた者はひとりもなかった。 (J)

ヨハネの福音書 13:29 ある人々は、ユダが金入れをあずかっていたので、イエスが彼に、「祭のために必要なものを買え」と言われたか、あるいは、貧しい者に何か施させようとされたのだと思っていた。 (J)

ヨハネの福音書 13:30 ユダは一きれの食物を受けると、すぐに出て行った。時は夜であった。 (J)

ヨハネの福音書 13:31 さて、彼が出て行くと、イエスは言われた、「今や人の子は栄光を受けた。神もまた彼によって栄光をお受けになった。 (J)

ヨハネの福音書 13:32 彼によって栄光をお受けになったのなら、神ご自身も彼に栄光をお授けになるであろう。すぐにもお授けになるであろう。 (J)

ヨハネの福音書 13:33 子たちよ、わたしはまだしばらく、あなたがたと一緒にいる。あなたがたはわたしを捜すだろうが、すでにユダヤ人たちに言ったとおり、今あなたがたにも言う、『あなたがたはわたしの行く所に来ることはできない』。 (J)

ヨハネの福音書 13:34 わたしは、新しいいましめをあなたがたに与える、互に愛し合いなさい。わたしがあなたがたを愛したように、あなたがたも互に愛し合いなさい。 (J)

ヨハネの福音書 13:35 互に愛し合うならば、それによって、あなたがたがわたしの弟子であることを、すべての者が認めるであろう」。 (J)

ヨハネの福音書 13:36 シモン・ペテロがイエスに言った、「主よ、どこへおいでになるのですか」。イエスは答えられた、「あなたはわたしの行くところに、今はついて来ることはできない。しかし、あとになってから、ついて来ることになろう」。 (J)

ヨハネの福音書 13:37 ペテロはイエスに言った、「主よ、なぜ、今あなたについて行くことができないのですか。あなたのためには、命も捨てます」。 (J)

ヨハネの福音書 13:38 イエスは答えられた、「わたしのために命を捨てると言うのか。よくよくあなたに言っておく。鶏が鳴く前に、あなたはわたしを三度知らないと言うであろう」。 (J)

ヨハネの福音書 14:1 「あなたがたは、心を騒がせないがよい。神を信じ、またわたしを信じなさい。 (J)

ヨハネの福音書 14:2 わたしの父の家には、すまいがたくさんある。もしなかったならば、わたしはそう言っておいたであろう。あなたがたのために、場所を用意しに行くのだから。 (J)

ヨハネの福音書 14:3 そして、行って、場所の用意ができたならば、またきて、あなたがたをわたしのところに迎えよう。わたしのおる所にあなたがたもおらせるためである。 (J)

ヨハネの福音書 14:4 わたしがどこへ行くのか、その道はあなたがたにわかっている」。 (J)

ヨハネの福音書 14:5 トマスはイエスに言った、「主よ、どこへおいでになるのか、わたしたちにはわかりません。どうしてその道がわかるでしょう」。 (J)

ヨハネの福音書 14:6 イエスは彼に言われた、「わたしは道であり、真理であり、命である。だれでもわたしによらないでは、父のみもとに行くことはできない。 (J)

ヨハネの福音書 14:7 もしあなたがたがわたしを知っていたならば、わたしの父をも知ったであろう。しかし、今は父を知っており、またすでに父を見たのである」。 (J)

ヨハネの福音書 14:8 ピリポはイエスに言った、「主よ、わたしたちに父を示して下さい。そうして下されば、わたしたちは満足します」。 (J)

ヨハネの福音書 14:9 イエスは彼に言われた、「ピリポよ、こんなに長くあなたがたと一緒にいるのに、わたしがわかっていないのか。わたしを見た者は、父を見たのである。どうして、わたしたちに父を示してほしいと、言うのか。 (J)

ヨハネの福音書 14:10 わたしが父におり、父がわたしにおられることをあなたは信じないのか。わたしがあなたがたに話している言葉は、自分から話しているのではない。父がわたしのうちにおられて、みわざをなさっているのである。 (J)

ヨハネの福音書 14:11 わたしが父におり、父がわたしにおられることを信じなさい。もしそれが信じられないならば、わざそのものによって信じなさい。 (J)

ヨハネの福音書 14:12 よくよくあなたがたに言っておく。わたしを信じる者は、またわたしのしているわざをするであろう。そればかりか、もっと大きいわざをするであろう。わたしが父のみもとに行くからである。 (J)

ヨハネの福音書 14:13 わたしの名によって願うことは、なんでもかなえてあげよう。父が子によって栄光をお受けになるためである。 (J)

ヨハネの福音書 14:14 何事でもわたしの名によって願うならば、わたしはそれをかなえてあげよう。 (J)

ヨハネの福音書 14:15 もしあなたがたがわたしを愛するならば、わたしのいましめを守るべきである。 (J)

ヨハネの福音書 14:16 わたしは父にお願いしよう。そうすれば、父は別に助け主を送って、いつまでもあなたがたと共におらせて下さるであろう。 (J)

ヨハネの福音書 14:17 それは真理の御霊である。この世はそれを見ようともせず、知ろうともしないので、それを受けることができない。あなたがたはそれを知っている。なぜなら、それはあなたがたと共におり、またあなたがたのうちにいるからである。 (J)

ヨハネの福音書 14:18 わたしはあなたがたを捨てて孤児とはしない。あなたがたのところに帰って来る。 (J)

ヨハネの福音書 14:19 もうしばらくしたら、世はもはやわたしを見なくなるだろう。しかし、あなたがたはわたしを見る。わたしが生きるので、あなたがたも生きるからである。 (J)

ヨハネの福音書 14:20 その日には、わたしはわたしの父におり、あなたがたはわたしにおり、また、わたしがあなたがたにおることが、わかるであろう。 (J)

ヨハネの福音書 14:21 わたしのいましめを心にいだいてこれを守る者は、わたしを愛する者である。わたしを愛する者は、わたしの父に愛されるであろう。わたしもその人を愛し、その人にわたし自身をあらわすであろう」。 (J)

ヨハネの福音書 14:22 イスカリオテでない方のユダがイエスに言った、「主よ、あなたご自身をわたしたちにあらわそうとして、世にはあらわそうとされないのはなぜですか」。 (J)

ヨハネの福音書 14:23 イエスは彼に答えて言われた、「もしだれでもわたしを愛するならば、わたしの言葉を守るであろう。そして、わたしの父はその人を愛し、また、わたしたちはその人のところに行って、その人と一緒に住むであろう。 (J)

ヨハネの福音書 14:24 わたしを愛さない者はわたしの言葉を守らない。あなたがたが聞いている言葉は、わたしの言葉ではなく、わたしをつかわされた父の言葉である。 (J)

ヨハネの福音書 14:25 これらのことは、あなたがたと一緒にいた時、すでに語ったことである。 (J)

ヨハネの福音書 14:26 しかし、助け主、すなわち、父がわたしの名によってつかわされる聖霊は、あなたがたにすべてのことを教え、またわたしが話しておいたことを、ことごとく思い起させるであろう。 (J)

ヨハネの福音書 14:27 わたしは平安をあなたがたに残して行く。わたしの平安をあなたがたに与える。わたしが与えるのは、世が与えるようなものとは異なる。あなたがたは心を騒がせるな、またおじけるな。 (J)

ヨハネの福音書 14:28 『わたしは去って行くが、またあなたがたのところに帰って来る』と、わたしが言ったのを、あなたがたは聞いている。もしわたしを愛しているなら、わたしが父のもとに行くのを喜んでくれるであろう。父がわたしより大きいかたであるからである。 (J)

ヨハネの福音書 14:29 今わたしは、そのことが起らない先にあなたがたに語った。それは、事が起った時にあなたがたが信じるためである。 (J)

ヨハネの福音書 14:30 わたしはもはや、あなたがたに、多くを語るまい。この世の君が来るからである。だが、彼はわたしに対して、なんの力もない。 (J)

ヨハネの福音書 14:31 しかし、わたしが父を愛していることを世が知るように、わたしは父がお命じになったとおりのことを行うのである。立て。さあ、ここから出かけて行こう。 (J)

ヨハネの福音書 15:1 わたしはまことのぶどうの木、わたしの父は農夫である。 (J)

ヨハネの福音書 15:2 わたしにつながっている枝で実を結ばないものは、父がすべてこれをとりのぞき、実を結ぶものは、もっと豊かに実らせるために、手入れしてこれをきれいになさるのである。 (J)

ヨハネの福音書 15:3 あなたがたは、わたしが語った言葉によって既にきよくされている。 (J)

ヨハネの福音書 15:4 わたしにつながっていなさい。そうすれば、わたしはあなたがたとつながっていよう。枝がぶどうの木につながっていなければ、自分だけでは実を結ぶことができないように、あなたがたもわたしにつながっていなければ実を結ぶことができない。 (J)

ヨハネの福音書 15:5 わたしはぶどうの木、あなたがたはその枝である。もし人がわたしにつながっており、またわたしがその人とつながっておれば、その人は実を豊かに結ぶようになる。わたしから離れては、あなたがたは何一つできないからである。 (J)

ヨハネの福音書 15:6 人がわたしにつながっていないならば、枝のように外に投げすてられて枯れる。人々はそれをかき集め、火に投げ入れて、焼いてしまうのである。 (J)

ヨハネの福音書 15:7 あなたがたがわたしにつながっており、わたしの言葉があなたがたにとどまっているならば、なんでも望むものを求めるがよい。そうすれば、与えられるであろう。 (J)

ヨハネの福音書 15:8 あなたがたが実を豊かに結び、そしてわたしの弟子となるならば、それによって、わたしの父は栄光をお受けになるであろう。 (J)

ヨハネの福音書 15:9 父がわたしを愛されたように、わたしもあなたがたを愛したのである。わたしの愛のうちにいなさい。 (J)

ヨハネの福音書 15:10 もしわたしのいましめを守るならば、あなたがたはわたしの愛のうちにおるのである。それはわたしがわたしの父のいましめを守ったので、その愛のうちにおるのと同じである。 (J)

ヨハネの福音書 15:11 わたしがこれらのことを話したのは、わたしの喜びがあなたがたのうちにも宿るため、また、あなたがたの喜びが満ちあふれるためである。 (J)

ヨハネの福音書 15:12 わたしのいましめは、これである。わたしがあなたがたを愛したように、あなたがたも互に愛し合いなさい。 (J)

ヨハネの福音書 15:13 人がその友のために自分の命を捨てること、これよりも大きな愛はない。 (J)

ヨハネの福音書 15:14 あなたがたにわたしが命じることを行うならば、あなたがたはわたしの友である。 (J)

ヨハネの福音書 15:15 わたしはもう、あなたがたを僕とは呼ばない。僕は主人のしていることを知らないからである。わたしはあなたがたを友と呼んだ。わたしの父から聞いたことを皆、あなたがたに知らせたからである。 (J)

ヨハネの福音書 15:16 あなたがたがわたしを選んだのではない。わたしがあなたがたを選んだのである。そして、あなたがたを立てた。それは、あなたがたが行って実をむすび、その実がいつまでも残るためであり、また、あなたがたがわたしの名によって父に求めるものはなんでも、父が与えて下さるためである。 (J)

ヨハネの福音書 15:17 これらのことを命じるのは、あなたがたが互に愛し合うためである。 (J)

ヨハネの福音書 15:18 もしこの世があなたがたを憎むならば、あなたがたよりも先にわたしを憎んだことを、知っておくがよい。 (J)

ヨハネの福音書 15:19 もしあなたがたがこの世から出たものであったなら、この世は、あなたがたを自分のものとして愛したであろう。しかし、あなたがたはこの世のものではない。かえって、わたしがあなたがたをこの世から選び出したのである。だから、この世はあなたがたを憎むのである。 (J)

ヨハネの福音書 15:20 わたしがあなたがたに『僕はその主人にまさるものではない』と言ったことを、おぼえていなさい。もし人々がわたしを迫害したなら、あなたがたをも迫害するであろう。また、もし彼らがわたしの言葉を守っていたなら、あなたがたの言葉をも守るであろう。 (J)

ヨハネの福音書 15:21 彼らはわたしの名のゆえに、あなたがたに対してすべてそれらのことをするであろう。それは、わたしをつかわされたかたを彼らが知らないからである。 (J)

ヨハネの福音書 15:22 もしわたしがきて彼らに語らなかったならば、彼らは罪を犯さないですんだであろう。しかし今となっては、彼らには、その罪について言いのがれる道がない。 (J)

ヨハネの福音書 15:23 わたしを憎む者は、わたしの父をも憎む。 (J)

ヨハネの福音書 15:24 もし、ほかのだれもがしなかったようなわざを、わたしが彼らの間でしなかったならば、彼らは罪を犯さないですんだであろう。しかし事実、彼らはわたしとわたしの父とを見て、憎んだのである。 (J)

ヨハネの福音書 15:25 それは、『彼らは理由なしにわたしを憎んだ』と書いてある彼らの律法の言葉が成就するためである。 (J)

ヨハネの福音書 15:26 わたしが父のみもとからあなたがたにつかわそうとしている助け主、すなわち、父のみもとから来る真理の御霊が下る時、それはわたしについてあかしをするであろう。 (J)

ヨハネの福音書 15:27 あなたがたも、初めからわたしと一緒にいたのであるから、あかしをするのである。 (J)

ヨハネの福音書 16:1 わたしがこれらのことを語ったのは、あなたがたがつまずくことのないためである。 (J)

ヨハネの福音書 16:2 人々はあなたがたを会堂から追い出すであろう。更にあなたがたを殺す者がみな、それによって自分たちは神に仕えているのだと思う時が来るであろう。 (J)

ヨハネの福音書 16:3 彼らがそのようなことをするのは、父をもわたしをも知らないからである。 (J)

ヨハネの福音書 16:4 わたしがあなたがたにこれらのことを言ったのは、彼らの時がきた場合、わたしが彼らについて言ったことを、思い起させるためである。これらのことを初めから言わなかったのは、わたしがあなたがたと一緒にいたからである。 (J)

ヨハネの福音書 16:5 けれども今わたしは、わたしをつかわされたかたのところに行こうとしている。しかし、あなたがたのうち、だれも『どこへ行くのか』と尋ねる者はない。 (J)

ヨハネの福音書 16:6 かえって、わたしがこれらのことを言ったために、あなたがたの心は憂いで満たされている。 (J)

ヨハネの福音書 16:7 しかし、わたしはほんとうのことをあなたがたに言うが、わたしが去って行くことは、あなたがたの益になるのだ。わたしが去って行かなければ、あなたがたのところに助け主はこないであろう。もし行けば、それをあなたがたにつかわそう。 (J)

ヨハネの福音書 16:8 それがきたら、罪と義とさばきとについて、世の人の目を開くであろう。 (J)

ヨハネの福音書 16:9 罪についてと言ったのは、彼らがわたしを信じないからである。 (J)

ヨハネの福音書 16:10 義についてと言ったのは、わたしが父のみもとに行き、あなたがたは、もはやわたしを見なくなるからである。 (J)

ヨハネの福音書 16:11 さばきについてと言ったのは、この世の君がさばかれるからである。 (J)

ヨハネの福音書 16:12 わたしには、あなたがたに言うべきことがまだ多くあるが、あなたがたは今はそれに堪えられない。 (J)

ヨハネの福音書 16:13 けれども真理の御霊が来る時には、あなたがたをあらゆる真理に導いてくれるであろう。それは自分から語るのではなく、その聞くところを語り、きたるべき事をあなたがたに知らせるであろう。 (J)

ヨハネの福音書 16:14 御霊はわたしに栄光を得させるであろう。わたしのものを受けて、それをあなたがたに知らせるからである。 (J)

ヨハネの福音書 16:15 父がお持ちになっているものはみな、わたしのものである。御霊はわたしのものを受けて、それをあなたがたに知らせるのだと、わたしが言ったのは、そのためである。 (J)

ヨハネの福音書 16:16 しばらくすれば、あなたがたはもうわたしを見なくなる。しかし、またしばらくすれば、わたしに会えるであろう」。 (J)

ヨハネの福音書 16:17 そこで、弟子たちのうちのある者は互に言い合った、「『しばらくすれば、わたしを見なくなる。またしばらくすれば、わたしに会えるであろう』と言われ、『わたしの父のところに行く』と言われたのは、いったい、どういうことなのであろう」。 (J)

ヨハネの福音書 16:18 彼らはまた言った、「『しばらくすれば』と言われるのは、どういうことか。わたしたちには、その言葉の意味がわからない」。 (J)

ヨハネの福音書 16:19 イエスは、彼らが尋ねたがっていることに気がついて、彼らに言われた、「しばらくすればわたしを見なくなる、またしばらくすればわたしに会えるであろうと、わたしが言ったことで、互に論じ合っているのか。 (J)

ヨハネの福音書 16:20 よくよくあなたがたに言っておく。あなたがたは泣き悲しむが、この世は喜ぶであろう。あなたがたは憂えているが、その憂いは喜びに変るであろう。 (J)

ヨハネの福音書 16:21 女が子を産む場合には、その時がきたというので、不安を感じる。しかし、子を産んでしまえば、もはやその苦しみをおぼえてはいない。ひとりの人がこの世に生れた、という喜びがあるためである。 (J)

ヨハネの福音書 16:22 このように、あなたがたにも今は不安がある。しかし、わたしは再びあなたがたと会うであろう。そして、あなたがたの心は喜びに満たされるであろう。その喜びをあなたがたから取り去る者はいない。 (J)

ヨハネの福音書 16:23 その日には、あなたがたがわたしに問うことは、何もないであろう。よくよくあなたがたに言っておく。あなたがたが父に求めるものはなんでも、わたしの名によって下さるであろう。 (J)

ヨハネの福音書 16:24 今までは、あなたがたはわたしの名によって求めたことはなかった。求めなさい、そうすれば、与えられるであろう。そして、あなたがたの喜びが満ちあふれるであろう。 (J)

ヨハネの福音書 16:25 わたしはこれらのことを比喩で話したが、もはや比喩では話さないで、あからさまに、父のことをあなたがたに話してきかせる時が来るであろう。 (J)

ヨハネの福音書 16:26 その日には、あなたがたは、わたしの名によって求めるであろう。わたしは、あなたがたのために父に願ってあげようとは言うまい。 (J)

ヨハネの福音書 16:27 父ご自身があなたがたを愛しておいでになるからである。それは、あなたがたがわたしを愛したため、また、わたしが神のみもとからきたことを信じたためである。 (J)

ヨハネの福音書 16:28 わたしは父から出てこの世にきたが、またこの世を去って、父のみもとに行くのである」。 (J)

ヨハネの福音書 16:29 弟子たちは言った、「今はあからさまにお話しになって、少しも比喩ではお話しになりません。 (J)

ヨハネの福音書 16:30 あなたはすべてのことをご存じであり、だれもあなたにお尋ねする必要のないことが、今わかりました。このことによって、わたしたちはあなたが神からこられたかたであると信じます」。 (J)

ヨハネの福音書 16:31 イエスは答えられた、「あなたがたは今信じているのか。 (J)

ヨハネの福音書 16:32 見よ、あなたがたは散らされて、それぞれ自分の家に帰り、わたしをひとりだけ残す時が来るであろう。いや、すでにきている。しかし、わたしはひとりでいるのではない。父がわたしと一緒におられるのである。 (J)

ヨハネの福音書 16:33 これらのことをあなたがたに話したのは、わたしにあって平安を得るためである。あなたがたは、この世ではなやみがある。しかし、勇気を出しなさい。わたしはすでに世に勝っている」。 (J)

ヨハネの福音書 17:1 これらのことを語り終えると、イエスは天を見あげて言われた、「父よ、時がきました。あなたの子があなたの栄光をあらわすように、子の栄光をあらわして下さい。 (J)

ヨハネの福音書 17:2 あなたは、子に賜わったすべての者に、永遠の命を授けさせるため、万民を支配する権威を子にお与えになったのですから。 (J)

ヨハネの福音書 17:3 永遠の命とは、唯一の、まことの神でいますあなたと、また、あなたがつかわされたイエス・キリストとを知ることであります。 (J)

ヨハネの福音書 17:4 わたしは、わたしにさせるためにお授けになったわざをなし遂げて、地上であなたの栄光をあらわしました。 (J)

ヨハネの福音書 17:5 父よ、世が造られる前に、わたしがみそばで持っていた栄光で、今み前にわたしを輝かせて下さい。 (J)

ヨハネの福音書 17:6 わたしは、あなたが世から選んでわたしに賜わった人々に、み名をあらわしました。彼らはあなたのものでありましたが、わたしに下さいました。そして、彼らはあなたの言葉を守りました。 (J)

ヨハネの福音書 17:7 いま彼らは、わたしに賜わったものはすべて、あなたから出たものであることを知りました。 (J)

ヨハネの福音書 17:8 なぜなら、わたしはあなたからいただいた言葉を彼らに与え、そして彼らはそれを受け、わたしがあなたから出たものであることをほんとうに知り、また、あなたがわたしをつかわされたことを信じるに至ったからです。 (J)

ヨハネの福音書 17:9 わたしは彼らのためにお願いします。わたしがお願いするのは、この世のためにではなく、あなたがわたしに賜わった者たちのためです。彼らはあなたのものなのです。 (J)

ヨハネの福音書 17:10 わたしのものは皆あなたのもの、あなたのものはわたしのものです。そして、わたしは彼らによって栄光を受けました。 (J)

ヨハネの福音書 17:11 わたしはもうこの世にはいなくなりますが、彼らはこの世に残っており、わたしはみもとに参ります。聖なる父よ、わたしに賜わった御名によって彼らを守って下さい。それはわたしたちが一つであるように、彼らも一つになるためであります。 (J)

ヨハネの福音書 17:12 わたしが彼らと一緒にいた間は、あなたからいただいた御名によって彼らを守り、また保護してまいりました。彼らのうち、だれも滅びず、ただ滅びの子だけが滅びました。それは聖書が成就するためでした。 (J)

ヨハネの福音書 17:13 今わたしはみもとに参ります。そして世にいる間にこれらのことを語るのは、わたしの喜びが彼らのうちに満ちあふれるためであります。 (J)

ヨハネの福音書 17:14 わたしは彼らに御言を与えましたが、世は彼らを憎みました。わたしが世のものでないように、彼らも世のものではないからです。 (J)

ヨハネの福音書 17:15 わたしがお願いするのは、彼らを世から取り去ることではなく、彼らを悪しき者から守って下さることであります。 (J)

ヨハネの福音書 17:16 わたしが世のものでないように、彼らも世のものではありません。 (J)

ヨハネの福音書 17:17 真理によって彼らを聖別して下さい。あなたの御言は真理であります。 (J)

ヨハネの福音書 17:18 あなたがわたしを世につかわされたように、わたしも彼らを世につかわしました。 (J)

ヨハネの福音書 17:19 また彼らが真理によって聖別されるように、彼らのためわたし自身を聖別いたします。 (J)

ヨハネの福音書 17:20 わたしは彼らのためばかりではなく、彼らの言葉を聞いてわたしを信じている人々のためにも、お願いいたします。 (J)

ヨハネの福音書 17:21 父よ、それは、あなたがわたしのうちにおられ、わたしがあなたのうちにいるように、みんなの者が一つとなるためであります。すなわち、彼らをもわたしたちのうちにおらせるためであり、それによって、あなたがわたしをおつかわしになったことを、世が信じるようになるためであります。 (J)

ヨハネの福音書 17:22 わたしは、あなたからいただいた栄光を彼らにも与えました。それは、わたしたちが一つであるように、彼らも一つになるためであります。 (J)

ヨハネの福音書 17:23 わたしが彼らにおり、あなたがわたしにいますのは、彼らが完全に一つとなるためであり、また、あなたがわたしをつかわし、わたしを愛されたように、彼らをお愛しになったことを、世が知るためであります。 (J)

ヨハネの福音書 17:24 父よ、あなたがわたしに賜わった人々が、わたしのいる所に一緒にいるようにして下さい。天地が造られる前からわたしを愛して下さって、わたしに賜わった栄光を、彼らに見させて下さい。 (J)

ヨハネの福音書 17:25 正しい父よ、この世はあなたを知っていません。しかし、わたしはあなたを知り、また彼らも、あなたがわたしをおつかわしになったことを知っています。 (J)

ヨハネの福音書 17:26 そしてわたしは彼らに御名を知らせました。またこれからも知らせましょう。それは、あなたがわたしを愛して下さったその愛が彼らのうちにあり、またわたしも彼らのうちにおるためであります」。 (J)

ヨハネの福音書 18:1 イエスはこれらのことを語り終えて、弟子たちと一緒にケデロンの谷の向こうへ行かれた。そこには園があって、イエスは弟子たちと一緒にその中にはいられた。 (J)

ヨハネの福音書 18:2 イエスを裏切ったユダは、その所をよく知っていた。イエスと弟子たちとがたびたびそこで集まったことがあるからである。 (J)

ヨハネの福音書 18:3 さてユダは、一隊の兵卒と祭司長やパリサイ人たちの送った下役どもを引き連れ、たいまつやあかりや武器を持って、そこへやってきた。 (J)

ヨハネの福音書 18:4 しかしイエスは、自分の身に起ろうとすることをことごとく承知しておられ、進み出て彼らに言われた、「だれを捜しているのか」。 (J)

ヨハネの福音書 18:5 彼らは「ナザレのイエスを」と答えた。イエスは彼らに言われた、「わたしが、それである」。イエスを裏切ったユダも、彼らと一緒に立っていた。 (J)

ヨハネの福音書 18:6 イエスが彼らに「わたしが、それである」と言われたとき、彼らはうしろに引きさがって地に倒れた。 (J)

ヨハネの福音書 18:7 そこでまた彼らに、「だれを捜しているのか」とお尋ねになると、彼らは「ナザレのイエスを」と言った。 (J)

ヨハネの福音書 18:8 イエスは答えられた、「わたしがそれであると、言ったではないか。わたしを捜しているのなら、この人たちを去らせてもらいたい」。 (J)

ヨハネの福音書 18:9 それは、「あなたが与えて下さった人たちの中のひとりも、わたしは失わなかった」とイエスの言われた言葉が、成就するためである。 (J)

ヨハネの福音書 18:10 シモン・ペテロは剣を持っていたが、それを抜いて、大祭司の僕に切りかかり、その右の耳を切り落した。その僕の名はマルコスであった。 (J)

ヨハネの福音書 18:11 すると、イエスはペテロに言われた、「剣をさやに納めなさい。父がわたしに下さった杯は、飲むべきではないか」。 (J)

ヨハネの福音書 18:12 それから一隊の兵卒やその千卒長やユダヤ人の下役どもが、イエスを捕え、縛りあげて、 (J)

ヨハネの福音書 18:13 まずアンナスのところに引き連れて行った。彼はその年の大祭司カヤパのしゅうとであった。 (J)

ヨハネの福音書 18:14 カヤパは前に、ひとりの人が民のために死ぬのはよいことだと、ユダヤ人に助言した者であった。 (J)

ヨハネの福音書 18:15 シモン・ペテロともうひとりの弟子とが、イエスについて行った。この弟子は大祭司の知り合いであったので、イエスと一緒に大祭司の中庭にはいった。 (J)

ヨハネの福音書 18:16 しかし、ペテロは外で戸口に立っていた。すると大祭司の知り合いであるその弟子が、外に出て行って門番の女に話し、ペテロを内に入れてやった。 (J)

ヨハネの福音書 18:17 すると、この門番の女がペテロに言った、「あなたも、あの人の弟子のひとりではありませんか」。ペテロは「いや、そうではない」と答えた。 (J)

ヨハネの福音書 18:18 僕や下役どもは、寒い時であったので、炭火をおこし、そこに立ってあたっていた。ペテロもまた彼らに交じり、立ってあたっていた。 (J)

ヨハネの福音書 18:19 大祭司はイエスに、弟子たちのことやイエスの教のことを尋ねた。 (J)

ヨハネの福音書 18:20 イエスは答えられた、「わたしはこの世に対して公然と語ってきた。すべてのユダヤ人が集まる会堂や宮で、いつも教えていた。何事も隠れて語ったことはない。 (J)

ヨハネの福音書 18:21 なぜ、わたしに尋ねるのか。わたしが彼らに語ったことは、それを聞いた人々に尋ねるがよい。わたしの言ったことは、彼らが知っているのだから」。 (J)

ヨハネの福音書 18:22 イエスがこう言われると、そこに立っていた下役のひとりが、「大祭司にむかって、そのような答をするのか」と言って、平手でイエスを打った。 (J)

ヨハネの福音書 18:23 イエスは答えられた、「もしわたしが何か悪いことを言ったのなら、その悪い理由を言いなさい。しかし、正しいことを言ったのなら、なぜわたしを打つのか」。 (J)

ヨハネの福音書 18:24 それからアンナスは、イエスを縛ったまま大祭司カヤパのところへ送った。 (J)

ヨハネの福音書 18:25 シモン・ペテロは、立って火にあたっていた。すると人々が彼に言った、「あなたも、あの人の弟子のひとりではないか」。彼はそれをうち消して、「いや、そうではない」と言った。 (J)

ヨハネの福音書 18:26 大祭司の僕のひとりで、ペテロに耳を切りおとされた人の親族の者が言った、「あなたが園であの人と一緒にいるのを、わたしは見たではないか」。 (J)

ヨハネの福音書 18:27 ペテロはまたそれを打ち消した。するとすぐに、鶏が鳴いた。 (J)

ヨハネの福音書 18:28 それから人々は、イエスをカヤパのところから官邸につれて行った。時は夜明けであった。彼らは、けがれを受けないで過越の食事ができるように、官邸にはいらなかった。 (J)

ヨハネの福音書 18:29 そこで、ピラトは彼らのところに出てきて言った、「あなたがたは、この人に対してどんな訴えを起すのか」。 (J)

ヨハネの福音書 18:30 彼らはピラトに答えて言った、「もしこの人が悪事をはたらかなかったなら、あなたに引き渡すようなことはしなかったでしょう」。 (J)

ヨハネの福音書 18:31 そこでピラトは彼らに言った、「あなたがたは彼を引き取って、自分たちの律法でさばくがよい」。ユダヤ人らは彼に言った、「わたしたちには、人を死刑にする権限がありません」。 (J)

ヨハネの福音書 18:32 これは、ご自身がどんな死にかたをしようとしているかを示すために言われたイエスの言葉が、成就するためである。 (J)

ヨハネの福音書 18:33 さて、ピラトはまた官邸にはいり、イエスを呼び出して言った、「あなたは、ユダヤ人の王であるか」。 (J)

ヨハネの福音書 18:34 イエスは答えられた、「あなたがそう言うのは、自分の考えからか。それともほかの人々が、わたしのことをあなたにそう言ったのか」。 (J)

ヨハネの福音書 18:35 ピラトは答えた、「わたしはユダヤ人なのか。あなたの同族や祭司長たちが、あなたをわたしに引き渡したのだ。あなたは、いったい、何をしたのか」。 (J)

ヨハネの福音書 18:36 イエスは答えられた、「わたしの国はこの世のものではない。もしわたしの国がこの世のものであれば、わたしに従っている者たちは、わたしをユダヤ人に渡さないように戦ったであろう。しかし事実、わたしの国はこの世のものではない」。 (J)

ヨハネの福音書 18:37 そこでピラトはイエスに言った、「それでは、あなたは王なのだな」。イエスは答えられた、「あなたの言うとおり、わたしは王である。わたしは真理についてあかしをするために生れ、また、そのためにこの世にきたのである。だれでも真理につく者は、わたしの声に耳を傾ける」。 (J)

ヨハネの福音書 18:38 ピラトはイエスに言った、「真理とは何か」。こう言って、彼はまたユダヤ人の所に出て行き、彼らに言った、「わたしには、この人になんの罪も見いだせない。 (J)

ヨハネの福音書 18:39 過越の時には、わたしがあなたがたのために、ひとりの人を許してやるのが、あなたがたのしきたりになっている。ついては、あなたがたは、このユダヤ人の王を許してもらいたいのか」。 (J)

ヨハネの福音書 18:40 すると彼らは、また叫んで「その人ではなく、バラバを」と言った。このバラバは強盗であった。 (J)

ヨハネの福音書 19:1 そこでピラトは、イエスを捕え、むちで打たせた。 (J)

ヨハネの福音書 19:2 兵卒たちは、いばらで冠をあんで、イエスの頭にかぶらせ、紫の上着を着せ、 (J)

ヨハネの福音書 19:3 それから、その前に進み出て、「ユダヤ人の王、ばんざい」と言った。そして平手でイエスを打ちつづけた。 (J)

ヨハネの福音書 19:4 するとピラトは、また出て行ってユダヤ人たちに言った、「見よ、わたしはこの人をあなたがたの前に引き出すが、それはこの人になんの罪も見いだせないことを、あなたがたに知ってもらうためである」。 (J)

ヨハネの福音書 19:5 イエスはいばらの冠をかぶり、紫の上着を着たままで外へ出られると、ピラトは彼らに言った、「見よ、この人だ」。 (J)

ヨハネの福音書 19:6 祭司長たちや下役どもはイエスを見ると、叫んで「十字架につけよ、十字架につけよ」と言った。ピラトは彼らに言った、「あなたがたが、この人を引き取って十字架につけるがよい。わたしは、彼にはなんの罪も見いだせない」。 (J)

ヨハネの福音書 19:7 ユダヤ人たちは彼に答えた、「わたしたちには律法があります。その律法によれば、彼は自分を神の子としたのだから、死罪に当る者です」。 (J)

ヨハネの福音書 19:8 ピラトがこの言葉を聞いたとき、ますますおそれ、 (J)

ヨハネの福音書 19:9 もう一度官邸にはいってイエスに言った、「あなたは、もともと、どこからきたのか」。しかし、イエスはなんの答もなさらなかった。 (J)

ヨハネの福音書 19:10 そこでピラトは言った、「何も答えないのか。わたしには、あなたを許す権威があり、また十字架につける権威があることを、知らないのか」。 (J)

ヨハネの福音書 19:11 イエスは答えられた、「あなたは、上から賜わるのでなければ、わたしに対してなんの権威もない。だから、わたしをあなたに引き渡した者の罪は、もっと大きい」。 (J)

ヨハネの福音書 19:12 これを聞いて、ピラトはイエスを許そうと努めた。しかしユダヤ人たちが叫んで言った、「もしこの人を許したなら、あなたはカイザルの味方ではありません。自分を王とするものはすべて、カイザルにそむく者です」。 (J)

ヨハネの福音書 19:13 ピラトはこれらの言葉を聞いて、イエスを外へ引き出して行き、敷石(ヘブル語ではガバタ)という場所で裁判の席についた。 (J)

ヨハネの福音書 19:14 その日は過越の準備の日であって、時は昼の十二時ころであった。ピラトはユダヤ人らに言った、「見よ、これがあなたがたの王だ」。 (J)

ヨハネの福音書 19:15 すると彼らは叫んだ、「殺せ、殺せ、彼を十字架につけよ」。ピラトは彼らに言った、「あなたがたの王を、わたしが十字架につけるのか」。祭司長たちは答えた、「わたしたちには、カイザル以外に王はありません」。 (J)

ヨハネの福音書 19:16 そこでピラトは、十字架につけさせるために、イエスを彼らに引き渡した。 彼らはイエスを引き取った。 (J)

ヨハネの福音書 19:17 イエスはみずから十字架を背負って、されこうべ(ヘブル語ではゴルゴダ)という場所に出て行かれた。 (J)

ヨハネの福音書 19:18 彼らはそこで、イエスを十字架につけた。イエスをまん中にして、ほかのふたりの者を両側に、イエスと一緒に十字架につけた。 (J)

ヨハネの福音書 19:19 ピラトは罪状書きを書いて、十字架の上にかけさせた。それには「ユダヤ人の王、ナザレのイエス」と書いてあった。 (J)

ヨハネの福音書 19:20 イエスが十字架につけられた場所は都に近かったので、多くのユダヤ人がこの罪状書きを読んだ。それはヘブル、ローマ、ギリシヤの国語で書いてあった。 (J)

ヨハネの福音書 19:21 ユダヤ人の祭司長たちがピラトに言った、「『ユダヤ人の王』と書かずに、『この人はユダヤ人の王と自称していた』と書いてほしい」。 (J)

ヨハネの福音書 19:22 ピラトは答えた、「わたしが書いたことは、書いたままにしておけ」。 (J)

ヨハネの福音書 19:23 さて、兵卒たちはイエスを十字架につけてから、その上着をとって四つに分け、おのおの、その一つを取った。また下着を手に取ってみたが、それには縫い目がなく、上の方から全部一つに織ったものであった。 (J)

ヨハネの福音書 19:24 そこで彼らは互に言った、「それを裂かないで、だれのものになるか、くじを引こう」。これは、「彼らは互にわたしの上着を分け合い、わたしの衣をくじ引にした」という聖書が成就するためで、兵卒たちはそのようにしたのである。 (J)

ヨハネの福音書 19:25 さて、イエスの十字架のそばには、イエスの母と、母の姉妹と、クロパの妻マリヤと、マグダラのマリヤとが、たたずんでいた。 (J)

ヨハネの福音書 19:26 イエスは、その母と愛弟子とがそばに立っているのをごらんになって、母にいわれた、「婦人よ、ごらんなさい。これはあなたの子です」。 (J)

ヨハネの福音書 19:27 それからこの弟子に言われた、「ごらんなさい。これはあなたの母です」。そのとき以来、この弟子はイエスの母を自分の家に引きとった。 (J)

ヨハネの福音書 19:28 そののち、イエスは今や万事が終ったことを知って、「わたしは、かわく」と言われた。それは、聖書が全うされるためであった。 (J)

ヨハネの福音書 19:29 そこに、酢いぶどう酒がいっぱい入れてある器がおいてあったので、人々は、このぶどう酒を含ませた海綿をヒソプの茎に結びつけて、イエスの口もとにさし出した。 (J)

ヨハネの福音書 19:30 すると、イエスはそのぶどう酒を受けて、「すべてが終った」と言われ、首をたれて息をひきとられた。 (J)

ヨハネの福音書 19:31 さてユダヤ人たちは、その日が準備の日であったので、安息日に死体を十字架の上に残しておくまいと、(特にその安息日は大事な日であったから)、ピラトに願って、足を折った上で、死体を取りおろすことにした。 (J)

ヨハネの福音書 19:32 そこで兵卒らがきて、イエスと一緒に十字架につけられた初めの者と、もうひとりの者との足を折った。 (J)

ヨハネの福音書 19:33 しかし、彼らがイエスのところにきた時、イエスはもう死んでおられたのを見て、その足を折ることはしなかった。 (J)

ヨハネの福音書 19:34 しかし、ひとりの兵卒がやりでそのわきを突きさすと、すぐ血と水とが流れ出た。 (J)

ヨハネの福音書 19:35 それを見た者があかしをした。そして、そのあかしは真実である。その人は、自分が真実を語っていることを知っている。それは、あなたがたも信ずるようになるためである。 (J)

ヨハネの福音書 19:36 これらのことが起ったのは、「その骨はくだかれないであろう」との聖書の言葉が、成就するためである。 (J)

ヨハネの福音書 19:37 また聖書のほかのところに、「彼らは自分が刺し通した者を見るであろう」とある。 (J)

ヨハネの福音書 19:38 そののち、ユダヤ人をはばかって、ひそかにイエスの弟子となったアリマタヤのヨセフという人が、イエスの死体を取りおろしたいと、ピラトに願い出た。ピラトはそれを許したので、彼はイエスの死体を取りおろしに行った。 (J)

ヨハネの福音書 19:39 また、前に、夜、イエスのみもとに行ったニコデモも、没薬と沈香とをまぜたものを百斤ほど持ってきた。 (J)

ヨハネの福音書 19:40 彼らは、イエスの死体を取りおろし、ユダヤ人の埋葬の習慣にしたがって、香料を入れて亜麻布で巻いた。 (J)

ヨハネの福音書 19:41 イエスが十字架にかけられた所には、一つの園があり、そこにはまだだれも葬られたことのない新しい墓があった。 (J)

ヨハネの福音書 19:42 その日はユダヤ人の準備の日であったので、その墓が近くにあったため、イエスをそこに納めた。 (J)

ヨハネの福音書 20:1 さて、一週の初めの日に、朝早くまだ暗いうちに、マグダラのマリヤが墓に行くと、墓から石がとりのけてあるのを見た。 (J)

ヨハネの福音書 20:2 そこで走って、シモン・ペテロとイエスが愛しておられた、もうひとりの弟子のところへ行って、彼らに言った、「だれかが、主を墓から取り去りました。どこへ置いたのか、わかりません」。 (J)

ヨハネの福音書 20:3 そこでペテロともうひとりの弟子は出かけて、墓へむかって行った。 (J)

ヨハネの福音書 20:4 ふたりは一緒に走り出したが、そのもうひとりの弟子の方が、ペテロよりも早く走って先に墓に着き、 (J)

ヨハネの福音書 20:5 そして身をかがめてみると、亜麻布がそこに置いてあるのを見たが、中へははいらなかった。 (J)

ヨハネの福音書 20:6 シモン・ペテロも続いてきて、墓の中にはいった。彼は亜麻布がそこに置いてあるのを見たが、 (J)

ヨハネの福音書 20:7 イエスの頭に巻いてあった布は亜麻布のそばにはなくて、はなれた別の場所にくるめてあった。 (J)

ヨハネの福音書 20:8 すると、先に墓に着いたもうひとりの弟子もはいってきて、これを見て信じた。 (J)

ヨハネの福音書 20:9 しかし、彼らは死人のうちからイエスがよみがえるべきことをしるした聖句を、まだ悟っていなかった。 (J)

ヨハネの福音書 20:10 それから、ふたりの弟子たちは自分の家に帰って行った。 (J)

ヨハネの福音書 20:11 しかし、マリヤは墓の外に立って泣いていた。そして泣きながら、身をかがめて墓の中をのぞくと、 (J)

ヨハネの福音書 20:12 白い衣を着たふたりの御使が、イエスの死体のおかれていた場所に、ひとりは頭の方に、ひとりは足の方に、すわっているのを見た。 (J)

ヨハネの福音書 20:13 すると、彼らはマリヤに、「女よ、なぜ泣いているのか」と言った。マリヤは彼らに言った、「だれかが、わたしの主を取り去りました。そして、どこに置いたのか、わからないのです」。 (J)

ヨハネの福音書 20:14 そう言って、うしろをふり向くと、そこにイエスが立っておられるのを見た。しかし、それがイエスであることに気がつかなかった。 (J)

ヨハネの福音書 20:15 イエスは女に言われた、「女よ、なぜ泣いているのか。だれを捜しているのか」。マリヤは、その人が園の番人だと思って言った、「もしあなたが、あのかたを移したのでしたら、どこへ置いたのか、どうぞ、おっしゃって下さい。わたしがそのかたを引き取ります」。 (J)

ヨハネの福音書 20:16 イエスは彼女に「マリヤよ」と言われた。マリヤはふり返って、イエスにむかってヘブル語で「ラボニ」と言った。それは、先生という意味である。 (J)

ヨハネの福音書 20:17 イエスは彼女に言われた、「わたしにさわってはいけない。わたしは、まだ父のみもとに上っていないのだから。ただ、わたしの兄弟たちの所に行って、『わたしは、わたしの父またあなたがたの父であって、わたしの神またあなたがたの神であられるかたのみもとへ上って行く』と、彼らに伝えなさい」。 (J)

ヨハネの福音書 20:18 マグダラのマリヤは弟子たちのところに行って、自分が主に会ったこと、またイエスがこれこれのことを自分に仰せになったことを、報告した。 (J)

ヨハネの福音書 20:19 その日、すなわち、一週の初めの日の夕方、弟子たちはユダヤ人をおそれて、自分たちのおる所の戸をみなしめていると、イエスがはいってきて、彼らの中に立ち、「安かれ」と言われた。 (J)

ヨハネの福音書 20:20 そう言って、手とわきとを、彼らにお見せになった。弟子たちは主を見て喜んだ。 (J)

ヨハネの福音書 20:21 イエスはまた彼らに言われた、「安かれ。父がわたしをおつかわしになったように、わたしもまたあなたがたをつかわす」。 (J)

ヨハネの福音書 20:22 そう言って、彼らに息を吹きかけて仰せになった、「聖霊を受けよ。 (J)

ヨハネの福音書 20:23 あなたがたがゆるす罪は、だれの罪でもゆるされ、あなたがたがゆるさずにおく罪は、そのまま残るであろう」。 (J)

ヨハネの福音書 20:24 十二弟子のひとりで、デドモと呼ばれているトマスは、イエスがこられたとき、彼らと一緒にいなかった。 (J)

ヨハネの福音書 20:25 ほかの弟子たちが、彼に「わたしたちは主にお目にかかった」と言うと、トマスは彼らに言った、「わたしは、その手に釘あとを見、わたしの指をその釘あとにさし入れ、また、わたしの手をそのわきにさし入れてみなければ、決して信じない」。 (J)

ヨハネの福音書 20:26 八日ののち、イエスの弟子たちはまた家の内におり、トマスも一緒にいた。戸はみな閉ざされていたが、イエスがはいってこられ、中に立って「安かれ」と言われた。 (J)

ヨハネの福音書 20:27 それからトマスに言われた、「あなたの指をここにつけて、わたしの手を見なさい。手をのばしてわたしのわきにさし入れてみなさい。信じない者にならないで、信じる者になりなさい」。 (J)

ヨハネの福音書 20:28 トマスはイエスに答えて言った、「わが主よ、わが神よ」。 (J)

ヨハネの福音書 20:29 イエスは彼に言われた、「あなたはわたしを見たので信じたのか。見ないで信ずる者は、さいわいである」。 (J)

ヨハネの福音書 20:30 イエスは、この書に書かれていないしるしを、ほかにも多く、弟子たちの前で行われた。 (J)

ヨハネの福音書 20:31 しかし、これらのことを書いたのは、あなたがたがイエスは神の子キリストであると信じるためであり、また、そう信じて、イエスの名によって命を得るためである。 (J)

ヨハネの福音書 21:1 そののち、イエスはテベリヤの海べで、ご自身をまた弟子たちにあらわされた。そのあらわされた次第は、こうである。 (J)

ヨハネの福音書 21:2 シモン・ペテロが、デドモと呼ばれているトマス、ガリラヤのカナのナタナエル、ゼベダイの子らや、ほかのふたりの弟子たちと一緒にいた時のことである。 (J)

ヨハネの福音書 21:3 シモン・ペテロは彼らに「わたしは漁に行くのだ」と言うと、彼らは「わたしたちも一緒に行こう」と言った。彼らは出て行って舟に乗った。しかし、その夜はなんの獲物もなかった。 (J)

ヨハネの福音書 21:4 夜が明けたころ、イエスが岸に立っておられた。しかし弟子たちはそれがイエスだとは知らなかった。 (J)

ヨハネの福音書 21:5 イエスは彼らに言われた、「子たちよ、何か食べるものがあるか」。彼らは「ありません」と答えた。 (J)

ヨハネの福音書 21:6 すると、イエスは彼らに言われた、「舟の右の方に網をおろして見なさい。そうすれば、何かとれるだろう」。彼らは網をおろすと、魚が多くとれたので、それを引き上げることができなかった。 (J)

ヨハネの福音書 21:7 イエスの愛しておられた弟子が、ペテロに「あれは主だ」と言った。シモン・ペテロは主であると聞いて、裸になっていたため、上着をまとって海にとびこんだ。 (J)

ヨハネの福音書 21:8 しかし、ほかの弟子たちは舟に乗ったまま、魚のはいっている網を引きながら帰って行った。陸からはあまり遠くない五十間ほどの所にいたからである。 (J)

ヨハネの福音書 21:9 彼らが陸に上って見ると、炭火がおこしてあって、その上に魚がのせてあり、またそこにパンがあった。 (J)

ヨハネの福音書 21:10 イエスは彼らに言われた、「今とった魚を少し持ってきなさい」。 (J)

ヨハネの福音書 21:11 シモン・ペテロが行って、網を陸へ引き上げると、百五十三びきの大きな魚でいっぱいになっていた。そんなに多かったが、網はさけないでいた。 (J)

ヨハネの福音書 21:12 イエスは彼らに言われた、「さあ、朝の食事をしなさい」。弟子たちは、主であることがわかっていたので、だれも「あなたはどなたですか」と進んで尋ねる者がなかった。 (J)

ヨハネの福音書 21:13 イエスはそこにきて、パンをとり彼らに与え、また魚も同じようにされた。 (J)

ヨハネの福音書 21:14 イエスが死人の中からよみがえったのち、弟子たちにあらわれたのは、これで既に三度目である。 (J)

ヨハネの福音書 21:15 彼らが食事をすませると、イエスはシモン・ペテロに言われた、「ヨハネの子シモンよ、あなたはこの人たちが愛する以上に、わたしを愛するか」。ペテロは言った、「主よ、そうです。わたしがあなたを愛することは、あなたがご存じです」。イエスは彼に「わたしの小羊を養いなさい」と言われた。 (J)

ヨハネの福音書 21:16 またもう一度彼に言われた、「ヨハネの子シモンよ、わたしを愛するか」。彼はイエスに言った、「主よ、そうです。わたしがあなたを愛することは、あなたがご存じです」。イエスは彼に言われた、「わたしの羊を飼いなさい」。 (J)

ヨハネの福音書 21:17 イエスは三度目に言われた、「ヨハネの子シモンよ、わたしを愛するか」。ペテロは「わたしを愛するか」とイエスが三度も言われたので、心をいためてイエスに言った、「主よ、あなたはすべてをご存じです。わたしがあなたを愛していることは、おわかりになっています」。イエスは彼に言われた、「わたしの羊を養いなさい。 (J)

ヨハネの福音書 21:18 よくよくあなたに言っておく。あなたが若かった時には、自分で帯をしめて、思いのままに歩きまわっていた。しかし年をとってからは、自分の手をのばすことになろう。そして、ほかの人があなたに帯を結びつけ、行きたくない所へ連れて行くであろう」。 (J)

ヨハネの福音書 21:19 これは、ペテロがどんな死に方で、神の栄光をあらわすかを示すために、お話しになったのである。こう話してから、「わたしに従ってきなさい」と言われた。 (J)

ヨハネの福音書 21:20 ペテロはふり返ると、イエスの愛しておられた弟子がついて来るのを見た。この弟子は、あの夕食のときイエスの胸近くに寄りかかって、「主よ、あなたを裏切る者は、だれなのですか」と尋ねた人である。 (J)

ヨハネの福音書 21:21 ペテロはこの弟子を見て、イエスに言った、「主よ、この人はどうなのですか」。 (J)

ヨハネの福音書 21:22 イエスは彼に言われた、「たとい、わたしの来る時まで彼が生き残っていることを、わたしが望んだとしても、あなたにはなんの係わりがあるか。あなたは、わたしに従ってきなさい」。 (J)

ヨハネの福音書 21:23 こういうわけで、この弟子は死ぬことがないといううわさが、兄弟たちの間にひろまった。しかし、イエスは彼が死ぬことはないと言われたのではなく、ただ「たとい、わたしの来る時まで彼が生き残っていることを、わたしが望んだとしても、あなたにはなんの係わりがあるか」と言われただけである。 (J)

ヨハネの福音書 21:24 これらの事についてあかしをし、またこれらの事を書いたのは、この弟子である。そして彼のあかしが真実であることを、わたしたちは知っている。 (J)

ヨハネの福音書 21:25 イエスのなさったことは、このほかにまだ数多くある。もしいちいち書きつけるならば、世界もその書かれた文書を収めきれないであろうと思う。 (J)

使徒の働き 1:1 ¶ テオピロよ、わたしは先に第一巻を著わして、イエスが行い、また教えはじめてから、 (J)

使徒の働き 1:2 お選びになった使徒たちに、聖霊によって命じたのち、天に上げられた日までのことを、ことごとくしるした。 (J)

使徒の働き 1:3 イエスは苦難を受けたのち、自分の生きていることを数々の確かな証拠によって示し、四十日にわたってたびたび彼らに現れて、神の国のことを語られた。 (J)

使徒の働き 1:4 そして食事を共にしているとき、彼らにお命じになった、「エルサレムから離れないで、かねてわたしから聞いていた父の約束を待っているがよい。 (J)

使徒の働き 1:5 すなわち、ヨハネは水でバプテスマを授けたが、あなたがたは間もなく聖霊によって、バプテスマを授けられるであろう」。 (J)

使徒の働き 1:6 さて、弟子たちが一緒に集まったとき、イエスに問うて言った、「主よ、イスラエルのために国を復興なさるのは、この時なのですか」。 (J)

使徒の働き 1:7 彼らに言われた、「時期や場合は、父がご自分の権威によって定めておられるのであって、あなたがたの知る限りではない。 (J)

使徒の働き 1:8 ただ、聖霊があなたがたにくだる時、あなたがたは力を受けて、エルサレム、ユダヤとサマリヤの全土、さらに地のはてまで、わたしの証人となるであろう」。 (J)

使徒の働き 1:9 こう言い終ると、イエスは彼らの見ている前で天に上げられ、雲に迎えられて、その姿が見えなくなった。 (J)

使徒の働き 1:10 イエスの上って行かれるとき、彼らが天を見つめていると、見よ、白い衣を着たふたりの人が、彼らのそばに立っていて (J)

使徒の働き 1:11 言った、「ガリラヤの人たちよ、なぜ天を仰いで立っているのか。あなたがたを離れて天に上げられたこのイエスは、天に上って行かれるのをあなたがたが見たのと同じ有様で、またおいでになるであろう」。 (J)

使徒の働き 1:12 それから彼らは、オリブという山を下ってエルサレムに帰った。この山はエルサレムに近く、安息日に許されている距離のところにある。 (J)

使徒の働き 1:13 彼らは、市内に行って、その泊まっていた屋上の間にあがった。その人たちは、ペテロ、ヨハネ、ヤコブ、アンデレ、ピリポとトマス、バルトロマイとマタイ、アルパヨの子ヤコブと熱心党のシモンとヤコブの子ユダとであった。 (J)

使徒の働き 1:14 彼らはみな、婦人たち、特にイエスの母マリヤ、およびイエスの兄弟たちと共に、心を合わせて、ひたすら祈をしていた。 (J)

使徒の働き 1:15 そのころ、百二十名ばかりの人々が、一団となって集まっていたが、ペテロはこれらの兄弟たちの中に立って言った、 (J)

使徒の働き 1:16 「兄弟たちよ、イエスを捕えた者たちの手びきになったユダについては、聖霊がダビデの口をとおして預言したその言葉は、成就しなければならなかった。 (J)

使徒の働き 1:17 彼はわたしたちの仲間に加えられ、この務を授かっていた者であった。( (J)

使徒の働き 1:18 彼は不義の報酬で、ある地所を手に入れたが、そこへまっさかさまに落ちて、腹がまん中から引き裂け、はらわたがみな流れ出てしまった。 (J)

使徒の働き 1:19 そして、この事はエルサレムの全住民に知れわたり、そこで、この地所が彼らの国語でアケルダマと呼ばれるようになった。「血の地所」との意である。) (J)

使徒の働き 1:20 詩篇に、 『その屋敷は荒れ果てよ、 そこにはひとりも住む者がいなくなれ』 と書いてあり、また 『その職は、ほかの者に取らせよ』 とあるとおりである。 (J)

使徒の働き 1:21 そういうわけで、主イエスがわたしたちの間にゆききされた期間中、 (J)

使徒の働き 1:22 すなわち、ヨハネのバプテスマの時から始まって、わたしたちを離れて天に上げられた日に至るまで、始終わたしたちと行動を共にした人たちのうち、だれかひとりが、わたしたちに加わって主の復活の証人にならねばならない」。 (J)

使徒の働き 1:23 そこで一同は、バルサバと呼ばれ、またの名をユストというヨセフと、マッテヤとのふたりを立て、 (J)

使徒の働き 1:24 祈って言った、「すべての人の心をご存じである主よ。このふたりのうちのどちらを選んで、 (J)

使徒の働き 1:25 ユダがこの使徒の職務から落ちて、自分の行くべきところへ行ったそのあとを継がせなさいますか、お示し下さい」。 (J)

使徒の働き 1:26 それから、ふたりのためにくじを引いたところ、マッテヤに当ったので、この人が十一人の使徒たちに加えられることになった。 (J)

使徒の働き 2:1 五旬節の日がきて、みんなの者が一緒に集まっていると、 (J)

使徒の働き 2:2 突然、激しい風が吹いてきたような音が天から起ってきて、一同がすわっていた家いっぱいに響きわたった。 (J)

使徒の働き 2:3 また、舌のようなものが、炎のように分れて現れ、ひとりびとりの上にとどまった。 (J)

使徒の働き 2:4 すると、一同は聖霊に満たされ、御霊が語らせるままに、いろいろの他国の言葉で語り出した。 (J)

使徒の働き 2:5 さて、エルサレムには、天下のあらゆる国々から、信仰深いユダヤ人たちがきて住んでいたが、 (J)

使徒の働き 2:6 この物音に大ぜいの人が集まってきて、彼らの生れ故郷の国語で、使徒たちが話しているのを、だれもかれも聞いてあっけに取られた。 (J)

使徒の働き 2:7 そして驚き怪しんで言った、「見よ、いま話しているこの人たちは、皆ガリラヤ人ではないか。 (J)

使徒の働き 2:8 それだのに、わたしたちがそれぞれ、生れ故郷の国語を彼らから聞かされるとは、いったい、どうしたことか。 (J)

使徒の働き 2:9 わたしたちの中には、パルテヤ人、メジヤ人、エラム人もおれば、メソポタミヤ、ユダヤ、カパドキヤ、ポントとアジヤ、 (J)

使徒の働き 2:10 フルギヤとパンフリヤ、エジプトとクレネに近いリビヤ地方などに住む者もいるし、またローマ人で旅にきている者、 (J)

使徒の働き 2:11 ユダヤ人と改宗者、クレテ人とアラビヤ人もいるのだが、あの人々がわたしたちの国語で、神の大きな働きを述べるのを聞くとは、どうしたことか」。 (J)

使徒の働き 2:12 みんなの者は驚き惑って、互に言い合った、「これは、いったい、どういうわけなのだろう」。 (J)

使徒の働き 2:13 しかし、ほかの人たちはあざ笑って、「あの人たちは新しい酒で酔っているのだ」と言った。 (J)

使徒の働き 2:14 そこで、ペテロが十一人の者と共に立ちあがり、声をあげて人々に語りかけた。 「ユダヤの人たち、ならびにエルサレムに住むすべてのかたがた、どうか、この事を知っていただきたい。わたしの言うことに耳を傾けていただきたい。 (J)

使徒の働き 2:15 今は朝の九時であるから、この人たちは、あなたがたが思っているように、酒に酔っているのではない。 (J)

使徒の働き 2:16 そうではなく、これは預言者ヨエルが預言していたことに外ならないのである。すなわち、 (J)

使徒の働き 2:17 『神がこう仰せになる。 終りの時には、 わたしの霊をすべての人に注ごう。 そして、あなたがたのむすこ娘は預言をし、 若者たちは幻を見、 老人たちは夢を見るであろう。 (J)

使徒の働き 2:18 その時には、わたしの男女の僕たちにも わたしの霊を注ごう。 そして彼らも預言をするであろう。 (J)

使徒の働き 2:19 また、上では、天に奇跡を見せ、 下では、地にしるしを、 すなわち、血と火と立ちこめる煙とを、 見せるであろう。 (J)

使徒の働き 2:20 主の大いなる輝かしい日が来る前に、 日はやみに 月は血に変るであろう。 (J)

使徒の働き 2:21 そのとき、主の名を呼び求める者は、 みな救われるであろう』。 (J)

使徒の働き 2:22 イスラエルの人たちよ、今わたしの語ることを聞きなさい。あなたがたがよく知っているとおり、ナザレ人イエスは、神が彼をとおして、あなたがたの中で行われた数々の力あるわざと奇跡としるしとにより、神からつかわされた者であることを、あなたがたに示されたかたであった。 (J)

使徒の働き 2:23 このイエスが渡されたのは神の定めた計画と予知とによるのであるが、あなたがたは彼を不法の人々の手で十字架につけて殺した。 (J)

使徒の働き 2:24 神はこのイエスを死の苦しみから解き放って、よみがえらせたのである。イエスが死に支配されているはずはなかったからである。 (J)

使徒の働き 2:25 ダビデはイエスについてこう言っている、 『わたしは常に目の前に主を見た。 主は、わたしが動かされないため、 わたしの右にいて下さるからである。 (J)

使徒の働き 2:26 それゆえ、わたしの心は楽しみ、 わたしの舌はよろこび歌った。 わたしの肉体もまた、望みに生きるであろう。 (J)

使徒の働き 2:27 あなたは、わたしの魂を黄泉に捨ておくことをせず、 あなたの聖者が朽ち果てるのを、お許しにならないであろう。 (J)

使徒の働き 2:28 あなたは、いのちの道をわたしに示し、 み前にあって、わたしを喜びで満たして下さるであろう』。 (J)

使徒の働き 2:29 兄弟たちよ、族長ダビデについては、わたしはあなたがたにむかって大胆に言うことができる。彼は死んで葬られ、現にその墓が今日に至るまで、わたしたちの間に残っている。 (J)

使徒の働き 2:30 彼は預言者であって、『その子孫のひとりを王位につかせよう』と、神が堅く彼に誓われたことを認めていたので、 (J)

使徒の働き 2:31 キリストの復活をあらかじめ知って、『彼は黄泉に捨ておかれることがなく、またその肉体が朽ち果てることもない』と語ったのである。 (J)

使徒の働き 2:32 このイエスを、神はよみがえらせた。そして、わたしたちは皆その証人なのである。 (J)

使徒の働き 2:33 それで、イエスは神の右に上げられ、父から約束の聖霊を受けて、それをわたしたちに注がれたのである。このことは、あなたがたが現に見聞きしているとおりである。 (J)

使徒の働き 2:34 ダビデが天に上ったのではない。彼自身こう言っている、 『主はわが主に仰せになった、 (J)

使徒の働き 2:35 あなたの敵をあなたの足台にするまでは、 わたしの右に座していなさい』。 (J)

使徒の働き 2:36 だから、イスラエルの全家は、この事をしかと知っておくがよい。あなたがたが十字架につけたこのイエスを、神は、主またキリストとしてお立てになったのである」。 (J)

使徒の働き 2:37 人々はこれを聞いて、強く心を刺され、ペテロやほかの使徒たちに、「兄弟たちよ、わたしたちは、どうしたらよいのでしょうか」と言った。 (J)

使徒の働き 2:38 すると、ペテロが答えた、「悔い改めなさい。そして、あなたがたひとりびとりが罪のゆるしを得るために、イエス・キリストの名によって、バプテスマを受けなさい。そうすれば、あなたがたは聖霊の賜物を受けるであろう。 (J)

使徒の働き 2:39 この約束は、われらの主なる神の召しにあずかるすべての者、すなわちあなたがたと、あなたがたの子らと、遠くの者一同とに、与えられているものである」。 (J)

使徒の働き 2:40 ペテロは、ほかになお多くの言葉であかしをなし、人々に「この曲った時代から救われよ」と言って勧めた。 (J)

使徒の働き 2:41 そこで、彼の勧めの言葉を受けいれた者たちは、バプテスマを受けたが、その日、仲間に加わったものが三千人ほどあった。 (J)

使徒の働き 2:42 そして一同はひたすら、使徒たちの教を守り、信徒の交わりをなし、共にパンをさき、祈をしていた。 (J)

使徒の働き 2:43 みんなの者におそれの念が生じ、多くの奇跡としるしとが、使徒たちによって、次々に行われた。 (J)

使徒の働き 2:44 信者たちはみな一緒にいて、いっさいの物を共有にし、 (J)

使徒の働き 2:45 資産や持ち物を売っては、必要に応じてみんなの者に分け与えた。 (J)

使徒の働き 2:46 そして日々心を一つにして、絶えず宮もうでをなし、家ではパンをさき、よろこびと、まごころとをもって、食事を共にし、 (J)

使徒の働き 2:47 神をさんびし、すべての人に好意を持たれていた。そして主は、救われる者を日々仲間に加えて下さったのである。 (J)

使徒の働き 3:1 さて、ペテロとヨハネとが、午後三時の祈のときに宮に上ろうとしていると、 (J)

使徒の働き 3:2 生れながら足のきかない男が、かかえられてきた。この男は、宮もうでに来る人々に施しをこうため、毎日、「美しの門」と呼ばれる宮の門のところに、置かれていた者である。 (J)

使徒の働き 3:3 彼は、ペテロとヨハネとが、宮にはいって行こうとしているのを見て、施しをこうた。 (J)

使徒の働き 3:4 ペテロとヨハネとは彼をじっと見て、「わたしたちを見なさい」と言った。 (J)

使徒の働き 3:5 彼は何かもらえるのだろうと期待して、ふたりに注目していると、 (J)

使徒の働き 3:6 ペテロが言った、「金銀はわたしには無い。しかし、わたしにあるものをあげよう。ナザレ人イエス・キリストの名によって歩きなさい」。 (J)

使徒の働き 3:7 こう言って彼の右手を取って起してやると、足と、くるぶしとが、立ちどころに強くなって、 (J)

使徒の働き 3:8 踊りあがって立ち、歩き出した。そして、歩き回ったり踊ったりして神をさんびしながら、彼らと共に宮にはいって行った。 (J)

使徒の働き 3:9 民衆はみな、彼が歩き回り、また神をさんびしているのを見、 (J)

使徒の働き 3:10 これが宮の「美しの門」のそばにすわって、施しをこうていた者であると知り、彼の身に起ったことについて、驚き怪しんだ。 (J)

使徒の働き 3:11 彼がなおもペテロとヨハネとにつきまとっているとき、人々は皆ひどく驚いて、「ソロモンの廊」と呼ばれる柱廊にいた彼らのところに駆け集まってきた。 (J)

使徒の働き 3:12 ペテロはこれを見て、人々にむかって言った、「イスラエルの人たちよ、なぜこの事を不思議に思うのか。また、わたしたちが自分の力や信心で、あの人を歩かせたかのように、なぜわたしたちを見つめているのか。 (J)

使徒の働き 3:13 アブラハム、イサク、ヤコブの神、わたしたちの先祖の神は、その僕イエスに栄光を賜わったのであるが、あなたがたは、このイエスを引き渡し、ピラトがゆるすことに決めていたのに、それを彼の面前で拒んだ。 (J)

使徒の働き 3:14 あなたがたは、この聖なる正しいかたを拒んで、人殺しの男をゆるすように要求し、 (J)

使徒の働き 3:15 いのちの君を殺してしまった。しかし、神はこのイエスを死人の中から、よみがえらせた。わたしたちは、その事の証人である。 (J)

使徒の働き 3:16 そして、イエスの名が、それを信じる信仰のゆえに、あなたがたのいま見て知っているこの人を、強くしたのであり、イエスによる信仰が、彼をあなたがた一同の前で、このとおり完全にいやしたのである。 (J)

使徒の働き 3:17 さて、兄弟たちよ、あなたがたは知らずにあのような事をしたのであり、あなたがたの指導者たちとても同様であったことは、わたしにわかっている。 (J)

使徒の働き 3:18 神はあらゆる預言者の口をとおして、キリストの受難を予告しておられたが、それをこのように成就なさったのである。 (J)

使徒の働き 3:19 だから、自分の罪をぬぐい去っていただくために、悔い改めて本心に立ちかえりなさい。 (J)

使徒の働き 3:20 それは、主のみ前から慰めの時がきて、あなたがたのためにあらかじめ定めてあったキリストなるイエスを、神がつかわして下さるためである。 (J)

使徒の働き 3:21 このイエスは、神が聖なる預言者たちの口をとおして、昔から預言しておられた万物更新の時まで、天にとどめておかれねばならなかった。 (J)

使徒の働き 3:22 モーセは言った、『主なる神は、わたしをお立てになったように、あなたがたの兄弟の中から、ひとりの預言者をお立てになるであろう。その預言者があなたがたに語ることには、ことごとく聞きしたがいなさい。 (J)

使徒の働き 3:23 彼に聞きしたがわない者は、みな民の中から滅ぼし去られるであろう』。 (J)

使徒の働き 3:24 サムエルをはじめ、その後つづいて語ったほどの預言者はみな、この時のことを予告した。 (J)

使徒の働き 3:25 あなたがたは預言者の子であり、神があなたがたの先祖たちと結ばれた契約の子である。神はアブラハムに対して、『地上の諸民族は、あなたの子孫によって祝福を受けるであろう』と仰せられた。 (J)

使徒の働き 3:26 神がまずあなたがたのために、その僕を立てて、おつかわしになったのは、あなたがたひとりびとりを、悪から立ちかえらせて、祝福にあずからせるためなのである」。 (J)

使徒の働き 4:1 彼らが人々にこのように語っているあいだに、祭司たち、宮守がしら、サドカイ人たちが近寄ってきて、 (J)

使徒の働き 4:2 彼らが人々に教を説き、イエス自身に起った死人の復活を宣伝しているのに気をいら立て、 (J)

使徒の働き 4:3 彼らに手をかけて捕え、はや日が暮れていたので、翌朝まで留置しておいた。 (J)

使徒の働き 4:4 しかし、彼らの話を聞いた多くの人たちは信じた。そして、その男の数が五千人ほどになった。 (J)

使徒の働き 4:5 明くる日、役人、長老、律法学者たちが、エルサレムに召集された。 (J)

使徒の働き 4:6 大祭司アンナスをはじめ、カヤパ、ヨハネ、アレキサンデル、そのほか大祭司の一族もみな集まった。 (J)

使徒の働き 4:7 そして、そのまん中に使徒たちを立たせて尋問した、「あなたがたは、いったい、なんの権威、また、だれの名によって、このことをしたのか」。 (J)

使徒の働き 4:8 その時、ペテロが聖霊に満たされて言った、「民の役人たち、ならびに長老たちよ、 (J)

使徒の働き 4:9 わたしたちが、きょう、取調べを受けているのは、病人に対してした良いわざについてであり、この人がどうしていやされたかについてであるなら、 (J)

使徒の働き 4:10 あなたがたご一同も、またイスラエルの人々全体も、知っていてもらいたい。この人が元気になってみんなの前に立っているのは、ひとえに、あなたがたが十字架につけて殺したのを、神が死人の中からよみがえらせたナザレ人イエス・キリストの御名によるのである。 (J)

使徒の働き 4:11 このイエスこそは『あなたがた家造りらに捨てられたが、隅のかしら石となった石』なのである。 (J)

使徒の働き 4:12 この人による以外に救はない。わたしたちを救いうる名は、これを別にしては、天下のだれにも与えられていないからである」。 (J)

使徒の働き 4:13 人々はペテロとヨハネとの大胆な話しぶりを見、また同時に、ふたりが無学な、ただの人たちであることを知って、不思議に思った。そして彼らがイエスと共にいた者であることを認め、 (J)

使徒の働き 4:14 かつ、彼らにいやされた者がそのそばに立っているのを見ては、まったく返す言葉がなかった。 (J)

使徒の働き 4:15 そこで、ふたりに議会から退場するように命じてから、互に協議をつづけて (J)

使徒の働き 4:16 言った、「あの人たちを、どうしたらよかろうか。彼らによって著しいしるしが行われたことは、エルサレムの住民全体に知れわたっているので、否定しようもない。 (J)

使徒の働き 4:17 ただ、これ以上このことが民衆の間にひろまらないように、今後はこの名によって、いっさいだれにも語ってはいけないと、おどしてやろうではないか」。 (J)

使徒の働き 4:18 そこで、ふたりを呼び入れて、イエスの名によって語ることも説くことも、いっさい相成らぬと言いわたした。 (J)

使徒の働き 4:19 ペテロとヨハネとは、これに対して言った、「神に聞き従うよりも、あなたがたに聞き従う方が、神の前に正しいかどうか、判断してもらいたい。 (J)

使徒の働き 4:20 わたしたちとしては、自分の見たこと聞いたことを、語らないわけにはいかない」。 (J)

使徒の働き 4:21 そこで、彼らはふたりを更におどしたうえ、ゆるしてやった。みんなの者が、この出来事のために、神をあがめていたので、その人々の手前、ふたりを罰するすべがなかったからである。 (J)

使徒の働き 4:22 そのしるしによっていやされたのは、四十歳あまりの人であった。 (J)

使徒の働き 4:23 ふたりはゆるされてから、仲間の者たちのところに帰って、祭司長たちや長老たちが言ったいっさいのことを報告した。 (J)

使徒の働き 4:24 一同はこれを聞くと、口をそろえて、神にむかい声をあげて言った、「天と地と海と、その中のすべてのものとの造りぬしなる主よ。 (J)

使徒の働き 4:25 あなたは、わたしたちの先祖、あなたの僕ダビデの口をとおして、聖霊によって、こう仰せになりました、 『なぜ、異邦人らは、騒ぎ立ち、 もろもろの民は、むなしいことを図り、 (J)

使徒の働き 4:26 地上の王たちは、立ちかまえ、 支配者たちは、党を組んで、 主とそのキリストとに逆らったのか』。 (J)

使徒の働き 4:27 まことに、ヘロデとポンテオ・ピラトとは、異邦人らやイスラエルの民と一緒になって、この都に集まり、あなたから油を注がれた聖なる僕イエスに逆らい、 (J)

使徒の働き 4:28 み手とみ旨とによって、あらかじめ定められていたことを、なし遂げたのです。 (J)

使徒の働き 4:29 主よ、いま、彼らの脅迫に目をとめ、僕たちに、思い切って大胆に御言葉を語らせて下さい。 (J)

使徒の働き 4:30 そしてみ手を伸ばしていやしをなし、聖なる僕イエスの名によって、しるしと奇跡とを行わせて下さい」。 (J)

使徒の働き 4:31 彼らが祈り終えると、その集まっていた場所が揺れ動き、一同は聖霊に満たされて、大胆に神の言を語り出した。 (J)

使徒の働き 4:32 信じた者の群れは、心を一つにし思いを一つにして、だれひとりその持ち物を自分のものだと主張する者がなく、いっさいの物を共有にしていた。 (J)

使徒の働き 4:33 使徒たちは主イエスの復活について、非常に力強くあかしをした。そして大きなめぐみが、彼ら一同に注がれた。 (J)

使徒の働き 4:34 彼らの中に乏しい者は、ひとりもいなかった。地所や家屋を持っている人たちは、それを売り、売った物の代金をもってきて、 (J)

使徒の働き 4:35 使徒たちの足もとに置いた。そしてそれぞれの必要に応じて、だれにでも分け与えられた。 (J)

使徒の働き 4:36 クプロ生れのレビ人で、使徒たちにバルナバ(「慰めの子」との意)と呼ばれていたヨセフは、 (J)

使徒の働き 4:37 自分の所有する畑を売り、その代金をもってきて、使徒たちの足もとに置いた。 (J)

使徒の働き 5:1 ところが、アナニヤという人とその妻サッピラとは共に資産を売ったが、 (J)

使徒の働き 5:2 共謀して、その代金をごまかし、一部だけを持ってきて、使徒たちの足もとに置いた。 (J)

使徒の働き 5:3 そこで、ペテロが言った、「アナニヤよ、どうしてあなたは、自分の心をサタンに奪われて、聖霊を欺き、地所の代金をごまかしたのか。 (J)

使徒の働き 5:4 売らずに残しておけば、あなたのものであり、売ってしまっても、あなたの自由になったはずではないか。どうして、こんなことをする気になったのか。あなたは人を欺いたのではなくて、神を欺いたのだ」。 (J)

使徒の働き 5:5 アナニヤはこの言葉を聞いているうちに、倒れて息が絶えた。このことを伝え聞いた人々は、みな非常なおそれを感じた。 (J)

使徒の働き 5:6 それから、若者たちが立って、その死体を包み、運び出して葬った。 (J)

使徒の働き 5:7 三時間ばかりたってから、たまたま彼の妻が、この出来事を知らずに、はいってきた。 (J)

使徒の働き 5:8 そこで、ペテロが彼女にむかって言った、「あの地所は、これこれの値段で売ったのか。そのとおりか」。彼女は「そうです、その値段です」と答えた。 (J)

使徒の働き 5:9 ペテロは言った、「あなたがたふたりが、心を合わせて主の御霊を試みるとは、何事であるか。見よ、あなたの夫を葬った人たちの足が、そこの門口にきている。あなたも運び出されるであろう」。 (J)

使徒の働き 5:10 すると女は、たちまち彼の足もとに倒れて、息が絶えた。そこに若者たちがはいってきて、女が死んでしまっているのを見、それを運び出してその夫のそばに葬った。 (J)

使徒の働き 5:11 教会全体ならびにこれを伝え聞いた人たちは、みな非常なおそれを感じた。 (J)

使徒の働き 5:12 そのころ、多くのしるしと奇跡とが、次々に使徒たちの手により人々の中で行われた。そして、一同は心を一つにして、ソロモンの廊に集まっていた。 (J)

使徒の働き 5:13 ほかの者たちは、だれひとり、その交わりに入ろうとはしなかったが、民衆は彼らを尊敬していた。 (J)

使徒の働き 5:14 しかし、主を信じて仲間に加わる者が、男女とも、ますます多くなってきた。 (J)

使徒の働き 5:15 ついには、病人を大通りに運び出し、寝台や寝床の上に置いて、ペテロが通るとき、彼の影なりと、そのうちのだれかにかかるようにしたほどであった。 (J)

使徒の働き 5:16 またエルサレム附近の町々からも、大ぜいの人が、病人や汚れた霊に苦しめられている人たちを引き連れて、集まってきたが、その全部の者が、ひとり残らずいやされた。 (J)

使徒の働き 5:17 そこで、大祭司とその仲間の者、すなわち、サドカイ派の人たちが、みな嫉妬の念に満たされて立ちあがり、 (J)

使徒の働き 5:18 使徒たちに手をかけて捕え、公共の留置場に入れた。 (J)

使徒の働き 5:19 ところが夜、主の使が獄の戸を開き、彼らを連れ出して言った、 (J)

使徒の働き 5:20 「さあ行きなさい。そして、宮の庭に立ち、この命の言葉を漏れなく、人々に語りなさい」。 (J)

使徒の働き 5:21 彼らはこれを聞き、夜明けごろ宮にはいって教えはじめた。 一方では、大祭司とその仲間の者とが、集まってきて、議会とイスラエル人の長老一同とを召集し、使徒たちを引き出してこさせるために、人を獄につかわした。 (J)

使徒の働き 5:22 そこで、下役どもが行って見ると、使徒たちが獄にいないので、引き返して報告した、 (J)

使徒の働き 5:23 「獄には、しっかりと錠がかけてあり、戸口には、番人が立っていました。ところが、あけて見たら、中にはだれもいませんでした」。 (J)

使徒の働き 5:24 宮守がしらと祭司長たちとは、この報告を聞いて、これは、いったい、どんな事になるのだろうと、あわて惑っていた。 (J)

使徒の働き 5:25 そこへ、ある人がきて知らせた、「行ってごらんなさい。あなたがたが獄に入れたあの人たちが、宮の庭に立って、民衆を教えています」。 (J)

使徒の働き 5:26 そこで宮守がしらが、下役どもと一緒に出かけて行って、使徒たちを連れてきた。しかし、人々に石で打ち殺されるのを恐れて、手荒なことはせず、 (J)

使徒の働き 5:27 彼らを連れてきて、議会の中に立たせた。すると、大祭司が問うて (J)

使徒の働き 5:28 言った、「あの名を使って教えてはならないと、きびしく命じておいたではないか。それだのに、なんという事だ。エルサレム中にあなたがたの教を、はんらんさせている。あなたがたは確かに、あの人の血の責任をわたしたちに負わせようと、たくらんでいるのだ」。 (J)

使徒の働き 5:29 これに対して、ペテロをはじめ使徒たちは言った、「人間に従うよりは、神に従うべきである。 (J)

使徒の働き 5:30 わたしたちの先祖の神は、あなたがたが木にかけて殺したイエスをよみがえらせ、 (J)

使徒の働き 5:31 そして、イスラエルを悔い改めさせてこれに罪のゆるしを与えるために、このイエスを導き手とし救主として、ご自身の右に上げられたのである。 (J)

使徒の働き 5:32 わたしたちはこれらの事の証人である。神がご自身に従う者に賜わった聖霊もまた、その証人である」。 (J)

使徒の働き 5:33 これを聞いた者たちは、激しい怒りのあまり、使徒たちを殺そうと思った。 (J)

使徒の働き 5:34 ところが、国民全体に尊敬されていた律法学者ガマリエルというパリサイ人が、議会で立って、使徒たちをしばらくのあいだ外に出すように要求してから、 (J)

使徒の働き 5:35 一同にむかって言った、「イスラエルの諸君、あの人たちをどう扱うか、よく気をつけるがよい。 (J)

使徒の働き 5:36 先ごろ、チゥダが起って、自分を何か偉い者のように言いふらしたため、彼に従った男の数が、四百人ほどもあったが、結局、彼は殺されてしまい、従った者もみな四散して、全く跡方もなくなっている。 (J)

使徒の働き 5:37 そののち、人口調査の時に、ガリラヤ人ユダが民衆を率いて反乱を起したが、この人も滅び、従った者もみな散らされてしまった。 (J)

使徒の働き 5:38 そこで、この際、諸君に申し上げる。あの人たちから手を引いて、そのなすままにしておきなさい。その企てや、しわざが、人間から出たものなら、自滅するだろう。 (J)

使徒の働き 5:39 しかし、もし神から出たものなら、あの人たちを滅ぼすことはできまい。まかり違えば、諸君は神を敵にまわすことになるかも知れない」。そこで彼らはその勧告にしたがい、 (J)

使徒の働き 5:40 使徒たちを呼び入れて、むち打ったのち、今後イエスの名によって語ることは相成らぬと言いわたして、ゆるしてやった。 (J)

使徒の働き 5:41 使徒たちは、御名のために恥を加えられるに足る者とされたことを喜びながら、議会から出てきた。 (J)

使徒の働き 5:42 そして、毎日、宮や家で、イエスがキリストであることを、引きつづき教えたり宣べ伝えたりした。 (J)

使徒の働き 6:1 そのころ、弟子の数がふえてくるにつれて、ギリシヤ語を使うユダヤ人たちから、ヘブル語を使うユダヤ人たちに対して、自分たちのやもめらが、日々の配給で、おろそかにされがちだと、苦情を申し立てた。 (J)

使徒の働き 6:2 そこで、十二使徒は弟子全体を呼び集めて言った、「わたしたちが神の言をさしおいて、食卓のことに携わるのはおもしろくない。 (J)

使徒の働き 6:3 そこで、兄弟たちよ、あなたがたの中から、御霊と知恵とに満ちた、評判のよい人たち七人を捜し出してほしい。その人たちにこの仕事をまかせ、 (J)

使徒の働き 6:4 わたしたちは、もっぱら祈と御言のご用に当ることにしよう」。 (J)

使徒の働き 6:5 この提案は会衆一同の賛成するところとなった。そして信仰と聖霊とに満ちた人ステパノ、それからピリポ、プロコロ、ニカノル、テモン、パルメナ、およびアンテオケの改宗者ニコラオを選び出して、 (J)

使徒の働き 6:6 使徒たちの前に立たせた。すると、使徒たちは祈って手を彼らの上においた。 (J)

使徒の働き 6:7 こうして神の言は、ますますひろまり、エルサレムにおける弟子の数が、非常にふえていき、祭司たちも多数、信仰を受けいれるようになった。 (J)

使徒の働き 6:8 さて、ステパノは恵みと力とに満ちて、民衆の中で、めざましい奇跡としるしとを行っていた。 (J)

使徒の働き 6:9 すると、いわゆる「リベルテン」の会堂に属する人々、クレネ人、アレキサンドリヤ人、キリキヤやアジヤからきた人々などが立って、ステパノと議論したが、 (J)

使徒の働き 6:10 彼は知恵と御霊とで語っていたので、それに対抗できなかった。 (J)

使徒の働き 6:11 そこで、彼らは人々をそそのかして、「わたしたちは、彼がモーセと神とを汚す言葉を吐くのを聞いた」と言わせた。 (J)

使徒の働き 6:12 その上、民衆や長老たちや律法学者たちを煽動し、彼を襲って捕えさせ、議会にひっぱってこさせた。 (J)

使徒の働き 6:13 それから、偽りの証人たちを立てて言わせた、「この人は、この聖所と律法とに逆らう言葉を吐いて、どうしても、やめようとはしません。 (J)

使徒の働き 6:14 『あのナザレ人イエスは、この聖所を打ちこわし、モーセがわたしたちに伝えた慣例を変えてしまうだろう』などと、彼が言うのを、わたしたちは聞きました」。 (J)

使徒の働き 6:15 議会で席についていた人たちは皆、ステパノに目を注いだが、彼の顔は、ちょうど天使の顔のように見えた。 (J)

使徒の働き 7:1 大祭司は「そのとおりか」と尋ねた。 (J)

使徒の働き 7:2 そこで、ステパノが言った、 「兄弟たち、父たちよ、お聞き下さい。わたしたちの父祖アブラハムが、カランに住む前、まだメソポタミヤにいたとき、栄光の神が彼に現れて (J)

使徒の働き 7:3 仰せになった、『あなたの土地と親族から離れて、あなたにさし示す地に行きなさい』。 (J)

使徒の働き 7:4 そこで、アブラハムはカルデヤ人の地を出て、カランに住んだ。そして、彼の父が死んだのち、神は彼をそこから、今あなたがたの住んでいるこの地に移住させたが、 (J)

使徒の働き 7:5 そこでは、遺産となるものは何一つ、一歩の幅の土地すらも、与えられなかった。ただ、その地を所領として授けようとの約束を、彼と、そして彼にはまだ子がなかったのに、その子孫とに与えられたのである。 (J)

使徒の働き 7:6 神はこう仰せになった、『彼の子孫は他国に身を寄せるであろう。そして、そこで四百年のあいだ、奴隷にされて虐待を受けるであろう』。 (J)

使徒の働き 7:7 それから、さらに仰せになった、『彼らを奴隷にする国民を、わたしはさばくであろう。その後、彼らはそこからのがれ出て、この場所でわたしを礼拝するであろう』。 (J)

使徒の働き 7:8 そして、神はアブラハムに、割礼の契約をお与えになった。こうして、彼はイサクの父となり、これに八日目に割礼を施し、それから、イサクはヤコブの父となり、ヤコブは十二人の族長たちの父となった。 (J)

使徒の働き 7:9 族長たちは、ヨセフをねたんで、エジプトに売りとばした。しかし、神は彼と共にいまして、 (J)

使徒の働き 7:10 あらゆる苦難から彼を救い出し、エジプト王パロの前で恵みを与え、知恵をあらわさせた。そこで、パロは彼を宰相の任につかせ、エジプトならびに王家全体の支配に当らせた。 (J)

使徒の働き 7:11 時に、エジプトとカナンとの全土にわたって、ききんが起り、大きな苦難が襲ってきて、わたしたちの先祖たちは、食物が得られなくなった。 (J)

使徒の働き 7:12 ヤコブは、エジプトには食糧があると聞いて、初めに先祖たちをつかわしたが、 (J)

使徒の働き 7:13 二回目の時に、ヨセフが兄弟たちに、自分の身の上を打ち明けたので、彼の親族関係がパロに知れてきた。 (J)

使徒の働き 7:14 ヨセフは使をやって、父ヤコブと七十五人にのぼる親族一同とを招いた。 (J)

使徒の働き 7:15 こうして、ヤコブはエジプトに下り、彼自身も先祖たちもそこで死に、 (J)

使徒の働き 7:16 それから彼らは、シケムに移されて、かねてアブラハムがいくらかの金を出してこの地のハモルの子らから買っておいた墓に、葬られた。 (J)

使徒の働き 7:17 神がアブラハムに対して立てられた約束の時期が近づくにつれ、民はふえてエジプト全土にひろがった。 (J)

使徒の働き 7:18 やがて、ヨセフのことを知らない別な王が、エジプトに起った。 (J)

使徒の働き 7:19 この王は、わたしたちの同族に対し策略をめぐらして、先祖たちを虐待し、その幼な子らを生かしておかないように捨てさせた。 (J)

使徒の働き 7:20 モーセが生れたのは、ちょうどこのころのことである。彼はまれに見る美しい子であった。三か月の間は、父の家で育てられたが、 (J)

使徒の働き 7:21 そののち捨てられたのを、パロの娘が拾いあげて、自分の子として育てた。 (J)

使徒の働き 7:22 モーセはエジプト人のあらゆる学問を教え込まれ、言葉にもわざにも、力があった。 (J)

使徒の働き 7:23 四十歳になった時、モーセは自分の兄弟であるイスラエル人たちのために尽すことを、思い立った。 (J)

使徒の働き 7:24 ところが、そのひとりがいじめられているのを見て、これをかばい、虐待されているその人のために、相手のエジプト人を撃って仕返しをした。 (J)

使徒の働き 7:25 彼は、自分の手によって神が兄弟たちを救って下さることを、みんなが悟るものと思っていたが、実際はそれを悟らなかったのである。 (J)

使徒の働き 7:26 翌日モーセは、彼らが争い合っているところに現れ、仲裁しようとして言った、『まて、君たちは兄弟同志ではないか。どうして互に傷つけ合っているのか』。 (J)

使徒の働き 7:27 すると、仲間をいじめていた者が、モーセを突き飛ばして言った、『だれが、君をわれわれの支配者や裁判人にしたのか。 (J)

使徒の働き 7:28 君は、きのう、エジプト人を殺したように、わたしも殺そうと思っているのか』。 (J)

使徒の働き 7:29 モーセは、この言葉を聞いて逃げ、ミデアンの地に身を寄せ、そこで男の子ふたりをもうけた。 (J)

使徒の働き 7:30 四十年たった時、シナイ山の荒野において、御使が柴の燃える炎の中でモーセに現れた。 (J)

使徒の働き 7:31 彼はこの光景を見て不思議に思い、それを見きわめるために近寄ったところ、主の声が聞えてきた、 (J)

使徒の働き 7:32 『わたしは、あなたの先祖たちの神、アブラハム、イサク、ヤコブの神である』。モーセは恐れおののいて、もうそれを見る勇気もなくなった。 (J)

使徒の働き 7:33 すると、主が彼に言われた、『あなたの足から、くつを脱ぎなさい。あなたの立っているこの場所は、聖なる地である。 (J)

使徒の働き 7:34 わたしは、エジプトにいるわたしの民が虐待されている有様を確かに見とどけ、その苦悩のうめき声を聞いたので、彼らを救い出すために下ってきたのである。さあ、今あなたをエジプトにつかわそう』。 (J)

使徒の働き 7:35 こうして、『だれが、君を支配者や裁判人にしたのか』と言って排斥されたこのモーセを、神は、柴の中で彼に現れた御使の手によって、支配者、解放者として、おつかわしになったのである。 (J)

使徒の働き 7:36 この人が、人々を導き出して、エジプトの地においても、紅海においても、また四十年のあいだ荒野においても、奇跡としるしとを行ったのである。 (J)

使徒の働き 7:37 この人が、イスラエル人たちに、『神はわたしをお立てになったように、あなたがたの兄弟たちの中から、ひとりの預言者をお立てになるであろう』と言ったモーセである。 (J)

使徒の働き 7:38 この人が、シナイ山で、彼に語りかけた御使や先祖たちと共に、荒野における集会にいて、生ける御言葉を授かり、それをあなたがたに伝えたのである。 (J)

使徒の働き 7:39 ところが、先祖たちは彼に従おうとはせず、かえって彼を退け、心の中でエジプトにあこがれて、 (J)

使徒の働き 7:40 『わたしたちを導いてくれる神々を造って下さい。わたしたちをエジプトの地から導いてきたあのモーセがどうなったのか、わかりませんから』とアロンに言った。 (J)

使徒の働き 7:41 そのころ、彼らは子牛の像を造り、その偶像に供え物をささげ、自分たちの手で造ったものを祭ってうち興じていた。 (J)

使徒の働き 7:42 そこで、神は顔をそむけ、彼らを天の星を拝むままに任せられた。預言者の書にこう書いてあるとおりである、 『イスラエルの家よ、 四十年のあいだ荒野にいた時に、 いけにえと供え物とを、わたしにささげたことがあったか。 (J)

使徒の働き 7:43 あなたがたは、モロクの幕屋やロンパの星の神を、かつぎ回った。 それらは、拝むために自分で造った偶像に過ぎぬ。 だからわたしは、あなたがたをバビロンのかなたへ、移してしまうであろう』。 (J)

使徒の働き 7:44 わたしたちの先祖には、荒野にあかしの幕屋があった。それは、見たままの型にしたがって造るようにと、モーセに語ったかたのご命令どおりに造ったものである。 (J)

使徒の働き 7:45 この幕屋は、わたしたちの先祖が、ヨシュアに率いられ、神によって諸民族を彼らの前から追い払い、その所領をのり取ったときに、そこに持ち込まれ、次々に受け継がれて、ダビデの時代に及んだものである。 (J)

使徒の働き 7:46 ダビデは、神の恵みをこうむり、そして、ヤコブの神のために宮を造営したいと願った。 (J)

使徒の働き 7:47 けれども、じっさいにその宮を建てたのは、ソロモンであった。 (J)

使徒の働き 7:48 しかし、いと高き者は、手で造った家の内にはお住みにならない。預言者が言っているとおりである、 (J)

使徒の働き 7:49 『主が仰せられる、 どんな家をわたしのために建てるのか。 わたしのいこいの場所は、どれか。 天はわたしの王座、 地はわたしの足台である。 (J)

使徒の働き 7:50 これは皆わたしの手が造ったものではないか』。 (J)

使徒の働き 7:51 ああ、強情で、心にも耳にも割礼のない人たちよ。あなたがたは、いつも聖霊に逆らっている。それは、あなたがたの先祖たちと同じである。 (J)

使徒の働き 7:52 いったい、あなたがたの先祖が迫害しなかった預言者が、ひとりでもいたか。彼らは正しいかたの来ることを予告した人たちを殺し、今やあなたがたは、その正しいかたを裏切る者、また殺す者となった。 (J)

使徒の働き 7:53 あなたがたは、御使たちによって伝えられた律法を受けたのに、それを守ることをしなかった」。 (J)

使徒の働き 7:54 人々はこれを聞いて、心の底から激しく怒り、ステパノにむかって、歯ぎしりをした。 (J)

使徒の働き 7:55 しかし、彼は聖霊に満たされて、天を見つめていると、神の栄光が現れ、イエスが神の右に立っておられるのが見えた。 (J)

使徒の働き 7:56 そこで、彼は「ああ、天が開けて、人の子が神の右に立っておいでになるのが見える」と言った。 (J)

使徒の働き 7:57 人々は大声で叫びながら、耳をおおい、ステパノを目がけて、いっせいに殺到し、 (J)

使徒の働き 7:58 彼を市外に引き出して、石で打った。これに立ち合った人たちは、自分の上着を脱いで、サウロという若者の足もとに置いた。 (J)

使徒の働き 7:59 こうして、彼らがステパノに石を投げつけている間、ステパノは祈りつづけて言った、「主イエスよ、わたしの霊をお受け下さい」。 (J)

使徒の働き 7:60 そして、ひざまずいて、大声で叫んだ、「主よ、どうぞ、この罪を彼らに負わせないで下さい」。こう言って、彼は眠りについた。 (J)

使徒の働き 8:1 サウロは、ステパノを殺すことに賛成していた。 その日、エルサレムの教会に対して大迫害が起り、使徒以外の者はことごとく、ユダヤとサマリヤとの地方に散らされて行った。 (J)

使徒の働き 8:2 信仰深い人たちはステパノを葬り、彼のために胸を打って、非常に悲しんだ。 (J)

使徒の働き 8:3 ところが、サウロは家々に押し入って、男や女を引きずり出し、次々に獄に渡して、教会を荒し回った。 (J)

使徒の働き 8:4 さて、散らされて行った人たちは、御言を宣べ伝えながら、めぐり歩いた。 (J)

使徒の働き 8:5 ピリポはサマリヤの町に下って行き、人々にキリストを宣べはじめた。 (J)

使徒の働き 8:6 群衆はピリポの話を聞き、その行っていたしるしを見て、こぞって彼の語ることに耳を傾けた。 (J)

使徒の働き 8:7 汚れた霊につかれた多くの人々からは、その霊が大声でわめきながら出て行くし、また、多くの中風をわずらっている者や、足のきかない者がいやされたからである。 (J)

使徒の働き 8:8 それで、この町では人々が、大変なよろこびかたであった。 (J)

使徒の働き 8:9 さて、この町に以前からシモンという人がいた。彼は魔術を行ってサマリヤの人たちを驚かし、自分をさも偉い者のように言いふらしていた。 (J)

使徒の働き 8:10 それで、小さい者から大きい者にいたるまで皆、彼について行き、「この人こそは『大能』と呼ばれる神の力である」と言っていた。 (J)

使徒の働き 8:11 彼らがこの人について行ったのは、ながい間その魔術に驚かされていたためであった。 (J)

使徒の働き 8:12 ところが、ピリポが神の国とイエス・キリストの名について宣べ伝えるに及んで、男も女も信じて、ぞくぞくとバプテスマを受けた。 (J)

使徒の働き 8:13 シモン自身も信じて、バプテスマを受け、それから、引きつづきピリポについて行った。そして、数々のしるしやめざましい奇跡が行われるのを見て、驚いていた。 (J)

使徒の働き 8:14 エルサレムにいる使徒たちは、サマリヤの人々が、神の言を受け入れたと聞いて、ペテロとヨハネとを、そこにつかわした。 (J)

使徒の働き 8:15 ふたりはサマリヤに下って行って、みんなが聖霊を受けるようにと、彼らのために祈った。 (J)

使徒の働き 8:16 それは、彼らはただ主イエスの名によってバプテスマを受けていただけで、聖霊はまだだれにも下っていなかったからである。 (J)

使徒の働き 8:17 そこで、ふたりが手を彼らの上においたところ、彼らは聖霊を受けた。 (J)

使徒の働き 8:18 シモンは、使徒たちが手をおいたために、御霊が人々に授けられたのを見て、金をさし出し、 (J)

使徒の働き 8:19 「わたしが手をおけばだれにでも聖霊が授けられるように、その力をわたしにも下さい」と言った。 (J)

使徒の働き 8:20 そこで、ペテロが彼に言った、「おまえの金は、おまえもろとも、うせてしまえ。神の賜物が、金で得られるなどと思っているのか。 (J)

使徒の働き 8:21 おまえの心が神の前に正しくないから、おまえは、とうてい、この事にあずかることができない。 (J)

使徒の働き 8:22 だから、この悪事を悔いて、主に祈れ。そうすればあるいはそんな思いを心にいだいたことが、ゆるされるかも知れない。 (J)

使徒の働き 8:23 おまえには、まだ苦い胆汁があり、不義のなわ目がからみついている。それが、わたしにわかっている」。 (J)

使徒の働き 8:24 シモンはこれを聞いて言った、「仰せのような事が、わたしの身に起らないように、どうぞ、わたしのために主に祈って下さい」。 (J)

使徒の働き 8:25 使徒たちは力強くあかしをなし、また主の言を語った後、サマリヤ人の多くの村々に福音を宣べ伝えて、エルサレムに帰った。 (J)

使徒の働き 8:26 しかし、主の使がピリポにむかって言った、「立って南方に行き、エルサレムからガザへ下る道に出なさい」(このガザは、今は荒れはてている)。 (J)

使徒の働き 8:27 そこで、彼は立って出かけた。すると、ちょうど、エチオピヤ人の女王カンダケの高官で、女王の財宝全部を管理していた宦官であるエチオピヤ人が、礼拝のためエルサレムに上り、 (J)

使徒の働き 8:28 その帰途についていたところであった。彼は自分の馬車に乗って、預言者イザヤの書を読んでいた。 (J)

使徒の働き 8:29 御霊がピリポに「進み寄って、あの馬車に並んで行きなさい」と言った。 (J)

使徒の働き 8:30 そこでピリポが駆けて行くと、預言者イザヤの書を読んでいるその人の声が聞えたので、「あなたは、読んでいることが、おわかりですか」と尋ねた。 (J)

使徒の働き 8:31 彼は「だれかが、手びきをしてくれなければ、どうしてわかりましょう」と答えた。そして、馬車に乗って一緒にすわるようにと、ピリポにすすめた。 (J)

使徒の働き 8:32 彼が読んでいた聖書の箇所は、これであった、 「彼は、ほふり場に引かれて行く羊のように、 また、黙々として、 毛を刈る者の前に立つ小羊のように、 口を開かない。 (J)

使徒の働き 8:33 彼は、いやしめられて、 そのさばきも行われなかった。 だれが、彼の子孫のことを語ることができようか、 彼の命が地上から取り去られているからには」。 (J)

使徒の働き 8:34 宦官はピリポにむかって言った、「お尋ねしますが、ここで預言者はだれのことを言っているのですか。自分のことですか、それとも、だれかほかの人のことですか」。 (J)

使徒の働き 8:35 そこでピリポは口を開き、この聖句から説き起して、イエスのことを宣べ伝えた。 (J)

使徒の働き 8:36 道を進んで行くうちに、水のある所にきたので、宦官が言った、「ここに水があります。わたしがバプテスマを受けるのに、なんのさしつかえがありますか」。〔 (J)

使徒の働き 8:37 これに対して、ピリポは、「あなたがまごころから信じるなら、受けてさしつかえはありません」と言った。すると、彼は「わたしは、イエス・キリストを神の子と信じます」と答えた。〕 (J)

使徒の働き 8:38 そこで車をとめさせ、ピリポと宦官と、ふたりとも、水の中に降りて行き、ピリポが宦官にバプテスマを授けた。 (J)

使徒の働き 8:39 ふたりが水から上がると、主の霊がピリポをさらって行ったので、宦官はもう彼を見ることができなかった。宦官はよろこびながら旅をつづけた。 (J)

使徒の働き 8:40 その後、ピリポはアゾトに姿をあらわして、町々をめぐり歩き、いたるところで福音を宣べ伝えて、ついにカイザリヤに着いた。 (J)

使徒の働き 9:1 さてサウロは、なおも主の弟子たちに対する脅迫、殺害の息をはずませながら、大祭司のところに行って、 (J)

使徒の働き 9:2 ダマスコの諸会堂あての添書を求めた。それは、この道の者を見つけ次第、男女の別なく縛りあげて、エルサレムにひっぱって来るためであった。 (J)

使徒の働き 9:3 ところが、道を急いでダマスコの近くにきたとき、突然、天から光がさして、彼をめぐり照した。 (J)

使徒の働き 9:4 彼は地に倒れたが、その時「サウロ、サウロ、なぜわたしを迫害するのか」と呼びかける声を聞いた。 (J)

使徒の働き 9:5 そこで彼は「主よ、あなたは、どなたですか」と尋ねた。すると答があった、「わたしは、あなたが迫害しているイエスである。 (J)

使徒の働き 9:6 さあ立って、町にはいって行きなさい。そうすれば、そこであなたのなすべき事が告げられるであろう」。 (J)

使徒の働き 9:7 サウロの同行者たちは物も言えずに立っていて、声だけは聞えたが、だれも見えなかった。 (J)

使徒の働き 9:8 サウロは地から起き上がって目を開いてみたが、何も見えなかった。そこで人々は、彼の手を引いてダマスコへ連れて行った。 (J)

使徒の働き 9:9 彼は三日間、目が見えず、また食べることも飲むこともしなかった。 (J)

使徒の働き 9:10 さて、ダマスコにアナニヤというひとりの弟子がいた。この人に主が幻の中に現れて、「アナニヤよ」とお呼びになった。彼は「主よ、わたしでございます」と答えた。 (J)

使徒の働き 9:11 そこで主が彼に言われた、「立って、『真すぐ』という名の路地に行き、ユダの家でサウロというタルソ人を尋ねなさい。彼はいま祈っている。 (J)

使徒の働き 9:12 彼はアナニヤという人がはいってきて、手を自分の上において再び見えるようにしてくれるのを、幻で見たのである」。 (J)

使徒の働き 9:13 アナニヤは答えた、「主よ、あの人がエルサレムで、どんなにひどい事をあなたの聖徒たちにしたかについては、多くの人たちから聞いています。 (J)

使徒の働き 9:14 そして彼はここでも、御名をとなえる者たちをみな捕縛する権を、祭司長たちから得てきているのです」。 (J)

使徒の働き 9:15 しかし、主は仰せになった、「さあ、行きなさい。あの人は、異邦人たち、王たち、またイスラエルの子らにも、わたしの名を伝える器として、わたしが選んだ者である。 (J)

使徒の働き 9:16 わたしの名のために彼がどんなに苦しまなければならないかを、彼に知らせよう」。 (J)

使徒の働き 9:17 そこでアナニヤは、出かけて行ってその家にはいり、手をサウロの上において言った、「兄弟サウロよ、あなたが来る途中で現れた主イエスは、あなたが再び見えるようになるため、そして聖霊に満たされるために、わたしをここにおつかわしになったのです」。 (J)

使徒の働き 9:18 するとたちどころに、サウロの目から、うろこのようなものが落ちて、元どおり見えるようになった。そこで彼は立ってバプテスマを受け、 (J)

使徒の働き 9:19 また食事をとって元気を取りもどした。 サウロは、ダマスコにいる弟子たちと共に数日間を過ごしてから、 (J)

使徒の働き 9:20 ただちに諸会堂でイエスのことを宣べ伝え、このイエスこそ神の子であると説きはじめた。 (J)

使徒の働き 9:21 これを聞いた人たちはみな非常に驚いて言った、「あれは、エルサレムでこの名をとなえる者たちを苦しめた男ではないか。その上ここにやってきたのも、彼らを縛りあげて、祭司長たちのところへひっぱって行くためではなかったか」。 (J)

使徒の働き 9:22 しかし、サウロはますます力が加わり、このイエスがキリストであることを論証して、ダマスコに住むユダヤ人たちを言い伏せた。 (J)

使徒の働き 9:23 相当の日数がたったころ、ユダヤ人たちはサウロを殺す相談をした。 (J)

使徒の働き 9:24 ところが、その陰謀が彼の知るところとなった。彼らはサウロを殺そうとして、夜昼、町の門を見守っていたのである。 (J)

使徒の働き 9:25 そこで彼の弟子たちが、夜の間に彼をかごに乗せて、町の城壁づたいにつりおろした。 (J)

使徒の働き 9:26 サウロはエルサレムに着いて、弟子たちの仲間に加わろうと努めたが、みんなの者は彼を弟子だとは信じないで、恐れていた。 (J)

使徒の働き 9:27 ところが、バルナバは彼の世話をして使徒たちのところへ連れて行き、途中で主が彼に現れて語りかけたことや、彼がダマスコでイエスの名で大胆に宣べ伝えた次第を、彼らに説明して聞かせた。 (J)

使徒の働き 9:28 それ以来、彼は使徒たちの仲間に加わり、エルサレムに出入りし、主の名によって大胆に語り、 (J)

使徒の働き 9:29 ギリシヤ語を使うユダヤ人たちとしばしば語り合い、また論じ合った。しかし、彼らは彼を殺そうとねらっていた。 (J)

使徒の働き 9:30 兄弟たちはそれと知って、彼をカイザリヤに連れてくだり、タルソへ送り出した。 (J)

使徒の働き 9:31 こうして教会は、ユダヤ、ガリラヤ、サマリヤ全地方にわたって平安を保ち、基礎がかたまり、主をおそれ聖霊にはげまされて歩み、次第に信徒の数を増して行った。 (J)

使徒の働き 9:32 ペテロは方々をめぐり歩いたが、ルダに住む聖徒たちのところへも下って行った。 (J)

使徒の働き 9:33 そして、そこで、八年間も床についているアイネヤという人に会った。この人は中風であった。 (J)

使徒の働き 9:34 ペテロが彼に言った、「アイネヤよ、イエス・キリストがあなたをいやして下さるのだ。起きなさい。そして床を取りあげなさい」。すると、彼はただちに起きあがった。 (J)

使徒の働き 9:35 ルダとサロンに住む人たちは、みなそれを見て、主に帰依した。 (J)

使徒の働き 9:36 ヨッパにタビタ(これを訳すと、ドルカス、すなわち、かもしか)という女弟子がいた。数々のよい働きや施しをしていた婦人であった。 (J)

使徒の働き 9:37 ところが、そのころ病気になって死んだので、人々はそのからだを洗って、屋上の間に安置した。 (J)

使徒の働き 9:38 ルダはヨッパに近かったので、弟子たちはペテロがルダにきていると聞き、ふたりの者を彼のもとにやって、「どうぞ、早くこちらにおいで下さい」と頼んだ。 (J)

使徒の働き 9:39 そこでペテロは立って、ふたりの者に連れられてきた。彼が着くとすぐ、屋上の間に案内された。すると、やもめたちがみんな彼のそばに寄ってきて、ドルカスが生前つくった下着や上着の数々を、泣きながら見せるのであった。 (J)

使徒の働き 9:40 ペテロはみんなの者を外に出し、ひざまずいて祈った。それから死体の方に向いて、「タビタよ、起きなさい」と言った。すると彼女は目をあけ、ペテロを見て起きなおった。 (J)

使徒の働き 9:41 ペテロは彼女に手をかして立たせた。それから、聖徒たちや、やもめたちを呼び入れて、彼女が生きかえっているのを見せた。 (J)

使徒の働き 9:42 このことがヨッパ中に知れわたり、多くの人々が主を信じた。 (J)

使徒の働き 9:43 ペテロは、皮なめしシモンという人の家に泊まり、しばらくの間ヨッパに滞在した。 (J)

使徒の働き 10:1 さて、カイザリヤにコルネリオという名の人がいた。イタリヤ隊と呼ばれた部隊の百卒長で、 (J)

使徒の働き 10:2 信心深く、家族一同と共に神を敬い、民に数々の施しをなし、絶えず神に祈をしていた。 (J)

使徒の働き 10:3 ある日の午後三時ごろ、神の使が彼のところにきて、「コルネリオよ」と呼ぶのを、幻ではっきり見た。 (J)

使徒の働き 10:4 彼は御使を見つめていたが、恐ろしくなって、「主よ、なんでございますか」と言った。すると御使が言った、「あなたの祈や施しは神のみ前にとどいて、おぼえられている。 (J)

使徒の働き 10:5 ついては今、ヨッパに人をやって、ペテロと呼ばれるシモンという人を招きなさい。 (J)

使徒の働き 10:6 この人は、海べに家をもつ皮なめしシモンという者の客となっている」。 (J)

使徒の働き 10:7 このお告げをした御使が立ち去ったのち、コルネリオは、僕ふたりと、部下の中で信心深い兵卒ひとりとを呼び、 (J)

使徒の働き 10:8 いっさいの事を説明して聞かせ、ヨッパへ送り出した。 (J)

使徒の働き 10:9 翌日、この三人が旅をつづけて町の近くにきたころ、ペテロは祈をするため屋上にのぼった。時は昼の十二時ごろであった。 (J)

使徒の働き 10:10 彼は空腹をおぼえて、何か食べたいと思った。そして、人々が食事の用意をしている間に、夢心地になった。 (J)

使徒の働き 10:11 すると、天が開け、大きな布のような入れ物が、四すみをつるされて、地上に降りて来るのを見た。 (J)

使徒の働き 10:12 その中には、地上の四つ足や這うもの、また空の鳥など、各種の生きものがはいっていた。 (J)

使徒の働き 10:13 そして声が彼に聞えてきた、「ペテロよ。立って、それらをほふって食べなさい」。 (J)

使徒の働き 10:14 ペテロは言った、「主よ、それはできません。わたしは今までに、清くないもの、汚れたものは、何一つ食べたことがありません」。 (J)

使徒の働き 10:15 すると、声が二度目にかかってきた、「神がきよめたものを、清くないなどと言ってはならない」。 (J)

使徒の働き 10:16 こんなことが三度もあってから、その入れ物はすぐ天に引き上げられた。 (J)

使徒の働き 10:17 ペテロが、いま見た幻はなんの事だろうかと、ひとり思案にくれていると、ちょうどその時、コルネリオから送られた人たちが、シモンの家を尋ね当てて、その門口に立っていた。 (J)

使徒の働き 10:18 そして声をかけて、「ペテロと呼ばれるシモンというかたが、こちらにお泊まりではございませんか」と尋ねた。 (J)

使徒の働き 10:19 ペテロはなおも幻について、思いめぐらしていると、御霊が言った、「ごらんなさい、三人の人たちが、あなたを尋ねてきている。 (J)

使徒の働き 10:20 さあ、立って下に降り、ためらわないで、彼らと一緒に出かけるがよい。わたしが彼らをよこしたのである」。 (J)

使徒の働き 10:21 そこでペテロは、その人たちのところに降りて行って言った、「わたしがお尋ねのペテロです。どんなご用でおいでになったのですか」。 (J)

使徒の働き 10:22 彼らは答えた、「正しい人で、神を敬い、ユダヤの全国民に好感を持たれている百卒長コルネリオが、あなたを家に招いてお話を伺うようにとのお告げを、聖なる御使から受けましたので、参りました」。 (J)

使徒の働き 10:23 そこで、ペテロは、彼らを迎えて泊まらせた。 翌日、ペテロは立って、彼らと連れだって出発した。ヨッパの兄弟たち数人も一緒に行った。 (J)

使徒の働き 10:24 その次の日に、一行はカイザリヤに着いた。コルネリオは親族や親しい友人たちを呼び集めて、待っていた。 (J)

使徒の働き 10:25 ペテロがいよいよ到着すると、コルネリオは出迎えて、彼の足もとにひれ伏して拝した。 (J)

使徒の働き 10:26 するとペテロは、彼を引き起して言った、「お立ちなさい。わたしも同じ人間です」。 (J)

使徒の働き 10:27 それから共に話しながら、へやにはいって行くと、そこには、すでに大ぜいの人が集まっていた。 (J)

使徒の働き 10:28 ペテロは彼らに言った、「あなたがたが知っているとおり、ユダヤ人が他国の人と交際したり、出入りしたりすることは、禁じられています。ところが、神は、どんな人間をも清くないとか、汚れているとか言ってはならないと、わたしにお示しになりました。 (J)

使徒の働き 10:29 お招きにあずかった時、少しもためらわずに参ったのは、そのためなのです。そこで伺いますが、どういうわけで、わたしを招いてくださったのですか」。 (J)

使徒の働き 10:30 これに対してコルネリオが答えた、「四日前、ちょうどこの時刻に、わたしが自宅で午後三時の祈をしていますと、突然、輝いた衣を着た人が、前に立って申しました、 (J)

使徒の働き 10:31 『コルネリオよ、あなたの祈は聞きいれられ、あなたの施しは神のみ前におぼえられている。 (J)

使徒の働き 10:32 そこでヨッパに人を送ってペテロと呼ばれるシモンを招きなさい。その人は皮なめしシモンの海沿いの家に泊まっている』。 (J)

使徒の働き 10:33 それで、早速あなたをお呼びしたのです。ようこそおいで下さいました。今わたしたちは、主があなたにお告げになったことを残らず伺おうとして、みな神のみ前にまかり出ているのです」。 (J)

使徒の働き 10:34 そこでペテロは口を開いて言った、「神は人をかたよりみないかたで、 (J)

使徒の働き 10:35 神を敬い義を行う者はどの国民でも受けいれて下さることが、ほんとうによくわかってきました。 (J)

使徒の働き 10:36 あなたがたは、神がすべての者の主なるイエス・キリストによって平和の福音を宣べ伝えて、イスラエルの子らにお送り下さった御言をご存じでしょう。 (J)

使徒の働き 10:37 それは、ヨハネがバプテスマを説いた後、ガリラヤから始まってユダヤ全土にひろまった福音を述べたものです。 (J)

使徒の働き 10:38 神はナザレのイエスに聖霊と力とを注がれました。このイエスは、神が共におられるので、よい働きをしながら、また悪魔に押えつけられている人々をことごとくいやしながら、巡回されました。 (J)

使徒の働き 10:39 わたしたちは、イエスがこうしてユダヤ人の地やエルサレムでなさったすべてのことの証人であります。人々はこのイエスを木にかけて殺したのです。 (J)

使徒の働き 10:40 しかし神はイエスを三日目によみがえらせ、 (J)

使徒の働き 10:41 全部の人々にではなかったが、わたしたち証人としてあらかじめ選ばれた者たちに現れるようにして下さいました。わたしたちは、イエスが死人の中から復活された後、共に飲食しました。 (J)

使徒の働き 10:42 それから、イエスご自身が生者と死者との審判者として神に定められたかたであることを、人々に宣べ伝え、またあかしするようにと、神はわたしたちにお命じになったのです。 (J)

使徒の働き 10:43 預言者たちもみな、イエスを信じる者はことごとく、その名によって罪のゆるしが受けられると、あかしをしています」。 (J)

使徒の働き 10:44 ペテロがこれらの言葉をまだ語り終えないうちに、それを聞いていたみんなの人たちに、聖霊がくだった。 (J)

使徒の働き 10:45 割礼を受けている信者で、ペテロについてきた人たちは、異邦人たちにも聖霊の賜物が注がれたのを見て、驚いた。 (J)

使徒の働き 10:46 それは、彼らが異言を語って神をさんびしているのを聞いたからである。そこで、ペテロが言い出した、 (J)

使徒の働き 10:47 「この人たちがわたしたちと同じように聖霊を受けたからには、彼らに水でバプテスマを授けるのを、だれがこばみ得ようか」。 (J)

使徒の働き 10:48 こう言って、ペテロはその人々に命じて、イエス・キリストの名によってバプテスマを受けさせた。それから、彼らはペテロに願って、なお数日のあいだ滞在してもらった。 (J)

使徒の働き 11:1 さて、異邦人たちも神の言を受けいれたということが、使徒たちやユダヤにいる兄弟たちに聞えてきた。 (J)

使徒の働き 11:2 そこでペテロがエルサレムに上ったとき、割礼を重んじる者たちが彼をとがめて言った、 (J)

使徒の働き 11:3 「あなたは、割礼のない人たちのところに行って、食事を共にしたということだが」。 (J)

使徒の働き 11:4 そこでペテロは口を開いて、順序正しく説明して言った、 (J)

使徒の働き 11:5 「わたしがヨッパの町で祈っていると、夢心地になって幻を見た。大きな布のような入れ物が、四すみをつるされて、天から降りてきて、わたしのところにとどいた。 (J)

使徒の働き 11:6 注意して見つめていると、地上の四つ足、野の獣、這うもの、空の鳥などが、はいっていた。 (J)

使徒の働き 11:7 それから声がして、『ペテロよ、立って、それらをほふって食べなさい』と、わたしに言うのが聞えた。 (J)

使徒の働き 11:8 わたしは言った、『主よ、それはできません。わたしは今までに、清くないものや汚れたものを口に入れたことが一度もございません』。 (J)

使徒の働き 11:9 すると、二度目に天から声がかかってきた、『神がきよめたものを、清くないなどと言ってはならない』。 (J)

使徒の働き 11:10 こんなことが三度もあってから、全部のものがまた天に引き上げられてしまった。 (J)

使徒の働き 11:11 ちょうどその時、カイザリヤからつかわされてきた三人の人が、わたしたちの泊まっていた家に着いた。 (J)

使徒の働き 11:12 御霊がわたしに、ためらわずに彼らと共に行けと言ったので、ここにいる六人の兄弟たちも、わたしと一緒に出かけて行き、一同がその人の家にはいった。 (J)

使徒の働き 11:13 すると彼はわたしたちに、御使が彼の家に現れて、『ヨッパに人をやって、ペテロと呼ばれるシモンを招きなさい。 (J)

使徒の働き 11:14 この人は、あなたとあなたの全家族とが救われる言葉を語って下さるであろう』と告げた次第を、話してくれた。 (J)

使徒の働き 11:15 そこでわたしが語り出したところ、聖霊が、ちょうど最初わたしたちの上にくだったと同じように、彼らの上にくだった。 (J)

使徒の働き 11:16 その時わたしは、主が『ヨハネは水でバプテスマを授けたが、あなたがたは聖霊によってバプテスマを受けるであろう』と仰せになった言葉を思い出した。 (J)

使徒の働き 11:17 このように、わたしたちが主イエス・キリストを信じた時に下さったのと同じ賜物を、神が彼らにもお与えになったとすれば、わたしのような者が、どうして神を妨げることができようか」。 (J)

使徒の働き 11:18 人々はこれを聞いて黙ってしまった。それから神をさんびして、「それでは神は、異邦人にも命にいたる悔改めをお与えになったのだ」と言った。 (J)

使徒の働き 11:19 さて、ステパノのことで起った迫害のために散らされた人々は、ピニケ、クプロ、アンテオケまでも進んで行ったが、ユダヤ人以外の者には、だれにも御言を語っていなかった。 (J)

使徒の働き 11:20 ところが、その中に数人のクプロ人とクレネ人がいて、アンテオケに行ってからギリシヤ人にも呼びかけ、主イエスを宣べ伝えていた。 (J)

使徒の働き 11:21 そして、主のみ手が彼らと共にあったため、信じて主に帰依するものの数が多かった。 (J)

使徒の働き 11:22 このうわさがエルサレムにある教会に伝わってきたので、教会はバルナバをアンテオケにつかわした。 (J)

使徒の働き 11:23 彼は、そこに着いて、神のめぐみを見てよろこび、主に対する信仰を揺るがない心で持ちつづけるようにと、みんなの者を励ました。 (J)

使徒の働き 11:24 彼は聖霊と信仰とに満ちた立派な人であったからである。こうして主に加わる人々が、大ぜいになった。 (J)

使徒の働き 11:25 そこでバルナバはサウロを捜しにタルソへ出かけて行き、 (J)

使徒の働き 11:26 彼を見つけたうえ、アンテオケに連れて帰った。ふたりは、まる一年、ともどもに教会で集まりをし、大ぜいの人々を教えた。このアンテオケで初めて、弟子たちがクリスチャンと呼ばれるようになった。 (J)

使徒の働き 11:27 そのころ、預言者たちがエルサレムからアンテオケにくだってきた。 (J)

使徒の働き 11:28 その中のひとりであるアガボという者が立って、世界中に大ききんが起るだろうと、御霊によって預言したところ、果してそれがクラウデオ帝の時に起った。 (J)

使徒の働き 11:29 そこで弟子たちは、それぞれの力に応じて、ユダヤに住んでいる兄弟たちに援助を送ることに決めた。 (J)

使徒の働き 11:30 そして、それをバルナバとサウロとの手に託して、長老たちに送りとどけた。 (J)

使徒の働き 12:1 そのころ、ヘロデ王は教会のある者たちに圧迫の手をのばし、 (J)

使徒の働き 12:2 ヨハネの兄弟ヤコブをつるぎで切り殺した。 (J)

使徒の働き 12:3 そして、それがユダヤ人たちの意にかなったのを見て、さらにペテロをも捕えにかかった。それは除酵祭の時のことであった。 (J)

使徒の働き 12:4 ヘロデはペテロを捕えて獄に投じ、四人一組の兵卒四組に引き渡して、見張りをさせておいた。過越の祭のあとで、彼を民衆の前に引き出すつもりであったのである。 (J)

使徒の働き 12:5 こうして、ペテロは獄に入れられていた。教会では、彼のために熱心な祈が神にささげられた。 (J)

使徒の働き 12:6 ヘロデが彼を引き出そうとしていたその夜、ペテロは二重の鎖につながれ、ふたりの兵卒の間に置かれて眠っていた。番兵たちは戸口で獄を見張っていた。 (J)

使徒の働き 12:7 すると、突然、主の使がそばに立ち、光が獄内を照した。そして御使はペテロのわき腹をつついて起し、「早く起きあがりなさい」と言った。すると鎖が彼の両手から、はずれ落ちた。 (J)

使徒の働き 12:8 御使が「帯をしめ、くつをはきなさい」と言ったので、彼はそのとおりにした。それから「上着を着て、ついてきなさい」と言われたので、 (J)

使徒の働き 12:9 ペテロはついて出て行った。彼には御使のしわざが現実のこととは考えられず、ただ幻を見ているように思われた。 (J)

使徒の働き 12:10 彼らは第一、第二の衛所を通りすぎて、町に抜ける鉄門のところに来ると、それがひとりでに開いたので、そこを出て一つの通路に進んだとたんに、御使は彼を離れ去った。 (J)

使徒の働き 12:11 その時ペテロはわれにかえって言った、「今はじめて、ほんとうのことがわかった。主が御使をつかわして、ヘロデの手から、またユダヤ人たちの待ちもうけていたあらゆる災から、わたしを救い出して下さったのだ」。 (J)

使徒の働き 12:12 ペテロはこうとわかってから、マルコと呼ばれているヨハネの母マリヤの家に行った。その家には大ぜいの人が集まって祈っていた。 (J)

使徒の働き 12:13 彼が門の戸をたたいたところ、ロダという女中が取次ぎに出てきたが、 (J)

使徒の働き 12:14 ペテロの声だとわかると、喜びのあまり、門をあけもしないで家に駆け込み、ペテロが門口に立っていると報告した。 (J)

使徒の働き 12:15 人々は「あなたは気が狂っている」と言ったが、彼女は自分の言うことに間違いはないと、言い張った。そこで彼らは「それでは、ペテロの御使だろう」と言った。 (J)

使徒の働き 12:16 しかし、ペテロが門をたたきつづけるので、彼らがあけると、そこにペテロがいたのを見て驚いた。 (J)

使徒の働き 12:17 ペテロは手を振って彼らを静め、主が獄から彼を連れ出して下さった次第を説明し、「このことを、ヤコブやほかの兄弟たちに伝えて下さい」と言い残して、どこかほかの所へ出て行った。 (J)

使徒の働き 12:18 夜が明けると、兵卒たちの間に、ペテロはいったいどうなったのだろうと、大へんな騒ぎが起った。 (J)

使徒の働き 12:19 ヘロデはペテロを捜しても見つからないので、番兵たちを取り調べたうえ、彼らを死刑に処するように命じ、そして、ユダヤからカイザリヤにくだって行って、そこに滞在した。 (J)

使徒の働き 12:20 さて、ツロとシドンとの人々は、ヘロデの怒りに触ていたので、一同うちそろって王をおとずれ、王の侍従官ブラストに取りいって、和解かたを依頼した。彼らの地方が、王の国から食糧を得ていたからである。 (J)

使徒の働き 12:21 定められた日に、ヘロデは王服をまとって王座にすわり、彼らにむかって演説をした。 (J)

使徒の働き 12:22 集まった人々は、「これは神の声だ、人間の声ではない」と叫びつづけた。 (J)

使徒の働き 12:23 するとたちまち、主の使が彼を打った。神に栄光を帰することをしなかったからである。彼は虫にかまれて息が絶えてしまった。 (J)

使徒の働き 12:24 こうして、主の言はますます盛んにひろまって行った。 (J)

使徒の働き 12:25 バルナバとサウロとは、その任務を果したのち、マルコと呼ばれていたヨハネを連れて、エルサレムから帰ってきた。 (J)

使徒の働き 13:1 さて、アンテオケにある教会には、バルナバ、ニゲルと呼ばれるシメオン、クレネ人ルキオ、領主ヘロデの乳兄弟マナエン、およびサウロなどの預言者や教師がいた。 (J)

使徒の働き 13:2 一同が主に礼拝をささげ、断食をしていると、聖霊が「さあ、バルナバとサウロとを、わたしのために聖別して、彼らに授けておいた仕事に当らせなさい」と告げた。 (J)

使徒の働き 13:3 そこで一同は、断食と祈とをして、手をふたりの上においた後、出発させた。 (J)

使徒の働き 13:4 ふたりは聖霊に送り出されて、セルキヤにくだり、そこから舟でクプロに渡った。 (J)

使徒の働き 13:5 そしてサラミスに着くと、ユダヤ人の諸会堂で神の言を宣べはじめた。彼らはヨハネを助け手として連れていた。 (J)

使徒の働き 13:6 島全体を巡回して、パポスまで行ったところ、そこでユダヤ人の魔術師、バルイエスというにせ預言者に出会った。 (J)

使徒の働き 13:7 彼は地方総督セルギオ・パウロのところに出入りをしていた。この総督は賢明な人であって、バルナバとサウロとを招いて、神の言を聞こうとした。 (J)

使徒の働き 13:8 ところが魔術師エルマ(彼の名は「魔術師」との意)は、総督を信仰からそらそうとして、しきりにふたりの邪魔をした。 (J)

使徒の働き 13:9 サウロ、またの名はパウロ、は聖霊に満たされ、彼をにらみつけて (J)

使徒の働き 13:10 言った、「ああ、あらゆる偽りと邪悪とでかたまっている悪魔の子よ、すべて正しいものの敵よ。主のまっすぐな道を曲げることを止めないのか。 (J)

使徒の働き 13:11 見よ、主のみ手がおまえの上に及んでいる。おまえは盲になって、当分、日の光が見えなくなるのだ」。たちまち、かすみとやみとが彼にかかったため、彼は手さぐりしながら、手を引いてくれる人を捜しまわった。 (J)

使徒の働き 13:12 総督はこの出来事を見て、主の教にすっかり驚き、そして信じた。 (J)

使徒の働き 13:13 パウロとその一行は、パポスから船出して、パンフリヤのペルガに渡った。ここでヨハネは一行から身を引いて、エルサレムに帰ってしまった。 (J)

使徒の働き 13:14 しかしふたりは、ペルガからさらに進んで、ピシデヤのアンテオケに行き、安息日に会堂にはいって席に着いた。 (J)

使徒の働き 13:15 律法と預言書の朗読があったのち、会堂司たちが彼らのところに人をつかわして、「兄弟たちよ、もしあなたがたのうち、どなたか、この人々に何か奨励の言葉がありましたら、どうぞお話し下さい」と言わせた。 (J)

使徒の働き 13:16 そこでパウロが立ちあがり、手を振りながら言った。 「イスラエルの人たち、ならびに神を敬うかたがたよ、お聞き下さい。 (J)

使徒の働き 13:17 この民イスラエルの神は、わたしたちの先祖を選び、エジプトの地に滞在中、この民を大いなるものとし、み腕を高くさし上げて、彼らをその地から導き出された。 (J)

使徒の働き 13:18 そして約四十年にわたって、荒野で彼らをはぐくみ、 (J)

使徒の働き 13:19 カナンの地では七つの異民族を打ち滅ぼし、その地を彼らに譲り与えられた。 (J)

使徒の働き 13:20 それらのことが約四百五十年の年月にわたった。その後、神はさばき人たちをおつかわしになり、預言者サムエルの時に及んだ。 (J)

使徒の働き 13:21 その時、人々が王を要求したので、神はベニヤミン族の人、キスの子サウロを四十年間、彼らにおつかわしになった。 (J)

使徒の働き 13:22 それから神はサウロを退け、ダビデを立てて王とされたが、彼についてあかしをして、『わたしはエッサイの子ダビデを見つけた。彼はわたしの心にかなった人で、わたしの思うところを、ことごとく実行してくれるであろう』と言われた。 (J)

使徒の働き 13:23 神は約束にしたがって、このダビデの子孫の中から救主イエスをイスラエルに送られたが、 (J)

使徒の働き 13:24 そのこられる前に、ヨハネがイスラエルのすべての民に悔改めのバプテスマを、あらかじめ宣べ伝えていた。 (J)

使徒の働き 13:25 ヨハネはその一生の行程を終ろうとするに当って言った、『わたしは、あなたがたが考えているような者ではない。しかし、わたしのあとから来るかたがいる。わたしはそのくつを脱がせてあげる値うちもない』。 (J)

使徒の働き 13:26 兄弟たち、アブラハムの子孫のかたがた、ならびに皆さんの中の神を敬う人たちよ。この救の言葉はわたしたちに送られたのである。 (J)

使徒の働き 13:27 エルサレムに住む人々やその指導者たちは、イエスを認めずに刑に処し、それによって、安息日ごとに読む預言者の言葉が成就した。 (J)

使徒の働き 13:28 また、なんら死に当る理由が見いだせなかったのに、ピラトに強要してイエスを殺してしまった。 (J)

使徒の働き 13:29 そして、イエスについて書いてあることを、皆なし遂げてから、人々はイエスを木から取りおろして墓に葬った。 (J)

使徒の働き 13:30 しかし、神はイエスを死人の中から、よみがえらせたのである。 (J)

使徒の働き 13:31 イエスは、ガリラヤからエルサレムへ一緒に上った人たちに、幾日ものあいだ現れ、そして、彼らは今や、人々に対してイエスの証人となっている。 (J)

使徒の働き 13:32 わたしたちは、神が先祖たちに対してなされた約束を、ここに宣べ伝えているのである。 (J)

使徒の働き 13:33 神は、イエスをよみがえらせて、わたしたち子孫にこの約束を、お果しになった。それは詩篇の第二篇にも、『あなたこそは、わたしの子。きょう、わたしはあなたを生んだ』と書いてあるとおりである。 (J)

使徒の働き 13:34 また、神がイエスを死人の中からよみがえらせて、いつまでも朽ち果てることのないものとされたことについては、『わたしは、ダビデに約束した確かな聖なる祝福を、あなたがたに授けよう』と言われた。 (J)

使徒の働き 13:35 だから、ほかの箇所でもこう言っておられる、『あなたの聖者が朽ち果てるようなことは、お許しにならないであろう』。 (J)

使徒の働き 13:36 事実、ダビデは、その時代の人々に神のみ旨にしたがって仕えたが、やがて眠りにつき、先祖たちの中に加えられて、ついに朽ち果ててしまった。 (J)

使徒の働き 13:37 しかし、神がよみがえらせたかたは、朽ち果てることがなかったのである。 (J)

使徒の働き 13:38 だから、兄弟たちよ、この事を承知しておくがよい。すなわち、このイエスによる罪のゆるしの福音が、今やあなたがたに宣べ伝えられている。そして、モーセの律法では義とされることができなかったすべての事についても、 (J)

使徒の働き 13:39 信じる者はもれなく、イエスによって義とされるのである。 (J)

使徒の働き 13:40 だから預言者たちの書にかいてある次のようなことが、あなたがたの身に起らないように気をつけなさい。 (J)

使徒の働き 13:41 『見よ、侮る者たちよ。驚け、そして滅び去れ。 わたしは、あなたがたの時代に一つの事をする。 それは、人がどんなに説明して聞かせても、 あなたがたのとうてい信じないような事なのである』」。 (J)

使徒の働き 13:42 ふたりが会堂を出る時、人々は次の安息日にも、これと同じ話をしてくれるようにと、しきりに願った。 (J)

使徒の働き 13:43 そして集会が終ってからも、大ぜいのユダヤ人や信心深い改宗者たちが、パウロとバルナバとについてきたので、ふたりは、彼らが引きつづき神のめぐみにとどまっているようにと、説きすすめた。 (J)

使徒の働き 13:44 次の安息日には、ほとんど全市をあげて、神の言を聞きに集まってきた。 (J)

使徒の働き 13:45 するとユダヤ人たちは、その群衆を見てねたましく思い、パウロの語ることに口ぎたなく反対した。 (J)

使徒の働き 13:46 パウロとバルナバとは大胆に語った、「神の言は、まず、あなたがたに語り伝えられなければならなかった。しかし、あなたがたはそれを退け、自分自身を永遠の命にふさわしからぬ者にしてしまったから、さあ、わたしたちはこれから方向をかえて、異邦人たちの方に行くのだ。 (J)

使徒の働き 13:47 主はわたしたちに、こう命じておられる、 『わたしは、あなたを立てて異邦人の光とした。 あなたが地の果までも救をもたらすためである』」。 (J)

使徒の働き 13:48 異邦人たちはこれを聞いてよろこび、主の御言をほめたたえてやまなかった。そして、永遠の命にあずかるように定められていた者は、みな信じた。 (J)

使徒の働き 13:49 こうして、主の御言はこの地方全体にひろまって行った。 (J)

使徒の働き 13:50 ところが、ユダヤ人たちは、信心深い貴婦人たちや町の有力者たちを煽動して、パウロとバルナバを迫害させ、ふたりをその地方から追い出させた。 (J)

使徒の働き 13:51 ふたりは、彼らに向けて足のちりを払い落して、イコニオムへ行った。 (J)

使徒の働き 13:52 弟子たちは、ますます喜びと聖霊とに満たされていた。 (J)

使徒の働き 14:1 ふたりは、イコニオムでも同じようにユダヤ人の会堂にはいって語った結果、ユダヤ人やギリシヤ人が大ぜい信じた。 (J)

使徒の働き 14:2 ところが、信じなかったユダヤ人たちは異邦人たちをそそのかして、兄弟たちに対して悪意をいだかせた。 (J)

使徒の働き 14:3 それにもかかわらず、ふたりは長い期間をそこで過ごして、大胆に主のことを語った。主は、彼らの手によってしるしと奇跡とを行わせ、そのめぐみの言葉をあかしされた。 (J)

使徒の働き 14:4 そこで町の人々が二派に分れ、ある人たちはユダヤ人の側につき、ある人たちは使徒の側についた。 (J)

使徒の働き 14:5 その時、異邦人やユダヤ人が役人たちと一緒になって反対運動を起し、使徒たちをはずかしめ、石で打とうとしたので、 (J)

使徒の働き 14:6 ふたりはそれと気づいて、ルカオニヤの町々、ルステラ、デルベおよびその附近の地へのがれ、 (J)

使徒の働き 14:7 そこで引きつづき福音を伝えた。 (J)

使徒の働き 14:8 ところが、ルステラに足のきかない人が、すわっていた。彼は生れながらの足なえで、歩いた経験が全くなかった。 (J)

使徒の働き 14:9 この人がパウロの語るのを聞いていたが、パウロは彼をじっと見て、いやされるほどの信仰が彼にあるのを認め、 (J)

使徒の働き 14:10 大声で「自分の足で、まっすぐに立ちなさい」と言った。すると彼は踊り上がって歩き出した。 (J)

使徒の働き 14:11 群衆はパウロのしたことを見て、声を張りあげ、ルカオニヤの地方語で、「神々が人間の姿をとって、わたしたちのところにお下りになったのだ」と叫んだ。 (J)

使徒の働き 14:12 彼らはバルナバをゼウスと呼び、パウロはおもに語る人なので、彼をヘルメスと呼んだ。 (J)

使徒の働き 14:13 そして、郊外にあるゼウス神殿の祭司が、群衆と共に、ふたりに犠牲をささげようと思って、雄牛数頭と花輪とを門前に持ってきた。 (J)

使徒の働き 14:14 ふたりの使徒バルナバとパウロとは、これを聞いて自分の上着を引き裂き、群衆の中に飛び込んで行き、叫んで (J)

使徒の働き 14:15 言った、「皆さん、なぜこんな事をするのか。わたしたちとても、あなたがたと同じような人間である。そして、あなたがたがこのような愚にもつかぬものを捨てて、天と地と海と、その中のすべてのものをお造りになった生ける神に立ち帰るようにと、福音を説いているものである。 (J)

使徒の働き 14:16 神は過ぎ去った時代には、すべての国々の人が、それぞれの道を行くままにしておかれたが、 (J)

使徒の働き 14:17 それでも、ご自分のことをあかししないでおられたわけではない。すなわち、あなたがたのために天から雨を降らせ、実りの季節を与え、食物と喜びとで、あなたがたの心を満たすなど、いろいろのめぐみをお与えになっているのである」。 (J)

使徒の働き 14:18 こう言って、ふたりは、やっとのことで、群衆が自分たちに犠牲をささげるのを、思い止まらせた。 (J)

使徒の働き 14:19 ところが、あるユダヤ人たちはアンテオケやイコニオムから押しかけてきて、群衆を仲間に引き入れたうえ、パウロを石で打ち、死んでしまったと思って、彼を町の外に引きずり出した。 (J)

使徒の働き 14:20 しかし、弟子たちがパウロを取り囲んでいる間に、彼は起きあがって町にはいって行った。そして翌日には、バルナバと一緒にデルベにむかって出かけた。 (J)

使徒の働き 14:21 その町で福音を伝えて、大ぜいの人を弟子とした後、ルステラ、イコニオム、アンテオケの町々に帰って行き、 (J)

使徒の働き 14:22 弟子たちを力づけ、信仰を持ちつづけるようにと奨励し、「わたしたちが神の国にはいるのには、多くの苦難を経なければならない」と語った。 (J)

使徒の働き 14:23 また教会ごとに彼らのために長老たちを任命し、断食をして祈り、彼らをその信じている主にゆだねた。 (J)

使徒の働き 14:24 それから、ふたりはピシデヤを通過してパンフリヤにきたが、 (J)

使徒の働き 14:25 ペルガで御言を語った後、アタリヤにくだり、 (J)

使徒の働き 14:26 そこから舟でアンテオケに帰った。彼らが今なし終った働きのために、神の祝福を受けて送り出されたのは、このアンテオケからであった。 (J)

使徒の働き 14:27 彼らは到着早々、教会の人々を呼び集めて、神が彼らと共にいてして下さった数々のこと、また信仰の門を異邦人に開いて下さったことなどを、報告した。 (J)

使徒の働き 14:28 そして、ふたりはしばらくの間、弟子たちと一緒に過ごした。 (J)

使徒の働き 15:1 さて、ある人たちがユダヤから下ってきて、兄弟たちに「あなたがたも、モーセの慣例にしたがって割礼を受けなければ、救われない」と、説いていた。 (J)

使徒の働き 15:2 そこで、パウロやバルナバと彼らとの間に、少なからぬ紛糾と争論とが生じたので、パウロ、バルナバそのほか数人の者がエルサレムに上り、使徒たちや長老たちと、この問題について協議することになった。 (J)

使徒の働き 15:3 彼らは教会の人々に見送られ、ピニケ、サマリヤをとおって、道すがら、異邦人たちの改宗の模様をくわしく説明し、すべての兄弟たちを大いに喜ばせた。 (J)

使徒の働き 15:4 エルサレムに着くと、彼らは教会と使徒たち、長老たちに迎えられて、神が彼らと共にいてなされたことを、ことごとく報告した。 (J)

使徒の働き 15:5 ところが、パリサイ派から信仰にはいってきた人たちが立って、「異邦人にも割礼を施し、またモーセの律法を守らせるべきである」と主張した。 (J)

使徒の働き 15:6 そこで、使徒たちや長老たちが、この問題について審議するために集まった。 (J)

使徒の働き 15:7 激しい争論があった後、ペテロが立って言った、「兄弟たちよ、ご承知のとおり、異邦人がわたしの口から福音の言葉を聞いて信じるようにと、神は初めのころに、諸君の中からわたしをお選びになったのである。 (J)

使徒の働き 15:8 そして、人の心をご存じである神は、聖霊をわれわれに賜わったと同様に彼らにも賜わって、彼らに対してあかしをなし、 (J)

使徒の働き 15:9 また、その信仰によって彼らの心をきよめ、われわれと彼らとの間に、なんの分けへだてもなさらなかった。 (J)

使徒の働き 15:10 しかるに、諸君はなぜ、今われわれの先祖もわれわれ自身も、負いきれなかったくびきをあの弟子たちの首にかけて、神を試みるのか。 (J)

使徒の働き 15:11 確かに、主イエスのめぐみによって、われわれは救われるのだと信じるが、彼らとても同様である」。 (J)

使徒の働き 15:12 すると、全会衆は黙ってしまった。それから、バルナバとパウロとが、彼らをとおして異邦人の間に神が行われた数々のしるしと奇跡のことを、説明するのを聞いた。 (J)

使徒の働き 15:13 ふたりが語り終えた後、ヤコブはそれに応じて述べた、「兄弟たちよ、わたしの意見を聞いていただきたい。 (J)

使徒の働き 15:14 神が初めに異邦人たちを顧みて、その中から御名を負う民を選び出された次第は、シメオンがすでに説明した。 (J)

使徒の働き 15:15 預言者たちの言葉も、それと一致している。すなわち、こう書いてある、 (J)

使徒の働き 15:16 『その後、わたしは帰ってきて、 倒れたダビデの幕屋を建てかえ、 くずれた箇所を修理し、 それを立て直そう。 (J)

使徒の働き 15:17 残っている人々も、 わたしの名を唱えているすべての異邦人も、 主を尋ね求めるようになるためである。 (J)

使徒の働き 15:18 世の初めからこれらの事を知らせておられる主が、こう仰せになった』。 (J)

使徒の働き 15:19 そこで、わたしの意見では、異邦人の中から神に帰依している人たちに、わずらいをかけてはいけない。 (J)

使徒の働き 15:20 ただ、偶像に供えて汚れた物と、不品行と、絞め殺したものと、血とを、避けるようにと、彼らに書き送ることにしたい。 (J)

使徒の働き 15:21 古い時代から、どの町にもモーセの律法を宣べ伝える者がいて、安息日ごとにそれを諸会堂で朗読するならわしであるから」。 (J)

使徒の働き 15:22 そこで、使徒たちや長老たちは、全教会と協議した末、お互の中から人々を選んで、パウロやバルナバと共に、アンテオケに派遣することに決めた。選ばれたのは、バルサバというユダとシラスとであったが、いずれも兄弟たちの間で重んじられていた人たちであった。 (J)

使徒の働き 15:23 この人たちに託された書面はこうである。 「あなたがたの兄弟である使徒および長老たちから、アンテオケ、シリヤ、キリキヤにいる異邦人の兄弟がたに、あいさつを送る。 (J)

使徒の働き 15:24 こちらから行ったある者たちが、わたしたちからの指示もないのに、いろいろなことを言って、あなたがたを騒がせ、あなたがたの心を乱したと伝え聞いた。 (J)

使徒の働き 15:25 そこで、わたしたちは人々を選んで、愛するバルナバおよびパウロと共に、あなたがたのもとに派遣することに、衆議一決した。 (J)

使徒の働き 15:26 このふたりは、われらの主イエス・キリストの名のために、その命を投げ出した人々であるが、 (J)

使徒の働き 15:27 彼らと共に、ユダとシラスとを派遣する次第である。この人たちは、あなたがたに、同じ趣旨のことを、口頭でも伝えるであろう。 (J)

使徒の働き 15:28 すなわち、聖霊とわたしたちとは、次の必要事項のほかは、どんな負担をも、あなたがたに負わせないことに決めた。 (J)

使徒の働き 15:29 それは、偶像に供えたものと、血と、絞め殺したものと、不品行とを、避けるということである。これらのものから遠ざかっておれば、それでよろしい。以上」。 (J)

使徒の働き 15:30 さて、一行は人々に見送られて、アンテオケに下って行き、会衆を集めて、その書面を手渡した。 (J)

使徒の働き 15:31 人々はそれを読んで、その勧めの言葉をよろこんだ。 (J)

使徒の働き 15:32 ユダとシラスとは共に預言者であったので、多くの言葉をもって兄弟たちを励まし、また力づけた。 (J)

使徒の働き 15:33 ふたりは、しばらくの時を、そこで過ごした後、兄弟たちから、旅の平安を祈られて、見送りを受け、自分らを派遣した人々のところに帰って行った。〔 (J)

使徒の働き 15:34 しかし、シラスだけは、引きつづきとどまることにした。〕 (J)

使徒の働き 15:35 パウロとバルナバとはアンテオケに滞在をつづけて、ほかの多くの人たちと共に、主の言葉を教えかつ宣べ伝えた。 (J)

使徒の働き 15:36 幾日かの後、パウロはバルナバに言った、「さあ、前に主の言葉を伝えたすべての町々にいる兄弟たちを、また訪問して、みんながどうしているかを見てこようではないか」。 (J)

使徒の働き 15:37 そこで、バルナバはマルコというヨハネも一緒に連れて行くつもりでいた。 (J)

使徒の働き 15:38 しかし、パウロは、前にパンフリヤで一行から離れて、働きを共にしなかったような者は、連れて行かないがよいと考えた。 (J)

使徒の働き 15:39 こうして激論が起り、その結果ふたりは互に別れ別れになり、バルナバはマルコを連れてクプロに渡って行き、 (J)

使徒の働き 15:40 パウロはシラスを選び、兄弟たちから主の恵みにゆだねられて、出発した。 (J)

使徒の働き 15:41 そしてパウロは、シリヤ、キリキヤの地方をとおって、諸教会を力づけた。 (J)

使徒の働き 16:1 それから、彼はデルベに行き、次にルステラに行った。そこにテモテという名の弟子がいた。信者のユダヤ婦人を母とし、ギリシヤ人を父としており、 (J)

使徒の働き 16:2 ルステラとイコニオムの兄弟たちの間で、評判のよい人物であった。 (J)

使徒の働き 16:3 パウロはこのテモテを連れて行きたかったので、その地方にいるユダヤ人の手前、まず彼に割礼を受けさせた。彼の父がギリシヤ人であることは、みんな知っていたからである。 (J)

使徒の働き 16:4 それから彼らは通る町々で、エルサレムの使徒たちや長老たちの取り決めた事項を守るようにと、人々にそれを渡した。 (J)

使徒の働き 16:5 こうして、諸教会はその信仰を強められ、日ごとに数を増していった。 (J)

使徒の働き 16:6 それから彼らは、アジヤで御言を語ることを聖霊に禁じられたので、フルギヤ・ガラテヤ地方をとおって行った。 (J)

使徒の働き 16:7 そして、ムシヤのあたりにきてから、ビテニヤに進んで行こうとしたところ、イエスの御霊がこれを許さなかった。 (J)

使徒の働き 16:8 それで、ムシヤを通過して、トロアスに下って行った。 (J)

使徒の働き 16:9 ここで夜、パウロは一つの幻を見た。ひとりのマケドニヤ人が立って、「マケドニヤに渡ってきて、わたしたちを助けて下さい」と、彼に懇願するのであった。 (J)

使徒の働き 16:10 パウロがこの幻を見た時、これは彼らに福音を伝えるために、神がわたしたちをお招きになったのだと確信して、わたしたちは、ただちにマケドニヤに渡って行くことにした。 (J)

使徒の働き 16:11 そこで、わたしたちはトロアスから船出して、サモトラケに直航し、翌日ネアポリスに着いた。 (J)

使徒の働き 16:12 そこからピリピへ行った。これはマケドニヤのこの地方第一の町で、植民都市であった。わたしたちは、この町に数日間滞在した。 (J)

使徒の働き 16:13 ある安息日に、わたしたちは町の門を出て、祈り場があると思って、川のほとりに行った。そして、そこにすわり、集まってきた婦人たちに話をした。 (J)

使徒の働き 16:14 ところが、テアテラ市の紫布の商人で、神を敬うルデヤという婦人が聞いていた。主は彼女の心を開いて、パウロの語ることに耳を傾けさせた。 (J)

使徒の働き 16:15 そして、この婦人もその家族も、共にバプテスマを受けたが、その時、彼女は「もし、わたしを主を信じる者とお思いでしたら、どうぞ、わたしの家にきて泊まって下さい」と懇望し、しいてわたしたちをつれて行った。 (J)

使徒の働き 16:16 ある時、わたしたちが、祈り場に行く途中、占いの霊につかれた女奴隷に出会った。彼女は占いをして、その主人たちに多くの利益を得させていた者である。 (J)

使徒の働き 16:17 この女が、パウロやわたしたちのあとを追ってきては、「この人たちは、いと高き神の僕たちで、あなたがたに救の道を伝えるかただ」と、叫び出すのであった。 (J)

使徒の働き 16:18 そして、そんなことを幾日間もつづけていた。パウロは困りはてて、その霊にむかい「イエス・キリストの名によって命じる。その女から出て行け」と言った。すると、その瞬間に霊が女から出て行った。 (J)

使徒の働き 16:19 彼女の主人たちは、自分らの利益を得る望みが絶えたのを見て、パウロとシラスとを捕え、役人に引き渡すため広場に引きずって行った。 (J)

使徒の働き 16:20 それから、ふたりを長官たちの前に引き出して訴えた、「この人たちはユダヤ人でありまして、わたしたちの町をかき乱し、 (J)

使徒の働き 16:21 わたしたちローマ人が、採用も実行もしてはならない風習を宣伝しているのです」。 (J)

使徒の働き 16:22 群衆もいっせいに立って、ふたりを責めたてたので、長官たちはふたりの上着をはぎ取り、むちで打つことを命じた。 (J)

使徒の働き 16:23 それで、ふたりに何度もむちを加えさせたのち、獄に入れ、獄吏にしっかり番をするようにと命じた。 (J)

使徒の働き 16:24 獄吏はこの厳命を受けたので、ふたりを奥の獄屋に入れ、その足に足かせをしっかとかけておいた。 (J)

使徒の働き 16:25 真夜中ごろ、パウロとシラスとは、神に祈り、さんびを歌いつづけたが、囚人たちは耳をすまして聞きいっていた。 (J)

使徒の働き 16:26 ところが突然、大地震が起って、獄の土台が揺れ動き、戸は全部たちまち開いて、みんなの者の鎖が解けてしまった。 (J)

使徒の働き 16:27 獄吏は目をさまし、獄の戸が開いてしまっているのを見て、囚人たちが逃げ出したものと思い、つるぎを抜いて自殺しかけた。 (J)

使徒の働き 16:28 そこでパウロは大声をあげて言った、「自害してはいけない。われわれは皆ひとり残らず、ここにいる」。 (J)

使徒の働き 16:29 すると、獄吏は、あかりを手に入れた上、獄に駆け込んできて、おののきながらパウロとシラスの前にひれ伏した。 (J)

使徒の働き 16:30 それから、ふたりを外に連れ出して言った、「先生がた、わたしは救われるために、何をすべきでしょうか」。 (J)

使徒の働き 16:31 ふたりが言った、「主イエスを信じなさい。そうしたら、あなたもあなたの家族も救われます」。 (J)

使徒の働き 16:32 それから、彼とその家族一同とに、神の言を語って聞かせた。 (J)

使徒の働き 16:33 彼は真夜中にもかかわらず、ふたりを引き取って、その打ち傷を洗ってやった。そして、その場で自分も家族も、ひとり残らずバプテスマを受け、 (J)

使徒の働き 16:34 さらに、ふたりを自分の家に案内して食事のもてなしをし、神を信じる者となったことを、全家族と共に心から喜んだ。 (J)

使徒の働き 16:35 夜が明けると、長官たちは警吏らをつかわして、「あの人たちを釈放せよ」と言わせた。 (J)

使徒の働き 16:36 そこで、獄吏はこの言葉をパウロに伝えて言った、「長官たちが、あなたがたを釈放させるようにと、使をよこしました。さあ、出てきて、無事にお帰りなさい」。 (J)

使徒の働き 16:37 ところが、パウロは警吏らに言った、「彼らは、ローマ人であるわれわれを、裁判にかけもせずに、公衆の前でむち打ったあげく、獄に入れてしまった。しかるに今になって、ひそかに、われわれを出そうとするのか。それは、いけない。彼ら自身がここにきて、われわれを連れ出すべきである」。 (J)

使徒の働き 16:38 警吏らはこの言葉を長官たちに報告した。すると長官たちは、ふたりがローマ人だと聞いて恐れ、 (J)

使徒の働き 16:39 自分でやってきてわびた上、ふたりを獄から連れ出し、町から立ち去るようにと頼んだ。 (J)

使徒の働き 16:40 ふたりは獄を出て、ルデヤの家に行った。そして、兄弟たちに会って勧めをなし、それから出かけた。 (J)

使徒の働き 17:1 一行は、アムピポリスとアポロニヤとをとおって、テサロニケに行った。ここにはユダヤ人の会堂があった。 (J)

使徒の働き 17:2 パウロは例によって、その会堂にはいって行って、三つの安息日にわたり、聖書に基いて彼らと論じ、 (J)

使徒の働き 17:3 キリストは必ず苦難を受け、そして死人の中からよみがえるべきこと、また「わたしがあなたがたに伝えているこのイエスこそは、キリストである」とのことを、説明もし論証もした。 (J)

使徒の働き 17:4 ある人たちは納得がいって、パウロとシラスにしたがった。その中には、信心深いギリシヤ人が多数あり、貴婦人たちも少なくなかった。 (J)

使徒の働き 17:5 ところが、ユダヤ人たちは、それをねたんで、町をぶらついているならず者らを集めて暴動を起し、町を騒がせた。それからヤソンの家を襲い、ふたりを民衆の前にひっぱり出そうと、しきりに捜した。 (J)

使徒の働き 17:6 しかし、ふたりが見つからないので、ヤソンと兄弟たち数人を、市の当局者のところに引きずって行き、叫んで言った、「天下をかき回してきたこの人たちが、ここにもはいり込んでいます。 (J)

使徒の働き 17:7 その人たちをヤソンが自分の家に迎え入れました。この連中は、みなカイザルの詔勅にそむいて行動し、イエスという別の王がいるなどと言っています」。 (J)

使徒の働き 17:8 これを聞いて、群衆と市の当局者は不安に感じた。 (J)

使徒の働き 17:9 そして、ヤソンやほかの者たちから、保証金を取った上、彼らを釈放した。 (J)

使徒の働き 17:10 そこで、兄弟たちはただちに、パウロとシラスとを、夜の間にベレヤへ送り出した。ふたりはベレヤに到着すると、ユダヤ人の会堂に行った。 (J)

使徒の働き 17:11 ここにいるユダヤ人はテサロニケの者たちよりも素直であって、心から教を受けいれ、果してそのとおりかどうかを知ろうとして、日々聖書を調べていた。 (J)

使徒の働き 17:12 そういうわけで、彼らのうちの多くの者が信者になった。また、ギリシヤの貴婦人や男子で信じた者も、少なくなかった。 (J)

使徒の働き 17:13 テサロニケのユダヤ人たちは、パウロがベレヤでも神の言を伝えていることを知り、そこにも押しかけてきて、群衆を煽動して騒がせた。 (J)

使徒の働き 17:14 そこで、兄弟たちは、ただちにパウロを送り出して、海べまで行かせ、シラスとテモテとはベレヤに居残った。 (J)

使徒の働き 17:15 パウロを案内した人たちは、彼をアテネまで連れて行き、テモテとシラスとになるべく早く来るようにとのパウロの伝言を受けて、帰った。 (J)

使徒の働き 17:16 さて、パウロはアテネで彼らを待っている間に、市内に偶像がおびただしくあるのを見て、心に憤りを感じた。 (J)

使徒の働き 17:17 そこで彼は、会堂ではユダヤ人や信心深い人たちと論じ、広場では毎日そこで出会う人々を相手に論じた。 (J)

使徒の働き 17:18 また、エピクロス派やストア派の哲学者数人も、パウロと議論を戦わせていたが、その中のある者たちが言った、「このおしゃべりは、いったい、何を言おうとしているのか」。また、ほかの者たちは、「あれは、異国の神々を伝えようとしているらしい」と言った。パウロが、イエスと復活とを、宣べ伝えていたからであった。 (J)

使徒の働き 17:19 そこで、彼らはパウロをアレオパゴスの評議所に連れて行って、「君の語っている新しい教がどんなものか、知らせてもらえまいか。 (J)

使徒の働き 17:20 君がなんだか珍らしいことをわれわれに聞かせているので、それがなんの事なのか知りたいと思うのだ」と言った。 (J)

使徒の働き 17:21 いったい、アテネ人もそこに滞在している外国人もみな、何か耳新しいことを話したり聞いたりすることのみに、時を過ごしていたのである。 (J)

使徒の働き 17:22 そこでパウロは、アレオパゴスの評議所のまん中に立って言った。 「アテネの人たちよ、あなたがたは、あらゆる点において、すこぶる宗教心に富んでおられると、わたしは見ている。 (J)

使徒の働き 17:23 実は、わたしが道を通りながら、あなたがたの拝むいろいろなものを、よく見ているうちに、『知られない神に』と刻まれた祭壇もあるのに気がついた。そこで、あなたがたが知らずに拝んでいるものを、いま知らせてあげよう。 (J)

使徒の働き 17:24 この世界と、その中にある万物とを造った神は、天地の主であるのだから、手で造った宮などにはお住みにならない。 (J)

使徒の働き 17:25 また、何か不足でもしておるかのように、人の手によって仕えられる必要もない。神は、すべての人々に命と息と万物とを与え、 (J)

使徒の働き 17:26 また、ひとりの人から、あらゆる民族を造り出して、地の全面に住まわせ、それぞれに時代を区分し、国土の境界を定めて下さったのである。 (J)

使徒の働き 17:27 こうして、人々が熱心に追い求めて捜しさえすれば、神を見いだせるようにして下さった。事実、神はわれわれひとりびとりから遠く離れておいでになるのではない。 (J)

使徒の働き 17:28 われわれは神のうちに生き、動き、存在しているからである。あなたがたのある詩人たちも言ったように、 『われわれも、確かにその子孫である』。 (J)

使徒の働き 17:29 このように、われわれは神の子孫なのであるから、神たる者を、人間の技巧や空想で金や銀や石などに彫り付けたものと同じと、見なすべきではない。 (J)

使徒の働き 17:30 神は、このような無知の時代を、これまでは見過ごしにされていたが、今はどこにおる人でも、みな悔い改めなければならないことを命じておられる。 (J)

使徒の働き 17:31 神は、義をもってこの世界をさばくためその日を定め、お選びになったかたによってそれをなし遂げようとされている。すなわち、このかたを死人の中からよみがえらせ、その確証をすべての人に示されたのである」。 (J)

使徒の働き 17:32 死人のよみがえりのことを聞くと、ある者たちはあざ笑い、またある者たちは、「この事については、いずれまた聞くことにする」と言った。 (J)

使徒の働き 17:33 こうして、パウロは彼らの中から出て行った。 (J)

使徒の働き 17:34 しかし、彼にしたがって信じた者も、幾人かあった。その中には、アレオパゴスの裁判人デオヌシオとダマリスという女、また、その他の人々もいた。 (J)

使徒の働き 18:1 その後、パウロはアテネを去ってコリントへ行った。 (J)

使徒の働き 18:2 そこで、アクラというポント生れのユダヤ人と、その妻プリスキラとに出会った。クラウデオ帝が、すべてのユダヤ人をローマから退去させるようにと、命令したため、彼らは近ごろイタリヤから出てきたのである。 (J)

使徒の働き 18:3 パウロは彼らのところに行ったが、互に同業であったので、その家に住み込んで、一緒に仕事をした。天幕造りがその職業であった。 (J)

使徒の働き 18:4 パウロは安息日ごとに会堂で論じては、ユダヤ人やギリシヤ人の説得に努めた。 (J)

使徒の働き 18:5 シラスとテモテが、マケドニヤから下ってきてからは、パウロは御言を伝えることに専念し、イエスがキリストであることを、ユダヤ人たちに力強くあかしした。 (J)

使徒の働き 18:6 しかし、彼らがこれに反抗してののしり続けたので、パウロは自分の上着を振りはらって、彼らに言った、「あなたがたの血は、あなたがた自身にかえれ。わたしには責任がない。今からわたしは異邦人の方に行く」。 (J)

使徒の働き 18:7 こう言って、彼はそこを去り、テテオ・ユストという神を敬う人の家に行った。その家は会堂と隣り合っていた。 (J)

使徒の働き 18:8 会堂司クリスポは、その家族一同と共に主を信じた。また多くのコリント人も、パウロの話を聞いて信じ、ぞくぞくとバプテスマを受けた。 (J)

使徒の働き 18:9 すると、ある夜、幻のうちに主がパウロに言われた、「恐れるな。語りつづけよ、黙っているな。 (J)

使徒の働き 18:10 あなたには、わたしがついている。だれもあなたを襲って、危害を加えるようなことはない。この町には、わたしの民が大ぜいいる」。 (J)

使徒の働き 18:11 パウロは一年六か月の間ここに腰をすえて、神の言を彼らの間に教えつづけた。 (J)

使徒の働き 18:12 ところが、ガリオがアカヤの総督であった時、ユダヤ人たちは一緒になってパウロを襲い、彼を法廷にひっぱって行って訴えた、 (J)

使徒の働き 18:13 「この人は、律法にそむいて神を拝むように、人々をそそのかしています」。 (J)

使徒の働き 18:14 パウロが口を開こうとすると、ガリオはユダヤ人たちに言った、「ユダヤ人諸君、何か不法行為とか、悪質の犯罪とかのことなら、わたしは当然、諸君の訴えを取り上げもしようが、 (J)

使徒の働き 18:15 これは諸君の言葉や名称や律法に関する問題なのだから、諸君みずから始末するがよかろう。わたしはそんな事の裁判人にはなりたくない」。 (J)

使徒の働き 18:16 こう言って、彼らを法廷から追いはらった。 (J)

使徒の働き 18:17 そこで、みんなの者は、会堂司ソステネを引き捕え、法廷の前で打ちたたいた。ガリオはそれに対して、そ知らぬ顔をしていた。 (J)

使徒の働き 18:18 さてパウロは、なお幾日ものあいだ滞在した後、兄弟たちに別れを告げて、シリヤへ向け出帆した。プリスキラとアクラも同行した。パウロは、かねてから、ある誓願を立てていたので、ケンクレヤで頭をそった。 (J)

使徒の働き 18:19 一行がエペソに着くと、パウロはふたりをそこに残しておき、自分だけ会堂にはいって、ユダヤ人たちと論じた。 (J)

使徒の働き 18:20 人々は、パウロにもっと長いあいだ滞在するように願ったが、彼は聞きいれないで、 (J)

使徒の働き 18:21 「神のみこころなら、またあなたがたのところに帰ってこよう」と言って、別れを告げ、エペソから船出した。 (J)

使徒の働き 18:22 それから、カイザリヤで上陸してエルサレムに上り、教会にあいさつしてから、アンテオケに下って行った。 (J)

使徒の働き 18:23 そこにしばらくいてから、彼はまた出かけ、ガラテヤおよびフルギヤの地方を歴訪して、すべての弟子たちを力づけた。 (J)

使徒の働き 18:24 さて、アレキサンデリヤ生れで、聖書に精通し、しかも、雄弁なアポロというユダヤ人が、エペソにきた。 (J)

使徒の働き 18:25 この人は主の道に通じており、また、霊に燃えてイエスのことを詳しく語ったり教えたりしていたが、ただヨハネのバプテスマしか知っていなかった。 (J)

使徒の働き 18:26 彼は会堂で大胆に語り始めた。それをプリスキラとアクラとが聞いて、彼を招きいれ、さらに詳しく神の道を解き聞かせた。 (J)

使徒の働き 18:27 それから、アポロがアカヤに渡りたいと思っていたので、兄弟たちは彼を励まし、先方の弟子たちに、彼をよく迎えるようにと、手紙を書き送った。彼は到着して、すでにめぐみによって信者になっていた人たちに、大いに力になった。 (J)

使徒の働き 18:28 彼はイエスがキリストであることを、聖書に基いて示し、公然と、ユダヤ人たちを激しい語調で論破したからである。 (J)

使徒の働き 19:1 アポロがコリントにいた時、パウロは奥地をとおってエペソにきた。そして、ある弟子たちに出会って、 (J)

使徒の働き 19:2 彼らに「あなたがたは、信仰にはいった時に、聖霊を受けたのか」と尋ねたところ、「いいえ、聖霊なるものがあることさえ、聞いたことがありません」と答えた。 (J)

使徒の働き 19:3 「では、だれの名によってバプテスマを受けたのか」と彼がきくと、彼らは「ヨハネの名によるバプテスマを受けました」と答えた。 (J)

使徒の働き 19:4 そこで、パウロが言った、「ヨハネは悔改めのバプテスマを授けたが、それによって、自分のあとに来るかた、すなわち、イエスを信じるように、人々に勧めたのである」。 (J)

使徒の働き 19:5 人々はこれを聞いて、主イエスの名によるバプテスマを受けた。 (J)

使徒の働き 19:6 そして、パウロが彼らの上に手をおくと、聖霊が彼らにくだり、それから彼らは異言を語ったり、預言をしたりし出した。 (J)

使徒の働き 19:7 その人たちはみんなで十二人ほどであった。 (J)

使徒の働き 19:8 それから、パウロは会堂にはいって、三か月のあいだ、大胆に神の国について論じ、また勧めをした。 (J)

使徒の働き 19:9 ところが、ある人たちは心をかたくなにして、信じようとせず、会衆の前でこの道をあしざまに言ったので、彼は弟子たちを引き連れて、その人たちから離れ、ツラノの講堂で毎日論じた。 (J)

使徒の働き 19:10 それが二年間も続いたので、アジヤに住んでいる者は、ユダヤ人もギリシヤ人も皆、主の言を聞いた。 (J)

使徒の働き 19:11 神は、パウロの手によって、異常な力あるわざを次々になされた。 (J)

使徒の働き 19:12 たとえば、人々が、彼の身につけている手ぬぐいや前掛けを取って病人にあてると、その病気が除かれ、悪霊が出て行くのであった。 (J)

使徒の働き 19:13 そこで、ユダヤ人のまじない師で、遍歴している者たちが、悪霊につかれている者にむかって、主イエスの名をとなえ、「パウロの宣べ伝えているイエスによって命じる。出て行け」と、ためしに言ってみた。 (J)

使徒の働き 19:14 ユダヤの祭司長スケワという者の七人のむすこたちも、そんなことをしていた。 (J)

使徒の働き 19:15 すると悪霊がこれに対して言った、「イエスなら自分は知っている。パウロもわかっている。だが、おまえたちは、いったい何者だ」。 (J)

使徒の働き 19:16 そして、悪霊につかれている人が、彼らに飛びかかり、みんなを押えつけて負かしたので、彼らは傷を負ったまま裸になって、その家を逃げ出した。 (J)

使徒の働き 19:17 このことがエペソに住むすべてのユダヤ人やギリシヤ人に知れわたって、みんな恐怖に襲われ、そして、主イエスの名があがめられた。 (J)

使徒の働き 19:18 また信者になった者が大ぜいきて、自分の行為を打ちあけて告白した。 (J)

使徒の働き 19:19 それから、魔術を行っていた多くの者が、魔術の本を持ち出してきては、みんなの前で焼き捨てた。その値段を総計したところ、銀五万にも上ることがわかった。 (J)

使徒の働き 19:20 このようにして、主の言はますます盛んにひろまり、また力を増し加えていった。 (J)

使徒の働き 19:21 これらの事があった後、パウロは御霊に感じて、マケドニヤ、アカヤをとおって、エルサレムへ行く決心をした。そして言った、「わたしは、そこに行ったのち、ぜひローマをも見なければならない」。 (J)

使徒の働き 19:22 そこで、自分に仕えている者の中から、テモテとエラストとのふたりを、まずマケドニヤに送り出し、パウロ自身は、なおしばらくアジヤにとどまった。 (J)

使徒の働き 19:23 そのころ、この道について容易ならぬ騒動が起った。 (J)

使徒の働き 19:24 そのいきさつは、こうである。デメテリオという銀細工人が、銀でアルテミス神殿の模型を造って、職人たちに少なからぬ利益を得させていた。 (J)

使徒の働き 19:25 この男がその職人たちや、同類の仕事をしていた者たちを集めて言った、「諸君、われわれがこの仕事で、金もうけをしていることは、ご承知のとおりだ。 (J)

使徒の働き 19:26 しかるに、諸君の見聞きしているように、あのパウロが、手で造られたものは神様ではないなどと言って、エペソばかりか、ほとんどアジヤ全体にわたって、大ぜいの人々を説きつけて誤らせた。 (J)

使徒の働き 19:27 これでは、お互の仕事に悪評が立つおそれがあるばかりか、大女神アルテミスの宮も軽んじられ、ひいては全アジヤ、いや全世界が拝んでいるこの大女神のご威光さえも、消えてしまいそうである」。 (J)

使徒の働き 19:28 これを聞くと、人々は怒りに燃え、大声で「大いなるかな、エペソ人のアルテミス」と叫びつづけた。 (J)

使徒の働き 19:29 そして、町中が大混乱に陥り、人々はパウロの道連れであるマケドニヤ人ガイオとアリスタルコとを捕えて、いっせいに劇場へなだれ込んだ。 (J)

使徒の働き 19:30 パウロは群衆の中にはいって行こうとしたが、弟子たちがそれをさせなかった。 (J)

使徒の働き 19:31 アジヤ州の議員で、パウロの友人であった人たちも、彼に使をよこして、劇場にはいって行かないようにと、しきりに頼んだ。 (J)

使徒の働き 19:32 中では、集会が混乱に陥ってしまって、ある者はこのことを、ほかの者はあのことを、どなりつづけていたので、大多数の者は、なんのために集まったのかも、わからないでいた。 (J)

使徒の働き 19:33 そこで、ユダヤ人たちが、前に押し出したアレキサンデルなる者を、群衆の中のある人たちが促したため、彼は手を振って、人々に弁明を試みようとした。 (J)

使徒の働き 19:34 ところが、彼がユダヤ人だとわかると、みんなの者がいっせいに「大いなるかな、エペソ人のアルテミス」と二時間ばかりも叫びつづけた。 (J)

使徒の働き 19:35 ついに、市の書記役が群衆を押し静めて言った、「エペソの諸君、エペソ市が大女神アルテミスと、天くだったご神体との守護役であることを知らない者が、ひとりでもいるだろうか。 (J)

使徒の働き 19:36 これは否定のできない事実であるから、諸君はよろしく静かにしているべきで、乱暴な行動は、いっさいしてはならない。 (J)

使徒の働き 19:37 諸君はこの人たちをここにひっぱってきたが、彼らは宮を荒す者でも、われわれの女神をそしる者でもない。 (J)

使徒の働き 19:38 だから、もしデメテリオなりその職人仲間なりが、だれかに対して訴え事があるなら、裁判の日はあるし、総督もいるのだから、それぞれ訴え出るがよい。 (J)

使徒の働き 19:39 しかし、何かもっと要求したい事があれば、それは正式の議会で解決してもらうべきだ。 (J)

使徒の働き 19:40 きょうの事件については、この騒ぎを弁護できるような理由が全くないのだから、われわれは治安をみだす罪に問われるおそれがある」。 (J)

使徒の働き 19:41 こう言って、彼はこの集会を解散させた。 (J)

使徒の働き 20:1 騒ぎがやんだ後、パウロは弟子たちを呼び集めて激励を与えた上、別れのあいさつを述べ、マケドニヤへ向かって出発した。 (J)

使徒の働き 20:2 そして、その地方をとおり、多くの言葉で人々を励ましたのち、ギリシヤにきた。 (J)

使徒の働き 20:3 彼はそこで三か月を過ごした。それからシリヤへ向かって、船出しようとしていた矢先、彼に対するユダヤ人の陰謀が起ったので、マケドニヤを経由して帰ることに決した。 (J)

使徒の働き 20:4 プロの子であるエペソ人ソパテロ、テサロニケ人アリスタルコとセクンド、デルベ人ガイオ、それからテモテ、またアジヤ人テキコとトロピモがパウロの同行者であった。 (J)

使徒の働き 20:5 この人たちは先発して、トロアスでわたしたちを待っていた。 (J)

使徒の働き 20:6 わたしたちは、除酵祭が終ったのちに、ピリピから出帆し、五日かかってトロアスに到着して、彼らと落ち合い、そこに七日間滞在した。 (J)

使徒の働き 20:7 週の初めの日に、わたしたちがパンをさくために集まった時、パウロは翌日出発することにしていたので、しきりに人々と語り合い、夜中まで語りつづけた。 (J)

使徒の働き 20:8 わたしたちが集まっていた屋上の間には、あかりがたくさんともしてあった。 (J)

使徒の働き 20:9 ユテコという若者が窓に腰をかけていたところ、パウロの話がながながと続くので、ひどく眠けがさしてきて、とうとうぐっすり寝入ってしまい、三階から下に落ちた。抱き起してみたら、もう死んでいた。 (J)

使徒の働き 20:10 そこでパウロは降りてきて、若者の上に身をかがめ、彼を抱きあげて、「騒ぐことはない。まだ命がある」と言った。 (J)

使徒の働き 20:11 そして、また上がって行って、パンをさいて食べてから、明けがたまで長いあいだ人々と語り合って、ついに出発した。 (J)

使徒の働き 20:12 人々は生きかえった若者を連れかえり、ひとかたならず慰められた。 (J)

使徒の働き 20:13 さて、わたしたちは先に舟に乗り込み、アソスへ向かって出帆した。そこからパウロを舟に乗せて行くことにしていた。彼だけは陸路をとることに決めていたからである。 (J)

使徒の働き 20:14 パウロがアソスで、わたしたちと落ち合った時、わたしたちは彼を舟に乗せてミテレネに行った。 (J)

使徒の働き 20:15 そこから出帆して、翌日キヨスの沖合にいたり、次の日にサモスに寄り、その翌日ミレトに着いた。 (J)

使徒の働き 20:16 それは、パウロがアジヤで時間をとられないため、エペソには寄らないで続航することに決めていたからである。彼は、できればペンテコステの日には、エルサレムに着いていたかったので、旅を急いだわけである。 (J)

使徒の働き 20:17 そこでパウロは、ミレトからエペソに使をやって、教会の長老たちを呼び寄せた。 (J)

使徒の働き 20:18 そして、彼のところに寄り集まってきた時、彼らに言った。 「わたしが、アジヤの地に足を踏み入れた最初の日以来、いつもあなたがたとどんなふうに過ごしてきたか、よくご存じである。 (J)

使徒の働き 20:19 すなわち、謙遜の限りをつくし、涙を流し、ユダヤ人の陰謀によってわたしの身に及んだ数々の試練の中にあって、主に仕えてきた。 (J)

使徒の働き 20:20 また、あなたがたの益になることは、公衆の前でも、また家々でも、すべてあますところなく話して聞かせ、また教え、 (J)

使徒の働き 20:21 ユダヤ人にもギリシヤ人にも、神に対する悔改めと、わたしたちの主イエスに対する信仰とを、強く勧めてきたのである。 (J)

使徒の働き 20:22 今や、わたしは御霊に迫られてエルサレムへ行く。あの都で、どんな事がわたしの身にふりかかって来るか、わたしにはわからない。 (J)

使徒の働き 20:23 ただ、聖霊が至るところの町々で、わたしにはっきり告げているのは、投獄と患難とが、わたしを待ちうけているということだ。 (J)

使徒の働き 20:24 しかし、わたしは自分の行程を走り終え、主イエスから賜わった、神のめぐみの福音をあかしする任務を果し得さえしたら、このいのちは自分にとって、少しも惜しいとは思わない。 (J)

使徒の働き 20:25 わたしはいま信じている、あなたがたの間を歩き回って御国を宣べ伝えたこのわたしの顔を、みんなが今後二度と見ることはあるまい。 (J)

使徒の働き 20:26 だから、きょう、この日にあなたがたに断言しておく。わたしは、すべての人の血について、なんら責任がない。 (J)

使徒の働き 20:27 神のみ旨を皆あますところなく、あなたがたに伝えておいたからである。 (J)

使徒の働き 20:28 どうか、あなたがた自身に気をつけ、また、すべての群れに気をくばっていただきたい。聖霊は、神が御子の血であがない取られた神の教会を牧させるために、あなたがたをその群れの監督者にお立てになったのである。 (J)

使徒の働き 20:29 わたしが去った後、狂暴なおおかみが、あなたがたの中にはいり込んできて、容赦なく群れを荒すようになることを、わたしは知っている。 (J)

使徒の働き 20:30 また、あなたがた自身の中からも、いろいろ曲ったことを言って、弟子たちを自分の方に、ひっぱり込もうとする者らが起るであろう。 (J)

使徒の働き 20:31 だから、目をさましていなさい。そして、わたしが三年の間、夜も昼も涙をもって、あなたがたひとりびとりを絶えずさとしてきたことを、忘れないでほしい。 (J)

使徒の働き 20:32 今わたしは、主とその恵みの言とに、あなたがたをゆだねる。御言には、あなたがたの徳をたて、聖別されたすべての人々と共に、御国をつがせる力がある。 (J)

使徒の働き 20:33 わたしは、人の金や銀や衣服をほしがったことはない。 (J)

使徒の働き 20:34 あなたがた自身が知っているとおり、わたしのこの両手は、自分の生活のためにも、また一緒にいた人たちのためにも、働いてきたのだ。 (J)

使徒の働き 20:35 わたしは、あなたがたもこのように働いて、弱い者を助けなければならないこと、また『受けるよりは与える方が、さいわいである』と言われた主イエスの言葉を記憶しているべきことを、万事について教え示したのである」。 (J)

使徒の働き 20:36 こう言って、パウロは一同と共にひざまずいて祈った。 (J)

使徒の働き 20:37 みんなの者は、はげしく泣き悲しみ、パウロの首を抱いて、幾度も接吻し、 (J)

使徒の働き 20:38 もう二度と自分の顔を見ることはあるまいと彼が言ったので、特に心を痛めた。それから彼を舟まで見送った。 (J)

使徒の働き 21:1 さて、わたしたちは人々と別れて船出してから、コスに直航し、次の日はロドスに、そこからパタラに着いた。 (J)

使徒の働き 21:2 ここでピニケ行きの舟を見つけたので、それに乗り込んで出帆した。 (J)

使徒の働き 21:3 やがてクプロが見えてきたが、それを左手にして通りすぎ、シリヤへ航行をつづけ、ツロに入港した。ここで積荷が陸上げされることになっていたからである。 (J)

使徒の働き 21:4 わたしたちは、弟子たちを捜し出して、そこに七日間泊まった。ところが彼らは、御霊の示しを受けて、エルサレムには上って行かないようにと、しきりにパウロに注意した。 (J)

使徒の働き 21:5 しかし、滞在期間が終った時、わたしたちはまた旅立つことにしたので、みんなの者は、妻や子供を引き連れて、町はずれまで、わたしたちを見送りにきてくれた。そこで、共に海岸にひざまずいて祈り、 (J)

使徒の働き 21:6 互に別れを告げた。それから、わたしたちは舟に乗り込み、彼らはそれぞれ自分の家に帰った。 (J)

使徒の働き 21:7 わたしたちは、ツロからの航行を終ってトレマイに着き、そこの兄弟たちにあいさつをし、彼らのところに一日滞在した。 (J)

使徒の働き 21:8 翌日そこをたって、カイザリヤに着き、かの七人のひとりである伝道者ピリポの家に行き、そこに泊まった。 (J)

使徒の働き 21:9 この人に四人の娘があったが、いずれも処女であって、預言をしていた。 (J)

使徒の働き 21:10 幾日か滞在している間に、アガボという預言者がユダヤから下ってきた。 (J)

使徒の働き 21:11 そして、わたしたちのところにきて、パウロの帯を取り、それで自分の手足を縛って言った、「聖霊がこうお告げになっている、『この帯の持ち主を、ユダヤ人たちがエルサレムでこのように縛って、異邦人の手に渡すであろう』」。 (J)

使徒の働き 21:12 わたしたちはこれを聞いて、土地の人たちと一緒になって、エルサレムには上って行かないようにと、パウロに願い続けた。 (J)

使徒の働き 21:13 その時パウロは答えた、「あなたがたは、泣いたり、わたしの心をくじいたりして、いったい、どうしようとするのか。わたしは、主イエスの名のためなら、エルサレムで縛られるだけでなく、死ぬことをも覚悟しているのだ」。 (J)

使徒の働き 21:14 こうして、パウロが勧告を聞きいれてくれないので、わたしたちは「主のみこころが行われますように」と言っただけで、それ以上、何も言わなかった。 (J)

使徒の働き 21:15 数日後、わたしたちは旅装を整えてエルサレムへ上って行った。 (J)

使徒の働き 21:16 カイザリヤの弟子たちも数人、わたしたちと同行して、古くからの弟子であるクプロ人マナソンの家に案内してくれた。わたしたちはその家に泊まることになっていたのである。 (J)

使徒の働き 21:17 わたしたちがエルサレムに到着すると、兄弟たちは喜んで迎えてくれた。 (J)

使徒の働き 21:18 翌日パウロはわたしたちを連れて、ヤコブを訪問しに行った。そこに長老たちがみな集まっていた。 (J)

使徒の働き 21:19 パウロは彼らにあいさつをした後、神が自分の働きをとおして、異邦人の間になさった事どもを一々説明した。 (J)

使徒の働き 21:20 一同はこれを聞いて神をほめたたえ、そして彼に言った、「兄弟よ、ご承知のように、ユダヤ人の中で信者になった者が、数万にものぼっているが、みんな律法に熱心な人たちである。 (J)

使徒の働き 21:21 ところが、彼らが伝え聞いているところによれば、あなたは異邦人の中にいるユダヤ人一同に対して、子供に割礼を施すな、またユダヤの慣例にしたがうなと言って、モーセにそむくことを教えている、ということである。 (J)

使徒の働き 21:22 どうしたらよいか。あなたがここにきていることは、彼らもきっと聞き込むに違いない。 (J)

使徒の働き 21:23 ついては、今わたしたちが言うとおりのことをしなさい。わたしたちの中に、誓願を立てている者が四人いる。 (J)

使徒の働き 21:24 この人たちを連れて行って、彼らと共にきよめを行い、また彼らの頭をそる費用を引き受けてやりなさい。そうすれば、あなたについて、うわさされていることは、根も葉もないことで、あなたは律法を守って、正しい生活をしていることが、みんなにわかるであろう。 (J)

使徒の働き 21:25 異邦人で信者になった人たちには、すでに手紙で、偶像に供えたものと、血と、絞め殺したものと、不品行とを、慎むようにとの決議が、わたしたちから知らせてある」。 (J)

使徒の働き 21:26 そこでパウロは、その次の日に四人の者を連れて、彼らと共にきよめを受けてから宮にはいった。そしてきよめの期間が終って、ひとりびとりのために供え物をささげる時を報告しておいた。 (J)

使徒の働き 21:27 七日の期間が終ろうとしていた時、アジヤからきたユダヤ人たちが、宮の内でパウロを見かけて、群衆全体を煽動しはじめ、パウロに手をかけて叫び立てた、 (J)

使徒の働き 21:28 「イスラエルの人々よ、加勢にきてくれ。この人は、いたるところで民と律法とこの場所にそむくことを、みんなに教えている。その上に、ギリシヤ人を宮の内に連れ込んで、この神聖な場所を汚したのだ」。 (J)

使徒の働き 21:29 彼らは、前にエペソ人トロピモが、パウロと一緒に町を歩いていたのを見かけて、その人をパウロが宮の内に連れ込んだのだと思ったのである。 (J)

使徒の働き 21:30 そこで、市全体が騒ぎ出し、民衆が駆け集まってきて、パウロを捕え、宮の外に引きずり出した。そして、すぐそのあとに宮の門が閉ざされた。 (J)

使徒の働き 21:31 彼らがパウロを殺そうとしていた時に、エルサレム全体が混乱状態に陥っているとの情報が、守備隊の千卒長にとどいた。 (J)

使徒の働き 21:32 そこで、彼はさっそく、兵卒や百卒長たちを率いて、その場に駆けつけた。人々は千卒長や兵卒たちを見て、パウロを打ちたたくのをやめた。 (J)

使徒の働き 21:33 千卒長は近寄ってきてパウロを捕え、彼を二重の鎖で縛っておくように命じた上、パウロは何者か、また何をしたのか、と尋ねた。 (J)

使徒の働き 21:34 しかし、群衆がそれぞれ違ったことを叫びつづけるため、騒がしくて、確かなことがわからないので、彼はパウロを兵営に連れて行くように命じた。 (J)

使徒の働き 21:35 パウロが階段にさしかかった時には、群衆の暴行を避けるため、兵卒たちにかつがれて行くという始末であった。 (J)

使徒の働き 21:36 大ぜいの民衆が「あれをやっつけてしまえ」と叫びながら、ついてきたからである。 (J)

使徒の働き 21:37 パウロが兵営の中に連れて行かれようとした時、千卒長に、「ひと言あなたにお話してもよろしいですか」と尋ねると、千卒長が言った、「おまえはギリシヤ語が話せるのか。 (J)

使徒の働き 21:38 では、もしかおまえは、先ごろ反乱を起した後、四千人の刺客を引き連れて荒野へ逃げて行ったあのエジプト人ではないのか」。 (J)

使徒の働き 21:39 パウロは答えた、「わたしはタルソ生れのユダヤ人で、キリキヤのれっきとした都市の市民です。お願いですが、民衆に話をさせて下さい」。 (J)

使徒の働き 21:40 千卒長が許してくれたので、パウロは階段の上に立ち、民衆にむかって手を振った。すると、一同がすっかり静粛になったので、パウロはヘブル語で話し出した。 (J)

使徒の働き 22:1 「兄弟たち、父たちよ、いま申し上げるわたしの弁明を聞いていただきたい」。 (J)

使徒の働き 22:2 パウロが、ヘブル語でこう語りかけるのを聞いて、人々はますます静粛になった。 (J)

使徒の働き 22:3 そこで彼は言葉をついで言った、「わたしはキリキヤのタルソで生れたユダヤ人であるが、この都で育てられ、ガマリエルのひざもとで先祖伝来の律法について、きびしい薫陶を受け、今日の皆さんと同じく神に対して熱心な者であった。 (J)

使徒の働き 22:4 そして、この道を迫害し、男であれ女であれ、縛りあげて獄に投じ、彼らを死に至らせた。 (J)

使徒の働き 22:5 このことは、大祭司も長老たち一同も、証明するところである。さらにわたしは、この人たちからダマスコの同志たちへあてた手紙をもらって、その地にいる者たちを縛りあげ、エルサレムにひっぱってきて、処罰するため、出かけて行った。 (J)

使徒の働き 22:6 旅をつづけてダマスコの近くにきた時に、真昼ごろ、突然、つよい光が天からわたしをめぐり照した。 (J)

使徒の働き 22:7 わたしは地に倒れた。そして、『サウロ、サウロ、なぜわたしを迫害するのか』と、呼びかける声を聞いた。 (J)

使徒の働き 22:8 これに対してわたしは、『主よ、あなたはどなたですか』と言った。すると、その声が、『わたしは、あなたが迫害しているナザレ人イエスである』と答えた。 (J)

使徒の働き 22:9 わたしと一緒にいた者たちは、その光は見たが、わたしに語りかけたかたの声は聞かなかった。 (J)

使徒の働き 22:10 わたしが『主よ、わたしは何をしたらよいでしょうか』と尋ねたところ、主は言われた、『起きあがってダマスコに行きなさい。そうすれば、あなたがするように決めてある事が、すべてそこで告げられるであろう』。 (J)

使徒の働き 22:11 わたしは、光の輝きで目がくらみ、何も見えなくなっていたので、連れの者たちに手を引かれながら、ダマスコに行った。 (J)

使徒の働き 22:12 すると、律法に忠実で、ダマスコ在住のユダヤ人全体に評判のよいアナニヤという人が、 (J)

使徒の働き 22:13 わたしのところにきて、そばに立ち、『兄弟サウロよ、見えるようになりなさい』と言った。するとその瞬間に、わたしの目が開いて、彼の姿が見えた。 (J)

使徒の働き 22:14 彼は言った、『わたしたちの先祖の神が、あなたを選んでみ旨を知らせ、かの義人を見させ、その口から声をお聞かせになった。 (J)

使徒の働き 22:15 それはあなたが、その見聞きした事につき、すべての人に対して、彼の証人になるためである。 (J)

使徒の働き 22:16 そこで今、なんのためらうことがあろうか。すぐ立って、み名をとなえてバプテスマを受け、あなたの罪を洗い落しなさい』。 (J)

使徒の働き 22:17 それからわたしは、エルサレムに帰って宮で祈っているうちに、夢うつつになり、 (J)

使徒の働き 22:18 主にまみえたが、主は言われた、『急いで、すぐにエルサレムを出て行きなさい。わたしについてのあなたのあかしを、人々が受けいれないから』。 (J)

使徒の働き 22:19 そこで、わたしが言った、『主よ、彼らは、わたしがいたるところの会堂で、あなたを信じる人々を獄に投じたり、むち打ったりしていたことを、知っています。 (J)

使徒の働き 22:20 また、あなたの証人ステパノの血が流された時も、わたしは立ち合っていてそれに賛成し、また彼を殺した人たちの上着の番をしていたのです』。 (J)

使徒の働き 22:21 すると、主がわたしに言われた、『行きなさい。わたしが、あなたを遠く異邦の民へつかわすのだ』」。 (J)

使徒の働き 22:22 彼の言葉をここまで聞いていた人々は、このとき、声を張りあげて言った、「こんな男は地上から取り除いてしまえ。生かしおくべきではない」。 (J)

使徒の働き 22:23 人々がこうわめき立てて、空中に上着を投げ、ちりをまき散らす始末であったので、 (J)

使徒の働き 22:24 千卒長はパウロを兵営に引き入れるように命じ、どういうわけで、彼に対してこんなにわめき立てているのかを確かめるため、彼をむちの拷問にかけて、取り調べるように言いわたした。 (J)

使徒の働き 22:25 彼らがむちを当てるため、彼を縛りつけていた時、パウロはそばに立っている百卒長に言った、「ローマの市民たる者を、裁判にかけもしないで、むち打ってよいのか」。 (J)

使徒の働き 22:26 百卒長はこれを聞き、千卒長のところに行って報告し、そして言った、「どうなさいますか。あの人はローマの市民なのです」。 (J)

使徒の働き 22:27 そこで、千卒長がパウロのところにきて言った、「わたしに言ってくれ。あなたはローマの市民なのか」。パウロは「そうです」と言った。 (J)

使徒の働き 22:28 これに対して千卒長が言った、「わたしはこの市民権を、多額の金で買い取ったのだ」。するとパウロは言った、「わたしは生れながらの市民です」。 (J)

使徒の働き 22:29 そこで、パウロを取り調べようとしていた人たちは、ただちに彼から身を引いた。千卒長も、パウロがローマの市民であること、また、そういう人を縛っていたことがわかって、恐れた。 (J)

使徒の働き 22:30 翌日、彼は、ユダヤ人がなぜパウロを訴え出たのか、その真相を知ろうと思って彼を解いてやり、同時に祭司長たちと全議会とを召集させ、そこに彼を引き出して、彼らの前に立たせた。 (J)

使徒の働き 23:1 パウロは議会を見つめて言った、「兄弟たちよ、わたしは今日まで、神の前に、ひたすら明らかな良心にしたがって行動してきた」。 (J)

使徒の働き 23:2 すると、大祭司アナニヤが、パウロのそばに立っている者たちに、彼の口を打てと命じた。 (J)

使徒の働き 23:3 そのとき、パウロはアナニヤにむかって言った、「白く塗られた壁よ、神があなたを打つであろう。あなたは、律法にしたがって、わたしをさばくために座についているのに、律法にそむいて、わたしを打つことを命じるのか」。 (J)

使徒の働き 23:4 すると、そばに立っている者たちが言った、「神の大祭司に対して無礼なことを言うのか」。 (J)

使徒の働き 23:5 パウロは言った、「兄弟たちよ、彼が大祭司だとは知らなかった。聖書に『民のかしらを悪く言ってはいけない』と、書いてあるのだった」。 (J)

使徒の働き 23:6 パウロは、議員の一部がサドカイ人であり、一部はパリサイ人であるのを見て、議会の中で声を高めて言った、「兄弟たちよ、わたしはパリサイ人であり、パリサイ人の子である。わたしは、死人の復活の望みをいだいていることで、裁判を受けているのである」。 (J)

使徒の働き 23:7 彼がこう言ったところ、パリサイ人とサドカイ人との間に争論が生じ、会衆が相分れた。 (J)

使徒の働き 23:8 元来、サドカイ人は、復活とか天使とか霊とかは、いっさい存在しないと言い、パリサイ人は、それらは、みな存在すると主張している。 (J)

使徒の働き 23:9 そこで、大騒ぎとなった。パリサイ派のある律法学者たちが立って、強く主張して言った、「われわれは、この人には何も悪いことがないと思う。あるいは、霊か天使かが、彼に告げたのかも知れない」。 (J)

使徒の働き 23:10 こうして、争論が激しくなったので、千卒長は、パウロが彼らに引き裂かれるのを気づかって、兵卒どもに、降りて行ってパウロを彼らの中から力づくで引き出し、兵営に連れて来るように、命じた。 (J)

使徒の働き 23:11 その夜、主がパウロに臨んで言われた、「しっかりせよ。あなたは、エルサレムでわたしのことをあかししたように、ローマでもあかしをしなくてはならない」。 (J)

使徒の働き 23:12 夜が明けると、ユダヤ人らは申し合わせをして、パウロを殺すまでは飲食をいっさい断つと、誓い合った。 (J)

使徒の働き 23:13 この陰謀に加わった者は、四十人あまりであった。 (J)

使徒の働き 23:14 彼らは、祭司長たちや長老たちのところに行って、こう言った。「われわれは、パウロを殺すまでは何も食べないと、堅く誓い合いました。 (J)

使徒の働き 23:15 ついては、あなたがたは議会と組んで、彼のことでなお詳しく取調べをするように見せかけ、パウロをあなたがたのところに連れ出すように、千卒長に頼んで下さい。われわれとしては、パウロがそこにこないうちに殺してしまう手はずをしています」。 (J)

使徒の働き 23:16 ところが、パウロの姉妹の子が、この待伏せのことを耳にし、兵営にはいって行って、パウロにそれを知らせた。 (J)

使徒の働き 23:17 そこでパウロは、百卒長のひとりを呼んで言った、「この若者を千卒長のところに連れて行ってください。何か報告することがあるようですから」。 (J)

使徒の働き 23:18 この百卒長は若者を連れて行き、千卒長に引きあわせて言った、「囚人のパウロが、この若者があなたに話したいことがあるので、あなたのところに連れて行ってくれるようにと、わたしを呼んで頼みました」。 (J)

使徒の働き 23:19 そこで千卒長は、若者の手を取り、人のいないところへ連れて行って尋ねた、「わたしに話したいことというのは、何か」。 (J)

使徒の働き 23:20 若者が言った、「ユダヤ人たちが、パウロのことをもっと詳しく取調べをすると見せかけて、あす議会に彼を連れ出すように、あなたに頼むことに決めています。 (J)

使徒の働き 23:21 どうぞ、彼らの頼みを取り上げないで下さい。四十人あまりの者が、パウロを待伏せしているのです。彼らは、パウロを殺すまでは飲食をいっさい断つと、堅く誓い合っています。そして、いま手はずをととのえて、あなたの許可を待っているところなのです」。 (J)

使徒の働き 23:22 そこで千卒長は、「このことをわたしに知らせたことは、だれにも口外するな」と命じて、若者を帰した。 (J)

使徒の働き 23:23 それから彼は、百卒長ふたりを呼んで言った、「歩兵二百名、騎兵七十名、槍兵二百名を、カイザリヤに向け出発できるように、今夜九時までに用意せよ。 (J)

使徒の働き 23:24 また、パウロを乗せるために馬を用意して、彼を総督ペリクスのもとへ無事に連れて行け」。 (J)

使徒の働き 23:25 さらに彼は、次のような文面の手紙を書いた。 (J)

使徒の働き 23:26 「クラウデオ・ルシヤ、つつしんで総督ペリクス閣下の平安を祈ります。 (J)

使徒の働き 23:27 本人のパウロが、ユダヤ人らに捕えられ、まさに殺されようとしていたのを、彼のローマ市民であることを知ったので、わたしは兵卒たちを率いて行って、彼を救い出しました。 (J)

使徒の働き 23:28 それから、彼が訴えられた理由を知ろうと思い、彼を議会に連れて行きました。 (J)

使徒の働き 23:29 ところが、彼はユダヤ人の律法の問題で訴えられたものであり、なんら死刑または投獄に当る罪のないことがわかりました。 (J)

使徒の働き 23:30 しかし、この人に対して陰謀がめぐらされているとの報告がありましたので、わたしは取りあえず、彼を閣下のもとにお送りすることにし、訴える者たちには、閣下の前で、彼に対する申立てをするようにと、命じておきました」。 (J)

使徒の働き 23:31 そこで歩兵たちは、命じられたとおりパウロを引き取って、夜の間にアンテパトリスまで連れて行き、 (J)

使徒の働き 23:32 翌日は、騎兵たちにパウロを護送させることにして、兵営に帰って行った。 (J)

使徒の働き 23:33 騎兵たちは、カイザリヤに着くと、手紙を総督に手渡し、さらにパウロを彼に引きあわせた。 (J)

使徒の働き 23:34 総督は手紙を読んでから、パウロに、どの州の者かと尋ね、キリキヤの出だと知って、 (J)

使徒の働き 23:35 「訴え人たちがきた時に、おまえを調べることにする」と言った。そして、ヘロデの官邸に彼を守っておくように命じた。 (J)

使徒の働き 24:1 五日の後、大祭司アナニヤは、長老数名と、テルトロという弁護人とを連れて下り、総督にパウロを訴え出た。 (J)

使徒の働き 24:2 パウロが呼び出されたので、テルトロは論告を始めた。 「ペリクス閣下、わたしたちが、閣下のお陰でじゅうぶんに平和を楽しみ、またこの国が、ご配慮によって、 (J)

使徒の働き 24:3 あらゆる方面に、またいたるところで改善されていることは、わたしたちの感謝してやまないところであります。 (J)

使徒の働き 24:4 しかし、ご迷惑をかけないように、くどくどと述べずに、手短かに申し上げますから、どうぞ、忍んでお聞き取りのほど、お願いいたします。 (J)

使徒の働き 24:5 さて、この男は、疫病のような人間で、世界中のすべてのユダヤ人の中に騒ぎを起している者であり、また、ナザレ人らの異端のかしらであります。 (J)

使徒の働き 24:6 この者が宮までも汚そうとしていたので、わたしたちは彼を捕縛したのです。〔そして、律法にしたがって、さばこうとしていたところ、 (J)

使徒の働き 24:7 千卒長ルシヤが干渉して、彼を無理にわたしたちの手から引き離してしまい、 (J)

使徒の働き 24:8 彼を訴えた人たちには、閣下のところに来るようにと命じました。〕それで、閣下ご自身でお調べになれば、わたしたちが彼を訴え出た理由が、全部おわかりになるでしょう」。 (J)

使徒の働き 24:9 ユダヤ人たちも、この訴えに同調して、全くそのとおりだと言った。 (J)

使徒の働き 24:10 そこで、総督が合図をして発言を促したので、パウロは答弁して言った。 「閣下が、多年にわたり、この国民の裁判をつかさどっておられることを、よく承知していますので、わたしは喜んで、自分のことを弁明いたします。 (J)

使徒の働き 24:11 お調べになればわかるはずですが、わたしが礼拝をしにエルサレムに上ってから、まだ十二日そこそこにしかなりません。 (J)

使徒の働き 24:12 そして、宮の内でも、会堂内でも、あるいは市内でも、わたしがだれかと争論したり、群衆を煽動したりするのを見たものはありませんし、 (J)

使徒の働き 24:13 今わたしを訴え出ていることについて、閣下の前に、その証拠をあげうるものはありません。 (J)

使徒の働き 24:14 ただ、わたしはこの事は認めます。わたしは、彼らが異端だとしている道にしたがって、わたしたちの先祖の神に仕え、律法の教えるところ、また預言者の書に書いてあることを、ことごとく信じ、 (J)

使徒の働き 24:15 また、正しい者も正しくない者も、やがてよみがえるとの希望を、神を仰いでいだいているものです。この希望は、彼ら自身も持っているのです。 (J)

使徒の働き 24:16 わたしはまた、神に対しまた人に対して、良心に責められることのないように、常に努めています。 (J)

使徒の働き 24:17 さてわたしは、幾年ぶりかに帰ってきて、同胞に施しをし、また、供え物をしていました。 (J)

使徒の働き 24:18 そのとき、彼らはわたしが宮できよめを行っているのを見ただけであって、群衆もいず、騒動もなかったのです。 (J)

使徒の働き 24:19 ところが、アジヤからきた数人のユダヤ人が――彼らが、わたしに対して、何かとがめ立てをすることがあったなら、よろしく閣下の前にきて、訴えるべきでした。 (J)

使徒の働き 24:20 あるいは、何かわたしに不正なことがあったなら、わたしが議会の前に立っていた時、彼らみずから、それを指摘すべきでした。 (J)

使徒の働き 24:21 ただ、わたしは、彼らの中に立って、『わたしは、死人のよみがえりのことで、きょう、あなたがたの前でさばきを受けているのだ』と叫んだだけのことです」。 (J)

使徒の働き 24:22 ここでペリクスは、この道のことを相当わきまえていたので、「千卒長ルシヤが下って来るのを待って、おまえたちの事件を判決することにする」と言って、裁判を延期した。 (J)

使徒の働き 24:23 そして百卒長に、パウロを監禁するように、しかし彼を寛大に取り扱い、友人らが世話をするのを止めないようにと、命じた。 (J)

使徒の働き 24:24 数日たってから、ペリクスは、ユダヤ人である妻ドルシラと一緒にきて、パウロを呼び出し、キリスト・イエスに対する信仰のことを、彼から聞いた。 (J)

使徒の働き 24:25 そこで、パウロが、正義、節制、未来の審判などについて論じていると、ペリクスは不安を感じてきて、言った、「きょうはこれで帰るがよい。また、よい機会を得たら、呼び出すことにする」。 (J)

使徒の働き 24:26 彼は、それと同時に、パウロから金をもらいたい下ごころがあったので、たびたびパウロを呼び出しては語り合った。 (J)

使徒の働き 24:27 さて、二か年たった時、ポルキオ・フェストが、ペリクスと交代して任についた。ペリクスは、ユダヤ人の歓心を買おうと思って、パウロを監禁したままにしておいた。 (J)

使徒の働き 25:1 さて、フェストは、任地に着いてから三日の後、カイザリヤからエルサレムに上ったところ、 (J)

使徒の働き 25:2 祭司長たちやユダヤ人の重立った者たちが、パウロを訴え出て、 (J)

使徒の働き 25:3 彼をエルサレムに呼び出すよう取り計らっていただきたいと、しきりに願った。彼らは途中で待ち伏せして、彼を殺す考えであった。 (J)

使徒の働き 25:4 ところがフェストは、パウロがカイザリヤに監禁してあり、自分もすぐそこへ帰ることになっていると答え、 (J)

使徒の働き 25:5 そして言った、「では、もしあの男に何か不都合なことがあるなら、おまえたちのうちの有力者らが、わたしと一緒に下って行って、訴えるがよかろう」。 (J)

使徒の働き 25:6 フェストは、彼らのあいだに八日か十日ほど滞在した後、カイザリヤに下って行き、その翌日、裁判の席について、パウロを引き出すように命じた。 (J)

使徒の働き 25:7 パウロが姿をあらわすと、エルサレムから下ってきたユダヤ人たちが、彼を取りかこみ、彼に対してさまざまの重い罪状を申し立てたが、いずれもその証拠をあげることはできなかった。 (J)

使徒の働き 25:8 パウロは「わたしは、ユダヤ人の律法に対しても、宮に対しても、またカイザルに対しても、なんら罪を犯したことはない」と弁明した。 (J)

使徒の働き 25:9 ところが、フェストはユダヤ人の歓心を買おうと思って、パウロにむかって言った、「おまえはエルサレムに上り、この事件に関し、わたしからそこで裁判を受けることを承知するか」。 (J)

使徒の働き 25:10 パウロは言った、「わたしは今、カイザルの法廷に立っています。わたしはこの法廷で裁判されるべきです。よくご承知のとおり、わたしはユダヤ人たちに、何も悪いことをしてはいません。 (J)

使徒の働き 25:11 もしわたしが悪いことをし、死に当るようなことをしているのなら、死を免れようとはしません。しかし、もし彼らの訴えることに、なんの根拠もないとすれば、だれもわたしを彼らに引き渡す権利はありません。わたしはカイザルに上訴します」。 (J)

使徒の働き 25:12 そこでフェストは、陪席の者たちと協議したうえ答えた、「おまえはカイザルに上訴を申し出た。カイザルのところに行くがよい」。 (J)

使徒の働き 25:13 数日たった後、アグリッパ王とベルニケとが、フェストに敬意を表するため、カイザリヤにきた。 (J)

使徒の働き 25:14 ふたりは、そこに何日間も滞在していたので、フェストは、パウロのことを王に話して言った、「ここに、ペリクスが囚人として残して行ったひとりの男がいる。 (J)

使徒の働き 25:15 わたしがエルサレムに行った時、この男のことを、祭司長たちやユダヤ人の長老たちが、わたしに報告し、彼を罪に定めるようにと要求した。 (J)

使徒の働き 25:16 そこでわたしは、彼らに答えた、『訴えられた者が、訴えた者の前に立って、告訴に対し弁明する機会を与えられない前に、その人を見放してしまうのは、ローマ人の慣例にはないことである』。 (J)

使徒の働き 25:17 それで、彼らがここに集まってきた時、わたしは時をうつさず、次の日に裁判の席について、その男を引き出させた。 (J)

使徒の働き 25:18 訴えた者たちは立ち上がったが、わたしが推測していたような悪事は、彼について何一つ申し立てはしなかった。 (J)

使徒の働き 25:19 ただ、彼と争い合っているのは、彼ら自身の宗教に関し、また、死んでしまったのに生きているとパウロが主張しているイエスなる者に関する問題に過ぎない。 (J)

使徒の働き 25:20 これらの問題を、どう取り扱ってよいかわからなかったので、わたしは彼に、『エルサレムに行って、これらの問題について、そこでさばいてもらいたくはないか』と尋ねてみた。 (J)

使徒の働き 25:21 ところがパウロは、皇帝の判決を受ける時まで、このまま自分をとどめておいてほしいと言うので、カイザルに彼を送りとどける時までとどめておくようにと、命じておいた」。 (J)

使徒の働き 25:22 そこで、アグリッパがフェストに「わたしも、その人の言い分を聞いて見たい」と言ったので、フェストは、「では、あす彼から聞きとるようにしてあげよう」と答えた。 (J)

使徒の働き 25:23 翌日、アグリッパとベルニケとは、大いに威儀をととのえて、千卒長たちや市の重立った人たちと共に、引見所にはいってきた。すると、フェストの命によって、パウロがそこに引き出された。 (J)

使徒の働き 25:24 そこで、フェストが言った、「アグリッパ王、ならびにご臨席の諸君。ごらんになっているこの人物は、ユダヤ人たちがこぞって、エルサレムにおいても、また、この地においても、これ以上、生かしておくべきでないと叫んで、わたしに訴え出ている者である。 (J)

使徒の働き 25:25 しかし、彼は死に当ることは何もしていないと、わたしは見ているのだが、彼自身が皇帝に上訴すると言い出したので、彼をそちらへ送ることに決めた。 (J)

使徒の働き 25:26 ところが、彼について、主君に書きおくる確かなものが何もないので、わたしは、彼を諸君の前に、特に、アグリッパ王よ、あなたの前に引き出して、取調べをしたのち、上書すべき材料を得ようと思う。 (J)

使徒の働き 25:27 囚人を送るのに、その告訴の理由を示さないということは、不合理だと思えるからである」。 (J)

使徒の働き 26:1 アグリッパはパウロに、「おまえ自身のことを話してもよい」と言った。そこでパウロは、手をさし伸べて、弁明をし始めた。 (J)

使徒の働き 26:2 「アグリッパ王よ、ユダヤ人たちから訴えられているすべての事に関して、きょう、あなたの前で弁明することになったのは、わたしのしあわせに思うところであります。 (J)

使徒の働き 26:3 あなたは、ユダヤ人のあらゆる慣例や問題を、よく知り抜いておられるかたですから、わたしの申すことを、寛大なお心で聞いていただきたいのです。 (J)

使徒の働き 26:4 さて、わたしは若い時代には、初めから自国民の中で、またエルサレムで過ごしたのですが、そのころのわたしの生活ぶりは、ユダヤ人がみんなよく知っているところです。 (J)

使徒の働き 26:5 彼らはわたしを初めから知っているので、証言しようと思えばできるのですが、わたしは、わたしたちの宗教の最も厳格な派にしたがって、パリサイ人としての生活をしていたのです。 (J)

使徒の働き 26:6 今わたしは、神がわたしたちの先祖に約束なさった希望をいだいているために、裁判を受けているのであります。 (J)

使徒の働き 26:7 わたしたちの十二の部族は、夜昼、熱心に神に仕えて、その約束を得ようと望んでいるのです。王よ、この希望のために、わたしはユダヤ人から訴えられています。 (J)

使徒の働き 26:8 神が死人をよみがえらせるということが、あなたがたには、どうして信じられないことと思えるのでしょうか。 (J)

使徒の働き 26:9 わたし自身も、以前には、ナザレ人イエスの名に逆らって反対の行動をすべきだと、思っていました。 (J)

使徒の働き 26:10 そしてわたしは、それをエルサレムで敢行し、祭司長たちから権限を与えられて、多くの聖徒たちを獄に閉じ込め、彼らが殺される時には、それに賛成の意を表しました。 (J)

使徒の働き 26:11 それから、いたるところの会堂で、しばしば彼らを罰して、無理やりに神をけがす言葉を言わせようとし、彼らに対してひどく荒れ狂い、ついに外国の町々にまで、迫害の手をのばすに至りました。 (J)

使徒の働き 26:12 こうして、わたしは、祭司長たちから権限と委任とを受けて、ダマスコに行ったのですが、 (J)

使徒の働き 26:13 王よ、その途中、真昼に、光が天からさして来るのを見ました。それは、太陽よりも、もっと光り輝いて、わたしと同行者たちとをめぐり照しました。 (J)

使徒の働き 26:14 わたしたちはみな地に倒れましたが、その時ヘブル語でわたしにこう呼びかける声を聞きました、『サウロ、サウロ、なぜわたしを迫害するのか。とげのあるむちをければ、傷を負うだけである』。 (J)

使徒の働き 26:15 そこで、わたしが『主よ、あなたはどなたですか』と尋ねると、主は言われた、『わたしは、あなたが迫害しているイエスである。 (J)

使徒の働き 26:16 さあ、起きあがって、自分の足で立ちなさい。わたしがあなたに現れたのは、あなたがわたしに会った事と、あなたに現れて示そうとしている事とをあかしし、これを伝える務に、あなたを任じるためである。 (J)

使徒の働き 26:17 わたしは、この国民と異邦人との中から、あなたを救い出し、あらためてあなたを彼らにつかわすが、 (J)

使徒の働き 26:18 それは、彼らの目を開き、彼らをやみから光へ、悪魔の支配から神のみもとへ帰らせ、また、彼らが罪のゆるしを得、わたしを信じる信仰によって、聖別された人々に加わるためである』。 (J)

使徒の働き 26:19 それですから、アグリッパ王よ、わたしは天よりの啓示にそむかず、 (J)

使徒の働き 26:20 まず初めにダマスコにいる人々に、それからエルサレムにいる人々、さらにユダヤ全土、ならびに異邦人たちに、悔い改めて神に立ち帰り、悔改めにふさわしいわざを行うようにと、説き勧めました。 (J)

使徒の働き 26:21 そのために、ユダヤ人は、わたしを宮で引き捕えて殺そうとしたのです。 (J)

使徒の働き 26:22 しかし、わたしは今日に至るまで神の加護を受け、このように立って、小さい者にも大きい者にもあかしをなし、預言者たちやモーセが、今後起るべきだと語ったことを、そのまま述べてきました。 (J)

使徒の働き 26:23 すなわち、キリストが苦難を受けること、また、死人の中から最初によみがえって、この国民と異邦人とに、光を宣べ伝えるに至ることを、あかししたのです」。 (J)

使徒の働き 26:24 パウロがこのように弁明をしていると、フェストは大声で言った、「パウロよ、おまえは気が狂っている。博学が、おまえを狂わせている」。 (J)

使徒の働き 26:25 パウロが言った、「フェスト閣下よ、わたしは気が狂ってはいません。わたしは、まじめな真実の言葉を語っているだけです。 (J)

使徒の働き 26:26 王はこれらのことをよく知っておられるので、王に対しても、率直に申し上げているのです。それは、片すみで行われたのではないのですから、一つとして、王が見のがされたことはないと信じます。 (J)

使徒の働き 26:27 アグリッパ王よ、あなたは預言者を信じますか。信じておられると思います」。 (J)

使徒の働き 26:28 アグリッパがパウロに言った、「おまえは少し説いただけで、わたしをクリスチャンにしようとしている」。 (J)

使徒の働き 26:29 パウロが言った、「説くことが少しであろうと、多くであろうと、わたしが神に祈るのは、ただあなただけでなく、きょう、わたしの言葉を聞いた人もみな、わたしのようになって下さることです。このような鎖は別ですが」。 (J)

使徒の働き 26:30 それから、王も総督もベルニケも、また列席の人々も、みな立ちあがった。 (J)

使徒の働き 26:31 退場してから、互に語り合って言った、「あの人は、死や投獄に当るようなことをしてはいない」。 (J)

使徒の働き 26:32 そして、アグリッパがフェストに言った、「あの人は、カイザルに上訴していなかったら、ゆるされたであろうに」。 (J)

使徒の働き 27:1 さて、わたしたちが、舟でイタリヤに行くことが決まった時、パウロとそのほか数人の囚人とは、近衛隊の百卒長ユリアスに託された。 (J)

使徒の働き 27:2 そしてわたしたちは、アジヤ沿岸の各所に寄港することになっているアドラミテオの舟に乗り込んで、出帆した。テサロニケのマケドニヤ人アリスタルコも同行した。 (J)

使徒の働き 27:3 次の日、シドンに入港したが、ユリアスは、パウロを親切に取り扱い、友人をおとずれてかんたいを受けることを、許した。 (J)

使徒の働き 27:4 それからわたしたちは、ここから船出したが、逆風にあったので、クプロの島かげを航行し、 (J)

使徒の働き 27:5 キリキヤとパンフリヤの沖を過ぎて、ルキヤのミラに入港した。 (J)

使徒の働き 27:6 そこに、イタリヤ行きのアレキサンドリヤの舟があったので、百卒長は、わたしたちをその舟に乗り込ませた。 (J)

使徒の働き 27:7 幾日ものあいだ、舟の進みがおそくて、わたしたちは、かろうじてクニドの沖合にきたが、風がわたしたちの行く手をはばむので、サルモネの沖、クレテの島かげを航行し、 (J)

使徒の働き 27:8 その岸に沿って進み、かろうじて「良き港」と呼ばれる所に着いた。その近くにラサヤの町があった。 (J)

使徒の働き 27:9 長い時が経過し、断食期も過ぎてしまい、すでに航海が危険な季節になったので、パウロは人々に警告して言った、 (J)

使徒の働き 27:10 「皆さん、わたしの見るところでは、この航海では、積荷や船体ばかりでなく、われわれの生命にも、危害と大きな損失が及ぶであろう」。 (J)

使徒の働き 27:11 しかし百卒長は、パウロの意見よりも、船長や船主の方を信頼した。 (J)

使徒の働き 27:12 なお、この港は冬を過ごすのに適しないので、大多数の者は、ここから出て、できればなんとかして、南西と北西とに面しているクレテのピニクス港に行って、そこで冬を過ごしたいと主張した。 (J)

使徒の働き 27:13 時に、南風が静かに吹いてきたので、彼らは、この時とばかりにいかりを上げて、クレテの岸に沿って航行した。 (J)

使徒の働き 27:14 すると間もなく、ユーラクロンと呼ばれる暴風が、島から吹きおろしてきた。 (J)

使徒の働き 27:15 そのために、舟が流されて風に逆らうことができないので、わたしたちは吹き流されるままに任せた。 (J)

使徒の働き 27:16 それから、クラウダという小島の陰に、はいり込んだので、わたしたちは、やっとのことで小舟を処置することができ、 (J)

使徒の働き 27:17 それを舟に引き上げてから、綱で船体を巻きつけた。また、スルテスの洲に乗り上げるのを恐れ、帆をおろして流れるままにした。 (J)

使徒の働き 27:18 わたしたちは、暴風にひどく悩まされつづけたので、次の日に、人々は積荷を捨てはじめ、 (J)

使徒の働き 27:19 三日目には、船具までも、てずから投げすてた。 (J)

使徒の働き 27:20 幾日ものあいだ、太陽も星も見えず、暴風は激しく吹きすさぶので、わたしたちの助かる最後の望みもなくなった。 (J)

使徒の働き 27:21 みんなの者は、長いあいだ食事もしないでいたが、その時、パウロが彼らの中に立って言った、「皆さん、あなたがたが、わたしの忠告を聞きいれて、クレテから出なかったら、このような危害や損失を被らなくてすんだはずであった。 (J)

使徒の働き 27:22 だが、この際、お勧めする。元気を出しなさい。舟が失われるだけで、あなたがたの中で生命を失うものは、ひとりもいないであろう。 (J)

使徒の働き 27:23 昨夜、わたしが仕え、また拝んでいる神からの御使が、わたしのそばに立って言った、 (J)

使徒の働き 27:24 『パウロよ、恐れるな。あなたは必ずカイザルの前に立たなければならない。たしかに神は、あなたと同船の者を、ことごとくあなたに賜わっている』。 (J)

使徒の働き 27:25 だから、皆さん、元気を出しなさい。万事はわたしに告げられたとおりに成って行くと、わたしは、神かけて信じている。 (J)

使徒の働き 27:26 われわれは、どこかの島に打ちあげられるに相違ない」。 (J)

使徒の働き 27:27 わたしたちがアドリヤ海に漂ってから十四日目の夜になった時、真夜中ごろ、水夫らはどこかの陸地に近づいたように感じた。 (J)

使徒の働き 27:28 そこで、水の深さを測ってみたところ、二十ひろであることがわかった。それから少し進んで、もう一度測ってみたら、十五ひろであった。 (J)

使徒の働き 27:29 わたしたちが、万一暗礁に乗り上げては大変だと、人々は気づかって、ともから四つのいかりを投げおろし、夜の明けるのを待ちわびていた。 (J)

使徒の働き 27:30 その時、水夫らが舟から逃げ出そうと思って、へさきからいかりを投げおろすと見せかけ、小舟を海におろしていたので、 (J)

使徒の働き 27:31 パウロは、百卒長や兵卒たちに言った、「あの人たちが、舟に残っていなければ、あなたがたは助からない」。 (J)

使徒の働き 27:32 そこで兵卒たちは、小舟の綱を断ち切って、その流れて行くままに任せた。 (J)

使徒の働き 27:33 夜が明けかけたころ、パウロは一同の者に、食事をするように勧めて言った、「あなたがたが食事もせずに、見張りを続けてから、何も食べないで、きょうが十四日目に当る。 (J)

使徒の働き 27:34 だから、いま食事を取ることをお勧めする。それが、あなたがたを救うことになるのだから。たしかに髪の毛ひとすじでも、あなたがたの頭から失われることはないであろう」。 (J)

使徒の働き 27:35 彼はこう言って、パンを取り、みんなの前で神に感謝し、それをさいて食べはじめた。 (J)

使徒の働き 27:36 そこで、みんなの者も元気づいて食事をした。 (J)

使徒の働き 27:37 舟にいたわたしたちは、合わせて二百七十六人であった。 (J)

使徒の働き 27:38 みんなの者は、じゅうぶんに食事をした後、穀物を海に投げすてて舟を軽くした。 (J)

使徒の働き 27:39 夜が明けて、どこの土地かよくわからなかったが、砂浜のある入江が見えたので、できれば、それに舟を乗り入れようということになった。 (J)

使徒の働き 27:40 そこで、いかりを切り離して海に捨て、同時にかじの綱をゆるめ、風に前の帆をあげて、砂浜にむかって進んだ。 (J)

使徒の働き 27:41 ところが、潮流の流れ合う所に突き進んだため、舟を浅瀬に乗りあげてしまって、へさきがめり込んで動かなくなり、ともの方は激浪のためにこわされた。 (J)

使徒の働き 27:42 兵卒たちは、囚人らが泳いで逃げるおそれがあるので、殺してしまおうと図ったが、 (J)

使徒の働き 27:43 百卒長は、パウロを救いたいと思うところから、その意図をしりぞけ、泳げる者はまず海に飛び込んで陸に行き、 (J)

使徒の働き 27:44 その他の者は、板や舟の破片に乗って行くように命じた。こうして、全部の者が上陸して救われたのであった。 (J)

使徒の働き 28:1 わたしたちが、こうして救われてからわかったが、これはマルタと呼ばれる島であった。 (J)

使徒の働き 28:2 土地の人々は、わたしたちに並々ならぬ親切をあらわしてくれた。すなわち、降りしきる雨や寒さをしのぐために、火をたいてわたしたち一同をねぎらってくれたのである。 (J)

使徒の働き 28:3 そのとき、パウロはひとかかえの柴をたばねて火にくべたところ、熱気のためにまむしが出てきて、彼の手にかみついた。 (J)

使徒の働き 28:4 土地の人々は、この生きものがパウロの手からぶら下がっているのを見て、互に言った、「この人は、きっと人殺しに違いない。海からはのがれたが、ディケーの神様が彼を生かしてはおかないのだ」。 (J)

使徒の働き 28:5 ところがパウロは、まむしを火の中に振り落して、なんの害も被らなかった。 (J)

使徒の働き 28:6 彼らは、彼が間もなくはれ上がるか、あるいは、たちまち倒れて死ぬだろうと、様子をうかがっていた。しかし、長い間うかがっていても、彼の身になんの変ったことも起らないのを見て、彼らは考えを変えて、「この人は神様だ」と言い出した。 (J)

使徒の働き 28:7 さて、その場所の近くに、島の首長、ポプリオという人の所有地があった。彼は、そこにわたしたちを招待して、三日のあいだ親切にもてなしてくれた。 (J)

使徒の働き 28:8 たまたま、ポプリオの父が赤痢をわずらい、高熱で床についていた。そこでパウロは、その人のところにはいって行って祈り、手を彼の上においていやしてやった。 (J)

使徒の働き 28:9 このことがあってから、ほかに病気をしている島の人たちが、ぞくぞくとやってきて、みないやされた。 (J)

使徒の働き 28:10 彼らはわたしたちを非常に尊敬し、出帆の時には、必要な品々を持ってきてくれた。 (J)

使徒の働き 28:11 三か月たった後、わたしたちは、この島に冬ごもりをしていたデオスクリの船飾りのあるアレキサンドリヤの舟で、出帆した。 (J)

使徒の働き 28:12 そして、シラクサに寄港して三日のあいだ停泊し、 (J)

使徒の働き 28:13 そこから進んでレギオンに行った。それから一日おいて、南風が吹いてきたのに乗じ、ふつか目にポテオリに着いた。 (J)

使徒の働き 28:14 そこで兄弟たちに会い、勧められるまま、彼らのところに七日間も滞在した。それからわたしたちは、ついにローマに到着した。 (J)

使徒の働き 28:15 ところが、兄弟たちは、わたしたちのことを聞いて、アピオ・ポロおよびトレス・タベルネまで出迎えてくれた。パウロは彼らに会って、神に感謝し勇み立った。 (J)

使徒の働き 28:16 わたしたちがローマに着いた後、パウロは、ひとりの番兵をつけられ、ひとりで住むことを許された。 (J)

使徒の働き 28:17 三日たってから、パウロは、重立ったユダヤ人たちを招いた。みんなの者が集まったとき、彼らに言った、「兄弟たちよ、わたしは、わが国民に対しても、あるいは先祖伝来の慣例に対しても、何一つそむく行為がなかったのに、エルサレムで囚人としてローマ人たちの手に引き渡された。 (J)

使徒の働き 28:18 彼らはわたしを取り調べた結果、なんら死に当る罪状もないので、わたしを釈放しようと思ったのであるが、 (J)

使徒の働き 28:19 ユダヤ人たちがこれに反対したため、わたしはやむを得ず、カイザルに上訴するに至ったのである。しかしわたしは、わが同胞を訴えようなどとしているのではない。 (J)

使徒の働き 28:20 こういうわけで、あなたがたに会って語り合いたいと願っていた。事実、わたしは、イスラエルのいだいている希望のゆえに、この鎖につながれているのである」。 (J)

使徒の働き 28:21 そこで彼らは、パウロに言った、「わたしたちは、ユダヤ人たちから、あなたについて、なんの文書も受け取っていないし、また、兄弟たちの中からここにきて、あなたについて不利な報告をしたり、悪口を言ったりした者もなかった。 (J)

使徒の働き 28:22 わたしたちは、あなたの考えていることを、直接あなたから聞くのが、正しいことだと思っている。実は、この宗派については、いたるところで反対のあることが、わたしたちの耳にもはいっている」。 (J)

使徒の働き 28:23 そこで、日を定めて、大ぜいの人が、パウロの宿につめかけてきたので、朝から晩まで、パウロは語り続け、神の国のことをあかしし、またモーセの律法や預言者の書を引いて、イエスについて彼らの説得につとめた。 (J)

使徒の働き 28:24 ある者はパウロの言うことを受けいれ、ある者は信じようともしなかった。 (J)

使徒の働き 28:25 互に意見が合わなくて、みんなの者が帰ろうとしていた時、パウロはひとこと述べて言った、「聖霊はよくも預言者イザヤによって、あなたがたの先祖に語ったものである。 (J)

使徒の働き 28:26 『この民に行って言え、 あなたがたは聞くには聞くが、決して悟らない。 見るには見るが、決して認めない。 (J)

使徒の働き 28:27 この民の心は鈍くなり、 その耳は聞えにくく、 その目は閉じている。 それは、彼らが目で見ず、 耳で聞かず、 心で悟らず、悔い改めて いやされることがないためである』。 (J)

使徒の働き 28:28 そこで、あなたがたは知っておくがよい。神のこの救の言葉は、異邦人に送られたのだ。彼らは、これに聞きしたがうであろう」。〔 (J)

使徒の働き 28:29 パウロがこれらのことを述べ終ると、ユダヤ人らは、互に論じ合いながら帰って行った。〕 (J)

使徒の働き 28:30 パウロは、自分の借りた家に満二年のあいだ住んで、たずねて来る人々をみな迎え入れ、 (J)

使徒の働き 28:31 はばからず、また妨げられることもなく、神の国を宣べ伝え、主イエス・キリストのことを教えつづけた。 (J)

ローマ人への手紙 1:1 ¶ キリスト・イエスの僕、神の福音のために選び別たれ、召されて使徒となったパウロから―― (J)

ローマ人への手紙 1:2 この福音は、神が、預言者たちにより、聖書の中で、あらかじめ約束されたものであって、 (J)

ローマ人への手紙 1:3 御子に関するものである。御子は、肉によればダビデの子孫から生れ、 (J)

ローマ人への手紙 1:4 聖なる霊によれば、死人からの復活により、御力をもって神の御子と定められた。これがわたしたちの主イエス・キリストである。 (J)

ローマ人への手紙 1:5 わたしたちは、その御名のために、すべての異邦人を信仰の従順に至らせるようにと、彼によって恵みと使徒の務とを受けたのであり、 (J)

ローマ人への手紙 1:6 あなたがたもまた、彼らの中にあって、召されてイエス・キリストに属する者となったのである―― (J)

ローマ人への手紙 1:7 ローマにいる、神に愛され、召された聖徒一同へ。 わたしたちの父なる神および主イエス・キリストから、恵みと平安とが、あなたがたにあるように。 (J)

ローマ人への手紙 1:8 まず第一に、わたしは、あなたがたの信仰が全世界に言い伝えられていることを、イエス・キリストによって、あなたがた一同のために、わたしの神に感謝する。 (J)

ローマ人への手紙 1:9 わたしは、祈のたびごとに、絶えずあなたがたを覚え、いつかは御旨にかなって道が開かれ、どうにかして、あなたがたの所に行けるようにと願っている。このことについて、わたしのためにあかしをして下さるのは、わたしが霊により、御子の福音を宣べ伝えて仕えている神である。 (J)

ローマ人への手紙 1:10 わたしは、祈のたびごとに、絶えずあなたがたを覚え、いつかは御旨にかなって道が開かれ、どうにかして、あなたがたの所に行けるようにと願っている。このことについて、わたしのためにあかしをして下さるのは、わたしが霊により、御子の福音を宣べ伝えて仕えている神である。 (J)

ローマ人への手紙 1:11 わたしは、あなたがたに会うことを熱望している。あなたがたに霊の賜物を幾分でも分け与えて、力づけたいからである。 (J)

ローマ人への手紙 1:12 それは、あなたがたの中にいて、あなたがたとわたしとのお互の信仰によって、共に励まし合うためにほかならない。 (J)

ローマ人への手紙 1:13 兄弟たちよ。このことを知らずにいてもらいたくない。わたしはほかの異邦人の間で得たように、あなたがたの間でも幾分かの実を得るために、あなたがたの所に行こうとしばしば企てたが、今まで妨げられてきた。 (J)

ローマ人への手紙 1:14 わたしには、ギリシヤ人にも未開の人にも、賢い者にも無知な者にも、果すべき責任がある。 (J)

ローマ人への手紙 1:15 そこで、わたしとしての切なる願いは、ローマにいるあなたがたにも、福音を宣べ伝えることなのである。 (J)

ローマ人への手紙 1:16 わたしは福音を恥としない。それは、ユダヤ人をはじめ、ギリシヤ人にも、すべて信じる者に、救を得させる神の力である。 (J)

ローマ人への手紙 1:17 神の義は、その福音の中に啓示され、信仰に始まり信仰に至らせる。これは、「信仰による義人は生きる」と書いてあるとおりである。 (J)

ローマ人への手紙 1:18 神の怒りは、不義をもって真理をはばもうとする人間のあらゆる不信心と不義とに対して、天から啓示される。 (J)

ローマ人への手紙 1:19 なぜなら、神について知りうる事がらは、彼らには明らかであり、神がそれを彼らに明らかにされたのである。 (J)

ローマ人への手紙 1:20 神の見えない性質、すなわち、神の永遠の力と神性とは、天地創造このかた、被造物において知られていて、明らかに認められるからである。したがって、彼らには弁解の余地がない。 (J)

ローマ人への手紙 1:21 なぜなら、彼らは神を知っていながら、神としてあがめず、感謝もせず、かえってその思いはむなしくなり、その無知な心は暗くなったからである。 (J)

ローマ人への手紙 1:22 彼らは自ら知者と称しながら、愚かになり、 (J)

ローマ人への手紙 1:23 不朽の神の栄光を変えて、朽ちる人間や鳥や獣や這うものの像に似せたのである。 (J)

ローマ人への手紙 1:24 ゆえに、神は、彼らが心の欲情にかられ、自分のからだを互にはずかしめて、汚すままに任せられた。 (J)

ローマ人への手紙 1:25 彼らは神の真理を変えて虚偽とし、創造者の代りに被造物を拝み、これに仕えたのである。創造者こそ永遠にほむべきものである、アァメン。 (J)

ローマ人への手紙 1:26 それゆえ、神は彼らを恥ずべき情欲に任せられた。すなわち、彼らの中の女は、その自然の関係を不自然なものに代え、 (J)

ローマ人への手紙 1:27 男もまた同じように女との自然の関係を捨てて、互にその情欲の炎を燃やし、男は男に対して恥ずべきことをなし、そしてその乱行の当然の報いを、身に受けたのである。 (J)

ローマ人への手紙 1:28 そして、彼らは神を認めることを正しいとしなかったので、神は彼らを正しからぬ思いにわたし、なすべからざる事をなすに任せられた。 (J)

ローマ人への手紙 1:29 すなわち、彼らは、あらゆる不義と悪と貪欲と悪意とにあふれ、ねたみと殺意と争いと詐欺と悪念とに満ち、また、ざん言する者、 (J)

ローマ人への手紙 1:30 そしる者、神を憎む者、不遜な者、高慢な者、大言壮語する者、悪事をたくらむ者、親に逆らう者となり、 (J)

ローマ人への手紙 1:31 無知、不誠実、無情、無慈悲な者となっている。 (J)

ローマ人への手紙 1:32 彼らは、こうした事を行う者どもが死に価するという神の定めをよく知りながら、自らそれを行うばかりではなく、それを行う者どもを是認さえしている。 (J)

ローマ人への手紙 2:1 だから、ああ、すべて人をさばく者よ。あなたには弁解の余地がない。あなたは、他人をさばくことによって、自分自身を罪に定めている。さばくあなたも、同じことを行っているからである。 (J)

ローマ人への手紙 2:2 わたしたちは、神のさばきが、このような事を行う者どもの上に正しく下ることを、知っている。 (J)

ローマ人への手紙 2:3 ああ、このような事を行う者どもをさばきながら、しかも自ら同じことを行う人よ。あなたは、神のさばきをのがれうると思うのか。 (J)

ローマ人への手紙 2:4 それとも、神の慈愛があなたを悔改めに導くことも知らないで、その慈愛と忍耐と寛容との富を軽んじるのか。 (J)

ローマ人への手紙 2:5 あなたのかたくなな、悔改めのない心のゆえに、あなたは、神の正しいさばきの現れる怒りの日のために神の怒りを、自分の身に積んでいるのである。 (J)

ローマ人への手紙 2:6 神は、おのおのに、そのわざにしたがって報いられる。 (J)

ローマ人への手紙 2:7 すなわち、一方では、耐え忍んで善を行って、光栄とほまれと朽ちぬものとを求める人に、永遠のいのちが与えられ、 (J)

ローマ人への手紙 2:8 他方では、党派心をいだき、真理に従わないで不義に従う人に、怒りと激しい憤りとが加えられる。 (J)

ローマ人への手紙 2:9 悪を行うすべての人には、ユダヤ人をはじめギリシヤ人にも、患難と苦悩とが与えられ、 (J)

ローマ人への手紙 2:10 善を行うすべての人には、ユダヤ人をはじめギリシヤ人にも、光栄とほまれと平安とが与えられる。 (J)

ローマ人への手紙 2:11 なぜなら、神には、かたより見ることがないからである。 (J)

ローマ人への手紙 2:12 そのわけは、律法なしに罪を犯した者は、また律法なしに滅び、律法のもとで罪を犯した者は、律法によってさばかれる。 (J)

ローマ人への手紙 2:13 なぜなら、律法を聞く者が、神の前に義なるものではなく、律法を行う者が、義とされるからである。 (J)

ローマ人への手紙 2:14 すなわち、律法を持たない異邦人が、自然のままで、律法の命じる事を行うなら、たとい律法を持たなくても、彼らにとっては自分自身が律法なのである。 (J)

ローマ人への手紙 2:15 彼らは律法の要求がその心にしるされていることを現し、そのことを彼らの良心も共にあかしをして、その判断が互にあるいは訴え、あるいは弁明し合うのである。 (J)

ローマ人への手紙 2:16 そして、これらのことは、わたしの福音によれば、神がキリスト・イエスによって人々の隠れた事がらをさばかれるその日に、明らかにされるであろう。 (J)

ローマ人への手紙 2:17 もしあなたが、自らユダヤ人と称し、律法に安んじ、神を誇とし、 (J)

ローマ人への手紙 2:18 御旨を知り、律法に教えられて、なすべきことをわきまえており、 (J)

ローマ人への手紙 2:19 さらに、知識と真理とが律法の中に形をとっているとして、自ら盲人の手引き、やみにおる者の光、愚かな者の導き手、幼な子の教師をもって任じているのなら、 (J)

ローマ人への手紙 2:20 さらに、知識と真理とが律法の中に形をとっているとして、自ら盲人の手引き、やみにおる者の光、愚かな者の導き手、幼な子の教師をもって任じているのなら、 (J)

ローマ人への手紙 2:21 なぜ、人を教えて自分を教えないのか。盗むなと人に説いて、自らは盗むのか。 (J)

ローマ人への手紙 2:22 姦淫するなと言って、自らは姦淫するのか。偶像を忌みきらいながら、自らは宮の物をかすめるのか。 (J)

ローマ人への手紙 2:23 律法を誇としながら、自らは律法に違反して、神を侮っているのか。 (J)

ローマ人への手紙 2:24 聖書に書いてあるとおり、「神の御名は、あなたがたのゆえに、異邦人の間で汚されている」。 (J)

ローマ人への手紙 2:25 もし、あなたが律法を行うなら、なるほど、割礼は役に立とう。しかし、もし律法を犯すなら、あなたの割礼は無割礼となってしまう。 (J)

ローマ人への手紙 2:26 だから、もし無割礼の者が律法の規定を守るなら、その無割礼は割礼と見なされるではないか。 (J)

ローマ人への手紙 2:27 かつ、生れながら無割礼の者であって律法を全うする者は、律法の文字と割礼とを持ちながら律法を犯しているあなたを、さばくのである。 (J)

ローマ人への手紙 2:28 というのは、外見上のユダヤ人がユダヤ人ではなく、また、外見上の肉における割礼が割礼でもない。 (J)

ローマ人への手紙 2:29 かえって、隠れたユダヤ人がユダヤ人であり、また、文字によらず霊による心の割礼こそ割礼であって、そのほまれは人からではなく、神から来るのである。 (J)

ローマ人への手紙 3:1 では、ユダヤ人のすぐれている点は何か。また割礼の益は何か。 (J)

ローマ人への手紙 3:2 それは、いろいろの点で数多くある。まず第一に、神の言が彼らにゆだねられたことである。 (J)

ローマ人への手紙 3:3 すると、どうなるのか。もし、彼らのうちに不真実の者があったとしたら、その不真実によって、神の真実は無になるであろうか。 (J)

ローマ人への手紙 3:4 断じてそうではない。あらゆる人を偽り者としても、神を真実なものとすべきである。それは、 「あなたが言葉を述べるときは、義とせられ、 あなたがさばきを受けるとき、勝利を得るため」 と書いてあるとおりである。 (J)

ローマ人への手紙 3:5 しかし、もしわたしたちの不義が、神の義を明らかにするとしたら、なんと言うべきか。怒りを下す神は、不義であると言うのか(これは人間的な言い方ではある)。 (J)

ローマ人への手紙 3:6 断じてそうではない。もしそうであったら、神はこの世を、どうさばかれるだろうか。 (J)

ローマ人への手紙 3:7 しかし、もし神の真実が、わたしの偽りによりいっそう明らかにされて、神の栄光となるなら、どうして、わたしはなおも罪人としてさばかれるのだろうか。 (J)

ローマ人への手紙 3:8 むしろ、「善をきたらせるために、わたしたちは悪をしようではないか」(わたしたちがそう言っていると、ある人々はそしっている)。彼らが罰せられるのは当然である。 (J)

ローマ人への手紙 3:9 すると、どうなるのか。わたしたちには何かまさったところがあるのか。絶対にない。ユダヤ人もギリシヤ人も、ことごとく罪の下にあることを、わたしたちはすでに指摘した。 (J)

ローマ人への手紙 3:10 次のように書いてある、 「義人はいない、ひとりもいない。 (J)

ローマ人への手紙 3:11 悟りのある人はいない、 神を求める人はいない。 (J)

ローマ人への手紙 3:12 すべての人は迷い出て、 ことごとく無益なものになっている。 善を行う者はいない、 ひとりもいない。 (J)

ローマ人への手紙 3:13 彼らののどは、開いた墓であり、 彼らは、その舌で人を欺き、 彼らのくちびるには、まむしの毒があり、 (J)

ローマ人への手紙 3:14 彼らの口は、のろいと苦い言葉とで満ちている。 (J)

ローマ人への手紙 3:15 彼らの足は、血を流すのに速く、 (J)

ローマ人への手紙 3:16 彼らの道には、破壊と悲惨とがある。 (J)

ローマ人への手紙 3:17 そして、彼らは平和の道を知らない。 (J)

ローマ人への手紙 3:18 彼らの目の前には、神に対する恐れがない」。 (J)

ローマ人への手紙 3:19 さて、わたしたちが知っているように、すべて律法の言うところは、律法のもとにある者たちに対して語られている。それは、すべての口がふさがれ、全世界が神のさばきに服するためである。 (J)

ローマ人への手紙 3:20 なぜなら、律法を行うことによっては、すべての人間は神の前に義とせられないからである。律法によっては、罪の自覚が生じるのみである。 (J)

ローマ人への手紙 3:21 しかし今や、神の義が、律法とは別に、しかも律法と預言者とによってあかしされて、現された。 (J)

ローマ人への手紙 3:22 それは、イエス・キリストを信じる信仰による神の義であって、すべて信じる人に与えられるものである。そこにはなんらの差別もない。 (J)

ローマ人への手紙 3:23 すなわち、すべての人は罪を犯したため、神の栄光を受けられなくなっており、 (J)

ローマ人への手紙 3:24 彼らは、価なしに、神の恵みにより、キリスト・イエスによるあがないによって義とされるのである。 (J)

ローマ人への手紙 3:25 神はこのキリストを立てて、その血による、信仰をもって受くべきあがないの供え物とされた。それは神の義を示すためであった。すなわち、今までに犯された罪を、神は忍耐をもって見のがしておられたが、 (J)

ローマ人への手紙 3:26 それは、今の時に、神の義を示すためであった。こうして、神みずからが義となり、さらに、イエスを信じる者を義とされるのである。 (J)

ローマ人への手紙 3:27 すると、どこにわたしたちの誇があるのか。全くない。なんの法則によってか。行いの法則によってか。そうではなく、信仰の法則によってである。 (J)

ローマ人への手紙 3:28 わたしたちは、こう思う。人が義とされるのは、律法の行いによるのではなく、信仰によるのである。 (J)

ローマ人への手紙 3:29 それとも、神はユダヤ人だけの神であろうか。また、異邦人の神であるのではないか。確かに、異邦人の神でもある。 (J)

ローマ人への手紙 3:30 まことに、神は唯一であって、割礼のある者を信仰によって義とし、また、無割礼の者をも信仰のゆえに義とされるのである。 (J)

ローマ人への手紙 3:31 すると、信仰のゆえに、わたしたちは律法を無効にするのであるか。断じてそうではない。かえって、それによって律法を確立するのである。 (J)

ローマ人への手紙 4:1 それでは、肉によるわたしたちの先祖アブラハムの場合については、なんと言ったらよいか。 (J)

ローマ人への手紙 4:2 もしアブラハムが、その行いによって義とされたのであれば、彼は誇ることができよう。しかし、神のみまえでは、できない。 (J)

ローマ人への手紙 4:3 なぜなら、聖書はなんと言っているか、「アブラハムは神を信じた。それによって、彼は義と認められた」とある。 (J)

ローマ人への手紙 4:4 いったい、働く人に対する報酬は、恩恵としてではなく、当然の支払いとして認められる。 (J)

ローマ人への手紙 4:5 しかし、働きはなくても、不信心な者を義とするかたを信じる人は、その信仰が義と認められるのである。 (J)

ローマ人への手紙 4:6 ダビデもまた、行いがなくても神に義と認められた人の幸福について、次のように言っている、 (J)

ローマ人への手紙 4:7 「不法をゆるされ、罪をおおわれた人たちは、 さいわいである。 (J)

ローマ人への手紙 4:8 罪を主に認められない人は、さいわいである」。 (J)

ローマ人への手紙 4:9 さて、この幸福は、割礼の者だけが受けるのか。それとも、無割礼の者にも及ぶのか。わたしたちは言う、「アブラハムには、その信仰が義と認められた」のである。 (J)

ローマ人への手紙 4:10 それでは、どういう場合にそう認められたのか。割礼を受けてからか、それとも受ける前か。割礼を受けてからではなく、無割礼の時であった。 (J)

ローマ人への手紙 4:11 そして、アブラハムは割礼というしるしを受けたが、それは、無割礼のままで信仰によって受けた義の証印であって、彼が、無割礼のままで信じて義とされるに至るすべての人の父となり、 (J)

ローマ人への手紙 4:12 かつ、割礼の者の父となるためなのである。割礼の者というのは、割礼を受けた者ばかりではなく、われらの父アブラハムが無割礼の時に持っていた信仰の足跡を踏む人々をもさすのである。 (J)

ローマ人への手紙 4:13 なぜなら、世界を相続させるとの約束が、アブラハムとその子孫とに対してなされたのは、律法によるのではなく、信仰の義によるからである。 (J)

ローマ人への手紙 4:14 もし、律法に立つ人々が相続人であるとすれば、信仰はむなしくなり、約束もまた無効になってしまう。 (J)

ローマ人への手紙 4:15 いったい、律法は怒りを招くものであって、律法のないところには違反なるものはない。 (J)

ローマ人への手紙 4:16 このようなわけで、すべては信仰によるのである。それは恵みによるのであって、すべての子孫に、すなわち、律法に立つ者だけにではなく、アブラハムの信仰に従う者にも、この約束が保証されるのである。アブラハムは、神の前で、わたしたちすべての者の父であって、 (J)

ローマ人への手紙 4:17 「わたしは、あなたを立てて多くの国民の父とした」と書いてあるとおりである。彼はこの神、すなわち、死人を生かし、無から有を呼び出される神を信じたのである。 (J)

ローマ人への手紙 4:18 彼は望み得ないのに、なおも望みつつ信じた。そのために、「あなたの子孫はこうなるであろう」と言われているとおり、多くの国民の父となったのである。 (J)

ローマ人への手紙 4:19 すなわち、およそ百歳となって、彼自身のからだが死んだ状態であり、また、サラの胎が不妊であるのを認めながらも、なお彼の信仰は弱らなかった。 (J)

ローマ人への手紙 4:20 彼は、神の約束を不信仰のゆえに疑うようなことはせず、かえって信仰によって強められ、栄光を神に帰し、 (J)

ローマ人への手紙 4:21 神はその約束されたことを、また成就することができると確信した。 (J)

ローマ人への手紙 4:22 だから、彼は義と認められたのである。 (J)

ローマ人への手紙 4:23 しかし「義と認められた」と書いてあるのは、アブラハムのためだけではなく、 (J)

ローマ人への手紙 4:24 わたしたちのためでもあって、わたしたちの主イエスを死人の中からよみがえらせたかたを信じるわたしたちも、義と認められるのである。 (J)

ローマ人への手紙 4:25 主は、わたしたちの罪過のために死に渡され、わたしたちが義とされるために、よみがえらされたのである。 (J)

ローマ人への手紙 5:1 このように、わたしたちは、信仰によって義とされたのだから、わたしたちの主イエス・キリストにより、神に対して平和を得ている。 (J)

ローマ人への手紙 5:2 わたしたちは、さらに彼により、いま立っているこの恵みに信仰によって導き入れられ、そして、神の栄光にあずかる希望をもって喜んでいる。 (J)

ローマ人への手紙 5:3 それだけではなく、患難をも喜んでいる。なぜなら、患難は忍耐を生み出し、 (J)

ローマ人への手紙 5:4 忍耐は錬達を生み出し、錬達は希望を生み出すことを、知っているからである。 (J)

ローマ人への手紙 5:5 そして、希望は失望に終ることはない。なぜなら、わたしたちに賜わっている聖霊によって、神の愛がわたしたちの心に注がれているからである。 (J)

ローマ人への手紙 5:6 わたしたちがまだ弱かったころ、キリストは、時いたって、不信心な者たちのために死んで下さったのである。 (J)

ローマ人への手紙 5:7 正しい人のために死ぬ者は、ほとんどいないであろう。善人のためには、進んで死ぬ者もあるいはいるであろう。 (J)

ローマ人への手紙 5:8 しかし、まだ罪人であった時、わたしたちのためにキリストが死んで下さったことによって、神はわたしたちに対する愛を示されたのである。 (J)

ローマ人への手紙 5:9 わたしたちは、キリストの血によって今は義とされているのだから、なおさら、彼によって神の怒りから救われるであろう。 (J)

ローマ人への手紙 5:10 もし、わたしたちが敵であった時でさえ、御子の死によって神との和解を受けたとすれば、和解を受けている今は、なおさら、彼のいのちによって救われるであろう。 (J)

ローマ人への手紙 5:11 そればかりではなく、わたしたちは、今や和解を得させて下さったわたしたちの主イエス・キリストによって、神を喜ぶのである。 (J)

ローマ人への手紙 5:12 このようなわけで、ひとりの人によって、罪がこの世にはいり、また罪によって死がはいってきたように、こうして、すべての人が罪を犯したので、死が全人類にはいり込んだのである。 (J)

ローマ人への手紙 5:13 というのは、律法以前にも罪は世にあったが、律法がなければ、罪は罪として認められないのである。 (J)

ローマ人への手紙 5:14 しかし、アダムからモーセまでの間においても、アダムの違反と同じような罪を犯さなかった者も、死の支配を免れなかった。このアダムは、きたるべき者の型である。 (J)

ローマ人への手紙 5:15 しかし、恵みの賜物は罪過の場合とは異なっている。すなわち、もしひとりの罪過のために多くの人が死んだとすれば、まして、神の恵みと、ひとりの人イエス・キリストの恵みによる賜物とは、さらに豊かに多くの人々に満ちあふれたはずではないか。 (J)

ローマ人への手紙 5:16 かつ、この賜物は、ひとりの犯した罪の結果とは異なっている。なぜなら、さばきの場合は、ひとりの罪過から、罪に定めることになったが、恵みの場合には、多くの人の罪過から、義とする結果になるからである。 (J)

ローマ人への手紙 5:17 もし、ひとりの罪過によって、そのひとりをとおして死が支配するに至ったとすれば、まして、あふれるばかりの恵みと義の賜物とを受けている者たちは、ひとりのイエス・キリストをとおし、いのちにあって、さらに力強く支配するはずではないか。 (J)

ローマ人への手紙 5:18 このようなわけで、ひとりの罪過によってすべての人が罪に定められたように、ひとりの義なる行為によって、いのちを得させる義がすべての人に及ぶのである。 (J)

ローマ人への手紙 5:19 すなわち、ひとりの人の不従順によって、多くの人が罪人とされたと同じように、ひとりの従順によって、多くの人が義人とされるのである。 (J)

ローマ人への手紙 5:20 律法がはいり込んできたのは、罪過の増し加わるためである。しかし、罪の増し加わったところには、恵みもますます満ちあふれた。 (J)

ローマ人への手紙 5:21 それは、罪が死によって支配するに至ったように、恵みもまた義によって支配し、わたしたちの主イエス・キリストにより、永遠のいのちを得させるためである。 (J)

ローマ人への手紙 6:1 では、わたしたちは、なんと言おうか。恵みが増し加わるために、罪にとどまるべきであろうか。 (J)

ローマ人への手紙 6:2 断じてそうではない。罪に対して死んだわたしたちが、どうして、なお、その中に生きておれるだろうか。 (J)

ローマ人への手紙 6:3 それとも、あなたがたは知らないのか。キリスト・イエスにあずかるバプテスマを受けたわたしたちは、彼の死にあずかるバプテスマを受けたのである。 (J)

ローマ人への手紙 6:4 すなわち、わたしたちは、その死にあずかるバプテスマによって、彼と共に葬られたのである。それは、キリストが父の栄光によって、死人の中からよみがえらされたように、わたしたちもまた、新しいいのちに生きるためである。 (J)

ローマ人への手紙 6:5 もしわたしたちが、彼に結びついてその死の様にひとしくなるなら、さらに、彼の復活の様にもひとしくなるであろう。 (J)

ローマ人への手紙 6:6 わたしたちは、この事を知っている。わたしたちの内の古き人はキリストと共に十字架につけられた。それは、この罪のからだが滅び、わたしたちがもはや、罪の奴隷となることがないためである。 (J)

ローマ人への手紙 6:7 それは、すでに死んだ者は、罪から解放されているからである。 (J)

ローマ人への手紙 6:8 もしわたしたちが、キリストと共に死んだなら、また彼と共に生きることを信じる。 (J)

ローマ人への手紙 6:9 キリストは死人の中からよみがえらされて、もはや死ぬことがなく、死はもはや彼を支配しないことを、知っているからである。 (J)

ローマ人への手紙 6:10 なぜなら、キリストが死んだのは、ただ一度罪に対して死んだのであり、キリストが生きるのは、神に生きるのだからである。 (J)

ローマ人への手紙 6:11 このように、あなたがた自身も、罪に対して死んだ者であり、キリスト・イエスにあって神に生きている者であることを、認むべきである。 (J)

ローマ人への手紙 6:12 だから、あなたがたの死ぬべきからだを罪の支配にゆだねて、その情欲に従わせることをせず、 (J)

ローマ人への手紙 6:13 また、あなたがたの肢体を不義の武器として罪にささげてはならない。むしろ、死人の中から生かされた者として、自分自身を神にささげ、自分の肢体を義の武器として神にささげるがよい。 (J)

ローマ人への手紙 6:14 なぜなら、あなたがたは律法の下にあるのではなく、恵みの下にあるので、罪に支配されることはないからである。 (J)

ローマ人への手紙 6:15 それでは、どうなのか。律法の下にではなく、恵みの下にあるからといって、わたしたちは罪を犯すべきであろうか。断じてそうではない。 (J)

ローマ人への手紙 6:16 あなたがたは知らないのか。あなたがた自身が、だれかの僕になって服従するなら、あなたがたは自分の服従するその者の僕であって、死に至る罪の僕ともなり、あるいは、義にいたる従順の僕ともなるのである。 (J)

ローマ人への手紙 6:17 しかし、神は感謝すべきかな。あなたがたは罪の僕であったが、伝えられた教の基準に心から服従して、 (J)

ローマ人への手紙 6:18 罪から解放され、義の僕となった。 (J)

ローマ人への手紙 6:19 わたしは人間的な言い方をするが、それは、あなたがたの肉の弱さのゆえである。あなたがたは、かつて自分の肢体を汚れと不法との僕としてささげて不法に陥ったように、今や自分の肢体を義の僕としてささげて、きよくならねばならない。 (J)

ローマ人への手紙 6:20 あなたがたが罪の僕であった時は、義とは縁のない者であった。 (J)

ローマ人への手紙 6:21 その時あなたがたは、どんな実を結んだのか。それは、今では恥とするようなものであった。それらのものの終極は、死である。 (J)

ローマ人への手紙 6:22 しかし今や、あなたがたは罪から解放されて神に仕え、きよきに至る実を結んでいる。その終極は永遠のいのちである。 (J)

ローマ人への手紙 6:23 罪の支払う報酬は死である。しかし神の賜物は、わたしたちの主キリスト・イエスにおける永遠のいのちである。 (J)

ローマ人への手紙 7:1 それとも、兄弟たちよ。あなたがたは知らないのか。わたしは律法を知っている人々に語るのであるが、律法は人をその生きている期間だけ支配するものである。 (J)

ローマ人への手紙 7:2 すなわち、夫のある女は、夫が生きている間は、律法によって彼につながれている。しかし、夫が死ねば、夫の律法から解放される。 (J)

ローマ人への手紙 7:3 であるから、夫の生存中に他の男に行けば、その女は淫婦と呼ばれるが、もし夫が死ねば、その律法から解かれるので、他の男に行っても、淫婦とはならない。 (J)

ローマ人への手紙 7:4 わたしの兄弟たちよ。このように、あなたがたも、キリストのからだをとおして、律法に対して死んだのである。それは、あなたがたが他の人、すなわち、死人の中からよみがえられたかたのものとなり、こうして、わたしたちが神のために実を結ぶに至るためなのである。 (J)

ローマ人への手紙 7:5 というのは、わたしたちが肉にあった時には、律法による罪の欲情が、死のために実を結ばせようとして、わたしたちの肢体のうちに働いていた。 (J)

ローマ人への手紙 7:6 しかし今は、わたしたちをつないでいたものに対して死んだので、わたしたちは律法から解放され、その結果、古い文字によってではなく、新しい霊によって仕えているのである。 (J)

ローマ人への手紙 7:7 それでは、わたしたちは、なんと言おうか。律法は罪なのか。断じてそうではない。しかし、律法によらなければ、わたしは罪を知らなかったであろう。すなわち、もし律法が「むさぼるな」と言わなかったら、わたしはむさぼりなるものを知らなかったであろう。 (J)

ローマ人への手紙 7:8 しかるに、罪は戒めによって機会を捕え、わたしの内に働いて、あらゆるむさぼりを起させた。すなわち、律法がなかったら、罪は死んでいるのである。 (J)

ローマ人への手紙 7:9 わたしはかつては、律法なしに生きていたが、戒めが来るに及んで、罪は生き返り、 (J)

ローマ人への手紙 7:10 わたしは死んだ。そして、いのちに導くべき戒めそのものが、かえってわたしを死に導いて行くことがわかった。 (J)

ローマ人への手紙 7:11 なぜなら、罪は戒めによって機会を捕え、わたしを欺き、戒めによってわたしを殺したからである。 (J)

ローマ人への手紙 7:12 このようなわけで、律法そのものは聖なるものであり、戒めも聖であって、正しく、かつ善なるものである。 (J)

ローマ人への手紙 7:13 では、善なるものが、わたしにとって死となったのか。断じてそうではない。それはむしろ、罪の罪たることが現れるための、罪のしわざである。すなわち、罪は、戒めによって、はなはだしく悪性なものとなるために、善なるものによってわたしを死に至らせたのである。 (J)

ローマ人への手紙 7:14 わたしたちは、律法は霊的なものであると知っている。しかし、わたしは肉につける者であって、罪の下に売られているのである。 (J)

ローマ人への手紙 7:15 わたしは自分のしていることが、わからない。なぜなら、わたしは自分の欲する事は行わず、かえって自分の憎む事をしているからである。 (J)

ローマ人への手紙 7:16 もし、自分の欲しない事をしているとすれば、わたしは律法が良いものであることを承認していることになる。 (J)

ローマ人への手紙 7:17 そこで、この事をしているのは、もはやわたしではなく、わたしの内に宿っている罪である。 (J)

ローマ人への手紙 7:18 わたしの内に、すなわち、わたしの肉の内には、善なるものが宿っていないことを、わたしは知っている。なぜなら、善をしようとする意志は、自分にあるが、それをする力がないからである。 (J)

ローマ人への手紙 7:19 すなわち、わたしの欲している善はしないで、欲していない悪は、これを行っている。 (J)

ローマ人への手紙 7:20 もし、欲しないことをしているとすれば、それをしているのは、もはやわたしではなく、わたしの内に宿っている罪である。 (J)

ローマ人への手紙 7:21 そこで、善をしようと欲しているわたしに、悪がはいり込んでいるという法則があるのを見る。 (J)

ローマ人への手紙 7:22 すなわち、わたしは、内なる人としては神の律法を喜んでいるが、 (J)

ローマ人への手紙 7:23 わたしの肢体には別の律法があって、わたしの心の法則に対して戦いをいどみ、そして、肢体に存在する罪の法則の中に、わたしをとりこにしているのを見る。 (J)

ローマ人への手紙 7:24 わたしは、なんというみじめな人間なのだろう。だれが、この死のからだから、わたしを救ってくれるだろうか。 (J)

ローマ人への手紙 7:25 わたしたちの主イエス・キリストによって、神は感謝すべきかな。このようにして、わたし自身は、心では神の律法に仕えているが、肉では罪の律法に仕えているのである。 (J)

ローマ人への手紙 8:1 こういうわけで、今やキリスト・イエスにある者は罪に定められることがない。 (J)

ローマ人への手紙 8:2 なぜなら、キリスト・イエスにあるいのちの御霊の法則は、罪と死との法則からあなたを解放したからである。 (J)

ローマ人への手紙 8:3 律法が肉により無力になっているためになし得なかった事を、神はなし遂げて下さった。すなわち、御子を、罪の肉の様で罪のためにつかわし、肉において罪を罰せられたのである。 (J)

ローマ人への手紙 8:4 これは律法の要求が、肉によらず霊によって歩くわたしたちにおいて、満たされるためである。 (J)

ローマ人への手紙 8:5 なぜなら、肉に従う者は肉のことを思い、霊に従う者は霊のことを思うからである。 (J)

ローマ人への手紙 8:6 肉の思いは死であるが、霊の思いは、いのちと平安とである。 (J)

ローマ人への手紙 8:7 なぜなら、肉の思いは神に敵するからである。すなわち、それは神の律法に従わず、否、従い得ないのである。 (J)

ローマ人への手紙 8:8 また、肉にある者は、神を喜ばせることができない。 (J)

ローマ人への手紙 8:9 しかし、神の御霊があなたがたの内に宿っているなら、あなたがたは肉におるのではなく、霊におるのである。もし、キリストの霊を持たない人がいるなら、その人はキリストのものではない。 (J)

ローマ人への手紙 8:10 もし、キリストがあなたがたの内におられるなら、からだは罪のゆえに死んでいても、霊は義のゆえに生きているのである。 (J)

ローマ人への手紙 8:11 もし、イエスを死人の中からよみがえらせたかたの御霊が、あなたがたの内に宿っているなら、キリスト・イエスを死人の中からよみがえらせたかたは、あなたがたの内に宿っている御霊によって、あなたがたの死ぬべきからだをも、生かしてくださるであろう。 (J)

ローマ人への手紙 8:12 それゆえに、兄弟たちよ。わたしたちは、果すべき責任を負っている者であるが、肉に従って生きる責任を肉に対して負っているのではない。 (J)

ローマ人への手紙 8:13 なぜなら、もし、肉に従って生きるなら、あなたがたは死ぬ外はないからである。しかし、霊によってからだの働きを殺すなら、あなたがたは生きるであろう。 (J)

ローマ人への手紙 8:14 すべて神の御霊に導かれている者は、すなわち、神の子である。 (J)

ローマ人への手紙 8:15 あなたがたは再び恐れをいだかせる奴隷の霊を受けたのではなく、子たる身分を授ける霊を受けたのである。その霊によって、わたしたちは「アバ、父よ」と呼ぶのである。 (J)

ローマ人への手紙 8:16 御霊みずから、わたしたちの霊と共に、わたしたちが神の子であることをあかしして下さる。 (J)

ローマ人への手紙 8:17 もし子であれば、相続人でもある。神の相続人であって、キリストと栄光を共にするために苦難をも共にしている以上、キリストと共同の相続人なのである。 (J)

ローマ人への手紙 8:18 わたしは思う。今のこの時の苦しみは、やがてわたしたちに現されようとする栄光に比べると、言うに足りない。 (J)

ローマ人への手紙 8:19 被造物は、実に、切なる思いで神の子たちの出現を待ち望んでいる。 (J)

ローマ人への手紙 8:20 なぜなら、被造物が虚無に服したのは、自分の意志によるのではなく、服従させたかたによるのであり、 (J)

ローマ人への手紙 8:21 かつ、被造物自身にも、滅びのなわめから解放されて、神の子たちの栄光の自由に入る望みが残されているからである。 (J)

ローマ人への手紙 8:22 実に、被造物全体が、今に至るまで、共にうめき共に産みの苦しみを続けていることを、わたしたちは知っている。 (J)

ローマ人への手紙 8:23 それだけではなく、御霊の最初の実を持っているわたしたち自身も、心の内でうめきながら、子たる身分を授けられること、すなわち、からだのあがなわれることを待ち望んでいる。 (J)

ローマ人への手紙 8:24 わたしたちは、この望みによって救われているのである。しかし、目に見える望みは望みではない。なぜなら、現に見ている事を、どうして、なお望む人があろうか。 (J)

ローマ人への手紙 8:25 もし、わたしたちが見ないことを望むなら、わたしたちは忍耐して、それを待ち望むのである。 (J)

ローマ人への手紙 8:26 御霊もまた同じように、弱いわたしたちを助けて下さる。なぜなら、わたしたちはどう祈ったらよいかわからないが、御霊みずから、言葉にあらわせない切なるうめきをもって、わたしたちのためにとりなして下さるからである。 (J)

ローマ人への手紙 8:27 そして、人の心を探り知るかたは、御霊の思うところがなんであるかを知っておられる。なぜなら、御霊は、聖徒のために、神の御旨にかなうとりなしをして下さるからである。 (J)

ローマ人への手紙 8:28 神は、神を愛する者たち、すなわち、ご計画に従って召された者たちと共に働いて、万事を益となるようにして下さることを、わたしたちは知っている。 (J)

ローマ人への手紙 8:29 神はあらかじめ知っておられる者たちを、更に御子のかたちに似たものとしようとして、あらかじめ定めて下さった。それは、御子を多くの兄弟の中で長子とならせるためであった。 (J)

ローマ人への手紙 8:30 そして、あらかじめ定めた者たちを更に召し、召した者たちを更に義とし、義とした者たちには、更に栄光を与えて下さったのである。 (J)

ローマ人への手紙 8:31 それでは、これらの事について、なんと言おうか。もし、神がわたしたちの味方であるなら、だれがわたしたちに敵し得ようか。 (J)

ローマ人への手紙 8:32 ご自身の御子をさえ惜しまないで、わたしたちすべての者のために死に渡されたかたが、どうして、御子のみならず万物をも賜わらないことがあろうか。 (J)

ローマ人への手紙 8:33 だれが、神の選ばれた者たちを訴えるのか。神は彼らを義とされるのである。 (J)

ローマ人への手紙 8:34 だれが、わたしたちを罪に定めるのか。キリスト・イエスは、死んで、否、よみがえって、神の右に座し、また、わたしたちのためにとりなして下さるのである。 (J)

ローマ人への手紙 8:35 だれが、キリストの愛からわたしたちを離れさせるのか。患難か、苦悩か、迫害か、飢えか、裸か、危難か、剣か。 (J)

ローマ人への手紙 8:36 「わたしたちはあなたのために終日、 死に定められており、 ほふられる羊のように見られている」 と書いてあるとおりである。 (J)

ローマ人への手紙 8:37 しかし、わたしたちを愛して下さったかたによって、わたしたちは、これらすべての事において勝ち得て余りがある。 (J)

ローマ人への手紙 8:38 わたしは確信する。死も生も、天使も支配者も、現在のものも将来のものも、力あるものも、 (J)

ローマ人への手紙 8:39 高いものも深いものも、その他どんな被造物も、わたしたちの主キリスト・イエスにおける神の愛から、わたしたちを引き離すことはできないのである。 (J)

ローマ人への手紙 9:1 わたしはキリストにあって真実を語る。偽りは言わない。わたしの良心も聖霊によって、わたしにこうあかしをしている。 (J)

ローマ人への手紙 9:2 すなわち、わたしに大きな悲しみがあり、わたしの心に絶えざる痛みがある。 (J)

ローマ人への手紙 9:3 実際、わたしの兄弟、肉による同族のためなら、わたしのこの身がのろわれて、キリストから離されてもいとわない。 (J)

ローマ人への手紙 9:4 彼らはイスラエル人であって、子たる身分を授けられることも、栄光も、もろもろの契約も、律法を授けられることも、礼拝も、数々の約束も彼らのもの、 (J)

ローマ人への手紙 9:5 また父祖たちも彼らのものであり、肉によればキリストもまた彼らから出られたのである。万物の上にいます神は、永遠にほむべきかな、アァメン。 (J)

ローマ人への手紙 9:6 しかし、神の言が無効になったというわけではない。なぜなら、イスラエルから出た者が全部イスラエルなのではなく、 (J)

ローマ人への手紙 9:7 また、アブラハムの子孫だからといって、その全部が子であるのではないからである。かえって「イサクから出る者が、あなたの子孫と呼ばれるであろう」。 (J)

ローマ人への手紙 9:8 すなわち、肉の子がそのまま神の子なのではなく、むしろ約束の子が子孫として認められるのである。 (J)

ローマ人への手紙 9:9 約束の言葉はこうである。「来年の今ごろ、わたしはまた来る。そして、サラに男子が与えられるであろう」。 (J)

ローマ人への手紙 9:10 そればかりではなく、ひとりの人、すなわち、わたしたちの父祖イサクによって受胎したリベカの場合も、また同様である。 (J)

ローマ人への手紙 9:11 まだ子供らが生れもせず、善も悪もしない先に、神の選びの計画が、 (J)

ローマ人への手紙 9:12 わざによらず、召したかたによって行われるために、「兄は弟に仕えるであろう」と、彼女に仰せられたのである。 (J)

ローマ人への手紙 9:13 「わたしはヤコブを愛しエサウを憎んだ」と書いてあるとおりである。 (J)

ローマ人への手紙 9:14 では、わたしたちはなんと言おうか。神の側に不正があるのか。断じてそうではない。 (J)

ローマ人への手紙 9:15 神はモーセに言われた、「わたしは自分のあわれもうとする者をあわれみ、いつくしもうとする者を、いつくしむ」。 (J)

ローマ人への手紙 9:16 ゆえに、それは人間の意志や努力によるのではなく、ただ神のあわれみによるのである。 (J)

ローマ人への手紙 9:17 聖書はパロにこう言っている、「わたしがあなたを立てたのは、この事のためである。すなわち、あなたによってわたしの力をあらわし、また、わたしの名が全世界に言いひろめられるためである」。 (J)

ローマ人への手紙 9:18 だから、神はそのあわれもうと思う者をあわれみ、かたくなにしようと思う者を、かたくなになさるのである。 (J)

ローマ人への手紙 9:19 そこで、あなたは言うであろう、「なぜ神は、なおも人を責められるのか。だれが、神の意図に逆らい得ようか」。 (J)

ローマ人への手紙 9:20 ああ人よ。あなたは、神に言い逆らうとは、いったい、何者なのか。造られたものが造った者に向かって、「なぜ、わたしをこのように造ったのか」と言うことがあろうか。 (J)

ローマ人への手紙 9:21 陶器を造る者は、同じ土くれから、一つを尊い器に、他を卑しい器に造りあげる権能がないのであろうか。 (J)

ローマ人への手紙 9:22 もし、神が怒りをあらわし、かつ、ご自身の力を知らせようと思われつつも、滅びることになっている怒りの器を、大いなる寛容をもって忍ばれたとすれば、 (J)

ローマ人への手紙 9:23 かつ、栄光にあずからせるために、あらかじめ用意されたあわれみの器にご自身の栄光の富を知らせようとされたとすれば、どうであろうか。 (J)

ローマ人への手紙 9:24 神は、このあわれみの器として、またわたしたちをも、ユダヤ人の中からだけではなく、異邦人の中からも召されたのである。 (J)

ローマ人への手紙 9:25 それは、ホセアの書でも言われているとおりである、 「わたしは、わたしの民でない者を、 わたしの民と呼び、 愛されなかった者を、愛される者と呼ぶであろう。 (J)

ローマ人への手紙 9:26 あなたがたはわたしの民ではないと、 彼らに言ったその場所で、 彼らは生ける神の子らであると、 呼ばれるであろう」。 (J)

ローマ人への手紙 9:27 また、イザヤはイスラエルについて叫んでいる、 「たとい、イスラエルの子らの数は、 浜の砂のようであっても、 救われるのは、残された者だけであろう。 (J)

ローマ人への手紙 9:28 主は、御言をきびしくまたすみやかに、 地上になしとげられるであろう」。 (J)

ローマ人への手紙 9:29 さらに、イザヤは預言した、 「もし、万軍の主がわたしたちに 子孫を残されなかったなら、 わたしたちはソドムのようになり、 ゴモラと同じようになったであろう」。 (J)

ローマ人への手紙 9:30 では、わたしたちはなんと言おうか。義を追い求めなかった異邦人は、義、すなわち、信仰による義を得た。 (J)

ローマ人への手紙 9:31 しかし、義の律法を追い求めていたイスラエルは、その律法に達しなかった。 (J)

ローマ人への手紙 9:32 なぜであるか。信仰によらないで、行いによって得られるかのように、追い求めたからである。彼らは、つまずきの石につまずいたのである。 (J)

ローマ人への手紙 9:33 「見よ、わたしはシオンに、 つまずきの石、さまたげの岩を置く。 それにより頼む者は、失望に終ることがない」 と書いてあるとおりである。 (J)

ローマ人への手紙 10:1 兄弟たちよ。わたしの心の願い、彼らのために神にささげる祈は、彼らが救われることである。 (J)

ローマ人への手紙 10:2 わたしは、彼らが神に対して熱心であることはあかしするが、その熱心は深い知識によるものではない。 (J)

ローマ人への手紙 10:3 なぜなら、彼らは神の義を知らないで、自分の義を立てようと努め、神の義に従わなかったからである。 (J)

ローマ人への手紙 10:4 キリストは、すべて信じる者に義を得させるために、律法の終りとなられたのである。 (J)

ローマ人への手紙 10:5 モーセは、律法による義を行う人は、その義によって生きる、と書いている。 (J)

ローマ人への手紙 10:6 しかし、信仰による義は、こう言っている、「あなたは心のうちで、だれが天に上るであろうかと言うな」。それは、キリストを引き降ろすことである。 (J)

ローマ人への手紙 10:7 また、「だれが底知れぬ所に下るであろうかと言うな」。それは、キリストを死人の中から引き上げることである。 (J)

ローマ人への手紙 10:8 では、なんと言っているか。「言葉はあなたの近くにある。あなたの口にあり、心にある」。この言葉とは、わたしたちが宣べ伝えている信仰の言葉である。 (J)

ローマ人への手紙 10:9 すなわち、自分の口で、イエスは主であると告白し、自分の心で、神が死人の中からイエスをよみがえらせたと信じるなら、あなたは救われる。 (J)

ローマ人への手紙 10:10 なぜなら、人は心に信じて義とされ、口で告白して救われるからである。 (J)

ローマ人への手紙 10:11 聖書は、「すべて彼を信じる者は、失望に終ることがない」と言っている。 (J)

ローマ人への手紙 10:12 ユダヤ人とギリシヤ人との差別はない。同一の主が万民の主であって、彼を呼び求めるすべての人を豊かに恵んで下さるからである。 (J)

ローマ人への手紙 10:13 なぜなら、「主の御名を呼び求める者は、すべて救われる」とあるからである。 (J)

ローマ人への手紙 10:14 しかし、信じたことのない者を、どうして呼び求めることがあろうか。聞いたことのない者を、どうして信じることがあろうか。宣べ伝える者がいなくては、どうして聞くことがあろうか。 (J)

ローマ人への手紙 10:15 つかわされなくては、どうして宣べ伝えることがあろうか。「ああ、麗しいかな、良きおとずれを告げる者の足は」と書いてあるとおりである。 (J)

ローマ人への手紙 10:16 しかし、すべての人が福音に聞き従ったのではない。イザヤは、「主よ、だれがわたしたちから聞いたことを信じましたか」と言っている。 (J)

ローマ人への手紙 10:17 したがって、信仰は聞くことによるのであり、聞くことはキリストの言葉から来るのである。 (J)

ローマ人への手紙 10:18 しかしわたしは言う、彼らには聞えなかったのであろうか。否、むしろ 「その声は全地にひびきわたり、 その言葉は世界のはてにまで及んだ」。 (J)

ローマ人への手紙 10:19 なお、わたしは言う、イスラエルは知らなかったのであろうか。まずモーセは言っている、 「わたしはあなたがたに、 国民でない者に対してねたみを起させ、 無知な国民に対して、 怒りをいだかせるであろう」。 (J)

ローマ人への手紙 10:20 イザヤも大胆に言っている、 「わたしは、わたしを求めない者たちに見いだされ、 わたしを尋ねない者に、自分を現した」。 (J)

ローマ人への手紙 10:21 そして、イスラエルについては、 「わたしは服従せずに反抗する民に、 終日わたしの手をさし伸べていた」 と言っている。 (J)

ローマ人への手紙 11:1 そこで、わたしは問う、「神はその民を捨てたのであろうか」。断じてそうではない。わたしもイスラエル人であり、アブラハムの子孫、ベニヤミン族の者である。 (J)

ローマ人への手紙 11:2 神は、あらかじめ知っておられたその民を、捨てることはされなかった。聖書がエリヤについてなんと言っているか、あなたがたは知らないのか。すなわち、彼はイスラエルを神に訴えてこう言った。 (J)

ローマ人への手紙 11:3 「主よ、彼らはあなたの預言者たちを殺し、あなたの祭壇をこぼち、そして、わたしひとりが取り残されたのに、彼らはわたしのいのちをも求めています」。 (J)

ローマ人への手紙 11:4 しかし、彼に対する御告げはなんであったか、「バアルにひざをかがめなかった七千人を、わたしのために残しておいた」。 (J)

ローマ人への手紙 11:5 それと同じように、今の時にも、恵みの選びによって残された者がいる。 (J)

ローマ人への手紙 11:6 しかし、恵みによるのであれば、もはや行いによるのではない。そうでないと、恵みはもはや恵みでなくなるからである。 (J)

ローマ人への手紙 11:7 では、どうなるのか。イスラエルはその追い求めているものを得ないで、ただ選ばれた者が、それを得た。そして、他の者たちはかたくなになった。 (J)

ローマ人への手紙 11:8 「神は、彼らに鈍い心と、 見えない目と、聞えない耳とを与えて、 きょう、この日に及んでいる」 と書いてあるとおりである。 (J)

ローマ人への手紙 11:9 ダビデもまた言っている、 「彼らの食卓は、彼らのわなとなれ、網となれ、 つまずきとなれ、報復となれ。 (J)

ローマ人への手紙 11:10 彼らの目は、くらんで見えなくなれ、 彼らの背は、いつまでも曲っておれ」。 (J)

ローマ人への手紙 11:11 そこで、わたしは問う、「彼らがつまずいたのは、倒れるためであったのか」。断じてそうではない。かえって、彼らの罪過によって、救が異邦人に及び、それによってイスラエルを奮起させるためである。 (J)

ローマ人への手紙 11:12 しかし、もし、彼らの罪過が世の富となり、彼らの失敗が異邦人の富となったとすれば、まして彼らが全部救われたなら、どんなにかすばらしいことであろう。 (J)

ローマ人への手紙 11:13 そこでわたしは、あなたがた異邦人に言う。わたし自身は異邦人の使徒なのであるから、わたしの務を光栄とし、 (J)

ローマ人への手紙 11:14 どうにかしてわたしの骨肉を奮起させ、彼らの幾人かを救おうと願っている。 (J)

ローマ人への手紙 11:15 もし彼らの捨てられたことが世の和解となったとすれば、彼らの受けいれられることは、死人の中から生き返ることではないか。 (J)

ローマ人への手紙 11:16 もし、麦粉の初穂がきよければ、そのかたまりもきよい。もし根がきよければ、その枝もきよい。 (J)

ローマ人への手紙 11:17 しかし、もしある枝が切り去られて、野生のオリブであるあなたがそれにつがれ、オリブの根の豊かな養分にあずかっているとすれば、 (J)

ローマ人への手紙 11:18 あなたはその枝に対して誇ってはならない。たとえ誇るとしても、あなたが根をささえているのではなく、根があなたをささえているのである。 (J)

ローマ人への手紙 11:19 すると、あなたは、「枝が切り去られたのは、わたしがつがれるためであった」と言うであろう。 (J)

ローマ人への手紙 11:20 まさに、そのとおりである。彼らは不信仰のゆえに切り去られ、あなたは信仰のゆえに立っているのである。高ぶった思いをいだかないで、むしろ恐れなさい。 (J)

ローマ人への手紙 11:21 もし神が元木の枝を惜しまなかったとすれば、あなたを惜しむようなことはないであろう。 (J)

ローマ人への手紙 11:22 神の慈愛と峻厳とを見よ。神の峻厳は倒れた者たちに向けられ、神の慈愛は、もしあなたがその慈愛にとどまっているなら、あなたに向けられる。そうでないと、あなたも切り取られるであろう。 (J)

ローマ人への手紙 11:23 しかし彼らも、不信仰を続けなければ、つがれるであろう。神には彼らを再びつぐ力がある。 (J)

ローマ人への手紙 11:24 なぜなら、もしあなたが自然のままの野生のオリブから切り取られ、自然の性質に反して良いオリブにつがれたとすれば、まして、これら自然のままの良い枝は、もっとたやすく、元のオリブにつがれないであろうか。 (J)

ローマ人への手紙 11:25 兄弟たちよ。あなたがたが知者だと自負することのないために、この奥義を知らないでいてもらいたくない。一部のイスラエル人がかたくなになったのは、異邦人が全部救われるに至る時までのことであって、 (J)

ローマ人への手紙 11:26 こうして、イスラエル人は、すべて救われるであろう。すなわち、次のように書いてある、 「救う者がシオンからきて、 ヤコブから不信心を追い払うであろう。 (J)

ローマ人への手紙 11:27 そして、これが、彼らの罪を除き去る時に、 彼らに対して立てるわたしの契約である」。 (J)

ローマ人への手紙 11:28 福音について言えば、彼らは、あなたがたのゆえに、神の敵とされているが、選びについて言えば、父祖たちのゆえに、神に愛せられる者である。 (J)

ローマ人への手紙 11:29 神の賜物と召しとは、変えられることがない。 (J)

ローマ人への手紙 11:30 あなたがたが、かつては神に不従順であったが、今は彼らの不従順によってあわれみを受けたように、 (J)

ローマ人への手紙 11:31 彼らも今は不従順になっているが、それは、あなたがたの受けたあわれみによって、彼ら自身も今あわれみを受けるためなのである。 (J)

ローマ人への手紙 11:32 すなわち、神はすべての人をあわれむために、すべての人を不従順のなかに閉じ込めたのである。 (J)

ローマ人への手紙 11:33 ああ深いかな、神の知恵と知識との富は。そのさばきは窮めがたく、その道は測りがたい。 (J)

ローマ人への手紙 11:34 「だれが、主の心を知っていたか。 だれが、主の計画にあずかったか。 (J)

ローマ人への手紙 11:35 また、だれが、まず主に与えて、 その報いを受けるであろうか」。 (J)

ローマ人への手紙 11:36 万物は、神からいで、神によって成り、神に帰するのである。栄光がとこしえに神にあるように、アァメン。 (J)

ローマ人への手紙 12:1 兄弟たちよ。そういうわけで、神のあわれみによってあなたがたに勧める。あなたがたのからだを、神に喜ばれる、生きた、聖なる供え物としてささげなさい。それが、あなたがたのなすべき霊的な礼拝である。 (J)

ローマ人への手紙 12:2 あなたがたは、この世と妥協してはならない。むしろ、心を新たにすることによって、造りかえられ、何が神の御旨であるか、何が善であって、神に喜ばれ、かつ全きことであるかを、わきまえ知るべきである。 (J)

ローマ人への手紙 12:3 わたしは、自分に与えられた恵みによって、あなたがたひとりびとりに言う。思うべき限度を越えて思いあがることなく、むしろ、神が各自に分け与えられた信仰の量りにしたがって、慎み深く思うべきである。 (J)

ローマ人への手紙 12:4 なぜなら、一つのからだにたくさんの肢体があるが、それらの肢体がみな同じ働きをしてはいないように、 (J)

ローマ人への手紙 12:5 わたしたちも数は多いが、キリストにあって一つのからだであり、また各自は互に肢体だからである。 (J)

ローマ人への手紙 12:6 このように、わたしたちは与えられた恵みによって、それぞれ異なった賜物を持っているので、もし、それが預言であれば、信仰の程度に応じて預言をし、 (J)

ローマ人への手紙 12:7 奉仕であれば奉仕をし、また教える者であれば教え、 (J)

ローマ人への手紙 12:8 勧めをする者であれば勧め、寄附する者は惜しみなく寄附し、指導する者は熱心に指導し、慈善をする者は快く慈善をすべきである。 (J)

ローマ人への手紙 12:9 愛には偽りがあってはならない。悪は憎み退け、善には親しみ結び、 (J)

ローマ人への手紙 12:10 兄弟の愛をもって互にいつくしみ、進んで互に尊敬し合いなさい。 (J)

ローマ人への手紙 12:11 熱心で、うむことなく、霊に燃え、主に仕え、 (J)

ローマ人への手紙 12:12 望みをいだいて喜び、患難に耐え、常に祈りなさい。 (J)

ローマ人への手紙 12:13 貧しい聖徒を助け、努めて旅人をもてなしなさい。 (J)

ローマ人への手紙 12:14 あなたがたを迫害する者を祝福しなさい。祝福して、のろってはならない。 (J)

ローマ人への手紙 12:15 喜ぶ者と共に喜び、泣く者と共に泣きなさい。 (J)

ローマ人への手紙 12:16 互に思うことをひとつにし、高ぶった思いをいだかず、かえって低い者たちと交わるがよい。自分が知者だと思いあがってはならない。 (J)

ローマ人への手紙 12:17 だれに対しても悪をもって悪に報いず、すべての人に対して善を図りなさい。 (J)

ローマ人への手紙 12:18 あなたがたは、できる限りすべての人と平和に過ごしなさい。 (J)

ローマ人への手紙 12:19 愛する者たちよ。自分で復讐をしないで、むしろ、神の怒りに任せなさい。なぜなら、「主が言われる。復讐はわたしのすることである。わたし自身が報復する」と書いてあるからである。 (J)

ローマ人への手紙 12:20 むしろ、「もしあなたの敵が飢えるなら、彼に食わせ、かわくなら、彼に飲ませなさい。そうすることによって、あなたは彼の頭に燃えさかる炭火を積むことになるのである」。 (J)

ローマ人への手紙 12:21 悪に負けてはいけない。かえって、善をもって悪に勝ちなさい。 (J)

ローマ人への手紙 13:1 すべての人は、上に立つ権威に従うべきである。なぜなら、神によらない権威はなく、おおよそ存在している権威は、すべて神によって立てられたものだからである。 (J)

ローマ人への手紙 13:2 したがって、権威に逆らう者は、神の定めにそむく者である。そむく者は、自分の身にさばきを招くことになる。 (J)

ローマ人への手紙 13:3 いったい、支配者たちは、善事をする者には恐怖でなく、悪事をする者にこそ恐怖である。あなたは権威を恐れないことを願うのか。それでは、善事をするがよい。そうすれば、彼からほめられるであろう。 (J)

ローマ人への手紙 13:4 彼は、あなたに益を与えるための神の僕なのである。しかし、もしあなたが悪事をすれば、恐れなければならない。彼はいたずらに剣を帯びているのではない。彼は神の僕であって、悪事を行う者に対しては、怒りをもって報いるからである。 (J)

ローマ人への手紙 13:5 だから、ただ怒りをのがれるためだけではなく、良心のためにも従うべきである。 (J)

ローマ人への手紙 13:6 あなたがたが貢を納めるのも、また同じ理由からである。彼らは神に仕える者として、もっぱらこの務に携わっているのである。 (J)

ローマ人への手紙 13:7 あなたがたは、彼らすべてに対して、義務を果しなさい。すなわち、貢を納むべき者には貢を納め、税を納むべき者には税を納め、恐るべき者は恐れ、敬うべき者は敬いなさい。 (J)

ローマ人への手紙 13:8 互に愛し合うことの外は、何人にも借りがあってはならない。人を愛する者は、律法を全うするのである。 (J)

ローマ人への手紙 13:9 「姦淫するな、殺すな、盗むな、むさぼるな」など、そのほかに、どんな戒めがあっても、結局「自分を愛するようにあなたの隣り人を愛せよ」というこの言葉に帰する。 (J)

ローマ人への手紙 13:10 愛は隣り人に害を加えることはない。だから、愛は律法を完成するものである。 (J)

ローマ人への手紙 13:11 なお、あなたがたは時を知っているのだから、特に、この事を励まねばならない。すなわち、あなたがたの眠りからさめるべき時が、すでにきている。なぜなら今は、わたしたちの救が、初め信じた時よりも、もっと近づいているからである。 (J)

ローマ人への手紙 13:12 夜はふけ、日が近づいている。それだから、わたしたちは、やみのわざを捨てて、光の武具を着けようではないか。 (J)

ローマ人への手紙 13:13 そして、宴楽と泥酔、淫乱と好色、争いとねたみを捨てて、昼歩くように、つつましく歩こうではないか。 (J)

ローマ人への手紙 13:14 あなたがたは、主イエス・キリストを着なさい。肉の欲を満たすことに心を向けてはならない。 (J)

ローマ人への手紙 14:1 信仰の弱い者を受けいれなさい。ただ、意見を批評するためであってはならない。 (J)

ローマ人への手紙 14:2 ある人は、何を食べてもさしつかえないと信じているが、弱い人は野菜だけを食べる。 (J)

ローマ人への手紙 14:3 食べる者は食べない者を軽んじてはならず、食べない者も食べる者をさばいてはならない。神は彼を受けいれて下さったのであるから。 (J)

ローマ人への手紙 14:4 他人の僕をさばくあなたは、いったい、何者であるか。彼が立つのも倒れるのも、その主人によるのである。しかし、彼は立つようになる。主は彼を立たせることができるからである。 (J)

ローマ人への手紙 14:5 また、ある人は、この日がかの日よりも大事であると考え、ほかの人はどの日も同じだと考える。各自はそれぞれ心の中で、確信を持っておるべきである。 (J)

ローマ人への手紙 14:6 日を重んじる者は、主のために重んじる。また食べる者も主のために食べる。神に感謝して食べるからである。食べない者も主のために食べない。そして、神に感謝する。 (J)

ローマ人への手紙 14:7 すなわち、わたしたちのうち、だれひとり自分のために生きる者はなく、だれひとり自分のために死ぬ者はない。 (J)

ローマ人への手紙 14:8 わたしたちは、生きるのも主のために生き、死ぬのも主のために死ぬ。だから、生きるにしても死ぬにしても、わたしたちは主のものなのである。 (J)

ローマ人への手紙 14:9 なぜなら、キリストは、死者と生者との主となるために、死んで生き返られたからである。 (J)

ローマ人への手紙 14:10 それだのに、あなたは、なぜ兄弟をさばくのか。あなたは、なぜ兄弟を軽んじるのか。わたしたちはみな、神のさばきの座の前に立つのである。 (J)

ローマ人への手紙 14:11 すなわち、 「主が言われる。わたしは生きている。 すべてのひざは、わたしに対してかがみ、 すべての舌は、神にさんびをささげるであろう」 と書いてある。 (J)

ローマ人への手紙 14:12 だから、わたしたちひとりびとりは、神に対して自分の言いひらきをすべきである。 (J)

ローマ人への手紙 14:13 それゆえ、今後わたしたちは、互にさばき合うことをやめよう。むしろ、あなたがたは、妨げとなる物や、つまずきとなる物を兄弟の前に置かないことに、決めるがよい。 (J)

ローマ人への手紙 14:14 わたしは、主イエスにあって知りかつ確信している。それ自体、汚れているものは一つもない。ただ、それが汚れていると考える人にだけ、汚れているのである。 (J)

ローマ人への手紙 14:15 もし食物のゆえに兄弟を苦しめるなら、あなたは、もはや愛によって歩いているのではない。あなたの食物によって、兄弟を滅ぼしてはならない。キリストは彼のためにも、死なれたのである。 (J)

ローマ人への手紙 14:16 それだから、あなたがたにとって良い事が、そしりの種にならぬようにしなさい。 (J)

ローマ人への手紙 14:17 神の国は飲食ではなく、義と、平和と、聖霊における喜びとである。 (J)

ローマ人への手紙 14:18 こうしてキリストに仕える者は、神に喜ばれ、かつ、人にも受けいれられるのである。 (J)

ローマ人への手紙 14:19 こういうわけで、平和に役立つことや、互の徳を高めることを、追い求めようではないか。 (J)

ローマ人への手紙 14:20 食物のことで、神のみわざを破壊してはならない。すべての物はきよい。ただ、それを食べて人をつまずかせる者には、悪となる。 (J)

ローマ人への手紙 14:21 肉を食わず、酒を飲まず、そのほか兄弟をつまずかせないのは、良いことである。 (J)

ローマ人への手紙 14:22 あなたの持っている信仰を、神のみまえに、自分自身に持っていなさい。自ら良いと定めたことについて、やましいと思わない人は、さいわいである。 (J)

ローマ人への手紙 14:23 しかし、疑いながら食べる者は、信仰によらないから、罪に定められる。すべて信仰によらないことは、罪である。 (J)

ローマ人への手紙 15:1 わたしたち強い者は、強くない者たちの弱さをになうべきであって、自分だけを喜ばせることをしてはならない。 (J)

ローマ人への手紙 15:2 わたしたちひとりびとりは、隣り人の徳を高めるために、その益を図って彼らを喜ばすべきである。 (J)

ローマ人への手紙 15:3 キリストさえ、ご自身を喜ばせることはなさらなかった。むしろ「あなたをそしる者のそしりが、わたしに降りかかった」と書いてあるとおりであった。 (J)

ローマ人への手紙 15:4 これまでに書かれた事がらは、すべてわたしたちの教のために書かれたのであって、それは聖書の与える忍耐と慰めとによって、望みをいだかせるためである。 (J)

ローマ人への手紙 15:5 どうか、忍耐と慰めとの神が、あなたがたに、キリスト・イエスにならって互に同じ思いをいだかせ、 (J)

ローマ人への手紙 15:6 こうして、心を一つにし、声を合わせて、わたしたちの主イエス・キリストの父なる神をあがめさせて下さるように。 (J)

ローマ人への手紙 15:7 こういうわけで、キリストもわたしたちを受けいれて下さったように、あなたがたも互に受けいれて、神の栄光をあらわすべきである。 (J)

ローマ人への手紙 15:8 わたしは言う、キリストは神の真実を明らかにするために、割礼のある者の僕となられた。それは父祖たちの受けた約束を保証すると共に、 (J)

ローマ人への手紙 15:9 異邦人もあわれみを受けて神をあがめるようになるためである、 「それゆえ、わたしは、異邦人の中で あなたにさんびをささげ、 また、御名をほめ歌う」 と書いてあるとおりである。 (J)

ローマ人への手紙 15:10 また、こう言っている、 「異邦人よ、主の民と共に喜べ」。 (J)

ローマ人への手紙 15:11 また、 「すべての異邦人よ、主をほめまつれ。 もろもろの民よ、主をほめたたえよ」。 (J)

ローマ人への手紙 15:12 またイザヤは言っている、 「エッサイの根から芽が出て、 異邦人を治めるために立ち上がる者が来る。 異邦人は彼に望みをおくであろう」。 (J)

ローマ人への手紙 15:13 どうか、望みの神が、信仰から来るあらゆる喜びと平安とを、あなたがたに満たし、聖霊の力によって、あなたがたを、望みにあふれさせて下さるように。 (J)

ローマ人への手紙 15:14 さて、わたしの兄弟たちよ。あなたがた自身が、善意にあふれ、あらゆる知恵に満たされ、そして互に訓戒し合う力のあることを、わたしは堅く信じている。 (J)

ローマ人への手紙 15:15 しかし、わたしはあなたがたの記憶を新たにするために、ところどころ、かなり思いきって書いた。それは、神からわたしに賜わった恵みによって、書いたのである。 (J)

ローマ人への手紙 15:16 このように恵みを受けたのは、わたしが異邦人のためにキリスト・イエスに仕える者となり、神の福音のために祭司の役を勤め、こうして異邦人を、聖霊によってきよめられた、御旨にかなうささげ物とするためである。 (J)

ローマ人への手紙 15:17 だから、わたしは神への奉仕については、キリスト・イエスにあって誇りうるのである。 (J)

ローマ人への手紙 15:18 わたしは、異邦人を従順にするために、キリストがわたしを用いて、言葉とわざ、 (J)

ローマ人への手紙 15:19 しるしと不思議との力、聖霊の力によって、働かせて下さったことの外には、あえて何も語ろうとは思わない。こうして、わたしはエルサレムから始まり、巡りめぐってイルリコに至るまで、キリストの福音を満たしてきた。 (J)

ローマ人への手紙 15:20 その際、わたしの切に望んだところは、他人の土台の上に建てることをしないで、キリストの御名がまだ唱えられていない所に福音を宣べ伝えることであった。 (J)

ローマ人への手紙 15:21 すなわち、 「彼のことを宣べ伝えられていなかった人々が見、 聞いていなかった人々が悟るであろう」 と書いてあるとおりである。 (J)

ローマ人への手紙 15:22 こういうわけで、わたしはあなたがたの所に行くことを、たびたび妨げられてきた。 (J)

ローマ人への手紙 15:23 しかし今では、この地方にはもはや働く余地がなく、かつイスパニヤに赴く場合、あなたがたの所に行くことを、多年、熱望していたので、―― (J)

ローマ人への手紙 15:24 その途中あなたがたに会い、まず幾分でもわたしの願いがあなたがたによって満たされたら、あなたがたに送られてそこへ行くことを、望んでいるのである。 (J)

ローマ人への手紙 15:25 しかし今の場合、聖徒たちに仕えるために、わたしはエルサレムに行こうとしている。 (J)

ローマ人への手紙 15:26 なぜなら、マケドニヤとアカヤとの人々は、エルサレムにおる聖徒の中の貧しい人々を援助することに賛成したからである。 (J)

ローマ人への手紙 15:27 たしかに、彼らは賛成した。しかし同時に、彼らはかの人々に負債がある。というのは、もし異邦人が彼らの霊の物にあずかったとすれば、肉の物をもって彼らに仕えるのは、当然だからである。 (J)

ローマ人への手紙 15:28 そこでわたしは、この仕事を済ませて彼らにこの実を手渡した後、あなたがたの所をとおって、イスパニヤに行こうと思う。 (J)

ローマ人への手紙 15:29 そしてあなたがたの所に行く時には、キリストの満ちあふれる祝福をもって行くことと、信じている。 (J)

ローマ人への手紙 15:30 兄弟たちよ。わたしたちの主イエス・キリストにより、かつ御霊の愛によって、あなたがたにお願いする。どうか、共に力をつくして、わたしのために神に祈ってほしい。 (J)

ローマ人への手紙 15:31 すなわち、わたしがユダヤにおる不信の徒から救われ、そしてエルサレムに対するわたしの奉仕が聖徒たちに受けいれられるものとなるように、 (J)

ローマ人への手紙 15:32 また、神の御旨により、喜びをもってあなたがたの所に行き、共になぐさめ合うことができるように祈ってもらいたい。 (J)

ローマ人への手紙 15:33 どうか、平和の神があなたがた一同と共にいますように、アァメン。 (J)

ローマ人への手紙 16:1 ケンクレヤにある教会の執事、わたしたちの姉妹フィベを、あなたがたに紹介する。 (J)

ローマ人への手紙 16:2 どうか、聖徒たるにふさわしく、主にあって彼女を迎え、そして、彼女があなたがたにしてもらいたいことがあれば、何事でも、助けてあげてほしい。彼女は多くの人の援助者であり、またわたし自身の援助者でもあった。 (J)

ローマ人への手紙 16:3 キリスト・イエスにあるわたしの同労者プリスカとアクラとに、よろしく言ってほしい。 (J)

ローマ人への手紙 16:4 彼らは、わたしのいのちを救うために、自分の首をさえ差し出してくれたのである。彼らに対しては、わたしだけではなく、異邦人のすべての教会も、感謝している。 (J)

ローマ人への手紙 16:5 また、彼らの家の教会にも、よろしく。わたしの愛するエパネトに、よろしく言ってほしい。彼は、キリストにささげられたアジヤの初穂である。 (J)

ローマ人への手紙 16:6 あなたがたのために一方ならず労苦したマリヤに、よろしく言ってほしい。 (J)

ローマ人への手紙 16:7 わたしの同族であって、わたしと一緒に投獄されたことのあるアンデロニコとユニアスとに、よろしく。彼らは使徒たちの間で評判がよく、かつ、わたしよりも先にキリストを信じた人々である。 (J)

ローマ人への手紙 16:8 主にあって愛するアムプリアトに、よろしく。 (J)

ローマ人への手紙 16:9 キリストにあるわたしたちの同労者ウルバノと、愛するスタキスとに、よろしく。 (J)

ローマ人への手紙 16:10 キリストにあって錬達なアペレに、よろしく。アリストブロの家の人たちに、よろしく。 (J)

ローマ人への手紙 16:11 同族のヘロデオンに、よろしく。ナルキソの家の、主にある人たちに、よろしく。 (J)

ローマ人への手紙 16:12 主にあって労苦しているツルパナとツルポサとに、よろしく。主にあって一方ならず労苦した愛するペルシスに、よろしく。 (J)

ローマ人への手紙 16:13 主にあって選ばれたルポスと、彼の母とに、よろしく。彼の母は、わたしの母でもある。 (J)

ローマ人への手紙 16:14 アスンクリト、フレゴン、ヘルメス、パトロバ、ヘルマスおよび彼らと一緒にいる兄弟たちに、よろしく。 (J)

ローマ人への手紙 16:15 ピロロゴとユリヤとに、またネレオとその姉妹とに、オルンパに、また彼らと一緒にいるすべての聖徒たちに、よろしく言ってほしい。 (J)

ローマ人への手紙 16:16 きよい接吻をもって、互にあいさつをかわしなさい。キリストのすべての教会から、あなたがたによろしく。 (J)

ローマ人への手紙 16:17 さて兄弟たちよ。あなたがたに勧告する。あなたがたが学んだ教にそむいて分裂を引き起し、つまずきを与える人々を警戒し、かつ彼らから遠ざかるがよい。 (J)

ローマ人への手紙 16:18 なぜなら、こうした人々は、わたしたちの主キリストに仕えないで、自分の腹に仕え、そして甘言と美辞とをもって、純朴な人々の心を欺く者どもだからである。 (J)

ローマ人への手紙 16:19 あなたがたの従順は、すべての人々の耳に達しており、それをあなたがたのために喜んでいる。しかし、わたしの願うところは、あなたがたが善にさとく、悪には、うとくあってほしいことである。 (J)

ローマ人への手紙 16:20 平和の神は、サタンをすみやかにあなたがたの足の下に踏み砕くであろう。 どうか、わたしたちの主イエスの恵みが、あなたがたと共にあるように。 (J)

ローマ人への手紙 16:21 わたしの同労者テモテおよび同族のルキオ、ヤソン、ソシパテロから、あなたがたによろしく。 (J)

ローマ人への手紙 16:22 (この手紙を筆記したわたしテルテオも、主にあってあなたがたにあいさつの言葉をおくる。) (J)

ローマ人への手紙 16:23 わたしと全教会との家主ガイオから、あなたがたによろしく。市の会計係エラストと兄弟クワルトから、あなたがたによろしく。 〔 (J)

ローマ人への手紙 16:24 わたしたちの主イエス・キリストの恵みが、あなたがた一同と共にあるように、アァメン。〕 (J)

ローマ人への手紙 16:25 願わくは、わたしの福音とイエス・キリストの宣教とにより、かつ、長き世々にわたって、隠されていたが、今やあらわされ、預言の書をとおして、永遠の神の命令に従い、信仰の従順に至らせるために、もろもろの国人に告げ知らされた奥義の啓示によって、あなたがたを力づけることのできるかた、 (J)

ローマ人への手紙 16:26 願わくは、わたしの福音とイエス・キリストの宣教とにより、かつ、長き世々にわたって、隠されていたが、今やあらわされ、預言の書をとおして、永遠の神の命令に従い、信仰の従順に至らせるために、もろもろの国人に告げ知らされた奥義の啓示によって、あなたがたを力づけることのできるかた、 (J)

ローマ人への手紙 16:27 すなわち、唯一の知恵深き神に、イエス・キリストにより、栄光が永遠より永遠にあるように、アァメン。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 1:1 ¶ 神の御旨により召されてキリスト・イエスの使徒となったパウロと、兄弟ソステネから、 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 1:2 コリントにある神の教会、すなわち、わたしたちの主イエス・キリストの御名を至る所で呼び求めているすべての人々と共に、キリスト・イエスにあってきよめられ、聖徒として召されたかたがたへ。このキリストは、わたしたちの主であり、また彼らの主であられる。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 1:3 わたしたちの父なる神と主イエス・キリストから、恵みと平安とが、あなたがたにあるように。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 1:4 わたしは、あなたがたがキリスト・イエスにあって与えられた神の恵みを思って、いつも神に感謝している。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 1:5 あなたがたはキリストにあって、すべてのことに、すなわち、すべての言葉にもすべての知識にも恵まれ、 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 1:6 キリストのためのあかしが、あなたがたのうちに確かなものとされ、 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 1:7 こうして、あなたがたは恵みの賜物にいささかも欠けることがなく、わたしたちの主イエス・キリストの現れるのを待ち望んでいる。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 1:8 主もまた、あなたがたを最後まで堅くささえて、わたしたちの主イエス・キリストの日に、責められるところのない者にして下さるであろう。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 1:9 神は真実なかたである。あなたがたは神によって召され、御子、わたしたちの主イエス・キリストとの交わりに、はいらせていただいたのである。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 1:10 さて兄弟たちよ。わたしたちの主イエス・キリストの名によって、あなたがたに勧める。みな語ることを一つにし、お互の間に分争がないようにし、同じ心、同じ思いになって、堅く結び合っていてほしい。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 1:11 わたしの兄弟たちよ。実は、クロエの家の者たちから、あなたがたの間に争いがあると聞かされている。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 1:12 はっきり言うと、あなたがたがそれぞれ、「わたしはパウロにつく」「わたしはアポロに」「わたしはケパに」「わたしはキリストに」と言い合っていることである。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 1:13 キリストは、いくつにも分けられたのか。パウロは、あなたがたのために十字架につけられたことがあるのか。それとも、あなたがたは、パウロの名によってバプテスマを受けたのか。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 1:14 わたしは感謝しているが、クリスポとガイオ以外には、あなたがたのうちのだれにも、バプテスマを授けたことがない。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 1:15 それはあなたがたがわたしの名によってバプテスマを受けたのだと、だれにも言われることのないためである。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 1:16 もっとも、ステパナの家の者たちには、バプテスマを授けたことがある。しかし、そのほかには、だれにも授けた覚えがない。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 1:17 いったい、キリストがわたしをつかわされたのは、バプテスマを授けるためではなく、福音を宣べ伝えるためであり、しかも知恵の言葉を用いずに宣べ伝えるためであった。それは、キリストの十字架が無力なものになってしまわないためなのである。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 1:18 十字架の言は、滅び行く者には愚かであるが、救にあずかるわたしたちには、神の力である。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 1:19 すなわち、聖書に、 「わたしは知者の知恵を滅ぼし、 賢い者の賢さをむなしいものにする」 と書いてある。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 1:20 知者はどこにいるか。学者はどこにいるか。この世の論者はどこにいるか。神はこの世の知恵を、愚かにされたではないか。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 1:21 この世は、自分の知恵によって神を認めるに至らなかった。それは、神の知恵にかなっている。そこで神は、宣教の愚かさによって、信じる者を救うこととされたのである。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 1:22 ユダヤ人はしるしを請い、ギリシヤ人は知恵を求める。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 1:23 しかしわたしたちは、十字架につけられたキリストを宣べ伝える。このキリストは、ユダヤ人にはつまずかせるもの、異邦人には愚かなものであるが、 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 1:24 召された者自身にとっては、ユダヤ人にもギリシヤ人にも、神の力、神の知恵たるキリストなのである。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 1:25 神の愚かさは人よりも賢く、神の弱さは人よりも強いからである。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 1:26 兄弟たちよ。あなたがたが召された時のことを考えてみるがよい。人間的には、知恵のある者が多くはなく、権力のある者も多くはなく、身分の高い者も多くはいない。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 1:27 それだのに神は、知者をはずかしめるために、この世の愚かな者を選び、強い者をはずかしめるために、この世の弱い者を選び、 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 1:28 有力な者を無力な者にするために、この世で身分の低い者や軽んじられている者、すなわち、無きに等しい者を、あえて選ばれたのである。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 1:29 それは、どんな人間でも、神のみまえに誇ることがないためである。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 1:30 あなたがたがキリスト・イエスにあるのは、神によるのである。キリストは神に立てられて、わたしたちの知恵となり、義と聖とあがないとになられたのである。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 1:31 それは、「誇る者は主を誇れ」と書いてあるとおりである。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 2:1 兄弟たちよ。わたしもまた、あなたがたの所に行ったとき、神のあかしを宣べ伝えるのに、すぐれた言葉や知恵を用いなかった。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 2:2 なぜなら、わたしはイエス・キリスト、しかも十字架につけられたキリスト以外のことは、あなたがたの間では何も知るまいと、決心したからである。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 2:3 わたしがあなたがたの所に行った時には、弱くかつ恐れ、ひどく不安であった。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 2:4 そして、わたしの言葉もわたしの宣教も、巧みな知恵の言葉によらないで、霊と力との証明によったのである。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 2:5 それは、あなたがたの信仰が人の知恵によらないで、神の力によるものとなるためであった。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 2:6 しかしわたしたちは、円熟している者の間では、知恵を語る。この知恵は、この世の者の知恵ではなく、この世の滅び行く支配者たちの知恵でもない。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 2:7 むしろ、わたしたちが語るのは、隠された奥義としての神の知恵である。それは神が、わたしたちの受ける栄光のために、世の始まらぬ先から、あらかじめ定めておかれたものである。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 2:8 この世の支配者たちのうちで、この知恵を知っていた者は、ひとりもいなかった。もし知っていたなら、栄光の主を十字架につけはしなかったであろう。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 2:9 しかし、聖書に書いてあるとおり、 「目がまだ見ず、耳がまだ聞かず、 人の心に思い浮びもしなかったことを、 神は、ご自分を愛する者たちのために備えられた」 のである。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 2:10 そして、それを神は、御霊によってわたしたちに啓示して下さったのである。御霊はすべてのものをきわめ、神の深みまでもきわめるのだからである。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 2:11 いったい、人間の思いは、その内にある人間の霊以外に、だれが知っていようか。それと同じように神の思いも、神の御霊以外には、知るものはない。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 2:12 ところが、わたしたちが受けたのは、この世の霊ではなく、神からの霊である。それによって、神から賜わった恵みを悟るためである。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 2:13 この賜物について語るにも、わたしたちは人間の知恵が教える言葉を用いないで、御霊の教える言葉を用い、霊によって霊のことを解釈するのである。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 2:14 生れながらの人は、神の御霊の賜物を受けいれない。それは彼には愚かなものだからである。また、御霊によって判断されるべきであるから、彼はそれを理解することができない。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 2:15 しかし、霊の人は、すべてのものを判断するが、自分自身はだれからも判断されることはない。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 2:16 「だれが主の思いを知って、彼を教えることができようか」。しかし、わたしたちはキリストの思いを持っている。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 3:1 兄弟たちよ。わたしはあなたがたには、霊の人に対するように話すことができず、むしろ、肉に属する者、すなわち、キリストにある幼な子に話すように話した。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 3:2 あなたがたに乳を飲ませて、堅い食物は与えなかった。食べる力が、まだあなたがたになかったからである。今になってもその力がない。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 3:3 あなたがたはまだ、肉の人だからである。あなたがたの間に、ねたみや争いがあるのは、あなたがたが肉の人であって、普通の人間のように歩いているためではないか。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 3:4 すなわち、ある人は「わたしはパウロに」と言い、ほかの人は「わたしはアポロに」と言っているようでは、あなたがたは普通の人間ではないか。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 3:5 アポロは、いったい、何者か。また、パウロは何者か。あなたがたを信仰に導いた人にすぎない。しかもそれぞれ、主から与えられた分に応じて仕えているのである。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 3:6 わたしは植え、アポロは水をそそいだ。しかし成長させて下さるのは、神である。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 3:7 だから、植える者も水をそそぐ者も、ともに取るに足りない。大事なのは、成長させて下さる神のみである。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 3:8 植える者と水をそそぐ者とは一つであって、それぞれその働きに応じて報酬を得るであろう。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 3:9 わたしたちは神の同労者である。あなたがたは神の畑であり、神の建物である。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 3:10 神から賜わった恵みによって、わたしは熟練した建築師のように、土台をすえた。そして他の人がその上に家を建てるのである。しかし、どういうふうに建てるか、それぞれ気をつけるがよい。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 3:11 なぜなら、すでにすえられている土台以外のものをすえることは、だれにもできない。そして、この土台はイエス・キリストである。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 3:12 この土台の上に、だれかが金、銀、宝石、木、草、または、わらを用いて建てるならば、 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 3:13 それぞれの仕事は、はっきりとわかってくる。すなわち、かの日は火の中に現れて、それを明らかにし、またその火は、それぞれの仕事がどんなものであるかを、ためすであろう。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 3:14 もしある人の建てた仕事がそのまま残れば、その人は報酬を受けるが、 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 3:15 その仕事が焼けてしまえば、損失を被るであろう。しかし彼自身は、火の中をくぐってきた者のようにではあるが、救われるであろう。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 3:16 あなたがたは神の宮であって、神の御霊が自分のうちに宿っていることを知らないのか。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 3:17 もし人が、神の宮を破壊するなら、神はその人を滅ぼすであろう。なぜなら、神の宮は聖なるものであり、そして、あなたがたはその宮なのだからである。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 3:18 だれも自分を欺いてはならない。もしあなたがたのうちに、自分がこの世の知者だと思う人がいるなら、その人は知者になるために愚かになるがよい。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 3:19 なぜなら、この世の知恵は、神の前では愚かなものだからである。「神は、知者たちをその悪知恵によって捕える」と書いてあり、 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 3:20 更にまた、「主は、知者たちの論議のむなしいことをご存じである」と書いてある。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 3:21 だから、だれも人間を誇ってはいけない。すべては、あなたがたのものなのである。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 3:22 パウロも、アポロも、ケパも、世界も、生も、死も、現在のものも、将来のものも、ことごとく、あなたがたのものである。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 3:23 そして、あなたがたはキリストのもの、キリストは神のものである。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 4:1 このようなわけだから、人はわたしたちを、キリストに仕える者、神の奥義を管理している者と見るがよい。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 4:2 この場合、管理者に要求されているのは、忠実であることである。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 4:3 わたしはあなたがたにさばかれたり、人間の裁判にかけられたりしても、なんら意に介しない。いや、わたしは自分をさばくこともしない。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 4:4 わたしは自ら省みて、なんらやましいことはないが、それで義とされているわけではない。わたしをさばくかたは、主である。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 4:5 だから、主がこられるまでは、何事についても、先走りをしてさばいてはいけない。主は暗い中に隠れていることを明るみに出し、心の中で企てられていることを、あらわにされるであろう。その時には、神からそれぞれほまれを受けるであろう。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 4:6 兄弟たちよ。これらのことをわたし自身とアポロとに当てはめて言って聞かせたが、それはあなたがたが、わたしたちを例にとって、「しるされている定めを越えない」ことを学び、ひとりの人をあがめ、ほかの人を見さげて高ぶることのないためである。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 4:7 いったい、あなたを偉くしているのは、だれなのか。あなたの持っているもので、もらっていないものがあるか。もしもらっているなら、なぜもらっていないもののように誇るのか。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 4:8 あなたがたは、すでに満腹しているのだ。すでに富み栄えているのだ。わたしたちを差しおいて、王になっているのだ。ああ、王になっていてくれたらと思う。そうであったなら、わたしたちも、あなたがたと共に王になれたであろう。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 4:9 わたしはこう考える。神はわたしたち使徒を死刑囚のように、最後に出場する者として引き出し、こうしてわたしたちは、全世界に、天使にも人々にも見せ物にされたのだ。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 4:10 わたしたちはキリストのゆえに愚かな者となり、あなたがたはキリストにあって賢い者となっている。わたしたちは弱いが、あなたがたは強い。あなたがたは尊ばれ、わたしたちは卑しめられている。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 4:11 今の今まで、わたしたちは飢え、かわき、裸にされ、打たれ、宿なしであり、 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 4:12 苦労して自分の手で働いている。はずかしめられては祝福し、迫害されては耐え忍び、 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 4:13 ののしられては優しい言葉をかけている。わたしたちは今に至るまで、この世のちりのように、人間のくずのようにされている。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 4:14 わたしがこのようなことを書くのは、あなたがたをはずかしめるためではなく、むしろ、わたしの愛児としてさとすためである。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 4:15 たといあなたがたに、キリストにある養育掛が一万人あったとしても、父が多くあるのではない。キリスト・イエスにあって、福音によりあなたがたを生んだのは、わたしなのである。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 4:16 そこで、あなたがたに勧める。わたしにならう者となりなさい。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 4:17 このことのために、わたしは主にあって愛する忠実なわたしの子テモテを、あなたがたの所につかわした。彼は、キリスト・イエスにおけるわたしの生活のしかたを、わたしが至る所の教会で教えているとおりに、あなたがたに思い起させてくれるであろう。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 4:18 しかしある人々は、わたしがあなたがたの所に来ることはあるまいとみて、高ぶっているということである。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 4:19 しかし主のみこころであれば、わたしはすぐにでもあなたがたの所に行って、高ぶっている者たちの言葉ではなく、その力を見せてもらおう。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 4:20 神の国は言葉ではなく、力である。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 4:21 あなたがたは、どちらを望むのか。わたしがむちをもって、あなたがたの所に行くことか、それとも、愛と柔和な心とをもって行くことであるか。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 5:1 現に聞くところによると、あなたがたの間に不品行な者があり、しかもその不品行は、異邦人の間にもないほどのもので、ある人がその父の妻と一緒に住んでいるということである。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 5:2 それだのに、なお、あなたがたは高ぶっている。むしろ、そんな行いをしている者が、あなたがたの中から除かれねばならないことを思って、悲しむべきではないか。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 5:3 しかし、わたし自身としては、からだは離れていても、霊では一緒にいて、その場にいる者のように、そんな行いをした者を、すでにさばいてしまっている。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 5:4 すなわち、主イエスの名によって、あなたがたもわたしの霊も共に、わたしたちの主イエスの権威のもとに集まって、 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 5:5 彼の肉が滅ぼされても、その霊が主のさばきの日に救われるように、彼をサタンに引き渡してしまったのである。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 5:6 あなたがたが誇っているのは、よろしくない。あなたがたは、少しのパン種が粉のかたまり全体をふくらませることを、知らないのか。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 5:7 新しい粉のかたまりになるために、古いパン種を取り除きなさい。あなたがたは、事実パン種のない者なのだから。わたしたちの過越の小羊であるキリストは、すでにほふられたのだ。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 5:8 ゆえに、わたしたちは、古いパン種や、また悪意と邪悪とのパン種を用いずに、パン種のはいっていない純粋で真実なパンをもって、祭をしようではないか。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 5:9 わたしは前の手紙で、不品行な者たちと交際してはいけないと書いたが、 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 5:10 それは、この世の不品行な者、貪欲な者、略奪をする者、偶像礼拝をする者などと全然交際してはいけないと、言ったのではない。もしそうだとしたら、あなたがたはこの世から出て行かねばならないことになる。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 5:11 しかし、わたしが実際に書いたのは、兄弟と呼ばれる人で、不品行な者、貪欲な者、偶像礼拝をする者、人をそしる者、酒に酔う者、略奪をする者があれば、そんな人と交際をしてはいけない、食事を共にしてもいけない、ということであった。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 5:12 外の人たちをさばくのは、わたしのすることであろうか。あなたがたのさばくべき者は、内の人たちではないか。外の人たちは、神がさばくのである。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 5:13 その悪人を、あなたがたの中から除いてしまいなさい。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 6:1 あなたがたの中のひとりが、仲間の者と何か争いを起した場合、それを聖徒に訴えないで、正しくない者に訴え出るようなことをするのか。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 6:2 それとも、聖徒は世をさばくものであることを、あなたがたは知らないのか。そして、世があなたがたによってさばかれるべきであるのに、きわめて小さい事件でもさばく力がないのか。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 6:3 あなたがたは知らないのか、わたしたちは御使をさえさばく者である。ましてこの世の事件などは、いうまでもないではないか。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 6:4 それだのに、この世の事件が起ると、教会で軽んじられている人たちを、裁判の席につかせるのか。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 6:5 わたしがこう言うのは、あなたがたをはずかしめるためである。いったい、あなたがたの中には、兄弟の間の争いを仲裁することができるほどの知者は、ひとりもいないのか。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 6:6 しかるに、兄弟が兄弟を訴え、しかもそれを不信者の前に持ち出すのか。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 6:7 そもそも、互に訴え合うこと自体が、すでにあなたがたの敗北なのだ。なぜ、むしろ不義を受けないのか。なぜ、むしろだまされていないのか。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 6:8 しかるに、あなたがたは不義を働き、だまし取り、しかも兄弟に対してそうしているのである。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 6:9 それとも、正しくない者が神の国をつぐことはないのを、知らないのか。まちがってはいけない。不品行な者、偶像を礼拝する者、姦淫をする者、男娼となる者、男色をする者、盗む者、 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 6:10 貪欲な者、酒に酔う者、そしる者、略奪する者は、いずれも神の国をつぐことはないのである。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 6:11 あなたがたの中には、以前はそんな人もいた。しかし、あなたがたは、主イエス・キリストの名によって、またわたしたちの神の霊によって、洗われ、きよめられ、義とされたのである。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 6:12 すべてのことは、わたしに許されている。しかし、すべてのことが益になるわけではない。すべてのことは、わたしに許されている。しかし、わたしは何ものにも支配されることはない。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 6:13 食物は腹のため、腹は食物のためである。しかし神は、それもこれも滅ぼすであろう。からだは不品行のためではなく、主のためであり、主はからだのためである。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 6:14 そして、神は主をよみがえらせたが、その力で、わたしたちをもよみがえらせて下さるであろう。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 6:15 あなたがたは自分のからだがキリストの肢体であることを、知らないのか。それだのに、キリストの肢体を取って遊女の肢体としてよいのか。断じていけない。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 6:16 それとも、遊女につく者はそれと一つのからだになることを、知らないのか。「ふたりの者は一体となるべきである」とあるからである。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 6:17 しかし主につく者は、主と一つの霊になるのである。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 6:18 不品行を避けなさい。人の犯すすべての罪は、からだの外にある。しかし不品行をする者は、自分のからだに対して罪を犯すのである。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 6:19 あなたがたは知らないのか。自分のからだは、神から受けて自分の内に宿っている聖霊の宮であって、あなたがたは、もはや自分自身のものではないのである。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 6:20 あなたがたは、代価を払って買いとられたのだ。それだから、自分のからだをもって、神の栄光をあらわしなさい。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 7:1 さて、あなたがたが書いてよこした事について答えると、男子は婦人にふれないがよい。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 7:2 しかし、不品行に陥ることのないために、男子はそれぞれ自分の妻を持ち、婦人もそれぞれ自分の夫を持つがよい。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 7:3 夫は妻にその分を果し、妻も同様に夫にその分を果すべきである。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 7:4 妻は自分のからだを自由にすることはできない。それができるのは夫である。夫も同様に自分のからだを自由にすることはできない。それができるのは妻である。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 7:5 互に拒んではいけない。ただし、合意の上で祈に専心するために、しばらく相別れ、それからまた一緒になることは、さしつかえない。そうでないと、自制力のないのに乗じて、サタンがあなたがたを誘惑するかも知れない。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 7:6 以上のことは、譲歩のつもりで言うのであって、命令するのではない。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 7:7 わたしとしては、みんなの者がわたし自身のようになってほしい。しかし、ひとりびとり神からそれぞれの賜物をいただいていて、ある人はこうしており、他の人はそうしている。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 7:8 次に、未婚者たちとやもめたちとに言うが、わたしのように、ひとりでおれば、それがいちばんよい。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 7:9 しかし、もし自制することができないなら、結婚するがよい。情の燃えるよりは、結婚する方が、よいからである。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 7:10 更に、結婚している者たちに命じる。命じるのは、わたしではなく主であるが、妻は夫から別れてはいけない。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 7:11 (しかし、万一別れているなら、結婚しないでいるか、それとも夫と和解するかしなさい)。また夫も妻と離婚してはならない。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 7:12 そのほかの人々に言う。これを言うのは、主ではなく、わたしである。ある兄弟に不信者の妻があり、そして共にいることを喜んでいる場合には、離婚してはいけない。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 7:13 また、ある婦人の夫が不信者であり、そして共にいることを喜んでいる場合には、離婚してはいけない。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 7:14 なぜなら、不信者の夫は妻によってきよめられており、また、不信者の妻も夫によってきよめられているからである。もしそうでなければ、あなたがたの子は汚れていることになるが、実際はきよいではないか。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 7:15 しかし、もし不信者の方が離れて行くのなら、離れるままにしておくがよい。兄弟も姉妹も、こうした場合には、束縛されてはいない。神は、あなたがたを平和に暮させるために、召されたのである。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 7:16 なぜなら、妻よ、あなたが夫を救いうるかどうか、どうしてわかるか。また、夫よ、あなたも妻を救いうるかどうか、どうしてわかるか。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 7:17 ただ、各自は、主から賜わった分に応じ、また神に召されたままの状態にしたがって、歩むべきである。これが、すべての教会に対してわたしの命じるところである。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 7:18 召されたとき割礼を受けていたら、その跡をなくそうとしないがよい。また、召されたとき割礼を受けていなかったら、割礼を受けようとしないがよい。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 7:19 割礼があってもなくても、それは問題ではない。大事なのは、ただ神の戒めを守ることである。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 7:20 各自は、召されたままの状態にとどまっているべきである。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 7:21 召されたとき奴隷であっても、それを気にしないがよい。しかし、もし自由の身になりうるなら、むしろ自由になりなさい。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 7:22 主にあって召された奴隷は、主によって自由人とされた者であり、また、召された自由人はキリストの奴隷なのである。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 7:23 あなたがたは、代価を払って買いとられたのだ。人の奴隷となってはいけない。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 7:24 兄弟たちよ。各自は、その召されたままの状態で、神のみまえにいるべきである。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 7:25 おとめのことについては、わたしは主の命令を受けてはいないが、主のあわれみにより信任を受けている者として、意見を述べよう。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 7:26 わたしはこう考える。現在迫っている危機のゆえに、人は現状にとどまっているがよい。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 7:27 もし妻に結ばれているなら、解こうとするな。妻に結ばれていないなら、妻を迎えようとするな。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 7:28 しかし、たとい結婚しても、罪を犯すのではない。また、おとめが結婚しても、罪を犯すのではない。ただ、それらの人々はその身に苦難を受けるであろう。わたしは、あなたがたを、それからのがれさせたいのだ。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 7:29 兄弟たちよ。わたしの言うことを聞いてほしい。時は縮まっている。今からは妻のある者はないもののように、 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 7:30 泣く者は泣かないもののように、喜ぶ者は喜ばないもののように、買う者は持たないもののように、 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 7:31 世と交渉のある者は、それに深入りしないようにすべきである。なぜなら、この世の有様は過ぎ去るからである。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 7:32 わたしはあなたがたが、思い煩わないようにしていてほしい。未婚の男子は主のことに心をくばって、どうかして主を喜ばせようとするが、 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 7:33 結婚している男子はこの世のことに心をくばって、どうかして妻を喜ばせようとして、その心が分れるのである。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 7:34 未婚の婦人とおとめとは、主のことに心をくばって、身も魂もきよくなろうとするが、結婚した婦人はこの世のことに心をくばって、どうかして夫を喜ばせようとする。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 7:35 わたしがこう言うのは、あなたがたの利益になると思うからであって、あなたがたを束縛するためではない。そうではなく、正しい生活を送って、余念なく主に奉仕させたいからである。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 7:36 もしある人が、相手のおとめに対して、情熱をいだくようになった場合、それは適当でないと思いつつも、やむを得なければ、望みどおりにしてもよい。それは罪を犯すことではない。ふたりは結婚するがよい。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 7:37 しかし、彼が心の内で堅く決心していて、無理をしないで自分の思いを制することができ、その上で、相手のおとめをそのままにしておこうと、心の中で決めたなら、そうしてもよい。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 7:38 だから、相手のおとめと結婚することはさしつかえないが、結婚しない方がもっとよい。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 7:39 妻は夫が生きている間は、その夫につながれている。夫が死ねば、望む人と結婚してもさしつかえないが、それは主にある者とに限る。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 7:40 しかし、わたしの意見では、そのままでいたなら、もっと幸福である。わたしも神の霊を受けていると思う。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 8:1 偶像への供え物について答えると、「わたしたちはみな知識を持っている」ことは、わかっている。しかし、知識は人を誇らせ、愛は人の徳を高める。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 8:2 もし人が、自分は何か知っていると思うなら、その人は、知らなければならないほどの事すら、まだ知っていない。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 8:3 しかし、人が神を愛するなら、その人は神に知られているのである。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 8:4 さて、偶像への供え物を食べることについては、わたしたちは、偶像なるものは実際は世に存在しないこと、また、唯一の神のほかには神がないことを、知っている。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 8:5 というのは、たとい神々といわれるものが、あるいは天に、あるいは地にあるとしても、そして、多くの神、多くの主があるようではあるが、 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 8:6 わたしたちには、父なる唯一の神のみがいますのである。万物はこの神から出て、わたしたちもこの神に帰する。また、唯一の主イエス・キリストのみがいますのである。万物はこの主により、わたしたちもこの主によっている。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 8:7 しかし、この知識をすべての人が持っているのではない。ある人々は、偶像についての、これまでの習慣上、偶像への供え物として、それを食べるが、彼らの良心が、弱いために汚されるのである。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 8:8 食物は、わたしたちを神に導くものではない。食べなくても損はないし、食べても益にはならない。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 8:9 しかし、あなたがたのこの自由が、弱い者たちのつまずきにならないように、気をつけなさい。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 8:10 なぜなら、ある人が、知識のあるあなたが偶像の宮で食事をしているのを見た場合、その人の良心が弱いため、それに「教育されて」、偶像への供え物を食べるようにならないだろうか。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 8:11 するとその弱い人は、あなたの知識によって滅びることになる。この弱い兄弟のためにも、キリストは死なれたのである。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 8:12 このようにあなたがたが、兄弟たちに対して罪を犯し、その弱い良心を痛めるのは、キリストに対して罪を犯すことなのである。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 8:13 だから、もし食物がわたしの兄弟をつまずかせるなら、兄弟をつまずかせないために、わたしは永久に、断じて肉を食べることはしない。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 9:1 わたしは自由な者ではないか。使徒ではないか。わたしたちの主イエスを見たではないか。あなたがたは、主にあるわたしの働きの実ではないか。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 9:2 わたしは、ほかの人に対しては使徒でないとしても、あなたがたには使徒である。あなたがたが主にあることは、わたしの使徒職の印なのである。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 9:3 わたしの批判者たちに対する弁明は、これである。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 9:4 わたしたちには、飲み食いをする権利がないのか。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 9:5 わたしたちには、ほかの使徒たちや主の兄弟たちやケパのように、信者である妻を連れて歩く権利がないのか。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 9:6 それとも、わたしとバルナバとだけには、労働をせずにいる権利がないのか。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 9:7 いったい、自分で費用を出して軍隊に加わる者があろうか。ぶどう畑を作っていて、その実を食べない者があろうか。また、羊を飼っていて、その乳を飲まない者があろうか。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 9:8 わたしは、人間の考えでこう言うのではない。律法もまた、そのように言っているではないか。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 9:9 すなわち、モーセの律法に、「穀物をこなしている牛に、くつこをかけてはならない」と書いてある。神は、牛のことを心にかけておられるのだろうか。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 9:10 それとも、もっぱら、わたしたちのために言っておられるのか。もちろん、それはわたしたちのためにしるされたのである。すなわち、耕す者は望みをもって耕し、穀物をこなす者は、その分け前をもらう望みをもってこなすのである。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 9:11 もしわたしたちが、あなたがたのために霊のものをまいたのなら、肉のものをあなたがたから刈りとるのは、行き過ぎだろうか。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 9:12 もしほかの人々が、あなたがたに対するこの権利にあずかっているとすれば、わたしたちはなおさらのことではないか。しかしわたしたちは、この権利を利用せず、かえってキリストの福音の妨げにならないようにと、すべてのことを忍んでいる。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 9:13 あなたがたは、宮仕えをしている人たちは宮から下がる物を食べ、祭壇に奉仕している人たちは祭壇の供え物の分け前にあずかることを、知らないのか。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 9:14 それと同様に、主は、福音を宣べ伝えている者たちが福音によって生活すべきことを、定められたのである。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 9:15 しかしわたしは、これらの権利を一つも利用しなかった。また、自分がそうしてもらいたいから、このように書くのではない。そうされるよりは、死ぬ方がましである。わたしのこの誇は、何者にも奪い去られてはならないのだ。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 9:16 わたしが福音を宣べ伝えても、それは誇にはならない。なぜなら、わたしは、そうせずにはおれないからである。もし福音を宣べ伝えないなら、わたしはわざわいである。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 9:17 進んでそれをすれば、報酬を受けるであろう。しかし、進んでしないとしても、それは、わたしにゆだねられた務なのである。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 9:18 それでは、その報酬はなんであるか。福音を宣べ伝えるのにそれを無代価で提供し、わたしが宣教者として持つ権利を利用しないことである。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 9:19 わたしは、すべての人に対して自由であるが、できるだけ多くの人を得るために、自ら進んですべての人の奴隷になった。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 9:20 ユダヤ人には、ユダヤ人のようになった。ユダヤ人を得るためである。律法の下にある人には、わたし自身は律法の下にはないが、律法の下にある者のようになった。律法の下にある人を得るためである。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 9:21 律法のない人には――わたしは神の律法の外にあるのではなく、キリストの律法の中にあるのだが――律法のない人のようになった。律法のない人を得るためである。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 9:22 弱い人には弱い者になった。弱い人を得るためである。すべての人に対しては、すべての人のようになった。なんとかして幾人かを救うためである。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 9:23 福音のために、わたしはどんな事でもする。わたしも共に福音にあずかるためである。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 9:24 あなたがたは知らないのか。競技場で走る者は、みな走りはするが、賞を得る者はひとりだけである。あなたがたも、賞を得るように走りなさい。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 9:25 しかし、すべて競技をする者は、何ごとにも節制をする。彼らは朽ちる冠を得るためにそうするが、わたしたちは朽ちない冠を得るためにそうするのである。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 9:26 そこで、わたしは目標のはっきりしないような走り方をせず、空を打つような拳闘はしない。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 9:27 すなわち、自分のからだを打ちたたいて服従させるのである。そうしないと、ほかの人に宣べ伝えておきながら、自分は失格者になるかも知れない。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 10:1 兄弟たちよ。このことを知らずにいてもらいたくない。わたしたちの先祖はみな雲の下におり、みな海を通り、 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 10:2 みな雲の中、海の中で、モーセにつくバプテスマを受けた。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 10:3 また、みな同じ霊の食物を食べ、 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 10:4 みな同じ霊の飲み物を飲んだ。すなわち、彼らについてきた霊の岩から飲んだのであるが、この岩はキリストにほかならない。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 10:5 しかし、彼らの中の大多数は、神のみこころにかなわなかったので、荒野で滅ぼされてしまった。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 10:6 これらの出来事は、わたしたちに対する警告であって、彼らが悪をむさぼったように、わたしたちも悪をむさぼることのないためなのである。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 10:7 だから、彼らの中のある者たちのように、偶像礼拝者になってはならない。すなわち、「民は座して飲み食いをし、また立って踊り戯れた」と書いてある。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 10:8 また、ある者たちがしたように、わたしたちは不品行をしてはならない。不品行をしたため倒された者が、一日に二万三千人もあった。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 10:9 また、ある者たちがしたように、わたしたちは主を試みてはならない。主を試みた者は、へびに殺された。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 10:10 また、ある者たちがつぶやいたように、つぶやいてはならない。つぶやいた者は、「死の使」に滅ぼされた。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 10:11 これらの事が彼らに起ったのは、他に対する警告としてであって、それが書かれたのは、世の終りに臨んでいるわたしたちに対する訓戒のためである。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 10:12 だから、立っていると思う者は、倒れないように気をつけるがよい。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 10:13 あなたがたの会った試錬で、世の常でないものはない。神は真実である。あなたがたを耐えられないような試錬に会わせることはないばかりか、試錬と同時に、それに耐えられるように、のがれる道も備えて下さるのである。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 10:14 それだから、愛する者たちよ。偶像礼拝を避けなさい。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 10:15 賢明なあなたがたに訴える。わたしの言うことを、自ら判断してみるがよい。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 10:16 わたしたちが祝福する祝福の杯、それはキリストの血にあずかることではないか。わたしたちがさくパン、それはキリストのからだにあずかることではないか。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 10:17 パンが一つであるから、わたしたちは多くいても、一つのからだなのである。みんなの者が一つのパンを共にいただくからである。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 10:18 肉によるイスラエルを見るがよい。供え物を食べる人たちは、祭壇にあずかるのではないか。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 10:19 すると、なんと言ったらよいか。偶像にささげる供え物は、何か意味があるのか。また、偶像は何かほんとうにあるものか。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 10:20 そうではない。人々が供える物は、悪霊ども、すなわち、神ならぬ者に供えるのである。わたしは、あなたがたが悪霊の仲間になることを望まない。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 10:21 主の杯と悪霊どもの杯とを、同時に飲むことはできない。主の食卓と悪霊どもの食卓とに、同時にあずかることはできない。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 10:22 それとも、わたしたちは主のねたみを起そうとするのか。わたしたちは、主よりも強いのだろうか。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 10:23 すべてのことは許されている。しかし、すべてのことが益になるわけではない。すべてのことは許されている。しかし、すべてのことが人の徳を高めるのではない。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 10:24 だれでも、自分の益を求めないで、ほかの人の益を求めるべきである。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 10:25 すべて市場で売られている物は、いちいち良心に問うことをしないで、食べるがよい。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 10:26 地とそれに満ちている物とは、主のものだからである。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 10:27 もしあなたがたが、不信者のだれかに招かれて、そこに行こうと思う場合、自分の前に出される物はなんでも、いちいち良心に問うことをしないで、食べるがよい。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 10:28 しかし、だれかがあなたがたに、これはささげ物の肉だと言ったなら、それを知らせてくれた人のために、また良心のために、食べないがよい。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 10:29 良心と言ったのは、自分の良心ではなく、他人の良心のことである。なぜなら、わたしの自由が、どうして他人の良心によって左右されることがあろうか。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 10:30 もしわたしが感謝して食べる場合、その感謝する物について、どうして人のそしりを受けるわけがあろうか。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 10:31 だから、飲むにも食べるにも、また何事をするにも、すべて神の栄光のためにすべきである。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 10:32 ユダヤ人にもギリシヤ人にも神の教会にも、つまずきになってはいけない。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 10:33 わたしもまた、何事にもすべての人に喜ばれるように努め、多くの人が救われるために、自分の益ではなく彼らの益を求めている。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 11:1 わたしがキリストにならう者であるように、あなたがたもわたしにならう者になりなさい。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 11:2 あなたがたが、何かにつけわたしを覚えていて、あなたがたに伝えたとおりに言伝えを守っているので、わたしは満足に思う。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 11:3 しかし、あなたがたに知っていてもらいたい。すべての男のかしらはキリストであり、女のかしらは男であり、キリストのかしらは神である。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 11:4 祈をしたり預言をしたりする時、かしらに物をかぶる男は、そのかしらをはずかしめる者である。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 11:5 祈をしたり預言をしたりする時、かしらにおおいをかけない女は、そのかしらをはずかしめる者である。それは、髪をそったのとまったく同じだからである。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 11:6 もし女がおおいをかけないなら、髪を切ってしまうがよい。髪を切ったりそったりするのが、女にとって恥ずべきことであるなら、おおいをかけるべきである。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 11:7 男は、神のかたちであり栄光であるから、かしらに物をかぶるべきではない。女は、また男の光栄である。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 11:8 なぜなら、男が女から出たのではなく、女が男から出たのだからである。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 11:9 また、男は女のために造られたのではなく、女が男のために造られたのである。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 11:10 それだから、女は、かしらに権威のしるしをかぶるべきである。それは天使たちのためでもある。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 11:11 ただ、主にあっては、男なしには女はないし、女なしには男はない。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 11:12 それは、女が男から出たように、男もまた女から生れたからである。そして、すべてのものは神から出たのである。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 11:13 あなたがた自身で判断してみるがよい。女がおおいをかけずに神に祈るのは、ふさわしいことだろうか。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 11:14 自然そのものが教えているではないか。男に長い髪があれば彼の恥になり、 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 11:15 女に長い髪があれば彼女の光栄になるのである。長い髪はおおいの代りに女に与えられているものだからである。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 11:16 しかし、だれかがそれに反対の意見を持っていても、そんな風習はわたしたちにはなく、神の諸教会にもない。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 11:17 ところで、次のことを命じるについては、あなたがたをほめるわけにはいかない。というのは、あなたがたの集まりが利益にならないで、かえって損失になっているからである。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 11:18 まず、あなたがたが教会に集まる時、お互の間に分争があることを、わたしは耳にしており、そしていくぶんか、それを信じている。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 11:19 たしかに、あなたがたの中でほんとうの者が明らかにされるためには、分派もなければなるまい。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 11:20 そこで、あなたがたが一緒に集まるとき、主の晩餐を守ることができないでいる。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 11:21 というのは、食事の際、各自が自分の晩餐をかってに先に食べるので、飢えている人があるかと思えば、酔っている人がある始末である。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 11:22 あなたがたには、飲み食いをする家がないのか。それとも、神の教会を軽んじ、貧しい人々をはずかしめるのか。わたしはあなたがたに対して、なんと言おうか。あなたがたを、ほめようか。この事では、ほめるわけにはいかない。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 11:23 わたしは、主から受けたことを、また、あなたがたに伝えたのである。すなわち、主イエスは、渡される夜、パンをとり、 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 11:24 感謝してこれをさき、そして言われた、「これはあなたがたのための、わたしのからだである。わたしを記念するため、このように行いなさい」。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 11:25 食事ののち、杯をも同じようにして言われた、「この杯は、わたしの血による新しい契約である。飲むたびに、わたしの記念として、このように行いなさい」。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 11:26 だから、あなたがたは、このパンを食し、この杯を飲むごとに、それによって、主がこられる時に至るまで、主の死を告げ知らせるのである。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 11:27 だから、ふさわしくないままでパンを食し主の杯を飲む者は、主のからだと血とを犯すのである。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 11:28 だれでもまず自分を吟味し、それからパンを食べ杯を飲むべきである。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 11:29 主のからだをわきまえないで飲み食いする者は、その飲み食いによって自分にさばきを招くからである。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 11:30 あなたがたの中に、弱い者や病人が大ぜいおり、また眠った者も少なくないのは、そのためである。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 11:31 しかし、自分をよくわきまえておくならば、わたしたちはさばかれることはないであろう。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 11:32 しかし、さばかれるとすれば、それは、この世と共に罪に定められないために、主の懲らしめを受けることなのである。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 11:33 それだから、兄弟たちよ。食事のために集まる時には、互に待ち合わせなさい。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 11:34 もし空腹であったら、さばきを受けに集まることにならないため、家で食べるがよい。そのほかの事は、わたしが行った時に、定めることにしよう。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 12:1 兄弟たちよ。霊の賜物については、次のことを知らずにいてもらいたくない。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 12:2 あなたがたがまだ異邦人であった時、誘われるまま、物の言えない偶像のところに引かれて行ったことは、あなたがたの承知しているとおりである。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 12:3 そこで、あなたがたに言っておくが、神の霊によって語る者はだれも「イエスはのろわれよ」とは言わないし、また、聖霊によらなければ、だれも「イエスは主である」と言うことができない。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 12:4 霊の賜物は種々あるが、御霊は同じである。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 12:5 務は種々あるが、主は同じである。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 12:6 働きは種々あるが、すべてのものの中に働いてすべてのことをなさる神は、同じである。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 12:7 各自が御霊の現れを賜わっているのは、全体の益になるためである。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 12:8 すなわち、ある人には御霊によって知恵の言葉が与えられ、ほかの人には、同じ御霊によって知識の言、 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 12:9 またほかの人には、同じ御霊によって信仰、またほかの人には、一つの御霊によっていやしの賜物、 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 12:10 またほかの人には力あるわざ、またほかの人には預言、またほかの人には霊を見わける力、またほかの人には種々の異言、またほかの人には異言を解く力が、与えられている。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 12:11 すべてこれらのものは、一つの同じ御霊の働きであって、御霊は思いのままに、それらを各自に分け与えられるのである。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 12:12 からだが一つであっても肢体は多くあり、また、からだのすべての肢体が多くあっても、からだは一つであるように、キリストの場合も同様である。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 12:13 なぜなら、わたしたちは皆、ユダヤ人もギリシヤ人も、奴隷も自由人も、一つの御霊によって、一つのからだとなるようにバプテスマを受け、そして皆一つの御霊を飲んだからである。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 12:14 実際、からだは一つの肢体だけではなく、多くのものからできている。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 12:15 もし足が、わたしは手ではないから、からだに属していないと言っても、それで、からだに属さないわけではない。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 12:16 また、もし耳が、わたしは目ではないから、からだに属していないと言っても、それで、からだに属さないわけではない。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 12:17 もしからだ全体が目だとすれば、どこで聞くのか。もし、からだ全体が耳だとすれば、どこでかぐのか。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 12:18 そこで神は御旨のままに、肢体をそれぞれ、からだに備えられたのである。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 12:19 もし、すべてのものが一つの肢体なら、どこにからだがあるのか。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 12:20 ところが実際、肢体は多くあるが、からだは一つなのである。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 12:21 目は手にむかって、「おまえはいらない」とは言えず、また頭は足にむかって、「おまえはいらない」とも言えない。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 12:22 そうではなく、むしろ、からだのうちで他よりも弱く見える肢体が、かえって必要なのであり、 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 12:23 からだのうちで、他よりも見劣りがすると思えるところに、ものを着せていっそう見よくする。麗しくない部分はいっそう麗しくするが、 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 12:24 麗しい部分はそうする必要がない。神は劣っている部分をいっそう見よくして、からだに調和をお与えになったのである。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 12:25 それは、からだの中に分裂がなく、それぞれの肢体が互にいたわり合うためなのである。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 12:26 もし一つの肢体が悩めば、ほかの肢体もみな共に悩み、一つの肢体が尊ばれると、ほかの肢体もみな共に喜ぶ。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 12:27 あなたがたはキリストのからだであり、ひとりびとりはその肢体である。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 12:28 そして、神は教会の中で、人々を立てて、第一に使徒、第二に預言者、第三に教師とし、次に力あるわざを行う者、次にいやしの賜物を持つ者、また補助者、管理者、種々の異言を語る者をおかれた。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 12:29 みんなが使徒だろうか。みんなが預言者だろうか。みんなが教師だろうか。みんなが力あるわざを行う者だろうか。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 12:30 みんながいやしの賜物を持っているのだろうか。みんなが異言を語るのだろうか。みんなが異言を解くのだろうか。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 12:31 だが、あなたがたは、更に大いなる賜物を得ようと熱心に努めなさい。そこで、わたしは最もすぐれた道をあなたがたに示そう。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 13:1 たといわたしが、人々の言葉や御使たちの言葉を語っても、もし愛がなければ、わたしは、やかましい鐘や騒がしい鐃鉢と同じである。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 13:2 たといまた、わたしに預言をする力があり、あらゆる奥義とあらゆる知識とに通じていても、また、山を移すほどの強い信仰があっても、もし愛がなければ、わたしは無に等しい。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 13:3 たといまた、わたしが自分の全財産を人に施しても、また、自分のからだを焼かれるために渡しても、もし愛がなければ、いっさいは無益である。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 13:4 愛は寛容であり、愛は情深い。また、ねたむことをしない。愛は高ぶらない、誇らない、 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 13:5 不作法をしない、自分の利益を求めない、いらだたない、恨みをいだかない。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 13:6 不義を喜ばないで真理を喜ぶ。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 13:7 そして、すべてを忍び、すべてを信じ、すべてを望み、すべてを耐える。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 13:8 愛はいつまでも絶えることがない。しかし、預言はすたれ、異言はやみ、知識はすたれるであろう。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 13:9 なぜなら、わたしたちの知るところは一部分であり、預言するところも一部分にすぎない。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 13:10 全きものが来る時には、部分的なものはすたれる。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 13:11 わたしたちが幼な子であった時には、幼な子らしく語り、幼な子らしく感じ、また、幼な子らしく考えていた。しかし、おとなとなった今は、幼な子らしいことを捨ててしまった。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 13:12 わたしたちは、今は、鏡に映して見るようにおぼろげに見ている。しかしその時には、顔と顔とを合わせて、見るであろう。わたしの知るところは、今は一部分にすぎない。しかしその時には、わたしが完全に知られているように、完全に知るであろう。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 13:13 このように、いつまでも存続するものは、信仰と希望と愛と、この三つである。このうちで最も大いなるものは、愛である。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 14:1 愛を追い求めなさい。また、霊の賜物を、ことに預言することを、熱心に求めなさい。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 14:2 異言を語る者は、人にむかって語るのではなく、神にむかって語るのである。それはだれにもわからない。彼はただ、霊によって奥義を語っているだけである。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 14:3 しかし預言をする者は、人に語ってその徳を高め、彼を励まし、慰めるのである。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 14:4 異言を語る者は自分だけの徳を高めるが、預言をする者は教会の徳を高める。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 14:5 わたしは実際、あなたがたがひとり残らず異言を語ることを望むが、特に預言をしてもらいたい。教会の徳を高めるように異言を解かない限り、異言を語る者よりも、預言をする者の方がまさっている。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 14:6 だから、兄弟たちよ。たといわたしがあなたがたの所に行って異言を語るとしても、啓示か知識か預言か教かを語らなければ、あなたがたに、なんの役に立つだろうか。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 14:7 また、笛や立琴のような楽器でも、もしその音に変化がなければ、何を吹いているのか、弾いているのか、どうして知ることができようか。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 14:8 また、もしラッパがはっきりした音を出さないなら、だれが戦闘の準備をするだろうか。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 14:9 それと同様に、もしあなたがたが異言ではっきりしない言葉を語れば、どうしてその語ることがわかるだろうか。それでは、空にむかって語っていることになる。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 14:10 世には多種多様の言葉があるだろうが、意味のないものは一つもない。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 14:11 もしその言葉の意味がわからないなら、語っている人にとっては、わたしは異国人であり、語っている人も、わたしにとっては異国人である。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 14:12 だから、あなたがたも、霊の賜物を熱心に求めている以上は、教会の徳を高めるために、それを豊かにいただくように励むがよい。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 14:13 このようなわけであるから、異言を語る者は、自分でそれを解くことができるように祈りなさい。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 14:14 もしわたしが異言をもって祈るなら、わたしの霊は祈るが、知性は実を結ばないからである。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 14:15 すると、どうしたらよいのか。わたしは霊で祈ると共に、知性でも祈ろう。霊でさんびを歌うと共に、知性でも歌おう。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 14:16 そうでないと、もしあなたが霊で祝福の言葉を唱えても、初心者の席にいる者は、あなたの感謝に対して、どうしてアァメンと言えようか。あなたが何を言っているのか、彼には通じない。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 14:17 感謝するのは結構だが、それで、ほかの人の徳を高めることにはならない。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 14:18 わたしは、あなたがたのうちのだれよりも多く異言が語れることを、神に感謝する。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 14:19 しかし教会では、一万の言葉を異言で語るよりも、ほかの人たちをも教えるために、むしろ五つの言葉を知性によって語る方が願わしい。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 14:20 兄弟たちよ。物の考えかたでは、子供となってはいけない。悪事については幼な子となるのはよいが、考えかたでは、おとなとなりなさい。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 14:21 律法にこう書いてある、「わたしは、異国の舌と異国のくちびるとで、この民に語るが、それでも、彼らはわたしに耳を傾けない、と主が仰せになる」。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 14:22 このように、異言は信者のためではなく未信者のためのしるしであるが、預言は未信者のためではなく信者のためのしるしである。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 14:23 もし全教会が一緒に集まって、全員が異言を語っているところに、初心者か不信者かがはいってきたら、彼らはあなたがたを気違いだと言うだろう。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 14:24 しかし、全員が預言をしているところに、不信者か初心者がはいってきたら、彼の良心はみんなの者に責められ、みんなの者にさばかれ、 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 14:25 その心の秘密があばかれ、その結果、ひれ伏して神を拝み、「まことに、神があなたがたのうちにいます」と告白するに至るであろう。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 14:26 すると、兄弟たちよ。どうしたらよいのか。あなたがたが一緒に集まる時、各自はさんびを歌い、教をなし、啓示を告げ、異言を語り、それを解くのであるが、すべては徳を高めるためにすべきである。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 14:27 もし異言を語る者があれば、ふたりか、多くて三人の者が、順々に語り、そして、ひとりがそれを解くべきである。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 14:28 もし解く者がいない時には、教会では黙っていて、自分に対しまた神に対して語っているべきである。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 14:29 預言をする者の場合にも、ふたりか三人かが語り、ほかの者はそれを吟味すべきである。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 14:30 しかし、席にいる他の者が啓示を受けた場合には、初めの者は黙るがよい。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 14:31 あなたがたは、みんなが学びみんなが勧めを受けるために、ひとりずつ残らず預言をすることができるのだから。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 14:32 かつ、預言者の霊は預言者に服従するものである。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 14:33 神は無秩序の神ではなく、平和の神である。 聖徒たちのすべての教会で行われているように、 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 14:34 婦人たちは教会では黙っていなければならない。彼らは語ることが許されていない。だから、律法も命じているように、服従すべきである。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 14:35 もし何か学びたいことがあれば、家で自分の夫に尋ねるがよい。教会で語るのは、婦人にとっては恥ずべきことである。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 14:36 それとも、神の言はあなたがたのところから出たのか。あるいは、あなたがただけにきたのか。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 14:37 もしある人が、自分は預言者か霊の人であると思っているなら、わたしがあなたがたに書いていることは、主の命令だと認めるべきである。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 14:38 もしそれを無視する者があれば、その人もまた無視される。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 14:39 わたしの兄弟たちよ。このようなわけだから、預言することを熱心に求めなさい。また、異言を語ることを妨げてはならない。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 14:40 しかし、すべてのことを適宜に、かつ秩序を正して行うがよい。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 15:1 兄弟たちよ。わたしが以前あなたがたに伝えた福音、あなたがたが受けいれ、それによって立ってきたあの福音を、思い起してもらいたい。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 15:2 もしあなたがたが、いたずらに信じないで、わたしの宣べ伝えたとおりの言葉を固く守っておれば、この福音によって救われるのである。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 15:3 わたしが最も大事なこととしてあなたがたに伝えたのは、わたし自身も受けたことであった。すなわちキリストが、聖書に書いてあるとおり、わたしたちの罪のために死んだこと、 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 15:4 そして葬られたこと、聖書に書いてあるとおり、三日目によみがえったこと、 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 15:5 ケパに現れ、次に、十二人に現れたことである。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 15:6 そののち、五百人以上の兄弟たちに、同時に現れた。その中にはすでに眠った者たちもいるが、大多数はいまなお生存している。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 15:7 そののち、ヤコブに現れ、次に、すべての使徒たちに現れ、 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 15:8 そして最後に、いわば、月足らずに生れたようなわたしにも、現れたのである。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 15:9 実際わたしは、神の教会を迫害したのであるから、使徒たちの中でいちばん小さい者であって、使徒と呼ばれる値うちのない者である。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 15:10 しかし、神の恵みによって、わたしは今日あるを得ているのである。そして、わたしに賜わった神の恵みはむだにならず、むしろ、わたしは彼らの中のだれよりも多く働いてきた。しかしそれは、わたし自身ではなく、わたしと共にあった神の恵みである。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 15:11 とにかく、わたしにせよ彼らにせよ、そのように、わたしたちは宣べ伝えており、そのように、あなたがたは信じたのである。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 15:12 さて、キリストは死人の中からよみがえったのだと宣べ伝えられているのに、あなたがたの中のある者が、死人の復活などはないと言っているのは、どうしたことか。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 15:13 もし死人の復活がないならば、キリストもよみがえらなかったであろう。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 15:14 もしキリストがよみがえらなかったとしたら、わたしたちの宣教はむなしく、あなたがたの信仰もまたむなしい。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 15:15 すると、わたしたちは神にそむく偽証人にさえなるわけだ。なぜなら、万一死人がよみがえらないとしたら、わたしたちは神が実際よみがえらせなかったはずのキリストを、よみがえらせたと言って、神に反するあかしを立てたことになるからである。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 15:16 もし死人がよみがえらないなら、キリストもよみがえらなかったであろう。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 15:17 もしキリストがよみがえらなかったとすれば、あなたがたの信仰は空虚なものとなり、あなたがたは、いまなお罪の中にいることになろう。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 15:18 そうだとすると、キリストにあって眠った者たちは、滅んでしまったのである。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 15:19 もしわたしたちが、この世の生活でキリストにあって単なる望みをいだいているだけだとすれば、わたしたちは、すべての人の中で最もあわれむべき存在となる。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 15:20 しかし事実、キリストは眠っている者の初穂として、死人の中からよみがえったのである。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 15:21 それは、死がひとりの人によってきたのだから、死人の復活もまた、ひとりの人によってこなければならない。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 15:22 アダムにあってすべての人が死んでいるのと同じように、キリストにあってすべての人が生かされるのである。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 15:23 ただ、各自はそれぞれの順序に従わねばならない。最初はキリスト、次に、主の来臨に際してキリストに属する者たち、 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 15:24 それから終末となって、その時に、キリストはすべての君たち、すべての権威と権力とを打ち滅ぼして、国を父なる神に渡されるのである。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 15:25 なぜなら、キリストはあらゆる敵をその足もとに置く時までは、支配を続けることになっているからである。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 15:26 最後の敵として滅ぼされるのが、死である。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 15:27 「神は万物を彼の足もとに従わせた」からである。ところが、万物を従わせたと言われる時、万物を従わせたかたがそれに含まれていないことは、明らかである。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 15:28 そして、万物が神に従う時には、御子自身もまた、万物を従わせたそのかたに従うであろう。それは、神がすべての者にあって、すべてとなられるためである。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 15:29 そうでないとすれば、死者のためにバプテスマを受ける人々は、なぜそれをするのだろうか。もし死者が全くよみがえらないとすれば、なぜ人々が死者のためにバプテスマを受けるのか。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 15:30 また、なんのために、わたしたちはいつも危険を冒しているのか。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 15:31 兄弟たちよ。わたしたちの主キリスト・イエスにあって、わたしがあなたがたにつき持っている誇にかけて言うが、わたしは日々死んでいるのである。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 15:32 もし、わたしが人間の考えによってエペソで獣と戦ったとすれば、それはなんの役に立つのか。もし死人がよみがえらないのなら、「わたしたちは飲み食いしようではないか。あすもわからぬいのちなのだ」。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 15:33 まちがってはいけない。 「悪い交わりは、良いならわしをそこなう」。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 15:34 目ざめて身を正し、罪を犯さないようにしなさい。あなたがたのうちには、神について無知な人々がいる。あなたがたをはずかしめるために、わたしはこう言うのだ。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 15:35 しかし、ある人は言うだろう。「どんなふうにして、死人がよみがえるのか。どんなからだをして来るのか」。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 15:36 おろかな人である。あなたのまくものは、死ななければ、生かされないではないか。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 15:37 また、あなたのまくのは、やがて成るべきからだをまくのではない。麦であっても、ほかの種であっても、ただの種粒にすぎない。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 15:38 ところが、神はみこころのままに、これにからだを与え、その一つ一つの種にそれぞれのからだをお与えになる。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 15:39 すべての肉が、同じ肉なのではない。人の肉があり、獣の肉があり、鳥の肉があり、魚の肉がある。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 15:40 天に属するからだもあれば、地に属するからだもある。天に属するものの栄光は、地に属するものの栄光と違っている。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 15:41 日の栄光があり、月の栄光があり、星の栄光がある。また、この星とあの星との間に、栄光の差がある。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 15:42 死人の復活も、また同様である。朽ちるものでまかれ、朽ちないものによみがえり、 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 15:43 卑しいものでまかれ、栄光あるものによみがえり、弱いものでまかれ、強いものによみがえり、 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 15:44 肉のからだでまかれ、霊のからだによみがえるのである。肉のからだがあるのだから、霊のからだもあるわけである。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 15:45 聖書に「最初の人アダムは生きたものとなった」と書いてあるとおりである。しかし最後のアダムは命を与える霊となった。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 15:46 最初にあったのは、霊のものではなく肉のものであって、その後に霊のものが来るのである。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 15:47 第一の人は地から出て土に属し、第二の人は天から来る。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 15:48 この土に属する人に、土に属している人々は等しく、この天に属する人に、天に属している人々は等しいのである。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 15:49 すなわち、わたしたちは、土に属している形をとっているのと同様に、また天に属している形をとるであろう。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 15:50 兄弟たちよ。わたしはこの事を言っておく。肉と血とは神の国を継ぐことができないし、朽ちるものは朽ちないものを継ぐことがない。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 15:51 ここで、あなたがたに奥義を告げよう。わたしたちすべては、眠り続けるのではない。終りのラッパの響きと共に、またたく間に、一瞬にして変えられる。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 15:52 というのは、ラッパが響いて、死人は朽ちない者によみがえらされ、わたしたちは変えられるのである。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 15:53 なぜなら、この朽ちるものは必ず朽ちないものを着、この死ぬものは必ず死なないものを着ることになるからである。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 15:54 この朽ちるものが朽ちないものを着、この死ぬものが死なないものを着るとき、聖書に書いてある言葉が成就するのである。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 15:55 「死は勝利にのまれてしまった。 死よ、おまえの勝利は、どこにあるのか。 死よ、おまえのとげは、どこにあるのか」。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 15:56 死のとげは罪である。罪の力は律法である。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 15:57 しかし感謝すべきことには、神はわたしたちの主イエス・キリストによって、わたしたちに勝利を賜わったのである。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 15:58 だから、愛する兄弟たちよ。堅く立って動かされず、いつも全力を注いで主のわざに励みなさい。主にあっては、あなたがたの労苦がむだになることはないと、あなたがたは知っているからである。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 16:1 聖徒たちへの献金については、わたしはガラテヤの諸教会に命じておいたが、あなたがたもそのとおりにしなさい。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 16:2 一週の初めの日ごとに、あなたがたはそれぞれ、いくらでも収入に応じて手もとにたくわえておき、わたしが着いた時になって初めて集めることのないようにしなさい。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 16:3 わたしが到着したら、あなたがたが選んだ人々に手紙をつけ、あなたがたの贈り物を持たせて、エルサレムに送り出すことにしよう。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 16:4 もしわたしも行く方がよければ、一緒に行くことになろう。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 16:5 わたしは、マケドニヤを通過してから、あなたがたのところに行くことになろう。マケドニヤは通過するだけだが、 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 16:6 あなたがたの所では、たぶん滞在するようになり、あるいは冬を過ごすかも知れない。そうなれば、わたしがどこへゆくにしても、あなたがたに送ってもらえるだろう。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 16:7 わたしは今、あなたがたに旅のついでに会うことは好まない。もし主のお許しがあれば、しばらくあなたがたの所に滞在したいと望んでいる。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 16:8 しかし五旬節までは、エペソに滞在するつもりだ。というのは、有力な働きの門がわたしのために大きく開かれているし、 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 16:9 また敵対する者も多いからである。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 16:10 もしテモテが着いたら、あなたがたの所で不安なしに過ごせるようにしてあげてほしい。彼はわたしと同様に、主のご用にあたっているのだから。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 16:11 だれも彼を軽んじてはいけない。そして、わたしの所に来るように、どうか彼を安らかに送り出してほしい。わたしは彼が兄弟たちと一緒に来るのを待っている。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 16:12 兄弟アポロについては、兄弟たちと一緒にあなたがたの所に行くように、たびたび勧めてみた。しかし彼には、今行く意志は、全くない。適当な機会があれば、行くだろう。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 16:13 目をさましていなさい。信仰に立ちなさい。男らしく、強くあってほしい。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 16:14 いっさいのことを、愛をもって行いなさい。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 16:15 兄弟たちよ。あなたがたに勧める。あなたがたが知っているように、ステパナの家はアカヤの初穂であって、彼らは身をもって聖徒に奉仕してくれた。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 16:16 どうか、このような人々と、またすべて彼らと共に働き共に労する人々とに、従ってほしい。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 16:17 わたしは、ステパナとポルトナトとアカイコとがきてくれたのを喜んでいる。彼らはあなたがたの足りない所を満たし、 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 16:18 わたしの心とあなたがたの心とを、安らかにしてくれた。こうした人々は、重んじなければならない。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 16:19 アジヤの諸教会から、あなたがたによろしく。アクラとプリスカとその家の教会から、主にあって心からよろしく。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 16:20 すべての兄弟たちから、よろしく。あなたがたも互に、きよい接吻をもってあいさつをかわしなさい。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 16:21 ここでパウロが、手ずからあいさつをしるす。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 16:22 もし主を愛さない者があれば、のろわれよ。マラナ・タ(われらの主よ、きたりませ)。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 16:23 主イエスの恵みが、あなたがたと共にあるように。 (J)

コリント人への手紙Ⅰ 16:24 わたしの愛が、キリスト・イエスにあって、あなたがた一同と共にあるように。 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 1:1 ¶ 神の御旨によりキリスト・イエスの使徒となったパウロと、兄弟テモテとから、コリントにある神の教会、ならびにアカヤ全土にいるすべての聖徒たちへ。 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 1:2 わたしたちの父なる神と主イエス・キリストから、恵みと平安とが、あなたがたにあるように。 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 1:3 ほむべきかな、わたしたちの主イエス・キリストの父なる神、あわれみ深き父、慰めに満ちたる神。 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 1:4 神は、いかなる患難の中にいる時でもわたしたちを慰めて下さり、また、わたしたち自身も、神に慰めていただくその慰めをもって、あらゆる患難の中にある人々を慰めることができるようにして下さるのである。 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 1:5 それは、キリストの苦難がわたしたちに満ちあふれているように、わたしたちの受ける慰めもまた、キリストによって満ちあふれているからである。 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 1:6 わたしたちが患難に会うなら、それはあなたがたの慰めと救とのためであり、慰めを受けるなら、それはあなたがたの慰めのためであって、その慰めは、わたしたちが受けているのと同じ苦難に耐えさせる力となるのである。 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 1:7 だから、あなたがたに対していだいているわたしたちの望みは、動くことがない。あなたがたが、わたしたちと共に苦難にあずかっているように、慰めにも共にあずかっていることを知っているからである。 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 1:8 兄弟たちよ。わたしたちがアジヤで会った患難を、知らずにいてもらいたくない。わたしたちは極度に、耐えられないほど圧迫されて、生きる望みをさえ失ってしまい、 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 1:9 心のうちで死を覚悟し、自分自身を頼みとしないで、死人をよみがえらせて下さる神を頼みとするに至った。 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 1:10 神はこのような死の危険から、わたしたちを救い出して下さった、また救い出して下さるであろう。わたしたちは、神が今後も救い出して下さることを望んでいる。 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 1:11 そして、あなたがたもまた祈をもって、ともどもに、わたしたちを助けてくれるであろう。これは多くの人々の願いによりわたしたちに賜わった恵みについて、多くの人が感謝をささげるようになるためである。 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 1:12 さて、わたしたちがこの世で、ことにあなたがたに対し、人間の知恵によってではなく神の恵みによって、神の神聖と真実とによって行動してきたことは、実にわたしたちの誇であって、良心のあかしするところである。 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 1:13 わたしたちが書いていることは、あなたがたが読んで理解できないことではない。それを完全に理解してくれるように、わたしは希望する。 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 1:14 すでにある程度わたしたちを理解してくれているとおり、わたしたちの主イエスの日には、あなたがたがわたしたちの誇であるように、わたしたちもあなたがたの誇なのである。 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 1:15 この確信をもって、わたしたちはもう一度恵みを得させたいので、まずあなたがたの所に行き、 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 1:16 それからそちらを通ってマケドニヤにおもむき、そして再びマケドニヤからあなたがたの所に帰り、あなたがたの見送りを受けてユダヤに行く計画を立てたのである。 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 1:17 この計画を立てたのは、軽率なことであったであろうか。それとも、自分の計画を肉の思いによって計画したため、わたしの「しかり、しかり」が同時に「否、否」であったのだろうか。 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 1:18 神の真実にかけて言うが、あなたがたに対するわたしの言葉は、「しかり」と同時に「否」というようなものではない。 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 1:19 なぜなら、わたしたち、すなわち、わたしとシルワノとテモテとが、あなたがたに宣べ伝えた神の子キリスト・イエスは、「しかり」となると同時に「否」となったのではない。そうではなく、「しかり」がイエスにおいて実現されたのである。 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 1:20 なぜなら、神の約束はことごとく、彼において「しかり」となったからである。だから、わたしたちは、彼によって「アァメン」と唱えて、神に栄光を帰するのである。 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 1:21 あなたがたと共にわたしたちを、キリストのうちに堅くささえ、油をそそいで下さったのは、神である。 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 1:22 神はまた、わたしたちに証印をおし、その保証として、わたしたちの心に御霊を賜わったのである。 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 1:23 わたしは自分の魂をかけ、神を証人に呼び求めて言うが、わたしがコリントに行かないでいるのは、あなたがたに対して寛大でありたいためである。 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 1:24 わたしたちは、あなたがたの信仰を支配する者ではなく、あなたがたの喜びのために共に働いている者にすぎない。あなたがたは、信仰に堅く立っているからである。 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 2:1 そこでわたしは、あなたがたの所に再び悲しみをもって行くことはすまいと、決心したのである。 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 2:2 もしあなたがたを悲しませるとすれば、わたしが悲しませているその人以外に、だれがわたしを喜ばせてくれるのか。 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 2:3 このような事を書いたのは、わたしが行く時、わたしを喜ばせてくれるはずの人々から、悲しい思いをさせられたくないためである。わたし自身の喜びはあなたがた全体の喜びであることを、あなたがたすべてについて確信しているからである。 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 2:4 わたしは大きな患難と心の憂いの中から、多くの涙をもってあなたがたに書きおくった。それは、あなたがたを悲しませるためではなく、あなたがたに対してあふれるばかりにいだいているわたしの愛を、知ってもらうためであった。 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 2:5 しかし、もしだれかが人を悲しませたとすれば、それはわたしを悲しませたのではなく、控え目に言うが、ある程度、あなたがた一同を悲しませたのである。 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 2:6 その人にとっては、多数の者から受けたあの処罰でもう十分なのだから、 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 2:7 あなたがたはむしろ彼をゆるし、また慰めてやるべきである。そうしないと、その人はますます深い悲しみに沈むかも知れない。 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 2:8 そこでわたしは、彼に対して愛を示すように、あなたがたに勧める。 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 2:9 わたしが書きおくったのも、あなたがたがすべての事について従順であるかどうかを、ためすためにほかならなかった。 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 2:10 もしあなたがたが、何かのことについて人をゆるすなら、わたしもまたゆるそう。そして、もしわたしが何かのことでゆるしたとすれば、それは、あなたがたのためにキリストのみまえでゆるしたのである。 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 2:11 そうするのは、サタンに欺かれることのないためである。わたしたちは、彼の策略を知らないわけではない。 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 2:12 さて、キリストの福音のためにトロアスに行ったとき、わたしのために主の門が開かれたにもかかわらず、 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 2:13 兄弟テトスに会えなかったので、わたしは気が気でなく、人々に別れて、マケドニヤに出かけて行った。 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 2:14 しかるに、神は感謝すべきかな。神はいつもわたしたちをキリストの凱旋に伴い行き、わたしたちをとおしてキリストを知る知識のかおりを、至る所に放って下さるのである。 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 2:15 わたしたちは、救われる者にとっても滅びる者にとっても、神に対するキリストのかおりである。 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 2:16 後者にとっては、死から死に至らせるかおりであり、前者にとっては、いのちからいのちに至らせるかおりである。いったい、このような任務に、だれが耐え得ようか。 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 2:17 しかし、わたしたちは、多くの人のように神の言を売物にせず、真心をこめて、神につかわされた者として神のみまえで、キリストにあって語るのである。 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 3:1 わたしたちは、またもや、自己推薦をし始めているのだろうか。それとも、ある人々のように、あなたがたにあてた、あるいは、あなたがたからの推薦状が必要なのだろうか。 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 3:2 わたしたちの推薦状は、あなたがたなのである。それは、わたしたちの心にしるされていて、すべての人に知られ、かつ読まれている。 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 3:3 そして、あなたがたは自分自身が、わたしたちから送られたキリストの手紙であって、墨によらず生ける神の霊によって書かれ、石の板にではなく人の心の板に書かれたものであることを、はっきりとあらわしている。 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 3:4 こうした確信を、わたしたちはキリストにより神に対していだいている。 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 3:5 もちろん、自分自身で事を定める力が自分にある、と言うのではない。わたしたちのこうした力は、神からきている。 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 3:6 神はわたしたちに力を与えて、新しい契約に仕える者とされたのである。それは、文字に仕える者ではなく、霊に仕える者である。文字は人を殺し、霊は人を生かす。 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 3:7 もし石に彫りつけた文字による死の務が栄光のうちに行われ、そのためイスラエルの子らは、モーセの顔の消え去るべき栄光のゆえに、その顔を見つめることができなかったとすれば、 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 3:8 まして霊の務は、はるかに栄光あるものではなかろうか。 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 3:9 もし罪を宣告する務が栄光あるものだとすれば、義を宣告する務は、はるかに栄光に満ちたものである。 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 3:10 そして、すでに栄光を受けたものも、この場合、はるかにまさった栄光のまえに、その栄光を失ったのである。 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 3:11 もし消え去るべきものが栄光をもって現れたのなら、まして永存すべきものは、もっと栄光のあるべきものである。 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 3:12 こうした望みをいだいているので、わたしたちは思いきって大胆に語り、 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 3:13 そしてモーセが、消え去っていくものの最後をイスラエルの子らに見られまいとして、顔におおいをかけたようなことはしない。 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 3:14 実際、彼らの思いは鈍くなっていた。今日に至るまで、彼らが古い契約を朗読する場合、その同じおおいが取り去られないままで残っている。それは、キリストにあってはじめて取り除かれるのである。 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 3:15 今日に至るもなお、モーセの書が朗読されるたびに、おおいが彼らの心にかかっている。 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 3:16 しかし主に向く時には、そのおおいは取り除かれる。 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 3:17 主は霊である。そして、主の霊のあるところには、自由がある。 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 3:18 わたしたちはみな、顔おおいなしに、主の栄光を鏡に映すように見つつ、栄光から栄光へと、主と同じ姿に変えられていく。これは霊なる主の働きによるのである。 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 4:1 このようにわたしたちは、あわれみを受けてこの務についているのだから、落胆せずに、 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 4:2 恥ずべき隠れたことを捨て去り、悪巧みによって歩かず、神の言を曲げず、真理を明らかにし、神のみまえに、すべての人の良心に自分を推薦するのである。 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 4:3 もしわたしたちの福音がおおわれているなら、滅びる者どもにとっておおわれているのである。 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 4:4 彼らの場合、この世の神が不信の者たちの思いをくらませて、神のかたちであるキリストの栄光の福音の輝きを、見えなくしているのである。 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 4:5 しかし、わたしたちは自分自身を宣べ伝えるのではなく、主なるキリスト・イエスを宣べ伝える。わたしたち自身は、ただイエスのために働くあなたがたの僕にすぎない。 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 4:6 「やみの中から光が照りいでよ」と仰せになった神は、キリストの顔に輝く神の栄光の知識を明らかにするために、わたしたちの心を照して下さったのである。 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 4:7 しかしわたしたちは、この宝を土の器の中に持っている。その測り知れない力は神のものであって、わたしたちから出たものでないことが、あらわれるためである。 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 4:8 わたしたちは、四方から患難を受けても窮しない。途方にくれても行き詰まらない。 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 4:9 迫害に会っても見捨てられない。倒されても滅びない。 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 4:10 いつもイエスの死をこの身に負うている。それはまた、イエスのいのちが、この身に現れるためである。 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 4:11 わたしたち生きている者は、イエスのために絶えず死に渡されているのである。それはイエスのいのちが、わたしたちの死ぬべき肉体に現れるためである。 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 4:12 こうして、死はわたしたちのうちに働き、いのちはあなたがたのうちに働くのである。 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 4:13 「わたしは信じた。それゆえに語った」としるしてあるとおり、それと同じ信仰の霊を持っているので、わたしたちも信じている。それゆえに語るのである。 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 4:14 それは、主イエスをよみがえらせたかたが、わたしたちをもイエスと共によみがえらせ、そして、あなたがたと共にみまえに立たせて下さることを、知っているからである。 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 4:15 すべてのことは、あなたがたの益であって、恵みがますます多くの人に増し加わるにつれ、感謝が満ちあふれて、神の栄光となるのである。 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 4:16 だから、わたしたちは落胆しない。たといわたしたちの外なる人は滅びても、内なる人は日ごとに新しくされていく。 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 4:17 なぜなら、このしばらくの軽い患難は働いて、永遠の重い栄光を、あふれるばかりにわたしたちに得させるからである。 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 4:18 わたしたちは、見えるものにではなく、見えないものに目を注ぐ。見えるものは一時的であり、見えないものは永遠につづくのである。 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 5:1 わたしたちの住んでいる地上の幕屋がこわれると、神からいただく建物、すなわち天にある、人の手によらない永遠の家が備えてあることを、わたしたちは知っている。 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 5:2 そして、天から賜わるそのすみかを、上に着ようと切に望みながら、この幕屋の中で苦しみもだえている。 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 5:3 それを着たなら、裸のままではいないことになろう。 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 5:4 この幕屋の中にいるわたしたちは、重荷を負って苦しみもだえている。それを脱ごうと願うからではなく、その上に着ようと願うからであり、それによって、死ぬべきものがいのちにのまれてしまうためである。 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 5:5 わたしたちを、この事にかなう者にして下さったのは、神である。そして、神はその保証として御霊をわたしたちに賜わったのである。 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 5:6 だから、わたしたちはいつも心強い。そして、肉体を宿としている間は主から離れていることを、よく知っている。 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 5:7 わたしたちは、見えるものによらないで、信仰によって歩いているのである。 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 5:8 それで、わたしたちは心強い。そして、むしろ肉体から離れて主と共に住むことが、願わしいと思っている。 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 5:9 そういうわけだから、肉体を宿としているにしても、それから離れているにしても、ただ主に喜ばれる者となるのが、心からの願いである。 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 5:10 なぜなら、わたしたちは皆、キリストのさばきの座の前にあらわれ、善であれ悪であれ、自分の行ったことに応じて、それぞれ報いを受けねばならないからである。 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 5:11 このようにわたしたちは、主の恐るべきことを知っているので、人々に説き勧める。わたしたちのことは、神のみまえには明らかになっている。さらに、あなたがたの良心にも明らかになるようにと望む。 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 5:12 わたしたちは、あなたがたに対して、またもや自己推薦をしようとするのではない。ただわたしたちを誇る機会を、あなたがたに持たせ、心を誇るのではなくうわべだけを誇る人々に答えうるようにさせたいのである。 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 5:13 もしわたしたちが、気が狂っているのなら、それは神のためであり、気が確かであるのなら、それはあなたがたのためである。 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 5:14 なぜなら、キリストの愛がわたしたちに強く迫っているからである。わたしたちはこう考えている。ひとりの人がすべての人のために死んだ以上、すべての人が死んだのである。 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 5:15 そして、彼がすべての人のために死んだのは、生きている者がもはや自分のためにではなく、自分のために死んでよみがえったかたのために、生きるためである。 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 5:16 それだから、わたしたちは今後、だれをも肉によって知ることはすまい。かつてはキリストを肉によって知っていたとしても、今はもうそのような知り方をすまい。 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 5:17 だれでもキリストにあるならば、その人は新しく造られた者である。古いものは過ぎ去った、見よ、すべてが新しくなったのである。 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 5:18 しかし、すべてこれらの事は、神から出ている。神はキリストによって、わたしたちをご自分に和解させ、かつ和解の務をわたしたちに授けて下さった。 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 5:19 すなわち、神はキリストにおいて世をご自分に和解させ、その罪過の責任をこれに負わせることをしないで、わたしたちに和解の福音をゆだねられたのである。 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 5:20 神がわたしたちをとおして勧めをなさるのであるから、わたしたちはキリストの使者なのである。そこで、キリストに代って願う、神の和解を受けなさい。 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 5:21 神はわたしたちの罪のために、罪を知らないかたを罪とされた。それは、わたしたちが、彼にあって神の義となるためなのである。 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 6:1 わたしたちはまた、神と共に働く者として、あなたがたに勧める。神の恵みをいたずらに受けてはならない。 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 6:2 神はこう言われる、 「わたしは、恵みの時にあなたの願いを聞きいれ、 救の日にあなたを助けた」。 見よ、今は恵みの時、見よ、今は救の日である。 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 6:3 この務がそしりを招かないために、わたしたちはどんな事にも、人につまずきを与えないようにし、 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 6:4 かえって、あらゆる場合に、神の僕として、自分を人々にあらわしている。すなわち、極度の忍苦にも、患難にも、危機にも、行き詰まりにも、 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 6:5 むち打たれることにも、入獄にも、騒乱にも、労苦にも、徹夜にも、飢餓にも、 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 6:6 真実と知識と寛容と、慈愛と聖霊と偽りのない愛と、 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 6:7 真理の言葉と神の力とにより、左右に持っている義の武器により、 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 6:8 ほめられても、そしられても、悪評を受けても、好評を博しても、神の僕として自分をあらわしている。わたしたちは、人を惑わしているようであるが、しかも真実であり、 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 6:9 人に知られていないようであるが、認められ、死にかかっているようであるが、見よ、生きており、懲らしめられているようであるが、殺されず、 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 6:10 悲しんでいるようであるが、常に喜んでおり、貧しいようであるが、多くの人を富ませ、何も持たないようであるが、すべての物を持っている。 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 6:11 コリントの人々よ。あなたがたに向かってわたしたちの口は開かれており、わたしたちの心は広くなっている。 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 6:12 あなたがたは、わたしたちに心をせばめられていたのではなく、自分で心をせばめていたのだ。 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 6:13 わたしは子供たちに対するように言うが、どうかあなたがたの方でも心を広くして、わたしに応じてほしい。 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 6:14 不信者と、つり合わないくびきを共にするな。義と不義となんの係わりがあるか。光とやみとなんの交わりがあるか。 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 6:15 キリストとベリアルとなんの調和があるか。信仰と不信仰となんの関係があるか。 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 6:16 神の宮と偶像となんの一致があるか。わたしたちは、生ける神の宮である。神がこう仰せになっている、 「わたしは彼らの間に住み、 かつ出入りをするであろう。 そして、わたしは彼らの神となり、 彼らはわたしの民となるであろう」。 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 6:17 だから、「彼らの間から出て行き、 彼らと分離せよ、と主は言われる。 そして、汚れたものに触てはならない。 触なければ、わたしはあなたがたを受けいれよう。 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 6:18 そしてわたしは、あなたがたの父となり、 あなたがたは、 わたしのむすこ、むすめとなるであろう。 全能の主が、こう言われる」。 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 7:1 愛する者たちよ。わたしたちは、このような約束を与えられているのだから、肉と霊とのいっさいの汚れから自分をきよめ、神をおそれて全く清くなろうではないか。 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 7:2 どうか、わたしたちに心を開いてほしい。わたしたちは、だれにも不義をしたことがなく、だれをも破滅におとしいれたことがなく、だれからもだまし取ったことがない。 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 7:3 わたしは、責めるつもりでこう言うのではない。前にも言ったように、あなたがたはわたしの心のうちにいて、わたしたちと生死を共にしているのである。 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 7:4 わたしはあなたがたを大いに信頼し、大いに誇っている。また、あふれるばかり慰めを受け、あらゆる患難の中にあって喜びに満ちあふれている。 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 7:5 さて、マケドニヤに着いたとき、わたしたちの身に少しの休みもなく、さまざまの患難に会い、外には戦い、内には恐れがあった。 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 7:6 しかるに、うちしおれている者を慰める神は、テトスの到来によって、わたしたちを慰めて下さった。 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 7:7 ただ彼の到来によるばかりではなく、彼があなたがたから受けたその慰めをもって、慰めて下さった。すなわち、あなたがたがわたしを慕っていること、嘆いていること、またわたしに対して熱心であることを知らせてくれたので、わたしの喜びはいよいよ増し加わったのである。 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 7:8 そこで、たとい、あの手紙であなたがたを悲しませたとしても、わたしはそれを悔いていない。あの手紙がしばらくの間ではあるが、あなたがたを悲しませたのを見て悔いたとしても、 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 7:9 今は喜んでいる。それは、あなたがたが悲しんだからではなく、悲しんで悔い改めるに至ったからである。あなたがたがそのように悲しんだのは、神のみこころに添うたことであって、わたしたちからはなんの損害も受けなかったのである。 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 7:10 神のみこころに添うた悲しみは、悔いのない救を得させる悔改めに導き、この世の悲しみは死をきたらせる。 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 7:11 見よ、神のみこころに添うたその悲しみが、どんなにか熱情をあなたがたに起させたことか。また、弁明、義憤、恐れ、愛慕、熱意、それから処罰に至らせたことか。あなたがたはあの問題については、すべての点において潔白であることを証明したのである。 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 7:12 だから、わたしがあなたがたに書きおくったのは、不義をした人のためでも、不義を受けた人のためでもなく、わたしたちに対するあなたがたの熱情が、神の前にあなたがたの間で明らかになるためである。 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 7:13 こういうわけで、わたしたちは慰められたのである。これらの慰めの上にテトスの喜びが加わって、わたしたちはなおいっそう喜んだ。彼があなたがた一同によって安心させられたからである。 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 7:14 そして、わたしは彼に対してあなたがたのことを少しく誇ったが、それはわたしの恥にならないですんだ。あなたがたにいっさいのことを真実に語ったように、テトスに対して誇ったことも真実となってきたのである。 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 7:15 また彼は、あなたがた一同が従順であって、おそれおののきつつ自分を迎えてくれたことを思い出して、ますます心をあなたがたの方に寄せている。 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 7:16 わたしは、あなたがたに全く信頼することができて、喜んでいる。 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 8:1 兄弟たちよ。わたしたちはここで、マケドニヤの諸教会に与えられた神の恵みを、あなたがたに知らせよう。 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 8:2 すなわち、彼らは、患難のために激しい試錬をうけたが、その満ちあふれる喜びは、極度の貧しさにもかかわらず、あふれ出て惜しみなく施す富となったのである。 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 8:3 わたしはあかしするが、彼らは力に応じて、否、力以上に施しをした。すなわち、自ら進んで、 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 8:4 聖徒たちへの奉仕に加わる恵みにあずかりたいと、わたしたちに熱心に願い出て、 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 8:5 わたしたちの希望どおりにしたばかりか、自分自身をまず、神のみこころにしたがって、主にささげ、また、わたしたちにもささげたのである。 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 8:6 そこで、この募金をテトスがあなたがたの所で、すでに始めた以上、またそれを完成するようにと、わたしたちは彼に勧めたのである。 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 8:7 さて、あなたがたがあらゆる事がらについて富んでいるように、すなわち、信仰にも言葉にも知識にも、あらゆる熱情にも、また、あなたがたに対するわたしたちの愛にも富んでいるように、この恵みのわざにも富んでほしい。 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 8:8 こう言っても、わたしは命令するのではない。ただ、他の人たちの熱情によって、あなたがたの愛の純真さをためそうとするのである。 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 8:9 あなたがたは、わたしたちの主イエス・キリストの恵みを知っている。すなわち、主は富んでおられたのに、あなたがたのために貧しくなられた。それは、あなたがたが、彼の貧しさによって富む者になるためである。 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 8:10 そこで、わたしは、この恵みのわざについて意見を述べよう。それがあなたがたの益になるからである。あなたがたはこの事を、昨年以来、他に先んじて実行したばかりではなく、それを願っていた。 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 8:11 だから今、それをやりとげなさい。あなたがたが心から願っているように、持っているところに応じて、それをやりとげなさい。 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 8:12 もし心から願ってそうするなら、持たないところによらず、持っているところによって、神に受けいれられるのである。 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 8:13 それは、ほかの人々に楽をさせて、あなたがたに苦労をさせようとするのではなく、持ち物を等しくするためである。 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 8:14 すなわち、今の場合は、あなたがたの余裕があの人たちの欠乏を補い、後には、彼らの余裕があなたがたの欠乏を補い、こうして等しくなるようにするのである。 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 8:15 それは「多く得た者も余ることがなく、少ししか得なかった者も足りないことはなかった」と書いてあるとおりである。 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 8:16 わたしがあなたがたに対して持っている同じ熱情を、テトスの心にも与えて下さった神に感謝する。 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 8:17 彼はわたしの勧めを受けいれ、そして更に熱心になって、自分から進んであなたがたのところに行った。 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 8:18 わたしたちはまた、テトスと一緒に、ひとりの兄弟を送る。この兄弟が福音宣伝の上で得たほまれは、すべての教会に聞えているが、 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 8:19 そのうえ、彼は、主ご自身の栄光があらわれるため、また、わたしたちの好意を示すために、骨を折って贈り物を集めているわたしたちの同伴者として、諸教会から選ばれたのである。 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 8:20 そうしたのは、わたしたちが集めているこの寄附金のことについて、人にかれこれ言われるのを避けるためである。 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 8:21 わたしたちは、主のみまえばかりではなく、人の前でも公正であるように、気を配っているのである。 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 8:22 また、もうひとりの兄弟を彼らと一緒に送る。わたしたちは、多くの事について彼が熱心であったことを、たびたび認めた。彼は今、あなたがたを非常に信頼して、ますます熱心になっている。 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 8:23 テトスについて言えば、彼はわたしの仲間であり、あなたがたに対するわたしの協力者である。この兄弟たちについて言えば、彼らは諸教会の使者、キリストの栄光である。 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 8:24 だから、あなたがたの愛と、また、あなたがたについてわたしたちがいだいている誇とが、真実であることを、諸教会の前で彼らにあかししていただきたい。 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 9:1 聖徒たちに対する援助については、いまさら、あなたがたに書きおくる必要はない。 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 9:2 わたしは、あなたがたの好意を知っており、そのために、あなたがたのことをマケドニヤの人々に誇って、アカヤでは昨年以来、すでに準備をしているのだと言った。そして、あなたがたの熱心は、多くの人を奮起させたのである。 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 9:3 わたしが兄弟たちを送ることにしたのは、あなたがたについてわたしたちの誇ったことが、この場合むなしくならないで、わたしが言ったとおり準備していてもらいたいからである。 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 9:4 そうでないと、万一マケドニヤ人がわたしと一緒に行って、準備ができていないのを見たら、あなたがたはもちろん、わたしたちも、かように信じきっていただけに、恥をかくことになろう。 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 9:5 だから、わたしは兄弟たちを促して、あなたがたの所へ先に行かせ、以前あなたがたが約束していた贈り物の準備をさせておくことが必要だと思った。それをしぶりながらではなく、心をこめて用意していてほしい。 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 9:6 わたしの考えはこうである。少ししかまかない者は、少ししか刈り取らず、豊かにまく者は、豊かに刈り取ることになる。 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 9:7 各自は惜しむ心からでなく、また、しいられてでもなく、自ら心で決めたとおりにすべきである。神は喜んで施す人を愛して下さるのである。 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 9:8 神はあなたがたにあらゆる恵みを豊かに与え、あなたがたを常にすべてのことに満ち足らせ、すべての良いわざに富ませる力のあるかたなのである。 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 9:9 「彼は貧しい人たちに散らして与えた。 その義は永遠に続くであろう」 と書いてあるとおりである。 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 9:10 種まく人に種と食べるためのパンとを備えて下さるかたは、あなたがたにも種を備え、それをふやし、そしてあなたがたの義の実を増して下さるのである。 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 9:11 こうして、あなたがたはすべてのことに豊かになって、惜しみなく施し、その施しはわたしたちの手によって行われ、神に感謝するに至るのである。 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 9:12 なぜなら、この援助の働きは、聖徒たちの欠乏を補えだけではなく、神に対する多くの感謝によってますます豊かになるからである。 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 9:13 すなわち、この援助を行った結果として、あなたがたがキリストの福音の告白に対して従順であることや、彼らにも、すべての人にも、惜しみなく施しをしていることがわかってきて、彼らは神に栄光を帰し、 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 9:14 そして、あなたがたに賜わったきわめて豊かな神の恵みのゆえに、あなたがたを慕い、あなたがたのために祈るのである。 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 9:15 言いつくせない賜物のゆえに、神に感謝する。 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 10:1 さて、「あなたがたの間にいて面と向かってはおとなしいが、離れていると、気が強くなる」このパウロが、キリストの優しさ、寛大さをもって、あなたがたに勧める。 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 10:2 わたしたちを肉に従って歩いているかのように思っている人々に対しては、わたしは勇敢に行動するつもりであるが、あなたがたの所では、どうか、そのような思いきったことをしないですむようでありたい。 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 10:3 わたしたちは、肉にあって歩いてはいるが、肉に従って戦っているのではない。 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 10:4 わたしたちの戦いの武器は、肉のものではなく、神のためには要塞をも破壊するほどの力あるものである。わたしたちはさまざまな議論を破り、 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 10:5 神の知恵に逆らって立てられたあらゆる障害物を打ちこわし、すべての思いをとりこにしてキリストに服従させ、 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 10:6 そして、あなたがたが完全に服従した時、すべて不従順な者を処罰しようと、用意しているのである。 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 10:7 あなたがたは、うわべの事だけを見ている。もしある人が、キリストに属する者だと自任しているなら、その人はもう一度よく反省すべきである。その人がキリストに属する者であるように、わたしたちもそうである。 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 10:8 たとい、あなたがたを倒すためではなく高めるために主からわたしたちに賜わった権威について、わたしがやや誇りすぎたとしても、恥にはなるまい。 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 10:9 ただ、わたしは、手紙であなたがたをおどしているのだと、思われたくはない。 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 10:10 人は言う、「彼の手紙は重味があって力強いが、会って見ると外見は弱々しく、話はつまらない」。 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 10:11 そういう人は心得ているがよい。わたしたちは、離れていて書きおくる手紙の言葉どおりに、一緒にいる時でも同じようにふるまうのである。 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 10:12 わたしたちは、自己推薦をするような人々と自分を同列においたり比較したりはしない。彼らは仲間同志で互にはかり合ったり、互に比べ合ったりしているが、知恵のないしわざである。 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 10:13 しかし、わたしたちは限度をこえて誇るようなことはしない。むしろ、神が割り当てて下さった地域の限度内で誇るにすぎない。わたしはその限度にしたがって、あなたがたの所まで行ったのである。 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 10:14 わたしたちは、あなたがたの所まで行けない者であるかのように、むりに手を延ばしているのではない。事実、わたしたちが最初にキリストの福音を携えて、あなたがたの所までも行ったのである。 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 10:15 わたしたちは限度をこえて、他人の働きを誇るようなことはしない。ただ、あなたがたの信仰が成長するにつれて、わたしたちの働きの範囲があなたがたの中でますます大きくなることを望んでいる。 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 10:16 こうして、わたしたちはほかの人の地域ですでになされていることを誇ることはせずに、あなたがたを越えたさきざきにまで、福音を宣べ伝えたい。 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 10:17 誇る者は主を誇るべきである。 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 10:18 自分で自分を推薦する人ではなく、主に推薦される人こそ、確かな人なのである。 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 11:1 わたしが少しばかり愚かなことを言うのを、どうか、忍んでほしい。もちろん忍んでくれるのだ。 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 11:2 わたしは神の熱情をもって、あなたがたを熱愛している。あなたがたを、きよいおとめとして、ただひとりの男子キリストにささげるために、婚約させたのである。 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 11:3 ただ恐れるのは、エバがへびの悪巧みで誘惑されたように、あなたがたの思いが汚されて、キリストに対する純情と貞操とを失いはしないかということである。 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 11:4 というのは、もしある人がきて、わたしたちが宣べ伝えもしなかったような異なるイエスを宣べ伝え、あるいは、あなたがたが受けたことのない違った霊を受け、あるいは、受けいれたことのない違った福音を聞く場合に、あなたがたはよくもそれを忍んでいる。 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 11:5 事実、わたしは、あの大使徒たちにいささかも劣ってはいないと思う。 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 11:6 たとい弁舌はつたなくても、知識はそうでない。わたしは、事ごとに、いろいろの場合に、あなたがたに対してそれを明らかにした。 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 11:7 それとも、あなたがたを高めるために自分を低くして、神の福音を価なしにあなたがたに宣べ伝えたことが、罪になるのだろうか。 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 11:8 わたしは他の諸教会をかすめたと言われながら得た金で、あなたがたに奉仕し、 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 11:9 あなたがたの所にいて貧乏をした時にも、だれにも負担をかけたことはなかった。わたしの欠乏は、マケドニヤからきた兄弟たちが、補ってくれた。こうして、わたしはすべての事につき、あなたがたに重荷を負わせまいと努めてきたし、今後も努めよう。 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 11:10 わたしの内にあるキリストの真実にかけて言う、この誇がアカヤ地方で封じられるようなことは、決してない。 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 11:11 なぜであるか。わたしがあなたがたを愛していないからか。それは、神がご存じである。 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 11:12 しかし、わたしは、現在していることを今後もしていこう。それは、わたしたちと同じように誇りうる立ち場を得ようと機会をねらっている者どもから、その機会を断ち切ってしまうためである。 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 11:13 こういう人々はにせ使徒、人をだます働き人であって、キリストの使徒に擬装しているにすぎないからである。 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 11:14 しかし、驚くには及ばない。サタンも光の天使に擬装するのだから。 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 11:15 だから、たといサタンの手下どもが、義の奉仕者のように擬装したとしても、不思議ではない。彼らの最期は、そのしわざに合ったものとなろう。 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 11:16 繰り返して言うが、だれも、わたしを愚か者と思わないでほしい。もしそう思うなら、愚か者あつかいにされてもよいから、わたしにも、少し誇らせてほしい。 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 11:17 いま言うことは、主によって言うのではなく、愚か者のように、自分の誇とするところを信じきって言うのである。 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 11:18 多くの人が肉によって誇っているから、わたしも誇ろう。 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 11:19 あなたがたは賢い人たちなのだから、喜んで愚か者を忍んでくれるだろう。 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 11:20 実際、あなたがたは奴隷にされても、食い倒されても、略奪されても、いばられても、顔をたたかれても、それを忍んでいる。 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 11:21 言うのも恥ずかしいことだが、わたしたちは弱すぎたのだ。もしある人があえて誇るなら、わたしは愚か者になって言うが、わたしもあえて誇ろう。 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 11:22 彼らはヘブル人なのか。わたしもそうである。彼らはイスラエル人なのか。わたしもそうである。彼らはアブラハムの子孫なのか。わたしもそうである。 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 11:23 彼らはキリストの僕なのか。わたしは気が狂ったようになって言う、わたしは彼ら以上にそうである。苦労したことはもっと多く、投獄されたことももっと多く、むち打たれたことは、はるかにおびただしく、死に面したこともしばしばあった。 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 11:24 ユダヤ人から四十に一つ足りないむちを受けたことが五度、 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 11:25 ローマ人にむちで打たれたことが三度、石で打たれたことが一度、難船したことが三度、そして、一昼夜、海の上を漂ったこともある。 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 11:26 幾たびも旅をし、川の難、盗賊の難、同国民の難、異邦人の難、都会の難、荒野の難、海上の難、にせ兄弟の難に会い、 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 11:27 労し苦しみ、たびたび眠られぬ夜を過ごし、飢えかわき、しばしば食物がなく、寒さに凍え、裸でいたこともあった。 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 11:28 なおいろいろの事があった外に、日々わたしに迫って来る諸教会の心配ごとがある。 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 11:29 だれかが弱っているのに、わたしも弱らないでおれようか。だれかが罪を犯しているのに、わたしの心が燃えないでおれようか。 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 11:30 もし誇らねばならないのなら、わたしは自分の弱さを誇ろう。 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 11:31 永遠にほむべき、主イエス・キリストの父なる神は、わたしが偽りを言っていないことを、ご存じである。 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 11:32 ダマスコでアレタ王の代官が、わたしを捕えるためにダマスコ人の町を監視したことがあったが、 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 11:33 その時わたしは窓から町の城壁づたいに、かごでつり降ろされて、彼の手からのがれた。 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 12:1 わたしは誇らざるを得ないので、無益ではあろうが、主のまぼろしと啓示とについて語ろう。 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 12:2 わたしはキリストにあるひとりの人を知っている。この人は十四年前に第三の天にまで引き上げられた――それが、からだのままであったか、わたしは知らない。からだを離れてであったか、それも知らない。神がご存じである。 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 12:3 この人が――それが、からだのままであったか、からだを離れてであったか、わたしは知らない。神がご存じである―― (J)

コリント人への手紙Ⅱ 12:4 パラダイスに引き上げられ、そして口に言い表わせない、人間が語ってはならない言葉を聞いたのを、わたしは知っている。 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 12:5 わたしはこういう人について誇ろう。しかし、わたし自身については、自分の弱さ以外には誇ることをすまい。 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 12:6 もっとも、わたしが誇ろうとすれば、ほんとうの事を言うのだから、愚か者にはならないだろう。しかし、それはさし控えよう。わたしがすぐれた啓示を受けているので、わたしについて見たり聞いたりしている以上に、人に買いかぶられるかも知れないから。 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 12:7 そこで、高慢にならないように、わたしの肉体に一つのとげが与えられた。それは、高慢にならないように、わたしを打つサタンの使なのである。 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 12:8 このことについて、わたしは彼を離れ去らせて下さるようにと、三度も主に祈った。 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 12:9 ところが、主が言われた、「わたしの恵みはあなたに対して十分である。わたしの力は弱いところに完全にあらわれる」。それだから、キリストの力がわたしに宿るように、むしろ、喜んで自分の弱さを誇ろう。 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 12:10 だから、わたしはキリストのためならば、弱さと、侮辱と、危機と、迫害と、行き詰まりとに甘んじよう。なぜなら、わたしが弱い時にこそ、わたしは強いからである。 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 12:11 わたしは愚か者となった。あなたがたが、むりにわたしをそうしてしまったのだ。実際は、あなたがたから推薦されるべきであった。というのは、たといわたしは取るに足りない者だとしても、あの大使徒たちにはなんら劣るところがないからである。 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 12:12 わたしは、使徒たるの実を、しるしと奇跡と力あるわざとにより、忍耐をつくして、あなたがたの間であらわしてきた。 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 12:13 いったい、あなたがたが他の教会よりも劣っている点は何か。ただ、このわたしがあなたがたに負担をかけなかったことだけではないか。この不義は、どうか、ゆるしてもらいたい。 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 12:14 さて、わたしは今、三度目にあなたがたの所に行く用意をしている。しかし、負担はかけないつもりである。わたしの求めているのは、あなたがたの持ち物ではなく、あなたがた自身なのだから。いったい、子供は親のために財をたくわえて置く必要はなく、親が子供のためにたくわえて置くべきである。 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 12:15 そこでわたしは、あなたがたの魂のためには、大いに喜んで費用を使い、また、わたし自身をも使いつくそう。わたしがあなたがたを愛すれば愛するほど、あなたがたからますます愛されなくなるのであろうか。 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 12:16 わたしは、あなたがたに重荷を負わせなかったとしても、悪がしこくて、あなたがたからだまし取ったのだと、人は言う。 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 12:17 わたしは、あなたがたにつかわした人たちのうちのだれかをとおして、あなたがたからむさぼり取っただろうか。 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 12:18 わたしは、テトスに勧めてそちらに行かせ、また、かの兄弟を同行させた。テトスは、あなたがたからむさぼり取ったことがあろうか。わたしたちは、みな同じ心で歩いたではないか。同じ足並みで歩いたではないか。 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 12:19 あなたがたは、わたしたちがあなたがたに対して弁明をしているのだと、今までずっと思ってきたであろう。しかし、わたしたちは、神のみまえでキリストにあって語っているのである。愛する者たちよ。これらすべてのことは、あなたがたの徳を高めるためなのである。 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 12:20 わたしは、こんな心配をしている。わたしが行ってみると、もしかしたら、あなたがたがわたしの願っているような者ではなく、わたしも、あなたがたの願っているような者でないことになりはすまいか。もしかしたら、争い、ねたみ、怒り、党派心、そしり、ざんげん、高慢、騒乱などがありはすまいか。 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 12:21 わたしが再びそちらに行った場合、わたしの神が、あなたがたの前でわたしに恥をかかせ、その上、多くの人が前に罪を犯していながら、その汚れと不品行と好色とを悔い改めていないので、わたしを悲しませることになりはすまいか。 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 13:1 わたしは今、三度目にあなたがたの所に行こうとしている。すべての事がらは、ふたりか三人の証人の証言によって確定する。 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 13:2 わたしは、前に罪を犯した者たちやその他のすべての人々に、二度目に滞在していたとき警告しておいたが、離れている今またあらかじめ言っておく。今度行った時には、決して容赦はしない。 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 13:3 なぜなら、あなたがたが、キリストのわたしにあって語っておられるという証拠を求めているからである。キリストは、あなたがたに対して弱くはなく、あなたがたのうちにあって強い。 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 13:4 すなわち、キリストは弱さのゆえに十字架につけられたが、神の力によって生きておられるのである。このように、わたしたちもキリストにあって弱い者であるが、あなたがたに対しては、神の力によって、キリストと共に生きるのである。 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 13:5 あなたがたは、はたして信仰があるかどうか、自分を反省し、自分を吟味するがよい。それとも、イエス・キリストがあなたがたのうちにおられることを、悟らないのか。もし悟らなければ、あなたがたは、にせものとして見捨てられる。 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 13:6 しかしわたしは、自分たちが見捨てられた者ではないことを、知っていてもらいたい。 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 13:7 わたしたちは、あなたがたがどんな悪をも行わないようにと、神に祈る。それは、自分たちがほんとうの者であることを見せるためではなく、たといわたしたちが見捨てられた者のようになっても、あなたがたに良い行いをしてもらいたいためである。 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 13:8 わたしたちは、真理に逆らっては何をする力もなく、真理にしたがえば力がある。 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 13:9 わたしたちは、自分は弱くても、あなたがたが強ければ、それを喜ぶ。わたしたちが特に祈るのは、あなたがたが完全に良くなってくれることである。 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 13:10 こういうわけで、離れていて以上のようなことを書いたのは、わたしがあなたがたの所に行ったとき、倒すためではなく高めるために主が授けて下さった権威を用いて、きびしい処置をする必要がないようにしたいためである。 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 13:11 最後に、兄弟たちよ。いつも喜びなさい。全き者となりなさい。互に励まし合いなさい。思いを一つにしなさい。平和に過ごしなさい。そうすれば、愛と平和の神があなたがたと共にいて下さるであろう。 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 13:12 きよい接吻をもって互にあいさつをかわしなさい。聖徒たち一同が、あなたがたによろしく。 (J)

コリント人への手紙Ⅱ 13:13 *** TEXT MISSING HERE *** (J)

コリント人への手紙Ⅱ 13:14 *** TEXT MISSING HERE *** (J)

ガラテヤ人への手紙 1:1 ¶ 人々からでもなく、人によってでもなく、イエス・キリストと彼を死人の中からよみがえらせた父なる神とによって立てられた使徒パウロ、 (J)

ガラテヤ人への手紙 1:2 ならびにわたしと共にいる兄弟たち一同から、ガラテヤの諸教会へ。 (J)

ガラテヤ人への手紙 1:3 わたしたちの父なる神と主イエス・キリストから、恵みと平安とが、あなたがたにあるように。 (J)

ガラテヤ人への手紙 1:4 キリストは、わたしたちの父なる神の御旨に従い、わたしたちを今の悪の世から救い出そうとして、ご自身をわたしたちの罪のためにささげられたのである。 (J)

ガラテヤ人への手紙 1:5 栄光が世々限りなく神にあるように、アァメン。 (J)

ガラテヤ人への手紙 1:6 あなたがたがこんなにも早く、あなたがたをキリストの恵みの内へお招きになったかたから離れて、違った福音に落ちていくことが、わたしには不思議でならない。 (J)

ガラテヤ人への手紙 1:7 それは福音というべきものではなく、ただ、ある種の人々があなたがたをかき乱し、キリストの福音を曲げようとしているだけのことである。 (J)

ガラテヤ人への手紙 1:8 しかし、たといわたしたちであろうと、天からの御使であろうと、わたしたちが宣べ伝えた福音に反することをあなたがたに宣べ伝えるなら、その人はのろわるべきである。 (J)

ガラテヤ人への手紙 1:9 わたしたちが前に言っておいたように、今わたしは重ねて言う。もしある人が、あなたがたの受けいれた福音に反することを宣べ伝えているなら、その人はのろわるべきである。 (J)

ガラテヤ人への手紙 1:10 今わたしは、人に喜ばれようとしているのか、それとも、神に喜ばれようとしているのか。あるいは、人の歓心を買おうと努めているのか。もし、今もなお人の歓心を買おうとしているとすれば、わたしはキリストの僕ではあるまい。 (J)

ガラテヤ人への手紙 1:11 兄弟たちよ。あなたがたに、はっきり言っておく。わたしが宣べ伝えた福音は人間によるものではない。 (J)

ガラテヤ人への手紙 1:12 わたしは、それを人間から受けたのでも教えられたのでもなく、ただイエス・キリストの啓示によったのである。 (J)

ガラテヤ人への手紙 1:13 ユダヤ教を信じていたころのわたしの行動については、あなたがたはすでによく聞いている。すなわち、わたしは激しく神の教会を迫害し、また荒しまわっていた。 (J)

ガラテヤ人への手紙 1:14 そして、同国人の中でわたしと同年輩の多くの者にまさってユダヤ教に精進し、先祖たちの言伝えに対して、だれよりもはるかに熱心であった。 (J)

ガラテヤ人への手紙 1:15 ところが、母の胎内にある時からわたしを聖別し、み恵みをもってわたしをお召しになったかたが、 (J)

ガラテヤ人への手紙 1:16 異邦人の間に宣べ伝えさせるために、御子をわたしの内に啓示して下さった時、わたしは直ちに、血肉に相談もせず、 (J)

ガラテヤ人への手紙 1:17 また先輩の使徒たちに会うためにエルサレムにも上らず、アラビヤに出て行った。それから再びダマスコに帰った。 (J)

ガラテヤ人への手紙 1:18 その後三年たってから、わたしはケパをたずねてエルサレムに上り、彼のもとに十五日間、滞在した。 (J)

ガラテヤ人への手紙 1:19 しかし、主の兄弟ヤコブ以外には、ほかのどの使徒にも会わなかった。 (J)

ガラテヤ人への手紙 1:20 ここに書いていることは、神のみまえで言うが、決して偽りではない。 (J)

ガラテヤ人への手紙 1:21 その後、わたしはシリヤとキリキヤとの地方に行った。 (J)

ガラテヤ人への手紙 1:22 しかし、キリストにあるユダヤの諸教会には、顔を知られていなかった。 (J)

ガラテヤ人への手紙 1:23 ただ彼らは、「かつて自分たちを迫害した者が、以前には撲滅しようとしていたその信仰を、今は宣べ伝えている」と聞き、 (J)

ガラテヤ人への手紙 1:24 わたしのことで、神をほめたたえた。 (J)

ガラテヤ人への手紙 2:1 その後十四年たってから、わたしはバルナバと一緒に、テトスをも連れて、再びエルサレムに上った。 (J)

ガラテヤ人への手紙 2:2 そこに上ったのは、啓示によってである。そして、わたしが異邦人の間に宣べ伝えている福音を、人々に示し、「重だった人たち」には個人的に示した。それは、わたしが現に走っており、またすでに走ってきたことが、むだにならないためである。 (J)

ガラテヤ人への手紙 2:3 しかし、わたしが連れていたテトスでさえ、ギリシヤ人であったのに、割礼をしいられなかった。 (J)

ガラテヤ人への手紙 2:4 それは、忍び込んできたにせ兄弟らがいたので――彼らが忍び込んできたのは、キリスト・イエスにあって持っているわたしたちの自由をねらって、わたしたちを奴隷にするためであった。 (J)

ガラテヤ人への手紙 2:5 わたしたちは、福音の真理があなたがたのもとに常にとどまっているように、瞬時も彼らの強要に屈服しなかった。 (J)

ガラテヤ人への手紙 2:6 そして、かの「重だった人たち」からは――彼らがどんな人であったにしても、それは、わたしには全く問題ではない。神は人を分け隔てなさらないのだから――事実、かの「重だった人たち」は、わたしに何も加えることをしなかった。 (J)

ガラテヤ人への手紙 2:7 それどころか、彼らは、ペテロが割礼の者への福音をゆだねられているように、わたしには無割礼の者への福音がゆだねられていることを認め、 (J)

ガラテヤ人への手紙 2:8 (というのは、ペテロに働きかけて割礼の者への使徒の務につかせたかたは、わたしにも働きかけて、異邦人につかわして下さったからである)、 (J)

ガラテヤ人への手紙 2:9 かつ、わたしに賜わった恵みを知って、柱として重んじられているヤコブとケパとヨハネとは、わたしとバルナバとに、交わりの手を差し伸べた。そこで、わたしたちは異邦人に行き、彼らは割礼の者に行くことになったのである。 (J)

ガラテヤ人への手紙 2:10 ただ一つ、わたしたちが貧しい人々をかえりみるようにとのことであったが、わたしはもとより、この事のためにも大いに努めてきたのである。 (J)

ガラテヤ人への手紙 2:11 ところが、ケパがアンテオケにきたとき、彼に非難すべきことがあったので、わたしは面とむかって彼をなじった。 (J)

ガラテヤ人への手紙 2:12 というのは、ヤコブのもとからある人々が来るまでは、彼は異邦人と食を共にしていたのに、彼らがきてからは、割礼の者どもを恐れ、しだいに身を引いて離れて行ったからである。 (J)

ガラテヤ人への手紙 2:13 そして、ほかのユダヤ人たちも彼と共に偽善の行為をし、バルナバまでがそのような偽善に引きずり込まれた。 (J)

ガラテヤ人への手紙 2:14 彼らが福音の真理に従ってまっすぐに歩いていないのを見て、わたしは衆人の面前でケパに言った、「あなたは、ユダヤ人であるのに、自分自身はユダヤ人のように生活しないで、異邦人のように生活していながら、どうして異邦人にユダヤ人のようになることをしいるのか」。 (J)

ガラテヤ人への手紙 2:15 わたしたちは生れながらのユダヤ人であって、異邦人なる罪人ではないが、 (J)

ガラテヤ人への手紙 2:16 人の義とされるのは律法の行いによるのではなく、ただキリスト・イエスを信じる信仰によることを認めて、わたしたちもキリスト・イエスを信じたのである。それは、律法の行いによるのではなく、キリストを信じる信仰によって義とされるためである。なぜなら、律法の行いによっては、だれひとり義とされることがないからである。 (J)

ガラテヤ人への手紙 2:17 しかし、キリストにあって義とされることを求めることによって、わたしたち自身が罪人であるとされるのなら、キリストは罪に仕える者なのであろうか。断じてそうではない。 (J)

ガラテヤ人への手紙 2:18 もしわたしが、いったん打ちこわしたものを、再び建てるとすれば、それこそ、自分が違反者であることを表明することになる。 (J)

ガラテヤ人への手紙 2:19 わたしは、神に生きるために、律法によって律法に死んだ。わたしはキリストと共に十字架につけられた。 (J)

ガラテヤ人への手紙 2:20 生きているのは、もはや、わたしではない。キリストが、わたしのうちに生きておられるのである。しかし、わたしがいま肉にあって生きているのは、わたしを愛し、わたしのためにご自身をささげられた神の御子を信じる信仰によって、生きているのである。 (J)

ガラテヤ人への手紙 2:21 わたしは、神の恵みを無にはしない。もし、義が律法によって得られるとすれば、キリストの死はむだであったことになる。 (J)

ガラテヤ人への手紙 3:1 ああ、物わかりのわるいガラテヤ人よ。十字架につけられたイエス・キリストが、あなたがたの目の前に描き出されたのに、いったい、だれがあなたがたを惑わしたのか。 (J)

ガラテヤ人への手紙 3:2 わたしは、ただこの一つの事を、あなたがたに聞いてみたい。あなたがたが御霊を受けたのは、律法を行ったからか、それとも、聞いて信じたからか。 (J)

ガラテヤ人への手紙 3:3 あなたがたは、そんなに物わかりがわるいのか。御霊で始めたのに、今になって肉で仕上げるというのか。 (J)

ガラテヤ人への手紙 3:4 あれほどの大きな経験をしたことは、むだであったのか。まさか、むだではあるまい。 (J)

ガラテヤ人への手紙 3:5 すると、あなたがたに御霊を賜い、力あるわざをあなたがたの間でなされたのは、律法を行ったからか、それとも、聞いて信じたからか。 (J)

ガラテヤ人への手紙 3:6 このように、アブラハムは「神を信じた。それによって、彼は義と認められた」のである。 (J)

ガラテヤ人への手紙 3:7 だから、信仰による者こそアブラハムの子であることを、知るべきである。 (J)

ガラテヤ人への手紙 3:8 聖書は、神が異邦人を信仰によって義とされることを、あらかじめ知って、アブラハムに、「あなたによって、すべての国民は祝福されるであろう」との良い知らせを、予告したのである。 (J)

ガラテヤ人への手紙 3:9 このように、信仰による者は、信仰の人アブラハムと共に、祝福を受けるのである。 (J)

ガラテヤ人への手紙 3:10 いったい、律法の行いによる者は、皆のろいの下にある。「律法の書に書いてあるいっさいのことを守らず、これを行わない者は、皆のろわれる」と書いてあるからである。 (J)

ガラテヤ人への手紙 3:11 そこで、律法によっては、神のみまえに義とされる者はひとりもないことが、明らかである。なぜなら、「信仰による義人は生きる」からである。 (J)

ガラテヤ人への手紙 3:12 律法は信仰に基いているものではない。かえって、「律法を行う者は律法によって生きる」のである。 (J)

ガラテヤ人への手紙 3:13 キリストは、わたしたちのためにのろいとなって、わたしたちを律法ののろいからあがない出して下さった。聖書に、「木にかけられる者は、すべてのろわれる」と書いてある。 (J)

ガラテヤ人への手紙 3:14 それは、アブラハムの受けた祝福が、イエス・キリストにあって異邦人に及ぶためであり、約束された御霊を、わたしたちが信仰によって受けるためである。 (J)

ガラテヤ人への手紙 3:15 兄弟たちよ。世のならわしを例にとって言おう。人間の遺言でさえ、いったん作成されたら、これを無効にしたり、これに付け加えたりすることは、だれにもできない。 (J)

ガラテヤ人への手紙 3:16 さて、約束は、アブラハムと彼の子孫とに対してなされたのである。それは、多数をさして「子孫たちとに」と言わずに、ひとりをさして「あなたの子孫とに」と言っている。これは、キリストのことである。 (J)

ガラテヤ人への手紙 3:17 わたしの言う意味は、こうである。神によってあらかじめ立てられた契約が、四百三十年の後にできた律法によって破棄されて、その約束がむなしくなるようなことはない。 (J)

ガラテヤ人への手紙 3:18 もし相続が、律法に基いてなされるとすれば、もはや約束に基いたものではない。ところが事実、神は約束によって、相続の恵みをアブラハムに賜わったのである。 (J)

ガラテヤ人への手紙 3:19 それでは、律法はなんであるか。それは違反を促すため、あとから加えられたのであって、約束されていた子孫が来るまで存続するだけのものであり、かつ、天使たちをとおし、仲介者の手によって制定されたものにすぎない。 (J)

ガラテヤ人への手紙 3:20 仲介者なるものは、一方だけに属する者ではない。しかし、神はひとりである。 (J)

ガラテヤ人への手紙 3:21 では、律法は神の約束と相いれないものか。断じてそうではない。もし人を生かす力のある律法が与えられていたとすれば、義はたしかに律法によって実現されたであろう。 (J)

ガラテヤ人への手紙 3:22 しかし、約束が、信じる人々にイエス・キリストに対する信仰によって与えられるために、聖書はすべての人を罪の下に閉じ込めたのである。 (J)

ガラテヤ人への手紙 3:23 しかし、信仰が現れる前には、わたしたちは律法の下で監視されており、やがて啓示される信仰の時まで閉じ込められていた。 (J)

ガラテヤ人への手紙 3:24 このようにして律法は、信仰によって義とされるために、わたしたちをキリストに連れて行く養育掛となったのである。 (J)

ガラテヤ人への手紙 3:25 しかし、いったん信仰が現れた以上、わたしたちは、もはや養育掛のもとにはいない。 (J)

ガラテヤ人への手紙 3:26 あなたがたはみな、キリスト・イエスにある信仰によって、神の子なのである。 (J)

ガラテヤ人への手紙 3:27 キリストに合うバプテスマを受けたあなたがたは、皆キリストを着たのである。 (J)

ガラテヤ人への手紙 3:28 もはや、ユダヤ人もギリシヤ人もなく、奴隷も自由人もなく、男も女もない。あなたがたは皆、キリスト・イエスにあって一つだからである。 (J)

ガラテヤ人への手紙 3:29 もしキリストのものであるなら、あなたがたはアブラハムの子孫であり、約束による相続人なのである。 (J)

ガラテヤ人への手紙 4:1 わたしの言う意味は、こうである。相続人が子供である間は、全財産の持ち主でありながら、僕となんの差別もなく、 (J)

ガラテヤ人への手紙 4:2 父親の定めた時期までは、管理人や後見人の監督の下に置かれているのである。 (J)

ガラテヤ人への手紙 4:3 それと同じく、わたしたちも子供であった時には、いわゆるこの世のもろもろの霊力の下に、縛られていた者であった。 (J)

ガラテヤ人への手紙 4:4 しかし、時の満ちるに及んで、神は御子を女から生れさせ、律法の下に生れさせて、おつかわしになった。 (J)

ガラテヤ人への手紙 4:5 それは、律法の下にある者をあがない出すため、わたしたちに子たる身分を授けるためであった。 (J)

ガラテヤ人への手紙 4:6 このように、あなたがたは子であるのだから、神はわたしたちの心の中に、「アバ、父よ」と呼ぶ御子の霊を送って下さったのである。 (J)

ガラテヤ人への手紙 4:7 したがって、あなたがたはもはや僕ではなく、子である。子である以上、また神による相続人である。 (J)

ガラテヤ人への手紙 4:8 神を知らなかった当時、あなたがたは、本来神ならぬ神々の奴隷になっていた。 (J)

ガラテヤ人への手紙 4:9 しかし、今では神を知っているのに、否、むしろ神に知られているのに、どうして、あの無力で貧弱な、もろもろの霊力に逆もどりして、またもや、新たにその奴隷になろうとするのか。 (J)

ガラテヤ人への手紙 4:10 あなたがたは、日や月や季節や年などを守っている。 (J)

ガラテヤ人への手紙 4:11 わたしは、あなたがたのために努力してきたことが、あるいは、むだになったのではないかと、あなたがたのことが心配でならない。 (J)

ガラテヤ人への手紙 4:12 兄弟たちよ。お願いする。どうか、わたしのようになってほしい。わたしも、あなたがたのようになったのだから。あなたがたは、一度もわたしに対して不都合なことをしたことはない。 (J)

ガラテヤ人への手紙 4:13 あなたがたも知っているとおり、最初わたしがあなたがたに福音を伝えたのは、わたしの肉体が弱っていたためであった。 (J)

ガラテヤ人への手紙 4:14 そして、わたしの肉体にはあなたがたにとって試錬となるものがあったのに、それを卑しめもせず、またきらいもせず、かえってわたしを、神の使かキリスト・イエスかでもあるように、迎えてくれた。 (J)

ガラテヤ人への手紙 4:15 その時のあなたがたの感激は、今どこにあるのか。はっきり言うが、あなたがたは、できることなら、自分の目をえぐり出してでも、わたしにくれたかったのだ。 (J)

ガラテヤ人への手紙 4:16 それだのに、真理を語ったために、わたしはあなたがたの敵になったのか。 (J)

ガラテヤ人への手紙 4:17 彼らがあなたがたに対して熱心なのは、善意からではない。むしろ、自分らに熱心にならせるために、あなたがたをわたしから引き離そうとしているのである。 (J)

ガラテヤ人への手紙 4:18 わたしがあなたがたの所にいる時だけでなく、いつも、良いことについて熱心に慕われるのは、良いことである。 (J)

ガラテヤ人への手紙 4:19 ああ、わたしの幼な子たちよ。あなたがたの内にキリストの形ができるまでは、わたしは、またもや、あなたがたのために産みの苦しみをする。 (J)

ガラテヤ人への手紙 4:20 できることなら、わたしは今あなたがたの所にいて、語調を変えて話してみたい。わたしは、あなたがたのことで、途方にくれている。 (J)

ガラテヤ人への手紙 4:21 律法の下にとどまっていたいと思う人たちよ。わたしに答えなさい。あなたがたは律法の言うところを聞かないのか。 (J)

ガラテヤ人への手紙 4:22 そのしるすところによると、アブラハムにふたりの子があったが、ひとりは女奴隷から、ひとりは自由の女から生れた。 (J)

ガラテヤ人への手紙 4:23 女奴隷の子は肉によって生れたのであり、自由の女の子は約束によって生れたのであった。 (J)

ガラテヤ人への手紙 4:24 さて、この物語は比喩としてみられる。すなわち、この女たちは二つの契約をさす。そのひとりはシナイ山から出て、奴隷となる者を産む。ハガルがそれである。 (J)

ガラテヤ人への手紙 4:25 ハガルといえば、アラビヤではシナイ山のことで、今のエルサレムに当る。なぜなら、それは子たちと共に、奴隷となっているからである。 (J)

ガラテヤ人への手紙 4:26 しかし、上なるエルサレムは、自由の女であって、わたしたちの母をさす。 (J)

ガラテヤ人への手紙 4:27 すなわち、こう書いてある、 「喜べ、不妊の女よ。 声をあげて喜べ、産みの苦しみを知らない女よ。 ひとり者となっている女は多くの子を産み、 その数は、夫ある女の子らよりも多い」。 (J)

ガラテヤ人への手紙 4:28 兄弟たちよ。あなたがたは、イサクのように、約束の子である。 (J)

ガラテヤ人への手紙 4:29 しかし、その当時、肉によって生れた者が、霊によって生れた者を迫害したように、今でも同様である。 (J)

ガラテヤ人への手紙 4:30 しかし、聖書はなんと言っているか。「女奴隷とその子とを追い出せ。女奴隷の子は、自由の女の子と共に相続をしてはならない」とある。 (J)

ガラテヤ人への手紙 4:31 だから、兄弟たちよ。わたしたちは女奴隷の子ではなく、自由の女の子なのである。 (J)

ガラテヤ人への手紙 5:1 自由を得させるために、キリストはわたしたちを解放して下さったのである。だから、堅く立って、二度と奴隷のくびきにつながれてはならない。 (J)

ガラテヤ人への手紙 5:2 見よ、このパウロがあなたがたに言う。もし割礼を受けるなら、キリストはあなたがたに用のないものになろう。 (J)

ガラテヤ人への手紙 5:3 割礼を受けようとするすべての人たちに、もう一度言っておく。そういう人たちは、律法の全部を行う義務がある。 (J)

ガラテヤ人への手紙 5:4 律法によって義とされようとするあなたがたは、キリストから離れてしまっている。恵みから落ちている。 (J)

ガラテヤ人への手紙 5:5 わたしたちは、御霊の助けにより、信仰によって義とされる望みを強くいだいている。 (J)

ガラテヤ人への手紙 5:6 キリスト・イエスにあっては、割礼があってもなくても、問題ではない。尊いのは、愛によって働く信仰だけである。 (J)

ガラテヤ人への手紙 5:7 あなたがたはよく走り続けてきたのに、だれが邪魔をして、真理にそむかせたのか。 (J)

ガラテヤ人への手紙 5:8 そのような勧誘は、あなたがたを召されたかたから出たものではない。 (J)

ガラテヤ人への手紙 5:9 少しのパン種でも、粉のかたまり全体をふくらませる。 (J)

ガラテヤ人への手紙 5:10 あなたがたはいささかもわたしと違った思いをいだくことはないと、主にあって信頼している。しかし、あなたがたを動揺させている者は、それがだれであろうと、さばきを受けるであろう。 (J)

ガラテヤ人への手紙 5:11 兄弟たちよ。わたしがもし今でも割礼を宣べ伝えていたら、どうして、いまなお迫害されるはずがあろうか。そうしていたら、十字架のつまずきは、なくなっているであろう。 (J)

ガラテヤ人への手紙 5:12 あなたがたの煽動者どもは、自ら不具になるがよかろう。 (J)

ガラテヤ人への手紙 5:13 兄弟たちよ。あなたがたが召されたのは、実に、自由を得るためである。ただ、その自由を、肉の働く機会としないで、愛をもって互に仕えなさい。 (J)

ガラテヤ人への手紙 5:14 律法の全体は、「自分を愛するように、あなたの隣り人を愛せよ」というこの一句に尽きるからである。 (J)

ガラテヤ人への手紙 5:15 気をつけるがよい。もし互にかみ合い、食い合っているなら、あなたがたは互に滅ぼされてしまうだろう。 (J)

ガラテヤ人への手紙 5:16 わたしは命じる、御霊によって歩きなさい。そうすれば、決して肉の欲を満たすことはない。 (J)

ガラテヤ人への手紙 5:17 なぜなら、肉の欲するところは御霊に反し、また御霊の欲するところは肉に反するからである。こうして、二つのものは互に相さからい、その結果、あなたがたは自分でしようと思うことを、することができないようになる。 (J)

ガラテヤ人への手紙 5:18 もしあなたがたが御霊に導かれるなら、律法の下にはいない。 (J)

ガラテヤ人への手紙 5:19 肉の働きは明白である。すなわち、不品行、汚れ、好色、 (J)

ガラテヤ人への手紙 5:20 偶像礼拝、まじない、敵意、争い、そねみ、怒り、党派心、分裂、分派、 (J)

ガラテヤ人への手紙 5:21 ねたみ、泥酔、宴楽、および、そのたぐいである。わたしは以前も言ったように、今も前もって言っておく。このようなことを行う者は、神の国をつぐことがない。 (J)

ガラテヤ人への手紙 5:22 しかし、御霊の実は、愛、喜び、平和、寛容、慈愛、善意、忠実、 (J)

ガラテヤ人への手紙 5:23 柔和、自制であって、これらを否定する律法はない。 (J)

ガラテヤ人への手紙 5:24 キリスト・イエスに属する者は、自分の肉を、その情と欲と共に十字架につけてしまったのである。 (J)

ガラテヤ人への手紙 5:25 もしわたしたちが御霊によって生きるのなら、また御霊によって進もうではないか。 (J)

ガラテヤ人への手紙 5:26 互にいどみ合い、互にねたみ合って、虚栄に生きてはならない。 (J)

ガラテヤ人への手紙 6:1 兄弟たちよ。もしもある人が罪過に陥っていることがわかったなら、霊の人であるあなたがたは、柔和な心をもって、その人を正しなさい。それと同時に、もしか自分自身も誘惑に陥ることがありはしないかと、反省しなさい。 (J)

ガラテヤ人への手紙 6:2 互に重荷を負い合いなさい。そうすれば、あなたがたはキリストの律法を全うするであろう。 (J)

ガラテヤ人への手紙 6:3 もしある人が、事実そうでないのに、自分が何か偉い者であるように思っているとすれば、その人は自分を欺いているのである。 (J)

ガラテヤ人への手紙 6:4 ひとりびとり、自分の行いを検討してみるがよい。そうすれば、自分だけには誇ることができても、ほかの人には誇れなくなるであろう。 (J)

ガラテヤ人への手紙 6:5 人はそれぞれ、自分自身の重荷を負うべきである。 (J)

ガラテヤ人への手紙 6:6 御言を教えてもらう人は、教える人と、すべて良いものを分け合いなさい。 (J)

ガラテヤ人への手紙 6:7 まちがってはいけない、神は侮られるようなかたではない。人は自分のまいたものを、刈り取ることになる。 (J)

ガラテヤ人への手紙 6:8 すなわち、自分の肉にまく者は、肉から滅びを刈り取り、霊にまく者は、霊から永遠のいのちを刈り取るであろう。 (J)

ガラテヤ人への手紙 6:9 わたしたちは、善を行うことに、うみ疲れてはならない。たゆまないでいると、時が来れば刈り取るようになる。 (J)

ガラテヤ人への手紙 6:10 だから、機会のあるごとに、だれに対しても、とくに信仰の仲間に対して、善を行おうではないか。 (J)

ガラテヤ人への手紙 6:11 ごらんなさい。わたし自身いま筆をとって、こんなに大きい字で、あなたがたに書いていることを。 (J)

ガラテヤ人への手紙 6:12 いったい、肉において見えを飾ろうとする者たちは、キリスト・イエスの十字架のゆえに、迫害を受けたくないばかりに、あなたがたにしいて割礼を受けさせようとする。 (J)

ガラテヤ人への手紙 6:13 事実、割礼のあるもの自身が律法を守らず、ただ、あなたがたの肉について誇りたいために、割礼を受けさせようとしているのである。 (J)

ガラテヤ人への手紙 6:14 しかし、わたし自身には、わたしたちの主イエス・キリストの十字架以外に、誇とするものは、断じてあってはならない。この十字架につけられて、この世はわたしに対して死に、わたしもこの世に対して死んでしまったのである。 (J)

ガラテヤ人への手紙 6:15 割礼のあるなしは問題ではなく、ただ、新しく造られることこそ、重要なのである。 (J)

ガラテヤ人への手紙 6:16 この法則に従って進む人々の上に、平和とあわれみとがあるように。また、神のイスラエルの上にあるように。 (J)

ガラテヤ人への手紙 6:17 だれも今後は、わたしに煩いをかけないでほしい。わたしは、イエスの焼き印を身に帯びているのだから。 (J)

ガラテヤ人への手紙 6:18 兄弟たちよ。わたしたちの主イエス・キリストの恵みが、あなたがたの霊と共にあるように、アァメン。 (J)

エペソ人への手紙 1:1 ¶ 神の御旨によるキリスト・イエスの使徒パウロから、エペソにいる、キリスト・イエスにあって忠実な聖徒たちへ。 (J)

エペソ人への手紙 1:2 わたしたちの父なる神と主イエス・キリストから、恵みと平安とが、あなたがたにあるように。 (J)

エペソ人への手紙 1:3 ほむべきかな、わたしたちの主イエス・キリストの父なる神。神はキリストにあって、天上で霊のもろもろの祝福をもって、わたしたちを祝福し、 (J)

エペソ人への手紙 1:4 みまえにきよく傷のない者となるようにと、天地の造られる前から、キリストにあってわたしたちを選び、 (J)

エペソ人への手紙 1:5 わたしたちに、イエス・キリストによって神の子たる身分を授けるようにと、御旨のよしとするところに従い、愛のうちにあらかじめ定めて下さったのである。 (J)

エペソ人への手紙 1:6 これは、その愛する御子によって賜わった栄光ある恵みを、わたしたちがほめたたえるためである。 (J)

エペソ人への手紙 1:7 わたしたちは、御子にあって、神の豊かな恵みのゆえに、その血によるあがない、すなわち、罪過のゆるしを受けたのである。 (J)

エペソ人への手紙 1:8 神はその恵みをさらに増し加えて、あらゆる知恵と悟りとをわたしたちに賜わり、 (J)

エペソ人への手紙 1:9 御旨の奥義を、自らあらかじめ定められた計画に従って、わたしたちに示して下さったのである。 (J)

エペソ人への手紙 1:10 それは、時の満ちるに及んで実現されるご計画にほかならない。それによって、神は天にあるもの地にあるものを、ことごとく、キリストにあって一つに帰せしめようとされたのである。 (J)

エペソ人への手紙 1:11 わたしたちは、御旨の欲するままにすべての事をなさるかたの目的の下に、キリストにあってあらかじめ定められ、神の民として選ばれたのである。 (J)

エペソ人への手紙 1:12 それは、早くからキリストに望みをおいているわたしたちが、神の栄光をほめたたえる者となるためである。 (J)

エペソ人への手紙 1:13 あなたがたもまた、キリストにあって、真理の言葉、すなわち、あなたがたの救の福音を聞き、また、彼を信じた結果、約束された聖霊の証印をおされたのである。 (J)

エペソ人への手紙 1:14 この聖霊は、わたしたちが神の国をつぐことの保証であって、やがて神につける者が全くあがなわれ、神の栄光をほめたたえるに至るためである。 (J)

エペソ人への手紙 1:15 こういうわけで、わたしも、主イエスに対するあなたがたの信仰と、すべての聖徒に対する愛とを耳にし、 (J)

エペソ人への手紙 1:16 わたしの祈のたびごとにあなたがたを覚えて、絶えずあなたがたのために感謝している。 (J)

エペソ人への手紙 1:17 どうか、わたしたちの主イエス・キリストの神、栄光の父が、知恵と啓示との霊をあなたがたに賜わって神を認めさせ、 (J)

エペソ人への手紙 1:18 あなたがたの心の目を明らかにして下さるように、そして、あなたがたが神に召されていだいている望みがどんなものであるか、聖徒たちがつぐべき神の国がいかに栄光に富んだものであるか、 (J)

エペソ人への手紙 1:19 また、神の力強い活動によって働く力が、わたしたち信じる者にとっていかに絶大なものであるかを、あなたがたが知るに至るように、と祈っている。 (J)

エペソ人への手紙 1:20 神はその力をキリストのうちに働かせて、彼を死人の中からよみがえらせ、天上においてご自分の右に座せしめ、 (J)

エペソ人への手紙 1:21 彼を、すべての支配、権威、権力、権勢の上におき、また、この世ばかりでなくきたるべき世においても唱えられる、あらゆる名の上におかれたのである。 (J)

エペソ人への手紙 1:22 そして、万物をキリストの足の下に従わせ、彼を万物の上にかしらとして教会に与えられた。 (J)

エペソ人への手紙 1:23 この教会はキリストのからだであって、すべてのものを、すべてのもののうちに満たしているかたが、満ちみちているものに、ほかならない。 (J)

エペソ人への手紙 2:1 さてあなたがたは、先には自分の罪過と罪とによって死んでいた者であって、 (J)

エペソ人への手紙 2:2 かつてはそれらの中で、この世のならわしに従い、空中の権をもつ君、すなわち、不従順の子らの中に今も働いている霊に従って、歩いていたのである。 (J)

エペソ人への手紙 2:3 また、わたしたちもみな、かつては彼らの中にいて、肉の欲に従って日を過ごし、肉とその思いとの欲するままを行い、ほかの人々と同じく、生れながらの怒りの子であった。 (J)

エペソ人への手紙 2:4 しかるに、あわれみに富む神は、わたしたちを愛して下さったその大きな愛をもって、 (J)

エペソ人への手紙 2:5 罪過によって死んでいたわたしたちを、キリストと共に生かし――あなたがたの救われたのは、恵みによるのである―― (J)

エペソ人への手紙 2:6 キリスト・イエスにあって、共によみがえらせ、共に天上で座につかせて下さったのである。 (J)

エペソ人への手紙 2:7 それは、キリスト・イエスにあってわたしたちに賜わった慈愛による神の恵みの絶大な富を、きたるべき世々に示すためであった。 (J)

エペソ人への手紙 2:8 あなたがたの救われたのは、実に、恵みにより、信仰によるのである。それは、あなたがた自身から出たものではなく、神の賜物である。 (J)

エペソ人への手紙 2:9 決して行いによるのではない。それは、だれも誇ることがないためなのである。 (J)

エペソ人への手紙 2:10 わたしたちは神の作品であって、良い行いをするように、キリスト・イエスにあって造られたのである。神は、わたしたちが、良い行いをして日を過ごすようにと、あらかじめ備えて下さったのである。 (J)

エペソ人への手紙 2:11 だから、記憶しておきなさい。あなたがたは以前には、肉によれば異邦人であって、手で行った肉の割礼ある者と称せられる人々からは、無割礼の者と呼ばれており、 (J)

エペソ人への手紙 2:12 またその当時は、キリストを知らず、イスラエルの国籍がなく、約束されたいろいろの契約に縁がなく、この世の中で希望もなく神もない者であった。 (J)

エペソ人への手紙 2:13 ところが、あなたがたは、このように以前は遠く離れていたが、今ではキリスト・イエスにあって、キリストの血によって近いものとなったのである。 (J)

エペソ人への手紙 2:14 キリストはわたしたちの平和であって、二つのものを一つにし、敵意という隔ての中垣を取り除き、ご自分の肉によって、 (J)

エペソ人への手紙 2:15 数々の規定から成っている戒めの律法を廃棄したのである。それは、彼にあって、二つのものをひとりの新しい人に造りかえて平和をきたらせ、 (J)

エペソ人への手紙 2:16 十字架によって、二つのものを一つのからだとして神と和解させ、敵意を十字架にかけて滅ぼしてしまったのである。 (J)

エペソ人への手紙 2:17 それから彼は、こられた上で、遠く離れているあなたがたに平和を宣べ伝え、また近くにいる者たちにも平和を宣べ伝えられたのである。 (J)

エペソ人への手紙 2:18 というのは、彼によって、わたしたち両方の者が一つの御霊の中にあって、父のみもとに近づくことができるからである。 (J)

エペソ人への手紙 2:19 そこであなたがたは、もはや異国人でも宿り人でもなく、聖徒たちと同じ国籍の者であり、神の家族なのである。 (J)

エペソ人への手紙 2:20 またあなたがたは、使徒たちや預言者たちという土台の上に建てられたものであって、キリスト・イエスご自身が隅のかしら石である。 (J)

エペソ人への手紙 2:21 このキリストにあって、建物全体が組み合わされ、主にある聖なる宮に成長し、 (J)

エペソ人への手紙 2:22 そしてあなたがたも、主にあって共に建てられて、霊なる神のすまいとなるのである。 (J)

エペソ人への手紙 3:1 こういうわけで、あなたがた異邦人のためにキリスト・イエスの囚人となっているこのパウロ―― (J)

エペソ人への手紙 3:2 わたしがあなたがたのために神から賜わった恵みの務について、あなたがたはたしかに聞いたであろう。 (J)

エペソ人への手紙 3:3 すなわち、すでに簡単に書きおくったように、わたしは啓示によって奥義を知らされたのである。 (J)

エペソ人への手紙 3:4 あなたがたはそれを読めば、キリストの奥義をわたしがどう理解しているかがわかる。 (J)

エペソ人への手紙 3:5 この奥義は、いまは、御霊によって彼の聖なる使徒たちと預言者たちとに啓示されているが、前の時代には、人の子らに対して、そのように知らされてはいなかったのである。 (J)

エペソ人への手紙 3:6 それは、異邦人が、福音によりキリスト・イエスにあって、わたしたちと共に神の国をつぐ者となり、共に一つのからだとなり、共に約束にあずかる者となることである。 (J)

エペソ人への手紙 3:7 わたしは、神の力がわたしに働いて、自分に与えられた神の恵みの賜物により、福音の僕とされたのである。 (J)

エペソ人への手紙 3:8 すなわち、聖徒たちのうちで最も小さい者であるわたしにこの恵みが与えられたが、それは、キリストの無尽蔵の富を異邦人に宣べ伝え、 (J)

エペソ人への手紙 3:9 更にまた、万物の造り主である神の中に世々隠されていた奥義にあずかる務がどんなものであるかを、明らかに示すためである。 (J)

エペソ人への手紙 3:10 それは今、天上にあるもろもろの支配や権威が、教会をとおして、神の多種多様な知恵を知るに至るためであって、 (J)

エペソ人への手紙 3:11 わたしたちの主キリスト・イエスにあって実現された神の永遠の目的にそうものである。 (J)

エペソ人への手紙 3:12 この主キリストにあって、わたしたちは、彼に対する信仰によって、確信をもって大胆に神に近づくことができるのである。 (J)

エペソ人への手紙 3:13 だから、あなたがたのためにわたしが受けている患難を見て、落胆しないでいてもらいたい。わたしの患難は、あなたがたの光栄なのである。 (J)

エペソ人への手紙 3:14 こういうわけで、わたしはひざをかがめて、 (J)

エペソ人への手紙 3:15 天上にあり地上にあって「父」と呼ばれているあらゆるものの源なる父に祈る。 (J)

エペソ人への手紙 3:16 どうか父が、その栄光の富にしたがい、御霊により、力をもってあなたがたの内なる人を強くして下さるように、 (J)

エペソ人への手紙 3:17 また、信仰によって、キリストがあなたがたの心のうちに住み、あなたがたが愛に根ざし愛を基として生活することにより、 (J)

エペソ人への手紙 3:18 すべての聖徒と共に、その広さ、長さ、高さ、深さを理解することができ、 (J)

エペソ人への手紙 3:19 また人知をはるかに越えたキリストの愛を知って、神に満ちているもののすべてをもって、あなたがたが満たされるように、と祈る。 (J)

エペソ人への手紙 3:20 どうか、わたしたちのうちに働く力によって、わたしたちが求めまた思うところのいっさいを、はるかに越えてかなえて下さることができるかたに、 (J)

エペソ人への手紙 3:21 教会により、また、キリスト・イエスによって、栄光が世々限りなくあるように、アァメン。 (J)

エペソ人への手紙 4:1 さて、主にある囚人であるわたしは、あなたがたに勧める。あなたがたが召されたその召しにふさわしく歩き、 (J)

エペソ人への手紙 4:2 できる限り謙虚で、かつ柔和であり、寛容を示し、愛をもって互に忍びあい、 (J)

エペソ人への手紙 4:3 平和のきずなで結ばれて、聖霊による一致を守り続けるように努めなさい。 (J)

エペソ人への手紙 4:4 からだは一つ、御霊も一つである。あなたがたが召されたのは、一つの望みを目ざして召されたのと同様である。 (J)

エペソ人への手紙 4:5 主は一つ、信仰は一つ、バプテスマは一つ。 (J)

エペソ人への手紙 4:6 すべてのものの上にあり、すべてのものを貫き、すべてのものの内にいます、すべてのものの父なる神は一つである。 (J)

エペソ人への手紙 4:7 しかし、キリストから賜わる賜物のはかりに従って、わたしたちひとりびとりに、恵みが与えられている。 (J)

エペソ人への手紙 4:8 そこで、こう言われている、 「彼は高いところに上った時、 とりこを捕えて引き行き、 人々に賜物を分け与えた」。 (J)

エペソ人への手紙 4:9 さて「上った」と言う以上、また地下の低い底にも降りてこられたわけではないか。 (J)

エペソ人への手紙 4:10 降りてこられた者自身は、同時に、あらゆるものに満ちるために、もろもろの天の上にまで上られたかたなのである。 (J)

エペソ人への手紙 4:11 そして彼は、ある人を使徒とし、ある人を預言者とし、ある人を伝道者とし、ある人を牧師、教師として、お立てになった。 (J)

エペソ人への手紙 4:12 それは、聖徒たちをととのえて奉仕のわざをさせ、キリストのからだを建てさせ、 (J)

エペソ人への手紙 4:13 わたしたちすべての者が、神の子を信じる信仰の一致と彼を知る知識の一致とに到達し、全き人となり、ついに、キリストの満ちみちた徳の高さにまで至るためである。 (J)

エペソ人への手紙 4:14 こうして、わたしたちはもはや子供ではないので、だまし惑わす策略により、人々の悪巧みによって起る様々な教の風に吹きまわされたり、もてあそばれたりすることがなく、 (J)

エペソ人への手紙 4:15 愛にあって真理を語り、あらゆる点において成長し、かしらなるキリストに達するのである。 (J)

エペソ人への手紙 4:16 また、キリストを基として、全身はすべての節々の助けにより、しっかりと組み合わされ結び合わされ、それぞれの部分は分に応じて働き、からだを成長させ、愛のうちに育てられていくのである。 (J)

エペソ人への手紙 4:17 そこで、わたしは主にあっておごそかに勧める。あなたがたは今後、異邦人がむなしい心で歩いているように歩いてはならない。 (J)

エペソ人への手紙 4:18 彼らの知力は暗くなり、その内なる無知と心の硬化とにより、神のいのちから遠く離れ、 (J)

エペソ人への手紙 4:19 自ら無感覚になって、ほしいままにあらゆる不潔な行いをして、放縦に身をゆだねている。 (J)

エペソ人への手紙 4:20 しかしあなたがたは、そのようにキリストに学んだのではなかった。 (J)

エペソ人への手紙 4:21 あなたがたはたしかに彼に聞き、彼にあって教えられて、イエスにある真理をそのまま学んだはずである。 (J)

エペソ人への手紙 4:22 すなわち、あなたがたは、以前の生活に属する、情欲に迷って滅び行く古き人を脱ぎ捨て、 (J)

エペソ人への手紙 4:23 心の深みまで新たにされて、 (J)

エペソ人への手紙 4:24 真の義と聖とをそなえた神にかたどって造られた新しき人を着るべきである。 (J)

エペソ人への手紙 4:25 こういうわけだから、あなたがたは偽りを捨てて、おのおの隣り人に対して、真実を語りなさい。わたしたちは、お互に肢体なのであるから。 (J)

エペソ人への手紙 4:26 怒ることがあっても、罪を犯してはならない。憤ったままで、日が暮れるようであってはならない。 (J)

エペソ人への手紙 4:27 また、悪魔に機会を与えてはいけない。 (J)

エペソ人への手紙 4:28 盗んだ者は、今後、盗んではならない。むしろ、貧しい人々に分け与えるようになるために、自分の手で正当な働きをしなさい。 (J)

エペソ人への手紙 4:29 悪い言葉をいっさい、あなたがたの口から出してはいけない。必要があれば、人の徳を高めるのに役立つような言葉を語って、聞いている者の益になるようにしなさい。 (J)

エペソ人への手紙 4:30 神の聖霊を悲しませてはいけない。あなたがたは、あがないの日のために、聖霊の証印を受けたのである。 (J)

エペソ人への手紙 4:31 すべての無慈悲、憤り、怒り、騒ぎ、そしり、また、いっさいの悪意を捨て去りなさい。 (J)

エペソ人への手紙 4:32 互に情深く、あわれみ深い者となり、神がキリストにあってあなたがたをゆるして下さったように、あなたがたも互にゆるし合いなさい。 (J)

エペソ人への手紙 5:1 こうして、あなたがたは、神に愛されている子供として、神にならう者になりなさい。 (J)

エペソ人への手紙 5:2 また愛のうちを歩きなさい。キリストもあなたがたを愛して下さって、わたしたちのために、ご自身を、神へのかんばしいかおりのささげ物、また、いけにえとしてささげられたのである。 (J)

エペソ人への手紙 5:3 また、不品行といろいろな汚れや貪欲などを、聖徒にふさわしく、あなたがたの間では、口にすることさえしてはならない。 (J)

エペソ人への手紙 5:4 また、卑しい言葉と愚かな話やみだらな冗談を避けなさい。これらは、よろしくない事である。それよりは、むしろ感謝をささげなさい。 (J)

エペソ人への手紙 5:5 あなたがたは、よく知っておかねばならない。すべて不品行な者、汚れたことをする者、貪欲な者、すなわち、偶像を礼拝する者は、キリストと神との国をつぐことができない。 (J)

エペソ人への手紙 5:6 あなたがたは、だれにも不誠実な言葉でだまされてはいけない。これらのことから、神の怒りは不従順の子らに下るのである。 (J)

エペソ人への手紙 5:7 だから、彼らの仲間になってはいけない。 (J)

エペソ人への手紙 5:8 あなたがたは、以前はやみであったが、今は主にあって光となっている。光の子らしく歩きなさい―― (J)

エペソ人への手紙 5:9 光はあらゆる善意と正義と真実との実を結ばせるものである―― (J)

エペソ人への手紙 5:10 主に喜ばれるものがなんであるかを、わきまえ知りなさい。 (J)

エペソ人への手紙 5:11 実を結ばないやみのわざに加わらないで、むしろ、それを指摘してやりなさい。 (J)

エペソ人への手紙 5:12 彼らが隠れて行っていることは、口にするだけでも恥ずかしい事である。 (J)

エペソ人への手紙 5:13 しかし、光にさらされる時、すべてのものは、明らかになる。 (J)

エペソ人への手紙 5:14 明らかにされたものは皆、光となるのである。だから、こう書いてある、 「眠っている者よ、起きなさい。 死人のなかから、立ち上がりなさい。 そうすれば、キリストがあなたを照すであろう」。 (J)

エペソ人への手紙 5:15 そこで、あなたがたの歩きかたによく注意して、賢くない者のようにではなく、賢い者のように歩き、 (J)

エペソ人への手紙 5:16 今の時を生かして用いなさい。今は悪い時代なのである。 (J)

エペソ人への手紙 5:17 だから、愚かな者にならないで、主の御旨がなんであるかを悟りなさい。 (J)

エペソ人への手紙 5:18 酒に酔ってはいけない。それは乱行のもとである。むしろ御霊に満たされて、 (J)

エペソ人への手紙 5:19 詩とさんびと霊の歌とをもって語り合い、主にむかって心からさんびの歌をうたいなさい。 (J)

エペソ人への手紙 5:20 そしてすべてのことにつき、いつも、わたしたちの主イエス・キリストの御名によって、父なる神に感謝し、 (J)

エペソ人への手紙 5:21 キリストに対する恐れの心をもって、互に仕え合うべきである。 (J)

エペソ人への手紙 5:22 妻たる者よ。主に仕えるように自分の夫に仕えなさい。 (J)

エペソ人への手紙 5:23 キリストが教会のかしらであって、自らは、からだなる教会の救主であられるように、夫は妻のかしらである。 (J)

エペソ人への手紙 5:24 そして教会がキリストに仕えるように、妻もすべてのことにおいて、夫に仕えるべきである。 (J)

エペソ人への手紙 5:25 夫たる者よ。キリストが教会を愛してそのためにご自身をささげられたように、妻を愛しなさい。 (J)

エペソ人への手紙 5:26 キリストがそうなさったのは、水で洗うことにより、言葉によって、教会をきよめて聖なるものとするためであり、 (J)

エペソ人への手紙 5:27 また、しみも、しわも、そのたぐいのものがいっさいなく、清くて傷のない栄光の姿の教会を、ご自分に迎えるためである。 (J)

エペソ人への手紙 5:28 それと同じく、夫も自分の妻を、自分のからだのように愛さねばならない。自分の妻を愛する者は、自分自身を愛するのである。 (J)

エペソ人への手紙 5:29 自分自身を憎んだ者は、いまだかつて、ひとりもいない。かえって、キリストが教会になさったようにして、おのれを育て養うのが常である。 (J)

エペソ人への手紙 5:30 わたしたちは、キリストのからだの肢体なのである。 (J)

エペソ人への手紙 5:31 「それゆえに、人は父母を離れてその妻と結ばれ、ふたりの者は一体となるべきである」。 (J)

エペソ人への手紙 5:32 この奥義は大きい。それは、キリストと教会とをさしている。 (J)

エペソ人への手紙 5:33 いずれにしても、あなたがたは、それぞれ、自分の妻を自分自身のように愛しなさい。妻もまた夫を敬いなさい。 (J)

エペソ人への手紙 6:1 子たる者よ。主にあって両親に従いなさい。これは正しいことである。 (J)

エペソ人への手紙 6:2 「あなたの父と母とを敬え」。これが第一の戒めであって、次の約束がそれについている、 (J)

エペソ人への手紙 6:3 「そうすれば、あなたは幸福になり、地上でながく生きながらえるであろう」。 (J)

エペソ人への手紙 6:4 父たる者よ。子供をおこらせないで、主の薫陶と訓戒とによって、彼らを育てなさい。 (J)

エペソ人への手紙 6:5 僕たる者よ。キリストに従うように、恐れおののきつつ、真心をこめて、肉による主人に従いなさい。 (J)

エペソ人への手紙 6:6 人にへつらおうとして目先だけの勤めをするのでなく、キリストの僕として心から神の御旨を行い、 (J)

エペソ人への手紙 6:7 人にではなく主に仕えるように、快く仕えなさい。 (J)

エペソ人への手紙 6:8 あなたがたが知っているとおり、だれでも良いことを行えば、僕であれ、自由人であれ、それに相当する報いを、それぞれ主から受けるであろう。 (J)

エペソ人への手紙 6:9 主人たる者よ。僕たちに対して、同様にしなさい。おどすことを、してはならない。あなたがたが知っているとおり、彼らとあなたがたとの主は天にいますのであり、かつ人をかたより見ることをなさらないのである。 (J)

エペソ人への手紙 6:10 最後に言う。主にあって、その偉大な力によって、強くなりなさい。 (J)

エペソ人への手紙 6:11 悪魔の策略に対抗して立ちうるために、神の武具で身を固めなさい。 (J)

エペソ人への手紙 6:12 わたしたちの戦いは、血肉に対するものではなく、もろもろの支配と、権威と、やみの世の主権者、また天上にいる悪の霊に対する戦いである。 (J)

エペソ人への手紙 6:13 それだから、悪しき日にあたって、よく抵抗し、完全に勝ち抜いて、堅く立ちうるために、神の武具を身につけなさい。 (J)

エペソ人への手紙 6:14 すなわち、立って真理の帯を腰にしめ、正義の胸当を胸につけ、 (J)

エペソ人への手紙 6:15 平和の福音の備えを足にはき、 (J)

エペソ人への手紙 6:16 その上に、信仰のたてを手に取りなさい。それをもって、悪しき者の放つ火の矢を消すことができるであろう。 (J)

エペソ人への手紙 6:17 また、救のかぶとをかぶり、御霊の剣、すなわち、神の言を取りなさい。 (J)

エペソ人への手紙 6:18 絶えず祈と願いをし、どんな時でも御霊によって祈り、そのために目をさましてうむことがなく、すべての聖徒のために祈りつづけなさい。 (J)

エペソ人への手紙 6:19 また、わたしが口を開くときに語るべき言葉を賜わり、大胆に福音の奥義を明らかに示しうるように、わたしのためにも祈ってほしい。 (J)

エペソ人への手紙 6:20 わたしはこの福音のための使節であり、そして鎖につながれているのであるが、つながれていても、語るべき時には大胆に語れるように祈ってほしい。 (J)

エペソ人への手紙 6:21 わたしがどういう様子か、何をしているかを、あなたがたに知ってもらうために、主にあって忠実に仕えている愛する兄弟テキコが、いっさいの事を報告するであろう。 (J)

エペソ人への手紙 6:22 彼をあなたがたのもとに送るのは、あなたがたがわたしたちの様子を知り、また彼によって心に励ましを受けるようになるためなのである。 (J)

エペソ人への手紙 6:23 父なる神とわたしたちの主イエス・キリストから平安ならびに信仰に伴う愛が、兄弟たちにあるように。 (J)

エペソ人への手紙 6:24 変らない真実をもって、わたしたちの主イエス・キリストを愛するすべての人々に、恵みがあるように。 (J)

ピリピ人への手紙 1:1 ¶ キリスト・イエスの僕たち、パウロとテモテから、ピリピにいる、キリスト・イエスにあるすべての聖徒たち、ならびに監督たちと執事たちへ。 (J)

ピリピ人への手紙 1:2 わたしたちの父なる神と主イエス・キリストから、恵みと平安とが、あなたがたにあるように。 (J)

ピリピ人への手紙 1:3 わたしはあなたがたを思うたびごとに、わたしの神に感謝し、 (J)

ピリピ人への手紙 1:4 あなたがた一同のために祈るとき、いつも喜びをもって祈り、 (J)

ピリピ人への手紙 1:5 あなたがたが最初の日から今日に至るまで、福音にあずかっていることを感謝している。 (J)

ピリピ人への手紙 1:6 そして、あなたがたのうちに良いわざを始められたかたが、キリスト・イエスの日までにそれを完成して下さるにちがいないと、確信している。 (J)

ピリピ人への手紙 1:7 わたしが、あなたがた一同のために、そう考えるのは当然である。それは、わたしが獄に捕われている時にも、福音を弁明し立証する時にも、あなたがたをみな、共に恵みにあずかる者として、わたしの心に深く留めているからである。 (J)

ピリピ人への手紙 1:8 わたしがキリスト・イエスの熱愛をもって、どんなに深くあなたがた一同を思っていることか、それを証明して下さるかたは神である。 (J)

ピリピ人への手紙 1:9 わたしはこう祈る。あなたがたの愛が、深い知識において、するどい感覚において、いよいよ増し加わり、 (J)

ピリピ人への手紙 1:10 それによって、あなたがたが、何が重要であるかを判別することができ、キリストの日に備えて、純真で責められるところのないものとなり、 (J)

ピリピ人への手紙 1:11 イエス・キリストによる義の実に満たされて、神の栄光とほまれとをあらわすに至るように。 (J)

ピリピ人への手紙 1:12 さて、兄弟たちよ。わたしの身に起った事が、むしろ福音の前進に役立つようになったことを、あなたがたに知ってもらいたい。 (J)

ピリピ人への手紙 1:13 すなわち、わたしが獄に捕われているのはキリストのためであることが、兵営全体にもそのほかのすべての人々にも明らかになり、 (J)

ピリピ人への手紙 1:14 そして兄弟たちのうち多くの者は、わたしの入獄によって主にある確信を得、恐れることなく、ますます勇敢に、神の言を語るようになった。 (J)

ピリピ人への手紙 1:15 一方では、ねたみや闘争心からキリストを宣べ伝える者がおり、他方では善意からそうする者がいる。 (J)

ピリピ人への手紙 1:16 後者は、わたしが福音を弁明するために立てられていることを知り、愛の心でキリストを伝え、 (J)

ピリピ人への手紙 1:17 前者は、わたしの入獄の苦しみに更に患難を加えようと思って、純真な心からではなく、党派心からそうしている。 (J)

ピリピ人への手紙 1:18 すると、どうなのか。見えからであるにしても、真実からであるにしても、要するに、伝えられているのはキリストなのだから、わたしはそれを喜んでいるし、また喜ぶであろう。 (J)

ピリピ人への手紙 1:19 なぜなら、あなたがたの祈と、イエス・キリストの霊の助けとによって、この事がついには、わたしの救となることを知っているからである。 (J)

ピリピ人への手紙 1:20 そこで、わたしが切実な思いで待ち望むことは、わたしが、どんなことがあっても恥じることなく、かえって、いつものように今も、大胆に語ることによって、生きるにも死ぬにも、わたしの身によってキリストがあがめられることである。 (J)

ピリピ人への手紙 1:21 わたしにとっては、生きることはキリストであり、死ぬことは益である。 (J)

ピリピ人への手紙 1:22 しかし、肉体において生きていることが、わたしにとっては実り多い働きになるのだとすれば、どちらを選んだらよいか、わたしにはわからない。 (J)

ピリピ人への手紙 1:23 わたしは、これら二つのものの間に板ばさみになっている。わたしの願いを言えば、この世を去ってキリストと共にいることであり、実は、その方がはるかに望ましい。 (J)

ピリピ人への手紙 1:24 しかし、肉体にとどまっていることは、あなたがたのためには、さらに必要である。 (J)

ピリピ人への手紙 1:25 こう確信しているので、わたしは生きながらえて、あなたがた一同のところにとどまり、あなたがたの信仰を進ませ、その喜びを得させようと思う。 (J)

ピリピ人への手紙 1:26 そうなれば、わたしが再びあなたがたのところに行くので、あなたがたはわたしによってキリスト・イエスにある誇を増すことになろう。 (J)

ピリピ人への手紙 1:27 ただ、あなたがたはキリストの福音にふさわしく生活しなさい。そして、わたしが行ってあなたがたに会うにしても、離れているにしても、あなたがたが一つの霊によって堅く立ち、一つ心になって福音の信仰のために力を合わせて戦い、 (J)

ピリピ人への手紙 1:28 かつ、何事についても、敵対する者どもにろうばいさせられないでいる様子を、聞かせてほしい。このことは、彼らには滅びのしるし、あなたがたには救のしるしであって、それは神から来るのである。 (J)

ピリピ人への手紙 1:29 あなたがたはキリストのために、ただ彼を信じることだけではなく、彼のために苦しむことをも賜わっている。 (J)

ピリピ人への手紙 1:30 あなたがたは、さきにわたしについて見、今またわたしについて聞いているのと同じ苦闘を、続けているのである。 (J)

ピリピ人への手紙 2:1 そこで、あなたがたに、キリストによる勧め、愛の励まし、御霊の交わり、熱愛とあわれみとが、いくらかでもあるなら、 (J)

ピリピ人への手紙 2:2 どうか同じ思いとなり、同じ愛の心を持ち、心を合わせ、一つ思いになって、わたしの喜びを満たしてほしい。 (J)

ピリピ人への手紙 2:3 何事も党派心や虚栄からするのでなく、へりくだった心をもって互に人を自分よりすぐれた者としなさい。 (J)

ピリピ人への手紙 2:4 おのおの、自分のことばかりでなく、他人のことも考えなさい。 (J)

ピリピ人への手紙 2:5 キリスト・イエスにあっていだいているのと同じ思いを、あなたがたの間でも互に生かしなさい。 (J)

ピリピ人への手紙 2:6 キリストは、神のかたちであられたが、神と等しくあることを固守すべき事とは思わず、 (J)

ピリピ人への手紙 2:7 かえって、おのれをむなしうして僕のかたちをとり、人間の姿になられた。その有様は人と異ならず、 (J)

ピリピ人への手紙 2:8 おのれを低くして、死に至るまで、しかも十字架の死に至るまで従順であられた。 (J)

ピリピ人への手紙 2:9 それゆえに、神は彼を高く引き上げ、すべての名にまさる名を彼に賜わった。 (J)

ピリピ人への手紙 2:10 それは、イエスの御名によって、天上のもの、地上のもの、地下のものなど、あらゆるものがひざをかがめ、 (J)

ピリピ人への手紙 2:11 また、あらゆる舌が、「イエス・キリストは主である」と告白して、栄光を父なる神に帰するためである。 (J)

ピリピ人への手紙 2:12 わたしの愛する者たちよ。そういうわけだから、あなたがたがいつも従順であったように、わたしが一緒にいる時だけでなく、いない今は、いっそう従順でいて、恐れおののいて自分の救の達成に努めなさい。 (J)

ピリピ人への手紙 2:13 あなたがたのうちに働きかけて、その願いを起させ、かつ実現に至らせるのは神であって、それは神のよしとされるところだからである。 (J)

ピリピ人への手紙 2:14 すべてのことを、つぶやかず疑わないでしなさい。 (J)

ピリピ人への手紙 2:15 それは、あなたがたが責められるところのない純真な者となり、曲った邪悪な時代のただ中にあって、傷のない神の子となるためである。あなたがたは、いのちの言葉を堅く持って、彼らの間で星のようにこの世に輝いている。 (J)

ピリピ人への手紙 2:16 このようにして、キリストの日に、わたしは自分の走ったことがむだでなく、労したこともむだではなかったと誇ることができる。 (J)

ピリピ人への手紙 2:17 そして、たとい、あなたがたの信仰の供え物をささげる祭壇に、わたしの血をそそぐことがあっても、わたしは喜ぼう。あなたがた一同と共に喜ぼう。 (J)

ピリピ人への手紙 2:18 同じように、あなたがたも喜びなさい。わたしと共に喜びなさい。 (J)

ピリピ人への手紙 2:19 さて、わたしは、まもなくテモテをあなたがたのところに送りたいと、主イエスにあって願っている。それは、あなたがたの様子を知って、わたしも力づけられたいからである。 (J)

ピリピ人への手紙 2:20 テモテのような心で、親身になってあなたがたのことを心配している者は、ほかにひとりもない。 (J)

ピリピ人への手紙 2:21 人はみな、自分のことを求めるだけで、キリスト・イエスのことは求めていない。 (J)

ピリピ人への手紙 2:22 しかし、テモテの錬達ぶりは、あなたがたの知っているとおりである。すなわち、子が父に対するようにして、わたしと一緒に福音に仕えてきたのである。 (J)

ピリピ人への手紙 2:23 そこで、この人を、わたしの成行きがわかりしだい、すぐにでも、そちらへ送りたいと願っている。 (J)

ピリピ人への手紙 2:24 わたし自身もまもなく行けるものと、主にあって確信している。 (J)

ピリピ人への手紙 2:25 しかし、さしあたり、わたしの同労者で戦友である兄弟、また、あなたがたの使者としてわたしの窮乏を補ってくれたエパフロデトを、あなたがたのもとに送り返すことが必要だと思っている。 (J)

ピリピ人への手紙 2:26 彼は、あなたがた一同にしきりに会いたがっているからである。その上、自分の病気のことがあなたがたに聞えたので、彼は心苦しく思っている。 (J)

ピリピ人への手紙 2:27 彼は実に、ひん死の病気にかかったが、神は彼をあわれんで下さった。彼ばかりではなく、わたしをもあわれんで下さったので、わたしは悲しみに悲しみを重ねないですんだのである。 (J)

ピリピ人への手紙 2:28 そこで、大急ぎで彼を送り返す。これで、あなたがたは彼と再び会って喜び、わたしもまた、心配を和らげることができよう。 (J)

ピリピ人への手紙 2:29 こういうわけだから、大いに喜んで、主にあって彼を迎えてほしい。また、こうした人々は尊重せねばならない。 (J)

ピリピ人への手紙 2:30 彼は、わたしに対してあなたがたが奉仕のできなかった分を補おうとして、キリストのわざのために命をかけ、死ぬばかりになったのである。 (J)

ピリピ人への手紙 3:1 最後に、わたしの兄弟たちよ。主にあって喜びなさい。さきに書いたのと同じことをここで繰り返すが、それは、わたしには煩らわしいことではなく、あなたがたには安全なことになる。 (J)

ピリピ人への手紙 3:2 あの犬どもを警戒しなさい。悪い働き人たちを警戒しなさい。肉に割礼の傷をつけている人たちを警戒しなさい。 (J)

ピリピ人への手紙 3:3 神の霊によって礼拝をし、キリスト・イエスを誇とし、肉を頼みとしないわたしたちこそ、割礼の者である。 (J)

ピリピ人への手紙 3:4 もとより、肉の頼みなら、わたしにも無くはない。もし、だれかほかの人が肉を頼みとしていると言うなら、わたしはそれをもっと頼みとしている。 (J)

ピリピ人への手紙 3:5 わたしは八日目に割礼を受けた者、イスラエルの民族に属する者、ベニヤミン族の出身、ヘブル人の中のヘブル人、律法の上ではパリサイ人、 (J)

ピリピ人への手紙 3:6 熱心の点では教会の迫害者、律法の義については落ち度のない者である。 (J)

ピリピ人への手紙 3:7 しかし、わたしにとって益であったこれらのものを、キリストのゆえに損と思うようになった。 (J)

ピリピ人への手紙 3:8 わたしは、更に進んで、わたしの主キリスト・イエスを知る知識の絶大な価値のゆえに、いっさいのものを損と思っている。キリストのゆえに、わたしはすべてを失ったが、それらのものを、ふん土のように思っている。それは、わたしがキリストを得るためであり、 (J)

ピリピ人への手紙 3:9 律法による自分の義ではなく、キリストを信じる信仰による義、すなわち、信仰に基く神からの義を受けて、キリストのうちに自分を見いだすようになるためである。 (J)

ピリピ人への手紙 3:10 すなわち、キリストとその復活の力とを知り、その苦難にあずかって、その死のさまとひとしくなり、 (J)

ピリピ人への手紙 3:11 なんとかして死人のうちからの復活に達したいのである。 (J)

ピリピ人への手紙 3:12 わたしがすでにそれを得たとか、すでに完全な者になっているとか言うのではなく、ただ捕えようとして追い求めているのである。そうするのは、キリスト・イエスによって捕えられているからである。 (J)

ピリピ人への手紙 3:13 兄弟たちよ。わたしはすでに捕えたとは思っていない。ただこの一事を努めている。すなわち、後のものを忘れ、前のものに向かってからだを伸ばしつつ、 (J)

ピリピ人への手紙 3:14 目標を目ざして走り、キリスト・イエスにおいて上に召して下さる神の賞与を得ようと努めているのである。 (J)

ピリピ人への手紙 3:15 だから、わたしたちの中で全き人たちは、そのように考えるべきである。しかし、あなたがたが違った考えを持っているなら、神はそのことも示して下さるであろう。 (J)

ピリピ人への手紙 3:16 ただ、わたしたちは、達し得たところに従って進むべきである。 (J)

ピリピ人への手紙 3:17 兄弟たちよ。どうか、わたしにならう者となってほしい。また、あなたがたの模範にされているわたしたちにならって歩く人たちに、目をとめなさい。 (J)

ピリピ人への手紙 3:18 わたしがそう言うのは、キリストの十字架に敵対して歩いている者が多いからである。わたしは、彼らのことをしばしばあなたがたに話したが、今また涙を流して語る。 (J)

ピリピ人への手紙 3:19 彼らの最後は滅びである。彼らの神はその腹、彼らの栄光はその恥、彼らの思いは地上のことである。 (J)

ピリピ人への手紙 3:20 しかし、わたしたちの国籍は天にある。そこから、救主、主イエス・キリストのこられるのを、わたしたちは待ち望んでいる。 (J)

ピリピ人への手紙 3:21 彼は、万物をご自身に従わせうる力の働きによって、わたしたちの卑しいからだを、ご自身の栄光のからだと同じかたちに変えて下さるであろう。 (J)

ピリピ人への手紙 4:1 だから、わたしの愛し慕っている兄弟たちよ。わたしの喜びであり冠である愛する者たちよ。このように、主にあって堅く立ちなさい。 (J)

ピリピ人への手紙 4:2 わたしはユウオデヤに勧め、またスントケに勧める。どうか、主にあって一つ思いになってほしい。 (J)

ピリピ人への手紙 4:3 ついては、真実な協力者よ。あなたにお願いする。このふたりの女を助けてあげなさい。彼らは、「いのちの書」に名を書きとめられているクレメンスや、その他の同労者たちと協力して、福音のためにわたしと共に戦ってくれた女たちである。 (J)

ピリピ人への手紙 4:4 あなたがたは、主にあっていつも喜びなさい。繰り返して言うが、喜びなさい。 (J)

ピリピ人への手紙 4:5 あなたがたの寛容を、みんなの人に示しなさい。主は近い。 (J)

ピリピ人への手紙 4:6 何事も思い煩ってはならない。ただ、事ごとに、感謝をもって祈と願いとをささげ、あなたがたの求めるところを神に申し上げるがよい。 (J)

ピリピ人への手紙 4:7 そうすれば、人知ではとうてい測り知ることのできない神の平安が、あなたがたの心と思いとを、キリスト・イエスにあって守るであろう。 (J)

ピリピ人への手紙 4:8 最後に、兄弟たちよ。すべて真実なこと、すべて尊ぶべきこと、すべて正しいこと、すべて純真なこと、すべて愛すべきこと、すべてほまれあること、また徳といわれるもの、称賛に値するものがあれば、それらのものを心にとめなさい。 (J)

ピリピ人への手紙 4:9 あなたがたが、わたしから学んだこと、受けたこと、聞いたこと、見たことは、これを実行しなさい。そうすれば、平和の神が、あなたがたと共にいますであろう。 (J)

ピリピ人への手紙 4:10 さて、わたしが主にあって大いに喜んでいるのは、わたしを思う心が、あなたがたに今またついに芽ばえてきたことである。実は、あなたがたは、わたしのことを心にかけてくれてはいたが、よい機会がなかったのである。 (J)

ピリピ人への手紙 4:11 わたしは乏しいから、こう言うのではない。わたしは、どんな境遇にあっても、足ることを学んだ。 (J)

ピリピ人への手紙 4:12 わたしは貧に処する道を知っており、富におる道も知っている。わたしは、飽くことにも飢えることにも、富むことにも乏しいことにも、ありとあらゆる境遇に処する秘けつを心得ている。 (J)

ピリピ人への手紙 4:13 わたしを強くして下さるかたによって、何事でもすることができる。 (J)

ピリピ人への手紙 4:14 しかし、あなたがたは、よくもわたしと患難を共にしてくれた。 (J)

ピリピ人への手紙 4:15 ピリピの人たちよ。あなたがたも知っているとおり、わたしが福音を宣伝し始めたころ、マケドニヤから出かけて行った時、物のやりとりをしてわたしの働きに参加した教会は、あなたがたのほかには全く無かった。 (J)

ピリピ人への手紙 4:16 またテサロニケでも、一再ならず、物を送ってわたしの欠乏を補ってくれた。 (J)

ピリピ人への手紙 4:17 わたしは、贈り物を求めているのではない。わたしの求めているのは、あなたがたの勘定をふやしていく果実なのである。 (J)

ピリピ人への手紙 4:18 わたしは、すべての物を受けてあり余るほどである。エパフロデトから、あなたがたの贈り物をいただいて、飽き足りている。それは、かんばしいかおりであり、神の喜んで受けて下さる供え物である。 (J)

ピリピ人への手紙 4:19 わたしの神は、ご自身の栄光の富の中から、あなたがたのいっさいの必要を、キリスト・イエスにあって満たして下さるであろう。 (J)

ピリピ人への手紙 4:20 わたしたちの父なる神に、栄光が世々限りなくあるように、アァメン。 (J)

ピリピ人への手紙 4:21 キリスト・イエスにある聖徒のひとりびとりに、よろしく。わたしと一緒にいる兄弟たちから、あなたがたによろしく。 (J)

ピリピ人への手紙 4:22 すべての聖徒たちから、特にカイザルの家の者たちから、よろしく。 (J)

ピリピ人への手紙 4:23 主イエス・キリストの恵みが、あなたがたの霊と共にあるように。 (J)

コロサイ人への手紙 1:1 ¶ 神の御旨によるキリスト・イエスの使徒パウロと兄弟テモテから、 (J)

コロサイ人への手紙 1:2 コロサイにいる、キリストにある聖徒たち、忠実な兄弟たちへ。 わたしたちの父なる神から、恵みと平安とが、あなたがたにあるように。 (J)

コロサイ人への手紙 1:3 わたしたちは、いつもあなたがたのために祈り、わたしたちの主イエス・キリストの父なる神に感謝している。 (J)

コロサイ人への手紙 1:4 これは、キリスト・イエスに対するあなたがたの信仰と、すべての聖徒に対していだいているあなたがたの愛とを、耳にしたからである。 (J)

コロサイ人への手紙 1:5 この愛は、あなたがたのために天にたくわえられている望みに基くものであり、その望みについては、あなたがたはすでに、あなたがたのところまで伝えられた福音の真理の言葉によって聞いている。 (J)

コロサイ人への手紙 1:6 そして、この福音は、世界中いたる所でそうであるように、あなたがたのところでも、これを聞いて神の恵みを知ったとき以来、実を結んで成長しているのである。 (J)

コロサイ人への手紙 1:7 あなたがたはこの福音を、わたしたちと同じ僕である、愛するエペフラスから学んだのであった。彼はあなたがたのためのキリストの忠実な奉仕者であって、 (J)

コロサイ人への手紙 1:8 あなたがたが御霊によっていだいている愛を、わたしたちに知らせてくれたのである。 (J)

コロサイ人への手紙 1:9 そういうわけで、これらの事を耳にして以来、わたしたちも絶えずあなたがたのために祈り求めているのは、あなたがたがあらゆる霊的な知恵と理解力とをもって、神の御旨を深く知り、 (J)

コロサイ人への手紙 1:10 主のみこころにかなった生活をして真に主を喜ばせ、あらゆる良いわざを行って実を結び、神を知る知識をいよいよ増し加えるに至ることである。 (J)

コロサイ人への手紙 1:11 更にまた祈るのは、あなたがたが、神の栄光の勢いにしたがって賜わるすべての力によって強くされ、何事も喜んで耐えかつ忍び、 (J)

コロサイ人への手紙 1:12 光のうちにある聖徒たちの特権にあずかるに足る者とならせて下さった父なる神に、感謝することである。 (J)

コロサイ人への手紙 1:13 神は、わたしたちをやみの力から救い出して、その愛する御子の支配下に移して下さった。 (J)

コロサイ人への手紙 1:14 わたしたちは、この御子によってあがない、すなわち、罪のゆるしを受けているのである。 (J)

コロサイ人への手紙 1:15 御子は、見えない神のかたちであって、すべての造られたものに先だって生れたかたである。 (J)

コロサイ人への手紙 1:16 万物は、天にあるものも地にあるものも、見えるものも見えないものも、位も主権も、支配も権威も、みな御子にあって造られたからである。これらいっさいのものは、御子によって造られ、御子のために造られたのである。 (J)

コロサイ人への手紙 1:17 彼は万物よりも先にあり、万物は彼にあって成り立っている。 (J)

コロサイ人への手紙 1:18 そして自らは、そのからだなる教会のかしらである。彼は初めの者であり、死人の中から最初に生れたかたである。それは、ご自身がすべてのことにおいて第一の者となるためである。 (J)

コロサイ人への手紙 1:19 神は、御旨によって、御子のうちにすべての満ちみちた徳を宿らせ、 (J)

コロサイ人への手紙 1:20 そして、その十字架の血によって平和をつくり、万物、すなわち、地にあるもの、天にあるものを、ことごとく、彼によってご自分と和解させて下さったのである。 (J)

コロサイ人への手紙 1:21 あなたがたも、かつては悪い行いをして神から離れ、心の中で神に敵対していた。 (J)

コロサイ人への手紙 1:22 しかし今では、御子はその肉のからだにより、その死をとおして、あなたがたを神と和解させ、あなたがたを聖なる、傷のない、責められるところのない者として、みまえに立たせて下さったのである。 (J)

コロサイ人への手紙 1:23 ただし、あなたがたは、ゆるぐことがなく、しっかりと信仰にふみとどまり、すでに聞いている福音の望みから移り行くことのないようにすべきである。この福音は、天の下にあるすべての造られたものに対して宣べ伝えられたものであって、それにこのパウロが奉仕しているのである。 (J)

コロサイ人への手紙 1:24 今わたしは、あなたがたのための苦難を喜んで受けており、キリストのからだなる教会のために、キリストの苦しみのなお足りないところを、わたしの肉体をもって補っている。 (J)

コロサイ人への手紙 1:25 わたしは、神の言を告げひろめる務を、あなたがたのために神から与えられているが、そのために教会に奉仕する者になっているのである。 (J)

コロサイ人への手紙 1:26 その言の奥義は、代々にわたってこの世から隠されていたが、今や神の聖徒たちに明らかにされたのである。 (J)

コロサイ人への手紙 1:27 神は彼らに、異邦人の受くべきこの奥義が、いかに栄光に富んだものであるかを、知らせようとされたのである。この奥義は、あなたがたのうちにいますキリストであり、栄光の望みである。 (J)

コロサイ人への手紙 1:28 わたしたちはこのキリストを宣べ伝え、知恵をつくしてすべての人を訓戒し、また、すべての人を教えている。それは、彼らがキリストにあって全き者として立つようになるためである。 (J)

コロサイ人への手紙 1:29 わたしはこのために、わたしのうちに力強く働いておられるかたの力により、苦闘しながら努力しているのである。 (J)

コロサイ人への手紙 2:1 わたしが、あなたがたとラオデキヤにいる人たちのため、また、直接にはまだ会ったことのない人々のために、どんなに苦闘しているか、わかってもらいたい。 (J)

コロサイ人への手紙 2:2 それは彼らが、心を励まされ、愛によって結び合わされ、豊かな理解力を十分に与えられ、神の奥義なるキリストを知るに至るためである。 (J)

コロサイ人への手紙 2:3 キリストのうちには、知恵と知識との宝が、いっさい隠されている。 (J)

コロサイ人への手紙 2:4 わたしがこう言うのは、あなたがたが、だれにも巧みな言葉で迷わされることのないためである。 (J)

コロサイ人への手紙 2:5 たとい、わたしは肉体においては離れていても、霊においてはあなたがたと一緒にいて、あなたがたの秩序正しい様子とキリストに対するあなたがたの強固な信仰とを見て、喜んでいる。 (J)

コロサイ人への手紙 2:6 このように、あなたがたは主キリスト・イエスを受けいれたのだから、彼にあって歩きなさい。 (J)

コロサイ人への手紙 2:7 また、彼に根ざし、彼にあって建てられ、そして教えられたように、信仰が確立されて、あふれるばかり感謝しなさい。 (J)

コロサイ人への手紙 2:8 あなたがたは、むなしいだましごとの哲学で、人のとりこにされないように、気をつけなさい。それはキリストに従わず、世のもろもろの霊力に従う人間の言伝えに基くものにすぎない。 (J)

コロサイ人への手紙 2:9 キリストにこそ、満ちみちているいっさいの神の徳が、かたちをとって宿っており、 (J)

コロサイ人への手紙 2:10 そしてあなたがたは、キリストにあって、それに満たされているのである。彼はすべての支配と権威とのかしらであり、 (J)

コロサイ人への手紙 2:11 あなたがたはまた、彼にあって、手によらない割礼、すなわち、キリストの割礼を受けて、肉のからだを脱ぎ捨てたのである。 (J)

コロサイ人への手紙 2:12 あなたがたはバプテスマを受けて彼と共に葬られ、同時に、彼を死人の中からよみがえらせた神の力を信じる信仰によって、彼と共によみがえらされたのである。 (J)

コロサイ人への手紙 2:13 あなたがたは、先には罪の中にあり、かつ肉の割礼がないままで死んでいた者であるが、神は、あなたがたをキリストと共に生かし、わたしたちのいっさいの罪をゆるして下さった。 (J)

コロサイ人への手紙 2:14 神は、わたしたちを責めて不利におとしいれる証書を、その規定もろともぬり消し、これを取り除いて、十字架につけてしまわれた。 (J)

コロサイ人への手紙 2:15 そして、もろもろの支配と権威との武装を解除し、キリストにあって凱旋し、彼らをその行列に加えて、さらしものとされたのである。 (J)

コロサイ人への手紙 2:16 だから、あなたがたは、食物と飲み物とにつき、あるいは祭や新月や安息日などについて、だれにも批評されてはならない。 (J)

コロサイ人への手紙 2:17 これらは、きたるべきものの影であって、その本体はキリストにある。 (J)

コロサイ人への手紙 2:18 あなたがたは、わざとらしい謙そんと天使礼拝とにおぼれている人々から、いろいろと悪評されてはならない。彼らは幻を見たことを重んじ、肉の思いによっていたずらに誇るだけで、 (J)

コロサイ人への手紙 2:19 キリストなるかしらに、しっかりと着くことをしない。このかしらから出て、からだ全体は、節と節、筋と筋とによって強められ結び合わされ、神に育てられて成長していくのである。 (J)

コロサイ人への手紙 2:20 もしあなたがたが、キリストと共に死んで世のもろもろの霊力から離れたのなら、なぜ、なおこの世に生きているもののように、 (J)

コロサイ人への手紙 2:21 「さわるな、味わうな、触れるな」などという規定に縛られているのか。 (J)

コロサイ人への手紙 2:22 これらは皆、使えば尽きてしまうもの、人間の規定や教によっているものである。 (J)

コロサイ人への手紙 2:23 これらのことは、ひとりよがりの礼拝とわざとらしい謙そんと、からだの苦行とをともなうので、知恵のあるしわざらしく見えるが、実は、ほしいままな肉欲を防ぐのに、なんの役にも立つものではない。 (J)

コロサイ人への手紙 3:1 このように、あなたがたはキリストと共によみがえらされたのだから、上にあるものを求めなさい。そこではキリストが神の右に座しておられるのである。 (J)

コロサイ人への手紙 3:2 あなたがたは上にあるものを思うべきであって、地上のものに心を引かれてはならない。 (J)

コロサイ人への手紙 3:3 あなたがたはすでに死んだものであって、あなたがたのいのちは、キリストと共に神のうちに隠されているのである。 (J)

コロサイ人への手紙 3:4 わたしたちのいのちなるキリストが現れる時には、あなたがたも、キリストと共に栄光のうちに現れるであろう。 (J)

コロサイ人への手紙 3:5 だから、地上の肢体、すなわち、不品行、汚れ、情欲、悪欲、また貪欲を殺してしまいなさい。貪欲は偶像礼拝にほかならない。 (J)

コロサイ人への手紙 3:6 これらのことのために、神の怒りが下るのである。 (J)

コロサイ人への手紙 3:7 あなたがたも、以前これらのうちに日を過ごしていた時には、これらのことをして歩いていた。 (J)

コロサイ人への手紙 3:8 しかし今は、これらいっさいのことを捨て、怒り、憤り、悪意、そしり、口から出る恥ずべき言葉を、捨ててしまいなさい。 (J)

コロサイ人への手紙 3:9 互にうそを言ってはならない。あなたがたは、古き人をその行いと一緒に脱ぎ捨て、 (J)

コロサイ人への手紙 3:10 造り主のかたちに従って新しくされ、真の知識に至る新しき人を着たのである。 (J)

コロサイ人への手紙 3:11 そこには、もはやギリシヤ人とユダヤ人、割礼と無割礼、未開の人、スクテヤ人、奴隷、自由人の差別はない。キリストがすべてであり、すべてのもののうちにいますのである。 (J)

コロサイ人への手紙 3:12 だから、あなたがたは、神に選ばれた者、聖なる、愛されている者であるから、あわれみの心、慈愛、謙そん、柔和、寛容を身に着けなさい。 (J)

コロサイ人への手紙 3:13 互に忍びあい、もし互に責むべきことがあれば、ゆるし合いなさい。主もあなたがたをゆるして下さったのだから、そのように、あなたがたもゆるし合いなさい。 (J)

コロサイ人への手紙 3:14 これらいっさいのものの上に、愛を加えなさい。愛は、すべてを完全に結ぶ帯である。 (J)

コロサイ人への手紙 3:15 キリストの平和が、あなたがたの心を支配するようにしなさい。あなたがたが召されて一体となったのは、このためでもある。いつも感謝していなさい。 (J)

コロサイ人への手紙 3:16 キリストの言葉を、あなたがたのうちに豊かに宿らせなさい。そして、知恵をつくして互に教えまた訓戒し、詩とさんびと霊の歌とによって、感謝して心から神をほめたたえなさい。 (J)

コロサイ人への手紙 3:17 そして、あなたのすることはすべて、言葉によるとわざによるとを問わず、いっさい主イエスの名によってなし、彼によって父なる神に感謝しなさい。 (J)

コロサイ人への手紙 3:18 妻たる者よ、夫に仕えなさい。それが、主にある者にふさわしいことである。 (J)

コロサイ人への手紙 3:19 夫たる者よ、妻を愛しなさい。つらくあたってはいけない。 (J)

コロサイ人への手紙 3:20 子たる者よ、何事についても両親に従いなさい。これが主に喜ばれることである。 (J)

コロサイ人への手紙 3:21 父たる者よ、子供をいらだたせてはいけない。心がいじけるかも知れないから。 (J)

コロサイ人への手紙 3:22 僕たる者よ、何事についても、肉による主人に従いなさい。人にへつらおうとして、目先だけの勤めをするのではなく、真心をこめて主を恐れつつ、従いなさい。 (J)

コロサイ人への手紙 3:23 何をするにも、人に対してではなく、主に対してするように、心から働きなさい。 (J)

コロサイ人への手紙 3:24 あなたがたが知っているとおり、あなたがたは御国をつぐことを、報いとして主から受けるであろう。あなたがたは、主キリストに仕えているのである。 (J)

コロサイ人への手紙 3:25 不正を行う者は、自分の行った不正に対して報いを受けるであろう。それには差別扱いはない。 (J)

コロサイ人への手紙 4:1 主人たる者よ、僕を正しく公平に扱いなさい。あなたがたにも主が天にいますことが、わかっているのだから。 (J)

コロサイ人への手紙 4:2 目をさまして、感謝のうちに祈り、ひたすら祈り続けなさい。 (J)

コロサイ人への手紙 4:3 同時にわたしたちのためにも、神が御言のために門を開いて下さって、わたしたちがキリストの奥義を語れるように(わたしは、実は、そのために獄につながれているのである)、 (J)

コロサイ人への手紙 4:4 また、わたしが語るべきことをはっきりと語れるように、祈ってほしい。 (J)

コロサイ人への手紙 4:5 今の時を生かして用い、そとの人に対して賢く行動しなさい。 (J)

コロサイ人への手紙 4:6 いつも、塩で味つけられた、やさしい言葉を使いなさい。そうすれば、ひとりびとりに対してどう答えるべきか、わかるであろう。 (J)

コロサイ人への手紙 4:7 わたしの様子については、主にあって共に僕であり、また忠実に仕えている愛する兄弟テキコが、あなたがたにいっさいのことを報告するであろう。 (J)

コロサイ人への手紙 4:8 わたしが彼をあなたがたのもとに送るのは、わたしたちの様子を知り、また彼によって心に励ましを受けるためなのである。 (J)

コロサイ人への手紙 4:9 あなたがたのひとり、忠実な愛する兄弟オネシモをも、彼と共に送る。彼らはあなたがたに、こちらのいっさいの事情を知らせるであろう。 (J)

コロサイ人への手紙 4:10 わたしと一緒に捕われの身となっているアリスタルコと、バルナバのいとこマルコとが、あなたがたによろしくと言っている。このマルコについては、もし彼があなたがたのもとに行くなら、迎えてやるようにとのさしずを、あなたがたはすでに受けているはずである。 (J)

コロサイ人への手紙 4:11 また、ユストと呼ばれているイエスからもよろしく。割礼の者の中で、この三人だけが神の国のために働く同労者であって、わたしの慰めとなった者である。 (J)

コロサイ人への手紙 4:12 あなたがたのうちのひとり、キリスト・イエスの僕エパフラスから、よろしく。彼はいつも、祈のうちであなたがたを覚え、あなたがたが全き人となり、神の御旨をことごとく確信して立つようにと、熱心に祈っている。 (J)

コロサイ人への手紙 4:13 わたしは、彼があなたがたのため、またラオデキヤとヒエラポリスの人々のために、ひじょうに心労していることを、証言する。 (J)

コロサイ人への手紙 4:14 愛する医者ルカとデマスとが、あなたがたによろしく。 (J)

コロサイ人への手紙 4:15 ラオデキヤの兄弟たちに、またヌンパとその家にある教会とに、よろしく。 (J)

コロサイ人への手紙 4:16 この手紙があなたがたの所で朗読されたら、ラオデキヤの教会でも朗読されるように、取り計らってほしい。またラオデキヤからまわって来る手紙を、あなたがたも朗読してほしい。 (J)

コロサイ人への手紙 4:17 アルキポに、「主にあって受けた務をよく果すように」と伝えてほしい。 (J)

コロサイ人への手紙 4:18 パウロ自身が、手ずからこのあいさつを書く。わたしが獄につながれていることを、覚えていてほしい。恵みが、あなたがたと共にあるように。 (J)

テサロニケ人への手紙Ⅰ 1:1 ¶ パウロとシルワノとテモテから、父なる神と主イエス・キリストとにあるテサロニケ人たちの教会へ。 恵みと平安とが、あなたがたにあるように。 (J)

テサロニケ人への手紙Ⅰ 1:2 わたしたちは祈の時にあなたがたを覚え、あなたがた一同のことを、いつも神に感謝し、 (J)

テサロニケ人への手紙Ⅰ 1:3 あなたがたの信仰の働きと、愛の労苦と、わたしたちの主イエス・キリストに対する望みの忍耐とを、わたしたちの父なる神のみまえに、絶えず思い起している。 (J)

テサロニケ人への手紙Ⅰ 1:4 神に愛されている兄弟たちよ。わたしたちは、あなたがたが神に選ばれていることを知っている。 (J)

テサロニケ人への手紙Ⅰ 1:5 なぜなら、わたしたちの福音があなたがたに伝えられたとき、それは言葉だけによらず、力と聖霊と強い確信とによったからである。わたしたちが、あなたがたの間で、みんなのためにどんなことをしたか、あなたがたの知っているとおりである。 (J)

テサロニケ人への手紙Ⅰ 1:6 そしてあなたがたは、多くの患難の中で、聖霊による喜びをもって御言を受けいれ、わたしたちと主とにならう者となり、 (J)

テサロニケ人への手紙Ⅰ 1:7 こうして、マケドニヤとアカヤとにいる信者全体の模範になった。 (J)

テサロニケ人への手紙Ⅰ 1:8 すなわち、主の言葉はあなたがたから出て、ただマケドニヤとアカヤとに響きわたっているばかりではなく、至るところで、神に対するあなたがたの信仰のことが言いひろめられたので、これについては何も述べる必要はないほどである。 (J)

テサロニケ人への手紙Ⅰ 1:9 わたしたちが、どんなにしてあなたがたの所にはいって行ったか、また、あなたがたが、どんなにして偶像を捨てて神に立ち帰り、生けるまことの神に仕えるようになり、 (J)

テサロニケ人への手紙Ⅰ 1:10 そして、死人の中からよみがえった神の御子、すなわち、わたしたちをきたるべき怒りから救い出して下さるイエスが、天から下ってこられるのを待つようになったかを、彼ら自身が言いひろめているのである。 (J)

テサロニケ人への手紙Ⅰ 2:1 兄弟たちよ。あなたがた自身が知っているとおり、わたしたちがあなたがたの所にはいって行ったことは、むだではなかった。 (J)

テサロニケ人への手紙Ⅰ 2:2 それどころか、あなたがたが知っているように、わたしたちは、先にピリピで苦しめられ、はずかしめられたにもかかわらず、わたしたちの神に勇気を与えられて、激しい苦闘のうちに神の福音をあなたがたに語ったのである。 (J)

テサロニケ人への手紙Ⅰ 2:3 いったい、わたしたちの宣教は、迷いや汚れた心から出たものでもなく、だましごとでもない。 (J)

テサロニケ人への手紙Ⅰ 2:4 かえって、わたしたちは神の信任を受けて福音を託されたので、人間に喜ばれるためではなく、わたしたちの心を見分ける神に喜ばれるように、福音を語るのである。 (J)

テサロニケ人への手紙Ⅰ 2:5 わたしたちは、あなたがたが知っているように、決してへつらいの言葉を用いたこともなく、口実を設けて、むさぼったこともない。それは、神があかしして下さる。 (J)

テサロニケ人への手紙Ⅰ 2:6 また、わたしたちは、キリストの使徒として重んじられることができたのであるが、あなたがたからにもせよ、ほかの人々からにもせよ、人間からの栄誉を求めることはしなかった。 (J)

テサロニケ人への手紙Ⅰ 2:7 むしろ、あなたがたの間で、ちょうど母がその子供を育てるように、やさしくふるまった。 (J)

テサロニケ人への手紙Ⅰ 2:8 このように、あなたがたを慕わしく思っていたので、ただ神の福音ばかりではなく、自分のいのちまでもあなたがたに与えたいと願ったほどに、あなたがたを愛したのである。 (J)

テサロニケ人への手紙Ⅰ 2:9 兄弟たちよ。あなたがたはわたしたちの労苦と努力とを記憶していることであろう。すなわち、あなたがたのだれにも負担をかけまいと思って、日夜はたらきながら、あなたがたに神の福音を宣べ伝えた。 (J)

テサロニケ人への手紙Ⅰ 2:10 あなたがたもあかしし、神もあかしして下さるように、わたしたちはあなたがた信者の前で、信心深く、正しく、責められるところがないように、生活をしたのである。 (J)

テサロニケ人への手紙Ⅰ 2:11 そして、あなたがたも知っているとおり、父がその子に対してするように、あなたがたのひとりびとりに対して、 (J)

テサロニケ人への手紙Ⅰ 2:12 御国とその栄光とに召して下さった神のみこころにかなって歩くようにと、勧め、励まし、また、さとしたのである。 (J)

テサロニケ人への手紙Ⅰ 2:13 これらのことを考えて、わたしたちがまた絶えず神に感謝しているのは、あなたがたがわたしたちの説いた神の言を聞いた時に、それを人間の言葉としてではなく、神の言として――事実そのとおりであるが――受けいれてくれたことである。そして、この神の言は、信じるあなたがたのうちに働いているのである。 (J)

テサロニケ人への手紙Ⅰ 2:14 兄弟たちよ。あなたがたは、ユダヤの、キリスト・イエスにある神の諸教会にならう者となった。すなわち、彼らがユダヤ人たちから苦しめられたと同じように、あなたがたもまた同国人から苦しめられた。 (J)

テサロニケ人への手紙Ⅰ 2:15 ユダヤ人たちは主イエスと預言者たちとを殺し、わたしたちを迫害し、神を喜ばせず、すべての人に逆らい、 (J)

テサロニケ人への手紙Ⅰ 2:16 わたしたちが異邦人に救の言を語るのを妨げて、絶えず自分の罪を満たしている。そこで、神の怒りは最も激しく彼らに臨むに至ったのである。 (J)

テサロニケ人への手紙Ⅰ 2:17 兄弟たちよ。わたしたちは、しばらくの間、あなたがたから引き離されていたので――心においてではなく、からだだけではあるが――なおさら、あなたがたの顔を見たいと切にこいねがった。 (J)

テサロニケ人への手紙Ⅰ 2:18 だから、わたしたちは、あなたがたの所に行こうとした。ことに、このパウロは、一再ならず行こうとしたのである。それだのに、わたしたちはサタンに妨げられた。 (J)

テサロニケ人への手紙Ⅰ 2:19 実際、わたしたちの主イエスの来臨にあたって、わたしたちの望みと喜びと誇の冠となるべき者は、あなたがたを外にして、だれがあるだろうか。 (J)

テサロニケ人への手紙Ⅰ 2:20 あなたがたこそ、実にわたしたちのほまれであり、喜びである。 (J)

テサロニケ人への手紙Ⅰ 3:1 そこで、わたしたちはこれ以上耐えられなくなって、わたしたちだけがアテネに留まることに定め、 (J)

テサロニケ人への手紙Ⅰ 3:2 わたしたちの兄弟で、キリストの福音における神の同労者テモテをつかわした。それは、あなたがたの信仰を強め、 (J)

テサロニケ人への手紙Ⅰ 3:3 このような患難の中にあって、動揺する者がひとりもないように励ますためであった。あなたがたの知っているとおり、わたしたちは患難に会うように定められているのである。 (J)

テサロニケ人への手紙Ⅰ 3:4 そして、あなたがたの所にいたとき、わたしたちがやがて患難に会うことをあらかじめ言っておいたが、あなたがたの知っているように、今そのとおりになったのである。 (J)

テサロニケ人への手紙Ⅰ 3:5 そこで、わたしはこれ以上耐えられなくなって、もしや「試みる者」があなたがたを試み、そのためにわたしたちの労苦がむだになりはしないかと気づかって、あなたがたの信仰を知るために、彼をつかわしたのである。 (J)

テサロニケ人への手紙Ⅰ 3:6 ところが今テモテが、あなたがたの所からわたしたちのもとに帰ってきて、あなたがたの信仰と愛とについて知らせ、また、あなたがたがいつもわたしたちのことを覚え、わたしたちがあなたがたに会いたく思っていると同じように、わたしたちにしきりに会いたがっているという吉報をもたらした。 (J)

テサロニケ人への手紙Ⅰ 3:7 兄弟たちよ。それによって、わたしたちはあらゆる苦難と患難との中にありながら、あなたがたの信仰によって慰められた。 (J)

テサロニケ人への手紙Ⅰ 3:8 なぜなら、あなたがたが主にあって堅く立ってくれるなら、わたしたちはいま生きることになるからである。 (J)

テサロニケ人への手紙Ⅰ 3:9 ほんとうに、わたしたちの神のみまえで、あなたがたのことで喜ぶ大きな喜びのために、どんな感謝を神にささげたらよいだろうか。 (J)

テサロニケ人への手紙Ⅰ 3:10 わたしたちは、あなたがたの顔を見、あなたがたの信仰の足りないところを補いたいと、日夜しきりに願っているのである。 (J)

テサロニケ人への手紙Ⅰ 3:11 どうか、わたしたちの父なる神ご自身と、わたしたちの主イエスとが、あなたがたのところへ行く道を、わたしたちに開いて下さるように。 (J)

テサロニケ人への手紙Ⅰ 3:12 どうか、主が、あなたがた相互の愛とすべての人に対する愛とを、わたしたちがあなたがたを愛する愛と同じように、増し加えて豊かにして下さるように。 (J)

テサロニケ人への手紙Ⅰ 3:13 そして、どうか、わたしたちの主イエスが、そのすべての聖なる者と共にこられる時、神のみまえに、あなたがたの心を強め、清く、責められるところのない者にして下さるように。 (J)

テサロニケ人への手紙Ⅰ 4:1 最後に、兄弟たちよ。わたしたちは主イエスにあってあなたがたに願いかつ勧める。あなたがたが、どのように歩いて神を喜ばすべきかをわたしたちから学んだように、また、いま歩いているとおりに、ますます歩き続けなさい。 (J)

テサロニケ人への手紙Ⅰ 4:2 わたしたちがどういう教を主イエスによって与えたか、あなたがたはよく知っている。 (J)

テサロニケ人への手紙Ⅰ 4:3 神のみこころは、あなたがたが清くなることである。すなわち、不品行を慎み、 (J)

テサロニケ人への手紙Ⅰ 4:4 各自、気をつけて自分のからだを清く尊く保ち、 (J)

テサロニケ人への手紙Ⅰ 4:5 神を知らない異邦人のように情欲をほしいままにせず、 (J)

テサロニケ人への手紙Ⅰ 4:6 また、このようなことで兄弟を踏みつけたり、だましたりしてはならない。前にもあなたがたにきびしく警告しておいたように、主はこれらすべてのことについて、報いをなさるからである。 (J)

テサロニケ人への手紙Ⅰ 4:7 神がわたしたちを召されたのは、汚れたことをするためではなく、清くなるためである。 (J)

テサロニケ人への手紙Ⅰ 4:8 こういうわけであるから、これらの警告を拒む者は、人を拒むのではなく、聖霊をあなたがたの心に賜わる神を拒むのである。 (J)

テサロニケ人への手紙Ⅰ 4:9 兄弟愛については、今さら書きおくる必要はない。あなたがたは、互に愛し合うように神に直接教えられており、 (J)

テサロニケ人への手紙Ⅰ 4:10 また、事実マケドニヤ全土にいるすべての兄弟に対して、それを実行しているのだから。しかし、兄弟たちよ。あなたがたに勧める。ますます、そうしてほしい。 (J)

テサロニケ人への手紙Ⅰ 4:11 そして、あなたがたに命じておいたように、つとめて落ち着いた生活をし、自分の仕事に身をいれ、手ずから働きなさい。 (J)

テサロニケ人への手紙Ⅰ 4:12 そうすれば、外部の人々に対して品位を保ち、まただれの世話にもならずに、生活できるであろう。 (J)

テサロニケ人への手紙Ⅰ 4:13 兄弟たちよ。眠っている人々については、無知でいてもらいたくない。望みを持たない外の人々のように、あなたがたが悲しむことのないためである。 (J)

テサロニケ人への手紙Ⅰ 4:14 わたしたちが信じているように、イエスが死んで復活されたからには、同様に神はイエスにあって眠っている人々をも、イエスと一緒に導き出して下さるであろう。 (J)

テサロニケ人への手紙Ⅰ 4:15 わたしたちは主の言葉によって言うが、生きながらえて主の来臨の時まで残るわたしたちが、眠った人々より先になることは、決してないであろう。 (J)

テサロニケ人への手紙Ⅰ 4:16 すなわち、主ご自身が天使のかしらの声と神のラッパの鳴り響くうちに、合図の声で、天から下ってこられる。その時、キリストにあって死んだ人々が、まず最初によみがえり、 (J)

テサロニケ人への手紙Ⅰ 4:17 それから生き残っているわたしたちが、彼らと共に雲に包まれて引き上げられ、空中で主に会い、こうして、いつも主と共にいるであろう。 (J)

テサロニケ人への手紙Ⅰ 4:18 だから、あなたがたは、これらの言葉をもって互に慰め合いなさい。 (J)

テサロニケ人への手紙Ⅰ 5:1 兄弟たちよ。その時期と場合とについては、書きおくる必要はない。 (J)

テサロニケ人への手紙Ⅰ 5:2 あなたがた自身がよく知っているとおり、主の日は盗人が夜くるように来る。 (J)

テサロニケ人への手紙Ⅰ 5:3 人々が平和だ無事だと言っているその矢先に、ちょうど妊婦に産みの苦しみが臨むように、突如として滅びが彼らをおそって来る。そして、それからのがれることは決してできない。 (J)

テサロニケ人への手紙Ⅰ 5:4 しかし兄弟たちよ。あなたがたは暗やみの中にいないのだから、その日が、盗人のようにあなたがたを不意に襲うことはないであろう。 (J)

テサロニケ人への手紙Ⅰ 5:5 あなたがたはみな光の子であり、昼の子なのである。わたしたちは、夜の者でもやみの者でもない。 (J)

テサロニケ人への手紙Ⅰ 5:6 だから、ほかの人々のように眠っていないで、目をさまして慎んでいよう。 (J)

テサロニケ人への手紙Ⅰ 5:7 眠る者は夜眠り、酔う者は夜酔うのである。 (J)

テサロニケ人への手紙Ⅰ 5:8 しかし、わたしたちは昼の者なのだから、信仰と愛との胸当を身につけ、救の望みのかぶとをかぶって、慎んでいよう。 (J)

テサロニケ人への手紙Ⅰ 5:9 神は、わたしたちを怒りにあわせるように定められたのではなく、わたしたちの主イエス・キリストによって救を得るように定められたのである。 (J)

テサロニケ人への手紙Ⅰ 5:10 キリストがわたしたちのために死なれたのは、さめていても眠っていても、わたしたちが主と共に生きるためである。 (J)

テサロニケ人への手紙Ⅰ 5:11 だから、あなたがたは、今しているように、互に慰め合い、相互の徳を高めなさい。 (J)

テサロニケ人への手紙Ⅰ 5:12 兄弟たちよ。わたしたちはお願いする。どうか、あなたがたの間で労し、主にあってあなたがたを指導し、かつ訓戒している人々を重んじ、 (J)

テサロニケ人への手紙Ⅰ 5:13 彼らの働きを思って、特に愛し敬いなさい。互に平和に過ごしなさい。 (J)

テサロニケ人への手紙Ⅰ 5:14 兄弟たちよ。あなたがたにお勧めする。怠惰な者を戒め、小心な者を励まし、弱い者を助け、すべての人に対して寛容でありなさい。 (J)

テサロニケ人への手紙Ⅰ 5:15 だれも悪をもって悪に報いないように心がけ、お互に、またみんなに対して、いつも善を追い求めなさい。 (J)

テサロニケ人への手紙Ⅰ 5:16 いつも喜んでいなさい。 (J)

テサロニケ人への手紙Ⅰ 5:17 絶えず祈りなさい。 (J)

テサロニケ人への手紙Ⅰ 5:18 すべての事について、感謝しなさい。これが、キリスト・イエスにあって、神があなたがたに求めておられることである。 (J)

テサロニケ人への手紙Ⅰ 5:19 御霊を消してはいけない。 (J)

テサロニケ人への手紙Ⅰ 5:20 預言を軽んじてはならない。 (J)

テサロニケ人への手紙Ⅰ 5:21 すべてのものを識別して、良いものを守り、 (J)

テサロニケ人への手紙Ⅰ 5:22 あらゆる種類の悪から遠ざかりなさい。 (J)

テサロニケ人への手紙Ⅰ 5:23 どうか、平和の神ご自身が、あなたがたを全くきよめて下さるように。また、あなたがたの霊と心とからだとを完全に守って、わたしたちの主イエス・キリストの来臨のときに、責められるところのない者にして下さるように。 (J)

テサロニケ人への手紙Ⅰ 5:24 あなたがたを召されたかたは真実であられるから、このことをして下さるであろう。 (J)

テサロニケ人への手紙Ⅰ 5:25 兄弟たちよ。わたしたちのためにも、祈ってほしい。 (J)

テサロニケ人への手紙Ⅰ 5:26 すべての兄弟たちに、きよい接吻をもって、よろしく伝えてほしい。 (J)

テサロニケ人への手紙Ⅰ 5:27 わたしは主によって命じる。この手紙を、みんなの兄弟に読み聞かせなさい。 (J)

テサロニケ人への手紙Ⅰ 5:28 わたしたちの主イエス・キリストの恵みが、あなたがたと共にあるように。 (J)

テサロニケ人への手紙Ⅱ 1:1 ¶ パウロとシルワノとテモテから、わたしたちの父なる神と主イエス・キリストとにあるテサロニケ人たちの教会へ。 (J)

テサロニケ人への手紙Ⅱ 1:2 父なる神と主イエス・キリストから、恵みと平安とが、あなたがたにあるように。 (J)

テサロニケ人への手紙Ⅱ 1:3 兄弟たちよ。わたしたちは、いつもあなたがたのことを神に感謝せずにはおられない。またそうするのが当然である。それは、あなたがたの信仰が大いに成長し、あなたがたひとりびとりの愛が、お互の間に増し加わっているからである。 (J)

テサロニケ人への手紙Ⅱ 1:4 そのために、わたしたち自身は、あなたがたがいま受けているあらゆる迫害と患難とのただ中で示している忍耐と信仰とにつき、神の諸教会に対してあなたがたを誇としている。 (J)

テサロニケ人への手紙Ⅱ 1:5 これは、あなたがたを、神の国にふさわしい者にしようとする神のさばきが正しいことを、証拠だてるものである。その神の国のために、あなたがたも苦しんでいるのである。 (J)

テサロニケ人への手紙Ⅱ 1:6 すなわち、あなたがたを悩ます者には患難をもって報い、悩まされているあなたがたには、わたしたちと共に、休息をもって報いて下さるのが、神にとって正しいことだからである。 (J)

テサロニケ人への手紙Ⅱ 1:7 それは、主イエスが炎の中で力ある天使たちを率いて天から現れる時に実現する。 (J)

テサロニケ人への手紙Ⅱ 1:8 その時、主は神を認めない者たちや、わたしたちの主イエスの福音に聞き従わない者たちに報復し、 (J)

テサロニケ人への手紙Ⅱ 1:9 そして、彼らは主のみ顔とその力の栄光から退けられて、永遠の滅びに至る刑罰を受けるであろう。 (J)

テサロニケ人への手紙Ⅱ 1:10 その日に、イエスは下ってこられ、聖徒たちの中であがめられ、すべて信じる者たちの間で驚嘆されるであろう――わたしたちのこのあかしは、あなたがたによって信じられているのである。 (J)

テサロニケ人への手紙Ⅱ 1:11 このためにまた、わたしたちは、わたしたちの神があなたがたを召しにかなう者となし、善に対するあらゆる願いと信仰の働きとを力強く満たして下さるようにと、あなたがたのために絶えず祈っている。 (J)

テサロニケ人への手紙Ⅱ 1:12 それは、わたしたちの神と主イエス・キリストとの恵みによって、わたしたちの主イエスの御名があなたがたの間であがめられ、あなたがたも主にあって栄光を受けるためである。 (J)

テサロニケ人への手紙Ⅱ 2:1 さて兄弟たちよ。わたしたちの主イエス・キリストの来臨と、わたしたちがみもとに集められることとについて、あなたがたにお願いすることがある。 (J)

テサロニケ人への手紙Ⅱ 2:2 霊により、あるいは言葉により、あるいはわたしたちから出たという手紙によって、主の日はすでにきたとふれまわる者があっても、すぐさま心を動かされたり、あわてたりしてはいけない。 (J)

テサロニケ人への手紙Ⅱ 2:3 だれがどんな事をしても、それにだまされてはならない。まず背教のことが起り、不法の者、すなわち、滅びの子が現れるにちがいない。 (J)

テサロニケ人への手紙Ⅱ 2:4 彼は、すべて神と呼ばれたり拝まれたりするものに反抗して立ち上がり、自ら神の宮に座して、自分は神だと宣言する。 (J)

テサロニケ人への手紙Ⅱ 2:5 わたしがまだあなたがたの所にいた時、これらの事をくり返して言ったのを思い出さないのか。 (J)

テサロニケ人への手紙Ⅱ 2:6 そして、あなたがたが知っているとおり、彼が自分に定められた時になってから現れるように、いま彼を阻止しているものがある。 (J)

テサロニケ人への手紙Ⅱ 2:7 不法の秘密の力が、すでに働いているのである。ただそれは、いま阻止している者が取り除かれる時までのことである。 (J)

テサロニケ人への手紙Ⅱ 2:8 その時になると、不法の者が現れる。この者を、主イエスは口の息をもって殺し、来臨の輝きによって滅ぼすであろう。 (J)

テサロニケ人への手紙Ⅱ 2:9 不法の者が来るのは、サタンの働きによるのであって、あらゆる偽りの力と、しるしと、不思議と、 (J)

テサロニケ人への手紙Ⅱ 2:10 また、あらゆる不義の惑わしとを、滅ぶべき者どもに対して行うためである。彼らが滅びるのは、自分らの救となるべき真理に対する愛を受けいれなかった報いである。 (J)

テサロニケ人への手紙Ⅱ 2:11 そこで神は、彼らが偽りを信じるように、迷わす力を送り、 (J)

テサロニケ人への手紙Ⅱ 2:12 こうして、真理を信じないで不義を喜んでいたすべての人を、さばくのである。 (J)

テサロニケ人への手紙Ⅱ 2:13 しかし、主に愛されている兄弟たちよ。わたしたちはいつもあなたがたのことを、神に感謝せずにはおられない。それは、神があなたがたを初めから選んで、御霊によるきよめと、真理に対する信仰とによって、救を得させようとし、 (J)

テサロニケ人への手紙Ⅱ 2:14 そのために、わたしたちの福音によりあなたがたを召して、わたしたちの主イエス・キリストの栄光にあずからせて下さるからである。 (J)

テサロニケ人への手紙Ⅱ 2:15 そこで、兄弟たちよ。堅く立って、わたしたちの言葉や手紙で教えられた言伝えを、しっかりと守り続けなさい。 (J)

テサロニケ人への手紙Ⅱ 2:16 どうか、わたしたちの主イエス・キリストご自身と、わたしたちを愛し、恵みをもって永遠の慰めと確かな望みとを賜わるわたしたちの父なる神とが、 (J)

テサロニケ人への手紙Ⅱ 2:17 あなたがたの心を励まし、あなたがたを強めて、すべての良いわざを行い、正しい言葉を語る者として下さるように。 (J)

テサロニケ人への手紙Ⅱ 3:1 最後に、兄弟たちよ。わたしたちのために祈ってほしい。どうか主の言葉が、あなたがたの所と同じように、ここでも早く広まり、また、あがめられるように。 (J)

テサロニケ人への手紙Ⅱ 3:2 また、どうか、わたしたちが不都合な悪人から救われるように。事実、すべての人が信仰を持っているわけではない。 (J)

テサロニケ人への手紙Ⅱ 3:3 しかし、主は真実なかたであるから、あなたがたを強め、悪しき者から守って下さるであろう。 (J)

テサロニケ人への手紙Ⅱ 3:4 わたしたちが命じる事を、あなたがたは現に実行しており、また、実行するであろうと、わたしたちは、主にあって確信している。 (J)

テサロニケ人への手紙Ⅱ 3:5 どうか、主があなたがたの心を導いて、神の愛とキリストの忍耐とを持たせて下さるように。 (J)

テサロニケ人への手紙Ⅱ 3:6 兄弟たちよ。主イエス・キリストの名によってあなたがたに命じる。怠惰な生活をして、わたしたちから受けた言伝えに従わないすべての兄弟たちから、遠ざかりなさい。 (J)

テサロニケ人への手紙Ⅱ 3:7 わたしたちに、どうならうべきであるかは、あなたがた自身が知っているはずである。あなたがたの所にいた時には、わたしたちは怠惰な生活をしなかったし、 (J)

テサロニケ人への手紙Ⅱ 3:8 人からパンをもらって食べることもしなかった。それどころか、あなたがたのだれにも負担をかけまいと、日夜、労苦し努力して働き続けた。 (J)

テサロニケ人への手紙Ⅱ 3:9 それは、わたしたちにその権利がないからではなく、ただわたしたちにあなたがたが見習うように、身をもって模範を示したのである。 (J)

テサロニケ人への手紙Ⅱ 3:10 また、あなたがたの所にいた時に、「働こうとしない者は、食べることもしてはならない」と命じておいた。 (J)

テサロニケ人への手紙Ⅱ 3:11 ところが、聞くところによると、あなたがたのうちのある者は怠惰な生活を送り、働かないで、ただいたずらに動きまわっているとのことである。 (J)

テサロニケ人への手紙Ⅱ 3:12 こうした人々に対しては、静かに働いて自分で得たパンを食べるように、主イエス・キリストによって命じまた勧める。 (J)

テサロニケ人への手紙Ⅱ 3:13 兄弟たちよ。あなたがたは、たゆまずに良い働きをしなさい。 (J)

テサロニケ人への手紙Ⅱ 3:14 もしこの手紙にしるしたわたしたちの言葉に聞き従わない人があれば、そのような人には注意をして、交際しないがよい。彼が自ら恥じるようになるためである。 (J)

テサロニケ人への手紙Ⅱ 3:15 しかし、彼を敵のように思わないで、兄弟として訓戒しなさい。 (J)

テサロニケ人への手紙Ⅱ 3:16 どうか、平和の主ご自身が、いついかなる場合にも、あなたがたに平和を与えて下さるように。主があなたがた一同と共におられるように。 (J)

テサロニケ人への手紙Ⅱ 3:17 ここでパウロ自身が、手ずからあいさつを書く。これは、わたしのどの手紙にも書く印である。わたしは、このように書く。 (J)

テサロニケ人への手紙Ⅱ 3:18 どうか、わたしたちの主イエス・キリストの恵みが、あなたがた一同と共にあるように。 (J)

テモテへの手紙Ⅰ 1:1 ¶ わたしたちの救主なる神と、わたしたちの望みであるキリスト・イエスとの任命によるキリスト・イエスの使徒パウロから、 (J)

テモテへの手紙Ⅰ 1:2 信仰によるわたしの真実な子テモテへ。 父なる神とわたしたちの主キリスト・イエスから、恵みとあわれみと平安とが、あなたにあるように。 (J)

テモテへの手紙Ⅰ 1:3 わたしがマケドニヤに向かって出発する際、頼んでおいたように、あなたはエペソにとどまっていて、ある人々に、違った教を説くことをせず、 (J)

テモテへの手紙Ⅰ 1:4 作り話やはてしのない系図などに気をとられることもないように、命じなさい。そのようなことは信仰による神の務を果すものではなく、むしろ論議を引き起させるだけのものである。 (J)

テモテへの手紙Ⅰ 1:5 わたしのこの命令は、清い心と正しい良心と偽りのない信仰とから出てくる愛を目標としている。 (J)

テモテへの手紙Ⅰ 1:6 ある人々はこれらのものからそれて空論に走り、 (J)

テモテへの手紙Ⅰ 1:7 律法の教師たることを志していながら、自分の言っていることも主張していることも、わからないでいる。 (J)

テモテへの手紙Ⅰ 1:8 わたしたちが知っているとおり、律法なるものは、法に従って用いるなら、良いものである。 (J)

テモテへの手紙Ⅰ 1:9 すなわち、律法は正しい人のために定められたのではなく、不法な者と法に服さない者、不信心な者と罪ある者、神聖を汚す者と俗悪な者、父を殺す者と母を殺す者、人を殺す者、 (J)

テモテへの手紙Ⅰ 1:10 不品行な者、男色をする者、誘かいする者、偽る者、偽り誓う者、そのほか健全な教にもとることがあれば、そのために定められていることを認むべきである。 (J)

テモテへの手紙Ⅰ 1:11 これは、祝福に満ちた神の栄光の福音が示すところであって、わたしはこの福音をゆだねられているのである。 (J)

テモテへの手紙Ⅰ 1:12 わたしは、自分を強くして下さったわたしたちの主キリスト・イエスに感謝する。主はわたしを忠実な者と見て、この務に任じて下さったのである。 (J)

テモテへの手紙Ⅰ 1:13 わたしは以前には、神をそしる者、迫害する者、不遜な者であった。しかしわたしは、これらの事を、信仰がなかったとき、無知なためにしたのだから、あわれみをこうむったのである。 (J)

テモテへの手紙Ⅰ 1:14 その上、わたしたちの主の恵みが、キリスト・イエスにある信仰と愛とに伴い、ますます増し加わってきた。 (J)

テモテへの手紙Ⅰ 1:15 「キリスト・イエスは、罪人を救うためにこの世にきて下さった」という言葉は、確実で、そのまま受けいれるに足るものである。わたしは、その罪人のかしらなのである。 (J)

テモテへの手紙Ⅰ 1:16 しかし、わたしがあわれみをこうむったのは、キリスト・イエスが、まずわたしに対して限りない寛容を示し、そして、わたしが今後、彼を信じて永遠のいのちを受ける者の模範となるためである。 (J)

テモテへの手紙Ⅰ 1:17 世々の支配者、不朽にして見えざる唯一の神に、世々限りなく、ほまれと栄光とがあるように、アァメン。 (J)

テモテへの手紙Ⅰ 1:18 わたしの子テモテよ。以前あなたに対してなされた数々の預言の言葉に従って、この命令を与える。あなたは、これらの言葉に励まされて、信仰と正しい良心とを保ちながら、りっぱに戦いぬきなさい。 (J)

テモテへの手紙Ⅰ 1:19 ある人々は、正しい良心を捨てたため、信仰の破船に会った。 (J)

テモテへの手紙Ⅰ 1:20 その中に、ヒメナオとアレキサンデルとがいる。わたしは、神を汚さないことを学ばせるため、このふたりをサタンの手に渡したのである。 (J)

テモテへの手紙Ⅰ 2:1 そこで、まず第一に勧める。すべての人のために、王たちと上に立っているすべての人々のために、願いと、祈と、とりなしと、感謝とをささげなさい。 (J)

テモテへの手紙Ⅰ 2:2 それはわたしたちが、安らかで静かな一生を、真に信心深くまた謹厳に過ごすためである。 (J)

テモテへの手紙Ⅰ 2:3 これは、わたしたちの救主である神のみまえに良いことであり、また、みこころにかなうことである。 (J)

テモテへの手紙Ⅰ 2:4 神は、すべての人が救われて、真理を悟るに至ることを望んでおられる。 (J)

テモテへの手紙Ⅰ 2:5 神は唯一であり、神と人との間の仲保者もただひとりであって、それは人なるキリスト・イエスである。 (J)

テモテへの手紙Ⅰ 2:6 彼は、すべての人のあがないとしてご自身をささげられたが、それは、定められた時になされたあかしにほかならない。 (J)

テモテへの手紙Ⅰ 2:7 そのために、わたしは立てられて宣教者、使徒となり(わたしは真実を言っている、偽ってはいない)、また異邦人に信仰と真理とを教える教師となったのである。 (J)

テモテへの手紙Ⅰ 2:8 男は、怒ったり争ったりしないで、どんな場所でも、きよい手をあげて祈ってほしい。 (J)

テモテへの手紙Ⅰ 2:9 また、女はつつましい身なりをし、適度に慎み深く身を飾るべきであって、髪を編んだり、金や真珠をつけたり、高価な着物を着たりしてはいけない。 (J)

テモテへの手紙Ⅰ 2:10 むしろ、良いわざをもって飾りとすることが、信仰を言いあらわしている女に似つかわしい。 (J)

テモテへの手紙Ⅰ 2:11 女は静かにしていて、万事につけ従順に教を学ぶがよい。 (J)

テモテへの手紙Ⅰ 2:12 女が教えたり、男の上に立ったりすることを、わたしは許さない。むしろ、静かにしているべきである。 (J)

テモテへの手紙Ⅰ 2:13 なぜなら、アダムがさきに造られ、それからエバが造られたからである。 (J)

テモテへの手紙Ⅰ 2:14 またアダムは惑わされなかったが、女は惑わされて、あやまちを犯した。 (J)

テモテへの手紙Ⅰ 2:15 しかし、女が慎み深く、信仰と愛と清さとを持ち続けるなら、子を産むことによって救われるであろう。 (J)

テモテへの手紙Ⅰ 3:1 「もし人が監督の職を望むなら、それは良い仕事を願うことである」とは正しい言葉である。 (J)

テモテへの手紙Ⅰ 3:2 さて、監督は、非難のない人で、ひとりの妻の夫であり、自らを制し、慎み深く、礼儀正しく、旅人をもてなし、よく教えることができ、 (J)

テモテへの手紙Ⅰ 3:3 酒を好まず、乱暴でなく、寛容であって、人と争わず、金に淡泊で、 (J)

テモテへの手紙Ⅰ 3:4 自分の家をよく治め、謹厳であって、子供たちを従順な者に育てている人でなければならない。 (J)

テモテへの手紙Ⅰ 3:5 自分の家を治めることも心得ていない人が、どうして神の教会を預かることができようか。 (J)

テモテへの手紙Ⅰ 3:6 彼はまた、信者になって間もないものであってはならない。そうであると、高慢になって、悪魔と同じ審判を受けるかも知れない。 (J)

テモテへの手紙Ⅰ 3:7 さらにまた、教会外の人々にもよく思われている人でなければならない。そうでないと、そしりを受け、悪魔のわなにかかるであろう。 (J)

テモテへの手紙Ⅰ 3:8 それと同様に、執事も謹厳であって、二枚舌を使わず、大酒を飲まず、利をむさぼらず、 (J)

テモテへの手紙Ⅰ 3:9 きよい良心をもって、信仰の奥義を保っていなければならない。 (J)

テモテへの手紙Ⅰ 3:10 彼らはまず調べられて、不都合なことがなかったなら、それから執事の職につかすべきである。 (J)

テモテへの手紙Ⅰ 3:11 女たちも、同様に謹厳で、他人をそしらず、自らを制し、すべてのことに忠実でなければならない。 (J)

テモテへの手紙Ⅰ 3:12 執事はひとりの妻の夫であって、子供と自分の家とをよく治める者でなければならない。 (J)

テモテへの手紙Ⅰ 3:13 執事の職をよくつとめた者は、良い地位を得、さらにキリスト・イエスを信じる信仰による、大いなる確信を得るであろう。 (J)

テモテへの手紙Ⅰ 3:14 わたしは、あなたの所にすぐ行きたいと望みながら、この手紙を書いている。 (J)

テモテへの手紙Ⅰ 3:15 万一わたしが遅れる場合には、神の家でいかに生活すべきかを、あなたに知ってもらいたいからである。神の家というのは、生ける神の教会のことであって、それは真理の柱、真理の基礎なのである。 (J)

テモテへの手紙Ⅰ 3:16 確かに偉大なのは、この信心の奥義である、 「キリストは肉において現れ、 霊において義とせられ、 御使たちに見られ、 諸国民の間に伝えられ、 世界の中で信じられ、 栄光のうちに天に上げられた」。 (J)

テモテへの手紙Ⅰ 4:1 しかし、御霊は明らかに告げて言う。後の時になると、ある人々は、惑わす霊と悪霊の教とに気をとられて、信仰から離れ去るであろう。 (J)

テモテへの手紙Ⅰ 4:2 それは、良心に焼き印をおされている偽り者の偽善のしわざである。 (J)

テモテへの手紙Ⅰ 4:3 これらの偽り者どもは、結婚を禁じたり、食物を断つことを命じたりする。しかし食物は、信仰があり真理を認める者が、感謝して受けるようにと、神の造られたものである。 (J)

テモテへの手紙Ⅰ 4:4 神の造られたものは、みな良いものであって、感謝して受けるなら、何ひとつ捨てるべきものはない。 (J)

テモテへの手紙Ⅰ 4:5 それらは、神の言と祈とによって、きよめられるからである。 (J)

テモテへの手紙Ⅰ 4:6 これらのことを兄弟たちに教えるなら、あなたは、信仰の言葉とあなたの従ってきた良い教の言葉とに養われて、キリスト・イエスのよい奉仕者になるであろう。 (J)

テモテへの手紙Ⅰ 4:7 しかし、俗悪で愚にもつかない作り話は避けなさい。信心のために自分を訓練しなさい。 (J)

テモテへの手紙Ⅰ 4:8 からだの訓練は少しは益するところがあるが、信心は、今のいのちと後の世のいのちとが約束されてあるので、万事に益となる。 (J)

テモテへの手紙Ⅰ 4:9 これは確実で、そのまま受けいれるに足る言葉である。 (J)

テモテへの手紙Ⅰ 4:10 わたしたちは、このために労し苦しんでいる。それは、すべての人の救主、特に信じる者たちの救主なる生ける神に、望みを置いてきたからである。 (J)

テモテへの手紙Ⅰ 4:11 これらの事を命じ、また教えなさい。 (J)

テモテへの手紙Ⅰ 4:12 あなたは、年が若いために人に軽んじられてはならない。むしろ、言葉にも、行状にも、愛にも、信仰にも、純潔にも、信者の模範になりなさい。 (J)

テモテへの手紙Ⅰ 4:13 わたしがそちらに行く時まで、聖書を朗読することと、勧めをすることと、教えることとに心を用いなさい。 (J)

テモテへの手紙Ⅰ 4:14 長老の按手を受けた時、預言によってあなたに与えられて内に持っている恵みの賜物を、軽視してはならない。 (J)

テモテへの手紙Ⅰ 4:15 すべての事にあなたの進歩があらわれるため、これらの事を実行し、それを励みなさい。 (J)

テモテへの手紙Ⅰ 4:16 自分のことと教のこととに気をつけ、それらを常に努めなさい。そうすれば、あなたは、自分自身とあなたの教を聞く者たちとを、救うことになる。 (J)

テモテへの手紙Ⅰ 5:1 老人をとがめてはいけない。むしろ父親に対するように、話してあげなさい。若い男には兄弟に対するように、 (J)

テモテへの手紙Ⅰ 5:2 年とった女には母親に対するように、若い女には、真に純潔な思いをもって、姉妹に対するように、勧告しなさい。 (J)

テモテへの手紙Ⅰ 5:3 やもめについては、真にたよりのないやもめたちを、よくしてあげなさい。 (J)

テモテへの手紙Ⅰ 5:4 やもめに子か孫かがある場合には、これらの者に、まず自分の家で孝養をつくし、親の恩に報いることを学ばせるべきである。それが、神のみこころにかなうことなのである。 (J)

テモテへの手紙Ⅰ 5:5 真にたよりのない、ひとり暮しのやもめは、望みを神において、日夜、たえず願いと祈とに専心するが、 (J)

テモテへの手紙Ⅰ 5:6 これに反して、みだらな生活をしているやもめは、生けるしかばねにすぎない。 (J)

テモテへの手紙Ⅰ 5:7 これらのことを命じて、彼女たちを非難のない者としなさい。 (J)

テモテへの手紙Ⅰ 5:8 もしある人が、その親族を、ことに自分の家族をかえりみない場合には、その信仰を捨てたことになるのであって、不信者以上にわるい。 (J)

テモテへの手紙Ⅰ 5:9 やもめとして登録さるべき者は、六十歳以下のものではなくて、ひとりの夫の妻であった者、 (J)

テモテへの手紙Ⅰ 5:10 また子女をよく養育し、旅人をもてなし、聖徒の足を洗い、困っている人を助け、種々の善行に努めるなど、そのよいわざでひろく認められている者でなければならない。 (J)

テモテへの手紙Ⅰ 5:11 若いやもめは除外すべきである。彼女たちがキリストにそむいて気ままになると、結婚をしたがるようになり、 (J)

テモテへの手紙Ⅰ 5:12 初めの誓いを無視したという非難を受けねばならないからである。 (J)

テモテへの手紙Ⅰ 5:13 その上、彼女たちはなまけていて、家々を遊び歩くことをおぼえ、なまけるばかりか、むだごとをしゃべって、いたずらに動きまわり、口にしてはならないことを言う。 (J)

テモテへの手紙Ⅰ 5:14 そういうわけだから、若いやもめは結婚して子を産み、家をおさめ、そして、反対者にそしられるすきを作らないようにしてほしい。 (J)

テモテへの手紙Ⅰ 5:15 彼女たちのうちには、サタンのあとを追って道を踏みはずした者もある。 (J)

テモテへの手紙Ⅰ 5:16 女の信者が家にやもめを持っている場合には、自分でそのやもめの世話をしてあげなさい。教会のやっかいになってはいけない。教会は、真にたよりのないやもめの世話をしなければならない。 (J)

テモテへの手紙Ⅰ 5:17 よい指導をしている長老、特に宣教と教とのために労している長老は、二倍の尊敬を受けるにふさわしい者である。 (J)

テモテへの手紙Ⅰ 5:18 聖書は、「穀物をこなしている牛に、くつこをかけてはならない」また「働き人がその報酬を受けるのは当然である」と言っている。 (J)

テモテへの手紙Ⅰ 5:19 長老に対する訴訟は、ふたりか三人の証人がない場合には、受理してはならない。 (J)

テモテへの手紙Ⅰ 5:20 罪を犯した者に対しては、ほかの人々も恐れをいだくに至るために、すべての人の前でその罪をとがむべきである。 (J)

テモテへの手紙Ⅰ 5:21 わたしは、神とキリスト・イエスと選ばれた御使たちとの前で、おごそかにあなたに命じる。これらのことを偏見なしに守り、何事についても、不公平な仕方をしてはならない。 (J)

テモテへの手紙Ⅰ 5:22 軽々しく人に手をおいてはならない。また、ほかの人の罪に加わってはいけない。自分をきよく守りなさい。 (J)

テモテへの手紙Ⅰ 5:23 (これからは、水ばかりを飲まないで、胃のため、また、たびたびのいたみを和らげるために、少量のぶどう酒を用いなさい。) (J)

テモテへの手紙Ⅰ 5:24 ある人の罪は明白であって、すぐ裁判にかけられるが、ほかの人の罪は、あとになってわかって来る。 (J)

テモテへの手紙Ⅰ 5:25 それと同じく、良いわざもすぐ明らかになり、そうならない場合でも、隠れていることはあり得ない。 (J)

テモテへの手紙Ⅰ 6:1 くびきの下にある奴隷はすべて、自分の主人を、真に尊敬すべき者として仰ぐべきである。それは、神の御名と教とが、そしりを受けないためである。 (J)

テモテへの手紙Ⅰ 6:2 信者である主人を持っている者たちは、その主人が兄弟であるというので軽視してはならない。むしろ、ますます励んで仕えるべきである。その益を受ける主人は、信者であり愛されている人だからである。 あなたは、これらの事を教えかつ勧めなさい。 (J)

テモテへの手紙Ⅰ 6:3 もし違ったことを教えて、わたしたちの主イエス・キリストの健全な言葉、ならびに信心にかなう教に同意しないような者があれば、 (J)

テモテへの手紙Ⅰ 6:4 彼は高慢であって、何も知らず、ただ論議と言葉の争いとに病みついている者である。そこから、ねたみ、争い、そしり、さいぎの心が生じ、 (J)

テモテへの手紙Ⅰ 6:5 また知性が腐って、真理にそむき、信心を利得と心得る者どもの間に、はてしのないいがみ合いが起るのである。 (J)

テモテへの手紙Ⅰ 6:6 しかし、信心があって足ることを知るのは、大きな利得である。 (J)

テモテへの手紙Ⅰ 6:7 わたしたちは、何ひとつ持たないでこの世にきた。また、何ひとつ持たないでこの世を去って行く。 (J)

テモテへの手紙Ⅰ 6:8 ただ衣食があれば、それで足れりとすべきである。 (J)

テモテへの手紙Ⅰ 6:9 富むことを願い求める者は、誘惑と、わなとに陥り、また、人を滅びと破壊とに沈ませる、無分別な恐ろしいさまざまの情欲に陥るのである。 (J)

テモテへの手紙Ⅰ 6:10 金銭を愛することは、すべての悪の根である。ある人々は欲ばって金銭を求めたため、信仰から迷い出て、多くの苦痛をもって自分自身を刺しとおした。 (J)

テモテへの手紙Ⅰ 6:11 しかし、神の人よ。あなたはこれらの事を避けなさい。そして、義と信心と信仰と愛と忍耐と柔和とを追い求めなさい。 (J)

テモテへの手紙Ⅰ 6:12 信仰の戦いをりっぱに戦いぬいて、永遠のいのちを獲得しなさい。あなたは、そのために召され、多くの証人の前で、りっぱなあかしをしたのである。 (J)

テモテへの手紙Ⅰ 6:13 わたしはすべてのものを生かして下さる神のみまえと、またポンテオ・ピラトの面前でりっぱなあかしをなさったキリスト・イエスのみまえで、あなたに命じる。 (J)

テモテへの手紙Ⅰ 6:14 わたしたちの主イエス・キリストの出現まで、その戒めを汚すことがなく、また、それを非難のないように守りなさい。 (J)

テモテへの手紙Ⅰ 6:15 時がくれば、祝福に満ちた、ただひとりの力あるかた、もろもろの王の王、もろもろの主の主が、キリストを出現させて下さるであろう。 (J)

テモテへの手紙Ⅰ 6:16 神はただひとり不死を保ち、近づきがたい光の中に住み、人間の中でだれも見た者がなく、見ることもできないかたである。ほまれと永遠の支配とが、神にあるように、アァメン。 (J)

テモテへの手紙Ⅰ 6:17 この世で富んでいる者たちに、命じなさい。高慢にならず、たよりにならない富に望みをおかず、むしろ、わたしたちにすべての物を豊かに備えて楽しませて下さる神に、のぞみをおくように、 (J)

テモテへの手紙Ⅰ 6:18 また、良い行いをし、良いわざに富み、惜しみなく施し、人に分け与えることを喜び、 (J)

テモテへの手紙Ⅰ 6:19 こうして、真のいのちを得るために、未来に備えてよい土台を自分のために築き上げるように、命じなさい。 (J)

テモテへの手紙Ⅰ 6:20 テモテよ。あなたにゆだねられていることを守りなさい。そして、俗悪なむだ話と、偽りの「知識」による反対論とを避けなさい。 (J)

テモテへの手紙Ⅰ 6:21 ある人々はそれに熱中して、信仰からそれてしまったのである。 恵みが、あなたがたと共にあるように。 (J)

テモテへの手紙Ⅱ 1:1 ¶ 神の御旨により、キリスト・イエスにあるいのちの約束によって立てられたキリスト・イエスの使徒パウロから、 (J)

テモテへの手紙Ⅱ 1:2 愛する子テモテへ。 父なる神とわたしたちの主キリスト・イエスから、恵みとあわれみと平安とが、あなたにあるように。 (J)

テモテへの手紙Ⅱ 1:3 わたしは、日夜、祈の中で、絶えずあなたのことを思い出しては、きよい良心をもって先祖以来つかえている神に感謝している。 (J)

テモテへの手紙Ⅱ 1:4 わたしは、あなたの涙をおぼえており、あなたに会って喜びで満たされたいと、切に願っている。 (J)

テモテへの手紙Ⅱ 1:5 また、あなたがいだいている偽りのない信仰を思い起している。この信仰は、まずあなたの祖母ロイスとあなたの母ユニケとに宿ったものであったが、今あなたにも宿っていると、わたしは確信している。 (J)

テモテへの手紙Ⅱ 1:6 こういうわけで、あなたに注意したい。わたしの按手によって内にいただいた神の賜物を、再び燃えたたせなさい。 (J)

テモテへの手紙Ⅱ 1:7 というのは、神がわたしたちに下さったのは、臆する霊ではなく、力と愛と慎みとの霊なのである。 (J)

テモテへの手紙Ⅱ 1:8 だから、あなたは、わたしたちの主のあかしをすることや、わたしが主の囚人であることを、決して恥ずかしく思ってはならない。むしろ、神の力にささえられて、福音のために、わたしと苦しみを共にしてほしい。 (J)

テモテへの手紙Ⅱ 1:9 神はわたしたちを救い、聖なる招きをもって召して下さったのであるが、それは、わたしたちのわざによるのではなく、神ご自身の計画に基き、また、永遠の昔にキリスト・イエスにあってわたしたちに賜わっていた恵み、 (J)

テモテへの手紙Ⅱ 1:10 そして今や、わたしたちの救主キリスト・イエスの出現によって明らかにされた恵みによるのである。キリストは死を滅ぼし、福音によっていのちと不死とを明らかに示されたのである。 (J)

テモテへの手紙Ⅱ 1:11 わたしは、この福音のために立てられて、その宣教者、使徒、教師になった。 (J)

テモテへの手紙Ⅱ 1:12 そのためにまた、わたしはこのような苦しみを受けているが、それを恥としない。なぜなら、わたしは自分の信じてきたかたを知っており、またそのかたは、わたしにゆだねられているものを、かの日に至るまで守って下さることができると、確信しているからである。 (J)

テモテへの手紙Ⅱ 1:13 あなたは、キリスト・イエスに対する信仰と愛とをもって、わたしから聞いた健全な言葉を模範にしなさい。 (J)

テモテへの手紙Ⅱ 1:14 そして、あなたにゆだねられている尊いものを、わたしたちの内に宿っている聖霊によって守りなさい。 (J)

テモテへの手紙Ⅱ 1:15 あなたの知っているように、アジヤにいる者たちは、皆わたしから離れて行った。その中には、フゲロとヘルモゲネもいる。 (J)

テモテへの手紙Ⅱ 1:16 どうか、主が、オネシポロの家にあわれみをたれて下さるように。彼はたびたび、わたしを慰めてくれ、またわたしの鎖を恥とも思わないで、 (J)

テモテへの手紙Ⅱ 1:17 ローマに着いた時には、熱心にわたしを捜しまわった末、尋ね出してくれたのである。 (J)

テモテへの手紙Ⅱ 1:18 どうか、主がかの日に、あわれみを彼に賜わるように。――彼がエペソで、どれほどわたしに仕えてくれたかは、だれよりもあなたがよく知っている。 (J)

テモテへの手紙Ⅱ 2:1 そこで、わたしの子よ。あなたはキリスト・イエスにある恵みによって、強くなりなさい。 (J)

テモテへの手紙Ⅱ 2:2 そして、あなたが多くの証人の前でわたしから聞いたことを、さらにほかの者たちにも教えることのできるような忠実な人々に、ゆだねなさい。 (J)

テモテへの手紙Ⅱ 2:3 キリスト・イエスの良い兵卒として、わたしと苦しみを共にしてほしい。 (J)

テモテへの手紙Ⅱ 2:4 兵役に服している者は、日常生活の事に煩わされてはいない。ただ、兵を募った司令官を喜ばせようと努める。 (J)

テモテへの手紙Ⅱ 2:5 また、競技をするにしても、規定に従って競技をしなければ、栄冠は得られない。 (J)

テモテへの手紙Ⅱ 2:6 労苦をする農夫が、だれよりも先に、生産物の分配にあずかるべきである。 (J)

テモテへの手紙Ⅱ 2:7 わたしの言うことを、よく考えてみなさい。主は、それを十分に理解する力をあなたに賜わるであろう。 (J)

テモテへの手紙Ⅱ 2:8 ダビデの子孫として生れ、死人のうちからよみがえったイエス・キリストを、いつも思っていなさい。これがわたしの福音である。 (J)

テモテへの手紙Ⅱ 2:9 この福音のために、わたしは悪者のように苦しめられ、ついに鎖につながれるに至った。しかし、神の言はつながれてはいない。 (J)

テモテへの手紙Ⅱ 2:10 それだから、わたしは選ばれた人たちのために、いっさいのことを耐え忍ぶのである。それは、彼らもキリスト・イエスによる救を受け、また、それと共に永遠の栄光を受けるためである。 (J)

テモテへの手紙Ⅱ 2:11 次の言葉は確実である。「もしわたしたちが、彼と共に死んだなら、また彼と共に生きるであろう。 (J)

テモテへの手紙Ⅱ 2:12 もし耐え忍ぶなら、彼と共に支配者となるであろう。もし彼を否むなら、彼もわたしたちを否むであろう。 (J)

テモテへの手紙Ⅱ 2:13 たとい、わたしたちは不真実であっても、彼は常に真実である。彼は自分を偽ることが、できないのである」。 (J)

テモテへの手紙Ⅱ 2:14 あなたは、これらのことを彼らに思い出させて、なんの益もなく、聞いている人々を破滅におとしいれるだけである言葉の争いをしないように、神のみまえでおごそかに命じなさい。 (J)

テモテへの手紙Ⅱ 2:15 あなたは真理の言葉を正しく教え、恥じるところのない錬達した働き人になって、神に自分をささげるように努めはげみなさい。 (J)

テモテへの手紙Ⅱ 2:16 俗悪なむだ話を避けなさい。それによって人々は、ますます不信心に落ちていき、 (J)

テモテへの手紙Ⅱ 2:17 彼らの言葉は、がんのように腐れひろがるであろう。その中にはヒメナオとピレトとがいる。 (J)

テモテへの手紙Ⅱ 2:18 彼らは真理からはずれ、復活はすでに済んでしまったと言い、そして、ある人々の信仰をくつがえしている。 (J)

テモテへの手紙Ⅱ 2:19 しかし、神のゆるがない土台はすえられていて、それに次の句が証印として、しるされている。「主は自分の者たちを知る」。また「主の名を呼ぶ者は、すべて不義から離れよ」。 (J)

テモテへの手紙Ⅱ 2:20 大きな家には、金や銀の器ばかりではなく、木や土の器もあり、そして、あるものは尊いことに用いられ、あるものは卑しいことに用いられる。 (J)

テモテへの手紙Ⅱ 2:21 もし人が卑しいものを取り去って自分をきよめるなら、彼は尊いきよめられた器となって、主人に役立つものとなり、すべての良いわざに間に合うようになる。 (J)

テモテへの手紙Ⅱ 2:22 そこで、あなたは若い時の情欲を避けなさい。そして、きよい心をもって主を呼び求める人々と共に、義と信仰と愛と平和とを追い求めなさい。 (J)

テモテへの手紙Ⅱ 2:23 愚かで無知な論議をやめなさい。それは、あなたが知っているとおり、ただ争いに終るだけである。 (J)

テモテへの手紙Ⅱ 2:24 主の僕たる者は争ってはならない。だれに対しても親切であって、よく教え、よく忍び、 (J)

テモテへの手紙Ⅱ 2:25 反対する者を柔和な心で教え導くべきである。おそらく神は、彼らに悔改めの心を与えて、真理を知らせ、 (J)

テモテへの手紙Ⅱ 2:26 一度は悪魔に捕えられてその欲するままになっていても、目ざめて彼のわなからのがれさせて下さるであろう。 (J)

テモテへの手紙Ⅱ 3:1 しかし、このことは知っておかねばならない。終りの時には、苦難の時代が来る。 (J)

テモテへの手紙Ⅱ 3:2 その時、人々は自分を愛する者、金を愛する者、大言壮語する者、高慢な者、神をそしる者、親に逆らう者、恩を知らぬ者、神聖を汚す者、 (J)

テモテへの手紙Ⅱ 3:3 無情な者、融和しない者、そしる者、無節制な者、粗暴な者、善を好まない者、 (J)

テモテへの手紙Ⅱ 3:4 裏切り者、乱暴者、高言をする者、神よりも快楽を愛する者、 (J)

テモテへの手紙Ⅱ 3:5 信心深い様子をしながらその実を捨てる者となるであろう。こうした人々を避けなさい。 (J)

テモテへの手紙Ⅱ 3:6 彼らの中には、人の家にもぐり込み、そして、さまざまの欲に心を奪われて、多くの罪を積み重ねている愚かな女どもを、とりこにしている者がある。 (J)

テモテへの手紙Ⅱ 3:7 彼女たちは、常に学んではいるが、いつになっても真理の知識に達することができない。 (J)

テモテへの手紙Ⅱ 3:8 ちょうど、ヤンネとヤンブレとがモーセに逆らったように、こうした人々も真理に逆らうのである。彼らは知性の腐った、信仰の失格者である。 (J)

テモテへの手紙Ⅱ 3:9 しかし、彼らはそのまま進んでいけるはずがない。彼らの愚かさは、あのふたりの場合と同じように、多くの人に知れて来るであろう。 (J)

テモテへの手紙Ⅱ 3:10 しかしあなたは、わたしの教、歩み、こころざし、信仰、寛容、愛、忍耐、 (J)

テモテへの手紙Ⅱ 3:11 それから、わたしがアンテオケ、イコニオム、ルステラで受けた数々の迫害、苦難に、よくも続いてきてくれた。そのひどい迫害にわたしは耐えてきたが、主はそれらいっさいのことから、救い出して下さったのである。 (J)

テモテへの手紙Ⅱ 3:12 いったい、キリスト・イエスにあって信心深く生きようとする者は、みな、迫害を受ける。 (J)

テモテへの手紙Ⅱ 3:13 悪人と詐欺師とは人を惑わし人に惑わされて、悪から悪へと落ちていく。 (J)

テモテへの手紙Ⅱ 3:14 しかし、あなたは、自分が学んで確信しているところに、いつもとどまっていなさい。あなたは、それをだれから学んだか知っており、 (J)

テモテへの手紙Ⅱ 3:15 また幼い時から、聖書に親しみ、それが、キリスト・イエスに対する信仰によって救に至る知恵を、あなたに与えうる書物であることを知っている。 (J)

テモテへの手紙Ⅱ 3:16 聖書は、すべて神の霊感を受けて書かれたものであって、人を教え、戒め、正しくし、義に導くのに有益である。 (J)

テモテへの手紙Ⅱ 3:17 それによって、神の人が、あらゆる良いわざに対して十分な準備ができて、完全にととのえられた者になるのである。 (J)

テモテへの手紙Ⅱ 4:1 神のみまえと、生きている者と死んだ者とをさばくべきキリスト・イエスのみまえで、キリストの出現とその御国とを思い、おごそかに命じる。 (J)

テモテへの手紙Ⅱ 4:2 御言を宣べ伝えなさい。時が良くても悪くても、それを励み、あくまでも寛容な心でよく教えて、責め、戒め、勧めなさい。 (J)

テモテへの手紙Ⅱ 4:3 人々が健全な教に耐えられなくなり、耳ざわりのよい話をしてもらおうとして、自分勝手な好みにまかせて教師たちを寄せ集め、 (J)

テモテへの手紙Ⅱ 4:4 そして、真理からは耳をそむけて、作り話の方にそれていく時が来るであろう。 (J)

テモテへの手紙Ⅱ 4:5 しかし、あなたは、何事にも慎み、苦難を忍び、伝道者のわざをなし、自分の務を全うしなさい。 (J)

テモテへの手紙Ⅱ 4:6 わたしは、すでに自身を犠牲としてささげている。わたしが世を去るべき時はきた。 (J)

テモテへの手紙Ⅱ 4:7 わたしは戦いをりっぱに戦いぬき、走るべき行程を走りつくし、信仰を守りとおした。 (J)

テモテへの手紙Ⅱ 4:8 今や、義の冠がわたしを待っているばかりである。かの日には、公平な審判者である主が、それを授けて下さるであろう。わたしばかりではなく、主の出現を心から待ち望んでいたすべての人にも授けて下さるであろう。 (J)

テモテへの手紙Ⅱ 4:9 わたしの所に、急いで早くきてほしい。 (J)

テモテへの手紙Ⅱ 4:10 デマスはこの世を愛し、わたしを捨ててテサロニケに行ってしまい、クレスケンスはガラテヤに、テトスはダルマテヤに行った。 (J)

テモテへの手紙Ⅱ 4:11 ただルカだけが、わたしのもとにいる。マルコを連れて、一緒にきなさい。彼はわたしの務のために役に立つから。 (J)

テモテへの手紙Ⅱ 4:12 わたしはテキコをエペソにつかわした。 (J)

テモテへの手紙Ⅱ 4:13 あなたが来るときに、トロアスのカルポの所に残しておいた上着を持ってきてほしい。また書物も、特に、羊皮紙のを持ってきてもらいたい。 (J)

テモテへの手紙Ⅱ 4:14 銅細工人のアレキサンデルが、わたしを大いに苦しめた。主はそのしわざに対して、彼に報いなさるだろう。 (J)

テモテへの手紙Ⅱ 4:15 あなたも、彼を警戒しなさい。彼は、わたしたちの言うことに強く反対したのだから。 (J)

テモテへの手紙Ⅱ 4:16 わたしの第一回の弁明の際には、わたしに味方をする者はひとりもなく、みなわたしを捨てて行った。どうか、彼らが、そのために責められることがないように。 (J)

テモテへの手紙Ⅱ 4:17 しかし、わたしが御言を余すところなく宣べ伝えて、すべての異邦人に聞かせるように、主はわたしを助け、力づけて下さった。そして、わたしは、ししの口から救い出されたのである。 (J)

テモテへの手紙Ⅱ 4:18 主はわたしを、すべての悪のわざから助け出し、天にある御国に救い入れて下さるであろう。栄光が永遠から永遠にわたって主にあるように、アァメン。 (J)

テモテへの手紙Ⅱ 4:19 プリスカとアクラとに、またオネシポロの家に、よろしく伝えてほしい。 (J)

テモテへの手紙Ⅱ 4:20 エラストはコリントにとどまっており、トロピモは病気なので、ミレトに残してきた。 (J)

テモテへの手紙Ⅱ 4:21 冬になる前に、急いできてほしい。ユブロ、プデス、リノス、クラウデヤならびにすべての兄弟たちから、あなたによろしく。 (J)

テモテへの手紙Ⅱ 4:22 主が、あなたの霊と共にいますように。恵みが、あなたがたと共にあるように。 (J)

テトスへの手紙 1:1 ¶ 神の僕、イエス・キリストの使徒パウロから――わたしが使徒とされたのは、神に選ばれた者たちの信仰を強め、また、信心にかなう真理の知識を彼らに得させるためであり、 (J)

テトスへの手紙 1:2 偽りのない神が永遠の昔に約束された永遠のいのちの望みに基くのである。 (J)

テトスへの手紙 1:3 神は、定められた時に及んで、御言を宣教によって明らかにされたが、わたしは、わたしたちの救主なる神の任命によって、この宣教をゆだねられたのである―― (J)

テトスへの手紙 1:4 信仰を同じうするわたしの真実の子テトスへ。 父なる神とわたしたちの救主キリスト・イエスから、恵みと平安とが、あなたにあるように。 (J)

テトスへの手紙 1:5 あなたをクレテにおいてきたのは、わたしがあなたに命じておいたように、そこにし残してあることを整理してもらい、また、町々に長老を立ててもらうためにほかならない。 (J)

テトスへの手紙 1:6 長老は、責められる点がなく、ひとりの妻の夫であって、その子たちも不品行のうわさをたてられず、親不孝をしない信者でなくてはならない。 (J)

テトスへの手紙 1:7 監督たる者は、神に仕える者として、責められる点がなく、わがままでなく、軽々しく怒らず、酒を好まず、乱暴でなく、利をむさぼらず、 (J)

テトスへの手紙 1:8 かえって、旅人をもてなし、善を愛し、慎み深く、正しく、信仰深く、自制する者であり、 (J)

テトスへの手紙 1:9 教にかなった信頼すべき言葉を守る人でなければならない。それは、彼が健全な教によって人をさとし、また、反対者の誤りを指摘することができるためである。 (J)

テトスへの手紙 1:10 実は、法に服さない者、空論に走る者、人の心を惑わす者が多くおり、とくに、割礼のある者の中に多い。 (J)

テトスへの手紙 1:11 彼らの口を封ずべきである。彼らは恥ずべき利のために、教えてはならないことを教えて、数々の家庭を破壊してしまっている。 (J)

テトスへの手紙 1:12 クレテ人のうちのある預言者が 「クレテ人は、いつもうそつき、 たちの悪いけもの、 なまけ者の食いしんぼう」 と言っているが、 (J)

テトスへの手紙 1:13 この非難はあたっている。だから、彼らをきびしく責めて、その信仰を健全なものにし、 (J)

テトスへの手紙 1:14 ユダヤ人の作り話や、真理からそれていった人々の定めなどに、気をとられることがないようにさせなさい。 (J)

テトスへの手紙 1:15 きよい人には、すべてのものがきよい。しかし、汚れている不信仰な人には、きよいものは一つもなく、その知性も良心も汚れてしまっている。 (J)

テトスへの手紙 1:16 彼らは神を知っていると、口では言うが、行いではそれを否定している。彼らは忌まわしい者、また不従順な者であって、いっさいの良いわざに関しては、失格者である。 (J)

テトスへの手紙 2:1 しかし、あなたは、健全な教にかなうことを語りなさい。 (J)

テトスへの手紙 2:2 老人たちには自らを制し、謹厳で、慎み深くし、また、信仰と愛と忍耐とにおいて健全であるように勧め、 (J)

テトスへの手紙 2:3 年老いた女たちにも、同じように、たち居ふるまいをうやうやしくし、人をそしったり大酒の奴隷になったりせず、良いことを教える者となるように、勧めなさい。 (J)

テトスへの手紙 2:4 そうすれば、彼女たちは、若い女たちに、夫を愛し、子供を愛し、 (J)

テトスへの手紙 2:5 慎み深く、純潔で、家事に努め、善良で、自分の夫に従順であるように教えることになり、したがって、神の言がそしりを受けないようになるであろう。 (J)

テトスへの手紙 2:6 若い男にも、同じく、万事につけ慎み深くあるように、勧めなさい。 (J)

テトスへの手紙 2:7 あなた自身を良いわざの模範として示し、人を教える場合には、清廉と謹厳とをもってし、 (J)

テトスへの手紙 2:8 非難のない健全な言葉を用いなさい。そうすれば、反対者も、わたしたちについてなんの悪口も言えなくなり、自ら恥じいるであろう。 (J)

テトスへの手紙 2:9 奴隷には、万事につけその主人に服従して、喜ばれるようになり、反抗をせず、 (J)

テトスへの手紙 2:10 盗みをせず、どこまでも心をこめた真実を示すようにと、勧めなさい。そうすれば、彼らは万事につけ、わたしたちの救主なる神の教を飾ることになろう。 (J)

テトスへの手紙 2:11 すべての人を救う神の恵みが現れた。 (J)

テトスへの手紙 2:12 そして、わたしたちを導き、不信心とこの世の情欲とを捨てて、慎み深く、正しく、信心深くこの世で生活し、 (J)

テトスへの手紙 2:13 祝福に満ちた望み、すなわち、大いなる神、わたしたちの救主キリスト・イエスの栄光の出現を待ち望むようにと、教えている。 (J)

テトスへの手紙 2:14 このキリストが、わたしたちのためにご自身をささげられたのは、わたしたちをすべての不法からあがない出して、良いわざに熱心な選びの民を、ご自身のものとして聖別するためにほかならない。 (J)

テトスへの手紙 2:15 あなたは、権威をもってこれらのことを語り、勧め、また責めなさい。だれにも軽んじられてはならない。 (J)

テトスへの手紙 3:1 あなたは彼らに勧めて、支配者、権威ある者に服し、これに従い、いつでも良いわざをする用意があり、 (J)

テトスへの手紙 3:2 だれをもそしらず、争わず、寛容であって、すべての人に対してどこまでも柔和な態度を示すべきことを、思い出させなさい。 (J)

テトスへの手紙 3:3 わたしたちも以前には、無分別で、不従順な、迷っていた者であって、さまざまの情欲と快楽との奴隷になり、悪意とねたみとで日を過ごし、人に憎まれ、互に憎み合っていた。 (J)

テトスへの手紙 3:4 ところが、わたしたちの救主なる神の慈悲と博愛とが現れたとき、 (J)

テトスへの手紙 3:5 わたしたちの行った義のわざによってではなく、ただ神のあわれみによって、再生の洗いを受け、聖霊により新たにされて、わたしたちは救われたのである。 (J)

テトスへの手紙 3:6 この聖霊は、わたしたちの救主イエス・キリストをとおして、わたしたちの上に豊かに注がれた。 (J)

テトスへの手紙 3:7 これは、わたしたちが、キリストの恵みによって義とされ、永遠のいのちを望むことによって、御国をつぐ者となるためである。 (J)

テトスへの手紙 3:8 この言葉は確実である。わたしは、あなたがそれらのことを主張するのを願っている。それは、神を信じている者たちが、努めて良いわざを励むことを心がけるようになるためである。これは良いことであって、人々の益となる。 (J)

テトスへの手紙 3:9 しかし、愚かな議論と、系図と、争いと、律法についての論争とを、避けなさい。それらは無益かつ空虚なことである。 (J)

テトスへの手紙 3:10 異端者は、一、二度、訓戒を加えた上で退けなさい。 (J)

テトスへの手紙 3:11 たしかに、こういう人たちは、邪道に陥り、自ら悪と知りつつも、罪を犯しているからである。 (J)

テトスへの手紙 3:12 わたしがアルテマスかテキコかをあなたのところに送ったなら、急いでニコポリにいるわたしの所にきなさい。わたしは、そこで冬を過ごすことにした。 (J)

テトスへの手紙 3:13 法学者ゼナスと、アポロとを、急いで旅につかせ、不自由のないようにしてあげなさい。 (J)

テトスへの手紙 3:14 わたしたちの仲間も、さし迫った必要に備えて、努めて良いわざを励み、実を結ばぬ者とならないように、心がけるべきである。 (J)

テトスへの手紙 3:15 わたしと共にいる一同の者から、あなたによろしく。わたしたちを愛している信徒たちに、よろしく。 恵みが、あなたがた一同と共にあるように。 (J)

ピレモンへの手紙 1:1 ¶ キリスト・イエスの囚人パウロと兄弟テモテから、わたしたちの愛する同労者ピレモン、 (J)

ピレモンへの手紙 1:2 姉妹アピヤ、わたしたちの戦友アルキポ、ならびに、あなたの家にある教会へ。 (J)

ピレモンへの手紙 1:3 わたしたちの父なる神と主イエス・キリストから、恵みと平安とが、あなたがたにあるように。 (J)

ピレモンへの手紙 1:4 わたしは、祈の時にあなたをおぼえて、いつもわたしの神に感謝している。 (J)

ピレモンへの手紙 1:5 それは、主イエスに対し、また、すべての聖徒に対するあなたの愛と信仰とについて、聞いているからである。 (J)

ピレモンへの手紙 1:6 どうか、あなたの信仰の交わりが強められて、わたしたちの間でキリストのためになされているすべての良いことが、知られて来るようになってほしい。 (J)

ピレモンへの手紙 1:7 兄弟よ。わたしは、あなたの愛によって多くの喜びと慰めとを与えられた。聖徒たちの心が、あなたによって力づけられたからである。 (J)

ピレモンへの手紙 1:8 こういうわけで、わたしは、キリストにあってあなたのなすべき事を、きわめて率直に指示してもよいと思うが、 (J)

ピレモンへの手紙 1:9 むしろ、愛のゆえにお願いする。すでに老年になり、今またキリスト・イエスの囚人となっているこのパウロが、 (J)

ピレモンへの手紙 1:10 捕われの身で産んだわたしの子供オネシモについて、あなたにお願いする。 (J)

ピレモンへの手紙 1:11 彼は以前は、あなたにとって無益な者であったが、今は、あなたにも、わたしにも、有益な者になった。 (J)

ピレモンへの手紙 1:12 彼をあなたのもとに送りかえす。彼はわたしの心である。 (J)

ピレモンへの手紙 1:13 わたしは彼を身近に引きとめておいて、わたしが福音のために捕われている間、あなたに代って仕えてもらいたかったのである。 (J)

ピレモンへの手紙 1:14 しかし、わたしは、あなたの承諾なしには何もしたくない。あなたが強制されて良い行いをするのではなく、自発的にすることを願っている。 (J)

ピレモンへの手紙 1:15 彼がしばらくの間あなたから離れていたのは、あなたが彼をいつまでも留めておくためであったかも知れない。 (J)

ピレモンへの手紙 1:16 しかも、もはや奴隷としてではなく、奴隷以上のもの、愛する兄弟としてである。とりわけ、わたしにとってそうであるが、ましてあなたにとっては、肉においても、主にあっても、それ以上であろう。 (J)

ピレモンへの手紙 1:17 そこで、もしわたしをあなたの信仰の友と思ってくれるなら、わたし同様に彼を受けいれてほしい。 (J)

ピレモンへの手紙 1:18 もし、彼があなたに何か不都合なことをしたか、あるいは、何か負債があれば、それをわたしの借りにしておいてほしい。 (J)

ピレモンへの手紙 1:19 このパウロが手ずからしるす、わたしがそれを返済する。この際、あなたが、あなた自身をわたしに負うていることについては、何も言うまい。 (J)

ピレモンへの手紙 1:20 兄弟よ。わたしはあなたから、主にあって何か益を得たいものである。わたしの心を、主にあって力づけてもらいたい。 (J)

ピレモンへの手紙 1:21 わたしはあなたの従順を堅く信じて、この手紙を書く。あなたは、確かにわたしが言う以上のことをしてくれるだろう。 (J)

ピレモンへの手紙 1:22 ついでにお願いするが、わたしのために宿を用意しておいてほしい。あなたがたの祈によって、あなたがたの所に行かせてもらえるように望んでいるのだから。 (J)

ピレモンへの手紙 1:23 キリスト・イエスにあって、わたしと共に捕われの身になっているエパフラスから、あなたによろしく。 (J)

ピレモンへの手紙 1:24 わたしの同労者たち、マルコ、アリスタルコ、デマス、ルカからも、よろしく。 (J)

ピレモンへの手紙 1:25 主イエス・キリストの恵みが、あなたがたの霊と共にあるように。 (J)

へブル人への手紙 1:1 ¶ 神は、むかしは、預言者たちにより、いろいろな時に、いろいろな方法で、先祖たちに語られたが、 (J)

へブル人への手紙 1:2 この終りの時には、御子によって、わたしたちに語られたのである。神は御子を万物の相続者と定め、また、御子によって、もろもろの世界を造られた。 (J)

へブル人への手紙 1:3 御子は神の栄光の輝きであり、神の本質の真の姿であって、その力ある言葉をもって万物を保っておられる。そして罪のきよめのわざをなし終えてから、いと高き所にいます大能者の右に、座につかれたのである。 (J)

へブル人への手紙 1:4 御子は、その受け継がれた名が御使たちの名にまさっているので、彼らよりもすぐれた者となられた。 (J)

へブル人への手紙 1:5 いったい、神は御使たちのだれに対して、 「あなたこそは、わたしの子。 きょう、わたしはあなたを生んだ」 と言い、さらにまた、 「わたしは彼の父となり、 彼はわたしの子となるであろう」 と言われたことがあるか。 (J)

へブル人への手紙 1:6 さらにまた、神は、その長子を世界に導き入れるに当って、 「神の御使たちはことごとく、彼を拝すべきである」 と言われた。 (J)

へブル人への手紙 1:7 また、御使たちについては、 「神は、御使たちを風とし、 ご自分に仕える者たちを炎とされる」 と言われているが、 (J)

へブル人への手紙 1:8 御子については、 「神よ、あなたの御座は、世々限りなく続き、 あなたの支配のつえは、公平のつえである。 (J)

へブル人への手紙 1:9 あなたは義を愛し、不法を憎まれた。 それゆえに、神、あなたの神は、喜びのあぶらを、 あなたの友に注ぐよりも多く、あなたに注がれた」 と言い、 (J)

へブル人への手紙 1:10 さらに、 「主よ、あなたは初めに、地の基をおすえになった。 もろもろの天も、み手のわざである。 (J)

へブル人への手紙 1:11 これらのものは滅びてしまうが、 あなたは、いつまでもいますかたである。 すべてのものは衣のように古び、 (J)

へブル人への手紙 1:12 それらをあなたは、外套のように巻かれる。 これらのものは、衣のように変るが、 あなたは、いつも変ることがなく、 あなたのよわいは、尽きることがない」 とも言われている。 (J)

へブル人への手紙 1:13 神は、御使たちのだれに対して、 「あなたの敵を、あなたの足台とするときまでは、 わたしの右に座していなさい」 と言われたことがあるか。 (J)

へブル人への手紙 1:14 御使たちはすべて仕える霊であって、救を受け継ぐべき人々に奉仕するため、つかわされたものではないか。 (J)

へブル人への手紙 2:1 こういうわけだから、わたしたちは聞かされていることを、いっそう強く心に留めねばならない。そうでないと、おし流されてしまう。 (J)

へブル人への手紙 2:2 というのは、御使たちをとおして語られた御言が効力を持ち、あらゆる罪過と不従順とに対して正当な報いが加えられたとすれば、 (J)

へブル人への手紙 2:3 わたしたちは、こんなに尊い救をなおざりにしては、どうして報いをのがれることができようか。この救は、初め主によって語られたものであって、聞いた人々からわたしたちにあかしされ、 (J)

へブル人への手紙 2:4 さらに神も、しるしと不思議とさまざまな力あるわざとにより、また、御旨に従い聖霊を各自に賜うことによって、あかしをされたのである。 (J)

へブル人への手紙 2:5 いったい、神は、わたしたちがここで語っているきたるべき世界を、御使たちに服従させることは、なさらなかった。 (J)

へブル人への手紙 2:6 聖書はある箇所で、こうあかししている、 「人間が何者だから、 これを御心に留められるのだろうか。 人の子が何者だから、 これをかえりみられるのだろうか。 (J)

へブル人への手紙 2:7 あなたは、しばらくの間、 彼を御使たちよりも低い者となし、 栄光とほまれとを冠として彼に与え、 (J)

へブル人への手紙 2:8 万物をその足の下に服従させて下さった」。 「万物を彼に服従させて下さった」という以上、服従しないものは、何ひとつ残されていないはずである。しかし、今もなお万物が彼に服従している事実を、わたしたちは見ていない。 (J)

へブル人への手紙 2:9 ただ、「しばらくの間、御使たちよりも低い者とされた」イエスが、死の苦しみのゆえに、栄光とほまれとを冠として与えられたのを見る。それは、彼が神の恵みによって、すべての人のために死を味わわれるためであった。 (J)

へブル人への手紙 2:10 なぜなら、万物の帰すべきかた、万物を造られたかたが、多くの子らを栄光に導くのに、彼らの救の君を、苦難をとおして全うされたのは、彼にふさわしいことであったからである。 (J)

へブル人への手紙 2:11 実に、きよめるかたも、きよめられる者たちも、皆ひとりのかたから出ている。それゆえに主は、彼らを兄弟と呼ぶことを恥とされない。 (J)

へブル人への手紙 2:12 すなわち、 「わたしは、御名をわたしの兄弟たちに告げ知らせ、 教会の中で、あなたをほめ歌おう」 と言い、 (J)

へブル人への手紙 2:13 また、 「わたしは、彼により頼む」、 また、 「見よ、わたしと、神がわたしに賜わった子らとは」 と言われた。 (J)

へブル人への手紙 2:14 このように、子たちは血と肉とに共にあずかっているので、イエスもまた同様に、それらをそなえておられる。それは、死の力を持つ者、すなわち悪魔を、ご自分の死によって滅ぼし、 (J)

へブル人への手紙 2:15 死の恐怖のために一生涯、奴隷となっていた者たちを、解き放つためである。 (J)

へブル人への手紙 2:16 確かに、彼は天使たちを助けることはしないで、アブラハムの子孫を助けられた。 (J)

へブル人への手紙 2:17 そこで、イエスは、神のみまえにあわれみ深い忠実な大祭司となって、民の罪をあがなうために、あらゆる点において兄弟たちと同じようにならねばならなかった。 (J)

へブル人への手紙 2:18 主ご自身、試錬を受けて苦しまれたからこそ、試錬の中にある者たちを助けることができるのである。 (J)

へブル人への手紙 3:1 そこで、天の召しにあずかっている聖なる兄弟たちよ。あなたがたは、わたしたちが告白する信仰の使者また大祭司なるイエスを、思いみるべきである。 (J)

へブル人への手紙 3:2 彼は、モーセが神の家の全体に対して忠実であったように、自分を立てたかたに対して忠実であられた。 (J)

へブル人への手紙 3:3 おおよそ、家を造る者が家そのものよりもさらに尊ばれるように、彼は、モーセ以上に、大いなる光栄を受けるにふさわしい者とされたのである。 (J)

へブル人への手紙 3:4 家はすべて、だれかによって造られるものであるが、すべてのものを造られたかたは、神である。 (J)

へブル人への手紙 3:5 さて、モーセは、後に語らるべき事がらについてあかしをするために、仕える者として、神の家の全体に対して忠実であったが、 (J)

へブル人への手紙 3:6 キリストは御子として、神の家を治めるのに忠実であられたのである。もしわたしたちが、望みの確信と誇とを最後までしっかりと持ち続けるなら、わたしたちは神の家なのである。 (J)

へブル人への手紙 3:7 だから、聖霊が言っているように、 「きょう、あなたがたがみ声を聞いたなら、 (J)

へブル人への手紙 3:8 荒野における試錬の日に、 神にそむいた時のように、 あなたがたの心を、かたくなにしてはいけない。 (J)

へブル人への手紙 3:9 あなたがたの先祖たちは、 そこでわたしを試みためし、 (J)

へブル人への手紙 3:10 しかも、四十年の間わたしのわざを見たのである。 だから、わたしはその時代の人々に対して、 いきどおって言った、 彼らの心は、いつも迷っており、 彼らは、わたしの道を認めなかった。 (J)

へブル人への手紙 3:11 そこで、わたしは怒って、彼らをわたしの安息にはいらせることはしない、と誓った」。 (J)

へブル人への手紙 3:12 兄弟たちよ。気をつけなさい。あなたがたの中には、あるいは、不信仰な悪い心をいだいて、生ける神から離れ去る者があるかも知れない。 (J)

へブル人への手紙 3:13 あなたがたの中に、罪の惑わしに陥って、心をかたくなにする者がないように、「きょう」といううちに、日々、互に励まし合いなさい。 (J)

へブル人への手紙 3:14 もし最初の確信を、最後までしっかりと持ち続けるならば、わたしたちはキリストにあずかる者となるのである。 (J)

へブル人への手紙 3:15 それについて、こう言われている、 「きょう、み声を聞いたなら、 神にそむいた時のように、 あなたがたの心を、かたくなにしてはいけない」。 (J)

へブル人への手紙 3:16 すると、聞いたのにそむいたのは、だれであったのか。モーセに率いられて、エジプトから出て行ったすべての人々ではなかったか。 (J)

へブル人への手紙 3:17 また、四十年の間、神がいきどおられたのはだれに対してであったか。罪を犯して、その死かばねを荒野にさらした者たちに対してではなかったか。 (J)

へブル人への手紙 3:18 また、神が、わたしの安息に、はいらせることはしない、と誓われたのは、だれに向かってであったか。不従順な者に向かってではなかったか。 (J)

へブル人への手紙 3:19 こうして、彼らがはいることのできなかったのは、不信仰のゆえであることがわかる。 (J)

へブル人への手紙 4:1 それだから、神の安息にはいるべき約束が、まだ存続しているにかかわらず、万一にも、はいりそこなう者が、あなたがたの中から出ることがないように、注意しようではないか。 (J)

へブル人への手紙 4:2 というのは、彼らと同じく、わたしたちにも福音が伝えられているのである。しかし、その聞いた御言は、彼らには無益であった。それが、聞いた者たちに、信仰によって結びつけられなかったからである。 (J)

へブル人への手紙 4:3 ところが、わたしたち信じている者は、安息にはいることができる。それは、 「わたしが怒って、 彼らをわたしの安息に、はいらせることはしないと、誓ったように」 と言われているとおりである。しかも、みわざは世の初めに、でき上がっていた。 (J)

へブル人への手紙 4:4 すなわち、聖書のある箇所で、七日目のことについて、「神は、七日目にすべてのわざをやめて休まれた」と言われており、 (J)

へブル人への手紙 4:5 またここで、「彼らをわたしの安息に、はいらせることはしない」と言われている。 (J)

へブル人への手紙 4:6 そこで、その安息にはいる機会が、人々になお残されているのであり、しかも、初めに福音を伝えられた人々は、不従順のゆえに、はいることをしなかったのであるから、 (J)

へブル人への手紙 4:7 神は、あらためて、ある日を「きょう」として定め、長く時がたってから、先に引用したとおり、 「きょう、み声を聞いたなら、 あなたがたの心を、かたくなにしてはいけない」 とダビデをとおして言われたのである。 (J)

へブル人への手紙 4:8 もしヨシュアが彼らを休ませていたとすれば、神はあとになって、ほかの日のことについて語られたはずはない。 (J)

へブル人への手紙 4:9 こういうわけで、安息日の休みが、神の民のためにまだ残されているのである。 (J)

へブル人への手紙 4:10 なぜなら、神の安息にはいった者は、神がみわざをやめて休まれたように、自分もわざを休んだからである。 (J)

へブル人への手紙 4:11 したがって、わたしたちは、この安息にはいるように努力しようではないか。そうでないと、同じような不従順の悪例にならって、落ちて行く者が出るかもしれない。 (J)

へブル人への手紙 4:12 というのは、神の言は生きていて、力があり、もろ刃のつるぎよりも鋭くて、精神と霊魂と、関節と骨髄とを切り離すまでに刺しとおして、心の思いと志とを見分けることができる。 (J)

へブル人への手紙 4:13 そして、神のみまえには、あらわでない被造物はひとつもなく、すべてのものは、神の目には裸であり、あらわにされているのである。この神に対して、わたしたちは言い開きをしなくてはならない。 (J)

へブル人への手紙 4:14 さて、わたしたちには、もろもろの天をとおって行かれた大祭司なる神の子イエスがいますのであるから、わたしたちの告白する信仰をかたく守ろうではないか。 (J)

へブル人への手紙 4:15 この大祭司は、わたしたちの弱さを思いやることのできないようなかたではない。罪は犯されなかったが、すべてのことについて、わたしたちと同じように試錬に会われたのである。 (J)

へブル人への手紙 4:16 だから、わたしたちは、あわれみを受け、また、恵みにあずかって時機を得た助けを受けるために、はばかることなく恵みの御座に近づこうではないか。 (J)

へブル人への手紙 5:1 大祭司なるものはすべて、人間の中から選ばれて、罪のために供え物といけにえとをささげるように、人々のために神に仕える役に任じられた者である。 (J)

へブル人への手紙 5:2 彼は自分自身、弱さを身に負うているので、無知な迷っている人々を、思いやることができると共に、 (J)

へブル人への手紙 5:3 その弱さのゆえに、民のためだけではなく自分自身のためにも、罪についてささげものをしなければならないのである。 (J)

へブル人への手紙 5:4 かつ、だれもこの栄誉ある務を自分で得るのではなく、アロンの場合のように、神の召しによって受けるのである。 (J)

へブル人への手紙 5:5 同様に、キリストもまた、大祭司の栄誉を自分で得たのではなく、 「あなたこそは、わたしの子。 きょう、わたしはあなたを生んだ」 と言われたかたから、お受けになったのである。 (J)

へブル人への手紙 5:6 また、ほかの箇所でこう言われている、 「あなたこそは、永遠に、 メルキゼデクに等しい祭司である」。 (J)

へブル人への手紙 5:7 キリストは、その肉の生活の時には、激しい叫びと涙とをもって、ご自分を死から救う力のあるかたに、祈と願いとをささげ、そして、その深い信仰のゆえに聞きいれられたのである。 (J)

へブル人への手紙 5:8 彼は御子であられたにもかかわらず、さまざまの苦しみによって従順を学び、 (J)

へブル人への手紙 5:9 そして、全き者とされたので、彼に従順であるすべての人に対して、永遠の救の源となり、 (J)

へブル人への手紙 5:10 神によって、メルキゼデクに等しい大祭司と、となえられたのである。 (J)

へブル人への手紙 5:11 このことについては、言いたいことがたくさんあるが、あなたがたの耳が鈍くなっているので、それを説き明かすことはむずかしい。 (J)

へブル人への手紙 5:12 あなたがたは、久しい以前からすでに教師となっているはずなのに、もう一度神の言の初歩を、人から手ほどきしてもらわねばならない始末である。あなたがたは堅い食物ではなく、乳を必要としている。 (J)

へブル人への手紙 5:13 すべて乳を飲んでいる者は、幼な子なのだから、義の言葉を味わうことができない。 (J)

へブル人への手紙 5:14 しかし、堅い食物は、善悪を見わける感覚を実際に働かせて訓練された成人のとるべきものである。 (J)

へブル人への手紙 6:1 そういうわけだから、わたしたちは、キリストの教の初歩をあとにして、完成を目ざして進もうではないか。今さら、死んだ行いの悔改めと神への信仰、 (J)

へブル人への手紙 6:2 洗いごとについての教と按手、死人の復活と永遠のさばき、などの基本の教をくりかえし学ぶことをやめようではないか。 (J)

へブル人への手紙 6:3 神の許しを得て、そうすることにしよう。 (J)

へブル人への手紙 6:4 いったん、光を受けて天よりの賜物を味わい、聖霊にあずかる者となり、 (J)

へブル人への手紙 6:5 また、神の良きみ言葉と、きたるべき世の力とを味わった者たちが、 (J)

へブル人への手紙 6:6 そののち堕落した場合には、またもや神の御子を、自ら十字架につけて、さらしものにするわけであるから、ふたたび悔改めにたち帰ることは不可能である。 (J)

へブル人への手紙 6:7 たとえば、土地が、その上にたびたび降る雨を吸い込で、耕す人々に役立つ作物を育てるなら、神の祝福にあずかる。 (J)

へブル人への手紙 6:8 しかし、いばらやあざみをはえさせるなら、それは無用になり、やがてのろわれ、ついには焼かれてしまう。 (J)

へブル人への手紙 6:9 しかし、愛する者たちよ。こうは言うものの、わたしたちは、救にかかわる更に良いことがあるのを、あなたがたについて確信している。 (J)

へブル人への手紙 6:10 神は不義なかたではないから、あなたがたの働きや、あなたがたがかつて聖徒に仕え、今もなお仕えて、御名のために示してくれた愛を、お忘れになることはない。 (J)

へブル人への手紙 6:11 わたしたちは、あなたがたがひとり残らず、最後まで望みを持ちつづけるためにも、同じ熱意を示し、 (J)

へブル人への手紙 6:12 怠ることがなく、信仰と忍耐とをもって約束のものを受け継ぐ人々に見習う者となるように、と願ってやまない。 (J)

へブル人への手紙 6:13 さて、神がアブラハムに対して約束されたとき、さして誓うのに、ご自分よりも上のものがないので、ご自分をさして誓って、 (J)

へブル人への手紙 6:14 「わたしは、必ずあなたを祝福し、必ずあなたの子孫をふやす」と言われた。 (J)

へブル人への手紙 6:15 このようにして、アブラハムは忍耐強く待ったので、約束のものを得たのである。 (J)

へブル人への手紙 6:16 いったい、人間は自分より上のものをさして誓うのであり、そして、その誓いはすべての反対論を封じる保証となるのである。 (J)

へブル人への手紙 6:17 そこで、神は、約束のものを受け継ぐ人々に、ご計画の不変であることを、いっそうはっきり示そうと思われ、誓いによって保証されたのである。 (J)

へブル人への手紙 6:18 それは、偽ることのあり得ない神に立てられた二つの不変の事がらによって、前におかれている望みを捕えようとして世をのがれてきたわたしたちが、力強い励ましを受けるためである。 (J)

へブル人への手紙 6:19 この望みは、わたしたちにとって、いわば、たましいを安全にし不動にする錨であり、かつ「幕の内」にはいり行かせるものである。 (J)

へブル人への手紙 6:20 その幕の内に、イエスは、永遠にメルキゼデクに等しい大祭司として、わたしたちのためにさきがけとなって、はいられたのである。 (J)

へブル人への手紙 7:1 このメルキゼデクはサレムの王であり、いと高き神の祭司であったが、王たちを撃破して帰るアブラハムを迎えて祝福し、 (J)

へブル人への手紙 7:2 それに対して、アブラハムは彼にすべての物の十分の一を分け与えたのである。その名の意味は、第一に義の王、次にまたサレムの王、すなわち平和の王である。 (J)

へブル人への手紙 7:3 彼には父がなく、母がなく、系図がなく、生涯の初めもなく、生命の終りもなく、神の子のようであって、いつまでも祭司なのである。 (J)

へブル人への手紙 7:4 そこで、族長のアブラハムが最もよいぶんどり品の十分の一を与えたのだから、この人がどんなにすぐれた人物であったかが、あなたがたにわかるであろう。 (J)

へブル人への手紙 7:5 さて、レビの子のうちで祭司の務をしている者たちは、兄弟である民から、同じくアブラハムの子孫であるにもかかわらず、十分の一を取るように、律法によって命じられている。 (J)

へブル人への手紙 7:6 ところが、彼らの血統に属さないこの人が、アブラハムから十分の一を受けとり、約束を受けている者を祝福したのである。 (J)

へブル人への手紙 7:7 言うまでもなく、小なる者が大なる者から祝福を受けるのである。 (J)

へブル人への手紙 7:8 その上、一方では死ぬべき人間が、十分の一を受けているが、他方では「彼は生きている者」とあかしされた人が、それを受けている。 (J)

へブル人への手紙 7:9 そこで、十分の一を受けるべきレビでさえも、アブラハムを通じて十分の一を納めた、と言える。 (J)

へブル人への手紙 7:10 なぜなら、メルキゼデクがアブラハムを迎えた時には、レビはまだこの父祖の腰の中にいたからである。 (J)

へブル人への手紙 7:11 もし全うされることがレビ系の祭司制によって可能であったら――民は祭司制の下に律法を与えられたのであるが――なんの必要があって、なお、「アロンに等しい」と呼ばれない、別な「メルキゼデクに等しい」祭司が立てられるのであるか。 (J)

へブル人への手紙 7:12 祭司制に変更があれば、律法にも必ず変更があるはずである。 (J)

へブル人への手紙 7:13 さて、これらのことは、いまだかつて祭壇に奉仕したことのない、他の部族に関して言われているのである。 (J)

へブル人への手紙 7:14 というのは、わたしたちの主がユダ族の中から出られたことは、明らかであるが、モーセは、この部族について、祭司に関することでは、ひとことも言っていない。 (J)

へブル人への手紙 7:15 そしてこの事は、メルキゼデクと同様な、ほかの祭司が立てられたことによって、ますます明白になる。 (J)

へブル人への手紙 7:16 彼は、肉につける戒めの律法によらないで、朽ちることのないいのちの力によって立てられたのである。 (J)

へブル人への手紙 7:17 それについては、聖書に「あなたこそは、永遠に、メルキゼデクに等しい祭司である」とあかしされている。 (J)

へブル人への手紙 7:18 このようにして、一方では、前の戒めが弱くかつ無益であったために無効になると共に、 (J)

へブル人への手紙 7:19 (律法は、何事をも全うし得なかったからである)、他方では、さらにすぐれた望みが現れてきて、わたしたちを神に近づかせるのである。 (J)

へブル人への手紙 7:20 その上に、このことは誓いをもってなされた。人々は、誓いをしないで祭司とされるのであるが、 (J)

へブル人への手紙 7:21 この人の場合は、次のような誓いをもってされたのである。すなわち、彼について、こう言われている、「主は誓われたが、心を変えることをされなかった。あなたこそは、永遠に祭司である」。 (J)

へブル人への手紙 7:22 このようにして、イエスは更にすぐれた契約の保証となられたのである。 (J)

へブル人への手紙 7:23 かつ、死ということがあるために、務を続けることができないので、多くの人々が祭司に立てられるのである。 (J)

へブル人への手紙 7:24 しかし彼は、永遠にいますかたであるので、変らない祭司の務を持ちつづけておられるのである。 (J)

へブル人への手紙 7:25 そこでまた、彼は、いつも生きていて彼らのためにとりなしておられるので、彼によって神に来る人々を、いつも救うことができるのである。 (J)

へブル人への手紙 7:26 このように、聖にして、悪も汚れもなく、罪人とは区別され、かつ、もろもろの天よりも高くされている大祭司こそ、わたしたちにとってふさわしいかたである。 (J)

へブル人への手紙 7:27 彼は、ほかの大祭司のように、まず自分の罪のため、次に民の罪のために、日々、いけにえをささげる必要はない。なぜなら、自分をささげて、一度だけ、それをされたからである。 (J)

へブル人への手紙 7:28 律法は、弱さを身に負う人間を立てて大祭司とするが、律法の後にきた誓いの御言は、永遠に全うされた御子を立てて、大祭司としたのである。 (J)

へブル人への手紙 8:1 以上述べたことの要点は、このような大祭司がわたしたちのためにおられ、天にあって大能者の御座の右に座し、 (J)

へブル人への手紙 8:2 人間によらず主によって設けられた真の幕屋なる聖所で仕えておられる、ということである。 (J)

へブル人への手紙 8:3 おおよそ、大祭司が立てられるのは、供え物やいけにえをささげるためにほかならない。したがって、この大祭司もまた、何かささぐべき物を持っておられねばならない。 (J)

へブル人への手紙 8:4 そこで、もし彼が地上におられたなら、律法にしたがって供え物をささげる祭司たちが、現にいるのだから、彼は祭司ではあり得なかったであろう。 (J)

へブル人への手紙 8:5 彼らは、天にある聖所のひな型と影とに仕えている者にすぎない。それについては、モーセが幕屋を建てようとしたとき、御告げを受け、「山で示された型どおりに、注意してそのいっさいを作りなさい」と言われたのである。 (J)

へブル人への手紙 8:6 ところがキリストは、はるかにすぐれた務を得られたのである。それは、さらにまさった約束に基いて立てられた、さらにまさった契約の仲保者となられたことによる。 (J)

へブル人への手紙 8:7 もし初めの契約に欠けたところがなかったなら、あとのものが立てられる余地はなかったであろう。 (J)

へブル人への手紙 8:8 ところが、神は彼らを責めて言われた、 「主は言われる、見よ、 わたしがイスラエルの家およびユダの家と、 新しい契約を結ぶ日が来る。 (J)

へブル人への手紙 8:9 それは、わたしが彼らの先祖たちの手をとって、 エジプトの地から導き出した日に、 彼らと結んだ契約のようなものではない。 彼らがわたしの契約にとどまることをしないので、 わたしも彼らをかえりみなかったからであると、 主が言われる。 (J)

へブル人への手紙 8:10 わたしが、それらの日の後、イスラエルの家と立てようとする契約はこれである、と主が言われる。 すなわち、わたしの律法を彼らの思いの中に入れ、 彼らの心に書きつけよう。 こうして、わたしは彼らの神となり、 彼らはわたしの民となるであろう。 (J)

へブル人への手紙 8:11 彼らは、それぞれ、その同胞に、 また、それぞれ、その兄弟に、 主を知れ、と言って教えることはなくなる。 なぜなら、大なる者から小なる者に至るまで、 彼らはことごとく、 わたしを知るようになるからである。 (J)

へブル人への手紙 8:12 わたしは、彼らの不義をあわれみ、 もはや、彼らの罪を思い出すことはしない」。 (J)

へブル人への手紙 8:13 神は、「新しい」と言われたことによって、初めの契約を古いとされたのである。年を経て古びたものは、やがて消えていく。 (J)

へブル人への手紙 9:1 さて、初めの契約にも、礼拝についてのさまざまな規定と、地上の聖所とがあった。 (J)

へブル人への手紙 9:2 すなわち、まず幕屋が設けられ、その前の場所には燭台と机と供えのパンとが置かれていた。これが、聖所と呼ばれた。 (J)

へブル人への手紙 9:3 また第二の幕の後に、別の場所があり、それは至聖所と呼ばれた。 (J)

へブル人への手紙 9:4 そこには金の香壇と全面金でおおわれた契約の箱とが置かれ、その中にはマナのはいっている金のつぼと、芽を出したアロンのつえと、契約の石板とが入れてあり、 (J)

へブル人への手紙 9:5 箱の上には栄光に輝くケルビムがあって、贖罪所をおおっていた。これらのことについては、今ここで、いちいち述べることができない。 (J)

へブル人への手紙 9:6 これらのものが、以上のように整えられた上で、祭司たちは常に幕屋の前の場所にはいって礼拝をするのであるが、 (J)

へブル人への手紙 9:7 幕屋の奥には大祭司が年に一度だけはいるのであり、しかも自分自身と民とのあやまちのためにささげる血をたずさえないで行くことはない。 (J)

へブル人への手紙 9:8 それによって聖霊は、前方の幕屋が存在している限り、聖所にはいる道はまだ開かれていないことを、明らかに示している。 (J)

へブル人への手紙 9:9 この幕屋というのは今の時代に対する比喩である。すなわち、供え物やいけにえはささげられるが、儀式にたずさわる者の良心を全うすることはできない。 (J)

へブル人への手紙 9:10 それらは、ただ食物と飲み物と種々の洗いごとに関する行事であって、改革の時まで課せられている肉の規定にすぎない。 (J)

へブル人への手紙 9:11 しかしキリストがすでに現れた祝福の大祭司としてこられたとき、手で造られず、この世界に属さない、さらに大きく、完全な幕屋をとおり、 (J)

へブル人への手紙 9:12 かつ、やぎと子牛との血によらず、ご自身の血によって、一度だけ聖所にはいられ、それによって永遠のあがないを全うされたのである。 (J)

へブル人への手紙 9:13 もし、やぎや雄牛の血や雌牛の灰が、汚れた人たちの上にまきかけられて、肉体をきよめ聖別するとすれば、 (J)

へブル人への手紙 9:14 永遠の聖霊によって、ご自身を傷なき者として神にささげられたキリストの血は、なおさら、わたしたちの良心をきよめて死んだわざを取り除き、生ける神に仕える者としないであろうか。 (J)

へブル人への手紙 9:15 それだから、キリストは新しい契約の仲保者なのである。それは、彼が初めの契約のもとで犯した罪過をあがなうために死なれた結果、召された者たちが、約束された永遠の国を受け継ぐためにほかならない。 (J)

へブル人への手紙 9:16 いったい、遺言には、遺言者の死の証明が必要である。 (J)

へブル人への手紙 9:17 遺言は死によってのみその効力を生じ、遺言者が生きている間は、効力がない。 (J)

へブル人への手紙 9:18 だから、初めの契約も、血を流すことなしに成立したのではない。 (J)

へブル人への手紙 9:19 すなわち、モーセが、律法に従ってすべての戒めを民全体に宣言したとき、水と赤色の羊毛とヒソプとの外に、子牛とやぎとの血を取って、契約書と民全体とにふりかけ、 (J)

へブル人への手紙 9:20 そして、「これは、神があなたがたに対して立てられた契約の血である」と言った。 (J)

へブル人への手紙 9:21 彼はまた、幕屋と儀式用の器具いっさいにも、同様に血をふりかけた。 (J)

へブル人への手紙 9:22 こうして、ほとんどすべての物が、律法に従い、血によってきよめられたのである。血を流すことなしには、罪のゆるしはあり得ない。 (J)

へブル人への手紙 9:23 このように、天にあるもののひな型は、これらのものできよめられる必要があるが、天にあるものは、これらより更にすぐれたいけにえで、きよめられねばならない。 (J)

へブル人への手紙 9:24 ところが、キリストは、ほんとうのものの模型にすぎない、手で造った聖所にはいらないで、上なる天にはいり、今やわたしたちのために神のみまえに出て下さったのである。 (J)

へブル人への手紙 9:25 大祭司は、年ごとに、自分以外のものの血をたずさえて聖所にはいるが、キリストは、そのように、たびたびご自身をささげられるのではなかった。 (J)

へブル人への手紙 9:26 もしそうだとすれば、世の初めから、たびたび苦難を受けねばならなかったであろう。しかし事実、ご自身をいけにえとしてささげて罪を取り除くために、世の終りに、一度だけ現れたのである。 (J)

へブル人への手紙 9:27 そして、一度だけ死ぬことと、死んだ後さばきを受けることとが、人間に定まっているように、 (J)

へブル人への手紙 9:28 キリストもまた、多くの人の罪を負うために、一度だけご自身をささげられた後、彼を待ち望んでいる人々に、罪を負うためではなしに二度目に現れて、救を与えられるのである。 (J)

へブル人への手紙 10:1 いったい、律法はきたるべき良いことの影をやどすにすぎず、そのものの真のかたちをそなえているものではないから、年ごとに引きつづきささげられる同じようないけにえによっても、みまえに近づいて来る者たちを、全うすることはできないのである。 (J)

へブル人への手紙 10:2 もしできたとすれば、儀式にたずさわる者たちは、一度きよめられた以上、もはや罪の自覚がなくなるのであるから、ささげ物をすることがやんだはずではあるまいか。 (J)

へブル人への手紙 10:3 しかし実際は、年ごとに、いけにえによって罪の思い出がよみがえって来るのである。 (J)

へブル人への手紙 10:4 なぜなら、雄牛ややぎなどの血は、罪を除き去ることができないからである。 (J)

へブル人への手紙 10:5 それだから、キリストがこの世にこられたとき、次のように言われた、 「あなたは、いけにえやささげ物を望まれないで、 わたしのために、からだを備えて下さった。 (J)

へブル人への手紙 10:6 あなたは燔祭や罪祭を好まれなかった。 (J)

へブル人への手紙 10:7 その時、わたしは言った、 『神よ、わたしにつき、 巻物の書物に書いてあるとおり、 見よ、御旨を行うためにまいりました』」。 (J)

へブル人への手紙 10:8 ここで、初めに、「あなたは、いけにえとささげ物と燔祭と罪祭と(すなわち、律法に従ってささげられるもの)を望まれず、好まれもしなかった」とあり、 (J)

へブル人への手紙 10:9 次に、「見よ、わたしは御旨を行うためにまいりました」とある。すなわち、彼は、後のものを立てるために、初めのものを廃止されたのである。 (J)

へブル人への手紙 10:10 この御旨に基きただ一度イエス・キリストのからだがささげられたことによって、わたしたちはきよめられたのである。 (J)

へブル人への手紙 10:11 こうして、すべての祭司は立って日ごとに儀式を行い、たびたび同じようないけにえをささげるが、それらは決して罪を除き去ることはできない。 (J)

へブル人への手紙 10:12 しかるに、キリストは多くの罪のために一つの永遠のいけにえをささげた後、神の右に座し、 (J)

へブル人への手紙 10:13 それから、敵をその足台とするときまで、待っておられる。 (J)

へブル人への手紙 10:14 彼は一つのささげ物によって、きよめられた者たちを永遠に全うされたのである。 (J)

へブル人への手紙 10:15 聖霊もまた、わたしたちにあかしをして、 (J)

へブル人への手紙 10:16 「わたしが、それらの日の後、 彼らに対して立てようとする契約はこれであると、 主が言われる。 わたしの律法を彼らの心に与え、 彼らの思いのうちに書きつけよう」 と言い、 (J)

へブル人への手紙 10:17 さらに、「もはや、彼らの罪と彼らの不法とを、思い出すことはしない」と述べている。 (J)

へブル人への手紙 10:18 これらのことに対するゆるしがある以上、罪のためのささげ物は、もはやあり得ない。 (J)

へブル人への手紙 10:19 兄弟たちよ。こういうわけで、わたしたちはイエスの血によって、はばかることなく聖所にはいることができ、 (J)

へブル人への手紙 10:20 彼の肉体なる幕をとおり、わたしたちのために開いて下さった新しい生きた道をとおって、はいって行くことができるのであり、 (J)

へブル人への手紙 10:21 さらに、神の家を治める大いなる祭司があるのだから、 (J)

へブル人への手紙 10:22 心はすすがれて良心のとがめを去り、からだは清い水で洗われ、まごころをもって信仰の確信に満たされつつ、みまえに近づこうではないか。 (J)

へブル人への手紙 10:23 また、約束をして下さったのは忠実なかたであるから、わたしたちの告白する望みを、動くことなくしっかりと持ち続け、 (J)

へブル人への手紙 10:24 愛と善行とを励むように互に努め、 (J)

へブル人への手紙 10:25 ある人たちがいつもしているように、集会をやめることはしないで互に励まし、かの日が近づいているのを見て、ますます、そうしようではないか。 (J)

へブル人への手紙 10:26 もしわたしたちが、真理の知識を受けたのちにもなお、ことさらに罪を犯しつづけるなら、罪のためのいけにえは、もはやあり得ない。 (J)

へブル人への手紙 10:27 ただ、さばきと、逆らう者たちを焼きつくす激しい火とを、恐れつつ待つことだけがある。 (J)

へブル人への手紙 10:28 モーセの律法を無視する者が、あわれみを受けることなしに、二、三の人の証言に基いて死刑に処せられるとすれば、 (J)

へブル人への手紙 10:29 神の子を踏みつけ、自分がきよめられた契約の血を汚れたものとし、さらに恵みの御霊を侮る者は、どんなにか重い刑罰に価することであろう。 (J)

へブル人への手紙 10:30 「復讐はわたしのすることである。わたし自身が報復する」と言われ、また「主はその民をさばかれる」と言われたかたを、わたしたちは知っている。 (J)

へブル人への手紙 10:31 生ける神のみ手のうちに落ちるのは、恐ろしいことである。 (J)

へブル人への手紙 10:32 あなたがたは、光に照されたのち、苦しい大きな戦いによく耐えた初めのころのことを、思い出してほしい。 (J)

へブル人への手紙 10:33 そしられ苦しめられて見せ物にされたこともあれば、このようなめに会った人々の仲間にされたこともあった。 (J)

へブル人への手紙 10:34 さらに獄に入れられた人々を思いやり、また、もっとまさった永遠の宝を持っていることを知って、自分の財産が奪われても喜んでそれを忍んだ。 (J)

へブル人への手紙 10:35 だから、あなたがたは自分の持っている確信を放棄してはいけない。その確信には大きな報いが伴っているのである。 (J)

へブル人への手紙 10:36 神の御旨を行って約束のものを受けるため、あなたがたに必要なのは、忍耐である。 (J)

へブル人への手紙 10:37 「もうしばらくすれば、 きたるべきかたがお見えになる。 遅くなることはない。 (J)

へブル人への手紙 10:38 わが義人は、信仰によって生きる。 もし信仰を捨てるなら、 わたしのたましいはこれを喜ばない」。 (J)

へブル人への手紙 10:39 しかしわたしたちは、信仰を捨てて滅びる者ではなく、信仰に立って、いのちを得る者である。 (J)

へブル人への手紙 11:1 さて、信仰とは、望んでいる事がらを確信し、まだ見ていない事実を確認することである。 (J)

へブル人への手紙 11:2 昔の人たちは、この信仰のゆえに賞賛された。 (J)

へブル人への手紙 11:3 信仰によって、わたしたちは、この世界が神の言葉で造られたのであり、したがって、見えるものは現れているものから出てきたのでないことを、悟るのである。 (J)

へブル人への手紙 11:4 信仰によって、アベルはカインよりもまさったいけにえを神にささげ、信仰によって義なる者と認められた。神が、彼の供え物をよしとされたからである。彼は死んだが、信仰によって今もなお語っている。 (J)

へブル人への手紙 11:5 信仰によって、エノクは死を見ないように天に移された。神がお移しになったので、彼は見えなくなった。彼が移される前に、神に喜ばれた者と、あかしされていたからである。 (J)

へブル人への手紙 11:6 信仰がなくては、神に喜ばれることはできない。なぜなら、神に来る者は、神のいますことと、ご自身を求める者に報いて下さることとを、必ず信じるはずだからである。 (J)

へブル人への手紙 11:7 信仰によって、ノアはまだ見ていない事がらについて御告げを受け、恐れかしこみつつ、その家族を救うために箱舟を造り、その信仰によって世の罪をさばき、そして、信仰による義を受け継ぐ者となった。 (J)

へブル人への手紙 11:8 信仰によって、アブラハムは、受け継ぐべき地に出て行けとの召しをこうむった時、それに従い、行く先を知らないで出て行った。 (J)

へブル人への手紙 11:9 信仰によって、他国にいるようにして約束の地に宿り、同じ約束を継ぐイサク、ヤコブと共に、幕屋に住んだ。 (J)

へブル人への手紙 11:10 彼は、ゆるがぬ土台の上に建てられた都を、待ち望んでいたのである。その都をもくろみ、また建てたのは、神である。 (J)

へブル人への手紙 11:11 信仰によって、サラもまた、年老いていたが、種を宿す力を与えられた。約束をなさったかたは真実であると、信じていたからである。 (J)

へブル人への手紙 11:12 このようにして、ひとりの死んだと同様な人から、天の星のように、海べの数えがたい砂のように、おびただしい人が生れてきたのである。 (J)

へブル人への手紙 11:13 これらの人はみな、信仰をいだいて死んだ。まだ約束のものは受けていなかったが、はるかにそれを望み見て喜び、そして、地上では旅人であり寄留者であることを、自ら言いあらわした。 (J)

へブル人への手紙 11:14 そう言いあらわすことによって、彼らがふるさとを求めていることを示している。 (J)

へブル人への手紙 11:15 もしその出てきた所のことを考えていたなら、帰る機会はあったであろう。 (J)

へブル人への手紙 11:16 しかし実際、彼らが望んでいたのは、もっと良い、天にあるふるさとであった。だから神は、彼らの神と呼ばれても、それを恥とはされなかった。事実、神は彼らのために、都を用意されていたのである。 (J)

へブル人への手紙 11:17 信仰によって、アブラハムは、試錬を受けたとき、イサクをささげた。すなわち、約束を受けていた彼が、そのひとり子をささげたのである。 (J)

へブル人への手紙 11:18 この子については、「イサクから出る者が、あなたの子孫と呼ばれるであろう」と言われていたのであった。 (J)

へブル人への手紙 11:19 彼は、神が死人の中から人をよみがえらせる力がある、と信じていたのである。だから彼は、いわば、イサクを生きかえして渡されたわけである。 (J)

へブル人への手紙 11:20 信仰によって、イサクは、きたるべきことについて、ヤコブとエサウとを祝福した。 (J)

へブル人への手紙 11:21 信仰によって、ヤコブは死のまぎわに、ヨセフの子らをひとりびとり祝福し、そしてそのつえのかしらによりかかって礼拝した。 (J)

へブル人への手紙 11:22 信仰によって、ヨセフはその臨終に、イスラエルの子らの出て行くことを思い、自分の骨のことについてさしずした。 (J)

へブル人への手紙 11:23 信仰によって、モーセの生れたとき、両親は、三か月のあいだ彼を隠した。それは、彼らが子供のうるわしいのを見たからである。彼らはまた、王の命令をも恐れなかった。 (J)

へブル人への手紙 11:24 信仰によって、モーセは、成人したとき、パロの娘の子と言われることを拒み、 (J)

へブル人への手紙 11:25 罪のはかない歓楽にふけるよりは、むしろ神の民と共に虐待されることを選び、 (J)

へブル人への手紙 11:26 キリストのゆえに受けるそしりを、エジプトの宝にまさる富と考えた。それは、彼が報いを望み見ていたからである。 (J)

へブル人への手紙 11:27 信仰によって、彼は王の憤りをも恐れず、エジプトを立ち去った。彼は、見えないかたを見ているようにして、忍びとおした。 (J)

へブル人への手紙 11:28 信仰によって、滅ぼす者が、長子らに手を下すことのないように、彼は過越を行い血を塗った。 (J)

へブル人への手紙 11:29 信仰によって、人々は紅海をかわいた土地をとおるように渡ったが、同じことを企てたエジプト人はおぼれ死んだ。 (J)

へブル人への手紙 11:30 信仰によって、エリコの城壁は、七日にわたってまわったために、くずれおちた。 (J)

へブル人への手紙 11:31 信仰によって、遊女ラハブは、探りにきた者たちをおだやかに迎えたので、不従順な者どもと一緒に滅びることはなかった。 (J)

へブル人への手紙 11:32 このほか、何を言おうか。もしギデオン、バラク、サムソン、エフタ、ダビデ、サムエル及び預言者たちについて語り出すなら、時間が足りないであろう。 (J)

へブル人への手紙 11:33 彼らは信仰によって、国々を征服し、義を行い、約束のものを受け、ししの口をふさぎ、 (J)

へブル人への手紙 11:34 火の勢いを消し、つるぎの刃をのがれ、弱いものは強くされ、戦いの勇者となり、他国の軍を退かせた。 (J)

へブル人への手紙 11:35 女たちは、その死者たちをよみがえらさせてもらった。ほかの者は、更にまさったいのちによみがえるために、拷問の苦しみに甘んじ、放免されることを願わなかった。 (J)

へブル人への手紙 11:36 なおほかの者たちは、あざけられ、むち打たれ、しばり上げられ、投獄されるほどのめに会った。 (J)

へブル人への手紙 11:37 あるいは、石で打たれ、さいなまれ、のこぎりで引かれ、つるぎで切り殺され、羊の皮や、やぎの皮を着て歩きまわり、無一物になり、悩まされ、苦しめられ、 (J)

へブル人への手紙 11:38 (この世は彼らの住む所ではなかった)、荒野と山の中と岩の穴と土の穴とを、さまよい続けた。 (J)

へブル人への手紙 11:39 さて、これらの人々はみな、信仰によってあかしされたが、約束のものは受けなかった。 (J)

へブル人への手紙 11:40 神はわたしたちのために、さらに良いものをあらかじめ備えて下さっているので、わたしたちをほかにしては彼らが全うされることはない。 (J)

へブル人への手紙 12:1 こういうわけで、わたしたちは、このような多くの証人に雲のように囲まれているのであるから、いっさいの重荷と、からみつく罪とをかなぐり捨てて、わたしたちの参加すべき競走を、耐え忍んで走りぬこうではないか。 (J)

へブル人への手紙 12:2 信仰の導き手であり、またその完成者であるイエスを仰ぎ見つつ、走ろうではないか。彼は、自分の前におかれている喜びのゆえに、恥をもいとわないで十字架を忍び、神の御座の右に座するに至ったのである。 (J)

へブル人への手紙 12:3 あなたがたは、弱り果てて意気そそうしないために、罪人らのこのような反抗を耐え忍んだかたのことを、思いみるべきである。 (J)

へブル人への手紙 12:4 あなたがたは、罪と取り組んで戦う時、まだ血を流すほどの抵抗をしたことがない。 (J)

へブル人への手紙 12:5 また子たちに対するように、あなたがたに語られたこの勧めの言葉を忘れている、 「わたしの子よ、 主の訓練を軽んじてはいけない。 主に責められるとき、弱り果ててはならない。 (J)

へブル人への手紙 12:6 主は愛する者を訓練し、 受けいれるすべての子を、 むち打たれるのである」。 (J)

へブル人への手紙 12:7 あなたがたは訓練として耐え忍びなさい。神はあなたがたを、子として取り扱っておられるのである。いったい、父に訓練されない子があるだろうか。 (J)

へブル人への手紙 12:8 だれでも受ける訓練が、あなたがたに与えられないとすれば、それこそ、あなたがたは私生子であって、ほんとうの子ではない。 (J)

へブル人への手紙 12:9 その上、肉親の父はわたしたちを訓練するのに、なお彼をうやまうとすれば、なおさら、わたしたちは、たましいの父に服従して、真に生きるべきではないか。 (J)

へブル人への手紙 12:10 肉親の父は、しばらくの間、自分の考えに従って訓練を与えるが、たましいの父は、わたしたちの益のため、そのきよさにあずからせるために、そうされるのである。 (J)

へブル人への手紙 12:11 すべての訓練は、当座は、喜ばしいものとは思われず、むしろ悲しいものと思われる。しかし後になれば、それによって鍛えられる者に、平安な義の実を結ばせるようになる。 (J)

へブル人への手紙 12:12 それだから、あなたがたのなえた手と、弱くなっているひざとを、まっすぐにしなさい。 (J)

へブル人への手紙 12:13 また、足のなえている者が踏みはずすことなく、むしろいやされるように、あなたがたの足のために、まっすぐな道をつくりなさい。 (J)

へブル人への手紙 12:14 すべての人と相和し、また、自らきよくなるように努めなさい。きよくならなければ、だれも主を見ることはできない。 (J)

へブル人への手紙 12:15 気をつけて、神の恵みからもれることがないように、また、苦い根がはえ出て、あなたがたを悩まし、それによって多くの人が汚されることのないようにしなさい。 (J)

へブル人への手紙 12:16 また、一杯の食のために長子の権利を売ったエサウのように、不品行な俗悪な者にならないようにしなさい。 (J)

へブル人への手紙 12:17 あなたがたの知っているように、彼はその後、祝福を受け継ごうと願ったけれども、捨てられてしまい、涙を流してそれを求めたが、悔改めの機会を得なかったのである。 (J)

へブル人への手紙 12:18 あなたがたが近づいているのは、手で触れることができ、火が燃え、黒雲や暗やみやあらしにつつまれ、 (J)

へブル人への手紙 12:19 また、ラッパの響や、聞いた者たちがそれ以上、耳にしたくないと願ったような言葉がひびいてきた山ではない。 (J)

へブル人への手紙 12:20 そこでは、彼らは、「けものであっても、山に触たら、石で打ち殺されてしまえ」という命令の言葉に、耐えることができなかったのである。 (J)

へブル人への手紙 12:21 その光景が恐ろしかったのでモーセさえも、「わたしは恐ろしさのあまり、おののいている」と言ったほどである。 (J)

へブル人への手紙 12:22 しかしあなたがたが近づいているのは、シオンの山、生ける神の都、天にあるエルサレム、無数の天使の祝会、 (J)

へブル人への手紙 12:23 天に登録されている長子たちの教会、万民の審判者なる神、全うされた義人の霊、 (J)

へブル人への手紙 12:24 新しい契約の仲保者イエス、ならびに、アベルの血よりも力強く語るそそがれた血である。 (J)

へブル人への手紙 12:25 あなたがたは、語っておられるかたを拒むことがないように、注意しなさい。もし地上で御旨を告げた者を拒んだ人々が、罰をのがれることができなかったなら、天から告げ示すかたを退けるわたしたちは、なおさらそうなるのではないか。 (J)

へブル人への手紙 12:26 あの時には、御声が地を震わせた。しかし今は、約束して言われた、「わたしはもう一度、地ばかりでなく天をも震わそう」。 (J)

へブル人への手紙 12:27 この「もう一度」という言葉は、震われないものが残るために、震われるものが、造られたものとして取り除かれることを示している。 (J)

へブル人への手紙 12:28 このように、わたしたちは震われない国を受けているのだから、感謝をしようではないか。そして感謝しつつ、恐れかしこみ、神に喜ばれるように、仕えていこう。 (J)

へブル人への手紙 12:29 わたしたちの神は、実に、焼きつくす火である。 (J)

へブル人への手紙 13:1 兄弟愛を続けなさい。 (J)

へブル人への手紙 13:2 旅人をもてなすことを忘れてはならない。このようにして、ある人々は、気づかないで御使たちをもてなした。 (J)

へブル人への手紙 13:3 獄につながれている人たちを、自分も一緒につながれている心持で思いやりなさい。また、自分も同じ肉体にある者だから、苦しめられている人たちのことを、心にとめなさい。 (J)

へブル人への手紙 13:4 すべての人は、結婚を重んずべきである。また寝床を汚してはならない。神は、不品行な者や姦淫をする者をさばかれる。 (J)

へブル人への手紙 13:5 金銭を愛することをしないで、自分の持っているもので満足しなさい。主は、「わたしは、決してあなたを離れず、あなたを捨てない」と言われた。 (J)

へブル人への手紙 13:6 だから、わたしたちは、はばからずに言おう、 「主はわたしの助け主である。 わたしには恐れはない。 人は、わたしに何ができようか」。 (J)

へブル人への手紙 13:7 神の言をあなたがたに語った指導者たちのことを、いつも思い起しなさい。彼らの生活の最後を見て、その信仰にならいなさい。 (J)

へブル人への手紙 13:8 イエス・キリストは、きのうも、きょうも、いつまでも変ることがない。 (J)

へブル人への手紙 13:9 さまざまな違った教によって、迷わされてはならない。食物によらず、恵みによって、心を強くするがよい。食物によって歩いた者は、益を得ることがなかった。 (J)

へブル人への手紙 13:10 わたしたちには一つの祭壇がある。幕屋で仕えている者たちは、その祭壇の食物をたべる権利はない。 (J)

へブル人への手紙 13:11 なぜなら、大祭司によって罪のためにささげられるけものの血は、聖所のなかに携えて行かれるが、そのからだは、営所の外で焼かれてしまうからである。 (J)

へブル人への手紙 13:12 だから、イエスもまた、ご自分の血で民をきよめるために、門の外で苦難を受けられたのである。 (J)

へブル人への手紙 13:13 したがって、わたしたちも、彼のはずかしめを身に負い、営所の外に出て、みもとに行こうではないか。 (J)

へブル人への手紙 13:14 この地上には、永遠の都はない。きたらんとする都こそ、わたしたちの求めているものである。 (J)

へブル人への手紙 13:15 だから、わたしたちはイエスによって、さんびのいけにえ、すなわち、彼の御名をたたえるくちびるの実を、たえず神にささげようではないか。 (J)

へブル人への手紙 13:16 そして、善を行うことと施しをすることとを、忘れてはいけない。神は、このようないけにえを喜ばれる。 (J)

へブル人への手紙 13:17 あなたがたの指導者たちの言うことを聞きいれて、従いなさい。彼らは、神に言いひらきをすべき者として、あなたがたのたましいのために、目をさましている。彼らが嘆かないで、喜んでこのことをするようにしなさい。そうでないと、あなたがたの益にならない。 (J)

へブル人への手紙 13:18 わたしたちのために、祈ってほしい。わたしたちは明らかな良心を持っていると信じており、何事についても、正しく行動しようと願っている。 (J)

へブル人への手紙 13:19 わたしがあなたがたの所に早く帰れるため、祈ってくれるように、特にお願いする。 (J)

へブル人への手紙 13:20 永遠の契約の血による羊の大牧者、わたしたちの主イエスを、死人の中から引き上げられた平和の神が、 (J)

へブル人への手紙 13:21 イエス・キリストによって、みこころにかなうことをわたしたちにして下さり、あなたがたが御旨を行うために、すべての良きものを備えて下さるようにこい願う。栄光が、世々限りなく神にあるように、アァメン。 (J)

へブル人への手紙 13:22 兄弟たちよ。どうかわたしの勧めの言葉を受けいれてほしい。わたしは、ただ手みじかに書いたのだから。 (J)

へブル人への手紙 13:23 わたしたちの兄弟テモテがゆるされたことを、お知らせする。もし彼が早く来れば、彼と一緒にわたしはあなたがたに会えるだろう。 (J)

へブル人への手紙 13:24 あなたがたの指導者一同と聖徒たち一同に、よろしく伝えてほしい。イタリヤからきた人々から、あなたがたによろしく。 (J)

へブル人への手紙 13:25 恵みが、あなたがた一同にあるように。 (J)

ヤコブの手紙 1:1 ¶ 神と主イエス・キリストとの僕ヤコブから、離散している十二部族の人々へ、あいさつをおくる。 (J)

ヤコブの手紙 1:2 わたしの兄弟たちよ。あなたがたが、いろいろな試錬に会った場合、それをむしろ非常に喜ばしいことと思いなさい。 (J)

ヤコブの手紙 1:3 あなたがたの知っているとおり、信仰がためされることによって、忍耐が生み出されるからである。 (J)

ヤコブの手紙 1:4 だから、なんら欠点のない、完全な、でき上がった人となるように、その忍耐力を十分に働かせるがよい。 (J)

ヤコブの手紙 1:5 あなたがたのうち、知恵に不足している者があれば、その人は、とがめもせずに惜しみなくすべての人に与える神に、願い求めるがよい。そうすれば、与えられるであろう。 (J)

ヤコブの手紙 1:6 ただ、疑わないで、信仰をもって願い求めなさい。疑う人は、風の吹くままに揺れ動く海の波に似ている。 (J)

ヤコブの手紙 1:7 そういう人は、主から何かをいただけるもののように思うべきではない。 (J)

ヤコブの手紙 1:8 そんな人間は、二心の者であって、そのすべての行動に安定がない。 (J)

ヤコブの手紙 1:9 低い身分の兄弟は、自分が高くされたことを喜びなさい。 (J)

ヤコブの手紙 1:10 また、富んでいる者は、自分が低くされたことを喜ぶがよい。富んでいる者は、草花のように過ぎ去るからである。 (J)

ヤコブの手紙 1:11 たとえば、太陽が上って熱風をおくると、草を枯らす。そしてその花は落ち、その美しい姿は消えうせてしまう。それと同じように、富んでいる者も、その一生の旅なかばで没落するであろう。 (J)

ヤコブの手紙 1:12 試錬を耐え忍ぶ人は、さいわいである。それを忍びとおしたなら、神を愛する者たちに約束されたいのちの冠を受けるであろう。 (J)

ヤコブの手紙 1:13 だれでも誘惑に会う場合、「この誘惑は、神からきたものだ」と言ってはならない。神は悪の誘惑に陥るようなかたではなく、また自ら進んで人を誘惑することもなさらない。 (J)

ヤコブの手紙 1:14 人が誘惑に陥るのは、それぞれ、欲に引かれ、さそわれるからである。 (J)

ヤコブの手紙 1:15 欲がはらんで罪を生み、罪が熟して死を生み出す。 (J)

ヤコブの手紙 1:16 愛する兄弟たちよ。思い違いをしてはいけない。 (J)

ヤコブの手紙 1:17 あらゆる良い贈り物、あらゆる完全な賜物は、上から、光の父から下って来る。父には、変化とか回転の影とかいうものはない。 (J)

ヤコブの手紙 1:18 父は、わたしたちを、いわば被造物の初穂とするために、真理の言葉によって御旨のままに、生み出して下さったのである。 (J)

ヤコブの手紙 1:19 愛する兄弟たちよ。このことを知っておきなさい。人はすべて、聞くに早く、語るにおそく、怒るにおそくあるべきである。 (J)

ヤコブの手紙 1:20 人の怒りは、神の義を全うするものではないからである。 (J)

ヤコブの手紙 1:21 だから、すべての汚れや、はなはだしい悪を捨て去って、心に植えつけられている御言を、すなおに受け入れなさい。御言には、あなたがたのたましいを救う力がある。 (J)

ヤコブの手紙 1:22 そして、御言を行う人になりなさい。おのれを欺いて、ただ聞くだけの者となってはいけない。 (J)

ヤコブの手紙 1:23 おおよそ御言を聞くだけで行わない人は、ちょうど、自分の生れつきの顔を鏡に映して見る人のようである。 (J)

ヤコブの手紙 1:24 彼は自分を映して見てそこから立ち去ると、そのとたんに、自分の姿がどんなであったかを忘れてしまう。 (J)

ヤコブの手紙 1:25 これに反して、完全な自由の律法を一心に見つめてたゆまない人は、聞いて忘れてしまう人ではなくて、実際に行う人である。こういう人は、その行いによって祝福される。 (J)

ヤコブの手紙 1:26 もし人が信心深い者だと自任しながら、舌を制することをせず、自分の心を欺いているならば、その人の信心はむなしいものである。 (J)

ヤコブの手紙 1:27 父なる神のみまえに清く汚れのない信心とは、困っている孤児や、やもめを見舞い、自らは世の汚れに染まずに、身を清く保つことにほかならない。 (J)

ヤコブの手紙 2:1 わたしの兄弟たちよ。わたしたちの栄光の主イエス・キリストへの信仰を守るのに、分け隔てをしてはならない。 (J)

ヤコブの手紙 2:2 たとえば、あなたがたの会堂に、金の指輪をはめ、りっぱな着物を着た人がはいって来ると同時に、みすぼらしい着物を着た貧しい人がはいってきたとする。 (J)

ヤコブの手紙 2:3 その際、りっぱな着物を着た人に対しては、うやうやしく「どうぞ、こちらの良い席にお掛け下さい」と言い、貧しい人には、「あなたは、そこに立っていなさい。それとも、わたしの足もとにすわっているがよい」と言ったとしたら、 (J)

ヤコブの手紙 2:4 あなたがたは、自分たちの間で差別立てをし、よからぬ考えで人をさばく者になったわけではないか。 (J)

ヤコブの手紙 2:5 愛する兄弟たちよ。よく聞きなさい。神は、この世の貧しい人たちを選んで信仰に富ませ、神を愛する者たちに約束された御国の相続者とされたではないか。 (J)

ヤコブの手紙 2:6 しかるに、あなたがたは貧しい人をはずかしめたのである。あなたがたをしいたげ、裁判所に引きずり込むのは、富んでいる者たちではないか。 (J)

ヤコブの手紙 2:7 あなたがたに対して唱えられた尊い御名を汚すのは、実に彼らではないか。 (J)

ヤコブの手紙 2:8 しかし、もしあなたがたが、「自分を愛するように、あなたの隣り人を愛せよ」という聖書の言葉に従って、このきわめて尊い律法を守るならば、それは良いことである。 (J)

ヤコブの手紙 2:9 しかし、もし分け隔てをするならば、あなたがたは罪を犯すことになり、律法によって違反者として宣告される。 (J)

ヤコブの手紙 2:10 なぜなら、律法をことごとく守ったとしても、その一つの点にでも落ち度があれば、全体を犯したことになるからである。 (J)

ヤコブの手紙 2:11 たとえば、「姦淫するな」と言われたかたは、また「殺すな」とも仰せになった。そこで、たとい姦淫はしなくても、人殺しをすれば、律法の違反者になったことになる。 (J)

ヤコブの手紙 2:12 だから、自由の律法によってさばかるべき者らしく語り、かつ行いなさい。 (J)

ヤコブの手紙 2:13 あわれみを行わなかった者に対しては、仮借のないさばきが下される。あわれみは、さばきにうち勝つ。 (J)

ヤコブの手紙 2:14 わたしの兄弟たちよ。ある人が自分には信仰があると称していても、もし行いがなかったら、なんの役に立つか。その信仰は彼を救うことができるか。 (J)

ヤコブの手紙 2:15 ある兄弟または姉妹が裸でいて、その日の食物にもこと欠いている場合、 (J)

ヤコブの手紙 2:16 あなたがたのうち、だれかが、「安らかに行きなさい。暖まって、食べ飽きなさい」と言うだけで、そのからだに必要なものを何ひとつ与えなかったとしたら、なんの役に立つか。 (J)

ヤコブの手紙 2:17 信仰も、それと同様に、行いを伴わなければ、それだけでは死んだものである。 (J)

ヤコブの手紙 2:18 しかし、「ある人には信仰があり、またほかの人には行いがある」と言う者があろう。それなら、行いのないあなたの信仰なるものを見せてほしい。そうしたら、わたしの行いによって信仰を見せてあげよう。 (J)

ヤコブの手紙 2:19 あなたは、神はただひとりであると信じているのか。それは結構である。悪霊どもでさえ、信じておののいている。 (J)

ヤコブの手紙 2:20 ああ、愚かな人よ。行いを伴わない信仰のむなしいことを知りたいのか。 (J)

ヤコブの手紙 2:21 わたしたちの父祖アブラハムは、その子イサクを祭壇にささげた時、行いによって義とされたのではなかったか。 (J)

ヤコブの手紙 2:22 あなたが知っているとおり、彼においては、信仰が行いと共に働き、その行いによって信仰が全うされ、 (J)

ヤコブの手紙 2:23 こうして、「アブラハムは神を信じた。それによって、彼は義と認められた」という聖書の言葉が成就し、そして、彼は「神の友」と唱えられたのである。 (J)

ヤコブの手紙 2:24 これでわかるように、人が義とされるのは、行いによるのであって、信仰だけによるのではない。 (J)

ヤコブの手紙 2:25 同じように、かの遊女ラハブでさえも、使者たちをもてなし、彼らを別な道から送り出した時、行いによって義とされたではないか。 (J)

ヤコブの手紙 2:26 霊魂のないからだが死んだものであると同様に、行いのない信仰も死んだものなのである。 (J)

ヤコブの手紙 3:1 わたしの兄弟たちよ。あなたがたのうち多くの者は、教師にならないがよい。わたしたち教師が、他の人たちよりも、もっときびしいさばきを受けることが、よくわかっているからである。 (J)

ヤコブの手紙 3:2 わたしたちは皆、多くのあやまちを犯すものである。もし、言葉の上であやまちのない人があれば、そういう人は、全身をも制御することのできる完全な人である。 (J)

ヤコブの手紙 3:3 馬を御するために、その口にくつわをはめるなら、その全身を引きまわすことができる。 (J)

ヤコブの手紙 3:4 また船を見るがよい。船体が非常に大きく、また激しい風に吹きまくられても、ごく小さなかじ一つで、操縦者の思いのままに運転される。 (J)

ヤコブの手紙 3:5 それと同じく、舌は小さな器官ではあるが、よく大言壮語する。見よ、ごく小さな火でも、非常に大きな森を燃やすではないか。 (J)

ヤコブの手紙 3:6 舌は火である。不義の世界である。舌は、わたしたちの器官の一つとしてそなえられたものであるが、全身を汚し、生存の車輪を燃やし、自らは地獄の火で焼かれる。 (J)

ヤコブの手紙 3:7 あらゆる種類の獣、鳥、這うもの、海の生物は、すべて人類に制せられるし、また制せられてきた。 (J)

ヤコブの手紙 3:8 ところが、舌を制しうる人は、ひとりもいない。それは、制しにくい悪であって、死の毒に満ちている。 (J)

ヤコブの手紙 3:9 わたしたちは、この舌で父なる主をさんびし、また、その同じ舌で、神にかたどって造られた人間をのろっている。 (J)

ヤコブの手紙 3:10 同じ口から、さんびとのろいとが出て来る。わたしの兄弟たちよ。このような事は、あるべきでない。 (J)

ヤコブの手紙 3:11 泉が、甘い水と苦い水とを、同じ穴からふき出すことがあろうか。 (J)

ヤコブの手紙 3:12 わたしの兄弟たちよ。いちじくの木がオリブの実を結び、ぶどうの木がいちじくの実を結ぶことができようか。塩水も、甘い水を出すことはできない。 (J)

ヤコブの手紙 3:13 あなたがたのうちで、知恵があり物わかりのよい人は、だれであるか。その人は、知恵にかなう柔和な行いをしていることを、よい生活によって示すがよい。 (J)

ヤコブの手紙 3:14 しかし、もしあなたがたの心の中に、苦々しいねたみや党派心をいだいているのなら、誇り高ぶってはならない。また、真理にそむいて偽ってはならない。 (J)

ヤコブの手紙 3:15 そのような知恵は、上から下ってきたものではなくて、地につくもの、肉に属するもの、悪魔的なものである。 (J)

ヤコブの手紙 3:16 ねたみと党派心とのあるところには、混乱とあらゆる忌むべき行為とがある。 (J)

ヤコブの手紙 3:17 しかし上からの知恵は、第一に清く、次に平和、寛容、温順であり、あわれみと良い実とに満ち、かたより見ず、偽りがない。 (J)

ヤコブの手紙 3:18 義の実は、平和を造り出す人たちによって、平和のうちにまかれるものである。 (J)

ヤコブの手紙 4:1 あなたがたの中の戦いや争いは、いったい、どこから起るのか。それはほかではない。あなたがたの肢体の中で相戦う欲情からではないか。 (J)

ヤコブの手紙 4:2 あなたがたは、むさぼるが得られない。そこで人殺しをする。熱望するが手に入れることができない。そこで争い戦う。あなたがたは、求めないから得られないのだ。 (J)

ヤコブの手紙 4:3 求めても与えられないのは、快楽のために使おうとして、悪い求め方をするからだ。 (J)

ヤコブの手紙 4:4 不貞のやからよ。世を友とするのは、神への敵対であることを、知らないか。おおよそ世の友となろうと思う者は、自らを神の敵とするのである。 (J)

ヤコブの手紙 4:5 それとも、「神は、わたしたちの内に住まわせた霊を、ねたむほどに愛しておられる」と聖書に書いてあるのは、むなしい言葉だと思うのか。 (J)

ヤコブの手紙 4:6 しかし神は、いや増しに恵みを賜う。であるから、「神は高ぶる者をしりぞけ、へりくだる者に恵みを賜う」とある。 (J)

ヤコブの手紙 4:7 そういうわけだから、神に従いなさい。そして、悪魔に立ちむかいなさい。そうすれば、彼はあなたがたから逃げ去るであろう。 (J)

ヤコブの手紙 4:8 神に近づきなさい。そうすれば、神はあなたがたに近づいて下さるであろう。罪人どもよ、手をきよめよ。二心の者どもよ、心を清くせよ。 (J)

ヤコブの手紙 4:9 苦しめ、悲しめ、泣け。あなたがたの笑いを悲しみに、喜びを憂いに変えよ。 (J)

ヤコブの手紙 4:10 主のみまえにへりくだれ。そうすれば、主は、あなたがたを高くして下さるであろう。 (J)

ヤコブの手紙 4:11 兄弟たちよ。互に悪口を言い合ってはならない。兄弟の悪口を言ったり、自分の兄弟をさばいたりする者は、律法をそしり、律法をさばくやからである。もしあなたが律法をさばくなら、律法の実行者ではなくて、その審判者なのである。 (J)

ヤコブの手紙 4:12 しかし、立法者であり審判者であるかたは、ただひとりであって、救うことも滅ぼすこともできるのである。しかるに、隣り人をさばくあなたは、いったい、何者であるか。 (J)

ヤコブの手紙 4:13 よく聞きなさい。「きょうか、あす、これこれの町へ行き、そこに一か年滞在し、商売をして一もうけしよう」と言う者たちよ。 (J)

ヤコブの手紙 4:14 あなたがたは、あすのこともわからぬ身なのだ。あなたがたのいのちは、どんなものであるか。あなたがたは、しばしの間あらわれて、たちまち消え行く霧にすぎない。 (J)

ヤコブの手紙 4:15 むしろ、あなたがたは「主のみこころであれば、わたしは生きながらえもし、あの事この事もしよう」と言うべきである。 (J)

ヤコブの手紙 4:16 ところが、あなたがたは誇り高ぶっている。このような高慢は、すべて悪である。 (J)

ヤコブの手紙 4:17 人が、なすべき善を知りながら行わなければ、それは彼にとって罪である。 (J)

ヤコブの手紙 5:1 富んでいる人たちよ。よく聞きなさい。あなたがたは、自分の身に降りかかろうとしているわざわいを思って、泣き叫ぶがよい。 (J)

ヤコブの手紙 5:2 あなたがたの富は朽ち果て、着物はむしばまれ、 (J)

ヤコブの手紙 5:3 金銀はさびている。そして、そのさびの毒は、あなたがたの罪を責め、あなたがたの肉を火のように食いつくすであろう。あなたがたは、終りの時にいるのに、なお宝をたくわえている。 (J)

ヤコブの手紙 5:4 見よ、あなたがたが労働者たちに畑の刈入れをさせながら、支払わずにいる賃銀が、叫んでいる。そして、刈入れをした人たちの叫び声が、すでに万軍の主の耳に達している。 (J)

ヤコブの手紙 5:5 あなたがたは、地上でおごり暮し、快楽にふけり、「ほふらるる日」のために、おのが心を肥やしている。 (J)

ヤコブの手紙 5:6 そして、義人を罪に定め、これを殺した。しかも彼は、あなたがたに抵抗しない。 (J)

ヤコブの手紙 5:7 だから、兄弟たちよ。主の来臨の時まで耐え忍びなさい。見よ、農夫は、地の尊い実りを、前の雨と後の雨とがあるまで、耐え忍んで待っている。 (J)

ヤコブの手紙 5:8 あなたがたも、主の来臨が近づいているから、耐え忍びなさい。心を強くしていなさい。 (J)

ヤコブの手紙 5:9 兄弟たちよ。互に不平を言い合ってはならない。さばきを受けるかも知れないから。見よ、さばき主が、すでに戸口に立っておられる。 (J)

ヤコブの手紙 5:10 兄弟たちよ。苦しみを耐え忍ぶことについては、主の御名によって語った預言者たちを模範にするがよい。 (J)

ヤコブの手紙 5:11 忍び抜いた人たちはさいわいであると、わたしたちは思う。あなたがたは、ヨブの忍耐のことを聞いている。また、主が彼になさったことの結末を見て、主がいかに慈愛とあわれみとに富んだかたであるかが、わかるはずである。 (J)

ヤコブの手紙 5:12 さて、わたしの兄弟たちよ。何はともあれ、誓いをしてはならない。天をさしても、地をさしても、あるいは、そのほかのどんな誓いによっても、いっさい誓ってはならない。むしろ、「しかり」を「しかり」とし、「否」を「否」としなさい。そうしないと、あなたがたは、さばきを受けることになる。 (J)

ヤコブの手紙 5:13 あなたがたの中に、苦しんでいる者があるか。その人は、祈るがよい。喜んでいる者があるか。その人は、さんびするがよい。 (J)

ヤコブの手紙 5:14 あなたがたの中に、病んでいる者があるか。その人は、教会の長老たちを招き、主の御名によって、オリブ油を注いで祈ってもらうがよい。 (J)

ヤコブの手紙 5:15 信仰による祈は、病んでいる人を救い、そして、主はその人を立ちあがらせて下さる。かつ、その人が罪を犯していたなら、それもゆるされる。 (J)

ヤコブの手紙 5:16 だから、互に罪を告白し合い、また、いやされるようにお互のために祈りなさい。義人の祈は、大いに力があり、効果のあるものである。 (J)

ヤコブの手紙 5:17 エリヤは、わたしたちと同じ人間であったが、雨が降らないようにと祈をささげたところ、三年六か月のあいだ、地上に雨が降らなかった。 (J)

ヤコブの手紙 5:18 それから、ふたたび祈ったところ、天は雨を降らせ、地はその実をみのらせた。 (J)

ヤコブの手紙 5:19 わたしの兄弟たちよ。あなたがたのうち、真理の道から踏み迷う者があり、だれかが彼を引きもどすなら、 (J)

ヤコブの手紙 5:20 かように罪人を迷いの道から引きもどす人は、そのたましいを死から救い出し、かつ、多くの罪をおおうものであることを、知るべきである。 (J)

ペテロの手紙Ⅰ 1:1 ¶ イエス・キリストの使徒ペテロから、ポント、ガラテヤ、カパドキヤ、アジヤおよびビテニヤに離散し寄留している人たち、 (J)

ペテロの手紙Ⅰ 1:2 すなわち、イエス・キリストに従い、かつ、その血のそそぎを受けるために、父なる神の予知されたところによって選ばれ、御霊のきよめにあずかっている人たちへ。 恵みと平安とが、あなたがたに豊かに加わるように。 (J)

ペテロの手紙Ⅰ 1:3 ほむべきかな、わたしたちの主イエス・キリストの父なる神。神は、その豊かなあわれみにより、イエス・キリストを死人の中からよみがえらせ、それにより、わたしたちを新たに生れさせて生ける望みをいだかせ、 (J)

ペテロの手紙Ⅰ 1:4 あなたがたのために天にたくわえてある、朽ちず汚れず、しぼむことのない資産を受け継ぐ者として下さったのである。 (J)

ペテロの手紙Ⅰ 1:5 あなたがたは、終りの時に啓示さるべき救にあずかるために、信仰により神の御力に守られているのである。 (J)

ペテロの手紙Ⅰ 1:6 そのことを思って、今しばらくのあいだは、さまざまな試錬で悩まねばならないかも知れないが、あなたがたは大いに喜んでいる。 (J)

ペテロの手紙Ⅰ 1:7 こうして、あなたがたの信仰はためされて、火で精錬されても朽ちる外はない金よりもはるかに尊いことが明らかにされ、イエス・キリストの現れるとき、さんびと栄光とほまれとに変るであろう。 (J)

ペテロの手紙Ⅰ 1:8 あなたがたは、イエス・キリストを見たことはないが、彼を愛している。現在、見てはいないけれども、信じて、言葉につくせない、輝きにみちた喜びにあふれている。 (J)

ペテロの手紙Ⅰ 1:9 それは、信仰の結果なるたましいの救を得ているからである。 (J)

ペテロの手紙Ⅰ 1:10 この救については、あなたがたに対する恵みのことを預言した預言者たちも、たずね求め、かつ、つぶさに調べた。 (J)

ペテロの手紙Ⅰ 1:11 彼らは、自分たちのうちにいますキリストの霊が、キリストの苦難とそれに続く栄光とを、あらかじめあかしした時、それは、いつの時、どんな場合をさしたのかを、調べたのである。 (J)

ペテロの手紙Ⅰ 1:12 そして、それらについて調べたのは、自分たちのためではなくて、あなたがたのための奉仕であることを示された。それらの事は、天からつかわされた聖霊に感じて福音をあなたがたに宣べ伝えた人々によって、今や、あなたがたに告げ知らされたのであるが、これは、御使たちも、うかがい見たいと願っている事である。 (J)

ペテロの手紙Ⅰ 1:13 それだから、心の腰に帯を締め、身を慎み、イエス・キリストの現れる時に与えられる恵みを、いささかも疑わずに待ち望んでいなさい。 (J)

ペテロの手紙Ⅰ 1:14 従順な子供として、無知であった時代の欲情に従わず、 (J)

ペテロの手紙Ⅰ 1:15 むしろ、あなたがたを召して下さった聖なるかたにならって、あなたがた自身も、あらゆる行いにおいて聖なる者となりなさい。 (J)

ペテロの手紙Ⅰ 1:16 聖書に、「わたしが聖なる者であるから、あなたがたも聖なる者になるべきである」と書いてあるからである。 (J)

ペテロの手紙Ⅰ 1:17 あなたがたは、人をそれぞれのしわざに応じて、公平にさばくかたを、父と呼んでいるからには、地上に宿っている間を、おそれの心をもって過ごすべきである。 (J)

ペテロの手紙Ⅰ 1:18 あなたがたのよく知っているとおり、あなたがたが先祖伝来の空疎な生活からあがない出されたのは、銀や金のような朽ちる物によったのではなく、 (J)

ペテロの手紙Ⅰ 1:19 きずも、しみもない小羊のようなキリストの尊い血によったのである。 (J)

ペテロの手紙Ⅰ 1:20 キリストは、天地が造られる前から、あらかじめ知られていたのであるが、この終りの時に至って、あなたがたのために現れたのである。 (J)

ペテロの手紙Ⅰ 1:21 あなたがたは、このキリストによって、彼を死人の中からよみがえらせて、栄光をお与えになった神を信じる者となったのであり、したがって、あなたがたの信仰と望みとは、神にかかっているのである。 (J)

ペテロの手紙Ⅰ 1:22 あなたがたは、真理に従うことによって、たましいをきよめ、偽りのない兄弟愛をいだくに至ったのであるから、互に心から熱く愛し合いなさい。 (J)

ペテロの手紙Ⅰ 1:23 あなたがたが新たに生れたのは、朽ちる種からではなく、朽ちない種から、すなわち、神の変ることのない生ける御言によったのである。 (J)

ペテロの手紙Ⅰ 1:24 「人はみな草のごとく、 その栄華はみな草の花に似ている。 草は枯れ、 花は散る。 しかし、主の言葉は、とこしえに残る」。 (J)

ペテロの手紙Ⅰ 1:25 これが、あなたがたに宣べ伝えられた御言葉である。 (J)

ペテロの手紙Ⅰ 2:1 だから、あらゆる悪意、あらゆる偽り、偽善、そねみ、いっさいの悪口を捨てて、 (J)

ペテロの手紙Ⅰ 2:2 今生れたばかりの乳飲み子のように、混じりけのない霊の乳を慕い求めなさい。それによっておい育ち、救に入るようになるためである。 (J)

ペテロの手紙Ⅰ 2:3 あなたがたは、主が恵み深いかたであることを、すでに味わい知ったはずである。 (J)

ペテロの手紙Ⅰ 2:4 主は、人には捨てられたが、神にとっては選ばれた尊い生ける石である。 (J)

ペテロの手紙Ⅰ 2:5 この主のみもとにきて、あなたがたも、それぞれ生ける石となって、霊の家に築き上げられ、聖なる祭司となって、イエス・キリストにより、神によろこばれる霊のいけにえを、ささげなさい。 (J)

ペテロの手紙Ⅰ 2:6 聖書にこう書いてある、 「見よ、わたしはシオンに、 選ばれた尊い石、隅のかしら石を置く。 それにより頼む者は、 決して、失望に終ることがない」。 (J)

ペテロの手紙Ⅰ 2:7 この石は、より頼んでいるあなたがたには尊いものであるが、不信仰な人々には「家造りらの捨てた石で、隅のかしら石となったもの」、 (J)

ペテロの手紙Ⅰ 2:8 また「つまずきの石、妨げの岩」である。しかし、彼らがつまずくのは、御言に従わないからであって、彼らは、実は、そうなるように定められていたのである。 (J)

ペテロの手紙Ⅰ 2:9 しかし、あなたがたは、選ばれた種族、祭司の国、聖なる国民、神につける民である。それによって、暗やみから驚くべきみ光に招き入れて下さったかたのみわざを、あなたがたが語り伝えるためである。 (J)

ペテロの手紙Ⅰ 2:10 あなたがたは、以前は神の民でなかったが、いまは神の民であり、以前は、あわれみを受けたことのない者であったが、いまは、あわれみを受けた者となっている。 (J)

ペテロの手紙Ⅰ 2:11 愛する者たちよ。あなたがたに勧める。あなたがたは、この世の旅人であり寄留者であるから、たましいに戦いをいどむ肉の欲を避けなさい。 (J)

ペテロの手紙Ⅰ 2:12 異邦人の中にあって、りっぱな行いをしなさい。そうすれば、彼らは、あなたがたを悪人呼ばわりしていても、あなたがたのりっぱなわざを見て、かえって、おとずれの日に神をあがめるようになろう。 (J)

ペテロの手紙Ⅰ 2:13 あなたがたは、すべて人の立てた制度に、主のゆえに従いなさい。主権者としての王であろうと、 (J)

ペテロの手紙Ⅰ 2:14 あるいは、悪を行う者を罰し善を行う者を賞するために、王からつかわされた長官であろうと、これに従いなさい。 (J)

ペテロの手紙Ⅰ 2:15 善を行うことによって、愚かな人々の無知な発言を封じるのは、神の御旨なのである。 (J)

ペテロの手紙Ⅰ 2:16 自由人にふさわしく行動しなさい。ただし、自由をば悪を行う口実として用いず、神の僕にふさわしく行動しなさい。 (J)

ペテロの手紙Ⅰ 2:17 すべての人をうやまい、兄弟たちを愛し、神をおそれ、王を尊びなさい。 (J)

ペテロの手紙Ⅰ 2:18 僕たる者よ。心からのおそれをもって、主人に仕えなさい。善良で寛容な主人だけにでなく、気むずかしい主人にも、そうしなさい。 (J)

ペテロの手紙Ⅰ 2:19 もしだれかが、不当な苦しみを受けても、神を仰いでその苦痛を耐え忍ぶなら、それはよみせられることである。 (J)

ペテロの手紙Ⅰ 2:20 悪いことをして打ちたたかれ、それを忍んだとしても、なんの手柄になるのか。しかし善を行って苦しみを受け、しかもそれを耐え忍んでいるとすれば、これこそ神によみせられることである。 (J)

ペテロの手紙Ⅰ 2:21 あなたがたは、実に、そうするようにと召されたのである。キリストも、あなたがたのために苦しみを受け、御足の跡を踏み従うようにと、模範を残されたのである。 (J)

ペテロの手紙Ⅰ 2:22 キリストは罪を犯さず、その口には偽りがなかった。 (J)

ペテロの手紙Ⅰ 2:23 ののしられても、ののしりかえさず、苦しめられても、おびやかすことをせず、正しいさばきをするかたに、いっさいをゆだねておられた。 (J)

ペテロの手紙Ⅰ 2:24 さらに、わたしたちが罪に死に、義に生きるために、十字架にかかって、わたしたちの罪をご自分の身に負われた。その傷によって、あなたがたは、いやされたのである。 (J)

ペテロの手紙Ⅰ 2:25 あなたがたは、羊のようにさ迷っていたが、今は、たましいの牧者であり監督であるかたのもとに、たち帰ったのである。 (J)

ペテロの手紙Ⅰ 3:1 同じように、妻たる者よ。夫に仕えなさい。そうすれば、たとい御言に従わない夫であっても、 (J)

ペテロの手紙Ⅰ 3:2 あなたがたのうやうやしく清い行いを見て、その妻の無言の行いによって、救に入れられるようになるであろう。 (J)

ペテロの手紙Ⅰ 3:3 あなたがたは、髪を編み、金の飾りをつけ、服装をととのえるような外面の飾りではなく、 (J)

ペテロの手紙Ⅰ 3:4 かくれた内なる人、柔和で、しとやかな霊という朽ちることのない飾りを、身につけるべきである。これこそ、神のみまえに、きわめて尊いものである。 (J)

ペテロの手紙Ⅰ 3:5 むかし、神を仰ぎ望んでいた聖なる女たちも、このように身を飾って、その夫に仕えたのである。 (J)

ペテロの手紙Ⅰ 3:6 たとえば、サラはアブラハムに仕えて、彼を主と呼んだ。あなたがたも、何事にもおびえ臆することなく善を行えば、サラの娘たちとなるのである。 (J)

ペテロの手紙Ⅰ 3:7 夫たる者よ。あなたがたも同じように、女は自分よりも弱い器であることを認めて、知識に従って妻と共に住み、いのちの恵みを共どもに受け継ぐ者として、尊びなさい。それは、あなたがたの祈が妨げられないためである。 (J)

ペテロの手紙Ⅰ 3:8 最後に言う。あなたがたは皆、心をひとつにし、同情し合い、兄弟愛をもち、あわれみ深くあり、謙虚でありなさい。 (J)

ペテロの手紙Ⅰ 3:9 悪をもって悪に報いず、悪口をもって悪口に報いず、かえって、祝福をもって報いなさい。あなたがたが召されたのは、祝福を受け継ぐためなのである。 (J)

ペテロの手紙Ⅰ 3:10 「いのちを愛し、 さいわいな日々を過ごそうと願う人は、 舌を制して悪を言わず、 くちびるを閉じて偽りを語らず、 (J)

ペテロの手紙Ⅰ 3:11 悪を避けて善を行い、 平和を求めて、これを追え。 (J)

ペテロの手紙Ⅰ 3:12 主の目は義人たちに注がれ、 主の耳は彼らの祈にかたむく。 しかし主の御顔は、悪を行う者に対して向かう」。 (J)

ペテロの手紙Ⅰ 3:13 そこで、もしあなたがたが善に熱心であれば、だれが、あなたがたに危害を加えようか。 (J)

ペテロの手紙Ⅰ 3:14 しかし、万一義のために苦しむようなことがあっても、あなたがたはさいわいである。彼らを恐れたり、心を乱したりしてはならない。 (J)

ペテロの手紙Ⅰ 3:15 ただ、心の中でキリストを主とあがめなさい。また、あなたがたのうちにある望みについて説明を求める人には、いつでも弁明のできる用意をしていなさい。 (J)

ペテロの手紙Ⅰ 3:16 しかし、やさしく、慎み深く、明らかな良心をもって、弁明しなさい。そうすれば、あなたがたがキリストにあって営んでいる良い生活をそしる人々も、そのようにののしったことを恥じいるであろう。 (J)

ペテロの手紙Ⅰ 3:17 善をおこなって苦しむことは――それが神の御旨であれば――悪をおこなって苦しむよりも、まさっている。 (J)

ペテロの手紙Ⅰ 3:18 キリストも、あなたがたを神に近づけようとして、自らは義なるかたであるのに、不義なる人々のために、ひとたび罪のゆえに死なれた。ただし、肉においては殺されたが、霊においては生かされたのである。 (J)

ペテロの手紙Ⅰ 3:19 こうして、彼は獄に捕われている霊どものところに下って行き、宣べ伝えることをされた。 (J)

ペテロの手紙Ⅰ 3:20 これらの霊というのは、むかしノアの箱舟が造られていた間、神が寛容をもって待っておられたのに従わなかった者どものことである。その箱舟に乗り込み、水を経て救われたのは、わずかに八名だけであった。 (J)

ペテロの手紙Ⅰ 3:21 この水はバプテスマを象徴するものであって、今やあなたがたをも救うのである。それは、イエス・キリストの復活によるのであって、からだの汚れを除くことではなく、明らかな良心を神に願い求めることである。 (J)

ペテロの手紙Ⅰ 3:22 キリストは天に上って神の右に座し、天使たちともろもろの権威、権力を従えておられるのである。 (J)

ペテロの手紙Ⅰ 4:1 このように、キリストは肉において苦しまれたのであるから、あなたがたも同じ覚悟で心の武装をしなさい。肉において苦しんだ人は、それによって罪からのがれたのである。 (J)

ペテロの手紙Ⅰ 4:2 それは、肉における残りの生涯を、もはや人間の欲情によらず、神の御旨によって過ごすためである。 (J)

ペテロの手紙Ⅰ 4:3 過ぎ去った時代には、あなたがたは、異邦人の好みにまかせて、好色、欲情、酔酒、宴楽、暴飲、気ままな偶像礼拝などにふけってきたが、もうそれで十分であろう。 (J)

ペテロの手紙Ⅰ 4:4 今はあなたがたが、そうした度を過ごした乱行に加わらないので、彼らは驚きあやしみ、かつ、ののしっている。 (J)

ペテロの手紙Ⅰ 4:5 彼らは、やがて生ける者と死ねる者とをさばくかたに、申し開きをしなくてはならない。 (J)

ペテロの手紙Ⅰ 4:6 死人にさえ福音が宣べ伝えられたのは、彼らは肉においては人間としてさばきを受けるが、霊においては神に従って生きるようになるためである。 (J)

ペテロの手紙Ⅰ 4:7 万物の終りが近づいている。だから、心を確かにし、身を慎んで、努めて祈りなさい。 (J)

ペテロの手紙Ⅰ 4:8 何よりもまず、互の愛を熱く保ちなさい。愛は多くの罪をおおうものである。 (J)

ペテロの手紙Ⅰ 4:9 不平を言わずに、互にもてなし合いなさい。 (J)

ペテロの手紙Ⅰ 4:10 あなたがたは、それぞれ賜物をいただいているのだから、神のさまざまな恵みの良き管理人として、それをお互のために役立てるべきである。 (J)

ペテロの手紙Ⅰ 4:11 語る者は、神の御言を語る者にふさわしく語り、奉仕する者は、神から賜わる力による者にふさわしく奉仕すべきである。それは、すべてのことにおいてイエス・キリストによって、神があがめられるためである。栄光と力とが世々限りなく、彼にあるように、アァメン。 (J)

ペテロの手紙Ⅰ 4:12 愛する者たちよ。あなたがたを試みるために降りかかって来る火のような試錬を、何か思いがけないことが起ったかのように驚きあやしむことなく、 (J)

ペテロの手紙Ⅰ 4:13 むしろ、キリストの苦しみにあずかればあずかるほど、喜ぶがよい。それは、キリストの栄光が現れる際に、よろこびにあふれるためである。 (J)

ペテロの手紙Ⅰ 4:14 キリストの名のためにそしられるなら、あなたがたはさいわいである。その時には、栄光の霊、神の霊が、あなたがたに宿るからである。 (J)

ペテロの手紙Ⅰ 4:15 あなたがたのうち、だれも、人殺し、盗人、悪を行う者、あるいは、他人に干渉する者として苦しみに会うことのないようにしなさい。 (J)

ペテロの手紙Ⅰ 4:16 しかし、クリスチャンとして苦しみを受けるのであれば、恥じることはない。かえって、この名によって神をあがめなさい。 (J)

ペテロの手紙Ⅰ 4:17 さばきが神の家から始められる時がきた。それが、わたしたちからまず始められるとしたら、神の福音に従わない人々の行く末は、どんなであろうか。 (J)

ペテロの手紙Ⅰ 4:18 また義人でさえ、かろうじて救われるのだとすれば、不信なる者や罪人は、どうなるであろうか。 (J)

ペテロの手紙Ⅰ 4:19 だから、神の御旨に従って苦しみを受ける人々は、善をおこない、そして、真実であられる創造者に、自分のたましいをゆだねるがよい。 (J)

ペテロの手紙Ⅰ 5:1 そこで、あなたがたのうちの長老たちに勧める。わたしも、長老のひとりで、キリストの苦難についての証人であり、また、やがて現れようとする栄光にあずかる者である。 (J)

ペテロの手紙Ⅰ 5:2 あなたがたにゆだねられている神の羊の群れを牧しなさい。しいられてするのではなく、神に従って自ら進んでなし、恥ずべき利得のためではなく、本心から、それをしなさい。 (J)

ペテロの手紙Ⅰ 5:3 また、ゆだねられた者たちの上に権力をふるうことをしないで、むしろ、群れの模範となるべきである。 (J)

ペテロの手紙Ⅰ 5:4 そうすれば、大牧者が現れる時には、しぼむことのない栄光の冠を受けるであろう。 (J)

ペテロの手紙Ⅰ 5:5 同じように、若い人たちよ。長老たちに従いなさい。また、みな互に謙遜を身につけなさい。神は高ぶる者をしりぞけ、へりくだる者に恵みを賜うからである。 (J)

ペテロの手紙Ⅰ 5:6 だから、あなたがたは、神の力強い御手の下に、自らを低くしなさい。時が来れば神はあなたがたを高くして下さるであろう。 (J)

ペテロの手紙Ⅰ 5:7 神はあなたがたをかえりみていて下さるのであるから、自分の思いわずらいを、いっさい神にゆだねるがよい。 (J)

ペテロの手紙Ⅰ 5:8 身を慎み、目をさましていなさい。あなたがたの敵である悪魔が、ほえたけるししのように、食いつくすべきものを求めて歩き回っている。 (J)

ペテロの手紙Ⅰ 5:9 この悪魔にむかい、信仰にかたく立って、抵抗しなさい。あなたがたのよく知っているとおり、全世界にいるあなたがたの兄弟たちも、同じような苦しみの数々に会っているのである。 (J)

ペテロの手紙Ⅰ 5:10 あなたがたをキリストにある永遠の栄光に招き入れて下さったあふるる恵みの神は、しばらくの苦しみの後、あなたがたをいやし、強め、力づけ、不動のものとして下さるであろう。 (J)

ペテロの手紙Ⅰ 5:11 どうか、力が世々限りなく、神にあるように、アァメン。 (J)

ペテロの手紙Ⅰ 5:12 わたしは、忠実な兄弟として信頼しているシルワノの手によって、この短い手紙をあなたがたにおくり、勧めをし、また、これが神のまことの恵みであることをあかしした。この恵みのうちに、かたく立っていなさい。 (J)

ペテロの手紙Ⅰ 5:13 あなたがたと共に選ばれてバビロンにある教会、ならびに、わたしの子マルコから、あなたがたによろしく。 (J)

ペテロの手紙Ⅰ 5:14 愛の接吻をもって互にあいさつをかわしなさい。 キリストにあるあなたがた一同に、平安があるように。 (J)

ペテロの手紙Ⅱ 1:1 ¶ イエス・キリストの僕また使徒であるシメオン・ペテロから、わたしたちの神と救主イエス・キリストとの義によって、わたしたちと同じ尊い信仰を授かった人々へ。 (J)

ペテロの手紙Ⅱ 1:2 神とわたしたちの主イエスとを知ることによって、恵みと平安とが、あなたがたに豊かに加わるように。 (J)

ペテロの手紙Ⅱ 1:3 いのちと信心とにかかわるすべてのことは、主イエスの神聖な力によって、わたしたちに与えられている。それは、ご自身の栄光と徳とによって、わたしたちを召されたかたを知る知識によるのである。 (J)

ペテロの手紙Ⅱ 1:4 また、それらのものによって、尊く、大いなる約束が、わたしたちに与えられている。それは、あなたがたが、世にある欲のために滅びることを免れ、神の性質にあずかる者となるためである。 (J)

ペテロの手紙Ⅱ 1:5 それだから、あなたがたは、力の限りをつくして、あなたがたの信仰に徳を加え、徳に知識を、 (J)

ペテロの手紙Ⅱ 1:6 知識に節制を、節制に忍耐を、忍耐に信心を、 (J)

ペテロの手紙Ⅱ 1:7 信心に兄弟愛を、兄弟愛に愛を加えなさい。 (J)

ペテロの手紙Ⅱ 1:8 これらのものがあなたがたに備わって、いよいよ豊かになるならば、わたしたちの主イエス・キリストを知る知識について、あなたがたは、怠る者、実を結ばない者となることはないであろう。 (J)

ペテロの手紙Ⅱ 1:9 これらのものを備えていない者は、盲人であり、近視の者であり、自分の以前の罪がきよめられたことを忘れている者である。 (J)

ペテロの手紙Ⅱ 1:10 兄弟たちよ。それだから、ますます励んで、あなたがたの受けた召しと選びとを、確かなものにしなさい。そうすれば、決してあやまちに陥ることはない。 (J)

ペテロの手紙Ⅱ 1:11 こうして、わたしたちの主また救主イエス・キリストの永遠の国に入る恵みが、あなたがたに豊かに与えられるからである。 (J)

ペテロの手紙Ⅱ 1:12 それだから、あなたがたは既にこれらのことを知っており、また、いま持っている真理に堅く立ってはいるが、わたしは、これらのことをいつも、あなたがたに思い起させたいのである。 (J)

ペテロの手紙Ⅱ 1:13 わたしがこの幕屋にいる間、あなたがたに思い起させて、奮い立たせることが適当と思う。 (J)

ペテロの手紙Ⅱ 1:14 それは、わたしたちの主イエス・キリストもわたしに示して下さったように、わたしのこの幕屋を脱ぎ去る時が間近であることを知っているからである。 (J)

ペテロの手紙Ⅱ 1:15 わたしが世を去った後にも、これらのことを、あなたがたにいつも思い出させるように努めよう。 (J)

ペテロの手紙Ⅱ 1:16 わたしたちの主イエス・キリストの力と来臨とを、あなたがたに知らせた時、わたしたちは、巧みな作り話を用いることはしなかった。わたしたちが、そのご威光の目撃者なのだからである。 (J)

ペテロの手紙Ⅱ 1:17 イエスは父なる神からほまれと栄光とをお受けになったが、その時、おごそかな栄光の中から次のようなみ声がかかったのである、「これはわたしの愛する子、わたしの心にかなう者である」。 (J)

ペテロの手紙Ⅱ 1:18 わたしたちもイエスと共に聖なる山にいて、天から出たこの声を聞いたのである。 (J)

ペテロの手紙Ⅱ 1:19 こうして、預言の言葉は、わたしたちにいっそう確実なものになった。あなたがたも、夜が明け、明星がのぼって、あなたがたの心の中を照すまで、この預言の言葉を暗やみに輝くともしびとして、それに目をとめているがよい。 (J)

ペテロの手紙Ⅱ 1:20 聖書の預言はすべて、自分勝手に解釈すべきでないことを、まず第一に知るべきである。 (J)

ペテロの手紙Ⅱ 1:21 なぜなら、預言は決して人間の意志から出たものではなく、人々が聖霊に感じ、神によって語ったものだからである。 (J)

ペテロの手紙Ⅱ 2:1 しかし、民の間に、にせ預言者が起ったことがあるが、それと同じく、あなたがたの間にも、にせ教師が現れるであろう。彼らは、滅びに至らせる異端をひそかに持ち込み、自分たちをあがなって下さった主を否定して、すみやかな滅亡を自分の身に招いている。 (J)

ペテロの手紙Ⅱ 2:2 また、大ぜいの人が彼らの放縦を見習い、そのために、真理の道がそしりを受けるに至るのである。 (J)

ペテロの手紙Ⅱ 2:3 彼らは、貪欲のために、甘言をもってあなたがたをあざむき、利をむさぼるであろう。彼らに対するさばきは昔から猶予なく行われ、彼らの滅亡も滞ることはない。 (J)

ペテロの手紙Ⅱ 2:4 神は、罪を犯した御使たちを許しておかないで、彼らを下界におとしいれ、さばきの時まで暗やみの穴に閉じ込めておかれた。 (J)

ペテロの手紙Ⅱ 2:5 また、古い世界をそのままにしておかないで、その不信仰な世界に洪水をきたらせ、ただ、義の宣伝者ノアたち八人の者だけを保護された。 (J)

ペテロの手紙Ⅱ 2:6 また、ソドムとゴモラの町々を灰に帰せしめて破滅に処し、不信仰に走ろうとする人々の見せしめとし、 (J)

ペテロの手紙Ⅱ 2:7 ただ、非道の者どもの放縦な行いによってなやまされていた義人ロトだけを救い出された。 (J)

ペテロの手紙Ⅱ 2:8 (この義人は、彼らの間に住み、彼らの不法の行いを日々見聞きして、その正しい心を痛めていたのである。) (J)

ペテロの手紙Ⅱ 2:9 こういうわけで、主は、信心深い者を試錬の中から救い出し、また、不義な者ども、 (J)

ペテロの手紙Ⅱ 2:10 特に、汚れた情欲におぼれ肉にしたがって歩み、また、権威ある者を軽んじる人々を罰して、さばきの日まで閉じ込めておくべきことを、よくご存じなのである。こういう人々は、大胆不敵なわがまま者であって、栄光ある者たちをそしってはばかるところがない。 (J)

ペテロの手紙Ⅱ 2:11 しかし、御使たちは、勢いにおいても力においても、彼らにまさっているにかかわらず、彼らを主のみまえに訴えそしることはしない。 (J)

ペテロの手紙Ⅱ 2:12 これらの者は、捕えられ、ほふられるために生れてきた、分別のない動物のようなもので、自分が知りもしないことをそしり、その不義の報いとして罰を受け、必ず滅ぼされてしまうのである。 (J)

ペテロの手紙Ⅱ 2:13 彼らは、真昼でさえ酒食を楽しみ、あなたがたと宴会に同席して、だましごとにふけっている。彼らは、しみであり、きずである。 (J)

ペテロの手紙Ⅱ 2:14 その目は淫行を追い、罪を犯して飽くことを知らない。彼らは心の定まらない者を誘惑し、その心は貪欲に慣れ、のろいの子となっている。 (J)

ペテロの手紙Ⅱ 2:15 彼らは正しい道からはずれて迷いに陥り、ベオルの子バラムの道に従った。バラムは不義の実を愛し、 (J)

ペテロの手紙Ⅱ 2:16 そのために、自分のあやまちに対するとがめを受けた。ものを言わないろばが、人間の声でものを言い、この預言者の狂気じみたふるまいをはばんだのである。 (J)

ペテロの手紙Ⅱ 2:17 この人々は、いわば、水のない井戸、突風に吹きはらわれる霧であって、彼らには暗やみが用意されている。 (J)

ペテロの手紙Ⅱ 2:18 彼らはむなしい誇を語り、迷いの中に生きている人々の間から、かろうじてのがれてきた者たちを、肉欲と色情とによって誘惑し、 (J)

ペテロの手紙Ⅱ 2:19 この人々に自由を与えると約束しながら、彼ら自身は滅亡の奴隷になっている。おおよそ、人は征服者の奴隷となるものである。 (J)

ペテロの手紙Ⅱ 2:20 彼らが、主また救主なるイエス・キリストを知ることにより、この世の汚れからのがれた後、またそれに巻き込まれて征服されるならば、彼らの後の状態は初めよりも、もっと悪くなる。 (J)

ペテロの手紙Ⅱ 2:21 義の道を心得ていながら、自分に授けられた聖なる戒めにそむくよりは、むしろ義の道を知らなかった方がよい。 (J)

ペテロの手紙Ⅱ 2:22 ことわざに、「犬は自分の吐いた物に帰り、豚は洗われても、また、どろの中にころがって行く」とあるが、彼らの身に起ったことは、そのとおりである。 (J)

ペテロの手紙Ⅱ 3:1 愛する者たちよ。わたしは今この第二の手紙をあなたがたに書きおくり、これらの手紙によって記憶を呼び起し、あなたがたの純真な心を奮い立たせようとした。 (J)

ペテロの手紙Ⅱ 3:2 それは、聖なる預言者たちがあらかじめ語った言葉と、あなたがたの使徒たちが伝えた主なる救主の戒めとを、思い出させるためである。 (J)

ペテロの手紙Ⅱ 3:3 まず次のことを知るべきである。終りの時にあざける者たちが、あざけりながら出てきて、自分の欲情のままに生活し、 (J)

ペテロの手紙Ⅱ 3:4 「主の来臨の約束はどうなったのか。先祖たちが眠りについてから、すべてのものは天地創造の初めからそのままであって、変ってはいない」と言うであろう。 (J)

ペテロの手紙Ⅱ 3:5 すなわち、彼らはこのことを認めようとはしない。古い昔に天が存在し、地は神の言によって、水がもとになり、また、水によって成ったのであるが、 (J)

ペテロの手紙Ⅱ 3:6 その時の世界は、御言により水でおおわれて滅んでしまった。 (J)

ペテロの手紙Ⅱ 3:7 しかし、今の天と地とは、同じ御言によって保存され、不信仰な人々がさばかれ、滅ぼさるべき日に火で焼かれる時まで、そのまま保たれているのである。 (J)

ペテロの手紙Ⅱ 3:8 愛する者たちよ。この一事を忘れてはならない。主にあっては、一日は千年のようであり、千年は一日のようである。 (J)

ペテロの手紙Ⅱ 3:9 ある人々がおそいと思っているように、主は約束の実行をおそくしておられるのではない。ただ、ひとりも滅びることがなく、すべての者が悔改めに至ることを望み、あなたがたに対してながく忍耐しておられるのである。 (J)

ペテロの手紙Ⅱ 3:10 しかし、主の日は盗人のように襲って来る。その日には、天は大音響をたてて消え去り、天体は焼けてくずれ、地とその上に造り出されたものも、みな焼きつくされるであろう。 (J)

ペテロの手紙Ⅱ 3:11 このように、これらはみなくずれ落ちていくものであるから、神の日の到来を熱心に待ち望んでいるあなたがたは、 (J)

ペテロの手紙Ⅱ 3:12 極力、きよく信心深い行いをしていなければならない。その日には、天は燃えくずれ、天体は焼けうせてしまう。 (J)

ペテロの手紙Ⅱ 3:13 しかし、わたしたちは、神の約束に従って、義の住む新しい天と新しい地とを待ち望んでいる。 (J)

ペテロの手紙Ⅱ 3:14 愛する者たちよ。それだから、この日を待っているあなたがたは、しみもなくきずもなく、安らかな心で、神のみまえに出られるように励みなさい。 (J)

ペテロの手紙Ⅱ 3:15 また、わたしたちの主の寛容は救のためであると思いなさい。このことは、わたしたちの愛する兄弟パウロが、彼に与えられた知恵によって、あなたがたに書きおくったとおりである。 (J)

ペテロの手紙Ⅱ 3:16 彼は、どの手紙にもこれらのことを述べている。その手紙の中には、ところどころ、わかりにくい箇所もあって、無学で心の定まらない者たちは、ほかの聖書についてもしているように、無理な解釈をほどこして、自分の滅亡を招いている。 (J)

ペテロの手紙Ⅱ 3:17 愛する者たちよ。それだから、あなたがたはかねてから心がけているように、非道の者の惑わしに誘い込まれて、あなたがた自身の確信を失うことのないように心がけなさい。 (J)

ペテロの手紙Ⅱ 3:18 そして、わたしたちの主また救主イエス・キリストの恵みと知識とにおいて、ますます豊かになりなさい。栄光が、今も、また永遠の日に至るまでも、主にあるように、アァメン。 (J)

ヨハネの手紙Ⅰ 1:1 ¶ 初めからあったもの、わたしたちが聞いたもの、目で見たもの、よく見て手でさわったもの、すなわち、いのちの言について―― (J)

ヨハネの手紙Ⅰ 1:2 このいのちが現れたので、この永遠のいのちをわたしたちは見て、そのあかしをし、かつ、あなたがたに告げ知らせるのである。この永遠のいのちは、父と共にいましたが、今やわたしたちに現れたものである―― (J)

ヨハネの手紙Ⅰ 1:3 すなわち、わたしたちが見たもの、聞いたものを、あなたがたにも告げ知らせる。それは、あなたがたも、わたしたちの交わりにあずかるようになるためである。わたしたちの交わりとは、父ならびに御子イエス・キリストとの交わりのことである。 (J)

ヨハネの手紙Ⅰ 1:4 これを書きおくるのは、わたしたちの喜びが満ちあふれるためである。 (J)

ヨハネの手紙Ⅰ 1:5 わたしたちがイエスから聞いて、あなたがたに伝えるおとずれは、こうである。神は光であって、神には少しの暗いところもない。 (J)

ヨハネの手紙Ⅰ 1:6 神と交わりをしていると言いながら、もし、やみの中を歩いているなら、わたしたちは偽っているのであって、真理を行っているのではない。 (J)

ヨハネの手紙Ⅰ 1:7 しかし、神が光の中にいますように、わたしたちも光の中を歩くならば、わたしたちは互に交わりをもち、そして、御子イエスの血が、すべての罪からわたしたちをきよめるのである。 (J)

ヨハネの手紙Ⅰ 1:8 もし、罪がないと言うなら、それは自分を欺くことであって、真理はわたしたちのうちにない。 (J)

ヨハネの手紙Ⅰ 1:9 もし、わたしたちが自分の罪を告白するならば、神は真実で正しいかたであるから、その罪をゆるし、すべての不義からわたしたちをきよめて下さる。 (J)

ヨハネの手紙Ⅰ 1:10 もし、罪を犯したことがないと言うなら、それは神を偽り者とするのであって、神の言はわたしたちのうちにない。 (J)

ヨハネの手紙Ⅰ 2:1 わたしの子たちよ。これらのことを書きおくるのは、あなたがたが罪を犯さないようになるためである。もし、罪を犯す者があれば、父のみもとには、わたしたちのために助け主、すなわち、義なるイエス・キリストがおられる。 (J)

ヨハネの手紙Ⅰ 2:2 彼は、わたしたちの罪のための、あがないの供え物である。ただ、わたしたちの罪のためばかりではなく、全世界の罪のためである。 (J)

ヨハネの手紙Ⅰ 2:3 もし、わたしたちが彼の戒めを守るならば、それによって彼を知っていることを悟るのである。 (J)

ヨハネの手紙Ⅰ 2:4 「彼を知っている」と言いながら、その戒めを守らない者は、偽り者であって、真理はその人のうちにない。 (J)

ヨハネの手紙Ⅰ 2:5 しかし、彼の御言を守る者があれば、その人のうちに、神の愛が真に全うされるのである。それによって、わたしたちが彼にあることを知るのである。 (J)

ヨハネの手紙Ⅰ 2:6 「彼におる」と言う者は、彼が歩かれたように、その人自身も歩くべきである。 (J)

ヨハネの手紙Ⅰ 2:7 愛する者たちよ。わたしがあなたがたに書きおくるのは、新しい戒めではなく、あなたがたが初めから受けていた古い戒めである。その古い戒めとは、あなたがたがすでに聞いた御言である。 (J)

ヨハネの手紙Ⅰ 2:8 しかも、新しい戒めを、あなたがたに書きおくるのである。そして、それは、彼にとってもあなたがたにとっても、真理なのである。なぜなら、やみは過ぎ去り、まことの光がすでに輝いているからである。 (J)

ヨハネの手紙Ⅰ 2:9 「光の中にいる」と言いながら、その兄弟を憎む者は、今なお、やみの中にいるのである。 (J)

ヨハネの手紙Ⅰ 2:10 兄弟を愛する者は、光におるのであって、つまずくことはない。 (J)

ヨハネの手紙Ⅰ 2:11 兄弟を憎む者は、やみの中におり、やみの中を歩くのであって、自分ではどこへ行くのかわからない。やみが彼の目を見えなくしたからである。 (J)

ヨハネの手紙Ⅰ 2:12 子たちよ。あなたがたにこれを書きおくるのは、御名のゆえに、あなたがたの多くの罪がゆるされたからである。 (J)

ヨハネの手紙Ⅰ 2:13 父たちよ。あなたがたに書きおくるのは、あなたがたが、初めからいますかたを知ったからである。若者たちよ。あなたがたに書きおくるのは、あなたがたが、悪しき者にうち勝ったからである。 (J)

ヨハネの手紙Ⅰ 2:14 子供たちよ。あなたがたに書きおくったのは、あなたがたが父を知ったからである。父たちよ。あなたがたに書きおくったのは、あなたがたが、初めからいますかたを知ったからである。若者たちよ。あなたがたに書きおくったのは、あなたがたが強い者であり、神の言があなたがたに宿り、そして、あなたがたが悪しき者にうち勝ったからである。 (J)

ヨハネの手紙Ⅰ 2:15 世と世にあるものとを、愛してはいけない。もし、世を愛する者があれば、父の愛は彼のうちにない。 (J)

ヨハネの手紙Ⅰ 2:16 すべて世にあるもの、すなわち、肉の欲、目の欲、持ち物の誇は、父から出たものではなく、世から出たものである。 (J)

ヨハネの手紙Ⅰ 2:17 世と世の欲とは過ぎ去る。しかし、神の御旨を行う者は、永遠にながらえる。 (J)

ヨハネの手紙Ⅰ 2:18 子供たちよ。今は終りの時である。あなたがたがかねて反キリストが来ると聞いていたように、今や多くの反キリストが現れてきた。それによって今が終りの時であることを知る。 (J)

ヨハネの手紙Ⅰ 2:19 彼らはわたしたちから出て行った。しかし、彼らはわたしたちに属する者ではなかったのである。もし属する者であったなら、わたしたちと一緒にとどまっていたであろう。しかし、出て行ったのは、元来、彼らがみなわたしたちに属さない者であることが、明らかにされるためである。 (J)

ヨハネの手紙Ⅰ 2:20 しかし、あなたがたは聖なる者に油を注がれているので、あなたがたすべてが、そのことを知っている。 (J)

ヨハネの手紙Ⅰ 2:21 わたしが書きおくったのは、あなたがたが真理を知らないからではなく、それを知っているからであり、また、すべての偽りは真理から出るものでないことを、知っているからである。 (J)

ヨハネの手紙Ⅰ 2:22 偽り者とは、だれであるか。イエスのキリストであることを否定する者ではないか。父と御子とを否定する者は、反キリストである。 (J)

ヨハネの手紙Ⅰ 2:23 御子を否定する者は父を持たず、御子を告白する者は、また父をも持つのである。 (J)

ヨハネの手紙Ⅰ 2:24 初めから聞いたことが、あなたがたのうちに、とどまるようにしなさい。初めから聞いたことが、あなたがたのうちにとどまっておれば、あなたがたも御子と父とのうちに、とどまることになる。 (J)

ヨハネの手紙Ⅰ 2:25 これが、彼自らわたしたちに約束された約束であって、すなわち、永遠のいのちである。 (J)

ヨハネの手紙Ⅰ 2:26 わたしは、あなたがたを惑わす者たちについて、これらのことを書きおくった。 (J)

ヨハネの手紙Ⅰ 2:27 あなたがたのうちには、キリストからいただいた油がとどまっているので、だれにも教えてもらう必要はない。この油が、すべてのことをあなたがたに教える。それはまことであって、偽りではないから、その油が教えたように、あなたがたは彼のうちにとどまっていなさい。 (J)

ヨハネの手紙Ⅰ 2:28 そこで、子たちよ。キリストのうちにとどまっていなさい。それは、彼が現れる時に、確信を持ち、その来臨に際して、みまえに恥じいることがないためである。 (J)

ヨハネの手紙Ⅰ 2:29 彼の義なるかたであることがわかれば、義を行う者はみな彼から生れたものであることを、知るであろう。 (J)

ヨハネの手紙Ⅰ 3:1 わたしたちが神の子と呼ばれるためには、どんなに大きな愛を父から賜わったことか、よく考えてみなさい。わたしたちは、すでに神の子なのである。世がわたしたちを知らないのは、父を知らなかったからである。 (J)

ヨハネの手紙Ⅰ 3:2 愛する者たちよ。わたしたちは今や神の子である。しかし、わたしたちがどうなるのか、まだ明らかではない。彼が現れる時、わたしたちは、自分たちが彼に似るものとなることを知っている。そのまことの御姿を見るからである。 (J)

ヨハネの手紙Ⅰ 3:3 彼についてこの望みをいだいている者は皆、彼がきよくあられるように、自らをきよくする。 (J)

ヨハネの手紙Ⅰ 3:4 すべて罪を犯す者は、不法を行う者である。罪は不法である。 (J)

ヨハネの手紙Ⅰ 3:5 あなたがたが知っているとおり、彼は罪をとり除くために現れたのであって、彼にはなんらの罪がない。 (J)

ヨハネの手紙Ⅰ 3:6 すべて彼におる者は、罪を犯さない。すべて罪を犯す者は彼を見たこともなく、知ったこともない者である。 (J)

ヨハネの手紙Ⅰ 3:7 子たちよ。だれにも惑わされてはならない。彼が義人であると同様に、義を行う者は義人である。 (J)

ヨハネの手紙Ⅰ 3:8 罪を犯す者は、悪魔から出た者である。悪魔は初めから罪を犯しているからである。神の子が現れたのは、悪魔のわざを滅ぼしてしまうためである。 (J)

ヨハネの手紙Ⅰ 3:9 すべて神から生れた者は、罪を犯さない。神の種が、その人のうちにとどまっているからである。また、その人は、神から生れた者であるから、罪を犯すことができない。 (J)

ヨハネの手紙Ⅰ 3:10 神の子と悪魔の子との区別は、これによって明らかである。すなわち、すべて義を行わない者は、神から出た者ではない。兄弟を愛さない者も、同様である。 (J)

ヨハネの手紙Ⅰ 3:11 わたしたちは互に愛し合うべきである。これが、あなたがたの初めから聞いていたおとずれである。 (J)

ヨハネの手紙Ⅰ 3:12 カインのようになってはいけない。彼は悪しき者から出て、その兄弟を殺したのである。なぜ兄弟を殺したのか。彼のわざが悪く、その兄弟のわざは正しかったからである。 (J)

ヨハネの手紙Ⅰ 3:13 兄弟たちよ。世があなたがたを憎んでも、驚くには及ばない。 (J)

ヨハネの手紙Ⅰ 3:14 わたしたちは、兄弟を愛しているので、死からいのちへ移ってきたことを、知っている。愛さない者は、死のうちにとどまっている。 (J)

ヨハネの手紙Ⅰ 3:15 あなたがたが知っているとおり、すべて兄弟を憎む者は人殺しであり、人殺しはすべて、そのうちに永遠のいのちをとどめてはいない。 (J)

ヨハネの手紙Ⅰ 3:16 主は、わたしたちのためにいのちを捨てて下さった。それによって、わたしたちは愛ということを知った。それゆえに、わたしたちもまた、兄弟のためにいのちを捨てるべきである。 (J)

ヨハネの手紙Ⅰ 3:17 世の富を持っていながら、兄弟が困っているのを見て、あわれみの心を閉じる者には、どうして神の愛が、彼のうちにあろうか。 (J)

ヨハネの手紙Ⅰ 3:18 子たちよ。わたしたちは言葉や口先だけで愛するのではなく、行いと真実とをもって愛し合おうではないか。 (J)

ヨハネの手紙Ⅰ 3:19 それによって、わたしたちが真理から出たものであることがわかる。そして、神のみまえに心を安んじていよう。 (J)

ヨハネの手紙Ⅰ 3:20 なぜなら、たといわたしたちの心に責められるようなことがあっても、神はわたしたちの心よりも大いなるかたであって、すべてをご存じだからである。 (J)

ヨハネの手紙Ⅰ 3:21 愛する者たちよ。もし心に責められるようなことがなければ、わたしたちは神に対して確信を持つことができる。 (J)

ヨハネの手紙Ⅰ 3:22 そして、願い求めるものは、なんでもいただけるのである。それは、わたしたちが神の戒めを守り、みこころにかなうことを、行っているからである。 (J)

ヨハネの手紙Ⅰ 3:23 その戒めというのは、神の子イエス・キリストの御名を信じ、わたしたちに命じられたように、互に愛し合うべきことである。 (J)

ヨハネの手紙Ⅰ 3:24 神の戒めを守る人は、神におり、神もまたその人にいます。そして、神がわたしたちのうちにいますことは、神がわたしたちに賜わった御霊によって知るのである。 (J)

ヨハネの手紙Ⅰ 4:1 愛する者たちよ。すべての霊を信じることはしないで、それらの霊が神から出たものであるかどうか、ためしなさい。多くのにせ預言者が世に出てきているからである。 (J)

ヨハネの手紙Ⅰ 4:2 あなたがたは、こうして神の霊を知るのである。すなわち、イエス・キリストが肉体をとってこられたことを告白する霊は、すべて神から出ているものであり、 (J)

ヨハネの手紙Ⅰ 4:3 イエスを告白しない霊は、すべて神から出ているものではない。これは、反キリストの霊である。あなたがたは、それが来るとかねて聞いていたが、今やすでに世にきている。 (J)

ヨハネの手紙Ⅰ 4:4 子たちよ。あなたがたは神から出た者であって、彼らにうち勝ったのである。あなたがたのうちにいますのは、世にある者よりも大いなる者なのである。 (J)

ヨハネの手紙Ⅰ 4:5 彼らは世から出たものである。だから、彼らは世のことを語り、世も彼らの言うことを聞くのである。 (J)

ヨハネの手紙Ⅰ 4:6 しかし、わたしたちは神から出たものである。神を知っている者は、わたしたちの言うことを聞き、神から出ない者は、わたしたちの言うことを聞かない。これによって、わたしたちは、真理の霊と迷いの霊との区別を知るのである。 (J)

ヨハネの手紙Ⅰ 4:7 愛する者たちよ。わたしたちは互に愛し合おうではないか。愛は、神から出たものなのである。すべて愛する者は、神から生れた者であって、神を知っている。 (J)

ヨハネの手紙Ⅰ 4:8 愛さない者は、神を知らない。神は愛である。 (J)

ヨハネの手紙Ⅰ 4:9 神はそのひとり子を世につかわし、彼によってわたしたちを生きるようにして下さった。それによって、わたしたちに対する神の愛が明らかにされたのである。 (J)

ヨハネの手紙Ⅰ 4:10 わたしたちが神を愛したのではなく、神がわたしたちを愛して下さって、わたしたちの罪のためにあがないの供え物として、御子をおつかわしになった。ここに愛がある。 (J)

ヨハネの手紙Ⅰ 4:11 愛する者たちよ。神がこのようにわたしたちを愛して下さったのであるから、わたしたちも互に愛し合うべきである。 (J)

ヨハネの手紙Ⅰ 4:12 神を見た者は、まだひとりもいない。もしわたしたちが互に愛し合うなら、神はわたしたちのうちにいまし、神の愛がわたしたちのうちに全うされるのである。 (J)

ヨハネの手紙Ⅰ 4:13 神が御霊をわたしたちに賜わったことによって、わたしたちが神におり、神がわたしたちにいますことを知る。 (J)

ヨハネの手紙Ⅰ 4:14 わたしたちは、父が御子を世の救主としておつかわしになったのを見て、そのあかしをするのである。 (J)

ヨハネの手紙Ⅰ 4:15 もし人が、イエスを神の子と告白すれば、神はその人のうちにいまし、その人は神のうちにいるのである。 (J)

ヨハネの手紙Ⅰ 4:16 わたしたちは、神がわたしたちに対して持っておられる愛を知り、かつ信じている。神は愛である。愛のうちにいる者は、神におり、神も彼にいます。 (J)

ヨハネの手紙Ⅰ 4:17 わたしたちもこの世にあって彼のように生きているので、さばきの日に確信を持って立つことができる。そのことによって、愛がわたしたちに全うされているのである。 (J)

ヨハネの手紙Ⅰ 4:18 愛には恐れがない。完全な愛は恐れをとり除く。恐れには懲らしめが伴い、かつ恐れる者には、愛が全うされていないからである。 (J)

ヨハネの手紙Ⅰ 4:19 わたしたちが愛し合うのは、神がまずわたしたちを愛して下さったからである。 (J)

ヨハネの手紙Ⅰ 4:20 「神を愛している」と言いながら兄弟を憎む者は、偽り者である。現に見ている兄弟を愛さない者は、目に見えない神を愛することはできない。 (J)

ヨハネの手紙Ⅰ 4:21 神を愛する者は、兄弟をも愛すべきである。この戒めを、わたしたちは神から授かっている。 (J)

ヨハネの手紙Ⅰ 5:1 すべてイエスのキリストであることを信じる者は、神から生れた者である。すべて生んで下さったかたを愛する者は、そのかたから生れた者をも愛するのである。 (J)

ヨハネの手紙Ⅰ 5:2 神を愛してその戒めを行えば、それによってわたしたちは、神の子たちを愛していることを知るのである。 (J)

ヨハネの手紙Ⅰ 5:3 神を愛するとは、すなわち、その戒めを守ることである。そして、その戒めはむずかしいものではない。 (J)

ヨハネの手紙Ⅰ 5:4 なぜなら、すべて神から生れた者は、世に勝つからである。そして、わたしたちの信仰こそ、世に勝たしめた勝利の力である。 (J)

ヨハネの手紙Ⅰ 5:5 世に勝つ者はだれか。イエスを神の子と信じる者ではないか。 (J)

ヨハネの手紙Ⅰ 5:6 このイエス・キリストは、水と血とをとおってこられたかたである。水によるだけではなく、水と血とによってこられたのである。そのあかしをするものは、御霊である。御霊は真理だからである。 (J)

ヨハネの手紙Ⅰ 5:7 あかしをするものが、三つある。 (J)

ヨハネの手紙Ⅰ 5:8 御霊と水と血とである。そして、この三つのものは一致する。 (J)

ヨハネの手紙Ⅰ 5:9 わたしたちは人間のあかしを受けいれるが、しかし、神のあかしはさらにまさっている。神のあかしというのは、すなわち、御子について立てられたあかしである。 (J)

ヨハネの手紙Ⅰ 5:10 神の子を信じる者は、自分のうちにこのあかしを持っている。神を信じない者は、神を偽り者とする。神が御子についてあかしせられたそのあかしを、信じていないからである。 (J)

ヨハネの手紙Ⅰ 5:11 そのあかしとは、神が永遠のいのちをわたしたちに賜わり、かつ、そのいのちが御子のうちにあるということである。 (J)

ヨハネの手紙Ⅰ 5:12 御子を持つ者はいのちを持ち、神の御子を持たない者はいのちを持っていない。 (J)

ヨハネの手紙Ⅰ 5:13 これらのことをあなたがたに書きおくったのは、神の子の御名を信じるあなたがたに、永遠のいのちを持っていることを、悟らせるためである。 (J)

ヨハネの手紙Ⅰ 5:14 わたしたちが神に対していだいている確信は、こうである。すなわち、わたしたちが何事でも神の御旨に従って願い求めるなら、神はそれを聞きいれて下さるということである。 (J)

ヨハネの手紙Ⅰ 5:15 そして、わたしたちが願い求めることは、なんでも聞きいれて下さるとわかれば、神に願い求めたことはすでにかなえられたことを、知るのである。 (J)

ヨハネの手紙Ⅰ 5:16 もしだれかが死に至ることのない罪を犯している兄弟を見たら、神に願い求めなさい。そうすれば神は、死に至ることのない罪を犯している人々には、いのちを賜わるであろう。死に至る罪がある。これについては、願い求めよ、とは言わない。 (J)

ヨハネの手紙Ⅰ 5:17 不義はすべて、罪である。しかし、死に至ることのない罪もある。 (J)

ヨハネの手紙Ⅰ 5:18 すべて神から生れた者は罪を犯さないことを、わたしたちは知っている。神から生れたかたが彼を守っていて下さるので、悪しき者が手を触れるようなことはない。 (J)

ヨハネの手紙Ⅰ 5:19 また、わたしたちは神から出た者であり、全世界は悪しき者の配下にあることを、知っている。 (J)

ヨハネの手紙Ⅰ 5:20 さらに、神の子がきて、真実なかたを知る知力をわたしたちに授けて下さったことも、知っている。そして、わたしたちは、真実なかたにおり、御子イエス・キリストにおるのである。このかたは真実な神であり、永遠のいのちである。 (J)

ヨハネの手紙Ⅰ 5:21 子たちよ。気をつけて、偶像を避けなさい。 (J)

ヨハネの手紙Ⅱ 1:1 ¶ 長老のわたしから、真実に愛している選ばれた婦人とその子たちへ。あなたがたを愛しているのは、わたしだけではなく、真理を知っている者はみなそうである。 (J)

ヨハネの手紙Ⅱ 1:2 それは、わたしたちのうちにあり、また永遠に共にあるべき真理によるのである。 (J)

ヨハネの手紙Ⅱ 1:3 父なる神および父の御子イエス・キリストから、恵みとあわれみと平安とが、真理と愛のうちにあって、わたしたちと共にあるように。 (J)

ヨハネの手紙Ⅱ 1:4 あなたの子供たちのうちで、わたしたちが父から受けた戒めどおりに、真理のうちを歩いている者があるのを見て、わたしは非常に喜んでいる。 (J)

ヨハネの手紙Ⅱ 1:5 婦人よ。ここにお願いしたいことがある。それは、新しい戒めを書くわけではなく、初めから持っていた戒めなのであるが、わたしたちは、みんな互に愛し合おうではないか。 (J)

ヨハネの手紙Ⅱ 1:6 父の戒めどおりに歩くことが、すなわち、愛であり、あなたがたが初めから聞いてきたとおりに愛のうちを歩くことが、すなわち、戒めなのである。 (J)

ヨハネの手紙Ⅱ 1:7 なぜなら、イエス・キリストが肉体をとってこられたことを告白しないで人を惑わす者が、多く世にはいってきたからである。そういう者は、惑わす者であり、反キリストである。 (J)

ヨハネの手紙Ⅱ 1:8 よく注意して、わたしたちの働いて得た成果を失うことがなく、豊かな報いを受けられるようにしなさい。 (J)

ヨハネの手紙Ⅱ 1:9 すべてキリストの教をとおり過ごして、それにとどまらない者は、神を持っていないのである。その教にとどまっている者は、父を持ち、また御子をも持つ。 (J)

ヨハネの手紙Ⅱ 1:10 この教を持たずにあなたがたのところに来る者があれば、その人を家に入れることも、あいさつすることもしてはいけない。 (J)

ヨハネの手紙Ⅱ 1:11 そのような人にあいさつする者は、その悪い行いにあずかることになるからである。 (J)

ヨハネの手紙Ⅱ 1:12 あなたがたに書きおくることはたくさんあるが、紙と墨とで書くことはすまい。むしろ、あなたがたのところに行き、直接はなし合って、共に喜びに満ちあふれたいものである。 (J)

ヨハネの手紙Ⅱ 1:13 選ばれたあなたの姉妹の子供たちが、あなたによろしく。 (J)

ヨハネの手紙Ⅲ 1:1 ¶ 長老のわたしから、真実に愛している親愛なるガイオへ。 (J)

ヨハネの手紙Ⅲ 1:2 愛する者よ。あなたのたましいがいつも恵まれていると同じく、あなたがすべてのことに恵まれ、またすこやかであるようにと、わたしは祈っている。 (J)

ヨハネの手紙Ⅲ 1:3 兄弟たちがきて、あなたが真理に生きていることを、あかししてくれたので、ひじょうに喜んでいる。事実、あなたは真理のうちを歩いているのである。 (J)

ヨハネの手紙Ⅲ 1:4 わたしの子供たちが真理のうちを歩いていることを聞く以上に、大きい喜びはない。 (J)

ヨハネの手紙Ⅲ 1:5 愛する者よ。あなたが、兄弟たち、しかも旅先にある者につくしていることは、みな真実なわざである。 (J)

ヨハネの手紙Ⅲ 1:6 彼らは、諸教会で、あなたの愛についてあかしをした。それらの人々を、神のみこころにかなうように送り出してくれたら、それは願わしいことである。 (J)

ヨハネの手紙Ⅲ 1:7 彼らは、御名のために旅立った者であって、異邦人からは何も受けていない。 (J)

ヨハネの手紙Ⅲ 1:8 それだから、わたしたちは、真理のための同労者となるように、こういう人々を助けねばならない。 (J)

ヨハネの手紙Ⅲ 1:9 わたしは少しばかり教会に書きおくっておいたが、みんなのかしらになりたがっているデオテレペスが、わたしたちを受けいれてくれない。 (J)

ヨハネの手紙Ⅲ 1:10 だから、わたしがそちらへ行った時、彼のしわざを指摘しようと思う。彼は口ぎたなくわたしたちをののしり、そればかりか、兄弟たちを受けいれようともせず、受けいれようとする人たちを妨げて、教会から追い出している。 (J)

ヨハネの手紙Ⅲ 1:11 愛する者よ。悪にならわないで、善にならいなさい。善を行う者は神から出た者であり、悪を行う者は神を見たことのない者である。 (J)

ヨハネの手紙Ⅲ 1:12 デメテリオについては、あらゆる人も、また真理そのものも、証明している。わたしたちも証明している。そして、あなたが知っているとおり、わたしたちの証明は真実である。 (J)

ヨハネの手紙Ⅲ 1:13 あなたに書きおくりたいことはたくさんあるが、墨と筆とで書くことはすまい。 (J)

ヨハネの手紙Ⅲ 1:14 平安が、あなたにあるように。友人たちから、あなたによろしく。友人たちひとりびとりに、よろしく。 (J)

ユダの手紙 1:1 ¶ イエス・キリストの僕またヤコブの兄弟であるユダから、父なる神に愛され、イエス・キリストに守られている召された人々へ。 (J)

ユダの手紙 1:2 あわれみと平安と愛とが、あなたがたに豊かに加わるように。 (J)

ユダの手紙 1:3 愛する者たちよ。わたしたちが共にあずかっている救について、あなたがたに書きおくりたいと心から願っていたので、聖徒たちによって、ひとたび伝えられた信仰のために戦うことを勧めるように、手紙をおくる必要を感じるに至った。 (J)

ユダの手紙 1:4 そのわけは、不信仰な人々がしのび込んできて、わたしたちの神の恵みを放縦な生活に変え、唯一の君であり、わたしたちの主であるイエス・キリストを否定しているからである。彼らは、このようなさばきを受けることに、昔から予告されているのである。 (J)

ユダの手紙 1:5 あなたがたはみな、じゅうぶんに知っていることではあるが、主が民をエジプトの地から救い出して後、不信仰な者を滅ぼされたことを、思い起してもらいたい。 (J)

ユダの手紙 1:6 主は、自分たちの地位を守ろうとはせず、そのおるべき所を捨て去った御使たちを、大いなる日のさばきのために、永久にしばりつけたまま、暗やみの中に閉じ込めておかれた。 (J)

ユダの手紙 1:7 ソドム、ゴモラも、まわりの町々も、同様であって、同じように淫行にふけり、不自然な肉欲に走ったので、永遠の火の刑罰を受け、人々の見せしめにされている。 (J)

ユダの手紙 1:8 しかし、これと同じように、これらの人々は、夢に迷わされて肉を汚し、権威ある者たちを軽んじ、栄光ある者たちをそしっている。 (J)

ユダの手紙 1:9 御使のかしらミカエルは、モーセの死体について悪魔と論じ争った時、相手をののしりさばくことはあえてせず、ただ、「主がおまえを戒めて下さるように」と言っただけであった。 (J)

ユダの手紙 1:10 しかし、この人々は自分が知りもしないことをそしり、また、分別のない動物のように、ただ本能的な知識にあやまられて、自らの滅亡を招いている。 (J)

ユダの手紙 1:11 彼らはわざわいである。彼らはカインの道を行き、利のためにバラムの惑わしに迷い入り、コラのような反逆をして滅んでしまうのである。 (J)

ユダの手紙 1:12 彼らは、あなたがたの愛餐に加わるが、それを汚し、無遠慮に宴会に同席して、自分の腹を肥やしている。彼らは、いわば、風に吹きまわされる水なき雲、実らない枯れ果てて、抜き捨てられた秋の木、 (J)

ユダの手紙 1:13 自分の恥をあわにして出す海の荒波、さまよう星である。彼らには、まっくらなやみが永久に用意されている。 (J)

ユダの手紙 1:14 アダムから七代目にあたるエノクも彼らについて預言して言った、「見よ、主は無数の聖徒たちを率いてこられた。 (J)

ユダの手紙 1:15 それは、すべての者にさばきを行うためであり、また、不信心な者が、信仰を無視して犯したすべての不信心なしわざと、さらに、不信心な罪人が主にそむいて語ったすべての暴言とを責めるためである」。 (J)

ユダの手紙 1:16 彼らは不平をならべ、不満を鳴らす者であり、自分の欲のままに生活し、その口は大言を吐き、利のために人にへつらう者である。 (J)

ユダの手紙 1:17 愛する者たちよ。わたしたちの主イエス・キリストの使徒たちが予告した言葉を思い出しなさい。 (J)

ユダの手紙 1:18 彼らはあなたがたにこう言った、「終りの時に、あざける者たちがあらわれて、自分の不信心な欲のままに生活するであろう」。 (J)

ユダの手紙 1:19 彼らは分派をつくる者、肉に属する者、御霊を持たない者たちである。 (J)

ユダの手紙 1:20 しかし、愛する者たちよ。あなたがたは、最も神聖な信仰の上に自らを築き上げ、聖霊によって祈り、 (J)

ユダの手紙 1:21 神の愛の中に自らを保ち、永遠のいのちを目あてとして、わたしたちの主イエス・キリストのあわれみを待ち望みなさい。 (J)

ユダの手紙 1:22 疑いをいだく人々があれば、彼らをあわれみ、 (J)

ユダの手紙 1:23 火の中から引き出して救ってやりなさい。また、そのほかの人たちを、おそれの心をもってあわれみなさい。しかし、肉に汚れた者に対しては、その下着さえも忌みきらいなさい。 (J)

ユダの手紙 1:24 あなたがたを守ってつまずかない者とし、また、その栄光のまえに傷なき者として、喜びのうちに立たせて下さるかた、 (J)

ユダの手紙 1:25 すなわち、わたしたちの救主なる唯一の神に、栄光、大能、力、権威が、わたしたちの主イエス・キリストによって、世々の初めにも、今も、また、世々限りなく、あるように、アァメン。 (J)

ヨハネの黙示録 1:1 ¶ イエス・キリストの黙示。この黙示は、神が、すぐにも起るべきことをその僕たちに示すためキリストに与え、そして、キリストが、御使をつかわして、僕ヨハネに伝えられたものである。 (J)

ヨハネの黙示録 1:2 ヨハネは、神の言とイエス・キリストのあかしと、すなわち、自分が見たすべてのことをあかしした。 (J)

ヨハネの黙示録 1:3 この預言の言葉を朗読する者と、これを聞いて、その中に書かれていることを守る者たちとは、さいわいである。時が近づいているからである。 (J)

ヨハネの黙示録 1:4 ヨハネからアジヤにある七つの教会へ。今いまし、昔いまし、やがてきたるべきかたから、また、その御座の前にある七つの霊から、 (J)

ヨハネの黙示録 1:5 また、忠実な証人、死人の中から最初に生れた者、地上の諸王の支配者であるイエス・キリストから、恵みと平安とが、あなたがたにあるように。わたしたちを愛し、その血によってわたしたちを罪から解放し、 (J)

ヨハネの黙示録 1:6 わたしたちを、その父なる神のために、御国の民とし、祭司として下さったかたに、世々限りなく栄光と権力とがあるように、アァメン。 (J)

ヨハネの黙示録 1:7 見よ、彼は、雲に乗ってこられる。すべての人の目、ことに、彼を刺しとおした者たちは、彼を仰ぎ見るであろう。また地上の諸族はみな、彼のゆえに胸を打って嘆くであろう。しかり、アァメン。 (J)

ヨハネの黙示録 1:8 今いまし、昔いまし、やがてきたるべき者、全能者にして主なる神が仰せになる、「わたしはアルパであり、オメガである」。 (J)

ヨハネの黙示録 1:9 あなたがたの兄弟であり、共にイエスの苦難と御国と忍耐とにあずかっている、わたしヨハネは、神の言とイエスのあかしとのゆえに、パトモスという島にいた。 (J)

ヨハネの黙示録 1:10 ところが、わたしは、主の日に御霊に感じた。そして、わたしのうしろの方で、ラッパのような大きな声がするのを聞いた。 (J)

ヨハネの黙示録 1:11 その声はこう言った、「あなたが見ていることを書きものにして、それをエペソ、スミルナ、ペルガモ、テアテラ、サルデス、ヒラデルヒヤ、ラオデキヤにある七つの教会に送りなさい」。 (J)

ヨハネの黙示録 1:12 そこでわたしは、わたしに呼びかけたその声を見ようとしてふりむいた。ふりむくと、七つの金の燭台が目についた。 (J)

ヨハネの黙示録 1:13 それらの燭台の間に、足までたれた上着を着、胸に金の帯をしめている人の子のような者がいた。 (J)

ヨハネの黙示録 1:14 そのかしらと髪の毛とは、雪のように白い羊毛に似て真白であり、目は燃える炎のようであった。 (J)

ヨハネの黙示録 1:15 その足は、炉で精錬されて光り輝くしんちゅうのようであり、声は大水のとどろきのようであった。 (J)

ヨハネの黙示録 1:16 その右手に七つの星を持ち、口からは、鋭いもろ刃のつるぎがつき出ており、顔は、強く照り輝く太陽のようであった。 (J)

ヨハネの黙示録 1:17 わたしは彼を見たとき、その足もとに倒れて死人のようになった。すると、彼は右手をわたしの上において言った、「恐れるな。わたしは初めであり、終りであり、 (J)

ヨハネの黙示録 1:18 また、生きている者である。わたしは死んだことはあるが、見よ、世々限りなく生きている者である。そして、死と黄泉とのかぎを持っている。 (J)

ヨハネの黙示録 1:19 そこで、あなたの見たこと、現在のこと、今後起ろうとすることを、書きとめなさい。 (J)

ヨハネの黙示録 1:20 あなたがわたしの右手に見た七つの星と、七つの金の燭台との奥義は、こうである。すなわち、七つの星は七つの教会の御使であり、七つの燭台は七つの教会である。 (J)

ヨハネの黙示録 2:1 エペソにある教会の御使に、こう書きおくりなさい。 『右の手に七つの星を持つ者、七つの金の燭台の間を歩く者が、次のように言われる。 (J)

ヨハネの黙示録 2:2 わたしは、あなたのわざと労苦と忍耐とを知っている。また、あなたが、悪い者たちをゆるしておくことができず、使徒と自称してはいるが、その実、使徒でない者たちをためしてみて、にせ者であると見抜いたことも、知っている。 (J)

ヨハネの黙示録 2:3 あなたは忍耐をし続け、わたしの名のために忍びとおして、弱り果てることがなかった。 (J)

ヨハネの黙示録 2:4 しかし、あなたに対して責むべきことがある。あなたは初めの愛から離れてしまった。 (J)

ヨハネの黙示録 2:5 そこで、あなたはどこから落ちたかを思い起し、悔い改めて初めのわざを行いなさい。もし、そうしないで悔い改めなければ、わたしはあなたのところにきて、あなたの燭台をその場所から取りのけよう。 (J)

ヨハネの黙示録 2:6 しかし、こういうことはある、あなたはニコライ宗の人々のわざを憎んでおり、わたしもそれを憎んでいる。 (J)

ヨハネの黙示録 2:7 耳のある者は、御霊が諸教会に言うことを聞くがよい。勝利を得る者には、神のパラダイスにあるいのちの木の実を食べることをゆるそう』。 (J)

ヨハネの黙示録 2:8 スミルナにある教会の御使に、こう書きおくりなさい。 『初めであり、終りである者、死んだことはあるが生き返った者が、次のように言われる。 (J)

ヨハネの黙示録 2:9 わたしは、あなたの苦難や、貧しさを知っている(しかし実際は、あなたは富んでいるのだ)。また、ユダヤ人と自称してはいるが、その実ユダヤ人でなくてサタンの会堂に属する者たちにそしられていることも、わたしは知っている。 (J)

ヨハネの黙示録 2:10 あなたの受けようとする苦しみを恐れてはならない。見よ、悪魔が、あなたがたのうちのある者をためすために、獄に入れようとしている。あなたがたは十日の間、苦難にあうであろう。死に至るまで忠実であれ。そうすれば、いのちの冠を与えよう。 (J)

ヨハネの黙示録 2:11 耳のある者は、御霊が諸教会に言うことを聞くがよい。勝利を得る者は、第二の死によって滅ぼされることはない』。 (J)

ヨハネの黙示録 2:12 ペルガモにある教会の御使に、こう書きおくりなさい。 『鋭いもろ刃のつるぎを持っているかたが、次のように言われる。 (J)

ヨハネの黙示録 2:13 わたしはあなたの住んでいる所を知っている。そこにはサタンの座がある。あなたは、わたしの名を堅く持ちつづけ、わたしの忠実な証人アンテパスがサタンの住んでいるあなたがたの所で殺された時でさえ、わたしに対する信仰を捨てなかった。 (J)

ヨハネの黙示録 2:14 しかし、あなたに対して責むべきことが、少しばかりある。あなたがたの中には、現にバラムの教を奉じている者がある。バラムは、バラクに教え込み、イスラエルの子らの前に、つまずきになるものを置かせて、偶像にささげたものを食べさせ、また不品行をさせたのである。 (J)

ヨハネの黙示録 2:15 同じように、あなたがたの中には、ニコライ宗の教を奉じている者もいる。 (J)

ヨハネの黙示録 2:16 だから、悔い改めなさい。そうしないと、わたしはすぐにあなたのところに行き、わたしの口のつるぎをもって彼らと戦おう。 (J)

ヨハネの黙示録 2:17 耳のある者は、御霊が諸教会に言うことを聞くがよい。勝利を得る者には、隠されているマナを与えよう。また、白い石を与えよう。この石の上には、これを受ける者のほかだれも知らない新しい名が書いてある』。 (J)

ヨハネの黙示録 2:18 テアテラにある教会の御使に、こう書きおくりなさい。 『燃える炎のような目と光り輝くしんちゅうのような足とを持った神の子が、次のように言われる。 (J)

ヨハネの黙示録 2:19 わたしは、あなたのわざと、あなたの愛と信仰と奉仕と忍耐とを知っている。また、あなたの後のわざが、初めのよりもまさっていることを知っている。 (J)

ヨハネの黙示録 2:20 しかし、あなたに対して責むべきことがある。あなたは、あのイゼベルという女を、そのなすがままにさせている。この女は女預言者と自称し、わたしの僕たちを教え、惑わして、不品行をさせ、偶像にささげたものを食べさせている。 (J)

ヨハネの黙示録 2:21 わたしは、この女に悔い改めるおりを与えたが、悔い改めてその不品行をやめようとはしない。 (J)

ヨハネの黙示録 2:22 見よ、わたしはこの女を病の床に投げ入れる。この女と姦淫する者をも、悔い改めて彼女のわざから離れなければ、大きな患難の中に投げ入れる。 (J)

ヨハネの黙示録 2:23 また、この女の子供たちをも打ち殺そう。こうしてすべての教会は、わたしが人の心の奥底までも探り知る者であることを悟るであろう。そしてわたしは、あなたがたひとりびとりのわざに応じて報いよう。 (J)

ヨハネの黙示録 2:24 また、テアテラにいるほかの人たちで、まだあの女の教を受けておらず、サタンの、いわゆる「深み」を知らないあなたがたに言う。わたしは別にほかの重荷を、あなたがたに負わせることはしない。 (J)

ヨハネの黙示録 2:25 ただ、わたしが来る時まで、自分の持っているものを堅く保っていなさい。 (J)

ヨハネの黙示録 2:26 勝利を得る者、わたしのわざを最後まで持ち続ける者には、諸国民を支配する権威を授ける。 (J)

ヨハネの黙示録 2:27 彼は鉄のつえをもって、ちょうど土の器を砕くように、彼らを治めるであろう。それは、わたし自身が父から権威を受けて治めるのと同様である。 (J)

ヨハネの黙示録 2:28 わたしはまた、彼に明けの明星を与える。 (J)

ヨハネの黙示録 2:29 耳のある者は、御霊が諸教会に言うことを聞くがよい』。 (J)

ヨハネの黙示録 3:1 サルデスにある教会の御使に、こう書きおくりなさい。 『神の七つの霊と七つの星とを持つかたが、次のように言われる。わたしはあなたのわざを知っている。すなわち、あなたは、生きているというのは名だけで、実は死んでいる。 (J)

ヨハネの黙示録 3:2 目をさましていて、死にかけている残りの者たちを力づけなさい。わたしは、あなたのわざが、わたしの神のみまえに完全であるとは見ていない。 (J)

ヨハネの黙示録 3:3 だから、あなたが、どのようにして受けたか、また聞いたかを思い起して、それを守りとおし、かつ悔い改めなさい。もし目をさましていないなら、わたしは盗人のように来るであろう。どんな時にあなたのところに来るか、あなたには決してわからない。 (J)

ヨハネの黙示録 3:4 しかし、サルデスにはその衣を汚さない人が、数人いる。彼らは白い衣を着て、わたしと共に歩みを続けるであろう。彼らは、それにふさわしい者である。 (J)

ヨハネの黙示録 3:5 勝利を得る者は、このように白い衣を着せられるのである。わたしは、その名をいのちの書から消すようなことを、決してしない。また、わたしの父と御使たちの前で、その名を言いあらわそう。 (J)

ヨハネの黙示録 3:6 耳のある者は、御霊が諸教会に言うことを聞くがよい』。 (J)

ヨハネの黙示録 3:7 ヒラデルヒヤにある教会の御使に、こう書きおくりなさい。 『聖なる者、まことなる者、ダビデのかぎを持つ者、開けばだれにも閉じられることがなく、閉じればだれにも開かれることのない者が、次のように言われる。 (J)

ヨハネの黙示録 3:8 わたしは、あなたのわざを知っている。見よ、わたしは、あなたの前に、だれも閉じることのできない門を開いておいた。なぜなら、あなたには少ししか力がなかったにもかかわらず、わたしの言葉を守り、わたしの名を否まなかったからである。 (J)

ヨハネの黙示録 3:9 見よ、サタンの会堂に属する者、すなわち、ユダヤ人と自称してはいるが、その実ユダヤ人でなくて、偽る者たちに、こうしよう。見よ、彼らがあなたの足もとにきて平伏するようにし、そして、わたしがあなたを愛していることを、彼らに知らせよう。 (J)

ヨハネの黙示録 3:10 忍耐についてのわたしの言葉をあなたが守ったから、わたしも、地上に住む者たちをためすために、全世界に臨もうとしている試錬の時に、あなたを防ぎ守ろう。 (J)

ヨハネの黙示録 3:11 わたしは、すぐに来る。あなたの冠がだれにも奪われないように、自分の持っているものを堅く守っていなさい。 (J)

ヨハネの黙示録 3:12 勝利を得る者を、わたしの神の聖所における柱にしよう。彼は決して二度と外へ出ることはない。そして彼の上に、わたしの神の御名と、わたしの神の都、すなわち、天とわたしの神のみもとから下ってくる新しいエルサレムの名と、わたしの新しい名とを、書きつけよう。 (J)

ヨハネの黙示録 3:13 耳のある者は、御霊が諸教会に言うことを聞くがよい』。 (J)

ヨハネの黙示録 3:14 ラオデキヤにある教会の御使に、こう書きおくりなさい。 『アァメンたる者、忠実な、まことの証人、神に造られたものの根源であるかたが、次のように言われる。 (J)

ヨハネの黙示録 3:15 わたしはあなたのわざを知っている。あなたは冷たくもなく、熱くもない。むしろ、冷たいか熱いかであってほしい。 (J)

ヨハネの黙示録 3:16 このように、熱くもなく、冷たくもなく、なまぬるいので、あなたを口から吐き出そう。 (J)

ヨハネの黙示録 3:17 あなたは、自分は富んでいる、豊かになった、なんの不自由もないと言っているが、実は、あなた自身がみじめな者、あわれむべき者、貧しい者、目の見えない者、裸な者であることに気がついていない。 (J)

ヨハネの黙示録 3:18 そこで、あなたに勧める。富む者となるために、わたしから火で精錬された金を買い、また、あなたの裸の恥をさらさないため身に着けるように、白い衣を買いなさい。また、見えるようになるため、目にぬる目薬を買いなさい。 (J)

ヨハネの黙示録 3:19 すべてわたしの愛している者を、わたしはしかったり、懲らしめたりする。だから、熱心になって悔い改めなさい。 (J)

ヨハネの黙示録 3:20 見よ、わたしは戸の外に立って、たたいている。だれでもわたしの声を聞いて戸をあけるなら、わたしはその中にはいって彼と食を共にし、彼もまたわたしと食を共にするであろう。 (J)

ヨハネの黙示録 3:21 勝利を得る者には、わたしと共にわたしの座につかせよう。それはちょうど、わたしが勝利を得てわたしの父と共にその御座についたのと同様である。 (J)

ヨハネの黙示録 3:22 耳のある者は、御霊が諸教会に言うことを聞くがよい』」。 (J)

ヨハネの黙示録 4:1 その後、わたしが見ていると、見よ、開いた門が天にあった。そして、さきにラッパのような声でわたしに呼びかけるのを聞いた初めの声が、「ここに上ってきなさい。そうしたら、これから後に起るべきことを、見せてあげよう」と言った。 (J)

ヨハネの黙示録 4:2 すると、たちまち、わたしは御霊に感じた。見よ、御座が天に設けられており、その御座にいますかたがあった。 (J)

ヨハネの黙示録 4:3 その座にいますかたは、碧玉や赤めのうのように見え、また、御座のまわりには、緑玉のように見えるにじが現れていた。 (J)

ヨハネの黙示録 4:4 また、御座のまわりには二十四の座があって、二十四人の長老が白い衣を身にまとい、頭に金の冠をかぶって、それらの座についていた。 (J)

ヨハネの黙示録 4:5 御座からは、いなずまと、もろもろの声と、雷鳴とが、発していた。また、七つのともし火が、御座の前で燃えていた。これらは、神の七つの霊である。 (J)

ヨハネの黙示録 4:6 御座の前は、水晶に似たガラスの海のようであった。御座のそば近くそのまわりには、四つの生き物がいたが、その前にも後にも、一面に目がついていた。 (J)

ヨハネの黙示録 4:7 第一の生き物はししのようであり、第二の生き物は雄牛のようであり、第三の生き物は人のような顔をしており、第四の生き物は飛ぶわしのようであった。 (J)

ヨハネの黙示録 4:8 この四つの生き物には、それぞれ六つの翼があり、その翼のまわりも内側も目で満ちていた。そして、昼も夜も、絶え間なくこう叫びつづけていた、 「聖なるかな、聖なるかな、聖なるかな、 全能者にして主なる神。 昔いまし、今いまし、やがてきたるべき者」。 (J)

ヨハネの黙示録 4:9 これらの生き物が、御座にいまし、かつ、世々限りなく生きておられるかたに、栄光とほまれとを帰し、また、感謝をささげている時、 (J)

ヨハネの黙示録 4:10 二十四人の長老は、御座にいますかたのみまえにひれ伏し、世々限りなく生きておられるかたを拝み、彼らの冠を御座のまえに、投げ出して言った、 (J)

ヨハネの黙示録 4:11 「われらの主なる神よ、 あなたこそは、 栄光とほまれと力とを受けるにふさわしいかた。 あなたは万物を造られました。 御旨によって、万物は存在し、 また造られたのであります」。 (J)

ヨハネの黙示録 5:1 わたしはまた、御座にいますかたの右の手に、巻物があるのを見た。その内側にも外側にも字が書いてあって、七つの封印で封じてあった。 (J)

ヨハネの黙示録 5:2 また、ひとりの強い御使が、大声で、「その巻物を開き、封印をとくのにふさわしい者は、だれか」と呼ばわっているのを見た。 (J)

ヨハネの黙示録 5:3 しかし、天にも地にも地の下にも、この巻物を開いて、それを見ることのできる者は、ひとりもいなかった。 (J)

ヨハネの黙示録 5:4 巻物を開いてそれを見るのにふさわしい者が見当らないので、わたしは激しく泣いていた。 (J)

ヨハネの黙示録 5:5 すると、長老のひとりがわたしに言った、「泣くな。見よ、ユダ族のしし、ダビデの若枝であるかたが、勝利を得たので、その巻物を開き七つの封印を解くことができる」。 (J)

ヨハネの黙示録 5:6 わたしはまた、御座と四つの生き物との間、長老たちの間に、ほふられたとみえる小羊が立っているのを見た。それに七つの角と七つの目とがあった。これらの目は、全世界につかわされた、神の七つの霊である。 (J)

ヨハネの黙示録 5:7 小羊は進み出て、御座にいますかたの右の手から、巻物を受けとった。 (J)

ヨハネの黙示録 5:8 巻物を受けとった時、四つの生き物と二十四人の長老とは、おのおの、立琴と、香の満ちている金の鉢とを手に持って、小羊の前にひれ伏した。この香は聖徒の祈である。 (J)

ヨハネの黙示録 5:9 彼らは新しい歌を歌って言った、「あなたこそは、その巻物を受けとり、封印を解くにふさわしいかたであります。あなたはほふられ、その血によって、神のために、あらゆる部族、国語、民族、国民の中から人々をあがない、 (J)

ヨハネの黙示録 5:10 わたしたちの神のために、彼らを御国の民とし、祭司となさいました。彼らは地上を支配するに至るでしょう」。 (J)

ヨハネの黙示録 5:11 さらに見ていると、御座と生き物と長老たちとのまわりに、多くの御使たちの声が上がるのを聞いた。その数は万の幾万倍、千の幾千倍もあって、 (J)

ヨハネの黙示録 5:12 大声で叫んでいた、 「ほふられた小羊こそは、 力と、富と、知恵と、勢いと、ほまれと、栄光と、 さんびとを受けるにふさわしい」。 (J)

ヨハネの黙示録 5:13 またわたしは、天と地、地の下と海の中にあるすべての造られたもの、そして、それらの中にあるすべてのものの言う声を聞いた、 「御座にいますかたと小羊とに、 さんびと、ほまれと、栄光と、権力とが、 世々限りなくあるように」。 (J)

ヨハネの黙示録 5:14 四つの生き物はアァメンと唱え、長老たちはひれ伏して礼拝した。 (J)

ヨハネの黙示録 6:1 小羊がその七つの封印の一つを解いた時、わたしが見ていると、四つの生き物の一つが、雷のような声で「きたれ」と呼ぶのを聞いた。 (J)

ヨハネの黙示録 6:2 そして見ていると、見よ、白い馬が出てきた。そして、それに乗っている者は、弓を手に持っており、また冠を与えられて、勝利の上にもなお勝利を得ようとして出かけた。 (J)

ヨハネの黙示録 6:3 小羊が第二の封印を解いた時、第二の生き物が「きたれ」と言うのを、わたしは聞いた。 (J)

ヨハネの黙示録 6:4 すると今度は、赤い馬が出てきた。そして、それに乗っている者は、人々が互に殺し合うようになるために、地上から平和を奪い取ることを許され、また、大きなつるぎを与えられた。 (J)

ヨハネの黙示録 6:5 また、第三の封印を解いた時、第三の生き物が「きたれ」と言うのを、わたしは聞いた。そこで見ていると、見よ、黒い馬が出てきた。そして、それに乗っている者は、はかりを手に持っていた。 (J)

ヨハネの黙示録 6:6 すると、わたしは四つの生き物の間から出て来ると思われる声が、こう言うのを聞いた、「小麦一ますは一デナリ。大麦三ますも一デナリ。オリブ油とぶどう酒とを、そこなうな」。 (J)

ヨハネの黙示録 6:7 小羊が第四の封印を解いた時、第四の生き物が「きたれ」と言う声を、わたしは聞いた。 (J)

ヨハネの黙示録 6:8 そこで見ていると、見よ、青白い馬が出てきた。そして、それに乗っている者の名は「死」と言い、それに黄泉が従っていた。彼らには、地の四分の一を支配する権威、および、つるぎと、ききんと、死と、地の獣らとによって人を殺す権威とが、与えられた。 (J)

ヨハネの黙示録 6:9 小羊が第五の封印を解いた時、神の言のゆえに、また、そのあかしを立てたために、殺された人々の霊魂が、祭壇の下にいるのを、わたしは見た。 (J)

ヨハネの黙示録 6:10 彼らは大声で叫んで言った、「聖なる、まことなる主よ。いつまであなたは、さばくことをなさらず、また地に住む者に対して、わたしたちの血の報復をなさらないのですか」。 (J)

ヨハネの黙示録 6:11 すると、彼らのひとりびとりに白い衣が与えられ、それから、「彼らと同じく殺されようとする僕仲間や兄弟たちの数が満ちるまで、もうしばらくの間、休んでいるように」と言い渡された。 (J)

ヨハネの黙示録 6:12 小羊が第六の封印を解いた時、わたしが見ていると、大地震が起って、太陽は毛織の荒布のように黒くなり、月は全面、血のようになり、 (J)

ヨハネの黙示録 6:13 天の星は、いちじくのまだ青い実が大風に揺られて振り落されるように、地に落ちた。 (J)

ヨハネの黙示録 6:14 天は巻物が巻かれるように消えていき、すべての山と島とはその場所から移されてしまった。 (J)

ヨハネの黙示録 6:15 地の王たち、高官、千卒長、富める者、勇者、奴隷、自由人らはみな、ほら穴や山の岩かげに、身をかくした。 (J)

ヨハネの黙示録 6:16 そして、山と岩とにむかって言った、「さあ、われわれをおおって、御座にいますかたの御顔と小羊の怒りとから、かくまってくれ。 (J)

ヨハネの黙示録 6:17 御怒りの大いなる日が、すでにきたのだ。だれが、その前に立つことができようか」。 (J)

ヨハネの黙示録 7:1 この後、わたしは四人の御使が地の四すみに立っているのを見た。彼らは地の四方の風をひき止めて、地にも海にもすべての木にも、吹きつけないようにしていた。 (J)

ヨハネの黙示録 7:2 また、もうひとりの御使が、生ける神の印を持って、日の出る方から上って来るのを見た。彼は地と海とをそこなう権威を授かっている四人の御使にむかって、大声で叫んで言った、 (J)

ヨハネの黙示録 7:3 「わたしたちの神の僕らの額に、わたしたちが印をおしてしまうまでは、地と海と木とをそこなってはならない」。 (J)

ヨハネの黙示録 7:4 わたしは印をおされた者の数を聞いたが、イスラエルの子らのすべての部族のうち、印をおされた者は十四万四千人であった。 (J)

ヨハネの黙示録 7:5 ユダの部族のうち、一万二千人が印をおされ、 ルベンの部族のうち、一万二千人、 ガドの部族のうち、一万二千人、 (J)

ヨハネの黙示録 7:6 アセルの部族のうち、一万二千人、 ナフタリの部族のうち、一万二千人、 マナセの部族のうち、一万二千人、 (J)

ヨハネの黙示録 7:7 シメオンの部族のうち、一万二千人、 レビの部族のうち、一万二千人、 イサカルの部族のうち、一万二千人、 (J)

ヨハネの黙示録 7:8 ゼブルンの部族のうち、一万二千人、 ヨセフの部族のうち、一万二千人、 ベニヤミンの部族のうち、 一万二千人が印をおされた。 (J)

ヨハネの黙示録 7:9 その後、わたしが見ていると、見よ、あらゆる国民、部族、民族、国語のうちから、数えきれないほどの大ぜいの群衆が、白い衣を身にまとい、しゅろの枝を手に持って、御座と小羊との前に立ち、 (J)

ヨハネの黙示録 7:10 大声で叫んで言った、 「救は、御座にいますわれらの神と 小羊からきたる」。 (J)

ヨハネの黙示録 7:11 御使たちはみな、御座と長老たちと四つの生き物とのまわりに立っていたが、御座の前にひれ伏し、神を拝して言った、 (J)

ヨハネの黙示録 7:12 「アァメン、さんび、栄光、知恵、感謝、 ほまれ、力、勢いが、世々限りなく、 われらの神にあるように、アァメン」。 (J)

ヨハネの黙示録 7:13 長老たちのひとりが、わたしにむかって言った、「この白い衣を身にまとっている人々は、だれか。また、どこからきたのか」。 (J)

ヨハネの黙示録 7:14 わたしは彼に答えた、「わたしの主よ、それはあなたがご存じです」。すると、彼はわたしに言った、「彼らは大きな患難をとおってきた人たちであって、その衣を小羊の血で洗い、それを白くしたのである。 (J)

ヨハネの黙示録 7:15 それだから彼らは、神の御座の前におり、昼も夜もその聖所で神に仕えているのである。御座にいますかたは、彼らの上に幕屋を張って共に住まわれるであろう。 (J)

ヨハネの黙示録 7:16 彼らは、もはや飢えることがなく、かわくこともない。太陽も炎暑も、彼らを侵すことはない。 (J)

ヨハネの黙示録 7:17 御座の正面にいます小羊は彼らの牧者となって、いのちの水の泉に導いて下さるであろう。また神は、彼らの目から涙をことごとくぬぐいとって下さるであろう」。 (J)

ヨハネの黙示録 8:1 小羊が第七の封印を解いた時、半時間ばかり天に静けさがあった。 (J)

ヨハネの黙示録 8:2 それからわたしは、神のみまえに立っている七人の御使を見た。そして、七つのラッパが彼らに与えられた。 (J)

ヨハネの黙示録 8:3 また、別の御使が出てきて、金の香炉を手に持って祭壇の前に立った。たくさんの香が彼に与えられていたが、これは、すべての聖徒の祈に加えて、御座の前の金の祭壇の上にささげるためのものであった。 (J)

ヨハネの黙示録 8:4 香の煙は、御使の手から、聖徒たちの祈と共に神のみまえに立ちのぼった。 (J)

ヨハネの黙示録 8:5 御使はその香炉をとり、これに祭壇の火を満たして、地に投げつけた。すると、多くの雷鳴と、もろもろの声と、いなずまと、地震とが起った。 (J)

ヨハネの黙示録 8:6 そこで、七つのラッパを持っている七人の御使が、それを吹く用意をした。 (J)

ヨハネの黙示録 8:7 第一の御使が、ラッパを吹き鳴らした。すると、血のまじった雹と火とがあらわれて、地上に降ってきた。そして、地の三分の一が焼け、木の三分の一が焼け、また、すべての青草も焼けてしまった。 (J)

ヨハネの黙示録 8:8 第二の御使が、ラッパを吹き鳴らした。すると、火の燃えさかっている大きな山のようなものが、海に投げ込まれた。そして、海の三分の一は血となり、 (J)

ヨハネの黙示録 8:9 海の中の造られた生き物の三分の一は死に、舟の三分の一がこわされてしまった。 (J)

ヨハネの黙示録 8:10 第三の御使が、ラッパを吹き鳴らした。すると、たいまつのように燃えている大きな星が、空から落ちてきた。そしてそれは、川の三分の一とその水源との上に落ちた。 (J)

ヨハネの黙示録 8:11 この星の名は「苦よもぎ」と言い、水の三分の一が「苦よもぎ」のように苦くなった。水が苦くなったので、そのために多くの人が死んだ。 (J)

ヨハネの黙示録 8:12 第四の御使が、ラッパを吹き鳴らした。すると、太陽の三分の一と、月の三分の一と、星の三分の一とが打たれて、これらのものの三分の一は暗くなり、昼の三分の一は明るくなくなり、夜も同じようになった。 (J)

ヨハネの黙示録 8:13 また、わたしが見ていると、一羽のわしが中空を飛び、大きな声でこう言うのを聞いた、「ああ、わざわいだ、わざわいだ、地に住む人々は、わざわいだ。なお三人の御使がラッパを吹き鳴らそうとしている」。 (J)

ヨハネの黙示録 9:1 第五の御使が、ラッパを吹き鳴らした。するとわたしは、一つの星が天から地に落ちて来るのを見た。この星に、底知れぬ所の穴を開くかぎが与えられた。 (J)

ヨハネの黙示録 9:2 そして、この底知れぬ所の穴が開かれた。すると、その穴から煙が大きな炉の煙のように立ちのぼり、その穴の煙で、太陽も空気も暗くなった。 (J)

ヨハネの黙示録 9:3 その煙の中から、いなごが地上に出てきたが、地のさそりが持っているような力が、彼らに与えられた。 (J)

ヨハネの黙示録 9:4 彼らは、地の草やすべての青草、またすべての木をそこなってはならないが、額に神の印がない人たちには害を加えてもよいと、言い渡された。 (J)

ヨハネの黙示録 9:5 彼らは、人間を殺すことはしないで、五か月のあいだ苦しめることだけが許された。彼らの与える苦痛は、人がさそりにさされる時のような苦痛であった。 (J)

ヨハネの黙示録 9:6 その時には、人々は死を求めても与えられず、死にたいと願っても、死は逃げて行くのである。 (J)

ヨハネの黙示録 9:7 これらのいなごは、出陣の用意のととのえられた馬によく似ており、その頭には金の冠のようなものをつけ、その顔は人間の顔のようであり、 (J)

ヨハネの黙示録 9:8 また、そのかみの毛は女のかみのようであり、その歯はししの歯のようであった。 (J)

ヨハネの黙示録 9:9 また、鉄の胸当のような胸当をつけており、その羽の音は、馬に引かれて戦場に急ぐ多くの戦車の響きのようであった。 (J)

ヨハネの黙示録 9:10 その上、さそりのような尾と針とを持っている。その尾には、五か月のあいだ人間をそこなう力がある。 (J)

ヨハネの黙示録 9:11 彼らは、底知れぬ所の使を王にいただいており、その名をヘブル語でアバドンと言い、ギリシヤ語ではアポルオンと言う。 (J)

ヨハネの黙示録 9:12 第一のわざわいは、過ぎ去った。見よ、この後、なお二つのわざわいが来る。 (J)

ヨハネの黙示録 9:13 第六の御使が、ラッパを吹き鳴らした。すると、一つの声が、神のみまえにある金の祭壇の四つの角から出て、 (J)

ヨハネの黙示録 9:14 ラッパを持っている第六の御使にこう呼びかけるのを、わたしは聞いた。「大ユウフラテ川のほとりにつながれている四人の御使を、解いてやれ」。 (J)

ヨハネの黙示録 9:15 すると、その時、その日、その月、その年に備えておかれた四人の御使が、人間の三分の一を殺すために、解き放たれた。 (J)

ヨハネの黙示録 9:16 騎兵隊の数は二億であった。わたしはその数を聞いた。 (J)

ヨハネの黙示録 9:17 そして、まぼろしの中で、それらの馬とそれに乗っている者たちとを見ると、乗っている者たちは、火の色と青玉色と硫黄の色の胸当をつけていた。そして、それらの馬の頭はししの頭のようであって、その口から火と煙と硫黄とが、出ていた。 (J)

ヨハネの黙示録 9:18 この三つの災害、すなわち、彼らの口から出て来る火と煙と硫黄とによって、人間の三分の一は殺されてしまった。 (J)

ヨハネの黙示録 9:19 馬の力はその口と尾とにある。その尾はへびに似ていて、それに頭があり、その頭で人に害を加えるのである。 (J)

ヨハネの黙示録 9:20 これらの災害で殺されずに残った人々は、自分の手で造ったものについて、悔い改めようとせず、また悪霊のたぐいや、金、銀、銅、石、木で造られ、見ることも聞くことも歩くこともできない偶像を礼拝して、やめようともしなかった。 (J)

ヨハネの黙示録 9:21 また、彼らは、その犯した殺人や、まじないや、不品行や、盗みを悔い改めようとしなかった。 (J)

ヨハネの黙示録 10:1 わたしは、もうひとりの強い御使が、雲に包まれて、天から降りて来るのを見た。その頭に、にじをいただき、その顔は太陽のようで、その足は火の柱のようであった。 (J)

ヨハネの黙示録 10:2 彼は、開かれた小さな巻物を手に持っていた。そして、右足を海の上に、左足を地の上に踏みおろして、 (J)

ヨハネの黙示録 10:3 ししがほえるように大声で叫んだ。彼が叫ぶと、七つの雷がおのおのその声を発した。 (J)

ヨハネの黙示録 10:4 七つの雷が声を発した時、わたしはそれを書きとめようとした。すると、天から声があって、「七つの雷の語ったことを封印せよ。それを書きとめるな」と言うのを聞いた。 (J)

ヨハネの黙示録 10:5 それから、海と地の上に立っているのをわたしが見たあの御使は、天にむけて右手を上げ、 (J)

ヨハネの黙示録 10:6 天とその中にあるもの、地とその中にあるもの、海とその中にあるものを造り、世々限りなく生きておられるかたをさして誓った、「もう時がない。 (J)

ヨハネの黙示録 10:7 第七の御使が吹き鳴らすラッパの音がする時には、神がその僕、預言者たちにお告げになったとおり、神の奥義は成就される」。 (J)

ヨハネの黙示録 10:8 すると、前に天から聞えてきた声が、またわたしに語って言った、「さあ行って、海と地との上に立っている御使の手に開かれている巻物を、受け取りなさい」。 (J)

ヨハネの黙示録 10:9 そこで、わたしはその御使のもとに行って、「その小さな巻物を下さい」と言った。すると、彼は言った、「取って、それを食べてしまいなさい。あなたの腹には苦いが、口には蜜のように甘い」。 (J)

ヨハネの黙示録 10:10 わたしは御使の手からその小さな巻物を受け取って食べてしまった。すると、わたしの口には蜜のように甘かったが、それを食べたら、腹が苦くなった。 (J)

ヨハネの黙示録 10:11 その時、「あなたは、もう一度、多くの民族、国民、国語、王たちについて、預言せねばならない」と言う声がした。 (J)

ヨハネの黙示録 11:1 それから、わたしはつえのような測りざおを与えられて、こう命じられた、「さあ立って、神の聖所と祭壇と、そこで礼拝している人々とを、測りなさい。 (J)

ヨハネの黙示録 11:2 聖所の外の庭はそのままにしておきなさい。それを測ってはならない。そこは異邦人に与えられた所だから。彼らは、四十二か月の間この聖なる都を踏みにじるであろう。 (J)

ヨハネの黙示録 11:3 そしてわたしは、わたしのふたりの証人に、荒布を着て、千二百六十日のあいだ預言することを許そう」。 (J)

ヨハネの黙示録 11:4 彼らは、全地の主のみまえに立っている二本のオリブの木、また、二つの燭台である。 (J)

ヨハネの黙示録 11:5 もし彼らに害を加えようとする者があれば、彼らの口から火が出て、その敵を滅ぼすであろう。もし彼らに害を加えようとする者があれば、その者はこのように殺されねばならない。 (J)

ヨハネの黙示録 11:6 預言をしている期間、彼らは、天を閉じて雨を降らせないようにする力を持っている。さらにまた、水を血に変え、何度でも思うままに、あらゆる災害で地を打つ力を持っている。 (J)

ヨハネの黙示録 11:7 そして、彼らがそのあかしを終えると、底知れぬ所からのぼって来る獣が、彼らと戦って打ち勝ち、彼らを殺す。 (J)

ヨハネの黙示録 11:8 彼らの死体はソドムや、エジプトにたとえられている大いなる都の大通りにさらされる。彼らの主も、この都で十字架につけられたのである。 (J)

ヨハネの黙示録 11:9 いろいろな民族、部族、国語、国民に属する人々が、三日半の間、彼らの死体をながめるが、その死体を墓に納めることは許さない。 (J)

ヨハネの黙示録 11:10 地に住む人々は、彼らのことで喜び楽しみ、互に贈り物をしあう。このふたりの預言者は、地に住む者たちを悩ましたからである。 (J)

ヨハネの黙示録 11:11 三日半の後、いのちの息が、神から出て彼らの中にはいり、そして、彼らが立ち上がったので、それを見た人々は非常な恐怖に襲われた。 (J)

ヨハネの黙示録 11:12 その時、天から大きな声がして、「ここに上ってきなさい」と言うのを、彼らは聞いた。そして、彼らは雲に乗って天に上った。彼らの敵はそれを見た。 (J)

ヨハネの黙示録 11:13 この時、大地震が起って、都の十分の一は倒れ、その地震で七千人が死に、生き残った人々は驚き恐れて、天の神に栄光を帰した。 (J)

ヨハネの黙示録 11:14 第二のわざわいは、過ぎ去った。見よ、第三のわざわいがすぐに来る。 (J)

ヨハネの黙示録 11:15 第七の御使が、ラッパを吹き鳴らした。すると、大きな声々が天に起って言った、 「この世の国は、 われらの主とそのキリストとの国となった。 主は世々限りなく支配なさるであろう」。 (J)

ヨハネの黙示録 11:16 そして、神のみまえで座についている二十四人の長老は、ひれ伏し、神を拝して言った、 (J)

ヨハネの黙示録 11:17 「今いまし、昔いませる、全能者にして主なる神よ。 大いなる御力をふるって支配なさったことを、 感謝します。 (J)

ヨハネの黙示録 11:18 諸国民は怒り狂いましたが、 あなたも怒りをあらわされました。 そして、死人をさばき、あなたの僕なる 預言者、聖徒、小さき者も、大いなる者も、 すべて御名をおそれる者たちに報いを与え、また、 地を滅ぼす者どもを滅ぼして下さる時がきました」。 (J)

ヨハネの黙示録 11:19 そして、天にある神の聖所が開けて、聖所の中に契約の箱が見えた。また、いなずまと、もろもろの声と、雷鳴と、地震とが起り、大粒の雹が降った。 (J)

ヨハネの黙示録 12:1 また、大いなるしるしが天に現れた。ひとりの女が太陽を着て、足の下に月を踏み、その頭に十二の星の冠をかぶっていた。 (J)

ヨハネの黙示録 12:2 この女は子を宿しており、産みの苦しみと悩みとのために、泣き叫んでいた。 (J)

ヨハネの黙示録 12:3 また、もう一つのしるしが天に現れた。見よ、大きな、赤い龍がいた。それに七つの頭と十の角とがあり、その頭に七つの冠をかぶっていた。 (J)

ヨハネの黙示録 12:4 その尾は天の星の三分の一を掃き寄せ、それらを地に投げ落した。龍は子を産もうとしている女の前に立ち、生れたなら、その子を食い尽そうとかまえていた。 (J)

ヨハネの黙示録 12:5 女は男の子を産んだが、彼は鉄のつえをもってすべての国民を治めるべき者である。この子は、神のみもとに、その御座のところに、引き上げられた。 (J)

ヨハネの黙示録 12:6 女は荒野へ逃げて行った。そこには、彼女が千二百六十日のあいだ養われるように、神の用意された場所があった。 (J)

ヨハネの黙示録 12:7 さて、天では戦いが起った。ミカエルとその御使たちとが、龍と戦ったのである。龍もその使たちも応戦したが、 (J)

ヨハネの黙示録 12:8 勝てなかった。そして、もはや天には彼らのおる所がなくなった。 (J)

ヨハネの黙示録 12:9 この巨大な龍、すなわち、悪魔とか、サタンとか呼ばれ、全世界を惑わす年を経たへびは、地に投げ落され、その使たちも、もろともに投げ落された。 (J)

ヨハネの黙示録 12:10 その時わたしは、大きな声が天でこう言うのを聞いた、 「今や、われらの神の救と力と国と、 神のキリストの権威とは、現れた。 われらの兄弟らを訴える者、 夜昼われらの神のみまえで彼らを訴える者は、 投げ落された。 (J)

ヨハネの黙示録 12:11 兄弟たちは、 小羊の血と彼らのあかしの言葉とによって、 彼にうち勝ち、 死に至るまでもそのいのちを惜しまなかった。 (J)

ヨハネの黙示録 12:12 それゆえに、天とその中に住む者たちよ、 大いに喜べ。 しかし、地と海よ、 おまえたちはわざわいである。 悪魔が、自分の時が短いのを知り、 激しい怒りをもって、 おまえたちのところに下ってきたからである」。 (J)

ヨハネの黙示録 12:13 龍は、自分が地上に投げ落されたと知ると、男子を産んだ女を追いかけた。 (J)

ヨハネの黙示録 12:14 しかし、女は自分の場所である荒野に飛んで行くために、大きなわしの二つの翼を与えられた。そしてそこでへびからのがれて、一年、二年、また、半年の間、養われることになっていた。 (J)

ヨハネの黙示録 12:15 へびは女の後に水を川のように、口から吐き出して、女をおし流そうとした。 (J)

ヨハネの黙示録 12:16 しかし、地は女を助けた。すなわち、地はその口を開いて、龍が口から吐き出した川を飲みほした。 (J)

ヨハネの黙示録 12:17 そして、海の砂の上に立った。 (J)

ヨハネの黙示録 13:1 わたしはまた、一匹の獣が海から上って来るのを見た。それには角が十本、頭が七つあり、それらの角には十の冠があって、頭には神を汚す名がついていた。 (J)

ヨハネの黙示録 13:2 わたしの見たこの獣はひょうに似ており、その足はくまの足のようで、その口はししの口のようであった。龍は自分の力と位と大いなる権威とを、この獣に与えた。 (J)

ヨハネの黙示録 13:3 その頭の一つが、死ぬほどの傷を受けたが、その致命的な傷もなおってしまった。そこで、全地の人々は驚きおそれて、その獣に従い、 (J)

ヨハネの黙示録 13:4 また、龍がその権威を獣に与えたので、人々は龍を拝み、さらに、その獣を拝んで言った、「だれが、この獣に匹敵し得ようか。だれが、これと戦うことができようか」。 (J)

ヨハネの黙示録 13:5 この獣には、また、大言を吐き汚しごとを語る口が与えられ、四十二か月のあいだ活動する権威が与えられた。 (J)

ヨハネの黙示録 13:6 そこで、彼は口を開いて神を汚し、神の御名と、その幕屋、すなわち、天に住む者たちとを汚した。 (J)

ヨハネの黙示録 13:7 そして彼は、聖徒に戦いをいどんでこれに勝つことを許され、さらに、すべての部族、民族、国語、国民を支配する権威を与えられた。 (J)

ヨハネの黙示録 13:8 地に住む者で、ほふられた小羊のいのちの書に、その名を世の初めからしるされていない者はみな、この獣を拝むであろう。 (J)

ヨハネの黙示録 13:9 耳のある者は、聞くがよい。 (J)

ヨハネの黙示録 13:10 とりこになるべき者は、とりこになっていく。つるぎで殺す者は、自らもつるぎで殺されねばならない。ここに、聖徒たちの忍耐と信仰とがある。 (J)

ヨハネの黙示録 13:11 わたしはまた、ほかの獣が地から上って来るのを見た。それには小羊のような角が二つあって、龍のように物を言った。 (J)

ヨハネの黙示録 13:12 そして、先の獣の持つすべての権力をその前で働かせた。また、地と地に住む人々に、致命的な傷がいやされた先の獣を拝ませた。 (J)

ヨハネの黙示録 13:13 また、大いなるしるしを行って、人々の前で火を天から地に降らせることさえした。 (J)

ヨハネの黙示録 13:14 さらに、先の獣の前で行うのを許されたしるしで、地に住む人々を惑わし、かつ、つるぎの傷を受けてもなお生きている先の獣の像を造ることを、地に住む人々に命じた。 (J)

ヨハネの黙示録 13:15 それから、その獣の像に息を吹き込んで、その獣の像が物を言うことさえできるようにし、また、その獣の像を拝まない者をみな殺させた。 (J)

ヨハネの黙示録 13:16 また、小さき者にも、大いなる者にも、富める者にも、貧しき者にも、自由人にも、奴隷にも、すべての人々に、その右の手あるいは額に刻印を押させ、 (J)

ヨハネの黙示録 13:17 この刻印のない者はみな、物を買うことも売ることもできないようにした。この刻印は、その獣の名、または、その名の数字のことである。 (J)

ヨハネの黙示録 13:18 ここに、知恵が必要である。思慮のある者は、獣の数字を解くがよい。その数字とは、人間をさすものである。そして、その数字は六百六十六である。 (J)

ヨハネの黙示録 14:1 なお、わたしが見ていると、見よ、小羊がシオンの山に立っていた。また、十四万四千の人々が小羊と共におり、その額に小羊の名とその父の名とが書かれていた。 (J)

ヨハネの黙示録 14:2 またわたしは、大水のとどろきのような、激しい雷鳴のような声が、天から出るのを聞いた。わたしの聞いたその声は、琴をひく人が立琴をひく音のようでもあった。 (J)

ヨハネの黙示録 14:3 彼らは、御座の前、四つの生き物と長老たちとの前で、新しい歌を歌った。この歌は、地からあがなわれた十四万四千人のほかは、だれも学ぶことができなかった。 (J)

ヨハネの黙示録 14:4 彼らは、女にふれたことのない者である。彼らは、純潔な者である。そして、小羊の行く所へは、どこへでもついて行く。彼らは、神と小羊とにささげられる初穂として、人間の中からあがなわれた者である。 (J)

ヨハネの黙示録 14:5 彼らの口には偽りがなく、彼らは傷のない者であった。 (J)

ヨハネの黙示録 14:6 わたしは、もうひとりの御使が中空を飛ぶのを見た。彼は地に住む者、すなわち、あらゆる国民、部族、国語、民族に宣べ伝えるために、永遠の福音をたずさえてきて、 (J)

ヨハネの黙示録 14:7 大声で言った、「神をおそれ、神に栄光を帰せよ。神のさばきの時がきたからである。天と地と海と水の源とを造られたかたを、伏し拝め」。 (J)

ヨハネの黙示録 14:8 また、ほかの第二の御使が、続いてきて言った、「倒れた、大いなるバビロンは倒れた。その不品行に対する激しい怒りのぶどう酒を、あらゆる国民に飲ませた者」。 (J)

ヨハネの黙示録 14:9 ほかの第三の御使が彼らに続いてきて、大声で言った、「おおよそ、獣とその像とを拝み、額や手に刻印を受ける者は、 (J)

ヨハネの黙示録 14:10 神の怒りの杯に混ぜものなしに盛られた、神の激しい怒りのぶどう酒を飲み、聖なる御使たちと小羊との前で、火と硫黄とで苦しめられる。 (J)

ヨハネの黙示録 14:11 その苦しみの煙は世々限りなく立ちのぼり、そして、獣とその像とを拝む者、また、だれでもその名の刻印を受けている者は、昼も夜も休みが得られない。 (J)

ヨハネの黙示録 14:12 ここに、神の戒めを守り、イエスを信じる信仰を持ちつづける聖徒の忍耐がある」。 (J)

ヨハネの黙示録 14:13 またわたしは、天からの声がこう言うのを聞いた、「書きしるせ、『今から後、主にあって死ぬ死人はさいわいである』」。御霊も言う、「しかり、彼らはその労苦を解かれて休み、そのわざは彼らについていく」。 (J)

ヨハネの黙示録 14:14 また見ていると、見よ、白い雲があって、その雲の上に人の子のような者が座しており、頭には金の冠をいただき、手には鋭いかまを持っていた。 (J)

ヨハネの黙示録 14:15 すると、もうひとりの御使が聖所から出てきて、雲の上に座している者にむかって大声で叫んだ、「かまを入れて刈り取りなさい。地の穀物は全く実り、刈り取るべき時がきた」。 (J)

ヨハネの黙示録 14:16 雲の上に座している者は、そのかまを地に投げ入れた。すると、地のものが刈り取られた。 (J)

ヨハネの黙示録 14:17 また、もうひとりの御使が、天の聖所から出てきたが、彼もまた鋭いかまを持っていた。 (J)

ヨハネの黙示録 14:18 さらに、もうひとりの御使で、火を支配する権威を持っている者が、祭壇から出てきて、鋭いかまを持つ御使にむかい、大声で言った、「その鋭いかまを地に入れて、地のぶどうのふさを刈り集めなさい。ぶどうの実がすでに熟しているから」。 (J)

ヨハネの黙示録 14:19 そこで、御使はそのかまを地に投げ入れて、地のぶどうを刈り集め、神の激しい怒りの大きな酒ぶねに投げ込んだ。 (J)

ヨハネの黙示録 14:20 そして、その酒ぶねが都の外で踏まれた。すると、血が酒ぶねから流れ出て、馬のくつわにとどくほどになり、一千六百丁にわたってひろがった。 (J)

ヨハネの黙示録 15:1 またわたしは、天に大いなる驚くべきほかのしるしを見た。七人の御使が、最後の七つの災害を携えていた。これらの災害で神の激しい怒りがその頂点に達するのである。 (J)

ヨハネの黙示録 15:2 またわたしは、火のまじったガラスの海のようなものを見た。そして、このガラスの海のそばに、獣とその像とその名の数字とにうち勝った人々が、神の立琴を手にして立っているのを見た。 (J)

ヨハネの黙示録 15:3 彼らは、神の僕モーセの歌と小羊の歌とを歌って言った、 「全能者にして主なる神よ。 あなたのみわざは、 大いなる、また驚くべきものであります。 万民の王よ、 あなたの道は正しく、かつ真実であります。 (J)

ヨハネの黙示録 15:4 主よ、あなたをおそれず、 御名をほめたたえない者が、ありましょうか。 あなただけが聖なるかたであり、 あらゆる国民はきて、あなたを伏し拝むでしょう。 あなたの正しいさばきが、 あらわれるに至ったからであります」。 (J)

ヨハネの黙示録 15:5 その後、わたしが見ていると、天にある、あかしの幕屋の聖所が開かれ、 (J)

ヨハネの黙示録 15:6 その聖所から、七つの災害を携えている七人の御使が、汚れのない、光り輝く亜麻布を身にまとい、金の帯を胸にしめて、出てきた。 (J)

ヨハネの黙示録 15:7 そして、四つの生き物の一つが、世々限りなく生きておられる神の激しい怒りの満ちた七つの金の鉢を、七人の御使に渡した。 (J)

ヨハネの黙示録 15:8 すると、聖所は神の栄光とその力とから立ちのぼる煙で満たされ、七人の御使の七つの災害が終ってしまうまでは、だれも聖所にはいることができなかった。 (J)

ヨハネの黙示録 16:1 それから、大きな声が聖所から出て、七人の御使にむかい、「さあ行って、神の激しい怒りの七つの鉢を、地に傾けよ」と言うのを聞いた。 (J)

ヨハネの黙示録 16:2 そして、第一の者が出て行って、その鉢を地に傾けた。すると、獣の刻印を持つ人々と、その像を拝む人々とのからだに、ひどい悪性のでき物ができた。 (J)

ヨハネの黙示録 16:3 第二の者が、その鉢を海に傾けた。すると、海は死人の血のようになって、その中の生き物がみな死んでしまった。 (J)

ヨハネの黙示録 16:4 第三の者がその鉢を川と水の源とに傾けた。すると、みな血になった。 (J)

ヨハネの黙示録 16:5 それから、水をつかさどる御使がこう言うのを、聞いた、「今いまし、昔いませる聖なる者よ。このようにお定めになったあなたは、正しいかたであります。 (J)

ヨハネの黙示録 16:6 聖徒と預言者との血を流した者たちに、血をお飲ませになりましたが、それは当然のことであります」。 (J)

ヨハネの黙示録 16:7 わたしはまた祭壇がこう言うのを聞いた、「全能者にして主なる神よ。しかり、あなたのさばきは真実で、かつ正しいさばきであります」。 (J)

ヨハネの黙示録 16:8 第四の者が、その鉢を太陽に傾けた。すると、太陽は火で人々を焼くことを許された。 (J)

ヨハネの黙示録 16:9 人々は、激しい炎熱で焼かれたが、これらの災害を支配する神の御名を汚し、悔い改めて神に栄光を帰することをしなかった。 (J)

ヨハネの黙示録 16:10 第五の者が、その鉢を獣の座に傾けた。すると、獣の国は暗くなり、人々は苦痛のあまり舌をかみ、 (J)

ヨハネの黙示録 16:11 その苦痛とでき物とのゆえに、天の神をのろった。そして、自分の行いを悔い改めなかった。 (J)

ヨハネの黙示録 16:12 第六の者が、その鉢を大ユウフラテ川に傾けた。すると、その水は、日の出る方から来る王たちに対し道を備えるために、かれてしまった。 (J)

ヨハネの黙示録 16:13 また見ると、龍の口から、獣の口から、にせ預言者の口から、かえるのような三つの汚れた霊が出てきた。 (J)

ヨハネの黙示録 16:14 これらは、しるしを行う悪霊の霊であって、全世界の王たちのところに行き、彼らを召集したが、それは、全能なる神の大いなる日に、戦いをするためであった。 (J)

ヨハネの黙示録 16:15 (見よ、わたしは盗人のように来る。裸のままで歩かないように、また、裸の恥を見られないように、目をさまし着物を身に着けている者は、さいわいである。) (J)

ヨハネの黙示録 16:16 三つの霊は、ヘブル語でハルマゲドンという所に、王たちを召集した。 (J)

ヨハネの黙示録 16:17 第七の者が、その鉢を空中に傾けた。すると、大きな声が聖所の中から、御座から出て、「事はすでに成った」と言った。 (J)

ヨハネの黙示録 16:18 すると、いなずまと、もろもろの声と、雷鳴とが起り、また激しい地震があった。それは人間が地上にあらわれて以来、かつてなかったようなもので、それほどに激しい地震であった。 (J)

ヨハネの黙示録 16:19 大いなる都は三つに裂かれ、諸国民の町々は倒れた。神は大いなるバビロンを思い起し、これに神の激しい怒りのぶどう酒の杯を与えられた。 (J)

ヨハネの黙示録 16:20 島々はみな逃げ去り、山々は見えなくなった。 (J)

ヨハネの黙示録 16:21 また一タラントの重さほどの大きな雹が、天から人々の上に降ってきた。人々は、この雹の災害のゆえに神をのろった。その災害が、非常に大きかったからである。 (J)

ヨハネの黙示録 17:1 それから、七つの鉢を持つ七人の御使のひとりがきて、わたしに語って言った、「さあ、きなさい。多くの水の上にすわっている大淫婦に対するさばきを、見せよう。 (J)

ヨハネの黙示録 17:2 地の王たちはこの女と姦淫を行い、地に住む人々はこの女の姦淫のぶどう酒に酔いしれている」。 (J)

ヨハネの黙示録 17:3 御使は、わたしを御霊に感じたまま、荒野へ連れて行った。わたしは、そこでひとりの女が赤い獣に乗っているのを見た。その獣は神を汚すかずかずの名でおおわれ、また、それに七つの頭と十の角とがあった。 (J)

ヨハネの黙示録 17:4 この女は紫と赤の衣をまとい、金と宝石と真珠とで身を飾り、憎むべきものと自分の姦淫の汚れとで満ちている金の杯を手に持ち、 (J)

ヨハネの黙示録 17:5 その額には、一つの名がしるされていた。それは奥義であって、「大いなるバビロン、淫婦どもと地の憎むべきものらとの母」というのであった。 (J)

ヨハネの黙示録 17:6 わたしは、この女が聖徒の血とイエスの証人の血に酔いしれているのを見た。 この女を見た時、わたしは非常に驚きあやしんだ。 (J)

ヨハネの黙示録 17:7 すると、御使はわたしに言った、「なぜそんなに驚くのか。この女の奥義と、女を乗せている七つの頭と十の角のある獣の奥義とを、話してあげよう。 (J)

ヨハネの黙示録 17:8 あなたの見た獣は、昔はいたが、今はおらず、そして、やがて底知れぬ所から上ってきて、ついには滅びに至るものである。地に住む者のうち、世の初めからいのちの書に名をしるされていない者たちは、この獣が、昔はいたが今はおらず、やがて来るのを見て、驚きあやしむであろう。 (J)

ヨハネの黙示録 17:9 ここに、知恵のある心が必要である。七つの頭は、この女のすわっている七つの山であり、また、七人の王のことである。 (J)

ヨハネの黙示録 17:10 そのうちの五人はすでに倒れ、ひとりは今おり、もうひとりは、まだきていない。それが来れば、しばらくの間だけおることになっている。 (J)

ヨハネの黙示録 17:11 昔はいたが今はいないという獣は、すなわち第八のものであるが、またそれは、かの七人の中のひとりであって、ついには滅びに至るものである。 (J)

ヨハネの黙示録 17:12 あなたの見た十の角は、十人の王のことであって、彼らはまだ国を受けてはいないが、獣と共に、一時だけ王としての権威を受ける。 (J)

ヨハネの黙示録 17:13 彼らは心をひとつにしている。そして、自分たちの力と権威とを獣に与える。 (J)

ヨハネの黙示録 17:14 彼らは小羊に戦いをいどんでくるが、小羊は、主の主、王の王であるから、彼らにうち勝つ。また、小羊と共にいる召された、選ばれた、忠実な者たちも、勝利を得る」。 (J)

ヨハネの黙示録 17:15 御使はまた、わたしに言った、「あなたの見た水、すなわち、淫婦のすわっている所は、あらゆる民族、群衆、国民、国語である。 (J)

ヨハネの黙示録 17:16 あなたの見た十の角と獣とは、この淫婦を憎み、みじめな者にし、裸にし、彼女の肉を食い、火で焼き尽すであろう。 (J)

ヨハネの黙示録 17:17 神は、御言が成就する時まで、彼らの心の中に、御旨を行い、思いをひとつにし、彼らの支配権を獣に与える思いを持つようにされたからである。 (J)

ヨハネの黙示録 17:18 あなたの見たかの女は、地の王たちを支配する大いなる都のことである」。 (J)

ヨハネの黙示録 18:1 この後、わたしは、もうひとりの御使が、大いなる権威を持って、天から降りて来るのを見た。地は彼の栄光によって明るくされた。 (J)

ヨハネの黙示録 18:2 彼は力強い声で叫んで言った、「倒れた、大いなるバビロンは倒れた。そして、それは悪魔の住む所、あらゆる汚れた霊の巣くつ、また、あらゆる汚れた憎むべき鳥の巣くつとなった。 (J)

ヨハネの黙示録 18:3 すべての国民は、彼女の姦淫に対する激しい怒りのぶどう酒を飲み、地の王たちは彼女と姦淫を行い、地上の商人たちは、彼女の極度のぜいたくによって富を得たからである」。 (J)

ヨハネの黙示録 18:4 わたしはまた、もうひとつの声が天から出るのを聞いた、「わたしの民よ。彼女から離れ去って、その罪にあずからないようにし、その災害に巻き込まれないようにせよ。 (J)

ヨハネの黙示録 18:5 彼女の罪は積り積って天に達しており、神はその不義の行いを覚えておられる。 (J)

ヨハネの黙示録 18:6 彼女がしたとおりに彼女にし返し、そのしわざに応じて二倍に報復をし、彼女が混ぜて入れた杯の中に、その倍の量を、入れてやれ。 (J)

ヨハネの黙示録 18:7 彼女が自ら高ぶり、ぜいたくをほしいままにしたので、それに対して、同じほどの苦しみと悲しみとを味わわせてやれ。彼女は心の中で『わたしは女王の位についている者であって、やもめではないのだから、悲しみを知らない』と言っている。 (J)

ヨハネの黙示録 18:8 それゆえ、さまざまの災害が、死と悲しみとききんとが、一日のうちに彼女を襲い、そして、彼女は火で焼かれてしまう。彼女をさばく主なる神は、力強いかたなのである。 (J)

ヨハネの黙示録 18:9 彼女と姦淫を行い、ぜいたくをほしいままにしていた地の王たちは、彼女が焼かれる火の煙を見て、彼女のために胸を打って泣き悲しみ、 (J)

ヨハネの黙示録 18:10 彼女の苦しみに恐れをいだき、遠くに立って言うであろう、『ああ、わざわいだ、大いなる都、不落の都、バビロンは、わざわいだ。おまえに対するさばきは、一瞬にしてきた』。 (J)

ヨハネの黙示録 18:11 また、地の商人たちも彼女のために泣き悲しむ。もはや、彼らの商品を買う者が、ひとりもないからである。 (J)

ヨハネの黙示録 18:12 その商品は、金、銀、宝石、真珠、麻布、紫布、絹、緋布、各種の香木、各種の象牙細工、高価な木材、銅、鉄、大理石などの器、 (J)

ヨハネの黙示録 18:13 肉桂、香料、香、におい油、乳香、ぶどう酒、オリブ油、麦粉、麦、牛、羊、馬、車、奴隷、そして人身などである。 (J)

ヨハネの黙示録 18:14 おまえの心の喜びであったくだものはなくなり、あらゆるはでな、はなやかな物はおまえから消え去った。それらのものはもはや見られない。 (J)

ヨハネの黙示録 18:15 これらの品々を売って、彼女から富を得た商人は、彼女の苦しみに恐れをいだいて遠くに立ち、泣き悲しんで言う、 (J)

ヨハネの黙示録 18:16 『ああ、わざわいだ、麻布と紫布と緋布をまとい、金や宝石や真珠で身を飾っていた大いなる都は、わざわいだ。 (J)

ヨハネの黙示録 18:17 これほどの富が、一瞬にして無に帰してしまうとは』。また、すべての船長、航海者、水夫、すべて海で働いている人たちは、遠くに立ち、 (J)

ヨハネの黙示録 18:18 彼女が焼かれる火の煙を見て、叫んで言う、『これほどの大いなる都は、どこにあろう』。 (J)

ヨハネの黙示録 18:19 彼らは頭にちりをかぶり、泣き悲しんで叫ぶ、『ああ、わざわいだ、この大いなる都は、わざわいだ。そのおごりによって、海に舟を持つすべての人が富を得ていたのに、この都も一瞬にして無に帰してしまった』。 (J)

ヨハネの黙示録 18:20 天よ、聖徒たちよ、使徒たちよ、預言者たちよ。この都について大いに喜べ。神は、あなたがたのために、この都をさばかれたのである」。 (J)

ヨハネの黙示録 18:21 すると、ひとりの力強い御使が、大きなひきうすのような石を持ちあげ、それを海に投げ込んで言った、「大いなる都バビロンは、このように激しく打ち倒され、そして、全く姿を消してしまう。 (J)

ヨハネの黙示録 18:22 また、おまえの中では、立琴をひく者、歌を歌う者、笛を吹く者、ラッパを吹き鳴らす者の楽の音は全く聞かれず、あらゆる仕事の職人たちも全く姿を消し、また、ひきうすの音も、全く聞かれない。 (J)

ヨハネの黙示録 18:23 また、おまえの中では、あかりもともされず、花婿、花嫁の声も聞かれない。というのは、おまえの商人たちは地上で勢力を張る者となり、すべての国民はおまえのまじないでだまされ、 (J)

ヨハネの黙示録 18:24 また、預言者や聖徒の血、さらに、地上で殺されたすべての者の血が、この都で流されたからである」。 (J)

ヨハネの黙示録 19:1 この後、わたしは天の大群衆が大声で唱えるような声を聞いた、 「ハレルヤ、救と栄光と力とは、 われらの神のものであり、 (J)

ヨハネの黙示録 19:2 そのさばきは、真実で正しい。 神は、姦淫で地を汚した大淫婦をさばき、 神の僕たちの血の報復を 彼女になさったからである」。 (J)

ヨハネの黙示録 19:3 再び声があって、「ハレルヤ、彼女が焼かれる火の煙は、世々限りなく立ちのぼる」と言った。 (J)

ヨハネの黙示録 19:4 すると、二十四人の長老と四つの生き物とがひれ伏し、御座にいます神を拝して言った、「アァメン、ハレルヤ」。 (J)

ヨハネの黙示録 19:5 その時、御座から声が出て言った、 「すべての神の僕たちよ、神をおそれる者たちよ。 小さき者も大いなる者も、 共に、われらの神をさんびせよ」。 (J)

ヨハネの黙示録 19:6 わたしはまた、大群衆の声、多くの水の音、また激しい雷鳴のようなものを聞いた。それはこう言った、 「ハレルヤ、全能者にして主なるわれらの神は、 王なる支配者であられる。 (J)

ヨハネの黙示録 19:7 わたしたちは喜び楽しみ、神をあがめまつろう。 小羊の婚姻の時がきて、 花嫁はその用意をしたからである。 (J)

ヨハネの黙示録 19:8 彼女は、光り輝く、 汚れのない麻布の衣を着ることを許された。 この麻布の衣は、聖徒たちの正しい行いである」。 (J)

ヨハネの黙示録 19:9 それから、御使はわたしに言った、「書きしるせ。小羊の婚宴に招かれた者は、さいわいである」。またわたしに言った、「これらは、神の真実の言葉である」。 (J)

ヨハネの黙示録 19:10 そこで、わたしは彼の足もとにひれ伏して、彼を拝そうとした。すると、彼は言った、「そのようなことをしてはいけない。わたしは、あなたと同じ僕仲間であり、またイエスのあかしびとであるあなたの兄弟たちと同じ僕仲間である。ただ神だけを拝しなさい。イエスのあかしは、すなわち預言の霊である」。 (J)

ヨハネの黙示録 19:11 またわたしが見ていると、天が開かれ、見よ、そこに白い馬がいた。それに乗っているかたは、「忠実で真実な者」と呼ばれ、義によってさばき、また、戦うかたである。 (J)

ヨハネの黙示録 19:12 その目は燃える炎であり、その頭には多くの冠があった。また、彼以外にはだれも知らない名がその身にしるされていた。 (J)

ヨハネの黙示録 19:13 彼は血染めの衣をまとい、その名は「神の言」と呼ばれた。 (J)

ヨハネの黙示録 19:14 そして、天の軍勢が、純白で、汚れのない麻布の衣を着て、白い馬に乗り、彼に従った。 (J)

ヨハネの黙示録 19:15 その口からは、諸国民を打つために、鋭いつるぎが出ていた。彼は、鉄のつえをもって諸国民を治め、また、全能者なる神の激しい怒りの酒ぶねを踏む。 (J)

ヨハネの黙示録 19:16 その着物にも、そのももにも、「王の王、主の主」という名がしるされていた。 (J)

ヨハネの黙示録 19:17 また見ていると、ひとりの御使が太陽の中に立っていた。彼は、中空を飛んでいるすべての鳥にむかって、大声で叫んだ、「さあ、神の大宴会に集まってこい。 (J)

ヨハネの黙示録 19:18 そして、王たちの肉、将軍の肉、勇者の肉、馬の肉、馬に乗っている者の肉、また、すべての自由人と奴隷との肉、小さき者と大いなる者との肉をくらえ」。 (J)

ヨハネの黙示録 19:19 なお見ていると、獣と地の王たちと彼らの軍勢とが集まり、馬に乗っているかたとその軍勢とに対して、戦いをいどんだ。 (J)

ヨハネの黙示録 19:20 しかし、獣は捕えられ、また、この獣の前でしるしを行って、獣の刻印を受けた者とその像を拝む者とを惑わしたにせ預言者も、獣と共に捕えられた。そして、この両者とも、生きながら、硫黄の燃えている火の池に投げ込まれた。 (J)

ヨハネの黙示録 19:21 それ以外の者たちは、馬に乗っておられるかたの口から出るつるぎで切り殺され、その肉を、すべての鳥が飽きるまで食べた。 (J)

ヨハネの黙示録 20:1 またわたしが見ていると、ひとりの御使が、底知れぬ所のかぎと大きな鎖とを手に持って、天から降りてきた。 (J)

ヨハネの黙示録 20:2 彼は、悪魔でありサタンである龍、すなわち、かの年を経たへびを捕えて千年の間つなぎおき、 (J)

ヨハネの黙示録 20:3 そして、底知れぬ所に投げ込み、入口を閉じてその上に封印し、千年の期間が終るまで、諸国民を惑わすことがないようにしておいた。その後、しばらくの間だけ解放されることになっていた。 (J)

ヨハネの黙示録 20:4 また見ていると、かず多くの座があり、その上に人々がすわっていた。そして、彼らにさばきの権が与えられていた。また、イエスのあかしをし神の言を伝えたために首を切られた人々の霊がそこにおり、また、獣をもその像をも拝まず、その刻印を額や手に受けることをしなかった人々がいた。彼らは生きかえって、キリストと共に千年の間、支配した。 (J)

ヨハネの黙示録 20:5 (それ以外の死人は、千年の期間が終るまで生きかえらなかった。)これが第一の復活である。 (J)

ヨハネの黙示録 20:6 この第一の復活にあずかる者は、さいわいな者であり、また聖なる者である。この人たちに対しては、第二の死はなんの力もない。彼らは神とキリストとの祭司となり、キリストと共に千年の間、支配する。 (J)

ヨハネの黙示録 20:7 千年の期間が終ると、サタンはその獄から解放される。 (J)

ヨハネの黙示録 20:8 そして、出て行き、地の四方にいる諸国民、すなわちゴグ、マゴグを惑わし、彼らを戦いのために召集する。その数は、海の砂のように多い。 (J)

ヨハネの黙示録 20:9 彼らは地上の広い所に上ってきて、聖徒たちの陣営と愛されていた都とを包囲した。すると、天から火が下ってきて、彼らを焼き尽した。 (J)

ヨハネの黙示録 20:10 そして、彼らを惑わした悪魔は、火と硫黄との池に投げ込まれた。そこには、獣もにせ預言者もいて、彼らは世々限りなく日夜、苦しめられるのである。 (J)

ヨハネの黙示録 20:11 また見ていると、大きな白い御座があり、そこにいますかたがあった。天も地も御顔の前から逃げ去って、あとかたもなくなった。 (J)

ヨハネの黙示録 20:12 また、死んでいた者が、大いなる者も小さき者も共に、御座の前に立っているのが見えた。かずかずの書物が開かれたが、もう一つの書物が開かれた。これはいのちの書であった。死人はそのしわざに応じ、この書物に書かれていることにしたがって、さばかれた。 (J)

ヨハネの黙示録 20:13 海はその中にいる死人を出し、死も黄泉もその中にいる死人を出し、そして、おのおのそのしわざに応じて、さばきを受けた。 (J)

ヨハネの黙示録 20:14 それから、死も黄泉も火の池に投げ込まれた。この火の池が第二の死である。 (J)

ヨハネの黙示録 20:15 このいのちの書に名がしるされていない者はみな、火の池に投げ込まれた。 (J)

ヨハネの黙示録 21:1 わたしはまた、新しい天と新しい地とを見た。先の天と地とは消え去り、海もなくなってしまった。 (J)

ヨハネの黙示録 21:2 また、聖なる都、新しいエルサレムが、夫のために着飾った花嫁のように用意をととのえて、神のもとを出て、天から下って来るのを見た。 (J)

ヨハネの黙示録 21:3 また、御座から大きな声が叫ぶのを聞いた、「見よ、神の幕屋が人と共にあり、神が人と共に住み、人は神の民となり、神自ら人と共にいまして、 (J)

ヨハネの黙示録 21:4 人の目から涙を全くぬぐいとって下さる。もはや、死もなく、悲しみも、叫びも、痛みもない。先のものが、すでに過ぎ去ったからである」。 (J)

ヨハネの黙示録 21:5 すると、御座にいますかたが言われた、「見よ、わたしはすべてのものを新たにする」。また言われた、「書きしるせ。これらの言葉は、信ずべきであり、まことである」。 (J)

ヨハネの黙示録 21:6 そして、わたしに仰せられた、「事はすでに成った。わたしは、アルパでありオメガである。初めであり終りである。かわいている者には、いのちの水の泉から価なしに飲ませよう。 (J)

ヨハネの黙示録 21:7 勝利を得る者は、これらのものを受け継ぐであろう。わたしは彼の神となり、彼はわたしの子となる。 (J)

ヨハネの黙示録 21:8 しかし、おくびょうな者、信じない者、忌むべき者、人殺し、姦淫を行う者、まじないをする者、偶像を拝む者、すべて偽りを言う者には、火と硫黄の燃えている池が、彼らの受くべき報いである。これが第二の死である」。 (J)

ヨハネの黙示録 21:9 最後の七つの災害が満ちている七つの鉢を持っていた七人の御使のひとりがきて、わたしに語って言った、「さあ、きなさい。小羊の妻なる花嫁を見せよう」。 (J)

ヨハネの黙示録 21:10 この御使は、わたしを御霊に感じたまま、大きな高い山に連れて行き、聖都エルサレムが、神の栄光のうちに、神のみもとを出て天から下って来るのを見せてくれた。 (J)

ヨハネの黙示録 21:11 その都の輝きは、高価な宝石のようであり、透明な碧玉のようであった。 (J)

ヨハネの黙示録 21:12 それには大きな、高い城壁があって、十二の門があり、それらの門には、十二の御使がおり、イスラエルの子らの十二部族の名が、それに書いてあった。 (J)

ヨハネの黙示録 21:13 東に三つの門、北に三つの門、南に三つの門、西に三つの門があった。 (J)

ヨハネの黙示録 21:14 また都の城壁には十二の土台があり、それには小羊の十二使徒の十二の名が書いてあった。 (J)

ヨハネの黙示録 21:15 わたしに語っていた者は、都とその門と城壁とを測るために、金の測りざおを持っていた。 (J)

ヨハネの黙示録 21:16 都は方形であって、その長さと幅とは同じである。彼がその測りざおで都を測ると、一万二千丁であった。長さと幅と高さとは、いずれも同じである。 (J)

ヨハネの黙示録 21:17 また城壁を測ると、百四十四キュビトであった。これは人間の、すなわち、御使の尺度によるのである。 (J)

ヨハネの黙示録 21:18 城壁は碧玉で築かれ、都はすきとおったガラスのような純金で造られていた。 (J)

ヨハネの黙示録 21:19 都の城壁の土台は、さまざまな宝石で飾られていた。第一の土台は碧玉、第二はサファイヤ、第三はめのう、第四は緑玉、 (J)

ヨハネの黙示録 21:20 第五は縞めのう、第六は赤めのう、第七はかんらん石、第八は緑柱石、第九は黄玉石、第十はひすい、第十一は青玉、第十二は紫水晶であった。 (J)

ヨハネの黙示録 21:21 十二の門は十二の真珠であり、門はそれぞれ一つの真珠で造られ、都の大通りは、すきとおったガラスのような純金であった。 (J)

ヨハネの黙示録 21:22 わたしは、この都の中には聖所を見なかった。全能者にして主なる神と小羊とが、その聖所なのである。 (J)

ヨハネの黙示録 21:23 都は、日や月がそれを照す必要がない。神の栄光が都を明るくし、小羊が都のあかりだからである。 (J)

ヨハネの黙示録 21:24 諸国民は都の光の中を歩き、地の王たちは、自分たちの光栄をそこに携えて来る。 (J)

ヨハネの黙示録 21:25 都の門は、終日、閉ざされることはない。そこには夜がないからである。 (J)

ヨハネの黙示録 21:26 人々は、諸国民の光栄とほまれとをそこに携えて来る。 (J)

ヨハネの黙示録 21:27 しかし、汚れた者や、忌むべきこと及び偽りを行う者は、その中に決してはいれない。はいれる者は、小羊のいのちの書に名をしるされている者だけである。 (J)

ヨハネの黙示録 22:1 御使はまた、水晶のように輝いているいのちの水の川をわたしに見せてくれた。この川は、神と小羊との御座から出て、 (J)

ヨハネの黙示録 22:2 都の大通りの中央を流れている。川の両側にはいのちの木があって、十二種の実を結び、その実は毎月みのり、その木の葉は諸国民をいやす。 (J)

ヨハネの黙示録 22:3 のろわるべきものは、もはや何ひとつない。神と小羊との御座は都の中にあり、その僕たちは彼を礼拝し、 (J)

ヨハネの黙示録 22:4 御顔を仰ぎ見るのである。彼らの額には、御名がしるされている。 (J)

ヨハネの黙示録 22:5 夜は、もはやない。あかりも太陽の光も、いらない。主なる神が彼らを照し、そして、彼らは世々限りなく支配する。 (J)

ヨハネの黙示録 22:6 彼はまた、わたしに言った、「これらの言葉は信ずべきであり、まことである。預言者たちのたましいの神なる主は、すぐにも起るべきことをその僕たちに示そうとして、御使をつかわされたのである。 (J)

ヨハネの黙示録 22:7 見よ、わたしは、すぐに来る。この書の預言の言葉を守る者は、さいわいである」。 (J)

ヨハネの黙示録 22:8 これらのことを見聞きした者は、このヨハネである。わたしが見聞きした時、それらのことを示してくれた御使の足もとにひれ伏して拝そうとすると、 (J)

ヨハネの黙示録 22:9 彼は言った、「そのようなことをしてはいけない。わたしは、あなたや、あなたの兄弟である預言者たちや、この書の言葉を守る者たちと、同じ僕仲間である。ただ神だけを拝しなさい」。 (J)

ヨハネの黙示録 22:10 またわたしに言った、「この書の預言の言葉を封じてはならない。時が近づいているからである。 (J)

ヨハネの黙示録 22:11 不義な者はさらに不義を行い、汚れた者はさらに汚れたことを行い、義なる者はさらに義を行い、聖なる者はさらに聖なることを行うままにさせよ」。 (J)

ヨハネの黙示録 22:12 「見よ、わたしはすぐに来る。報いを携えてきて、それぞれのしわざに応じて報いよう。 (J)

ヨハネの黙示録 22:13 わたしはアルパであり、オメガである。最初の者であり、最後の者である。初めであり、終りである。 (J)

ヨハネの黙示録 22:14 いのちの木にあずかる特権を与えられ、また門をとおって都にはいるために、自分の着物を洗う者たちは、さいわいである。 (J)

ヨハネの黙示録 22:15 犬ども、まじないをする者、姦淫を行う者、人殺し、偶像を拝む者、また、偽りを好みかつこれを行う者はみな、外に出されている。 (J)

ヨハネの黙示録 22:16 わたしイエスは、使をつかわして、諸教会のために、これらのことをあなたがたにあかしした。わたしは、ダビデの若枝また子孫であり、輝く明けの明星である」。 (J)

ヨハネの黙示録 22:17 御霊も花嫁も共に言った、「きたりませ」。また、聞く者も「きたりませ」と言いなさい。かわいている者はここに来るがよい。いのちの水がほしい者は、価なしにそれを受けるがよい。 (J)

ヨハネの黙示録 22:18 この書の預言の言葉を聞くすべての人々に対して、わたしは警告する。もしこれに書き加える者があれば、神はその人に、この書に書かれている災害を加えられる。 (J)

ヨハネの黙示録 22:19 また、もしこの預言の書の言葉をとり除く者があれば、神はその人の受くべき分を、この書に書かれているいのちの木と聖なる都から、とり除かれる。 (J)

ヨハネの黙示録 22:20 これらのことをあかしするかたが仰せになる、「しかり、わたしはすぐに来る」。アァメン、主イエスよ、きたりませ。 (J)

ヨハネの黙示録 22:21 主イエスの恵みが、一同の者と共にあるように。 (J)